(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-14
(45)【発行日】2022-10-24
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20221017BHJP
【FI】
A63F7/02 304D
A63F7/02 330
(21)【出願番号】P 2021107438
(22)【出願日】2021-06-29
【審査請求日】2021-10-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】100150430
【氏名又は名称】河野 元
(74)【代理人】
【識別番号】100217191
【氏名又は名称】林 信吾
(72)【発明者】
【氏名】椿谷 悠
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 忠
【審査官】佐藤 高之
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-148014(JP,A)
【文献】特開2021-094251(JP,A)
【文献】特開2021-078960(JP,A)
【文献】特開2020-032030(JP,A)
【文献】特開2016-131815(JP,A)
【文献】特開2020-146088(JP,A)
【文献】特開2015-231432(JP,A)
【文献】特開2012-200338(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動部材と、
前記可動部材を第1の位置と第2の位置との間で移動操作する駆動源と、
前記第1の位置から前記第2の位置に向けて離れた前記可動部材を前記第1の位置に向けて付勢する付勢手段を備え、
前記駆動源は、前記可動部材を現在位置に止めるための保持力を前記可動部材に付与するものであって、
前記第1の位置および前記第2の位置が当該順序で上から下の上下方向に並んだ
設置状態では前記第1の位置から前記第2の位置に向けて離れた前記可動部材を前記付勢手段の付勢力および前記可動部材の自重に抗して当該状態に止め、且つ、前記第1の位置および前記第2の位置が上下方向に対して傾斜または交差して並んだ状態では前記可動部材が前記付勢手段の付勢力で前記第1の位置に戻ることを許容する磁気的な自己吸引力を電気的なオフ状態で生成するパルスモータであ
り、
前記設置状態では電気的なオフ状態とされることに応じて前記第1の位置から前記第2の位置に向けて離れた前記可動部材を前記付勢手段の付勢力および前記可動部材の自重に抗して当該状態に止め、電気的なオフ状態で上昇信号が与えられることに応じて電磁力で前記可動部材を現在位置から前記第1の位置に戻すように制御されることを特徴とするパチンコ遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパチンコ遊技機等の遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
上記遊技機には2つの位置間で移動可能な可動部材を備えたものがある。この可動部材はモータ等を駆動源として2つの位置間で移動操作されるものであり、遊技球の挙動を目で追うこととは異なる視覚的な趣向性を遊技者に与える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記遊技機の場合には可動部材が一方の位置から他方の位置に手動操作されることがある。この手動操作は遊技機を工場から出荷する前の検査時に遊技機を横向きに寝かせた状態で行われるものであり、可動部材が工場出荷にそぐわない他方の位置に静止したままの不都合に繋がる虞がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は可動部材が手動操作されたままの状態となる不都合を防止することが可能な遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の遊技機は、可動部材と、前記可動部材を第1の位置と第2の位置との間で移動操作する駆動源と、前記第1の位置から前記第2の位置に向けて離れた前記可動部材を前記第1の位置に向けて付勢する付勢手段を備え、前記駆動源は前記可動部材を現在位置に止めるための保持力を前記可動部材に付与するものであって、前記第1の位置および前記第2の位置が当該順序で上から下の上下方向に並んだ状態では前記第1の位置から前記第2の位置に向けて離れた前記可動部材を前記付勢手段の付勢力および前記可動部材の自重に抗して当該状態に止め、且つ、前記第1の位置および前記第2の位置が上下方向に対して傾斜または交差して並んだ状態では前記可動部材が前記付勢手段の付勢力で前記第1の位置に戻ることを許容する磁気的な自己吸引力を電気的なオフ状態で生成するパルスモータであり、前記設置状態では電気的なオフ状態とされることに応じて前記第1の位置から前記第2の位置に向けて離れた前記可動部材を前記付勢手段の付勢力および前記可動部材の自重に抗して当該状態に止め、電気的なオフ状態で上昇信号が与えられることに応じて電磁力で前記可動部材を現在位置から前記第1の位置に戻すように制御されるところに特徴を有する。
