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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-14
(45)【発行日】2022-10-24
(54)【発明の名称】ガス炊飯器
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20221017BHJP
【FI】
A47J27/00 105Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018136479
(22)【出願日】2018-07-20
(65)【公開番号】P2020010928
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100174344
【弁理士】
【氏名又は名称】安井 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】金谷 茂之
(72)【発明者】
【氏名】石井 佑紀
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-222657(JP,A)
【文献】特開平08-273643(JP,A)
【文献】特開2018-087644(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 9/00-47/20
F24C 1/00-15/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被調理物を収容する内釜と、前記内釜の下側に設けられ、前記内釜を加熱するバーナと、有底筒状に形成され、前記バーナ及び前記内釜を内側に収容する筐体とを備えたガス炊飯器において、
前記筐体の底部に設けられた開口部と、
電池の装着口を備え、前記装着口を下向きにした姿勢で、前記開口部の内側に収容して設けられる電池ケースと
を備え
前記筐体の前記底部には、ガード部材が固定され、
前記ガード部材は、前記開口部の内側において、少なくとも前記電池ケースの外周面を取り囲む筒状部を備えること
を特徴とするガス炊飯器。
【請求項2】
前記筒状部の下端は、前記装着口よりも下方に位置すること
を特徴とする請求項1に記載のガス炊飯器。
【請求項3】
前記筐体の内側には、前記装着口を下向きにした姿勢で、前記電池ケースを前記開口部の内側において支持する支持部材が設けられ、
前記ガード部材の前記筒状部は、前記開口部の内縁部と前記電池ケースの外周面との隙間に挿入され、前記支持部材に支持された前記電池ケースを内側に配置すること
を特徴とする請求項2に記載のガス炊飯器。
【請求項4】
前記ガード部材が前記筐体の前記底部に固定された状態で、前記筒状部の下端部は、前記開口部より下方に突出していること
を特徴とする請求項2又は3に記載のガス炊飯器。
【請求項5】
前記ガード部材が前記筐体の前記底部に固定された状態で、前記筒状部の下端部には、前記開口部の外方に張り出し、且つ前記底部に対して下方から重なる張出部が設けられたこと
を特徴とする請求項2~4の何れかに記載のガス炊飯器。
【請求項6】
前記張出部の外周部の少なくとも一部には、下方に突出する突出部が設けられたこと
を特徴とする請求項5に記載のガス炊飯器。
【請求項7】
前記電池ケースは、ハーネスと接続する端子部を有し、
前記筒状部は、前記電池ケースの前記外周面及び前記端子部を取り囲むこと
を特徴とする請求項2~6の何れかに記載のガス炊飯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガスの燃焼熱により炊飯を行うガス炊飯器が知られている(例えば、特許文献1参照)。例えば、商用電源を用いないガス炊飯器では、点火スイッチが操作されると、ガス通路が開き、ガスバーナの炎孔部からガスが噴出され、このガスが操作によって生じる火花により点火され、バーナの燃焼が開始され、米と水が収容された内釜が熱せられる。この火花は、例えば、圧電点火装置によって生じさせることができる。圧電点火装置は、点火スイッチの操作によって圧電素子から生じる起電力に基づき、火花を発生させる。温度を検出する感熱ヘッドが内釜の底面に接触しており、内釜の温度が所定温度に達すると、ガス通路が閉じて燃焼が停止され、炊飯が完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】意匠登録第872759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
圧電点火装置を備えたガス炊飯器では、点火スイッチの操作に応じて起電力が変化するので、起電力が弱いと火花を良好に発生させることができず、火が付きにくいという問題点があった。そこで、例えば、電池で駆動するイグナイタを用いることにより、火花を安定して発生させることが考えられる。しかしながら、電池は電池残量の低下に応じて都度交換する必要があることから、電池の着脱が容易なガス炊飯器の開発が求められていた。さらに、電池を用いることから、内釜からの吹き零れ等の水が、電池に接触しないように対策を講じる必要があった。
【0005】
