(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-14
(45)【発行日】2022-10-24
(54)【発明の名称】マニホールドゲージ
(51)【国際特許分類】
G01L 7/00 20060101AFI20221017BHJP
F25B 45/00 20060101ALI20221017BHJP
【FI】
G01L7/00 D
F25B45/00 F
F25B45/00 A
(21)【出願番号】P 2018191316
(22)【出願日】2018-10-09
【審査請求日】2021-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】305062457
【氏名又は名称】プロステップ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138221
【氏名又は名称】影山 剛士
(72)【発明者】
【氏名】諏訪 茂
(72)【発明者】
【氏名】内田 稔
【審査官】公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-185898(JP,A)
【文献】特開2016-121850(JP,A)
【文献】特開平07-146037(JP,A)
【文献】国際公開第2005/003654(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 7/00-23/32
G01L 27/00-27/02
F25B 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マニホールド本体と、当該マニホールド本体内の流路を開閉する複数のバルブを有するマニホールドゲージであって、
当該マニホールド本体内の流路は、低圧側流路と、高圧側流路と、回収側流路と、充填側流路と、真空引き側流路と、これらの共通流路とを有し、
前記複数のバルブは、第一のバルブと第二のバルブとを有し、
当該第一のバルブは、前記低圧側流路及び前記高圧側流路の切り換え、
当該第二のバルブは、前記回収側流路、前記充填側流路及び前記真空引き側流路の切り換え
を行うことを特徴とするマニホールドゲージ。
【請求項2】
前記低圧側流路及び前記高圧側流路の圧力を表示するデジタル圧力計をさらに有する、請求項1に記載のマニホールドゲージ。
【請求項3】
前記低圧側流路及び前記高圧側流路と、前記共通流路とは第一のバルブを介して接続することを特徴とする、請求項1に記載のマニホールドゲージ。
【請求項4】
前記回収側流路、前記充填側流路及び前記真空引き側流路と、前記共通流路とは第二のバルブを介して接続することを特徴とする、請求項1に記載のマニホールドゲージ。
【請求項5】
前記低圧側流路及び前記高圧側流路と、前記回収側流路、前記充填側流路及び前記真空引き側流路とは、前記共通流路を介して接続されることを特徴とする、請求項1に記載のマニホールドゲージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調システム内などに充填されている冷媒を回収し、システム内を真空引きし、また、冷媒をシステム内に充填するに際し、使用されるマニホールドゲージに関する。
【背景技術】
【0002】
エアコン等に使用される冷媒回収、真空引き及び充填等の作業に使用されるマニホールドゲージ(「ゲージマニホールド」とも一般的にいわれる)の一般的な使用方法として、まず、低圧側バルブ及び高圧側バルブを両方閉じ、車両空調システム内の閉回路の低圧側及び高圧側圧力を計測し、マニホールドゲージ本体中央から延びるホースを冷媒回収装置に接続し、低圧側バルブ及び高圧側バルブ両方を開け、冷媒回収を行う。続いて、ホースを真空ポンプに接続し、低圧側バルブ及び高圧側バルブ両方を開け、真空引きを行う。
【0003】
その後、低圧側バルブ及び高圧バルブ両方を閉じ、空気の漏れが無いか確認し、異常が無ければ、今度は本体中央のホースをサービス缶バルブに接続する。中央ホースのエアパージを経て、再度低圧側及び高圧バルブ両方を開け、冷媒の充填を行う。その後規定量の冷媒が充填される前に、空調システムと冷媒の圧力が均圧となり、冷媒の充填が停止するので、今度は、高圧側バルブを閉じ、低圧側バルブを少し開けることで、残りの冷媒を充填させる。
【0004】
規定量の冷媒が充填されたら、低圧側バルブ及び高圧側バルブ両方を閉じて、一連の冷媒回収、真空引き及び補充の作業が完了する。
