(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-14
(45)【発行日】2022-10-24
(54)【発明の名称】電線保護管
(51)【国際特許分類】
H02G 7/00 20060101AFI20221017BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20221017BHJP
【FI】
H02G7/00
H02G3/04 081
(21)【出願番号】P 2018178578
(22)【出願日】2018-09-25
【審査請求日】2021-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】399039719
【氏名又は名称】東日本電気エンジニアリング株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000207311
【氏名又は名称】大東電材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147706
【氏名又は名称】多田 裕司
(72)【発明者】
【氏名】米山 雄一
(72)【発明者】
【氏名】梅本 尚
(72)【発明者】
【氏名】高杉 清彦
(72)【発明者】
【氏名】和光 祐一
(72)【発明者】
【氏名】小竹 悠太
(72)【発明者】
【氏名】小林 北斗
(72)【発明者】
【氏名】香川 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】武長 達哉
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-209810(JP,A)
【文献】実開昭56-120727(JP,U)
【文献】実開昭61-014129(JP,U)
【文献】実開昭63-013336(JP,U)
【文献】実開昭63-013337(JP,U)
【文献】特開平08-033170(JP,A)
【文献】特開2011-250599(JP,A)
【文献】特開2004-159452(JP,A)
【文献】特開2018-102066(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 7/00
H02G 3/04
H02G 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに組み合わされることによって電線の外側を覆う筒状体となる一対の半筒体を備える電線保護管であって、
少なくとも一方の前記半筒体が有する一方の端部における、組み合わされる別の前記電線保護管に対向する
外周面には、
前記外周面から
外向きに突出する一対の突起部が前記半筒体の仮想中心点を中心として互いに対称な位置に形成されており、
少なくとも一方の前記半筒体が有する他方の端部には、別の前記電線保護管に形成された一対の前記突起部が嵌まる一対の嵌合部が形成されて
おり、
前記嵌合部は、前記突起部が前記嵌合部内を移動できる大きさに形成されている
電線保護管。
【請求項2】
互いに組み合わされることによって電線の外側を覆う筒状体となる一対の半筒体を備える電線保護管であって、
少なくとも一方の前記半筒体が有する一方の端部における、組み合わされる別の前記電線保護管に対向する
内周面には、
前記内周面から
内向きに突出する一対の突起部が前記半筒体の仮想中心点を中心として互いに対称な位置に形成されており、
少なくとも一方の前記半筒体が有する他方の端部には、別の前記電線保護管に形成された一対の前記突起部が嵌まる一対の嵌合部が形成されて
おり、
前記嵌合部は、前記突起部が前記嵌合部内を移動できる大きさに形成されている
電線保護管。
【請求項3】
前記突起部が形成される前記半筒体における一方の前記端部の外径は、前記嵌合部が形成される前記半筒体における他方の前記端部の内径よりも小さく形成されている
請求項
1に記載の電線保護管。
【請求項4】
電線に取り付けられた状態で鉛直方向の下側に位置する前記半筒体には水抜部が形成されており、
前記水抜部は、水抜孔と、前記半筒体の内側であって前記水抜孔に対応する位置に配置された水抜孔カバーとを有している
請求項1から3のいずれか1項に記載の電線保護管。
【請求項5】
前記水抜部における前記水抜孔カバーの内面からはリブが突設されている
請求項4に記載の電線保護管。
【請求項6】
少なくとも一方の前記半筒体の内面には、長手方向に延びるリブが設けられており、
前記リブの端部は、前記リブの高さが前記半筒体の中央部から離れるにつれて漸減する形状となっている
請求項1から5のいずれか1項に記載の電線保護管。
【請求項7】
少なくとも一方の前記半筒体の内面には電線のガイドが設けられており、
前記ガイドは、中央部と一対の端部とを有しており、
前記端部は、前記中央部から離れるにしたがって前記半筒体の長手方向に直交する幅方向の中心から離間する方向に延びる形状であることを特徴とする