本発明の目的は、電池の着脱が容易であると共に、電池に水が接触することを防止できるガス炊飯器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明のガス炊飯器は、被調理物を収容する内釜と、前記内釜の下側に設けられ、前記内釜を加熱するバーナと、有底筒状に形成され、前記バーナ及び前記内釜を内側に収容する筐体とを備えたガス炊飯器において、前記筐体の底部に設けられた開口部と、電池の装着口を備え、前記装着口を下向きにした姿勢で、前記開口部の内側に収容して設けられる電池ケースとを備え、前記筐体の前記底部には、ガード部材が固定され、前記ガード部材は、前記開口部の内側において、少なくとも前記電池ケースの外周面を取り囲む筒状部を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明のガス炊飯器は、請求項1に記載の構成に加え、前記筒状部の下端は、前記装着口よりも下方に位置することを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明のガス炊飯器は、請求項2に記載の構成に加え、前記筐体の内側には、前記装着口を下向きにした状態で、前記電池ケースを前記開口部の内側において支持する支持部材が設けられ、前記ガード部材の前記筒状部は、前記開口部の内縁部と前記電池ケースの外周面との隙間に挿入され、前記支持部材に支持された前記電池ケースを内側に配置することを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明のガス炊飯器は、請求項2又は3に記載の構成に加え、前記ガード部材が前記筐体の前記底部に固定された状態で、前記筒状部の下端部は、前記開口部より下方に突出していることを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明のガス炊飯器は、請求項2~4の何れかに記載の構成に加え、前記ガード部材が前記筐体の前記底部に固定された状態で、前記筒状部の下端部には、前記開口部の外方に張り出し、且つ前記底部に対して下方から重なる張出部が設けられたことを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明のガス炊飯器は、請求項5に記載の構成に加え、前記張出部の外周部の少なくとも一部には、下方に突出する突出部が設けられたことを特徴とする。
【0012】
請求項7に係る発明のガス炊飯器は、請求項2~6の何れかに記載の構成に加え、前記電池ケースは、ハーネスと接続する端子部を有し、前記筒状部は、前記電池ケースの前記外周面及び前記端子部を取り囲むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明のガス炊飯器によれば、筐体の底部には開口部が設けられ、その開口部の内側には、電池の装着口を下向きにした姿勢で電池ケースが収容して設けられる。よって、使用者は、筐体の底部に設けられた開口部を介して、装着口から電池をそのまま取り出し、又はそのまま装着できるので、電池着脱時の作業性が向上する。また、内釜から水が吹き零れて筐体の外周面に付着した場合でも、開口部が底部にあるので、該開口部を介して電池ケースの内側に水が侵入し、電池と接触するリスクを軽減できる。従って、漏電や電池の劣化を防ぐことができる。また、電池ケースの装着口を内側に収容する開口部を筐体の側部ではなく、底部に設けたことで、開口部を介して露出する電池ケースを目立たなくできるので、ガス炊飯器の美観を向上できる。なお、電池ケースの収容方法として、筐体の内側に収容される電池ケースをスライドして取り出す方式もあるが、本態様においては、筐体の底部に設けた開口部から直接取り出すことができるので、スライド機構を必要としない。よって、その分だけ省スペース化が可能であるので、筐体を小型化できる。また、筐体の底部にガード部材を固定した状態では、ガード部材の筒状部は、開口部の内側において電池ケースを取り囲む。これにより、仮に内釜から吹き零れた水が、筐体の側面を伝って下方に流れ、底部側に流れた場合でも、筒状部が水を遮るので、電池ケース内の電池に水が接触するのを防止できる。
【0014】
請求項2に係る発明のガス炊飯器によれば、請求項1に記載の効果に加え、筒状部の下端が電池ケースの装着口よりも下方に位置するので、仮に内釜から吹き零れた水が、筐体の底部を伝った場合でも、筒状部がその内側にある電池ケースに水が接触することを遮る。よって、ガス炊飯器は、電池ケース内の電池に水が接触することを防止できる。
【0015】
請求項3に係る発明のガス炊飯器によれば、請求項2に記載の効果に加え、ガス炊飯器の筐体には、支持部材が設けられる。支持部材は、筐体の開口部の内側において、装着口を下向きにした状態で、電池ケースを支持する。ガード部材の筒状部は、開口部の内縁部と電池ケースの外周面の隙間に挿入され、支持部材に支持された前記電池ケースを内側に配置する。故に、開口部の内縁部と電池ケースの外周面との隙間を筒状部で埋めることができる。これにより、筐体の側面及び底部を伝って流れた吹き零れ等の水が、開口部の内縁部と電池ケースの外周面との隙間を介して、電池ケースに到達してしまうのを防止できる。従って、電池ケース内の電池に水が接触するのを防止できる。また、電池ケースは、筐体の内側に設けられた支持部材によって開口部の内側において支持されるので、開口部の内側における位置が固定される。よって、開口部の内縁部と電池ケースの外周面との隙間を確保できる。そして、開口部の内縁部と電池ケースの外周面の夫々が、ガード部材の筒状部のガイドとして機能する。これにより、開口部の内縁部と電池ケースの外周面との隙間に筒状部を挿入するだけで、該筒状部の内側に電池ケースが配置されるので、ガード部材を筐体の底部に対して容易に位置決めして固定できる。
【0016】