上記手段によれば、第1の位置および第2の位置が上下方向に対して交差または傾斜して並んだ状態では検査者が可動部材を第1の位置から第2の位置に向けて手動で移動操作した後に可動部材から手を離すことで可動部材が第1の位置に戻されるので、可動部材が工場出荷にそぐわない状態のまま遊技機が出荷されることを防止できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、可動部材が手動で移動操作されたままの状態となることを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施例に係る遊技機の正面図である。
【
図2】本発明の実施例に係る遊技機の裏面図である。
【
図3】本発明の実施例に係る遊技盤の正面図である。
【
図4】本発明の実施例に係る可動装飾器およびベース部材を斜め前から示す分解斜視図である。
【
図5】本発明の実施例に係る可動装飾器およびベース部材を斜め後から示す分解斜視図である。
【
図6】本発明の実施例に係るガイドローラの断面図である。
【
図7】本発明の実施例に係るベース部材の裏面図である。
【
図8】本発明の実施例に係る可動装飾器およびベース部材の裏面図である。
【
図9】本発明の実施例に係るサブ制御基板の処理内容を説明するためのフローチャートである。
【
図10】本発明の実施例に係るサブ制御基板の処理内容を説明するためのフローチャートである。
【
図11】本発明の実施例に係る遊技機の検査状態を説明するための図である。
【
図12】本発明の実施例に係るサブ制御基板の処理内容を説明するためのフローチャートである。
【
図13】本発明の実施例に係る電磁ソレノイドの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態は遊技球を遊技盤面に向けて発射することで遊技を進行させることが可能なパチンコ遊技機に本発明を適用したものであり、特には遊技球の始動口への入球に基づいて特別図柄の変動表示および停止表示を順に行い、特別図柄として大当り図柄が停止表示された場合に遊技者に賞球を利益として付与する大当り遊技(特別遊技)が実行される「1種タイプ」のパチンコ遊技機に本発明を適用したものである。
【0015】
以下の説明において、単に前側(前方)とは遊技機を正面視した場合の手前側(遊技時に遊技者が位置する側)のことであり、単に後側(後方)とは遊技機を正面視した場合の裏面側(背面側)のことである。また、単に上側(上方)、下側(下方)、左側(左方)、右側(右方)とは遊技機を正面視した場合の上・下・左・右の各方向のことである。
【実施例1】
【0016】
図2の外枠1はパチンコホールの台島に鉛直な姿勢で設置されるものである。この外枠1は両端面が開口する四角筒状をなすものであり、パチンコホールの台島に鉛直な姿勢で設置された設置状態では外形形状が前から見て縦長な長方形となり、前面および後面が開口した状態となる。この外枠1には額縁状の本体枠(図示せず)が装着されている。この本体枠は開放状態および閉鎖状態間で外枠1に対して回動可能にされたものであり、閉鎖状態で外枠1の前面を前から塞ぐ。この本体枠には、
図3に示すように、平板状の遊技盤2が着脱可能に装着されている。この遊技盤2は本体枠の閉鎖状態で外枠1の内部空間に収納されるものであり、外枠1の設置状態で外枠1と同じ鉛直な姿勢となる。
【0017】
外枠1には、
図1に示すように、前面枠3が装着されている。この前面枠3は外枠1および本体枠のそれぞれに対して開放状態および閉鎖状態間で回動可能にされたものであり、本体枠に対して閉鎖状態とされることに応じて本体枠を前から覆う。この前面枠3は透明な窓板4を有している。この窓板4は前面枠3の本体枠に対する閉鎖状態で遊技盤2に隙間を介して対向するものであり、遊技盤2の前面は前面枠3および本体枠の閉鎖状態で窓板4を通して前から視認可能にされている。この前面枠3には操作量(回転角度)に応じた発射強度で遊技球を発射させるための発射ハンドル5、遊技球を貯留し貯留した遊技球を発射装置側に供給可能な打球供給皿6、及び打球供給皿6に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿7が設けられている。