請求項1から6のいずれか1項に記載の電線保護管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架線を介して電車に電力を供給する電線等に取り付ける保護管に関する。
【背景技術】
【0002】
従前より、様々な種類の電線保護管が開発されており、例えば、特許文献1から4には、水抜孔を備える電線保護管が示されている。
【0003】
また、電線に電線保護管を取り付ける際は、当該電線保護管を1本ずつ電線に取り付けていき、互いに隣り合う電線保護管同士を連結し、電線からの脱落を防止するためのバインド線(被覆付針金)を各電線保護管の端部における重ね合わせ部に巻き付けて、電線保護管が電線から脱落するのを防止していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開昭56-120727号公報
【文献】実開昭61-14129号公報
【文献】実開昭63-13336号公報
【文献】実開昭63-13337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電線保護管を1本ずつ高所に張架された電線に取り付けていく作業は時間がかかりすぎることから、時間的およびコスト的なデメリットが大きいという問題があった。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、電線に対して短時間で取り付けることができるようにして、取り付け作業の効率化を図ることのできる電線保護管を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面によれば、
互いに組み合わされることによって電線の外側を覆う筒状体となる一対の半筒体を備える電線保護管であって、
少なくとも一方の前記半筒体が有する一方の端部における、組み合わされる別の前記電線保護管に対向する外周面には、前記外周面から外向きに突出する一対の突起部が前記半筒体の仮想中心点を中心として互いに対称な位置に形成されており、
少なくとも一方の前記半筒体が有する他方の端部には、別の前記電線保護管に形成された一対の前記突起部が嵌まる一対の嵌合部が形成されており、
前記嵌合部は、前記突起部が前記嵌合部内を移動できる大きさに形成されている
電線保護管が提供される。
【0008】
本発明の別の局面によれば、
互いに組み合わされることによって電線の外側を覆う筒状体となる一対の半筒体を備える電線保護管であって、
少なくとも一方の前記半筒体が有する一方の端部における、組み合わされる別の前記電線保護管に対向する内周面には、前記内周面から内向きに突出する一対の突起部が前記半筒体の仮想中心点を中心として互いに対称な位置に形成されており、
少なくとも一方の前記半筒体が有する他方の端部には、別の前記電線保護管に形成された一対の前記突起部が嵌まる一対の嵌合部が形成されており、
前記嵌合部は、前記突起部が前記嵌合部内を移動できる大きさに形成されている
電線保護管が提供される。
【0009】
好適には、前記突起部が形成される前記半筒体における一方の前記端部の外径は、前記嵌合部が形成される前記半筒体における他方の前記端部の内径よりも小さく形成されている。
【0010】
好適には、電線に取り付けられた状態で鉛直方向の下側に位置する前記半筒体には水抜部が形成されており、前記水抜部は、水抜孔と、前記半筒体の内側であって前記水抜孔に対応する位置に配置された水抜孔カバーとを有している。
【0011】
好適には、前記水抜部における前記水抜孔カバーの内面からはリブが突設されている。
【0012】
好適には、少なくとも一方の前記半筒体の内面には、長手方向に延びるリブが設けられており、前記リブの端部は、前記リブの高さが前記半筒体の中央部から離れるにつれて漸減する形状となっている。
【0013】
好適には、少なくとも一方の前記半筒体の内面には電線のガイドが設けられており、前記ガイドは、中央部と一対の端部とを有しており、前記端部は、前記中央部から離れるにしたがって前記半筒体の長手方向に直交する幅方向の中心から離間する方向に延びる形状である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電線保護管を電線に取り付ける際、第1の電線保護管における一方の端部の外面に対して、別の第2の電線保護管における他方の端部の内面を合わせて、第1の電線保護管に設けられており外向きに延びる一対の突起部を第2の電線保護管に形成された一対の嵌合部に嵌め込む。あるいは、第1の電線保護管における一方の端部の内面に対して、別の第2の電線保護管における他方の端部の外面を合わせて、第1の電線保護管に設けられており内向きに延びる一対の突起部を第2の電線保護管に形成された一対の嵌合部に嵌め込む。
【0015】
これにより、第1の電線保護管における一方の半筒体と、第2の電線保護管における一方の半筒体とをまとめて動かすことが可能となり、電線を挟み込むようにして一対の半筒体を閉じる動作をまとめて行うことができる。