請求項4に係る発明のガス炊飯器によれば、請求項2又は3に記載の効果に加え、ガード部材が筐体の底部に固定された状態で、筒状部の下端部は、開口部より下方に突出している。これにより、吹き零れ等の水が筐体の底部に伝ってきた場合に、筒状部が、電池ケースへの水の侵入を遮り、水を下方に滴下させ易くなる。また、水を多く使用する炊事場であって、飛び散った水が筐体の底部に付着した場合でも、筒状部が電池ケースに対する壁となる。従って、電池ケース内の電池に水が接触することを防止できる。
【0017】
請求項5に係る発明のガス炊飯器によれば、請求項2~4の何れかに記載の効果に加え、筒状部の下端部には、張出部が開口部の外方に張り出し、且つ底部に対して下方から重なって設けられる。張出部は底面と重なっているので、筐体の外周面を伝ってきた吹き零れ等の水が開口部を介して筐体の内側に侵入することを防ぐ。従って、電池ケース内の電池に水が接触することを防止できる。
【0018】
請求項6に係る発明のガス炊飯器によれば、請求項5に記載の効果に加え、突出部が、張出部の外周部の少なくとも一部に、下方に突出して設けられる。これにより、筐体の外周面を伝ってきた吹き零れ等の水は、張出部の外周部に設けられた突出部と接触する。突出部は、水が開口部を介して筐体の内側に侵入するのを遮り、水を下方に滴下させ易くする。また、水を多く使用する炊事場であって、飛び散った水が筐体の底部に付着した場合でも、突出部が壁となる。従って、電池ケース内の電池に水が接触することを防止できる。
【0019】
請求項7に係る発明のガス炊飯器によれば、請求項2~6の何れかに記載の効果に加え、電池ケースの漏電に係る端子部を筒状部が取り囲んでいるので、端子部と筐体の内外を伝ってきた水との接触を防ぐことができる。
【0020】
なお、本発明は、請求項1~7に記載された発明特定事項の一部を任意に組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】ガス炊飯器1の斜視図である。
図2】ガス炊飯器1の底面図である。
図3図2に示すガス炊飯器1のI-I線矢視方向断面図である。
図4図3に示すガス炊飯器1の断面図に於ける電池ケース10とガード部材11の周囲の部分拡大図である。
図5】下部筐体3の斜視図である。
図6】電池ケース10の右斜め上方から見た斜視図である。
図7】電池ケース10の下方から見た斜視図である。
図8】ガード部材11の右斜め上方から見た斜視図である。
図9】ガード部材11の右斜め下方から見た斜視図である。
図10】電池ケース10とガード部材11を組み合わせた状態の右斜め上方から見た斜視図である。
図11】電池ケース10とガード部材12を組み合わせた状態の右斜め上方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を説明する。以下に記載されている装置の構造などは、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。以下説明は、図中に矢印で示す左右、前後、上下を使用する。
【0023】
図1図2を参照し、ガス炊飯器1の外観構造を説明する。ガス炊飯器1は、筐体2、蓋部5、把持部6を備える。筐体2は、下部筐体3及び上部筐体4を備える。下部筐体3は金属製であり、後述する上部筐体4よりも底の浅い略有底円筒状である。図2に示すように、下部筐体3の底部には、三本の脚部33、開口部34、及び複数の空気孔35が設けられる。
【0024】
開口部34は、下部筐体3の底部の左側に設けられ、底面視前後方向に長い略矩形状に形成されている(図2参照)。開口部34の大きさは、後述する電池ケース10の収容部100よりも大きい。開口部34の内側には、電池ケース10の装着口102が対向して配置されている。
【0025】
下部筐体3の底部には、開口部34の内縁部と電池ケース10の外周面との間の隙間を塞ぐようにして、ガード部材11が固定されている。ガード部材11は、内釜8から吹き零れた水等が筐体2の外周面及び下部筐体3の底部を伝って、開口部34から装着口102に到達することを防止する。
【0026】
三本の脚部33は、下部筐体3を下から支持する。三本の脚部33のうち、下部筐体3の底部における右後方部と左後方部に設けられた二本の脚部33は、下方に突出する略円筒状に形成される。前側部に設けられた脚部33は、下方に突出し、且つ左右方向に延びるリブ状に形成される。複数の空気孔35は、下部筐体3に一面に設けられ、下部筐体3の内側に外気を取り込む。
【0027】
下部筐体3の外周面における前側の下部には、点火スイッチ31とガス量調節つまみ32が設けられる。点火スイッチ31は、押し下げ可能に設けられ、使用者により押し下げられることで、後述するバーナ72の点火動作が開始する。ガス量調節つまみ32は、点火スイッチ31の右側に設けられる。ガス量調節つまみ32は、上下方向に移動自在に設けられ、バーナ72へ流入するガス量を調節することにより、バーナ72の火力を調節できる。下部筐体3の右側下部には、管貫通口36が設けられ、管貫通口36から外側に向かって、ガス供給管76が突出する。
【0028】
上部筐体4は金属製であり、下部筐体3と同径の略円筒状である。上部筐体4は、下部筐体3の上部に同軸となるように載置して取り付けられる。上部筐体4は、確認窓41、複数の排出口42、蓋軸支部43、蓋固定部44、及び解除ボタン46を備える。確認窓41は、上部筐体4下部の前側に設けられる。確認窓41は、上下方向に延びる三つのスリットからなる。三つのスリットは、横並びに並んで配置されている。使用者は、確認窓41を介して、ガス炊飯器1の外部からバーナ72におけるガスの燃焼状態を確認できる。複数の排出口42は、上部筐体4上部において周方向に間隔を空けて設けられ、外周方向に延びる細長いスリット状に形成される。バーナ72によるガスの燃焼で発生する燃焼ガスは、排出口42を介して、ガス炊飯器1の外部へ排出される。
