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特許7158754ジェットミル及びジェットミルの稼働方法
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  • 特許-ジェットミル及びジェットミルの稼働方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-14
(45)【発行日】2022-10-24
(54)【発明の名称】ジェットミル及びジェットミルの稼働方法
(51)【国際特許分類】
   B02C 19/06 20060101AFI20221017BHJP
【FI】
B02C19/06 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020172268
(22)【出願日】2020-10-13
(65)【公開番号】P2022063894
(43)【公開日】2022-04-25
【審査請求日】2021-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】591173855
【氏名又は名称】杉山重工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090239
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 始
(74)【代理人】
【識別番号】100100859
【弁理士】
【氏名又は名称】有賀 昌也
(72)【発明者】
【氏名】杉山 大介
【審査官】瀧 恭子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-302965(JP,A)
【文献】特開2001-070826(JP,A)
【文献】特開2007-083104(JP,A)
【文献】特開2014-200721(JP,A)
【文献】米国特許第04553704(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 19/00-19/22
B01D 45/00-45/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に断面形状が円形の粉砕室を区画形成するとともに、粉砕室に原料を投入する供給路と、粉砕室から原料を排出する排出路を設けた円盤状のミル本体と、粉砕室中に高圧ガスを噴射するノズルを備え、供給路から粉砕室に投入された原料を高圧ガスで加速して、原料粒子同士の衝突で粉砕し、粉砕された原料を排出路から粉砕室の外部へ排出するジェットミルであって、
ミル本体を水平に高速回転させる駆動軸をミル本体の外底部の中央に連結し、
ミル本体の上部に粉砕室の中央部に連通する短筒体を突出して設け、
粉砕室の内周面に溝を形成し、
短筒体に内筒と外筒を駆動軸の回転中心線と同心状に挿入し、
内筒を粉砕室に連通させて前記供給路とし、
粉砕室の内底部の中央に、ミル本体の回転に伴い、供給路から粉砕室に投入された原料を粉砕室の内周面へ飛ばすアクセレータを設け、
内筒の外周面と外筒の内周面でガス流路を区画形成し、
前記ノズルをガス流路に接続するとともに、高速ガスが前記溝に向けて噴射されるように配設し、
外筒の外周面と短筒体の内周面で前記排出路を区画形成したことを特徴とするジェットミル。
【請求項2】
前記溝が先細りの断面形状を有するリング状の溝であることを特徴とする請求項1に記載のジェットミル。
【請求項3】
前記リング状の溝がV字形の断面形状を有することを特徴とする請求項2に記載のジェットミル。
【請求項4】
略直角三角形の断面形状を有する先端部と先端部の底辺から連続する矩形の断面形状を有する基部からなる一対のリング状のセラミックス製のランナーを先端部の斜辺が対向するように合体させて前記V字形の断面形状を有するリング状の溝を形成し、
前記粉砕室の内周面にリング状の嵌合凹部を形成し、該嵌合凹部に合体した一対のセラミックス製のランナーを、クッション材を介して嵌着したことを特徴とする請求項3に記載のジェットミル。
【請求項5】
前記アクセレータとして平面視S字形の羽根を設けたことを特徴とする請求項1に記載のジェットミル。
【請求項6】
