(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-14
(45)【発行日】2022-10-24
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20221017BHJP
【FI】
A63F7/02 304D
(21)【出願番号】P 2018055685
(22)【出願日】2018-03-23
【審査請求日】2021-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 忠
(72)【発明者】
【氏名】宮永 真
【審査官】後藤 孝平
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-087424(JP,A)
【文献】特開2014-054455(JP,A)
【文献】特開2011-183051(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動演出部材を備えた遊技機において、
前記可動演出部材を、第1形態と、前記第1形態とは前側から見た形状が異なる第2形態と、に変化させる形態可変機構を備え、
前記可動演出部材は、
支持ベースと、
前記支持ベースに支持された可動体と、
前記支持ベースと前記可動体を接続する接続部材と、を備え、
前記接続部材は、前記可動体の動きに従動して伸縮
し、前側から視認可能な状態と前側から視認困難な状態とに変化する遊技機。
【請求項2】
可動演出部材を備えた遊技機において、
前記可動演出部材を、第1形態と、前記第1形態とは前側から見た形状が異なる第2形態と、に変化させる形態可変機構を備え、
前記可動演出部材は、
支持ベースと、
前記支持ベースに支持された可動体と、
前記支持ベースと前記可動体を接続し、前側から視認可能な位置に配置される接続部材と、を備え、
前記接続部材は、前記可動体の動きに伴って伸縮する遊技機。
【請求項3】
可動演出部材を備えた遊技機において、
前記可動演出部材を、第1形態と、前記第1形態とは前側から見た形状が異なる第2形態と、に変化させる形態可変機構を備え、
前記可動演出部材は、
支持ベースと、
前記支持ベースに支持された可動体と、
前記支持ベースと前記可動体を接続する接続部材と、を備え、
前記接続部材は、前記可動体の動きに従動して、折り曲げられた状態と、その状態よりのばされた状態と、に変化
し、前側から視認可能な状態と前側から視認困難な状態とに変化する遊技機。
【請求項4】
可動演出部材を備えた遊技機において、
前記可動演出部材を、第1形態と、前記第1形態とは前側から見た形状が異なる第2形態と、に変化させる形態可変機構を備え、
前記可動演出部材は、
支持ベースと、
前記支持ベースに支持された可動体と、
前記支持ベースと前記可動体を接続し、前側から視認可能な位置に配置される接続部材と、を備え、
前記接続部材は、前記可動体の動きに伴って、折り曲げられた状態と、その状態よりのばされた状態と、に変化する遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動演出部材を備えた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の遊技機では、バットを模した可動演出部材が回動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-104637号(段落[0131]~[0132]、
図15)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の遊技機では、可動演出部材が単に移動するだけであり、可動演出部材の興趣に欠けるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段は、可動演出部材を備えた遊技機において、前記可動演出部材を第1形態と前記第1形態とは前側から見た形状が異なる第2形態とに変化させる形態可変機構を備える遊技機である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図5】(A)移動ベースが第1移動位置のときの移動演出部の正面図、(B)移動ベースが第2移動位置のときの移動演出部の正面図
【
図6】(A)支持ベースが第1回動位置のときの移動演出部の正面図、(B)支持ベースが第2回動位置のときの移動演出部の正面図
【
図9】第1形態の可動演出部材の(A)正面図、(B)背面図
【
図10】変形途中の可動演出部材の(A)正面図、(B)背面図
【
図11】第2形態の可動演出部材の(A)正面図、(B)背面図
【
図12】第2可動体の本体部に対する従動部の動きを説明するための図
【
図13】第2可動体の本体部に対する従動部の動きを説明するための図
【
図14】第2可動体の本体部及び従動部に対する可動先端構成体の動きを説明するための図
【
図15】第2可動体の本体部及び従動部に対する可動先端構成体の動きを説明するための図
【
図17】駆動ギヤの(A)背面側から見た斜視図、(B)背面図
【
図18】共通ギヤの(A)正面側から見た斜視図、(B)背面図
【
図19】(A)駆動ギヤが第1回転位置に配置されたときの駆動ギヤと共通ギヤの正面図、(B)駆動ギヤが中途回転位置に配置されたときの駆動ギヤと共通ギヤの正面図
【
図20】(A)駆動ギヤが中途回転位置から第2回転位置側に回転したときの駆動ギヤと共通ギヤの正面図、(B)駆動ギヤが第2回転位置に配置されたときの駆動ギヤと共通ギヤの正面図
【
図21】駆動ギヤが第1回転位置に配置されたときの駆動ギヤと共通ギヤの(A)正面図、(B)正断面図
【
図22】駆動ギヤが中途回転位置に配置されたときの駆動ギヤと共通ギヤの(A)正面図、(B)正断面図
【
図25】各可動役物装置の駆動源の制御体系を示すブロック図
【
図28】押込処理実行時の直動用駆動源の励磁状態を示すタイムチャート
【
図29】第2可動役物装置の動作を説明するための図
【
図30】第3可動役物装置の動作を説明するための図
【
図36】第1復帰処理が実行されるときの各可動役物装置の駆動源の励磁状態を示すタイムチャート
【
図37】第1復帰処理が実行されるときの各可動役物装置の駆動源の励磁状態を示すタイムチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に示されるように、本実施形態の遊技機10は、前面枠10Zを前面に備え、その前面枠10Zに形成されたガラス窓10Wを通して、
図2に示される遊技盤11の前面に形成された遊技領域R1が視認可能になっている。なお、以下の説明において、特記しない限り「右」及び「左」とは、遊技機10を前方から見た場合の「右」及び「左」を指すものとする。
【0010】
前面枠10Zのうちガラス窓10Wより下方には、上皿26と下皿27が上下2段にして設けられ、下皿27の右側には、発射ハンドル28が備えられている。そして、発射ハンドル28が回動操作されると、上皿26に収容された遊技球が遊技領域R1(
図2)に向けて弾き出される。
【0011】
図2に示されるように、遊技領域R1は、遊技盤11の前面から突出したガイドレール12に囲まれている。遊技盤11のうち遊技領域R1の中央には、表示開口11Hが貫通形成され、この表示開口11Hを通して、表示装置13の表示画面13Gが前方に臨んでいる。表示画面13Gでは、遊技に関する種々の演出が行われる。
【0012】
表示開口11Hの開口縁には、表示画面13Gを囲むように表示装飾枠23が取り付けられている。表示装飾枠23は、遊技盤11の前面側から表示開口11Hに嵌め込まれて遊技盤11の前面から突出し、遊技領域R1を流下する遊技球が表示装飾枠23の内側に進入することを規制している。
【0013】
遊技領域R1のうち表示装飾枠23より下側部分の横方向の中央部には、第1始動入賞口14AKが設けられている。第1始動入賞口14AKは、遊技球が1つずつ入球可能な大きさの開口を上部に有するポケット構造をなしている。
【0014】
第1始動入賞口14AKの下方には、第1大入賞装置15Aが設けられている。第1大入賞装置15Aは、右側に開放した第1大入賞口15AKと、第1大入賞口15AKの右側に配置された第1可変部材15ATと、を備えている。第1可変部材15ATは、左下り傾斜し、遊技盤11の前面から突出した第1突出位置と、該第1突出位置より突出が抑えられた第1退避位置と、の間をスライド可能に構成されている。そして、第1可変部材15ATが第1突出位置に配置されたときに、第1可変部材15ATを案内にして遊技球が第1大入賞口15AKに入球可能となり、第1可変部材15ATが第1退避位置に配置されたときに、遊技球が第1大入賞口15AKに入球困難となる。
【0015】
遊技領域R1のうち表示装飾枠23の右側には、始動ゲート18が設けられている。始動ゲート18は、遊技領域R1を流下する遊技球が潜って通過可能な門形状に形成されている。始動ゲート18を遊技球が通過すると、普通図柄当否判定が行われる。
【0016】
始動ゲート18の下方には、第2始動入賞装置14Bが設けられている。第2始動入賞装置14Bは、左側に開放した第2始動入賞口14BKと、第2始動入賞口14BKの左側で右下がりに傾斜した始動可変部材14BTと、を備えている。始動可変部材14BTは、遊技盤11の前面から突出した始動突出位置と該始動突出位置より突出が抑えられた始動退避位置との間をスライド可能に構成されていて、通常は、始動退避位置に配置され、上述した普通図柄当否判定の結果が当りになると、所定の期間だけ始動突出位置に配置される。そして、始動可変部材14BTが始動突出位置に配置されたときに、始動可変部材14BTを案内にして遊技球が第2始動入賞口14BKに入球可能となり、始動可変部材14BTが始動退避位置に配置されたときに、遊技球が始動入賞口14BKに入球困難となる。
【0017】
第2始動入賞装置14Bの下方には、第2大入賞装置15Bが設けられている。第2大入賞装置15Bは、上側に開放した第2大入賞口15BKと、第2大入賞口15BKを開閉する第2可変部材15BTと、を備えている。第2可変部材15BTは、遊技盤11の前面から突出した第2突出位置と、該第2突出位置より突出が抑えられた第2退避位置と、の間をスライド可能に構成されている。そして、第2可変部材15BTが第2突出位置に配置されたときに、第2大入賞口15BKが閉塞されて遊技球が第2大入賞口15BKに入球困難となり、第2可変部材15BTが第2退避位置に配置されたときに、第2大入賞口15BKが開放されて遊技球が第2大入賞口15BKに入球可能となる。
【0018】
第1始動入賞口14AK又は第2始動入賞口14BKに遊技球が入球すると、所定数の遊技球が賞球として上皿26(
図1参照)に払い出されると共に、特別図柄当否判定が行われる。
【0019】
特別図柄当否判定の結果が当りになると、大当り遊技又は小当り遊技が実行され、第1大入賞口15AK又は第2大入賞口15BKに遊技球が入球可能となる。第1大入賞口15AK又は第2大入賞口15BKに遊技球が入球すると、所定数の遊技球が賞球として払い出される。
【0020】
遊技領域R1には、上述した入賞口14AK,14BK,15AK,15BKのほかに、上方又は側方に開放して遊技球が常時入球可能な一般入賞口20が複数設けられている。また、遊技領域R1の下端部、具体的には、第1可変部材15AKの下方には、何れの入賞口にも入球しなかった遊技球を遊技領域R1の外側に排出するためのアウト口16が設けられている。さらに、遊技領域R1には、遊技球の流下方向をランダムに変更するための障害釘Kが多数植設されている。
【0021】
本実施形態の遊技機10では、遊技盤11の後側に、
図3に示される機構枠17を備えている。機構枠17の内側部分は、遊技盤11の表示開口11H(
図2参照)に後側から重なる開口部17Aとなっていて、機構枠17には、第1可動役物装置100を含む種々の装置が組み付けられている。
図3には、機構枠17に組み付けられる装置として、第1可動役物装置100の他に第2可動役物装置200と第3可動役物装置300が示されている。
【0022】
図4には、遊技機10の電気的な構成が示されている。同図において、符号50は、主制御回路50であって、CPU50A、RAM50B、ROM50C及び複数のカウンタを備えたマイクロコンピュータと、該マイクロコンピュータとサブ制御回路52を結ぶ入出力回路と、大入賞装置等が接続された中継回路及び払出制御回路等を結ぶ入出力回路とを備え、遊技に関わる主制御を行う。CPU50Aは、当否判定部、制御部、演算部、各種カウンタ、各種レジスタ、各種フラグ等を備え、演算制御を行う他、特別図柄当否判定や普通図柄当否判定に関する乱数等も生成し、制御信号をサブ制御回路52等へ出力(送信)可能に構成されている。RAM50Bは、CPU50Aで生成される各種乱数値用の記憶領域、各種データを一時的に記憶する記憶領域やフラグ、CPU50Aの作業領域を備える。ROM50Cには、制御データ、特別図柄及び普通図柄の変動表示に関する図柄変動データ等が書き込まれている他、特別図柄当否判定及び普通図柄当否判定の判定値等が書き込まれている。