【0029】
蓋軸支部43は、上部筐体4上部の後側に設けられる。蓋軸支部43は、蓋部5の後側に設けられた筐体接続部55を回動可能に軸支する。蓋固定部44は、上部筐体3上部の前側に設けられる。蓋固定部44は、上部筐体4の開口する上部を蓋部5で閉じた状態において、蓋部5の前側に設けられた被蓋固定部54に係合して固定する。解除ボタン46は、蓋固定部44の上部に押し上げ可能に設けられる。解除ボタン46は、使用者によって押し上げられることで、蓋固定部44による被蓋固定部54への係合を解除する。
【0030】
蓋部5は、上部筐体4の上部において蓋軸支部43を支点に開閉可能に設けられ、平面視略円形状に形成される。蓋部5は、上記の被蓋固定部54及び筐体接続部55に加え、上蓋51、内蓋52、及び蓋連結部53等を備える(図1図3参照)。上蓋51は金属製であり、上部筐体4と同径の平面視略円形状に形成される。内蓋52は金属製であり、後述する内釜8のフランジ部81の内径と同径の平面視略円形状に形成される。内蓋52は、蓋連結部53によって、上蓋51の下面側に着脱可能に連結される。上部筐体4の開口する上部を蓋部5で閉じた状態では、内蓋52は、内釜8の上部開口を閉じる。
【0031】
把持部6は、上部筐体4の外周面における左右両側の上部に対し、その両端部が回動可能に取り付けられる。把持部6は、上方に回動させた状態を正面から視ると、略逆U字状に形成される。把持部6は、使用者がガス炊飯器1を持ち運びする際に把持される。
【0032】
図3~5を参照し、ガス炊飯器1の内部構造を説明する。下部筐体3の内側には、電池ケース10、ガード部材11、支持部材71、バーナ72、イグナイタ74、ガス量調節装置77等が設けられる。支持部材71は、金属製の板部材を屈曲して形成され、上壁部711と複数の側壁部712を備える。上壁部711は平面視略矩形状に形成され、下部筐体3の底部から上方に離間した位置に浮いた状態で略水平に支持される。複数の側壁部712は、上壁部711の外周端から下方に垂下し、それらの各下端部が下部筐体3の底部に螺子止め固定され、上壁部711を支持する。
【0033】
上壁部711は、電池ケース10、バーナ72、イグナイタ74、温度センサ75、及びガス量調節装置77を固定する。上壁部711は、切欠き部713、仮固定スリット714、及び上壁部孔715を備える。図5に示すように、切欠き部713は、上壁部711の左端部の中央部分から右方に向けて平面視略矩形状に切欠いたように形成される。仮固定スリット714は、上壁部711における切欠き部713より後側に設けられる。上壁部孔715は、上壁部711における切欠き部713より前側に設けられる。仮固定スリット714と上壁部孔715は、切欠き部713を中央に挟んで前後方向に対向して設けられる。
【0034】
バーナ72は、上壁部711の上面の略中央部に固定され、上下方向に軸線を有する略リング状に形成される。バーナ72は、外周面の上部に炎孔部721を備える。炎孔部721は、複数の炎孔が周方向に並ぶことによって形成され、ガス炊飯器1の外部より供給されるガスを噴出する。スロート部78は、バーナ72の後部から後方に突出し、且つ前方に平面視略逆U字状に屈曲されている。スロート部78の前端部には、ガスの流入口(図示略)が設けられる。
【0035】
バーナ72の中央を上下方向に貫通する孔部には、略円筒状の感熱ヘッド73が上下方向に出退可能に設けられる(図3図5を参照)。感熱ヘッド73には圧縮コイルバネ731が設けられる。圧縮コイルバネ731は、感熱ヘッド73を上方に常時付勢する。従って、内釜8が上部筐体4の内側に支持された際に、感熱ヘッド73の上部は内釜8の底部に密着して当接する。感熱ヘッド73は、内釜8の底部の温度を検出する。感熱ヘッド73は所定の温度に到達したことを検出すると、後述するガス量調節装置77内に設けられたガス弁(図示略)が閉弁される。
【0036】
イグナイタ74は、上壁部711の上面の左側に固定され、切欠き部713の内側に配置される(図5を参照)。イグナイタ74は、バーナ72の点火装置であり、電池ケース10に収容された電池を電源として駆動するので、火花を安定して生じさせることができる。イグナイタ74は略円柱形状であり、先端部に点火部741を備える。点火部741は、バーナ72の炎孔部721に臨むように配置され、バーナ72との間で火花を生じることによって、炎孔部721から噴出するガスに点火する。
【0037】
電池ケース10は、上壁部711の下面に、仮固定スリット714及び上壁部孔715を介して固定される。電池ケース10は、イグナイタ74より左側に配置される(図5参照)。支持部材71に固定された電池ケース10の装着口102は、下向きに配置され、下部筐体3の開口部34と対向する(図4参照)。従って、使用者は、下部筐体3の開口部34を介して、電池ケース10の装着口102から電池を着脱できる。
【0038】
上壁部711の上面であって、イグナイタ74の前方には温度センサ75が固定される(図5を参照)。本実施形態では、温度センサ75は熱電対である。温度センサ75は、略円柱形状で、先端部に円錐状の熱感知部751を備える。熱感知部751は、バーナ72の炎孔部721に臨むように配置される。
【0039】
ガス量調節装置77は、上壁部711の下面の右側に固定され、ガス供給管76と接続される。ガス量調節装置77は、ガス弁(図示略)、ニードル弁(図示略)及びノズル(図示略)を備える。ガス弁は、ガス量調節装置77内のガス流路を開閉する。ニードル弁は、ガス量調節つまみ23の上下動に対応して、ガス量調節装置77内のガス流路を流れるガス量を連続的に増減する。ノズルは、スロート部78の流入口と対向し、ガス量調節装置77内のガス流路を流れたガスを該流入口に向けて噴出する。