【0018】
遊技盤2には、
図3に示すように、発射ハンドル5の操作により発射された遊技球が流下する遊技領域8がレール部材9で囲まれて形成されている。この遊技領域8内には遊技球を誘導する複数の遊技釘が突設されており、レール部材9の先端には球戻り防止片10が設けられている。この球戻り防止片10は遊技領域8内に放出された遊技球が発射装置側へ戻ることを防止するものである。
【0019】
遊技領域8には、
図3に示すように、始動口11および大入賞口(図示せず)が設けられている。始動口11は上面が開口するポケット状をなすものであり、遊技球が上面から入球可能にされている。大入賞口は前面が開口する横長な箱状をなすものであり、開閉部材12を備えている。この開閉部材12は鉛直な閉鎖状態および水平な開放状態間で下端部の水平な軸を中心に回動可能にされたものであり、大入賞口の前面は開閉部材12の閉鎖状態で遊技球が入球不能に閉鎖され、開閉部材12の開放状態では遊技球が開閉部材12に乗って大入賞口内に前面から入球可能になる。
【0020】
本体枠の後面には、
図2に示すように、メイン制御基板13が固定されている。このメイン制御基板13はマイクロコンピュータを主体とするメイン制御回路が搭載されたものであり、遊技球が始動口11に入球することに応じて乱数値を取得する。この乱数値の取得結果に応じて大当りであるか否かを判定し、大当りであるか否かを判定した場合に複数の変動開始コマンドのうちから1つを選択する。このメイン制御基板13には特別図柄表示器14が接続されている。この特別図柄表示器14は、
図3に示すように、遊技盤2の前面に配置された複数のLED表示器からなるものであり、メイン制御基板13は変動開始コマンドの選択結果に応じた時間が経過したと判断した場合に特別図柄表示器14に特別図柄を表示する。この特別図柄は大当りであるか否かの判定結果を示すものであり、メイン制御基板13は大当りと判定した場合に特別図柄を大当りの態様で表示し、大当りでないと判定した場合に特別図柄を外れの態様で表示する。
【0021】
本体枠の後面には、
図2に示すように、払出制御基板15が固定されている。この払出制御基板15はマイクロコンピュータを主体とする払出制御回路が搭載されたものであり、メイン制御基板13は遊技球が始動口11に入球した場合および大入賞口に入球した場合のそれぞれに払出制御基板15に払出コマンドを出力する。この払出制御基板15は遊技球をパチンコホールの島設備から排出する払出装置を駆動制御するものである。この払出制御基板15はメイン制御基板13からの払出コマンドを検出することに応じて払出装置を駆動するものであり、払出装置から排出された遊技球は打球供給皿6に賞球として払出される。
【0022】
遊技領域8内には、
図3に示すように、画像表示装置に相当する液晶表示パネル16が固定されている。この液晶表示パネル16は演出図柄遊技の映像が背景映像の前方に重ねて表示されるものであり、演出図柄遊技の映像では液晶表示パネル16に「左」「中」「右」の横一列に並ぶ3つの演出図柄表示領域が設定される。
【0023】
本体枠の後面には、
図2に示すように、サブ制御基板17が固定されている。このサブ制御基板17はマイクロコンピュータを主体とするサブ制御回路が搭載されたものであり、メイン制御基板13は変動開始コマンドの選択結果および大当りであるか否かの判定結果をサブ制御基板17に出力する。このサブ制御基板17は液晶表示パネル16の表示内容を制御するものであり、メイン制御基板13からの変動開始コマンドを検出することに応じて液晶表示パネル16に演出図柄遊技の映像を表示開始する。このサブ制御基板17は制御手段に相当する。
【0024】
演出図柄遊技の映像は液晶表示パネル16の各演出図柄表示領域内に演出図柄をスクロール状態およびスクロール停止状態で順に表示するものである。これら各列のスクロール表示は演出図柄を「1」→「2」・・・「8」→「9」の昇順で変化させた後に「1」に戻して再び変化させるものであり、スクロール表示の停止まで繰り返される。これら各列の演出図柄のスクロール表示の停止は「1」~「9」のうちの1つで行われるものであり、「左列」→「右列」→「中列」の順序に設定されている。
【0025】
サブ制御基板17は大当りであるか否かの判定結果を検出することに応じて3列の演出図柄の組合せを設定し、変動開始コマンドの検出結果に応じた時間が経過するまでに3列のスクロール表示の全てを停止させるものであり、大当りであるか否かの判定結果を3列の演出図柄のスクロール停止状態での組合せによって遊技者に報知する。これら3列の演出図柄は特別図柄表示器14の特別図柄に比べて高い視認性を有するものであり、遊技者は大当りであるか否かの判定結果を特別図柄表示器14の特別図柄を見て直接的に認識するのではなく、液晶表示パネル16の3列の演出図柄の組合せから把握する。