ミル本体を連続的に回転させるとともに、ノズルからの高圧ガスの噴射を停止して粉砕室に原料を投入する第1供給ステップと、ノズルからの高圧ガスの噴射を停止したまま原料の供給を停止する第2ステップと、原料の供給を停止したままノズルから高圧ガスを噴射する第3ステップを繰り返すことを特徴とする請求項1に記載のジェットミルの稼働方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はジェットミル及びジェットミルの稼働方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ジェットミルの一形式として、特開2007-83104号公報には、水平に設置した円盤状のミル本体を備えたジェットミルが開示されている。
このミル本体の内部には断面形状が円形の粉砕室が区画形成され、ミル本体の上部周縁部には粉砕室に原料を投入する供給路が形成されている。ミル本体の外周部には粉砕室の内部に向けて高圧ガスを噴出するノズルが設けられている。また、ミル本体の上部中央には粉砕室の中央部に連通し、粉砕室から粉砕した原料を排出する排出路が設けられている。
【0003】
このジェットミルによれば、供給路から粉砕室に投入された原料がノズルから噴射される高圧ガスで加速され、原料粒子同士の衝突で粉砕される。そして、粉砕された原料が排出路から粉砕室の外部へ排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-83104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種のジェットミルにおいては、ノズルから噴出した高圧ガス流の分子が原料粒子に衝突し、高圧ガス流の分子がもつ運動エネルギーを原料粒子に与え、原料粒子同士の衝突擦過により原料の粉砕が行われる。
【0006】
上記した従来のジェットミルでは、粉砕室中に投入された原料にノズルから高速ガスが噴射されるとき、原料粒子は浮遊状態で高速ガス流に晒される。この状態では原料粒子は粉砕室中を動き回ることができるため、高速ガス流の運動エネルギーの多くが粉砕室中の気体温度の上昇に浪費され、粉砕エネルギーとして有効に利用されない。
また、原料粒子が粉砕室の内壁面に衝突して内壁面が摩耗し、原料中に不純物として混入するので、粉砕製品の品質が低下し、ジェットミルの耐久寿命も低下する。
本発明はかかる問題点に鑑み、粉砕効率及び耐久性に優れ、高品質の製品を製造できるジェットミル及びジェットミルの稼働法を提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、
内部に断面形状が円形の粉砕室を区画形成するとともに、粉砕室に原料を投入する供給路と、粉砕室から原料を排出する排出路を設けた円盤状のミル本体と、粉砕室中に高圧ガスを噴射するノズルを備え、供給路から粉砕室に投入された原料を高圧ガスで加速して、原料粒子同士の衝突で粉砕し、粉砕された原料を排出路から粉砕室の外部へ排出するジェットミルであって、
ミル本体を水平に高速回転させる駆動軸をミル本体の外底部の中央に連結し、
ミル本体の上部に粉砕室の中央部に連通する短筒体を突出して設け、
粉砕室の内周面に溝を形成し、
短筒体に内筒と外筒を駆動軸の回転中心線と同心状に挿入し、
内筒を粉砕室に連通させて前記供給路とし、
粉砕室の内底部の中央に、ミル本体の回転に伴い、供給路から粉砕室に投入された原料を粉砕室の内周面へ飛ばすアクセレータを設け、
内筒の外周面と外筒の内周面でガス流路を区画形成し、
前記ノズルをガス流路に接続するとともに、高速ガスが前記溝に向けて噴射されるように配設し、
外筒の外周面と短筒体の内周面で前記排出路を区画形成したことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のジェットミルにおいて、
前記溝が先細りの断面形状を有するリング状の溝であることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のジェットミルにおいて、
前記リング状の溝がV字形の断面形状を有することを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のジェットミルにおいて、
略直角三角形の断面形状を有する先端部と先端部の底辺から連続する矩形の断面形状を有する基部からなる一対のリング状のセラミックス製のランナーを先端部の斜辺が対向するように合体させて前記V字形の断面形状を有するリング状の溝を形成し、