【0040】
なお、電池ケース10を支持する構造を、バーナ72等の主要な部品を支持する支持部材71と別に設けるのではなく、支持部材71に固定して共用させることによって、部品点数を増やすことなく、下部筐体3内において電池ケース10を支持できる。
【0041】
ガス供給管76は、管貫通口36より右方に向けて突出し、さらに後方にL字状に屈曲する。ガス供給管76は、一端部がガス炊飯器1の外部よりガスを供給するガス管(図示略)と接続され、他端部は、上記の通りガス量調節装置77と接続される。
【0042】
受け皿9は、下部筐体3の上部に略水平に載置されて取り付けられる(図3参照)。受け皿9は金属製であり、平面視略リング状に形成され、その中央部には、円形状の受け皿孔91を備える。受け皿孔91の内側においては、バーナ72、感熱ヘッド73、点火部741及び熱感知部751が上方に突出して配置される。仮に内釜8から吹き零れた水が内釜8の外周面を伝ってきた場合に、受け皿9により、下部筐体3の内側に水が侵入することを防止できる。
【0043】
上部筐体4の内側には、内釜8が収容された状態で支持される(図3参照)。内釜8は、金属製の有底円筒状である。内釜8には、被調理物である米と水が入れられる。内釜8は、胴部80とフランジ部81を備える。フランジ部81は、胴部80の上端部に径方向外側に突出して設けられる。
【0044】
上部筐体4には内周面の上部から内方に張り出した、内釜支持部45が設けられる(図3参照)。内釜支持部45は平面視略リング状である。内釜支持部45の内縁部の内径が、内釜8のフランジ部81の外径よりも小さく、且つ内釜8の胴部80の外径よりも大きい。従って、内釜8は、内釜支持部45にて吊り下げられて支持され、且つ蓋部5を開いた状態で、上部筐体4の内側に着脱自在に設けられる。
【0045】
ここで、ガス炊飯器1の炊飯時の動作を簡単に説明する。使用者により下部筐体3の点火スイッチ31が押し下げられると、ガス量調節装置77に設けられたガス弁が開弁する。バーナ72にガスが供給される。イグナイタ74は、点火スイッチ31の押し下げられることにより動作し、イグナイタ74の点火部741から火花を生じる。該火花によって、バーナ72の炎孔部721から噴出するガスが点火される。温度センサ75の熱感知部751がガスの燃焼熱を検出する。温度センサ75の熱により生じた電力により該ガス弁が開弁状態で維持され、バーナ72は燃焼状態が維持される。内釜8が熱せられ、炊飯が開始する。内釜8の底部が所定の温度に達すると、感熱ヘッド73が該所定の温度を検出し、該ガス弁が閉弁される。バーナ72へガスが供給されなくなり、バーナ72の燃焼が停止し、炊飯が完了する。
【0046】
図6図7を参照し、電池ケース10の構造を説明する。なお、本実施形態では、説明の便宜上、支持部材71に支持された電池ケース10の向きで説明する。電池ケース10は、絶縁性のプラスチック製である。電池ケース10は、収容部100及び固定部101を備える。
【0047】
収容部100は、前後方向に延びる略直方体状で、その前後左右方向の大きさは下部筐体3の底部に設けられた開口部34の大きさより小さい。収容部100は、装着口102、一対の端子部103、一対のホルダ部107、一対のケーススリット100A、及び一対のケース孔100Bを備える。一対のケーススリット100Aは、収容部100の上面における前端部及び後端部に夫々設けられる。一対のケース孔100Bは収容部100の前壁の中央及び後壁の中央に設けられる。
【0048】
図7に示すように、装着口102は、収容部100の下部側に設けられる開口である。装着口102の大きさは、収容部100に収容される電池の大きさと略同一である。使用者は、装着口102を介して、収容部100に対して電池の着脱を行う。一対のホルダ部107は、収容部100の左右の両側壁の夫々の下端部に、下端部側に向かって内側に傾斜して設けられる。各ホルダ部107の先端部は、左右方向に弾性変形可能である。一対のホルダ部107の夫々の先端部間の幅は、電池を収容部100に収容した際に、電池が脱落しない程度の幅で設けられる。図4に示すように、電池ケース10は、装着口102が下向きに開口した状態で支持部材71に固定されるが、一対のホルダ部107により、収容部100から電池が抜け落ちることを防止できる。
【0049】
一対の端子部103は、導電性部材で形成され、収容部100の前壁及び後壁に夫々設けられる。各端子部103は、電池当接部103A及びハーネス接続部103Bを備える。前壁に設けた端子部103の電池当接部103Aは電池の負極と接触し、後壁に設けた端子部103の電池当接部103Aは電池の正極と接触する。各電池当接部103Aの一部は、収容部100の前壁及び後壁に夫々設けられたケース孔100Bを介して外部に露出する。
【0050】
ハーネス接続部103Bは、電池当接部103Aの上部に設けられ、正面視略矩形状に形成される。ハーネス接続部103Bは、収容部100の内側よりケーススリット100Aを介して上方に突出して、イグナイタ74より延びるハーネス(図示略)と接続する。ケーススリット100Aを介して突出したハーネス接続部103Bの高さは、後述するケース固定筒部105より低い。
【0051】