【0005】
冷媒回収・充填用のマニホールドゲージとして、例えば、特許文献1に挙げられるような技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献に開示のマニホールドゲージを含め、公知のマニホールドゲージについては、冷媒の回収や充填作業に際し、マニホールドゲージの低圧側及び高圧側バルブの切換えやゲージから延びる中央ホースへの真空ポンプやサービス缶への取り付け作業が煩雑であり、場合によっては事故につながる可能性もある。
【0008】
そこで、本発明は、空調回路内の冷媒の回収や充填作業に使用されるマニホールドゲージに関し、より効率的な作業に資する装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一の実施形態は、マニホールド本体と、当該マニホールド本体内の流路を開閉する複数のバルブを有するマニホールドゲージであって、当該マニホールド本体内の流路は、低圧側流路と、高圧側流路と、回収側流路と、充填側流路と、真空引き側流路と、これらの共通流路とを有し、前記複数のバルブは、第一のバルブと第二のバルブとを有し、当該第一のバルブは、前記低圧側流路及び前記高圧側流路の切り換え、当該第二のバルブは、前記回収側流路、前記充填側流路及び前記真空引き側流路の切り換えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、空調回路内の冷媒の回収や充填作業に使用されるマニホールドゲージに関し、より効率的な作業に資する装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1の実施形態によるマニホールドゲージ全体の外観図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態によるマニホールドゲージ全体を側面から見た図の一例である。
【
図3】本発明の第1の実施形態によるマニホールゲージ本体の流路切換部の外観図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態によるマニホールゲージ本体の長手方向の断面図であって、第一の状態を示す図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態によるマニホールゲージ本体の長手方向の断面図であって、第二の状態を示す図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態によるマニホールゲージ本体の低圧・高圧側流路切換部の流路切換を説明する図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態によるマニホールゲージ本体の低圧・高圧側流路切換部の流路切換を説明する図である。
【
図8】本発明の第1の実施形態によるマニホールゲージ本体の装置流路切換部の流路切換を説明する図である。
【
図9】本発明の第1の実施形態によるマニホールドゲージ全体を側面から見た図の他の一例である。
【
図10】本発明の第2の実施形態によるマニホールドゲージ全体を底面から見た図である。
【
図11】本発明の第2の実施形態によるマニホールゲージ本体の流路切換部の外観図である。
【
図12】本発明の第2の実施形態によるマニホールゲージ本体の長手方向の断面図であって、第一の状態を示す図である。
【
図13】本発明の第2の実施形態によるマニホールゲージ本体の長手方向の断面図であって、第二の状態を示す図である。
【
図14】本発明の第2の実施形態によるマニホールゲージ本体の装置流路切換部の流路切換を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明の実施の形態によるマニホールドゲージは、以下のような構成を備える。
[項目1]
マニホールド本体と、当該マニホールド本体内の流路を開閉する複数のバルブを有するマニホールドゲージであって、
当該マニホールド本体内の流路は、低圧側流路と、高圧側流路と、回収側流路と、充填側流路と、真空引き側流路と、これらの共通流路とを有し、
前記複数のバルブは、第一のバルブと第二のバルブとを有し、
当該第一のバルブは、前記低圧側流路及び前記高圧側流路の切り換え、
当該第二のバルブは、前記回収側流路、前記充填側流路及び前記真空引き側流路の切り換えることを特徴とするマニホールドゲージ。
[項目2]