【0016】
このように一対の半筒体を閉じる動作を2つの電線保護管でまとめて行うことにより、電線に対して短時間で取り付けることができ、取り付け作業の効率化を図ることのできる電線保護管を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明が適用された電線保護管10の正面図である。
【
図2】本発明が適用された電線保護管10の背面図である。
【
図3】本発明が適用された電線保護管10の平面図である。
【
図4】本発明が適用された電線保護管10の底面図である。
【
図5】本発明が適用された電線保護管10の右側面図である。
【
図6】本発明が適用された電線保護管10の左側面図である。
【
図7】本発明が適用された電線保護管10の斜視図である。
【
図8】電線保護管10を電線Lに取り付けた状態を示す図である。
【
図9】電線保護管10を電線Lに取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図11】一対の電線保護管10の結合部分を示す拡大図である。
【
図12】角度を付けて一対の電線保護管10を結合させた状態を示す図である。
【
図13】変形例1に係る、一対の電線保護管10の結合部分を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(電線保護管10の構成)
図1から
図7は、本発明が適用された実施形態に係る電線保護管10を示す。この電線保護管10は、電気的絶縁特性を有する樹脂等で形成された一対の半筒体12,14で構成されており、これら半筒体12,14が互いに組み合わされることによって電線Lの外側を覆う筒状体としての電線保護管10となる。両半筒体12,14は互いに対向する端縁(半筒体12,14の長手方向に直交する方向の内側端縁)同士が互いに接続され、一体的に形成されている。なお、一対の半筒体12,14同士を折り返して組み合わせる動作を容易にするため、半筒体12と半筒体14との間にヒンジ部分を設けてもよい。
【0019】
図8に示すように、本実施形態において、一方の半筒体12は、電線保護管10として電線Lに取り付けられた状態で鉛直方向の上側に位置する部材であり、他方の半筒体14は、同様に、電線保護管10として電線Lに取り付けられた状態で鉛直方向の下側に位置する部材となっている。
【0020】
なお、両半筒体12,14は、基本的に互いに線対称に形成されている。そこで、以下では半筒体12の構成について詳細に説明し、半筒体14については基本的に半筒体12についての説明を援用して半筒体12と異なる部分についてのみ説明する。
【0021】
図1から
図7に戻り、半筒体12は、大略、本体部20と、この本体部20の長手方向における一方の端部に形成された結合部22と、本体部20の長手方向における他方の端部に形成された被結合部24とを有しており、これらが一体となって半筒体12を構成している。もちろん、本体部20や結合部22や被結合部24をそれぞれ別体として形成し、然る後、接着等の手段で組み合わせて半筒体12を構成してもよい。
【0022】
本体部20は、長手方向に延びる半筒状の部材である。本実施例において、本体部20は「丸筒状」に形成されているが、もちろんこれに限定されるものではなく、「角筒状」や「多角形筒状」に形成されてもよい。つまり、「筒状」や「半筒状」とは、「角筒」、「丸筒」、あるいは「多角形筒」その他すべてを含む概念である。
【0023】
この本体部20には、リブ50、補強リブ52、ガイド54、および、係着部55が形成されている。
【0024】
リブ50は、本体部20の内面から突設され、半筒体12の長手方向に延びる板状の部分であり、本実施形態では、2本のリブ50が互いに平行な位置に設けられている。このリブ50は、電線Lに取り付けた状態の電線保護管10を移動させる際に当該電線Lをガイドする役割を有している。もちろん、リブ50の数はこれに限定されるものではない。
【0025】
また、各リブ50の長手方向の端は、本体部20と結合部22、あるいは、本体部20と被結合部24との境界付近に設定されている。さらに、
図9に示すように、各リブ50の端部56は、その高さ(本体部20の内面からリブ50の長手方向に直交する方向の先端までの距離)が本体部20の中央部から離れるにつれて漸減する形状に形成されている。
【0026】
これにより、電線Lに取り付けた状態の電線保護管10を移動させる際、電線Lに取り付けられた均圧金具E等に電線保護管10のリブ50が引っかかるおそれを低減し、電線保護管10を電線Lに対してスムーズに移動させることができる。
【0027】
図1から