【0023】
サブ制御回路52は、主制御回路50と同様に、CPU52A、RAM52B、ROM52C及び複数のカウンタを備えたマイクロコンピュータと、該マイクロコンピュータと主制御回路50を結ぶ入出力回路と、表示制御回路54、各種可動役物装置(第1可動役物装置100、第2可動役物装置200、第3可動役物装置300)等を結ぶ入出力回路を備えている。CPU52Aは、制御部、演算部、各種カウンタ、各種レジスタ、各種フラグ等を備え、演算制御を行う他、制御信号を表示制御回路54、可動役物装置100,200,300等へ出力(送信)可能に構成されている。RAM52Bは、各種データの記憶領域とCPU52Aによる作業領域を有している。ROM52Cには、各種演出のデータ等が記憶されている。
【0024】
表示制御回路54は、表示装置13に設けられていて、CPU、RAM及びROMを有している。表示制御回路54のCPUは、サブ制御回路52からの制御信号に基づき、画像データをROMから取得し、その画像データに基づいて表示画面13Gに画像を表示する。
【0025】
[第1可動役物装置100]
図3及び
図5に示されるように、第1可動役物装置100は、機構枠17に固定された固定ベース101と、固定ベース101に対して移動可能な移動演出部102と、を有する。固定ベース101は、正面視横長矩形状に形成されて、機構枠17の下辺部17Kに前側から重ねられる。
【0026】
図5及び
図6に示されるように、移動演出部102は、固定ベース101に対して移動可能な移動ベース103と、移動ベース103に搭載されて
図5(A)に示される第1形態と
図5(B)に示される第2形態とに変形可能な可動演出部材110と、を備えている。第1形態の可動演出部材110は、
図6(A)から
図6(B)への変化に示されるように、移動ベース103に対して回動可能となっている。なお、可動演出部材110の形態を分かり易くするために、
図5及び
図6では、可動演出部材110が灰色で示されている。
【0027】
移動ベース103は、固定ベース101より前側に配置され、移動ベース用駆動源103G(
図25参照)により駆動されて、
図5(A)に示される第1移動位置と
図5(B)に示される第2移動位置と、の間を移動する。移動ベース103は、第1移動位置に配置された状態では、その全体が固定ベース101に前側から重ねられ、第2移動位置に配置された状態では、固定ベース101より上側に飛び出る。詳細には、移動ベース103は、第1移動位置に配置されると、固定ベース101の左側部分と重なり、第2移動位置に配置されると、固定ベース101の右側部分の上端寄り部分と重なる。
【0028】
具体的には、
図7(A)に示されるように、移動ベース103には、後側に突出する係合突部103Tが設けられていて、固定ベース102には、係合突部103Tが挿通されるガイド孔101Aが設けられている。ガイド孔101Aは、上側へ向かうにつれて右側へ向かうように湾曲した円弧状をなしている。係合突部103Tとガイド孔101Aは複数備えられていて、複数のガイド孔101Aは、同じ大きさ且つ同じ形状に形成されている。また、固定ベース101には、上述した移動ベース用駆動源103Gと、該駆動源103Gによって回転駆動されるレバー104と、が組み付けられている。レバー104は、固定ベース101に後側から重ねられ、レバー104の先端部には、該レバー104の回転半径方向に延在する長孔104Nが形成されている。長孔104Nには、複数の係合突部103Tのうちの1つが挿通されている。そして、レバー104が回転駆動されると、長孔104Nに挿通された係合突部103Tがガイド孔101Aに沿って移動し、移動ベース103が第1移動位置(
図7(A)参照)と第2移動位置(
図7(B)参照)の間を移動する。なお、このとき、レバー104の長孔104Nに挿通されていない他の係合突部103Tがガイド孔101Aに沿って移動することで、移動ベース103の移動の安定化が図られている。
【0029】
図5(A)及び
図5(B)に示されるように、可動演出部材110は、支持ベース111と、支持ベース111に支持された第1可動体121及び第2可動体122と、を備えている。支持ベース111は、移動ベース103に前側から重ねられるベース本体111Hと該ベース本体111Hに前側から重なるカバー111Cの上端部同士が連絡された構造になっている。詳細には、ベース本体111Hは、移動ベース103に回動可能に支持され、その回動中心から回動半径方向の一方側に張り出した長手形状をなしている。カバー111Cは、ベース本体111Hの回動中心側の端部を前側から覆っている。
【0030】
支持ベース111は、支持ベース用駆動源111G(
図25参照)により駆動されて、
図6(A)及び
図8(A)に示される第1回動位置と
図6(B)及び
図8(B)に示される第2回動位置との間を移動する。支持ベース111が第1回動位置に配置された状態では、ベース本体111Hが横向きとなり(
図8(A)参照)、ベース本体111Hのうち回動中心から離れた先端寄り部分が移動ベース103に重ねられる。支持ベース111が第2回動位置に配置された状態では、ベース本体111Hが斜め上向きとなり(
図8(B)参照)、ベース本体111Hの先端寄り部分が移動ベース103より上側に飛び出る。なお、支持ベース用駆動源111Gは、固定ベース101に組み付けられている。
【0031】
具体的には、
図8(A)に示されるように、移動ベース103の前側を向く面には、支持ベース用駆動源111Gによって駆動される複数のギヤ112が取り付けられていて、ベース本体111Hはそれら複数のギヤ112より前側に配置されている。また、ベース本体111Hには、その回動半径方向に延在する係合孔114が形成され、この係合孔114に挿通される係合ピン113が、複数のギヤ112のうち動力伝達経路の最も下流側に配置されるギヤ112と一体に回転するようになっている。そして、複数のギヤ112が回転駆動されると、係合孔114に挿通された係合ピン113が係合孔114内を移動しながらベース本体111Hを係合孔114と交差する方向に押し、これにより、支持ベース111が第1回動位置(
図8(A)参照)と第2回動位置(
図8(B)参照)の間を移動する。
【0032】
図9(A)、
図10(A)及び
図11(A)に示されるように、第1可動体121は、支持ベース111のベース本体111Hの長手方向の一方側の端部に回動可能に支持されている。具体的には、第1可動体121は、ベース本体111Hより後側に配置され、ベース本体111Hからさらにベース本体111Hの長手方向の一方側に張り出した第1始端位置(
図9(A)参照)と、ベース本体111Hの長手方向と垂直な方向に沿って延在する第1終端位置(
図11(A)参照)との間を回動する。
【0033】
第2可動体122は、ベース本体111Hの長手方向の他方側の端部に回動可能に支持されている。具体的には、第2可動体122は、ベース本体111Hより前側に配置され、全体がベース本体111Hに重ねられてベース本体111Hとカバー111Cとの間に挟まれる第2始端位置(
図9(A)参照)と、全体がベース本体111Hの長手方向の他端部から上側に飛び出す第2終端位置(
図11(A)参照)との間を回動する。
【0034】
図5(B)に示されるように、第2可動体122と支持ベース111とは、接続部材127によって接続されている。接続部材127は、第2可動体122が第2始端位置に配置された状態(
図5(A)参照)で、ベース本体111Hの長手方向の中間位置における上端部と第2可動体122において第1可動体121から遠い側に配置される部分とに回転自在に連絡し、カバー111Cの上縁部と側縁部(詳細には、第1可動体121から遠い側の側縁部)に沿って配置されている。このとき、接続部材127は遊技者に視認困難となっている。第2可動体122が第2終端位置(
図5(B)参照)に配置されると、接続部材127は、その中間部が折り曲げられると共に、支持ベース111の外側に張り出して遊技者に視認可能となる。このように、接続部材127は、第2可動体122の移動に伴って伸縮する構成となっていて、可動演出部材110の形態の変化に伴って、接続部材127の視認態様が変化するようになっている。
【0035】
第1可動体121と第2可動体122は、変形用駆動源123(
図25参照)によって駆動される。即ち、本実施形態では、第1可動体121と第2可動体122が共通の駆動源によって駆動される。
【0036】
図9(B)には、変形用駆動源123からの動力を受けて回転する共通ギヤ150が示されていて、この共通ギヤ150に、第2可動体122の回転軸部に一体化された第2ギヤ122Gが噛合している。また、第1可動体121の回転軸部に一体化された第1ギヤ121Gは、中継ギヤ125を介して共通ギヤ150からの動力を受けるようになっている。そして、
図9(B)→
図10(B)→
図11(B)の変化に示されるように、変形用駆動源123によって共通ギヤ150が回転すると、共通ギヤ150の回転力が第2ギヤ122Gに直接伝達されると共に該回転力が中継ギヤ125を介して第1ギヤ121Gに伝達され、第1ギヤ121Gと第2ギヤ122Gが互いに逆方向に回転する。なお、第1可動体121が第1始端位置に配置された状態で第2可動体122は第2始端位置に配置されていて(
図9参照)、第1可動体121が第1始端位置から第1終端位置へ移動するときに、第2可動体122が第2始端位置から第2終端位置へ移動する。
【0037】
図16には、共通ギヤ150の詳細が示されている。同図に示されるように、共通ギヤ150は、回転軸部150Jと、回転軸部150Jから扇状に張り出した扇状部151と、回動軸部150Jから張出部151と反対側に突出する突片部152と、を備えている。そして、扇状部151の外周部に、第1ギヤ121Gと中継ギヤ125が噛合する外歯151Hが形成されている。なお、突片部152の先端部には、図示しないアシストバネが引っ掛けられていて、共通ギヤ150は、正面視反時計方向に付勢されている。
【0038】
扇状部151には、回動軸部150Jを中心とする円弧状をなす受容孔153が形成されていて、その受容孔153内に、変形用駆動源123(
図25参照)により駆動される駆動ギヤ160が受容されている。受容孔153の内面のうち共通ギヤ150の外側を向く部分には、駆動ギヤ160と噛合する内歯153Hが形成されている。そして、変形用駆動源123によって駆動ギヤ160が駆動されると、共通ギヤ150が回転する。
【0039】
図12及び
図13に示されるように、第2可動体122は、第2可動体122の主要部を構成する本体部131と、本体部131に搭載されて第2可動体122に対して直動可能な従動部132とを備えている。従動部132は、第2可動体122が第2始端位置に配置された状態で本体部131の後側に隠れていて(
図12(A)参照)、第2可動体122の第2終端位置への移動に伴って本体部131の外側に突出する(
図13(B)参照)。このように、遊技機10では、第2可動体122が第2始端位置から第2終端位置へ移動するときに、従動部132を本体部131に対して移動させて遊技者に意外性を与えることが可能となる。
【0040】
具体的には、第2可動体122の本体部131には、中継レバー133と直動用レバー134が回転自在に取り付けられている。中継レバー133と直動用レバー134は共に、折れ線状に形成され、その折れ曲がり部分に回転中心133A,134Aを有している。そして、中継レバー133の一端部と直動用レバー134の他端部が連結している。中継レバー133の他端部には、支持ベース111のベース本体111Hの前面に形成されたガイド溝135に係合する係合ピン133Pが設けられている。また、直動用レバー134の一端部は、従動部132に回転自在に取り付けられている。なお、
図12(A)に示されるように、第2可動体122が第2始端位置に配置された状態で、中継レバー133の一端寄り部分と直動用レバー134の一端寄り部分は、従動部132の直動方向と直交する方向に沿って配置されている。また、中継レバー133の他端寄り部分は、回転中心133Aから従動部132の直動方向の一方側に延び、直動用レバー134の他端寄り部分は、回転中心134から従動部132の直動方向の他方側に延びている。
【0041】
ガイド溝135は、第2可動体132の回動軸部を中心とする第1円弧部135Aと、第1円弧部135Aに連設されて第2可動体132の回動軸部から離れるように膨らんだ第2円弧部135Bと、で構成されている。
図12(A)に示されるように、第2可動体122が第2始端位置に配置された状態では、係合ピン133Pは、第1円弧部135Aのうち第2円弧部135Bと反対側の端部に配置されている。
図12(A)から