【0026】
3列の演出図柄の組合せには「大当り」「外れリーチ」「完全外れ」の3種類が設定されている。 大当りの組合せは3列の演出図柄が互いに同一な組合せであり、「222」「777」等が大当りの組合せに該当する。外れリーチの組合せは左列の演出図柄および右列の演出図柄が互いに同一で中列の演出図柄が残りの両列の演出図柄と相違する組合せであり、「242」「797」等が外れリーチの組合せに該当する。完全外れの組合せは左列の演出図柄および右列の演出図柄が相違する組合せであり、「246」「798」等が完全外れの組合せに該当する。
【0027】
遊技領域8内には、
図3に示すように、センター装飾枠18が固定されている。このセンター装飾枠18は前から見て液晶表示パネル16を囲う枠状をなすものであり、液晶表示パネル16は前から見てセンター装飾枠18の中央部に視認可能に配置されている。このセンター装飾枠18には、
図4に示すように、ベース部材31が固定されている。このベース部材31は液晶表示パネル16の上側で左右方向へ指向するものであり、ベース部材31の後面には、
図5に示すように、左端部および右端部のそれぞれに位置してワイヤ掛け部49が設けられている。このベース部材31は液晶表示パネル16に比べて高所に配置されたものであり、ベース部材31の前方には、
図3に示すように、有色不透明な上遮蔽板32が配置されている。この上遮蔽板32はセンター装飾枠18に設けられたものであり、ベース部材31を前方から視認不能に隠している。この上遮蔽板32は遮蔽部材に相当する。
【0028】
ベース部材31の左端部および右端部のそれぞれには、
図4に示すように、アーム部33が設けられている。これら両アーム部33は前から見て液晶表示パネル16を挟んで左右方向に対向するものであり、各アーム部33の前方には、
図3に示すように、有色不透明な側遮蔽板34が配置されている。これら各側遮蔽板34はセンター装飾枠18に設けられたものであり、後方のアーム部33を前方から視認不能に隠している。
【0029】
ベース部材31の左側のアーム部33には、
図4に示すように、左側面および前面が開口する縦長な凹部35が設けられ、右側のアーム部33には右側面および前面が開口する縦長な凹部35が設けられており、各凹部35の前面は縦長なラックプレート36によって塞がれている。これら各ラックプレート36は後方のアーム部33に固定されたものであり、各ラックプレート36の前面には上下方向へ直線的に指向するラック37が設けられている。
【0030】
図5の可動装飾器40は液晶表示パネル16の表示内容に視覚的に連動して動作することに応じて3列の演出図柄が大当りの組合せとなることに対する遊技者の期待感を高めるものである。この可動装飾器は可動部材に相当するものであり、次のように構成されている。
【0031】
装飾部材41はベース部材31の両アーム部33に装着されるものであり、
図5に示すように、装飾部材41の左端部には支持部42およびワイヤ掛け部49が設けられ、右端部にも支持部42およびワイヤ掛け部49が設けられている。これら各支持部42は装飾部材41から側方へ突出するものであり、各支持部42には2つのガイドローラ43が水平な軸44(
図6参照)を中心に回転可能に装着されている。これら各ガイドローラ43は、
図6に示すように、アーム部33の凹部35内に収納されたものであり、アーム部33およびラックプレート36間に回転可能に配置されている。
【0032】
装飾部材41の各支持部42には、
図4および
図5に示すように、駆動モータ45が固定されている。これら各駆動モータ45は水平な回転軸を有するものであり、各駆動モータ45の回転軸にはピニオン46が固定されている。これら各ピニオン46はラックプレート36のラック37に前から噛合されており、可動装飾器40は両駆動モータ45の回転軸が互いに異なる方向へ回転操作されることに応じて鉛直方向へ自走する。可動装飾器40は以上のように構成されたものであり、
図5の符号48は両駆動モータ45からなる可動装飾器40の駆動源を示している。
【0033】
両駆動モータ45はサブ制御基板17に電気的に接続されており、サブ制御基板17は左側の駆動モータ45に正転信号を出力し且つ右側の駆動モータ45に逆転信号を出力することに応じて可動装飾器40を下降操作し、左側の駆動モータ45に逆転信号を出力し且つ右側の駆動モータ45に正転信号を出力することに応じて可動装飾器40を上昇操作する。以下、可動装飾器40を下降操作するための信号を下降信号と称し、上昇操作するための信号を上昇信号と称する。これら各駆動モータ45はパルスモータからなるものであり、各駆動モータ45の電気的なオフ状態での磁気的な自己保持力(ディテントトルク)および電気的なオン状態での磁気的な自己保持力(ホールディングトルク>ディテントトルク)のそれぞれは可動装飾器40を現在位置に静止させることに寄与する。