図7に戻り、補強リブ52は、本体部20の内面から突設され、半筒体12の長手方向に直交する方向に延びる板状の部分(つまり、リブ50に直交する板状部分)であり、本実施形態では、4本の補強リブ52が互いにほぼ均等な間隔で配置されている。もちろん、補強リブ52の数はこれに限定されるものではない。また、各補強リブ52は互いに平行な位置に設けられている。さらに、各補強リブ52の高さ(本体部20の内面から補強リブ52の長手方向に直交する方向の先端までの距離)は、上述したリブ50の高さよりも低く設定されている。
【0028】
ガイド54は、リブ50と同様に、電線Lに取り付けた状態の電線保護管10を移動させる際に当該電線Lをガイドする役割を有しており、本実施形態では、一対のリブ50を介して互いに対向する2つ一セットのガイド54が、全部で4セット設けられている。もちろん、ガイド54の数はこれに限定されるものではない。
【0029】
各ガイド54は、大略、中央部58と、一対の端部60とで構成されている。中央部58は、半筒体12の長手方向に延びる部分である。一対の端部60は、中央部58の両端からそれぞれ続く部分であり、中央部58から離れるにしたがって半筒体12の長手方向に直交する幅方向の中心から離間する方向に延びるようになっている。
【0030】
また、各ガイド54は、それぞれの中央部58の略中央位置が補強リブ52に一致する位置に形成されている。もちろん、各ガイド54を補強リブ52から離間した位置に形成してもよい。
【0031】
係着部55(特に
図5参照)は、一対の半筒体12,14を互いに組み合わせた状態を維持するための部分であり、本実施形態では、半筒体12の本体部20における、半筒体14に接続されている端とは反対側の端部において、半筒体12の長手方向に沿って4つの孔で構成されており、これら孔が係着部55を構成する係着雌部62となる。
【0032】
結合部22は、他の電線保護管10を構成する半筒体12の被結合部24を覆うようにして取り付けられる部分であり、結合突部64と、嵌合部65とを備えている。
【0033】
結合突部64は、結合部22における長手方向外側端部の内面において、他の半筒体12の被結合部24と互いに結合するように形成されている。この結合突部64は、半筒体12の長手方向に直交する方向の全体にわたって形成されている。この結合突部64により、一対の半筒体12,14を互いに組み合わせて電線保護管10を構成したときに、結合部22が形成された方の端部における電線保護管10の内径は、当該電線保護管10の標準内径(半筒体12,14における各本体部20の各内面間の距離)よりも小さくなる。
【0034】
なお、本実施形態において、半筒体12の外面における結合部22の結合突部64に対応する位置に凹み66が形成されているが、この凹み66は必須ではなく、外面における結合部22の結合突部64に対応する位置と他の位置との違いを無くしてもよい。
【0035】
嵌合部65は、結合部22における結合突部64が形成された位置よりもさらに半筒体12の長手方向中心部寄りに形成された孔であり、本実施形態では、半筒体12における長手方向に直交する方向の両端部にそれぞれ形成されている。また、本実施形態における各嵌合部65は、半筒体12の長手方向に沿って延びる長孔に形成されている。なお、嵌合部65は、本実施形態のような孔に限定されるものではなく、例えば、半筒体12の内面に形成された凹部であってもよい。
【0036】
被結合部24は、上述のように、他の電線保護管10を構成する半筒体12の結合部22によって覆われる部分であり、結合凹部68と、突起部70とを備えている。本実施形態において、被結合部24の外径は、結合部22の内径よりも小さく形成されている。これにより、被結合部24の外面と、結合部22の内面との間に所定のクリアランス(隙間)が生じることになる。
【0037】
結合凹部68は、被結合部24における長手方向外側端部の外面において、他の半筒体12の結合部22における結合突部64が嵌め込まれて互いに結合するように形成されている。この結合凹部68は、半筒体12の長手方向に直交する方向の全体にわたって形成されている。この結合凹部68により、一対の半筒体12,14を互いに組み合わせて電線保護管10を構成したときに、結合凹部68が形成された方の端部における電線保護管10の内径は、当該電線保護管10の標準内径(半筒体12,14における各本体部20の各内面間の距離)よりも小さくなる。
【0038】
なお、本実施形態において、半筒体12の長手方向における結合凹部68の幅は、結合部22に形成された結合突部64における同方向の幅よりも広く形成されている。
【0039】
また、半筒体12,14の肉厚が比較的厚い場合は、結合凹部68を形成しても、当該結合凹部68に対応する電線保護管10の内径が当該電線保護管10の標準内径と同等になるようにしてもよい。
【0040】
突起部70は、被結合部24における結合凹部68よりもさらに半筒体12の端縁側における外面から外方に突設された部分であり、一対の電線保護管10を組み合わせたときに結合部22に形成された嵌合部65に嵌め込まれるようになっている。また、本実施形態では、一対の突起部70が形成されており、これら突起部70は、半筒体12の仮想中心点C(特に