前記粉砕室の内周面にリング状の嵌合凹部を形成し、該嵌合凹部に合体した一対のセラミックス製のランナーを、クッション材を介して嵌着したことを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載のジェットミルにおいて、
前記アクセレータとして平面視S字形の羽根を設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載のジェットミルの稼働方法であって、
ミル本体を連続的に回転させるとともに、ノズルからの高圧ガスの噴射を停止して粉砕室に原料を投入する第1供給ステップと、ノズルからの高圧ガスの噴射を停止したまま原料の供給を停止する第2ステップと、原料の供給を停止したままノズルから高圧ガスを噴射する第3ステップを繰り返すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載のジェットミルによれば、ミル本体を高速で水平回転させながら、内筒から原料を粉砕室の中央部に投入すると、アクセレータによって原料が粉砕室の内周面へ飛ばされ、内周面に形成した溝に集積される。溝に集積した原料粒子は高速で水平回転するミル本体の遠心力によって溝内に高密度で密集し、ノズルから噴射される高圧ガスで粉砕され、粉砕された原料は質量が小さくなるので粉砕室で舞い上がり、舞い上がった微粉砕原料は、排出路に印加される負圧で吸引され粉砕室から排出される。
本発明によれば、溝に集積した原料粒子は高速で水平回転するミル本体の遠心力によって溝内に高密度で密集するので、ノズルから高圧ガスを噴射したとき、飛散したり、浮遊するのを抑制できる。そのため、高速ガスの運動エネルギーが効率的に粉砕エネルギーに転化され、高い粉砕効率を得ることができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、原料が先細りの先端部に集中して集積するので、遠心力によって、より高密度に集積される。そのため高速ガスの運動エネルギーを、より効率的に粉砕エネルギーに転化できる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、V字形の先端部に高密度で原料が集積してデッドストック層と呼ばれるセルフライニング層が形成されるので、粉砕室の周壁の摩耗を抑制でき、粉砕室の耐久寿命が向上するとともに、摩耗により汚染物質が原料に混入するのを防止し、高品質の製品を得ることができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、クッション材を介してセラミックス製のランナーを嵌合凹部に嵌着したので、セラミックスランナーと嵌合凹部における熱膨張率の差に起因して生じる寸法誤差をクッション材で吸収できる。
しかして、本発明によれば、硬質なセラミックスランナーで断面形状がV字形のリング状の溝を形成するので、より一層、ジェットミルの耐久寿命と粉砕製品の品質が向上する。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、原料がS字形の羽根で粉砕室の内周面へ向けて飛ばされるので、内周面に形成した溝に速やかに集積され、粉砕効率が向上する。
【0018】
例えば、タングステン粒、鉄粒、銅粉等、比重の大きな原料の場合、投入された原料に高圧ガスを噴射したとき、比重が大きく重いので、遠心力によって直ぐ溝に集積され、高密度となる。
しかしながら、例えば、カーボン繊維、植物種子、医薬原料等、比重の小さい原料の場合、軽いため遠心力が作用しても溝に集積し難い。
請求項6に記載の発明によれば、第2ステップで、ノズルからの高圧ガスの噴射を停止したまま原料の供給を停止するので、この間に作用する遠心力によって原料を溝に集積させ、高密度化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施例に係るジェットミルの主要部を示す縦断断面図である。
図2】同ジェットミルのセラミックス製のランナーを示す斜視図である。
図3図2の3-3線から切断した断面図である。
図4】同ジェットミルのアクセレータを示す斜視図である。
図5】同アクセレータの平面図である。
【実施例
【0020】
以下に本発明を図面に基づき説明する。図1には本発明の一実施例に係るジェットミル10が示されている。当該ジェットミル10は筒構造の第1ハウジング11、第1ハウジング11に載置した第2ハウジング12及び第2ハウジング12に載置した第3ハウジング13を備えている。
【0021】