図12(B)への変化に示されるように、第2可動体122が第2始端位置から回動すると、中継レバー133の係合ピン133がガイド溝135の第1円弧部135Aを移動する。このとき、中継レバー133及び直動用レバー134は第2可動体122の本体部131に対して回転せず、中継レバー133及び直動用レバー134の本体部131に対する姿勢が保持される。
図12(B)の状態から第2可動体122が更に回動すると、
図12(B)から
図13(A)への変化に示されるように、中継レバー133の係合ピン133Pがガイド溝135の第2円弧部135Bを移動する。このとき、中継レバー133が第2可動体122の本体部131に対して回転し、この中継レバー133の回転に伴って直動用レバー134が本体部131に対して回転する。そして、直動用レバー134の回転によって従動部132が本体部131に対して直動し、従動部132が本体部131から突出する。そして、
図13(B)に示されるように、第2可動体122が更に回動して第2終端位置に配置されると、従動部132の本体部131からの突出量が最大となる。
【0042】
図14(A)及び
図14(B)に示されるように、従動部132には、従動部132の本体部131に対する突出方向の先端側に飛び出した可動先端構成体141が搭載されている。可動先端構成体141は、従動部132と同じ方向に直動可能に構成されて、
図14(A)に示される退避位置と
図15(A)に示される突出位置の間を移動する。具体的には、
図14(B)及び
図15(B)に示されるように、従動部132には、従動部132の直動方向に延在する長孔132Nが形成されていて、この長孔132Nに可動先端構成体141に突設された係合突部141Tが受容されている。なお、係合突部141Tが長孔132Nの基端部に配置されている状態で従動部132が先端側へ移動すると、係合突部141Tが長孔132Nの内面に押されて可動先端構成体141が従動部132と一体に移動する。
【0043】
従動部132には、直動用駆動源140(
図25参照)とその直動用駆動源140によって駆動されるピニオン142(
図14(B)参照)が取り付けられている。また、
図14(B)に示されるように、可動先端構成体141には、ピニオン142と噛合するラック部143が形成されている。そして、直動用駆動源140によってピニオン142が駆動されると、可動先端構成体141が従動部132に対してラック143の延在方向に直動する。このように、本実施形態の遊技機10では、第2可動体122に対して可動先端構成体141を移動させることが可能となり、先端可動構成体141の動きによる演出が可能となる。しかも、可動先端構成体141は、従動部132に搭載され、従動部132の移動方向に駆動されるので、第2可動体122の動きに躍動感を持たせることが可能となる。
【0044】
遊技機10では、第2可動体122の本体部131に、可動先端構成体141の移動に伴って可動先端構成体141とは逆方向に移動する連動部材145が取り付けられている。連動部材145は、本体部131に形成されたガイド孔131Aによって可動先端構成体141の移動方向に沿って移動可能に構成され、図示しない付勢手段(例えば、バネ)によって先端側に付勢されている。連動部材145と可動演出構成体141は連動レバー144によって連結されていて、この連結レバー144の回転中心は連動部材145と可動演出構成体141の間に配置されている。可動演出構成体141が先端側に移動すると、可動演出構成体141に設けられた当接突片146が連動レバー144を回転させ、これにより、連動部材145が可動演出構成体141と逆方向に移動する。
【0045】
次に、第1可動役物装置100の動作について説明する。第1可動役物装置100は、初期状態において、
図5(A)に示されるように、移動ベース103が第1移動位置に配置されると共に支持ベース111が第1回動位置に配置され、可動演出部材110が第1形態となっている。
【0046】
第1可動役物装置100は、初期状態で第1動作条件が成立すると、
図6(A)から
図6(B)への変化に示される第1動作を実行する。第1動作では、移動ベース103が第1移動位置に配置されたまま、支持ベース111が第2回動位置に配置される。可動演出部材110は、第1形態のままである。なお、第1動作が終了すると、支持ベース111が第1回動位置に配置され、第1可動役物装置100は初期状態に戻る。
【0047】
また、第1可動役物装置100は、出現条件が成立すると、初期状態から
図5(B)に示される出現状態に変化する。出現状態では、支持ベース111が第1回動位置に配置されたまま、移動ベース103が第2移動位置に配置される。また、可動演出部材110は、移動ベース103の第2移動位置への移動に伴って第1形態から第2形態に変化する。
【0048】
第1可動役物装置100は、出現状態で第2動作条件が成立すると、第2動作を実行する。第2動作では、
図14及び
図15に示されるように、可動先端構成体141が退避位置と突出位置の間を往復移動する。なお、第2動作が終了すると、可動先端構成体141が退避位置に配置される。
【0049】
このように、第1可動役物装置100は、初期状態から出現状態に変化すると、可動演出部材110が第1形態から第2形態に変化する。また、第1可動演出装置100は、初期状態では第1動作を実行可能に構成され、出現状態では第2動作を実行可能に構成されている。即ち、第1可動役物装置100では、複数の形態及び動作をとることで、多様な演出動作を実行することが可能となっている。
【0050】
以上説明したように、本実施形態の遊技機10では、支持ベース111に対する第1可動体121と第2可動体122の配置を異ならせることで可動演出部材110の形態を変化させることが可能となる。そして、可動演出部材110が互いに形状が異なる第1形態(
図5(A)参照)と第2形態(
図5(B)参照)に変化することで、可動演出部材110の見た目を異ならせて興趣の向上を図ることが可能となる。しかも、第1可動体121と第2可動体122は共通の駆動源(変形用駆動源123(
図25参照))によって駆動されるので、第1可動体121と第2可動体122の連動性が高められ、可動演出部材110の形態をスムーズに変化させることが可能となる。
【0051】
また、支持ベース111には、第2始端位置の第2可動体122を前側から覆うカバー111Cが備えられているので、第2始端位置の第2可動体122を目立たなくすることが可能となる。また、本実施形態では、第1終端位置の第1可動体121が第2終端位置の第2可動体122に後側から重なることで、第1可動体121を目立たなくすることが可能となる。
【0052】
[可動演出部材110のロック機構]
図16に示されるように、本実施形態の遊技機10には、変形用駆動源123(
図25参照)の非作動時に外力によって可動演出部材110を変形させないためのロック機構170が備えられている。具体的には、ロック機構170は、共通ギヤ150と駆動ギヤ160とに設けられ、可動演出部材110の第1形態(
図5(A)参照)から第2形態(
図5(B)参照)への変形を規制する。
【0053】
図17(A)及び
図17(B)に示されるように、駆動ギヤ160は、外周部に外歯160Hを有する外歯歯車になっている。また、駆動ギヤ160は、その回転軸部160Jから外側へ扇状に張り出した駆動側張出部165を備えている。駆動側張出部165の張り出し方向の先端面には、受容凹部165Aが形成されていて、駆動側張出部165のうち駆動ギヤ160の周方向で受容凹部165Aを挟む部分は、それぞれ外歯160Hを構成する。受容凹部165Aを挟む2つの外歯160Hのうち正面視時計方向側に配置される外歯160Hは駆動側第1対向歯161を構成し、正面視反時計方向側に配置される外歯160Hは駆動側第2対向歯163を構成する(駆動ギヤ160を背面側から見た
図17(B)では、半時計方向側の外歯160Hが駆動側第1対向歯161となっている。)。ここで、受容凹部165Aの大きさは、共通ギヤ150の内歯153H(
図16参照)1つ分よりも大きくなっていて、受容凹部165Aは、外歯160Hの間隔が広くなった歯無し領域162Rとなっている。
【0054】
また、受容凹部165Aは、駆動側張出部165において駆動ギヤ160の背面側に寄せて配置されている。駆動側張出部165のうち受容凹部165Aに駆動ギヤ160の正面側から重なる部分は、駆動側第1対向歯161と駆動側第2対向歯163との間に差し渡される扇形部164となっている。このように、本実施形態では、扇形部164によって駆動側第1対向歯161と駆動側第2対向歯163の補強が図られている。
【0055】
図18(A)及び
図18(B)に示されるように、共通ギヤ150の受容孔153は、回動軸部150Jより上側で共通ギヤ150の周方向に延在している。詳細には、受容孔153は、正面から見て時計方向の一方側が幅狭となるように形成されていて、内歯153Hは、受容孔153のうち幅狭部153Aを除く幅広部153Bの内面に形成されている。なお、幅狭部153Aの幅は、駆動ギヤ160の外径よりも小さくなっていて、駆動ギヤ160は、幅広部153Bに受容される。
【0056】
共通ギヤ150に形成された複数の内歯153Hのうち幅狭部153Aから1番目と2番目の内歯153Hは、他の内歯153Hに対して厚みが半分になっている。幅狭部153Aに最も近い内歯153Hは、共通ギヤ150の正面側に寄せて配置され、幅狭部153Aから2番目の内歯153Hは、共通ギヤ150の背面側に寄せて配置されている。なお、以下では、幅狭部153Aから3番目の内歯153Hを共通側第1対向歯154と、幅狭部153Aから2番目の内歯153Hを領域突入歯155と、幅狭部153Aに最も近い内歯153Hを共通側第2対向歯156と、呼ぶことにする。
【0057】
駆動ギヤ160は、
図19(A)に示される第1回転位置から反時計方向に回転して、
図20(B)に示される第2回転位置に配置される。
図19(A)及び
図21(A)に示されるように、駆動ギヤ160が第1回転位置に配置された状態では、駆動ギヤ160の回転領域と共通ギヤ150の回転領域の重なり部分の全体を覆うように駆動ギヤ160の駆動側張出部165が配置されている。このとき、駆動側張出部165は、共通ギヤ150の回転方向で共通側第1対向歯154と共通側第2対向歯156との間に挟まれると共に、駆動ギヤ160の径方向で共通側第1対向歯154と共通側第2対向歯156に突き当てられる。詳細には、共通側第1対向歯154と駆動側第1対向歯161は、駆動ギヤ160の径方向で対向すると共に、共通ギヤ150の回転方向で対向する。共通側第2対向歯156と駆動側第2対向歯163は、駆動ギヤ160の径方向で対向すると共に、共通ギヤ150の回転方向で対向する。そして、共通ギヤ150は、共通側第1対向歯154と駆動側第1対向歯161によって正面視時計方向側の回転を規制され、共通側第2対向歯156と駆動側第2対向歯163によって正面視反時計方向側の回転を規制される。このように、遊技機10では、駆動ギヤ160が第1回転位置に配置された状態で共通ギヤ150の回転が規制される。
【0058】
また、
図21(B)に示されるように、駆動ギヤ160が第1回転位置に配置された状態では、共通ギヤ150の領域突入歯155が駆動側張出部165の受容凹部165A、即ち、歯無し領域162Rに受容される。ここで、領域突入歯155は、駆動ギヤ160の周方向で歯無し領域162Rの中間に配置され、駆動側第1対向歯161との間に隙間を有している。従って、駆動ギヤ160は、第1回転位置から、共通ギヤ150に動力を伝達することなく正面視反時計方向に回転可能となっている。その結果、駆動ギヤ160は、第1回転位置(
図19(A)、
図21(A))と中途回転位置(
図19(B)、
図22(A))との間を空転可能となっている。なお、駆動ギヤ160の歯無し領域162Rと共通ギヤ150の領域突入歯155は、駆動ギヤ160を空転させる空転機構171を構成する。
【0059】
図22(A)に示されるように、駆動ギヤ160が中途回転位置に配置されると、駆動ギヤ160の回転領域と共通ギヤ150の回転領域の重なり部分のうち第1回転位置側の端部が駆動側張出部165から外れ、駆動側張出部165が駆動ギヤ150の径方向で共通側第1対向歯154に突き当てられなくなる。このとき、駆動側第1対向歯161は、共通ギヤ150の共通側第1対向歯154と領域突入歯155との間に入り込み、共通ギヤ150の回転方向で領域突入歯155に当接する。従って、駆動側第1対向歯161は、共通側第1対向歯154と領域突入歯155に噛合し、共通側第1対向歯154と駆動側第1対向歯161は、駆動ギヤ160の回転方向と共通ギヤ150の回転方向の両方で対向する。その結果、共通ギヤ150は、正面視時計方向側の回転を許容される。
【0060】
なお、共通側第2対向歯156は、駆動側張出部165の扇形部164に駆動ギヤ160の径方向で突き合わされると共に、共通ギヤ150の回転方向で対向する。従って、共通ギヤ150は、駆動ギヤ160が中途回転位置に配置されても、共通側第2対向歯156と扇状部164によって正面視反時計方向側の回転を規制される。