前記低圧側流路及び前記高圧側流路の圧力を表示するデジタル圧力計をさらに有する、項目1に記載のマニホールドゲージ。
[項目3]
前記低圧側流路及び前記高圧側流路と、前記共通流路とは第一のバルブを介して接続することを特徴とする、項目1に記載のマニホールドゲージ。
[項目4] 前記回収側流路、前記充填側流路及び前記真空引き側流路と、前記共通流路とは第二のバルブを介して接続することを特徴とする、項目1に記載のマニホールドゲージ。
[項目5] 前記低圧側流路及び前記高圧側流路と、前記回収側流路、前記充填側流路及び前記真空引き側流路とは、前記共通流路を介して接続されることを特徴とする、項目1に記載のマニホールドゲージ。
【0013】
以下、図面を用いて本発明の第1の実施形態によるマニホールドゲージについて説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態によるマニホールドゲージ全体の外観図である。
【0014】
マニホールドゲージ1は、主に、車両用空調システム(図示せず)に対して、各装置を用いて冷媒回収、真空引き、冷媒充填といった一連の操作を行うために使用されるツールである。マニホールドゲージ本体2は、車両用空調システム(図示せず)の低圧側サービスバルブ及び高圧側サービスバルブと接続する、低圧側ホース及び高圧側ホースと各々接続する、低圧側接続部5及び(
図2に示す)高圧側接続部6を有する。
【0015】
また、マニホールドゲージ本体2は、マニホールドゲージ本体2内の低圧側流路と高圧側流路の開閉を操作するための低圧・高圧側流路切換部4(例えば、ダイヤルノブ)を有する。低圧側流路及び高圧側流路は、低圧側接続部5及び高圧側接続部6を通じて、低圧側ホース及び高圧側ホースへと接続する。
【0016】
また、マニホールドゲージ本体2は、デジタル圧力計3を有する。デジタル圧力計3は、マニホールドゲージ本体内の共通流路における圧力を計測する。デジタル圧力計は、低圧側と高圧側で各々の圧力計を備えるアナログ式と異なり、1つの計測器で-(マイナス)0.1MPaといった真空域から5.0MPaといった高圧域まで広範囲に計測・表示することができるので、低圧側流路と高圧側流路との切換を一つのバルブで対応することが可能となる。すなわち、
図1に示すダイヤルノブ4により低圧側流路と高圧側流路の開閉を調節することができる。
【0017】
また、マニホールドゲージ本体2は、低圧・高圧側流路切換部4に対向するように、マニホールドゲージ本体2に接続する各種装置への流路を切り換える流路切換部10(例えば、ダイヤルノブ)を有する。マニホールドゲージ本体2は、(図示しない)サービス缶やタンク等の冷媒充填装置接続用充填ホース(チャージホースとも呼ばれる)に接続する充填側接続部8、(図示しない)真空ポンプ接続用真空引きホースに接続する(
図3に示す)真空引き側接続部9、及び(図示しない)冷媒回収装置接続用ホースに接続する(
図3に示す)回収側接続部11を有する。
【0018】
また、マニホールドゲージ本体2は、本体内の流路を流れる冷媒の流動や、冷媒の回収及び充填時の冷媒の状態を確認するための、サイトグラス7を設けることもできる。
【0019】
本実施の形態においては、低圧・高圧側流路切換部4及び装置流路切換部10が、長手方向に延在するマニホールドゲージ本体2の両端に、相互に反対方向に向くように設けられるため、デジタル圧力計3は、
図1に示すように、長手方向に延びるマニホールド本体2の中央付近に、また、
図2に示すように、その表示画面が、低圧・高圧側流路切換部4及び装置流路切換部10が設けられる側面に対して垂直方向を向くように設置されることが好ましい。これにより、作業者は、デジタル圧力計3に表示される圧力を確認しながら、各々低圧・高圧側切換部4や装置流路切換部10を操作することができる。
【0020】
図2は、本発明の第1の実施形態によるマニホールドゲージ全体を側面から見た図の一例である。特に、
図2は、低圧・高圧側流路切換部4(例えば、ダイヤルノブ)の方向からマニホールドゲージ全体を見た図である。前述したように、マニホールドゲージ本体2に、低圧側接続部5及び高圧側接続部6が備えられている。
【0021】
また、低圧・高圧側流路切換部4は、低圧側接続部5及び高圧側接続部6に接続する、マニホールドゲージ本体2内の低圧側流路及び高圧側流路の開閉を調節する。
【0022】
図3は、本発明の第1の実施形態によるマニホールゲージ本体の流路切換部の外観図である。