第1ハウジング11の上部フランジ11aと第2ハウジング12の下部フランジ12aがロアプレート14を挟んでボルト15で締め付けられている。このロアプレート14には軸受ユニット16がボルト17,18で固定され、軸受ユニット16に内蔵された軸受16aによって駆動軸19がロアプレート14に回転可能に取り付けられ、ロアプレート14から垂下している。この駆動軸19は図示略のモータに連結され、モータによって高速回転する。
【0022】
駆動軸19の上端部にはミル本体20の外底面がボルト21で連結され、駆動軸19によってミル本体20水平に高速回転させることができる。
ミル本体20は円盤状のアッパーケーシング22とロアケーシング23で構成されている。アッパーケーシング22とロアケーシング23がボルト24で締め付けて合体され、内部に円形の粉砕室20aが区画形成されている。このアッパーケーシング22の中央部には粉砕室20aに臨む開口20bが形成されている。また、アッパーケーシング22には粉砕室20aの中央部に連通する短筒体25がボルト26で固定され、粉砕室20aの開口20bから上方に突出している。
粉砕室20aの内周面にはリング状の嵌合凹部20cが形成され、嵌合凹部20cに上下一対のアルミナ製のランナー27,28がゴム製のクッション材44を介して嵌着されている。
【0023】
図2及び図3に示すように、各ランナー27、28はリング状に成型され、略直角三角形の断面形状を有する先端部27a,28aと、先端部27a,28aの底辺から連続する矩形の断面形状の基部27b,28bから成る。両ランナー27,28は先端部27a,28aの斜辺が対向するように合体され、これにより粉砕室20aの内周面にV字形の断面形状を有するリング状の溝20dが形成されている。
【0024】
粉砕室20aの内底面の中央部にはアクセレータ29が固設されている。図4及び図5に示すように、アクセレータ29は駆動軸19の上端部にネジ付けられ軸部29aと平面視がS字形の羽根29bから構成され、駆動軸19と一体に高速回転する。
【0025】
第2ハウジング12の上部フランジ12bにアッパープレート30がボルト31で固定され、アッパープレート30に第3ハウジング13の下部フランジ13aがボルト32で固定されている。そして、第3ハウジング13の上部フランジ13bにカバープレート33がボルト34で固定されている。第3ハウジング13の外周部には排出口35が取り付けられている。
【0026】
カバープレート33は中央部に開口33aが形成され、この開口33aに配管部材36と筒部材37が取り付けられている。配管部材36は中央部に貫通穴36aが形成されるとともに、貫通穴36aの内周面にリング溝36bが形成されている。またこのリング溝36bに連通する接続口36cが形成されている。筒部材37はヘッド部37aとヘッド部37aから垂設した外筒37b及び内筒37cから成る二重筒構造を有し、ヘッド部37aの外周面には、接続口36cに連通するリング溝37dが形成されている。接続口36cは図示略のコンプレッサに接続され、コンプレッサから高圧ガスが供給される。
【0027】
配管部材36は下端部がカバープレート33の開口33aに嵌入され、嵌入した配管部材36の貫通穴36aにOリング38を介して筒部材37のヘッド部37aが嵌入され、配管部材36と筒部材37がブラケット39とボルト40でカバープレート33に固定されている。配管部材36のリング溝36bと筒部材37のリング溝37dは連通し、外筒37bと内筒37cはアッパーケーシング22の短筒体25を通って粉砕室20aの中央部まで延びている外筒37bの下端部にはリング状の溝20dに向くようにノズル41が取り付けられている。また、外筒37bには予備のノズルを取り付けるための取付口がノズル41の反対の位置に設けられ、栓42で塞がれている。内筒37cの上端部にはホッパ部材43が接続されている。
【0028】
内筒37cはホッパ部材43から投入された原料を粉砕室20aへ供給する供給路10aとなる。また、内筒37cの外周面と外筒37bの内周面で、配管部材36の接続口36cから供給され、ノズル41から噴出する高圧ガスのガス流路10bが形成されている。さらにまた、外筒37bの外周面と短筒体25の内周面で、粉砕室20aで粉砕された原料を排出口35から排出する排出路10cが区画形成されている。
【0029】
本実施例に係るジェットミル10の構造は以上の通りであって、ミル本体20を高速で水平回転させながら、ホッパ部材43から、内筒37cで形成した供給路10aを通して原料を粉砕室20aの中央部に投入すると、アクセレータ29によって原料が粉砕室20aの内周面へ飛ばされ、内周面に形成したリング状の溝20dに集積される。