固定部101は、収容部100の底壁の上面における前後方向の中央部に設けられ、略直方体状に上方に突出している。固定部101は、鉤部104、ケース固定筒部105、U字溝106、及びケースリブ108を備える。ケース固定筒部105は、固定部101の前面に沿って設けられ、上下方向に延設された略円筒状に形成され、上方に突出する。ケース固定筒部105の上端部には、ケース固定孔105Aが設けられる。ケース固定孔105Aの内側には、雌螺子が形成される。鉤部104は、固定部101の上面の後側部から上方に突出し、その上端部には、係止部104Aが設けられる。係止部104Aは、鉤部104の後面上部から後方に突出して設けられ、底面が略水平の側面視略直角三角形状である。収容部100の上面から係止部104Aの底面までの高さは、同上面からケース固定筒部105の上端部の高さと略同一である。
【0052】
U字溝106は、固定部101の上面の前後方向の中央部に設けられ、側面視略U字状に形成される。U字溝106の溝幅は、支持部材71の切欠き部713の前後方向の隙間の幅より若干短い程度で、ほぼ等しい長さである。U字溝106は、電池ケース10が支持部材71に固定された状態で、切欠き部713に対して下方から対向するよう位置に配置される。U字溝106の内側にイグナイタ74等が配置されるので、該イグナイタ74等に固定部101が干渉するのを防止できる。
【0053】
一対のケースリブ108は、固定部101の上面においてU字溝106を前後方向の中央に挟む位置に夫々設けられ、上方にリブ状に突出する。ケースリブ108の突出する高さは、ケース固定筒部105の上端部と同一高さである。また、ケースリブ108の左右方向の長さは、固定部101の上面の左右方向の長さと同一である。ケースリブ108の上端部は、略水平に形成される。支持部材71の上壁部711に電池ケース10が固定された状態で、一対のケースリブ108は、上壁部711の下面に対して密着して夫々当接される。従って、電池ケース10は上壁部711の下面に対してがたつくことなく固定できる。
【0054】
電池ケース10の支持部材71への取り付け方法の一例を説明する。作業者は、電池ケース10の装着口102を下向きにした状態で、支持部材71の上壁部711の下側に配置する。そして、上壁部711の仮固定スリット714に対し、電池ケース10の鉤部104を位置決めし、上壁部711の上壁部孔715に対し、電池ケース10のケース固定筒部105の上端部を位置決めする。次いで、仮固定スリット714に対して鉤部104を下方から挿入して、上壁部711に鉤部104の係止部104Aを係合させて仮固定する。ケース固定筒部105の上端部及び一対のケースリブ108を上壁部711に密着して当接する。さらに、上壁部孔715を介してケース固定筒部105のケース固定孔105Aに螺子716にて締結する。電池ケース10は、支持部材71に固定される。
【0055】
図8図9を参照し、ガード部材11の構造を説明する。なお、本実施形態では、説明の便宜上、下部筐体3に固定されたガード部材11の向きで説明する。ガード部材11は、プラスチック製である。ガード部材11は、耐水性、耐熱性を有することが望ましい。ガード部材11は、下部筐体3に固定された状態で、内側に電池ケース10を配置する(図4図10参照)。
【0056】
ガード部材11は、筒状部110、張出部111、突出部112、ガード固定孔113、及びテーパ部114を有する。筒状部110は、略角筒状で、外周の大きさが下部筐体3の開口部34の大きさより若干小さい程度で、ほぼ等しい大きさである。また、筒状部110の内周の大きさは、電池ケース10の収容部100の前後左右方向の大きさより若干大きい程度で、ほぼ等しい大きさである。従って、筒状部110の板厚は、下部筐体3の開口部34と収容部100の外周面との隙間の幅より若干短い程度で、ほぼ等しい長さである。筒状部110の高さは、収容部100の高さと略同一である。
【0057】
張出部111は、筒状部110の下端部から外方に張り出して設けられ、平面視略矩形状である。張出部111の左側の外周部は緩やかに湾曲する円弧状に形成される。張出部111の上面は、略水平である。張出部111の大きさは、ガード部材11が下部筐体3の底部に固定された状態で、下部筐体3の底部から側方に張り出さず、脚部33及び空気孔35等に干渉しない。張出部111の左側の外周部は緩やかに湾曲しており、下部筐体3の底部から張り出さない。筒状部110の内壁面の下端部と張出部111との接続部には、筒状部110側から張出部111側に向かって拡がるように外側に傾斜するテーパ部114が設けられる。
【0058】
突出部112は、張出部111の下面における左側の外周部に設けられ、下方に突出している。突出部112の下方に突出する長さは、脚部33より短い。ガード部材11が下部筐体3の底部に固定された状態では、突出部112は、下部筐体3底部の外周部側に位置する。
【0059】
ガード固定孔113は、張出部111の右前方角部に設けられる。なお、下部筐体3の底部には、ガード固定孔113に対応する位置に筐体側孔(図示略)が設けられる。ガード固定孔113は、ガード部材11が下部筐体3に固定された状態で、下部筐体3底部の中央側に位置する。従って、ガード固定孔113は、下部筐体3の底部を伝ってきた吹き零れ等の水が接触し難い位置にある。よって、ガード固定孔113を介してガード部材11を下部筐体3に対して固定する螺子37(図2参照)が腐食することを防止できる。
【0060】
ガード部材11の下部筐体3の底部への取り付け方法を説明する。作業者は、下部筐体3の底部を上方に向けた状態で、ガード部材11の筒状部110の上端部が下向きにした状態で該底部の上側に配置する。そして、該底部に設けられた開口部34に対し、ガード部材11の筒状部110を上方から位置決めする。上記の通り、筒状部110の板厚は、下部筐体3の開口部34と収容部100の外周面との隙間の幅より若干短い程度で、ほぼ等しい長さである。よって、筒状部110は、開口部34の内縁部と収容部100の外周面との隙間を遊挿可能である。