図3(a)は、低圧側流路及び高圧側流路の切換部周辺のマニホールドゲージ本体2の外観を示す。前述の通り、マニホールドゲージ本体2には、低圧側流路及び高圧側流路の開閉の調節を操作するためのダイヤルノブ4が備えられる。また、マニホールドゲージ本体2には、流路を切り換えるにあたって、作業者がどの位置にダイヤルノブを回せばよいか理解できるよう、低圧側流路を開けるよう指示する位置に「LOW」と印字され、高圧側流路を開けるよう指示する位置に「HI」と印字されている。また、低圧側流路と高圧側流路両方開けるよう指示する位置には「HI-LOW」と印字され、低圧側流路と高圧側流路両方を閉めるよう指示する位置には、「CLOSE」と印字されている。マニホールドゲージ本体2の低圧側流路側には低圧側接続部5が、また、高圧側流路側には高圧側接続部6が備えられる。
【0023】
図3(b)は、回収側流路、真空引き側流路及び充填側流路の装置切換部周辺のマニホールドゲージ本体2の外観を示す。前述の通り、冷媒充填装置(例えば、サービス缶)、真空引き装置(例えば、真空ポンプ)及び冷媒回収装置への接続を切り換えるダイヤルノブ10が備えられる。また、マニホールドゲージ本体2の表面には、流路を切り換えるにあたって、作業者がどの位置にダイヤルノブを回せばよいか理解できるよう、冷媒充填装置への接続を指示する位置に「充填」と印字され、真空引き装置への接続を指示する位置に「真空」と印字され、また、冷媒回収装置への接続を指示する位置に「回収」と印字されている。マニホールドゲージ本体2の冷媒充填装置へと接続される流路側には充填側接続部8が、また、真空ポンプへと接続される流路側には真空引き側接続部9が、さらに、冷媒回収装置へと接続される流路側には回収側接続部11が設けられる。
【0024】
図4は、本発明の第1の実施形態によるマニホールゲージ本体の長手方向の断面図であって、第一の状態を示す図である。
図4(a)に、
図4(b)に示す断面図の切断線(A-A’)を示す。また、
図4(a)に示すように、低圧・高圧側流路切換部4及び装置流路切換部10は、各々流路を閉じるよう「CLOSE」を指示している。
【0025】
図4(b)に示すように、低圧・高圧側流路切換部(ダイヤルノブ)4と装置流路切換部(ダイヤルノブ)10が、マニホールドゲージ本体2の両端に設けられ、各々の切換部は、ゲージ本体の内部において、ロッドを介してボールバルブ12及ボールバルブ13に各々接続されている。ボールバルブ12に隣接するように、高圧側接続部6に接続するように、高圧側流路14が備えられ、また、ボールバルブ13に隣接するように、真空引き接続部9に接続するように、真空引き側流路16が備えられる。
【0026】
ボールバルブ12及びボールバルブ13は、A-A’断面では、2口の開口部を有し、
図4(b)においては、1口は共通流路19と接続し、他の1口は閉流路のほうを向いている。したがって、本例においては、ボールバルブ12及びボールバルブ13の開口部は、高圧側流路14と真空引き側流路16の方を向いていないため、少なくとも、高圧側流路14と真空引き側流路16は閉じている状態といえる。
【0027】
図5は、本発明の第1の実施形態によるマニホールゲージ本体の長手方向の断面図であって、第二の状態を示す図である。
図5(a)に、
図5(b)に示す断面図の切断線(A-A’)を示す。また、
図5(a)に示すように、低圧・高圧側流路切換部4は、高圧側流路及び低圧側流路を開くように「HI-LOW」を指示し、また、装置流路切換部10は、真空引き側流路を開くように「真空」を指示している。
【0028】
本例のように、ダイヤルノブ4を「CLOSE」から「HI-LOW」に回すと、
図5(b)に示すように、ボールバルブ12の閉流路側を向いていた開口部の一つが高圧側流路14側に回転する。これにより、少なくともA-A’断面においては、ボールバルブ12の開口部の一つは、高圧側流路14と接続した状態になる。同様に、ダイヤルノブ10を「CLOSE」から「真空」に回すと、
図5(b)に示すように、ボールバルブ13の閉流路側を向いていた開口部の一つが真空引き側流路16側に回転する。これにより、少なくともA-A’断面においては、ボールバルブ13の開口部の一つは、真空引き側流路16に接続した状態になる。また、
図5(b)において、ボールバルブ12及びボールバルブ13は共に、その開口部の一つは、共通流路19と接続した状態となっている。
【0029】
図6は、本発明の第1の実施形態によるマニホールゲージ本体の低圧・高圧側流路切換部の流路切換を説明する図である。