【0030】
リング状の溝20dに集積した原料粒子は高速で水平回転するミル本体20の遠心力によってリング状の溝20d内に高密度で密集し、ノズル41から噴射される高圧ガスで粉砕される。粉砕された原料は質量が小さくなるので粉砕室20aで舞い上がり、舞い上がった微粉砕原料は、図示略の真空ポンプから排出路10cに印加される負圧で吸引され粉砕室20aから排出口35を通って排出される。
【0031】
本実施例に係るジェットミル10によれば、リング状の溝20dに集積した原料粒子は高速で水平回転するミル本体20の遠心力によってリング状の溝20d内に高密度で密集するので、ノズル41から高圧ガスを噴射したとき、飛散したり、浮遊するのを抑制できる。そのため、高速ガスの運動エネルギーが効率的に粉砕エネルギーに転化され、高い粉砕効率を得ることができる。
【0032】
ところで、例えば、タングステン粒、鉄粒、銅粉等、比重の大きな原料の場合、投入された原料に高圧ガスを噴射したとき、比重が大きく重いので、遠心力によって直ぐリング状の溝20dに集積され、高密度となる。
しかしながら、例えば、カーボン繊維、植物種子、医薬原料等、比重の小さい原料の場合、軽いため遠心力が作用してもリング状の溝20dに集積し難い。
そのような場合、表1に示すように、ミル本体20を連続的に回転させるとともに、ノズル41からの高圧ガスの噴射を停止(T4)して粉砕室20aに原料を投入(T1)する第1供給ステップ(S1))と、ノズル41からの高圧ガスの噴射を停止(T4)したまま原料の供給を停止(T2)する第2ステップ(S2)と、原料の供給を停止(T2)したままノズル41から高圧ガスを噴射(T3)する第3ステップ(S3)を繰り返す。
この作動ステップ(S1~S3)によれば、第2ステップ(S2)で、ノズル41からの高圧ガスの噴射を停止したまま原料の供給を停止するので、この間に作用する遠心力によって原料をリング状の溝20dに集積させ、高密度化することができる。
また、原料の硬さに応じて時間T1~T4を調整することにより、所望の製品粒度をえることができる。
【0033】
【表1】
【0034】
本実施例に係るジェットミル10では、原料がV字形のリング溝20dの先細りの先端部27a,28aに集中して集積するので、遠心力によって、より高密度に集積される。そのため高速ガスの運動エネルギーを、より効率的に粉砕エネルギーに転化できる。
また、V字形の先端部27a,28aに高密度で集積した原料は、デッドストック層と呼ばれるセルフライニング層となるので、粉砕室20aの周壁の摩耗を抑制でき、粉砕室20aの耐久寿命が向上するとともに、摩耗により汚染物質が原料に混入するのを防止し、高品質の製品を得ることができる。
【0035】
クッション材44を介してセラミックス製のランナー27,28を嵌合凹部20cに嵌着したので、セラミックスランナー27,28と嵌合凹部20cにおける熱膨張率の差に起因して生じる寸法誤差をクッション材44で吸収できる。
硬質なセラミックスランナー27,28で断面形状がV字形のリング状の溝20dを形成するので、より一層、ジェットミル10の耐久寿命と粉砕製品の品質が向上する。
【0036】
原料がS字形の羽根29bで粉砕室20aの内周面へ向けて飛ばされるので、内周面に形成したリング状の溝20dに速やかに集積され、粉砕効率が向上する。
なお、本実施例では、粉砕室20aの内周面にリング状の溝20dを形成したが、内周面に垂直に溝を多数列設することもできる。
【符号の説明】
【0037】
10…ジェットミル
10a…供給路
10b…ガス流路
10c…排出路
11…第1ハウジング
12…第2ハウジング
13…第3ハウジング
14…ロアプレート
16…軸受ユニット
19…駆動軸
20…ミル本体
20a…粉砕室
20b…開口
20c…リング状の嵌合凹部
20d…リング状の溝
22…アッパーケーシング
23…ロアケーシング
25…短筒体
27,28…ランナー
27a,28a…先端部
27b,28b…基部
29…アクセレータ
29b…S字形の羽根
30…アッパープレート
33…カバープレート
33a…開口
35…排出口
36…配管部材
36a…貫通穴
36b…リング溝
36c…接続口
37…筒部材
37a…ヘッド部
37b…外筒
37c…内筒
37d…リング溝
38…Oリング
39…ブラケット
41…ノズル
42…栓
43…ホッパ部材
44…クッション材

図1
図2
図3
図4
図5