【0061】
そして、開口部34の内縁部と収容部100の外周面の夫々が、該隙間に対して筒状部110を挿入する際に、筒状部110のガイドとして機能させることができる。筒状部110を該隙間に挿入する。ここで上記の通り、張出部111の上面は略水平であり、下部筐体3の底部も開口部34周辺で略水平である。従って、筒状部110を該隙間に挿入していくと、張出部111の上面が下部筐体3の底部と密着して重なる。このとき、ガード固定孔113は、下部筐体3に設けられた筐体側孔と重なり配置されるので、ガード固定孔113を介して筐体側孔に螺子37を締結する。これにより、ガード部材11は、下部筐体3の底部に固定される。
【0062】
ガード部材11は、下部筐体3に固定された状態で、筒状部110の内側に電池ケース10を配置する。上記の通り、筒状部110の板厚は、下部筐体3の開口部34と収容部100の外周面との隙間の幅より若干短い程度で、ほぼ等しい長さである。従って、筒状部110は、開口部34の内縁部と収容部100の外周面との隙間を塞ぐ。また、筒状部110の高さは、収容部100の高さと略同一であるので、筒状部110は、収容部100の外周面の全体を取り囲む。よって、筒状部110は、収容部100の前壁及び後壁に夫々設けた一対のケース孔100Bを取り囲むことができるので、ケース孔100Bにおいて外部に露出する電池当接部103Aの一部を覆い隠すことができる。
【0063】
上記構成を備えるガス炊飯器1において、下部筐体3の底部には開口部34が設けられ、開口部34の内側には、電池の装着口102を下向きにした姿勢で電池ケース10が収容して設けられる。よって、使用者は、下部筐体3の底部に設けられた開口部34を介して装着口102から電池をそのまま取り出し、又はそのまま装着できるので、電池着脱時の作業性が向上する。また、内釜8から水が吹き零れて筐体2の外周面に付着しても、開口部34が底部にあるので、開口部34を介して電池ケース10の内側に水が侵入し、電池と接触するリスクを軽減できる。従って、漏電や電池の劣化を防ぐことができる。
【0064】
また、電池ケース10を下部筐体3の底部に設けたことで、開口部34を介して露出する電池ケース10を目立たなくできるので、ガス炊飯器1の美観を向上できる。なお、電池ケース10の収容方法として、下部筐体3の内側に電池ケース10を設けてスライドして取り出す方式もあるが、本実施形態においては、下部筐体3の底部に設けた開口部34から電池を直接取り出すことができるので、スライド機構を必要としない。その分だけ省スペース化が可能であるので、下部筐体3を小型化できる。
【0065】
さらに、下部筐体3の底部の開口部34には、ガード部材11が固定される。ガード部材11は、開口部34の内側において電池ケース10の収容部100の外周面を取り囲む筒状部110を有する。即ち、電池当接部103Aの一部が収容部100のケース孔100Bを介して露出しているが、筒状部110は露出部分を覆う。仮に内釜8から吹き零れた水が、筐体2の側面を伝って下方に流れ、下部筐体3の底部側に流れた場合でも、筒状部110が水を遮る。よって、電池ケース10内の電池及び該露出部分に水が接触するのをさらに防止できる。
【0066】
さらに、下部筐体3の内側には、支持部材71が設けられる。支持部材71は、下部筐体3の開口部34の内側において、電池ケース10の装着口102が開口部34に対向した状態で、電池ケース10を支持する。ガード部材11の筒状部110は、開口部34の内縁部と電池ケース10における収容部100の外周面の隙間に挿入され、支持部材71に支持された収容部100を内側に配置する。従って、開口部34の内縁部と収容部100の外周面との隙間を筒状部110で埋めることができる。これにより、筐体2の側面及び下部筐体3の底部を伝って流れた吹き零れた水等が、開口部34の内縁部と収容部100の外周面との隙間を介して、電池ケース10に到達してしまうのを防止できる。従って、電池ケース10内の電池及び収容部100より露出した導電性部材である電池当接部103Aに水が接触するのをさらに防止できる。
【0067】
さらに、電池ケース10は、支持部材71によって開口部34の内側において支持されるので、開口部34の内側における位置が固定される。よって、開口部34の内縁部と収容部100の外周面との隙間を確保できる。そして、ガード部材11を下部筐体3に固定する際、開口部34の内縁部と収容部100の外周面の夫々が、筒状部110を挿入するガイドとして機能する。これにより、開口部34の内縁部と収容部100の外周面との隙間に筒状部110を挿入するだけで、筒状部110の内側に収容部100が配置されるので、ガード部材11を下部筐体3の底部に対して容易に位置決めして固定できる。
【0068】
さらに、本実施形態では、筒状部110の下端部より張出部111が外方に張り出し、且つ下部筐体3の底部に対して下方から重なって設けられる。張出部111は、下部筐体3の底面と重なっているので、下部筐体3の底部を伝ってきた吹き零れた水等が開口部34を介して下部筐体3の内側に侵入を防止できる。従って、電池ケース10内の電池及び収容部100より露出した導電性部材である電池当接部103Aに水が接触することをさらに防止できる。
【0069】