【0061】
このように、遊技機10では、駆動ギヤ160が第1回転位置から中途回転位置へ回転すると、駆動側張出部165(詳細には、駆動側第1対向歯161)が、共通ギヤ150の回転を規制する回転規制位置から共通ギヤ150の回転を許容する回転許容位置に配置される。即ち、駆動側張出部165は、共通ギヤ150の回転を規制したり許容したりする回転規制部172を構成する。そして、本実施形態の遊技機10では、駆動ギヤ160の駆動側張出部165と共通ギヤ150の共通側第1対向歯154、領域突入歯155及び共通側第2対向歯156が、上述した空転機構171による駆動ギヤ160の空転に伴って、共通ギヤ150の回転を規制する回転規制状態と、共通ギヤ150の回転を許容する回転許容状態と、に変化するロック機構170を構成する。
【0062】
駆動ギヤ160が中途回転位置から正面視反時計方向に回転すると、
図19(B)から
図20(A)への変化に示されるように、駆動ギヤ160の外歯160Hと共通ギヤ150の内歯153Hが噛み合って駆動ギヤ160からの動力が共通ギヤ150に伝達され、共通ギヤ150が正面視時計方向に回転する。
図20(B)に示されるように、駆動ギヤ160が第2回転位置に配置された状態では、駆動ギヤ160の外歯160Hのうち駆動側張出部165に正面視反時計方向側から隣接する外歯160Hが、共通ギヤ150の内歯153Hのうち幅狭部153Aから最も離れた内歯153Hと噛み合っている。
【0063】
以上説明したように、本実施形態の遊技機10では、ロック機構170によって変形用駆動源123(
図25参照)の非作動時に共通ギヤ150が回転することが規制され、可動演出部材110が勝手に変形することが抑制される。しかも、遊技機10では、駆動ギヤ160の回転のみで共通ギヤ150の回転を規制したり許容したりすることが可能になるので、第1可動体121と第2可動体122を第1始端位置と第2始端位置に保持する(即ち、可動演出部材110を第1形態に保持する)ために、変形用駆動源123からの動力を第1可動体121と第2可動体122に伝達するための動力伝達機構とは別の部材を備える必要がなくなる。これにより、省スペース化を図りつつ第1可動体121と第2可動体122を第1始端位置と第2始端位置に保持することが可能となる。
【0064】
また、本実施形態の遊技機10によれば、歯無し領域162Rによって共通ギヤ150に動力を伝達することなく駆動ギヤ160を回転させることで、駆動側第1対向歯161の共通側第1対向歯154に対する配置を変更することが可能となり、簡易な構成で共通ギヤ150の回転を規制したり許容したりすることが可能となる。
【0065】
また、本実施形態では、駆動ギヤ160が第1回転位置に配置されたときに、共通ギヤ150の共通側第2対向歯156が駆動ギヤ160の駆動側張出部165(詳細には、駆動側第2対向歯163)に駆動ギヤ160の径方向で突き合わされると共に共通ギヤ150の回転方向で対向することで、共通ギヤ150が正面視反時計方向に回転することが規制される。
【0066】
[可動先端構成体141の制御]
上述したように、第1可動役物装置100は、出現状態において可動先端構成体141を移動させる第2動作を実行可能となっている(
図23(A)参照)。ここで、本実施形態の遊技機10では、
図23(A)→
図23(B)→
図24(A)→
図24(B)の流れに示されるように、第2動作の終了とともに、第1可動役物装置100を初期状態(
図24(B)参照)に戻す格納動作が実行されることがある。格納動作では、可動先端構成体141を退避位置(
図23(B)参照)に配置し、第2可動体122を第2終端位置(
図23(B)参照)から第2始端位置(
図24(B)参照)に移動させることになる。
【0067】
なお、
図25に示されるように、第1可動役物装置100の各駆動源、即ち、移動ベース用駆動源103G、支持ベース用駆動源111G、変形用駆動源123及び直動用駆動源140は、サブ制御回路52からの制御信号によって制御される。本実施形態では、移動ベース用駆動源103G、支持ベース用駆動源111G、変形用駆動源123及び直動用駆動源140は、ステッピングモータであって、サブ制御回路52は、各駆動源をステップ数で制御する。
【0068】
ところで、可動先端構成体141は第2可動体122の従動部132に搭載されているので、第2可動体122の移動に伴って可動先端構成体141が突出位置(
図15(A)、
図23(A)参照)側へ勝手に移動するという事態が起こり得る。特に、遊技機10では、第2可動体122が回動可能に構成されていて、可動先端構成体141は、第2可動体122の回動中心からの距離が変化するように移動するので、可動先端構成体141が遠心力によって突出位置側へ移動し易くなっている。また、遊技機10では、第2可動体122が第2終端位置から第2始端位置へ移動する途中で、可動先端構成体141の先端が下側を向くように配置されるので、可動先端構成体141が自重によっても突出位置側へ移動し易くなっている。このような事態を抑制すべく、遊技機10では、格納動作が実行される際、可動先端構成体141が退避位置に配置された後も直動用駆動源140を励磁状態(通電状態)に維持して可動先端構成体141を退避位置に保持する。具体的には、可動先端構成体141が突出位置から退避位置に駆動されるときに、直動用駆動源140を制御するサブ制御回路52が
図26に示される押込処理S10を実行する。なお、ここで、駆動源(ステッピングモータ)が励磁状態に制御されるとは、強励磁に制御されることを意味し、その駆動源により駆動される可動部材が他の可動部材との衝突等による外力を受けても動かない程度(ステップ数を保持する程度、即ち、ステッピングモータのロータが回転しない程度)に該駆動源に励磁がかけられることを意味する。
【0069】
押込処理S10は、サブ制御回路52が所定時間(例えば、10ミリ秒)ごとに実行する処理の中で行われる。
図26に示されるように、押込処理S10では、まず、可動先端構成体141が退避位置にあるか否かが判断される(ステップS11)。可動先端構成体141が退避位置にない場合(ステップS11でNo)、退避駆動処理S15が実行されて、押込処理S10は終了する。退避駆動処理S15では、可動先端構成体141を退避位置へ移動させる制御信号が直動用駆動源140に出力される。
【0070】
可動先端構成体140が退避位置にある場合(ステップS11でYes)、特定動作フラグがONであるか否かが判断される(ステップS12)。この特定動作フラグは、格納動作の実行中であるか否かを示すフラグとなっている。従って、ステップS12の処理では、この押込処理S10における可動先端構成体141の退避位置への移動が格納動作の一部として行われるものであるか否かが判断される。
【0071】
特定動作フラグがONである場合(ステップS12でYes)、直動用駆動源140(具体的には、ステッピングモータ)が励磁状態(通電状態)にされて(ステップS13)、押込処理S10は終了する。特定動作フラグがOFFである場合(ステップS12でNo)、直動用駆動源140の非励磁状態にされて(ステップS14)、押込処理S10は終了する。ここで、直動用駆動源140は、既に、可動先端構成体141を退避位置に移動させる際に、励磁状態になっているので、ステップS13の処理では、直動用駆動源140の励磁状態が維持されることになり、ステップS14の処理では、直動用駆動源140の励磁状態が解除されることになる。
【0072】
特定動作フラグは、
図27に示される特定動作フラグ処理S20によって設定される。特定動作フラグ処理S20は、サブ制御回路52が所定時間(例えば、10ミリ秒)ごとに実行する処理の中で行われる。特定動作フラグ処理S20では、まず、第1可動役物装置100の格納動作を行う格納信号がONになっているか否かが判断される(ステップS21)。格納信号がONでない場合(ステップS21でNo)、特定動作フラグがOFFにされて(ステップS24)、特定動作フラグ処理S20は終了する。格納信号がONである場合(ステップS21でYes)、格納動作が完了しているか否かが判断される(ステップS22)。格納動作が完了している場合(ステップS22でYes)、特定動作フラグがOFFにされて(ステップS24)、特定動作フラグ処理S20は終了する。格納動作が完了していない場合(ステップS22でNo)、特定動作フラグがONにされて(ステップS23)、特定動作フラグ処理S20は終了する。なお、ステップS24の処理で格納信号がOFFにされてもよい。また、格納動作完了についての判断は、第1可動役物装置100に備えられた図示しない位置検出センサの検出信号に基づいて行われてもよいし、各種駆動源103G,111G,123,140がステッピングモータである場合には、そのステップ数に基づいて行われてもよい。
【0073】
図28には、押込処理S10が実行されるときの直動用駆動源140の励磁状態の変化が示されている。同図の(A)は、特定動作フラグがOFFである場合の励磁状態の変化であり、同図の(B)は、特定動作フラグがONである場合の励磁状態の変化である。特定動作フラグがOFFである場合には、可動先端構成体141を退避位置に駆動する押込動作が行われている間だけ直動用駆動源140が強励磁状態となっていて、押込動作が完了すると、直動用駆動源140は非励磁状態になる。一方、特定動作フラグがONである場合には、押込動作が完了しても、格納動作が完了するまで直動用駆動源140が強励磁状態にされたままとなる。
【0074】
このように、本実施形態の遊技機10では、格納動作において第2可動体122が第2始端位置へ移動するときに、直動用駆動源140(具体的には、ステッピングモータ)が励磁状態にされて可動先端構成体141が退避位置に保持されるので、第2可動体122の移動に伴う可動先端構成体141の勝手な移動を抑制可能となる。しかも、格納動作が実行されているか否かをフラグ(特定動作フラグ)で管理し、そのフラグに基づいて直動用駆動源140が制御されるので、直動用駆動源140の不必要な励磁が抑制される。
【0075】
また、本実施形態では、可動先端構成体141の押込動作が格納動作の一部として行われる場合、特定動作フラグは、格納動作が完了するまでONにされたままとなるので、格納動作が完了する前に可動先端構成体141が勝手に移動することが抑制される。
【0076】
[原点戻し処理における可動役物装置の制御]
図3に示されるように、本実施形態の遊技機10は、第1可動役物装置100の他に、第2可動役物装置200と第3可動役物装置300を備えている。第2可動役物装置200は、機構枠17の上辺部17Jに組み付けられ、第3可動役物装置300は、機構枠17の内縁部に開口部17Aを囲むように組み付けられている。なお、第3可動役物装置300は、第1可動役物装置100及び第2可動役物装置200より後側に配置されている。
【0077】
〈 〉
図29に示されるように、第2可動役物装置200は、機構枠17の上辺部17J(
図3参照)に重ねて固定される固定ベース201と、固定ベース201に対して回動可能な回動ベース210と、備えている。回動ベース210は、固定ベース201の右側部に回動可能に支持され、通常は、固定ベース201に前側から重ねられる第1回動位置(
図29(A)参照)に配置されている。所定の回動条件が成立すると、回動ベース210は、左側部が下方へ移動するように正面視反時計方向に回転して、第2回動位置(
図29(B)参照)に配置される。このとき、回動ベース210は、機構枠17の上辺部17Jに対して左下がりに傾斜するように配置され、表示画面13G(
図2参照)の中央部を前側から覆う。回動ベース210は、固定ベース201に搭載された回動用駆動原210G(
図25参照)によって駆動される。なお、回転用駆動源210Gは、ステッピングモータである。
【0078】
図29(B)及び
図29(C)に示されるように、回動ベース210には、回動ベース210に対して直動可能な進退部材220が搭載されている。進退部材220は、回動ベース210の回動方向に直動可能となっていて、通常は、回動ベース210を前側から覆う第1進退位置(
図29(B)参照)に配置されている。所定の進出条件が成立すると、進退部材220は、回動ベース210に対して正面視反時計方向に飛び出して第2進退位置(
図29(C))参照)に配置されると共に、その形態が変化する。進退部材220は、回動ベース210に搭載された進退用駆動源220G(
図25参照)によって駆動される。なお、進退用駆動源220Gは、ステッピングモータである。
【0079】
図30に示されるように、第3可動役物装置300は、左右方向で対向する直動ガイド部301,301と、2つの直動ガイド部301,301の間に差し渡された第1可動部310及び第2可動部320と、を備えている。各直動ガイド部301は、上下方向に延在し、機構枠17の側辺部17Sに固定されている。第1可動部310と第2可動部320は、上下方向で対向し、第1可動部310が第2可動部320より上側に配置されている。