図6(a)は、マニホールドゲージ本体2の低圧・高圧側流路切換部4側を横から見た図で、
図6(b)に示す断面図の切断線(B-B’)を示す。
【0030】
図6(b)のB-B’断面において、ボールバルブ12は、開口部を2口有している。
図4及び
図5においてボールバルブ12がA-A’断面において2口の開口部を有していたことを勘案すると、ボールバルブ12は計3口の開口部を有することになる。
図6(b)の断面図は、低圧・高圧側流路切換部4の指示が「CLOSE」の状態を示している。
【0031】
図6に引き続き、
図7は、本発明の第1の実施形態によるマニホールゲージ本体の低圧・高圧側流路切換部の流路切換を説明する図である。
図7(a)は、マニホールドゲージ本体2の低圧・高圧側流路切換部4側を横から見た図で、
図7(b)~(d)に示す断面図の切断線(B-B’)を示す。
【0032】
ここで、作業者が、低圧・高圧側流路切換部4を、その指示が「LOW」を示すように回転させると、これに伴いボールバルブ12は、
図6(b)から
図7(b)にかけて、反時計回りに90°回転し、2口の開口部が、閉流路と低圧側流路15の方向を向き、これにより、開口部が低圧側流路15と接続状態となる。次に、作業者が、低圧・高圧側流路切換部4を、その指示が「HI」を示すように回転させると、
図7(b)から
図7(c)にかけて、反時計回りに180°回転し、2口の開口部が、高圧側流路14と(
図7(b)の閉流路とは別の)閉流路の方向を向き、これにより、開口部が高圧側流路14と接続状態となる。そして、作業者が、低圧・高圧側流路切換部4を、その指示が「HI-LOW」を示すように回転させると、
図7(c)から
図7(d)にかけて、時計回りに90°回転し、2口の開口部が、高圧側流路14と低圧側流路15の方向を向き、これにより、開口部が高圧側流路14と低圧側流路15とに接続状態となる。
【0033】
図8は、本発明の第1の実施形態によるマニホールゲージ本体の装置流路切換部の流路切換を説明する図である。
図8(a)は、マニホールドゲージ本体2の装置流路切換部10側を横から見た図で、
図8(b)~(d)に示す断面図の切断線(C-C’)を示す。
【0034】
図8(b)のC-C’断面において、ボールバルブ13は、開口部を1口有している。
図4及び
図5においてボールバルブ13がA-A’断面において2口の開口部を有していたことを勘案すると、ボールバルブ13は計2口の開口部を有することになる。
図8(b)の断面図は、装置流路切換部10の指示が「回収」の状態を示している。すなわち、この状態において、回収側接続部11は、回収側ホースを通じて冷媒回収装置と接続されており、ボールバルブ13の開口部が回収側流路18と接続されることで、マニホールドゲージ1と冷媒回収装置との接続が確立される。
【0035】
ここで、冷媒回収作業が終わり、真空引き作業を行うために、作業者が、装置流路切換部10を、その指示が「真空」を示すように回転させると、これに伴いボールバルブ13は、
図8(b)から
図8(c)にかけて、反時計回りに90°回転し、開口部が、真空引き側流路16の方向を向き、開口部が真空引き側流路16と接続され、これにより、マニホールドゲージ1と真空ポンプとの接続が確立される。ここで、本実施の形態の特徴として、予め真空引き側接続部9が、真空引きホースを通じて真空ポンプと接続しているので、この一連の作業において、冷媒回収装置と真空ポンプの交換を行う必要が無いことが挙げられる。
【0036】
ここで、作業者は、低圧・高圧側流路切換部4を、その指示が「HI-LOW」を示すように回転させることで、低圧側流路及び高圧側流路の両方を開放し、真空ポンプを始動することで真空引き作業を行う。その後、低圧・高圧側流路切換部4を、その指示が「CLOSE」を示すよう回転させ、低圧側流路及び高圧側流路の両方を閉じ、真空引きを停止させ、リークテストを行い、異常がなければ真空引き作業は完了となる。
【0037】
真空引き作業が終わり、作業者は、装置流路切換部10を、その指示が「充填」を示すように回転させると、これに伴いボールバルブ13は、
図8(c)から
図8(d)にかけて、反時計回りに90°回転し、開口部が、充填側流路17の方向を向き、開口部が充填側流路17と接続され、これにより、マニホールドゲージ1と冷媒充填装置(例えば、サービス缶やタンク)との接続が確立される。この際、真空引き接続部や真空引きホース内の空気を予めエアパージ等によって抜く作業も行う。続いて、作業者は、低圧側・高圧側流路切換部4を、その指示が「HI」を示すよう回転させ、高圧側流路を開放し、冷媒を充填する。