図4参照)を中心として互いに対称な位置にそれぞれ形成されている。さらに、本実施形態において、突起部70は、対応する嵌合部65に嵌め込まれた状態において、当該嵌合部65内である程度動くことができる程度に嵌合部65よりも小さく設定されている。
【0041】
なお、「半筒体12の仮想中心点C」とは、電線保護管10の長手方向に直交する仮想平面が、筒状である当該電線保護管10の仮想中心軸と交わる位置(点)のことである。
【0042】
次に、半筒体14の構造について説明する。半筒体14も、半筒体12と同様、本体部20と、結合部22と、被結合部24とを有している。
【0043】
半筒体14における本体部20は、リブ50、補強リブ52、係着部55、および、水抜部80を有している。なお、半筒体14には、ガイド54は形成されていない。
【0044】
半筒体14における係着部55(特に
図6参照)は、本実施形態では、半筒体14の本体部20における、半筒体12に接続されている端とは反対側の端部において、半筒体14の長手方向に沿って当該半筒体14の外面に4つの突部で構成されており、これら突部が係着部55を構成する係着雄部72となる。
【0045】
水抜部80は、電線保護管10の端から内部に浸入した雨水などを外へ排出する機能を有する部分である。上述のように、半筒体14は、電線保護管10として電線Lに取り付けられた状態で鉛直方向の下側に位置することから、このような水抜部80が設けられている。
【0046】
この水抜部80は、大略、水抜孔82と、水抜孔カバー84と、カバーサポート86とを備えている。
【0047】
水抜孔82は、半筒体14の本体部20の内部と外部とを連通する長孔である。本実施形態では、半筒体14に設けられた4つの補強リブ52同士にある3箇所の間において、半筒体14の長手方向に延びる水抜孔82が各間に3つずつ、互いに平行な位置に形成されている。
【0048】
また、半筒体14の結合部22においても、半筒体14の長手方向に延びるやや短い長孔である水抜孔82が3つ、互いに平行な位置に形成されている。さらに、半筒体14の被結合部24においては、半筒体14の長手方向に直交する方向に延びる矩形状の孔である水抜孔82が1つ形成されている。
【0049】
もちろん、本実施形態に係る水抜孔82の数、位置、および形状等は単なる例示であり、電線保護管10の内部に浸入した雨水などを排出できるものであれば、水抜孔82の数、位置、および形状等は特に限定されない。
【0050】
水抜孔カバー84は、上述した各水抜孔82に対応してそれぞれ半筒体14の内面よりもやや半筒体14の仮想中心側に離間して設けられた板状部材である。このような水抜孔カバー84が存在することにより、半筒体14の外面を正面から見たとき、各水抜孔82は、対応する水抜孔カバー84によってほぼ塞がれているように見える。しかし、水抜孔カバー84と半筒体14の内面との間は互いに離間しているので、半筒体14の外面を斜めから見ると隙間が見え、この隙間から雨水などが排出されるようになっている。
【0051】
ところで、4つの補強リブ52同士における3箇所の間に3つずつ配置された水抜孔カバー84の内、中央の水抜孔カバー84を除く両外側の水抜孔カバー84は、半筒体14に設けられたリブ50における半筒体14の内面側端に接続されている。換言すれば、水抜孔カバー84の内面中央部からリブ50が突出するようになっている。
【0052】
これにより、
図10に示すように、電線Lの周辺にある樹木の枝N等の先端が誤って水抜孔82に入ってしまった場合であっても、水抜孔カバー84によって樹木の枝N等の先端が充電部である電線Lに接触することを回避できる。さらに、樹木の枝N等が水抜孔カバー84と半筒体14の内面との間の隙間を介して電線保護管10内に入ってしまった場合であっても、樹木の枝N等の先端が充電部である電線Lに接触するより先にリブ50の側面に当たるので、地絡や漏電等の事故を回避できる可能性を高めることができる。
【0053】
図1から
図7に戻り、カバーサポート86は、一端が半筒体14の内面に接続されており、他端が各水抜孔カバー84の側面に接続された部材であり、上述のように、各水抜孔カバー84が対応する水抜孔82に対応して半筒体14の仮想中心側に離間した状態を保持する役割を有している。
【0054】
上述のように、半筒体14は、半筒体12と同様、結合部22および被結合部24を有しているが、本実施形態において、半筒体14の結合部22には嵌合部65が形成されていない。また、半筒体14の被結合部24には突起部70が形成されていない。
【0055】
(電線保護管10の使用手順)
次に、上述した本実施形態に係る電線保護管10を電線Lに取り付ける手順について簡単に説明する。
【0056】