【0080】
第1可動部310は、直動ガイド部301に沿って上下方向に直動し、
図30(A)に示される第1上端位置と
図30(C)に示される第1下端位置とに配置される。第1可動部310の駆動は、機構枠17の上辺部17Jに組み付けられた第1駆動源310G(
図25参照)によって行われる。第1可動部310は、第1上端位置に配置されたときに、機構枠17の上辺部17Jに重ねられる。なお、第1駆動源310Gは、ステッピングモータである。
【0081】
詳細には、第1可動部310は、複数の可動体311を横並びに備えている。複数の可動体311は、第1可動部310が
図30(B)に示される第1中途位置より上側に配置された状態では、左右方向に沿って直線状に配置され、第1可動部310が第1中途位置より下側に配置された状態では、左右方向に対して斜めに配置される。
【0082】
第2可動部320は、直動ガイド部301に沿って上下方向に直動し、
図30(A)に示される第2下端位置と
図30(C)に示される第2上端位置とに配置される。第2可動部320の駆動は、直動ガイド部301,301に組み付けられた第2左サイド駆動源320GLと第2右サイド駆動源320GR(
図25参照)によって行われる。第2可動部320は、第2下端位置に配置されたときに、機構枠17の下辺部に重ねられる。なお、第2左サイド駆動源320GLと第2右サイド駆動源320RGは、ステッピングモータである。
【0083】
詳細には、第2可動部320は、複数の可動体321を横並びに備えている。複数の可動体321は、第2可動部320が
図30(B)に示される第2中途位置より下側に配置された状態では、左右方向に沿って直線状に配置され、第2可動部320が第2中途位置より上側に配置された状態では、左右方向に対して斜めに配置される。
【0084】
遊技機10では、例えば、電源投入時に、第1可動役物装置100、第2可動役物装置200及び第3可動役物装置300を所定の順序で原点位置に復帰させる原点復帰動作が実行される。具体的には、第1可動役物装置100については、
図3及び
図24(B)に示される初期状態にし、第2可動役物装置200については、
図3及び
図29(A)に示される状態(初期状態)にし、第3可動役物装置300については、
図3及び
図30(A)に示される状態(初期状態)にする。
【0085】
ここで、第1可動役物装置100、第2可動役物装置200及び第3可動役物装置300は、共通の部材、即ち、機構枠17に組み付けられているため、例えば、第1可動役物装置100を初期状態にするときに、第1可動役物装置100の各部材の移動に伴って第2可動役物装置200又は第3可動役物装置300が振動し、第2可動役物装置200の各部材又は第3可動役物装置300の各部材の位置がずれるという問題が生じ得る。既に原点位置に復帰された可動役物装置の部材の位置がずれると、該可動役物装置が原点位置から外れることになる。また、未だ原点位置に復帰されていない可動役物装置の部材の位置がずれると、該可動役物装置の原点位置への復帰が正常に行われない可能性が生じる。このような問題を防ぐために、遊技機10では、一の可動役物装置を原点復帰させる際ときに、残りの可動役物装置の少なくとも一部の駆動源を強励磁状態にして、残りの可動役物装置の移動を規制するようになっている。
【0086】
また、ある可動役物装置について原点復帰動作が行われる際にその可動役物装置が既に原点位置に配置されていると、その可動役物装置は、仮に原点位置に配置されていなかった場合に原点位置に配置されるまでに要する時間だけ、原点位置に保持される。ここで、一の可動役物装置について原点復帰動作が行われる場合に、他の可動役物装置の駆動源を一律に強励磁状態にするようになっていると、原点復帰動作で一の可動役物装置が原点位置に保持される場合にも、他の可動役物装置の駆動源が強励磁状態にされ、該駆動源が損傷し易くなる。このような駆動源の損傷を抑制するために、本実施形態の遊技機10では、他の可動役物装置の駆動源を強励磁状態にする必要の有無を判断し、強励磁状態にする必要がない場合には、該駆動源を弱励磁状態にする。具体的には、各可動役物装置100,200,300の駆動源を制御するサブ制御回路52が原点復帰処理S30(
図31参照)を実行する。
【0087】
なお、上述したように、駆動源(ステッピングモータ)が強励磁状態にされるとは、その駆動源により駆動される可動部材が他の可動部材との衝突等による外力を受けても動かない程度(ステップ数を保持する程度、即ち、ステッピングモータのロータが回転しない程度)に該駆動源に励磁がかけられることを意味する。また、駆動源(ステッピングモータ)が弱励磁状態にされるとは、その駆動源により駆動される可動部材が自重等によっては動かないものの、他の可動部材との衝突等による外力を受けた場合にはその外力によって動く程度(ステップ数が変化する程度、即ち、ステッピングモータのロータが外力に応じて回転する程度)に該駆動源に励磁がかけられることを意味する。
【0088】
図31には、サブ制御回路52が実行する原点復帰処理S30の一例が示されている。この原点復帰処理S30では、第1可動役物装置100を原点位置に復帰させる第1復帰処理S31、第2可動役物装置200を原点位置に復帰させる第2復帰処理S32、第3可動役物装置300を原点位置に復帰させる第3復帰処理S33が順番に実行される。そして、その他の処理S34が行われると、原点復帰処理S30が終了する。なお、原点復帰処理S30は、サブ制御回路52が所定時間(例えば、10ミリ秒)ごとに実行する処理の中で行われ、第2復帰処理S32は、第1可動役物装置100が原点位置に復帰しなければ実行されず、第3復帰処理S33は、第1可動役物装置100と第2可動役物装置200が原点位置に復帰しなければ実行されない。
【0089】
図32に示されるように、第1復帰処理S31では、まず、第1原点フラグがONであるか否かが判断される(ステップS311)。第1原点フラグは、第1可動役物装置100が原点位置にあるか否かを示すフラグである。第1原点フラグがOFFである場合(ステップS311でNo)、第1可動役物装置100を原点位置(
図3及び
図24(B)に示される初期状態)に移動させる移動処理が実行され(ステップS312)、第2可動役物装置200と第3可動役物装置300の全ての駆動源を強励磁状態にする(ステップS313)。一方、第1原点フラグがONである場合(ステップS311でYes)、第1可動役物装置100を原点位置に保持する待機処理が実行され(ステップS314)、第2可動役物装置200と第3可動役物装置300の全ての駆動源を弱励磁状態にする(ステップS315)。ステップS313の処理又はステップS315の処理が実行されると、第1復帰処理S31が終了する。
【0090】
具体的には、ステップS314の待機処理では、第1可動役物装置100の駆動源を弱励磁にする。弱励磁状態にされる駆動源は、第1可動役物装置100の駆動源の一部であってもよいし、全部であってもよい。第1可動役物装置100の駆動源が弱励磁にされる時間は、ステップS312の移動処理に要する時間と同じになっている。即ち、ステップS314の待機処理が実行されると、第1可動役物装置100は、仮に第1可動役物装置100が原点位置に配置されていなかった場合に原点位置に配置されるまでにかかる時間と同じ時間だけ、原点位置に保持される。
【0091】
図33に示されるように、第2復帰処理S32では、まず、第2原点フラグがONであるか否かが判断される(ステップS321)。第2原点フラグは、第2可動役物装置200が原点位置にあるか否かを示すフラグである。第2原点フラグがOFFである場合(ステップS321でNo)、第2可動役物装置200を原点位置(
図3及び
図29(A)に示される初期状態)に移動させる移動処理が実行され(ステップS322)、第1可動役物装置100と第3可動役物装置300の全ての駆動源を強励磁状態にする(ステップS323)。一方、第2原点フラグがONである場合(ステップS321でYes)、第2可動役物装置200を原点位置に保持する待機処理が実行され(ステップS324)、第1可動役物装置100と第3可動役物装置300の全ての駆動源を弱励磁状態にする(ステップS325)。ステップS323の処理又はステップS325の処理が実行されると、第2復帰処理S32が終了する。なお、ステップS324の待機処理では、第2可動役物装置200の駆動源を弱励磁状態にする。ステップS324の待機処理が実行されると、第2可動役物装置200は、ステップS322の移動処理に要する時間(即ち、第2可動役物装置200を原点位置に配置するために要する時間)と同じ時間だけ原点位置に保持される。
【0092】
図34に示されるように、第3復帰処理S33では、まず、第3原点フラグがONであるか否かが判断される(ステップS331)。第3原点フラグは、第3可動役物装置300が原点位置にあるか否かを示すフラグである。第3原点フラグがOFFである場合(ステップS331でNo)、第3可動役物装置300を原点位置(
図3及び
図30(A)に示される初期状態)に移動させる移動処理が実行され(ステップS332)、第1可動役物装置100と第2可動役物装置200の全ての駆動源を強励磁状態にする(ステップS333)。一方、第3原点フラグがONである場合(ステップS331でYes)、第3可動役物装置300を原点位置に保持する待機処理が実行され(ステップS334)、第1可動役物装置100と第2可動役物装置200の全ての駆動源を弱励磁状態にする(ステップS335)。ステップS333の処理又はステップS335の処理が実行されると、第3復帰処理S33が終了する。なお、ステップS334の待機処理では、第3可動役物装置300の駆動源を弱励磁状態にする。ステップS334の待機処理が実行されると、第3可動役物装置300は、ステップS332の移動処理に要する時間(即ち、第3可動役物装置300を原点位置に配置するために要する時間)と同じ時間だけ原点位置に保持される。
【0093】
第1原点フラグ、第2原点フラグ及び第3原点フラグは、サブ制御回路52が
図35に示される原点フラグ処理S40を実行するときに設定される。原点フラグ処理S40では、まず、第1可動役物装置100が原点位置に配置されているか否かが判断され(ステップS41)、原点位置に配置されている場合には(ステップS41でYes)、第1原点フラグをONにし(ステップS42)、原点位置に配置されていない場合には(ステップS41でNo)、第1原点フラグをOFFにする(ステップS43)。ステップS42又はステップS43の何れかの処理が終了すると、次いで、第2可動役物装置200が原点位置に配置されているか否かが判断され(ステップS44)、原点位置に配置されている場合には(ステップS44でYes)、第2原点フラグをONにし(ステップS45)、原点位置に配置されていない場合には(ステップS44でNo)、第2原点フラグをOFFにする(ステップS46)。ステップS45又はステップS46の何れかの処理が終了すると、次いで、第3可動役物装置300が原点位置に配置されているか否かが判断され(ステップS47)、原点位置に配置されている場合には(ステップS47でYes)、第3原点フラグをONにし(ステップS48)、原点位置に配置されていない場合には(ステップS47でNo)、第3原点フラグをOFFにする(ステップS49)。ステップS48又はステップS49の何れかの処理が終了すると、原点フラグ処理S40が終了する。なお、各可動役物装置100,200,300が原点位置に配置されているか否かの判断は、各可動役物装置100,200,300の駆動源のステップ数(即ち、ステッピングモータのロータの回転角)によって判断される。
【0094】
図36には、第1可動役物装置100が原点位置に配置されていない状態で第1復帰処理S31(
図32参照)が実行されたときの各可動役物装置100,200,300の駆動源の励磁状態の変化が示されている。第1可動役物装置100について移動処理が実行されると、第1可動役物装置100を原点位置へ移動させるために、第1可動役物装置100の駆動源が強励磁状態となる。このとき、第2可動役物装置200と第3可動役物装置300の駆動源も強励磁状態となる。第1可動役物装置100が原点位置に配置されると、第1可動役物装置100の駆動源が非励磁状態にされ、第2可動役物装置200と第2可動役物装置300の駆動源も非励磁状態にされる。なお、第1可動役物装置100が原点位置に配置された後、各可動役物装置100,200,300の駆動源は弱励磁状態にされてもよい。
【0095】
図37には、第1可動役物装置100が原点位置に配置された状態で第1復帰処理S31(