【0038】
作業者は、冷媒を充填し、均圧に伴い冷媒の移動が停止したことを確認すると、今度は、低圧側・高圧側流路切換部4を、その指示が「LOW」を示すよう回転させ、高圧側流路を閉じ、低圧側流路を開放し、残りの冷媒を充填する。作業者は、全ての冷媒の充填が完了すると、装置流路切換部10と低圧・高圧側流路切換部4の両方を、それらの指示が「CLOSE」となるよう回転させ、全流路を閉じ、一連の作業が完了する。
【0039】
以上のように、本実施の形態によれば、一台のマニホールドゲージに、低圧・高圧側流路切換機構と装置流路切換機構をコンパクトに設けることで、冷媒の回収・充填に必要な装置を予めマニホールドゲージ本体に接続させたまま作業を行うことができ、かつ、操作性も高いため、作業効率を向上させることができる。
【0040】
(変形例1)
図9は、本発明の第1の実施形態によるマニホールドゲージ全体を側面から見た図の他の一例である。
図2及び
図3においては、デジタル圧力計3の表示画面が、低圧・高圧側流路切換部4及び装置流路切換部10が設けられる側面に対して垂直方向を向くように設置される例を示している。一方で、一連の作業において、装置側流路切換部10と比べて低圧・高圧側流路切換部4のほうを主として操作する場合も多く、
図9に示すように、低圧・高圧側流路切換部4を操作しながら、同時にデジタル圧力計3を確認したい作業者もいるものと思われる。
【0041】
このような要求に応えるため、
図8の変形例においては、デジタル圧力計3の表示画面が、低圧・高圧側流路切換部4が設けられる側面を向くように設けられる。反対に、装置側流路切換部10を操作する機会のほうが多ければ、デジタル圧力計3の表示画面を、装置側流路切換部10が設けられる側面を向くよう設けてもよく、または、表示画面を、低圧・高圧側流路切換部の側面、装置側流路切換部の側面、また、これらの側面と垂直方向に向くように適宜調整できるよう、表示画面を回動するための機構を設けてもよい。
【0042】
(第2の実施の形態)
図10は、本発明の第2の実施形態によるマニホールドゲージ全体を底面から見た図である。本実施の形態においては、特に、装置流路切換部の切換対象となる流路が、真空引き側流路及び充填側流路の2系統となっている点を特徴としている。
【0043】
図10に示すように、マニホールドゲージ本体22には、一端に低圧・高圧側流路切換部24が設けられ、他端に装置流路切換部30が設けられている。そして、マニホールドゲージ本体22の低圧・高圧側流路切換部24側に、低圧側ホースと接続する低圧側接続部25と高圧側ホースに接続する高圧側接続部26とが備えられ、また、マニホールドゲージ本体22の装置流路切換部30側に、チャージホースと接続する充填側接続部28と真空引きホースと接続する真空引き側接続部29とが備えられる。本実施の形態においては、真空引き側接続部29が、真空ポンプへの接続と冷媒回収装置への接続を兼務している。したがって、作業者は、冷媒回収作業を行った後、真空引き側接続部29の接続先を冷媒回収装置から真空ポンプに交換することになるので、第1の実施の形態と比べて、その分手間が増えるが、マニホールドゲージ本体2の構造(特に、装置流路切換部の構造)を簡略化することができ、かつ、装置流路切り換えの誤作動を軽減することは可能となる。また、マニホールドゲージ本体22は、外部装置への接続用、または、エアパージ用にサービスポート27A、27Bを設けることができる。
【0044】
図11は、本発明の第2の実施形態によるマニホールゲージ本体の流路切換部の外観図である。
図11(a)は、低圧側流路及び高圧側流路の切換部周辺のマニホールドゲージ本体22の外観を示す。前述の通り、マニホールドゲージ本体22には、低圧側流路及び高圧側流路の開閉の調節を操作するためのダイヤルノブ24が備えられる。また、マニホールドゲージ本体22には、流路を切り換えるにあたって、作業者がどの位置にダイヤルノブを回せばよいか理解できるよう、低圧側流路を開けるよう指示する位置に「LOW」と印字され、高圧側流路を開けるよう指示する位置に「HI」と印字されている。また、低圧側流路と高圧側流路両方開けるよう指示する位置には「HI-LOW」と印字され、低圧側流路と高圧側流路両方を閉めるよう指示する位置には、「CLOSE」と印字されている。マニホールドゲージ本体22の低圧側流路側には低圧側接続部25が、また、高圧側流路側には高圧側接続部26が備えられる。