さらに、突出部112が、張出部111の外周部の一部に、下方に突出して設けられる。突出部112は、下部筐体3の外周面を伝ってきた吹き零れた水等がまず張出部111と接触する位置に設けられる。突出部112は、開口部34を介して下部筐体3の内側に水が侵入するのを遮り、水を下方に滴下させ易くする。また、水を多く使用する炊事場であって、下部筐体3の底部に水が飛散してきた場合でも、突出部112が壁となる。従って、電池ケース10内の電池及び収容部100より露出した導電性部材である電池当接部103Aに水が接触することをさらに防止できる。
【0070】
さらに、電池ケース10の収容部100から突出した端子部103のハーネス接続部103Bの上面は、下部筐体3の内側に設けられた支持部材71の上壁部711によって覆われている。従って、仮に内釜8から吹き零れた等の水が受け皿9でも受けきれず、溢れて下部筐体3の内側に流れ伝ってきても、上壁部711によって、導電性部材であるハーネス接続部103Bと水との接触を防止できる。また、電池ケース10を支持する構造を、バーナ72等の主要な部品を支持する支持部材71と別に設けるのではなく、支持部材71に固定して共用させることによって、部品点数を増やすことなく、下部筐体3内において電池ケース10を支持できる。
【0071】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、図10に示すように、上記実施形態のガード部材11の筒状部110は、電池ケース10の収容部100を取り囲むが、収容部100のみならず、電池ケース10の収容部100から突出した端子部103のハーネス接続部103Bまでを取り囲んでよい。
【0072】
図11を参照し、ガード部材11の変形例であるガード部材12の構造を説明する。ガード部材12は、筒状部120、張出部121、突出部122、及びガード固定孔123を有する。なお、張出部121、突出部122、及びガード固定孔123は、ガード部材11の、張出部111、突出部112、及びガード固定孔113と夫々対応し、同様の構造であるため、説明は省略する。筒状部120は、その高さ以外の形状は全てガード部材11の筒状部110と同一である。ガード部材12を下部筐体3に取り付けた状態において、筒状部120は、支持部材71の上壁部711と干渉せずに、電池ケース10の収容部100のみならず、該収容部100から上方に突出した一対のハーネス接続部103Bまでも取り囲むことができる。これにより、ガード部材12は、電池当接部103Aのみならず、ハーネス接続部103Bに水が接触するのを防止できる。
【0073】
ガード部材11(12)は、張出部111(121)を省略してもよい。この場合、筒状部110(120)の下端部が下部筐体3の開口部34より下方に突出している。これにより、吹き零れた水等が下部筐体3の底部に伝ってきた場合に、筒状部110(120)が、電池ケース10への水の侵入を遮り、水を下方に滴下させ易くなる。また、水を多く使用する炊事場であって、飛び散った水が下部筐体3の底部に付着した場合でも、筒状部110(120)が電池ケース10に対する壁となる。従って、電池ケース10内の電池及び収容部100より露出した導電性部材である電池当接部103Aに水が接触することを防止できる。
【0074】
開口部34の形状は平面視略矩形状でなくてもよく、下部筐体3の底部であって脚部33や空気孔35等に干渉しなければよい。収容部100の形状は略直方体状でなくてもよく、装着口102を介して電池を収容できればよい。ガード部材11(12)の筒状部110(120)の形状は、下部筐体3の開口部34及び電池ケース10の収容部100の形状により決まる。
【0075】
突出部112(122)を張出部111(121)の下面における外周全体に設けてもよい。また、突出部112(122)は張出部111(121)の下面における外周以外に設けてもよい。一例として、突出部112(122)を筒状部110(120)の下端部に設けてもよい。別の例として、ガード固定孔113(123)の周囲を取り囲むように突出部112(122)を設けてもよい。この場合、ガード固定孔113(123)を介してガード部材11(12)を下部筐体3に対して固定する螺子37が腐食することを防止できる。
【0076】
電池ケース10の支持部材71への固定は、本実施形態以外の方法でも良い。一例として、電池ケース10の固定部101において、鉤部104の代わりに、ケース固定筒部105と同形状の第二のケース固定筒部(図示略)を設け、ケース固定筒部105と同様に、第二のケース固定筒部を支持部材71の上壁部711に対してネジ止め固定してもよい。
【0077】
ガード部材11(12)のガード固定孔113(123)は、複数設けてもよく、また設けなくてもよい。ガード固定孔113(123)を設けない場合、ガード部材11(12)は別の方法で固定される。別の方法の一例として、接着剤によりガード部材11(12)と下部筐体3を固定する方法が挙げられる。
【0078】
支持部材71の下部筐体3への固定は、支持部材71と別体の部材で固定してもよい。一例として、該別体の部材は、一端部を下部筐体3に固定し、他端部を支持部材71の上壁部711又は側壁部712と固定する方法がある。該別体の部材の他端部を上壁部711に固定する方法の場合、側壁部712は設けなくてもよい。
【0079】
上記実施形態では電池は点火のみに用いられているが、ガス開閉用の電磁弁の起電力用等に用いてもよい。また、電池は乾電池のような一次電池に限らず蓄電池であってもよい。
【符号の説明】
【0080】
1 ガス炊飯器
3 下部筐体
10 電池ケース
34 開口部
102 装着口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11