図32参照)が実行された場合の各可動役物装置100,200,300の駆動源の励磁状態の変化が示されている。第1可動役物装置100について待機処理が実行されると、第1可動役物装置100を原点位置に保持するために、第1可動役物装置100の駆動源が弱励磁状態となる。このとき、第2可動役物装置200と第3可動役物装置300の駆動源も弱励磁状態となる。第1可動役物装置100について待機処理が終了すると、第1可動役物装置100の駆動源が非励磁状態にされ、第2可動役物装置200と第2可動役物装置300の駆動源も非励磁状態にされる。なお、待機処理の前後で、各可動役物装置100,200,300の駆動源が弱励磁状態に維持されてもよい。
【0096】
[上記実施形態から抽出される技術的な特徴群について]
以下、本実施形態の遊技機10から抽出される特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお、以下では、理解の容易のため、上記実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0097】
<特徴A群>
以下の特徴A群は、「可動演出部材を備えた」遊技機に関し、「特許文献A(特開2008-104637号(段落[0131]~[0132]、
図12,15)の遊技機では、バットを模した可動演出部材が回動する。」いう背景技術について、「特許文献Aの遊技機では、可動演出部材が単に移動するだけであり、可動演出部材の興趣に欠ける、という問題があった。」という課題をもってなされたものである。
【0098】
[特徴A1]
可動演出部材(可動演出部材110)を備えた遊技機(遊技機10)において、
前記可動演出部材を第1形態(
図5(A)に示される形態)と前記第1形態とは異なる形状の第2形態(
図5(B)に示される形態)とに変化させる形態可変機構(変形用駆動源123、駆動ギヤ160、共通ギヤ150等)を備えた、遊技機。
【0099】
本特徴に示す構成では、可動演出部材が互いに形状が異なる第1形態と第2形態に変化するので、可動演出部材の見た目を異ならせて興趣の向上を図ることが可能となる。
【0100】
[特徴A2]
前記可動演出部材は、支持ベース(支持ベース111)と、前記支持ベースに支持されて第1待機位置(
図11に示される第1終端位置)と第1演出位置(
図9に示される第1始端位置)との間を移動可能な第1可動体(第1可動体121)と、前記支持ベースに支持されて第2待機位置(
図9に示される第2始端位置)と第2演出位置(
図11に示される第2終端位置)との間を移動可能な第2可動体(第2可動体122)と、を備え、
前記形態可変機構は、前記第1可動体を前記第1演出位置に配置し且つ前記第2可動体を前記第2待機位置に配置して前記可動演出部材を前記第1形態にし、前記第1可動体を前記第1待機位置に配置し且つ前記第2可動体を前記第2演出位置に配置して前記可動演出部材を前記第2形態にする、特徴A1に記載の遊技機。
【0101】
本特徴の構成によれば、支持ベースに対する第1可動体と第2可動体の配置を異ならせることで可動演出部材の形態を変化させることが可能となる。
【0102】
[特徴A3]
前記第2待機位置の前記第2可動体は、前記支持ベースに前側から重なり、
前記支持ベースには、前記第2待機位置の前記第2可動体を前側から覆うカバー(カバー111C)が備えられている、特徴A2に記載の遊技機。
【0103】
[特徴A4]
前記第1待機位置の前記第1可動体は、前記第2演出位置の前記第2可動体に後側から重なる、特徴A2又はA3に記載の遊技機。
【0104】
第2待機位置の第2可動体は、支持ベースに後側から重なってもよいし、前側から重なってもよい。後者の場合には、特徴A3の構成のように、支持ベースに、第2待機位置の第2可動体を前側から覆うカバーを備えることで、第2待機位置の第2可動体を目立たなくすることが可能となる。また、第1待機位置の第1可動体は、支持ベースに後側から重なってもよいし、特徴A4の構成のように、第2演出位置の第2可動体に後側から重なってもよい。何れの構成によっても、第1待機位置の第1可動体を目立たなくすることが可能となる。
【0105】
[特徴A5]
前記形態可変機構は、前記第1可動体と前記第2可動体を共通の駆動源(変形用駆動源123)によって駆動し、前記第1可動体の移動に連動して前記第2可動体を移動させるように構成されている、特徴A2乃至A4のうち何れか1に記載の遊技機。
【0106】
本特徴に示す構成では、第1可動体と第2可動体を別々の駆動源で駆動する場合と比較して、駆動源の数を少なくすることができる。また、第1可動体と第2可動体の連動性が高められ、可動演出部材の形態をスムーズに変化させることが可能となる。
【0107】
[特徴A6]
前記第2可動体には、メイン可動体(本体部131と従動部132)と、前記メイン可動体に対して移動可能なサブ可動体(可動先端構成体141)と、前記サブ可動体を駆動するサブ駆動源(直動用駆動源140)と、が備えられている、特徴A2乃至A5のうち何れか1に記載の遊技機。
【0108】
本特徴に示す構成では、第2可動体のメイン可動体に対してサブ可動体を移動させることが可能となり、サブ可動体の動きによる演出が可能となる。
【0109】
[特徴A7]
前記メイン可動体には、本体部(本体部132)と、前記メイン可動体の前記第2演出位置への移動に伴って前記本体部に対して移動する従動部(従動部132)と、が備えられている、特徴A6に記載の遊技機。
【0110】
本特徴に示す構成では、第2可動体が第2待機位置から第2演出位置へ移動するときに、従動部を本体部に対して移動させて遊技者に意外性を与えることが可能となる。
【0111】
[特徴A8]
前記サブ可動体は、前記従動部に搭載され、前記従動部の移動方向に駆動される、特徴A7に記載の遊技機。
【0112】
本特徴に示す構成では、サブ可動体が従動部の移動方向に駆動されるので、第2可動体の動きに躍動感を持たせることが可能となる。
【0113】
[特徴A9]
前記可動演出部材は、前記支持ベースと前記第2可動体における所定の部位同士を接続する接続部材(接続部材127)を備え、
前記接続部材は、前記第2可動体の移動に伴って伸縮する、特徴A2乃至A8のうち何れか1に記載の遊技機。
【0114】
本特徴に示す構成では、可動演出部材の形態の変化に伴って、接続部材の見栄えも変化させることが可能となる。
【0115】
[特徴A10]
前記可動演出部材を初期位置(
図6(A)に示される可動演出部材110の位置)から第1可動位置(
図6(B)に示される可動演出部材110の位置)へ移動させる第1移動手段(支持ベース用駆動源111G)と、
前記可動演出部材を前記初期位置から前記第1可動位置とは異なる第2可動位置(
図5(B)に示される可動演出部材110の位置)へ移動させる第2移動手段(移動ベース用駆動源103G)と、を備え、
前記形態可変機構は、前記初期位置の前記可動演出部材を前記第1形態にし、前記第1移動手段により前記可動演出部材が前記第1可動位置へ移動するときには前記可動演出部材を前記第1形態に保ち、前記第2移動手段により前記可動演出部材が前記第2可動位置へ移動するときに前記可動演出部材を前記第2形態に変化させる、特徴A1乃至A9のうち何れか1に記載の遊技機。
【0116】
本特徴の構成では、可動演出部材が初期位置から第1可動位置と第2可動位置へと移動可能になっているので、可動演出部材の動きも異ならせることが可能となる。しかも、可動演出部材は、第1可動位置に配置されたときに第1形態となり、第2可動位置に配置されたときに第2形態となるので、可動演出部材の形態と動きを関連付けることが可能となる。
【0117】
[特徴A11]
可動演出部材(可動演出部材110)を備えた遊技機(遊技機10)において、
前記可動演出部材を第1形態(
図5(A)に示される形態)と前記第1形態とは異なる形状の第2形態(
図5(B)に示される形態)とに変化させる形態可変機構(変形用駆動源123、駆動ギヤ160、共通ギヤ150等)と、
前記可動演出部材を初期位置(
図5(A)、
図6(A)に示される可動演出部材110の位置)から可動位置(
図5(B)、
図6(B)に示される可動演出部材110の位置)へ移動させる第1移動手段(移動ベース用駆動源103G、支持ベース用駆動源111G)と、を備えた、遊技機。
【0118】
本特徴に示す構成では、可動演出部材が互いに形状が異なる第1形態と第2形態に変化するので、可動演出部材の見た目を異ならせて興趣の向上を図ることが可能となる。また、本特徴の構成では、可動演出部材が初期位置から可動位置へと移動可能になっているので、可動演出部材の配置も異ならせることが可能となる。
【0119】
[特徴A12]
可動演出部材(可動演出部材110)を備えた遊技機(遊技機10)において、
前記可動演出部材を初期位置(
図6(A)に示される可動演出部材110の位置)から第1可動位置(
図6(B)に示される可動演出部材110の位置)へ移動させる第1移動手段(支持ベース用駆動源111G)と、
前記可動演出部材を前記初期位置から前記第1可動位置とは異なる第2可動位置(
図5(B)に示される可動演出部材110の位置)へ移動させる第2移動手段(移動ベース用駆動源103G)と、を備えた、遊技機。
【0120】
本特徴に示す構成では、可動演出部材が初期位置から第1可動位置又は第2可動位置へと移動可能になっているので、可動演出部材の動きも異ならせることが可能となる。
【0121】
なお、特徴A11、A12に示す構成に、特徴A2~A10に示す構成が組み合わされてもよい。
【0122】
特徴A群には、以下の実施形態が含まれてもよい。
【0123】
(a1)上記実施形態において、移動ベース103が第2移動位置(
図5(B)参照)に配置された状態で、可動演出部材110が第1形態(
図9(A)参照)と第2形態(
図11(A)参照)に変化する構成であってもよい。この場合、支持ベース111が移動ベース103に対して固定されていてもよい。
【0124】
(a2)上記実施形態において、可動演出部材110が第1形態の状態で、移動ベース103が第1移動位置(
図5(A)参照)から第2移動位置(
図5(B)参照)に移動すると共に、支持ベース111が第1回動位置(
図6(A)参照)第2回動位置(
図6(B)参照)に移動してもよい。
【0125】
(a3)第1可動体121は、第1終端位置(
図11参照)に配置されたときに、支持ベース111と第2終端位置(
図11参照)の第2可動体の何れにも後側に重ならなくてもよい。
【0126】
(a4)支持ベース111がカバー111Cを備えない構成であってもよい。
【0127】
(a5)上記実施形態では、第1可動体121が支持ベース111より後側に配置され、第2可動体122が支持ベース111より前側に配置されていたが、第1可動体121が支持ベース111より前側に配置され、第2可動体122が支持ベース111より後側に配置されてもよい。この場合、支持ベース111に、第1終端位置(
図11参照)の第1可動体121を前側から覆うカバーを備え、第2始端位置(
図11参照)の第2可動体122が第1終端位置の第1可動体121又は支持ベース111の後側に重ねられることが好ましい。
【0128】
(a6)上記実施形態では、第1可動体121と第2可動体122が共通の駆動源(変形用駆動源123)によって駆動されていたが、別々の駆動源により駆動されてもよい。この場合、初期状態の第1可動役物装置100において、第1可動体121が第1始端位置に配置されると共に第2可動体122が第2終端位置に配置されてもよいし、第1可動体121が第1終端位置に配置されると共に第2可動体122が第2始端位置に配置されてもよいし、第1可動体121が第1終端位置に配置されると共に第2可動体122が第2終端位置に配置されてもよい。
【0129】
(a7)第2可動体122は、従動部132を備えない構成であってもよい。この場合、ガイド溝135は、第2円弧部135Bを備えずに、第1円弧部135Aのみで構成されればよい。
【0130】
(a8)従動部132は、第2可動体122に対し、第2可動体122の回動方向に
移動する構成であってもよい。この場合には、可動先端構成体141が第2可動体122の回動方向に移動する構成を採ることで、第2可動体122の動きに躍動感を持たせることが可能となる。
【0131】
(a9)可動先端構成体141及び直動用駆動源140を備えない構成であってもよい。
【0132】
(a10)可動演出部材110は、支持ベース111と第1可動体121の所定の部位同士を接続する接続部材を備えてもよい。この場合、可動演出部材110は、接続部材127を備えない構成であってもよい。
【0133】
(a11)第1可動役物装置100が移動ベース103を備えずに、固定ベース101に対して支持ベース111が回動する構成であってもよい。なお、この構成では第1可動役物装置100は、例えば、以下のように動作する。即ち、初期状態の第1可動役物装置100において、支持ベース111が第1回動位置に配置されると共に、可動演出部材110が第1形態にされる。そして、可動演出部材110は、第1形態のまま支持ベース111が第2回動位置に移動する動作と、支持ベース111が第1回動位置に配置された状態のまま可動演出部材110が第2形態に変化する動作の2種類の動作を行う。