【0045】
図11(b)は、真空引き側流路及び充填側流路の装置切換部周辺のマニホールドゲージ本体22の外観を示す。冷媒充填装置(例えば、サービス缶)及び真空引き装置(例えば、真空ポンプ)への接続を切り換えるダイヤルノブ30が備えられる。前述の通り、真空引き側接続部は、真空引き装置への接続と冷媒回収装置への接続とを兼務している。また、マニホールドゲージ本体22の表面には、流路を切り換えるにあたって、作業者がどの位置にダイヤルノブを回せばよいか理解できるよう、冷媒充填装置への接続を指示する位置に「充填」と印字され、真空引き装置への接続を指示する位置に「真空」と印字されている。マニホールドゲージ本体22の冷媒充填装置へと接続される流路側には充填側接続部28が、また、真空ポンプへと接続される流路側には真空引き側接続部29が設けられる。ここで、印字形態として、「回収・真空」と表示することもできるし、適宜変更することも可能である。
【0046】
図12は、本発明の第2の実施形態によるマニホールゲージ本体の長手方向の断面図であって、第一の状態を示す図である。
図12(a)に、
図12(b)に示す断面図の切断線(A-A’)を示す。また、
図12(a)に示すように、低圧・高圧側流路切換部24及び装置流路切換部30は、各々流路を閉じるよう「CLOSE」を指示している。
【0047】
図12(b)に示すように、低圧・高圧側流路切換部(ダイヤルノブ)24と装置流路切換部(ダイヤルノブ)30が、マニホールドゲージ本体22の両端に設けられ、各々の切換部は、ゲージ本体の内部において、ロッドを介してボールバルブ32及ボールバルブ33に各々接続されている。ボールバルブ32に隣接するように、高圧側接続部26に接続するように、高圧側流路34が備えられ、また、ボールバルブ33に隣接するように、真空引き接続部29に接続するように、真空引き側流路36が備えられる。
【0048】
ボールバルブ32及びボールバルブ33は、A-A’断面では、2口の開口部を有し、
図12(b)においては、1口は共通流路39と接続し、他の1口は閉流路のほうを向いている。したがって、本例においては、ボールバルブ32及びボールバルブ33の開口部は、高圧側流路34と真空引き側流路36の方を向いていないため、少なくとも、高圧側流路34と真空引き側流路36は閉じている状態といえる。
【0049】
図13は、本発明の第2の実施形態によるマニホールゲージ本体の長手方向の断面図であって、第二の状態を示す図である。
図13(a)に、
図13(b)に示す断面図の切断線(A-A’)を示す。また、
図13(a)に示すように、低圧・高圧側流路切換部24は、高圧側流路及び低圧側流路を開くように「HI-LOW」を指示し、また、装置流路切換部30は、真空引き側流路を開くように「真空」を指示している。
【0050】
本例のように、ダイヤルノブ24を「CLOSE」から「HI-LOW」に回すと、
図13(b)に示すように、ボールバルブ32の閉流路側を向いていた開口部の一つが高圧側流路34側に回転する。これにより、少なくともA-A’断面においては、ボールバルブ32の開口部の一つは、高圧側流路34と接続した状態になる。同様に、ダイヤルノブ30を「CLOSE」から「真空」に回すと、
図13(b)に示すように、ボールバルブ33の閉流路側を向いていた開口部の一つが真空引き側流路36側に回転する。これにより、少なくともA-A’断面においては、ボールバルブ33の開口部の一つは、真空引き側流路36に接続した状態になる。また、
図13(b)において、ボールバルブ32及びボールバルブ33は共に、その開口部の一つは、共通流路39と接続した状態となっている。
【0051】
図14は、本発明の第2の実施形態によるマニホールゲージ本体の装置流路切換部の流路切換を説明する図である。なお、本実施の形態において、マニホールドゲージ本体の低圧・高圧側流路切換部の構造は、第1の実施の形態と同じであり、また、その流路切換も同じであるので、説明を省略する。
図14(a)は、マニホールドゲージ本体22の装置流路切換部30側を横から見た図で、
図14(b)~(d)に示す断面図の切断線(C-C’)を示す。
【0052】
図14(b)のC-C’断面において、ボールバルブ33は、開口部を2口有している。
図12及び
図13においてボールバルブ33がA-A’断面において2口の開口部を有していたことを勘案すると、ボールバルブ13は計3口の開口部を有することになる。