図11に示すように、電線保護管10を電線Lに取り付ける際、第1の電線保護管10(図中右側の電線保護管10)における被結合部24の外面に対して、別の第2の電線保護管10(図中左側の電線保護管10)における結合部22の内面を合わせて、第1の電線保護管10における被結合部24の外面に形成された結合凹部68に、第2の電線保護管10における結合部22の内面に形成されたに結合突部64を嵌め込む。さらに、第1の電線保護管10に設けられており外向きに延びる一対の突起部70を第2の電線保護管10に形成された一対の嵌合部65に嵌め込む。
【0057】
これにより、第1の電線保護管10における一方の半筒体12と、第2の電線保護管10における一方の半筒体12とをまとめて動かすことが可能となり、電線Lを挟み込むようにして一対の半筒体12を閉じる動作をまとめて行うことができる。
【0058】
電線Lに対して2つまとめて電線保護管10を取り付けた後は、取り付けた電線保護管10を電線Lに沿って送り出し、次の電線保護管10を2つまとめて同様に取り付けていく。もちろん、直前に取り付けた電線保護管10の被結合部24に、新しく取り付ける電線保護管10の結合部22を取り付けていることになる。
【0059】
(電線保護管10の特徴)
このように一対の半筒体12を閉じる動作を2つまとめて行うことにより、電線Lに対して短時間で取り付けることができ、取り付け作業の効率化を図ることのできる電線保護管10を提供することができる。
【0060】
また、本実施形態に係る電線保護管10では、半筒体12,14における被結合部24の外径は、結合部22の内径よりも小さく形成されており、被結合部24に形成された結合凹部68の幅は、結合部22に形成された結合突部64の同方向における幅よりも広く形成されており、かつ、被結合部24に形成された突起部70は、対応する長孔の嵌合部65に嵌め込まれた状態において当該嵌合部65内である程度動くことができる程度の大きさに設定されている。
【0061】
これにより、一対の電線保護管10を組み合わせた状態において、結合凹部68と結合突部64との間、および、突起部70と嵌合部65との間にクリアランスが生じることから、このクリアランスの範囲内で、一方の電線保護管10が突起部70を中心として他方の電線保護管10に対して回動可能となり、
図12に示すように、一対の電線保護管10が結合する角度を変えることによって互いに結合する複数の電線保護管10を電線Lの弛度に追従させることができる。
【0062】
(変形例1)
上述の実施形態では、結合部22に結合突部64が形成され、かつ、被結合部24に結合凹部68が形成されているが、これに変えて、
図13に示すように、結合突部64および結合凹部68を形成しないようにしてもよい。
【0063】
ただし、上述した実施形態のように結合突部64および結合凹部68を形成する方が、何らかの理由で突起部70が破損した場合であっても一対の電線保護管10が互いに離間してしまうのを回避できる点で好適である。
【0064】
(変形例2)
上述の実施形態において、半筒体14の結合部22には嵌合部65が形成されておらず、また、半筒体14の被結合部24には突起部70が形成されていないが、これに変えて、半筒体14にも嵌合部65や突起部70を形成してもよいし、逆に、嵌合部65や突起部70を半筒体14のみに形成し、半筒体12には形成しないようにしてもよい。
【0065】
(変形例3)
また、
図7に示すように、上述した実施形態に係る電線保護管10の外面には、半筒体12,14が不所望に開いてしまうのを防止するC字状金具を嵌め込む金具用溝90が半筒体14から半筒体12にかけて形成されているが、この金具用溝90は形成しなくてもよい。
【0066】
(変形例4)
上述した実施形態では、一対の突起部70が電線保護管10の被結合部24において外向きに延びるように形成されていたが、これに変えて、一対の突起部70を内向きに延びるように形成してもよい。つまり、一対の突起部70を半筒体12における結合部22の内面から突出するように形成し、これに対応する一対の嵌合部65を半筒体12における被結合部24に形成してもよい。この場合、図示しないが、第1の電線保護管10における被結合部24の外面に対して、別の第2の電線保護管10における結合部22の内面を合わせて、第2の電線保護管10における結合部22に設けられており内向きに延びる一対の突起部70を、第1の電線保護管10における被結合部24に形成された一対の嵌合部65に嵌め込むことになる。
【0067】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0068】
10…電線保護管、12…(一方の)半筒体、14…(他方の)半筒体
20…本体部、22…結合部、24…被結合部
50…リブ、52…補強リブ、54…ガイド、55…係着部、56…(リブ50の)端部、58…(ガイド54の)中央部、60…(ガイド54の)端部、62…係着雌部、64…結合突部、65…嵌合部、66…凹み、68…結合凹部、70…突起部、72…係着雄部
80…水抜部、82…水抜孔、84…水抜孔カバー、86…カバーサポート
90…金具用溝
L…電線、E…均圧金具、C…(半筒体12,14の)仮想中心点、N…樹木の枝