【0134】
(a12)上記実施形態では、支持ベース111が、移動ベース103に対して回動する構成であったが、遊技盤11の前面と略平行に移動する構成であればよく、例えば、並進移動する構成であってもよい。具体的には、移動ベース103が固定ベース101に対して水平方向に沿って移動し、支持ベース111が移動ベース103に対して上下方向に沿って移動する構成であってもよいし、移動ベース103が固定ベース101に対して遊技盤11の前面と平行な第1方向に沿って移動し、支持ベース111が移動ベース103に対して第1方向に移動する構成であってもよい。後者の例としては、第1可動役物装置100が初期状態のときに、支持ベース111が第1方向の一方側に配置されると共に移動ベース103が第1方向の他方側に配置され、支持ベース110が第1方向の他方側に配置されたときに可動演出部材110が第1形態となり、移動ベース103が第1方向の一方側に配置されたときに可動演出部材110が第2形態となる構成が挙げられる。
【0135】
<特徴B群>
以下の特徴B群は、「駆動源により駆動される移動部材を備えた」遊技機に関し、「特許文献B(特開2008-104637号(段落[0131]~[0132]、
図16))の遊技機では、モータにより駆動された移動部材が原点位置と作動位置との間を移動する。」いう背景技術について、「特許文献Bの遊技機において、移動部材を原点位置に固定するために、カムやソレノイド等を用いたロック機構を備えることが考えられる。しかしながら、このようなロック機構の設置には、スペースを要する、という問題があった。」という課題をもってなされたものである。
【0136】
[特徴B1]
駆動源(変形用駆動源123)により駆動されて第1位置(
図9に示される第1始端位置、第2始端位置)と第2位置(
図11に示される第1終端位置、第2終端位置)との間を移動可能な移動部材(第1可動体121、第2可動体122)を備えた遊技機において、
前記駆動源からの動力を前記移動部材に伝達する動力伝達機構には、上流側ギヤ(駆動ギヤ160)と、前記上流側ギヤに対して動力伝達経路の下流側から噛合する下流側ギヤ(共通ギヤ150)と、が備えられ、
前記上流側ギヤは、前記駆動源が前記移動部材を前記第1位置から前記第2位置に移動させるときに第1回転位置から第2回転位置へ回転すると共に、前記第1回転位置と前記第2回転位置の間の中途回転位置(
図19(B)に示される中途回転位置)より前記第1回転位置側では、前記下流側ギヤに動力を伝達することなく回転するように構成され、
前記上流側ギヤには、前記上流側ギヤが前記第1回転位置から前記中途回転位置まで回転するときに、前記下流側ギヤの回転を規制する回転規制位置から前記下流側ギヤの回転を許容する回転許容位置へ移動する回転規制部(回転規制部172)が備えられた、遊技機。
【0137】
本特徴に示す構成では、上流側ギヤの回転のみで下流側ギヤの回転を規制したり許容したりすることが可能になるので、移動部材を第1位置に保持するために、動力伝達機構とは別の部材を備える必要がなくなる。これにより、省スペース化を図りつつ移動部材を第1位置に保持することが可能となる。
【0138】
[特徴B2]
前記上流側ギヤの歯(外歯160H)と前記下流側ギヤの歯(内歯153H)には、前記上流側ギヤが前記第1回転位置に配置されたときに前記上流側ギヤの径方向に突き合わされると共に前記下流側ギヤの回転方向で対向し、前記上流側ギヤが前記中途回転位置に配置されたときに前記上流側ギヤの回転方向と前記下流側ギヤの回転方向の両方で対向する上流側第1対向歯(駆動側第1対向歯161)と下流側第1対向歯(共通側第1対向歯154)とが含まれ、
前記回転規制部は、前記上流側第1対向歯を含んでなる、特徴B1に記載の遊技機。
【0139】
本特徴の構成によれば、上流側ギヤの回転によって上流側第1対向歯と下流側第1対向歯の配置を変更するだけで、下流側ギヤの回転を規制したり許容したりすることが可能となる。
【0140】
[特徴B3]
前記上流側ギヤは、前記第1回転位置に配置されたときに前記下流側ギヤと対向する部分に、歯を備えない歯無し領域(歯無し領域162R)を有し、
前記上流側第1対向歯は、前記歯無し領域を前記第1回転位置側から画成する、特徴B2に記載の遊技機。
【0141】
本特徴に示す構成によれば、歯無し領域によって下流側ギヤに動力を伝達することなく上流側ギヤを回転させて、上流側ギヤの回転方向で上流側第1対向歯を下流側第1対向歯に対向させることが可能となる。
【0142】
[特徴B4]
前記下流側ギヤの歯には、前記下流側第1対向歯の隣に配置され、前記歯無し領域内に突入する領域突入歯(領域突入歯155)が含まれ、
前記上流側第1対向歯は、前記上流側ギヤが前記中途回転位置に配置されたときに、前記下流側第1対向歯と前記領域突入歯に噛合するように構成された、特徴B3に記載の遊技機。
【0143】
本特徴に示す構成では、上流側ギヤが中途回転位置に配置されたときに、上流側第1対向歯が下流側ギヤの回転方向で領域突入歯に当接することで、上流側ギヤから下流側ギヤに動力を伝達可能となる。
【0144】
[特徴B5]
前記上流側ギヤの歯には、前記上流側第1対向歯との間に前記歯無し領域を挟む上流側第2対向歯(駆動側第2対向歯163)が含まれ、
前記下流側ギヤには、前記上流側ギヤが前記第1回転位置に配置されたときに、前記上流側ギヤの径方向で前記上流側第2対向歯に突き当てられる下流側突当部(共通側第2対向歯156)が設けられている、特徴B3又はB4に記載の遊技機。
【0145】
本特徴に示す構成では、上流側ギヤが第1回転位置に配置されたときに、下流側ギヤの下流側突当部が上流側ギヤの上流側第2対向歯に突き合わされることで、下流側ギヤが逆方向(即ち、上流側ギヤを第2回転位置と反対側に回転させる方向)に回転することが規制される。
【0146】
[特徴B6]
前記上流側ギヤには、前記上流側第1対向歯と前記上流側第2対向歯の間に差し渡された扇形部(扇形部164)が設けられている、請求項5に記載の遊技機。
【0147】
本特徴の構成では、上流側第1対向歯と上流側第2対向歯の補強が図られる。
【0148】
[特徴B7]
駆動源(変形用駆動源123)により駆動されて第1位置(
図9に示される第1始端位置、第2始端位置)と第2位置(
図11に示される第1終端位置、第2終端位置)との間を移動可能な移動部材(第1可動体121、第2可動体122)を備えた遊技機(遊技機10)において、
前記駆動源からの動力を前記移動部材に伝達する動力伝達機構には、上流側ギヤ(駆動ギヤ160)と、前記上流側ギヤに対して動力伝達経路の下流側から噛合する下流側ギヤ(共通ギヤ150)と、が備えられ、
前記上流側ギヤは、前記駆動源が前記移動部材を前記第1位置から前記第2位置に移動させるときに第1回転位置から第2回転位置へ回転すると共に、前記第1回転位置と前記第2回転位置の間の中途回転位置(
図19(B)に示される中途回転位置)より前記第1回転位置側では、前記下流側ギヤに動力を伝達することなく回転するように構成され、
前記下流側ギヤは、前記上流側ギヤが前記中途回転位置より前記第1回転位置側に配置された状態では、回転を規制され、前記上流側ギヤが前記中途回転位置より前記第2回転位置側に配置された状態では、回転を許容されるように構成されている、遊技機。
【0149】
本特徴に示す構成では、上流側ギヤの回転のみで下流側ギヤの回転を規制したり許容したりできるので、移動部材を第1位置に保持するために、動力伝達機構とは別の部材を備える必要がなくなる。これにより、省スペース化を図りつつ移動部材を第1位置に保持することが可能となる。
【0150】
[特徴B8]
前記上流側ギヤには、径方向外側に張り出し、前記上流側ギヤが前記第1回転位置に配置されたときに前記下流側ギヤと対向する上流側張出部(駆動側張出部165)が設けられ、
前記下流側ギヤには、前記下流側ギヤの回転方向で前記上流側張出部を挟むと共に、前記上流側張出部の張り出し方向の先端に突き合わされる1対の下流側突部(共通側第1対向歯154と共通側第2対向歯156)が設けられている、特徴A7に記載の遊技機。
【0151】
本特徴の構成によれば、簡易な構成で下流側ギヤの回転を規制したり許容したりすることが可能となる。
【0152】
[特徴B9]
前記上流側張出部の張り出し方向の先端面には、前記上流側ギヤの周方向に延在する受容凹部(受容凹部165A)が形成され、
前記上流側ギヤは、前記下流側ギヤの歯(領域突入歯155)が受容凹部に受容されることで空転可能に形成されている、特徴B8に記載の遊技機。
【0153】
本特徴の構成によれば、簡易な構成で上流側ギヤを空転させることが可能となる。
【0154】
[特徴B10]
前記受容凹部は、前記上流側張出部の一部の厚みを薄くして形成されている、特徴B9に記載の遊技機。
【0155】
本特徴によれば、下流側ギヤの歯を受容凹部に受容させ易くなる。
【0156】
[特徴B11]
駆動源(変形用駆動源123)により駆動されて第1位置(
図9に示される第1始端位置、第2始端位置)と第2位置(
図11に示される第2始端位置、第2終端位置)の間を移動可能な移動部材(第1可動体121、第2可動体122)を備えた遊技機(遊技機10)において、
前記駆動源からの動力を前記移動部材に伝達する動力伝達機構には、上流側ギヤ(駆動ギヤ160)と、前記上流側ギヤに対して動力伝達経路の下流側から噛合する下流側ギヤ(共通ギヤ150)と、が備えられ、
前記移動部材が前記第1位置に配置された状態で、前記上流側ギヤを空転可能な空転機構(空転機構171)と、
前記空転機構による前記上流側ギヤの空転に伴って、前記下流側ギヤの回転を規制する回転規制状態と前記下流側ギヤの回転を許容する回転許容状態とに変化するロック機構(ロック機構170)と、を有する、遊技機。
【0157】
本特徴に示す構成では、上流側ギヤの回転のみで下流側ギヤの回転を規制したり許容したりできるので、移動部材を第1位置に保持するために、動力伝達機構とは別の部材を備える必要がなくなる。これにより、省スペース化を図りつつ移動部材を第1位置に保持することが可能となる。
【0158】
なお、特徴B7~B10に示す構成に、特徴B1~B6に示す構成が組み合わされてもよい。また、特徴B11に示す構成に、特徴B1~B10に示す構成が組み合わされてもよい。
【0159】
特徴B群には、以下の実施形態が含まれてもよい。
【0160】
(b1)上記実施形態において、扇形部164を備えない構成としてもよい。このような構成としても、駆動側第1対向歯161と共通側第1対向歯154の干渉によって共通ギヤ150の正面視時計方向の回転が規制され、駆動側第2対向歯163と共通側第2対向歯156の干渉によって共通ギヤ150の正面視反時計方向の回転が規制される。なお、本構成では、駆動側張出部165は、駆動側第1対向歯161と駆動側第2対向歯163とからなる。
【0161】
(b2)上記実施形態において、駆動側第2対向歯163と共通側第2対向歯156を備えない構成としてもよい。このような構成であっても、共通ギヤ150を下流側から正面視時計方向に回転させることを規制可能となる。
【0162】
(b3)上記実施形態では、ロック機構170と空転機構171が、変形用駆動源123が第1可動体121及び第2可動体122を駆動する駆動機構に適用されていたが、他の駆動機構(例えば、第1可動役物装置100における移動ベース103や支持ベース111の駆動機構、第2可動役物装置200における回動ベース210や進退部材220の駆動機構)に適用されてもよい。
【0163】
(b4)上記実施形態において、共通ギヤ150の共通側第2対向歯156の厚みは、共通側第1対向歯154と同じであってもよい。
【0164】
(b5)上記実施形態では、駆動ギヤ160の歯無し領域162Rが駆動ギヤ160の軸方向の一部分に形成されると共に、共通ギヤ150の領域突入歯155が他の内歯153Hよりも薄く形成されていたが、歯無し領域162Rが駆動ギヤ160の軸方向の全体に形成されると共に、領域突入歯155が他の内歯153Hと同じ厚みに形成されてもよい。この場合、駆動側第1対向歯161と駆動側第2対向歯163を他の外歯160Hより厚く形成する(即ち、駆動側張出部165を厚く形成する)と共に、共通側第1対向歯154と共通側第2対向歯156を他の内歯153Hより厚く形成すればよい。
【0165】
<特徴C群>
以下の特徴C群は、「駆動源によって駆動される可動体を備えた」遊技機に関し、「特許文献A(特開2015-053964号(段落[0185]~[0186]、
図32~34))の遊技機では、可動体とその駆動源が移動部材に搭載されている。」という背景技術について、「特許文献Cの遊技機では、移動部材が移動するときに、可動体が駆動源によらずに勝手に移動する、という問題があった。」という課題をもってなされたものである。