図14(b)の断面図は、装置流路切換部30の指示が「CLOSE」の状態を示している。すなわち、この状態において、ボールバルブ33の開口部はいずれも閉流路の方向を向いており、真空引き側流路36及び充填側流路37への接続はいずれも閉ざされている。ここで、作業者は、低圧・高圧側流路切換部24の指示を「CLOSE」とし、全てのバルブを閉じることで、空調回路内の圧力確認を行う。
【0053】
次に、作業者は、真空引き側接続部29を、ホースを通じて冷媒回収装置に接続させる。そして、
図14(c)に示すように、装置流路切換部30を、その指示が「真空」を示すように回転させることで、ボールバルブ33の開口部が回収側流路36と接続されることで、真空引き側(充填側)流路を開き、また、低圧側流路及び高圧側流路の両方を開き、冷媒回収装置を始動することで冷媒回収作業を行う。
【0054】
ここで、冷媒回収作業が終わり、一旦、装置流路切換部30の指示を「CLOSE」にし、次に、真空引き作業を行うために、作業者が、装置流路切換部10を、その指示が「真空」を示すように回転させると、これに伴いボールバルブ33は、再度、
図14(b)から
図14(c)にかけて、反時計回りに90°回転し、開口部が、真空引き側流路36の方向を向き、開口部が真空引き側流路36と接続され、これにより、マニホールドゲージ21と真空ポンプとの接続が確立される。
【0055】
ここで、作業者は、低圧・高圧側流路切換部24を、その指示が「HI-LOW」を示すように回転させることで、低圧側流路及び高圧側流路の両方を開放し、真空ポンプを始動することで真空引き作業を行う。その後、低圧・高圧側流路切換部24を、その指示が「CLOSE」を示すよう回転させ、低圧側流路及び高圧側流路の両方を閉じ、真空引きを停止させ、リークテストを行い、異常がなければ真空引き作業は完了となる。
【0056】
真空引き作業が終わり、作業者は、装置流路切換部30を、その指示が「充填」を示すように回転させると、これに伴いボールバルブ33は、
図14(c)から
図14(d)にかけて、反時計回りに90°回転し、開口部が、充填側流路37の方向を向き、開口部が充填側流路37と接続され、これにより、マニホールドゲージ21と冷媒充填装置(例えば、サービス缶やタンク)との接続が確立される。この際、真空引き接続部や真空引きホース内の空気を予めエアパージ等によって抜く作業も行う。続いて、作業者は、低圧側・高圧側流路切換部24を、その指示が「HI」を示すよう回転させ、高圧側流路を開放し、冷媒を充填する。
【0057】
作業者は、冷媒を充填し、均圧に伴い冷媒の移動が停止したことを確認すると、今度は、低圧側・高圧側流路切換部24を、その指示が「LOW」を示すよう回転させ、高圧側流路を閉じ、低圧側流路を開放し、残りの冷媒を充填する。作業者は、全ての冷媒の充填が完了すると、装置流路切換部30と低圧・高圧側流路切換部24の両方を、それらの指示が「CLOSE」となるよう回転させ、全流路を閉じ、一連の作業が完了する。
【0058】
以上のように、本実施の形態によれば、一台のマニホールドゲージに、低圧・高圧側流路切換機構と装置流路切換機構をよりコンパクトに設けつつ、冷媒の回収・充填に必要な装置を切換える工数を減らして作業を行うことができるため、作業効率を向上させることができる。
【0059】
上述した実施の形態は、本発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができると共に、本発明にはその均等物が含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0060】
1 マニホールドゲージ
2 マニホールドゲージ本体
3 デジタル圧力計
4 低圧・高圧側流路切換部
5 低圧側接続部
6 高圧側接続部
7 サイトグラス
8 充填側接続部
9 真空引き側接続部
10 装置流路切換部
11 回収側接続部
12、13 ボールバルブ
14 高圧側流路
15 低圧側流路
16 真空引き側流路
17 充填側流路
18 回収側流路
19 共通流路
21 マニホールドゲージ
22 マニホールドゲージ本体
24 低圧・高圧側流路切換部
25 低圧側接続部
26 高圧側接続部
27 サービスポート
28 充填側接続部
29 真空引き側接続部
30 装置流路切換部
32、33 ボールバルブ
34 高圧側流路
35 低圧側流路
36 真空引き側流路
37 充填側流路
39 共通流路