【0166】
[特徴C1]
第1位置(
図9に示される第2始端位置)と第2位置(
図11に示される第2終端位置)との間を移動可能な移動部材(第2可動体122)と、
前記移動部材に搭載されて第1方向に移動可能な可動体(可動先端構成体141)と、
前記可動体の駆動源(直動用駆動源140)を制御する駆動制御手段(サブ制御回路52)と、を備えた遊技機(遊技機10)であって、
前記駆動制御手段は、前記可動体を前記第1方向の一端部に配置して前記移動部材を前記第1位置側に移動させる特定動作(
図23~
図24の流れに示される格納動作)が実行されるときに、前記駆動源を励磁状態にして前記可動体を前記第1方向の一端部(退避位置)に保持する、遊技機。
【0167】
本特徴に示す構成では、移動部材が第1位置側へ移動するときに可動体が第1方向の一端部に保持されるので、移動部材の移動に伴う可動体の勝手な移動を抑制可能となる。
【0168】
[特徴C2]
前記特定動作の実行中に特定動作フラグをオンにするフラグ制御手段(サブ制御回路52)を有し、
前記駆動制御手段は、前記特定動作フラグがオンであるとき、前記可動体を前記第1方向の一端部に配置した後も前記駆動源を励磁状態に維持する、特徴C1に記載の遊技機。
【0169】
本特徴に示す構成では、特定動作が実行されているか否かをフラグで管理し、そのフラグに基づいて駆動源が制御されるので、駆動源の不必要な励磁が抑制される。
【0170】
[特徴C3]
前記駆動制御手段は、前記特定動作フラグがオフとなったときに、前記駆動源の前記励磁状態を解除する、特徴C2に記載の遊技機。
【0171】
本特徴に示す構成では、特定動作が完了するまで可動体の勝手な移動を抑制することが可能となる。
【0172】
[特徴C4]
前記可動体は、前記第1方向の一端部に配置されたときの方が前記第1方向の他端部(突出位置)に配置されたときよりも前記移動部材からの突出量が抑えられるように構成された、特徴C1乃至C3のうち何れか1に記載の遊技機。
【0173】
本特徴に示す構成によれば、移動部材を第1位置へ移動させるときに可動体を第1方向の一端部に配置して、可動体が移動部材の移動の妨げになることを抑制可能となる。
【0174】
[特徴C5]
前記可動体は、前記移動部材が前記第2位置から前記第1位置へ移動するときに、前記第1方向の他端側に慣性力を受けるように構成されている、特徴C1乃至C4のうち何れか1に記載の遊技機。
【0175】
[特徴C6]
前記移動部材は、回動可能に構成され、
前記可動体は、前記第1方向の移動によって前記移動部材の回動中心からの距離が変化するように構成されている、特徴C5に記載の遊技機。
【0176】
なお、可動体は、移動部材の移動に伴って第1方向に重力を受けるように構成されてもよいし、特徴C5に示す構成のように、第1方向に慣性力を受けるように構成されてもよい。特徴C5の構成の例としては、移動部材と可動体が同じ方向に直動する構成であってもよいし、特徴C6の構成のように、移動部材が回動可能であって、可動体を移動部材の回動中心からの距離を変化させるように移動する構成であってもよい。
【0177】
[特徴C7]
第1形態と前記第1形態とは形状が異なる第2形態とに変形する変形部材(可動演出部材110)と、
前記変形部材に搭載され、前記変形部材が前記第2形態であるときに初期位置(退避位置)と作動位置(突出位置)との間を移動可能な可動体(可動先端構成体141)と、
前記可動体の駆動源(直動用駆動源140)を制御する駆動制御手段(サブ制御回路52)と、を備えた遊技機(遊技機10)において、
前記駆動制御手段は、前記変形部材が前記第2形態から前記第1形態に変形するときに、前記可動体を前記初期位置に配置して前記初期位置に保持する、遊技機。
【0178】
本特徴に示す構成によれば、変形部材が第2形態から第1形態に変形するときに可動体が初期位置に保持されるので、変形部材の変形に伴う可動体の勝手な移動を抑制可能となる。
【0179】
[特徴C8]
移動部材(第2可動体122)と、
前記移動部材に搭載されて第1方向に移動可能な可動体(可動先端構成体141)と、を備えた遊技機(遊技機10)であって、
前記移動部材が移動するときに、前記可動体の駆動源(直動用駆動源140)を励磁状態にして前記可動体を前記第1方向の所定位置に保持する、遊技機。
【0180】
本特徴に示す構成によれば、移動部材の移動に伴う可動体の勝手な移動を抑制可能となる。
【0181】
なお、特徴C7又はC8に示す構成に、特徴C1~C6に示す構成が組み合わされてもよい。
【0182】
特徴C群には、以下の実施形態が含まれてもよい。
【0183】
(c1)上記実施形態では、可動先端構成体141を搭載した第2可動体122が回動する構成であったが、第2可動体122が第2終端位置から第2始端位置へ移動するときに可動先端構成体141を突出位置側に向かわせる慣性力や重力が可動先端構成体140に作用すればよく、例えば、第2可動体122が直線的に移動したり、楕円の一部を形成する軌道上を移動したりする構成であってもよい。また、第2可動体122の移動方向は、特に限定されず、水平方向に沿ったものであっても上下方向に沿ったものであっても水平方向に対して斜め方向に沿ったものであってもよい。
【0184】
(c2)上記実施形態では、第2可動体122に搭載された可動先端構成体141を退避位置に保持することに特徴C群が適用されていたが、他の可動体を所定位置に保持することに適用されてもよい。その一例としては、第2可動役物装置200を原点位置に戻す際、進退部材220を退避位置に保持することに適用されてもよい。
【0185】
(c3)上記実施形態では、第1可動役物装置100の格納動作に伴って可動先端構成体141の押込動作が行われるときに、直動用駆動源140が強励磁に制御される構成であったが、押込動作が第2可動体122の移動に伴って行わる動作であればよく、例えば、格納動作から移動ベース103の移動を省いた動作であってもよい。
【0186】
(c4)第2可動体122は、従動部132を備えない構成であってもよい。この場合、ガイド溝135は、第2円弧部135Bを備えずに、第1円弧部135Aのみで構成されればよい。
【0187】
<特徴D群>
以下の特徴D群は、「複数の可動部材を有する」遊技機に関し、「特許文献D(特開2011-087682号(段落[0036]、
図3))の遊技機では、複数の可動部材を所定の順序で原点位置に復帰させる。」いう背景技術について、「特許文献Dの遊技機では、一の可動部材を原点位置に戻すときに生じる振動等によって他の可動部材が移動してしまう、という問題があった。」という課題をもってなされたものである。
【0188】
[特徴D1]
複数の可動部材(第1可動役物装置100、第2可動役物装置200、第3可動役物装置300)と、
前記複数の可動部材のそれぞれについて前記可動部材を原点位置に配置する原点復帰処理(
図31に示される原点復帰処理S30の第1拭き処理S31、第2復帰処理S32、第3復帰処理S33)を実行する原点復帰手段(サブ制御回路52)と、を有する遊技機(遊技機10)において、
前記原点復帰手段は、前記複数の可動部材の中から任意に選択された一の可動部材(
図32に示される第1復帰処理S31では、第1可動役物装置100)について前記原点復帰処理を実行する際、予め定められた励磁条件のもと、残りの可動部材のうち少なくとも一部の可動部材の駆動源であるモータを強励磁状態にして該可動部材の移動を規制する、遊技機。
【0189】
本特徴に示す構成によれば、複数の可動部材のうち一の可動部材を原点位置に戻すときに、残りの可動部材のうち少なくとも一部の可動部材が移動することを抑制可能となる。
【0190】
[特徴D2]
前記原点復帰処理は、その処理において原点位置に配置する可動部材が原点位置に配置されていない場合には、その可動部材を原点位置に移動させる移動処理(
図32に示されるステップS312の処理)を実行し、前記可動部材が原点位置に配置されている場合には、その可動部材を前記移動処理の実行時間の分だけ原点位置に待機させる待機処理(
図32に示されるステップS314の処理)を実行する、特徴D1に記載の遊技機。
【0191】
本特徴の構成では、すでに原点位置に配置されている可動部材については、原点位置に配置されていなかった場合の処理に要する時間だけ待機させることで、複数の可動部材を順番に原点復帰させることが可能となる。
【0192】
[特徴D3]
前記待機処理では、その待機処理の対象である可動部材の駆動源であるモータを弱励磁状態にする、特徴D2に記載の遊技機。
【0193】
本特徴に示す構成によれば、すでに原点位置に配置されている可動部材の移動を抑制可能となる。
【0194】
[特徴D4]
前記励磁条件は、前記一の可動部材が原点位置に配置されていないことであり、
前記原点復帰手段は、前記一の可動部材について前記原点復帰処理を実行する際に前記励磁条件が成立していない場合には、前記少なくとも一部の可動部材の駆動源であるモータを強励磁状態にしない、特徴D1乃至D3のうち何れか1に記載の遊技機。
【0195】
本特徴に示す構成によれば、モータを強励磁状態にする必要がないときにはモータが強励磁状態にされないので、モータの劣化が抑制される。
【0196】
[特徴D5]
前記一の可動部材が前記原点位置に配置されているときに、原点フラグをオンにする原点フラグ制御手段(サブ制御回路52)を有し、
前記原点復帰手段は、前記原点フラグに基づいて前記励磁条件の成否を判断する、特徴D4に記載の遊技機。
【0197】
本特徴に示す構成では、可動部材が原点位置に配置されているか否かがフラグで管理されるので、励磁条件の成否の判断が簡単になる。
【0198】
[特徴D6]
前記一の可動部材と前記少なくとも一部の可動部材とは、共通の支持ベース(機構枠17)に支持されている、特徴D1乃至D5のうち何れか1に記載の遊技機。
【0199】
本特徴に示す構成では、一の可動部材を原点位置に戻すときに、一の可動部材と共通の支持ベースに支持された可動部材が移動することを抑制可能となる。
【0200】
[特徴D7]
複数の可動部材(第1可動役物装置100、第2可動役物装置200、第3可動役物装置300)と、
前記複数の可動部材を原点位置に戻す原点復帰処理(
図31に示される原点復帰処理S30の第1復帰処理S31、第2復帰処理S32、第3復帰処理S33)を実行可能な原点復帰手段(サブ制御回路52)と、を有する遊技機(遊技機10)において、
前記原点復帰手段は、前記複数の可動部材の中から任意に選択された一の可動部材(
図32に示される第1復帰処理S31では、第1可動役物装置100)を原点位置に戻すときに、残りの可動部材のうち少なくとも一部の可動部材の移動を規制する、遊技機。
【0201】
本特徴に示す構成では、複数の可動部材のうち一の可動部材を原点位置に戻すときに、残りの可動部材のうち少なくとも一部の可動部材が移動することを抑制可能となる。
【0202】
なお、特徴D7に示す構成に、特徴D1~D6に示す構成が組み合わされてもよい。
【0203】
特徴D群には、以下の実施形態が含まれてもよい。
【0204】
(d1)上記実施形態では、各可動役物装置100,200,300について、復帰処理(即ち、第1復帰処理S31、第2復帰処理S32、第3復帰処理S33)が行われる構成であったが、少なくとも1つの可動役物装置について行われる構成であってもよい。
【0205】
(d2)第1復帰処理S31のステップS313の処理(
図32参照)では、第2可動役物装置200と第3可動役物装置300の全ての駆動源を強励磁に制御していたが、少なくとも一部の駆動源を強励磁に制御すればよく、例えば、特定の駆動源を強励磁に制御してもよい。第2復帰処理S32のステップS323の処理及び第3復帰処理S33のステップS333の処理においても同様である。
【0206】
(d3)第1復帰処理S31のステップS315の処理(
図32参照)では、第2可動役物装置200と第3可動役物装置300の全ての駆動源を弱励磁に制御していたが、少なくとも一部の駆動源を弱励磁に制御すればよく、例えば、特定の駆動源を弱励磁に制御してもよい。第2復帰処理S32のステップS325の処理及び第3復帰処理S33のステップS335の処理においても同様である。
【0207】
(d4)上記実施形態では、各可動役物装置100,200,300が原点位置に配置されているか否かの判断が、各可動役物装置100,200,300の駆動源のステップ数(ステッピングモータのロータの回転角)に基づいて判断されていたが、各可動役物装置100,200,300に備えた各部材の位置を検出するための位置検出センサ(具体的には、フォトセンサ)の検出に基づいて判断されてもよい。
【符号の説明】
【0208】
10 遊技機
52 サブ制御回路
100 第1可動役物装置
110 可動演出部材
121 第1可動体
122 第2可動体
123 変形用駆動源
140 直動用駆動源
150 共通ギヤ
160 駆動ギヤ
200 第2可動役物装置
300 第3可動役物装置