【0034】
図3の二点鎖線40は可動装飾器40を予め決められた通常位置で示すものである。この通常位置は第1の位置に相当するものであり、可動装飾器40の通常位置は可動装飾器40の全部が上遮蔽板32の後方に視認不能に隠れる位置に設定されている。この可動装飾器40は通常位置で前から見て液晶表示パネル16から上に外れるものであり、可動装飾器40の通常位置では両ピニオン46がラック37に噛合している。
【0035】
図3の実線40は可動装飾器40を予め決められた予告位置で示すものである。この予告位置は第2の位置に相当するものであり、可動装飾器40の予告位置は可動装飾器40の全部が上遮蔽板32から下に外れる位置に設定されている。この可動装飾器40は予告位置で液晶表示パネル16に前から重なるものであり、可動装飾器40の予告位置では両ピニオン46がラック37に噛合している。
【0036】
図5の弾性支持機構50は可動装飾器40を左右方向の目標位置に静止させるものであり、可動装飾器40が目標位置から左右方向へ移動した場合に目標位置に弾性支持機構50の弾性復元力で復帰する。この弾性支持機構50は次のように構成されている。
【0037】
ベース部材31には、
図4に示すように、2つのガイド溝51が設けられている。これら各ガイド溝51は左右方向へ直線的に指向するものであり、左側のガイド溝51は右側のガイド溝51に比べて高所に配置されている。これら各ガイド溝51内にはスライド片52が嵌合されている。これら各スライド片52はガイド溝51の内面に沿って左右方向へ直線的にスライド可能にされたものであり、各スライド片52には、
図7に示すように、動滑車53が前後方向へ指向する軸を中心に回転可能に装着されている。これら2つのスライド片52はスライド部材90を構成するものである。
【0038】
ベース部材31には、
図7に示すように、左端部および右端部のそれぞれに位置して定滑車54が前後方向へ指向する軸を中心に回転可能に装着され、各定滑車54の上に位置してワイヤ掛け部55が設けられている。これら各定滑車54および各ワイヤ掛け部55はベース部材31の後面から突出するものであり、各ワイヤ掛け部55にはワイヤ56の一端部が引掛けられている。これら各ワイヤ56はベース部材31の後方に位置するものであり、スライド片52の動滑車53およびベース部材31の定滑車54に架設されている。これら各ワイヤ56の他端部にはスイベルジョイント57が引掛けられており、各スイベルジョイント57はベース部材31の後で鉛直に垂下している。
【0039】
可動装飾器40の各ワイヤ掛け部49は、
図8に示すように、スイベルジョイント57に引掛けられており、可動装飾器40は両ワイヤ56によって液晶表示パネル16の前でベース部材31に吊持されている。この可動装飾器40の下降は両ガイド片52のそれぞれが相手側のガイド片52から遠ざかる離間方向へスライドすることに応じて許容されるものであり、可動装飾器40の上昇は両ガイド片52のそれぞれが相手側のガイド片52に接近する接近方向へスライドすることに応じて許容される。
【0040】
ベース部材31の後面には、
図7に示すように、左端部および右端部のそれぞれに位置してバネ掛け部58が設けられており、各バネ掛け部58には補助スプリング59の一端部が引掛けられている。これら両補助スプリング59のそれぞれはバネ定数および形状が互いに同一な引張りコイルスプリングからなるものであり、各補助スプリング59の他端部はスライド片52に引掛けられている。これら各補助スプリング59はばね部材に相当するものであり、符号60は2つの補助スプリング59からなる付勢手段を示している。
【0041】
両補助スプリング59のそれぞれは可動装飾器40の通常位置で自由状態に比べて互いに同一量だけ伸長した状態となるものであり、可動装飾器40の通常位置では一方の補助スプリング59からスライド片52およびワイヤ56を通して可動装飾器40の左右方向の一端部に下から上への牽引力が作用し、他方の補助スプリング59からスライド片52およびワイヤ56を通して可動装飾器40の左右方向の他端部に一端部と同一の大きさの牽引力が作用する。
【0042】
可動装飾器40は両駆動モータ45の電気的なオフ状態で通常位置および予告位置間の現在位置に静止するものであり、両駆動モータ45の電気的なオフ状態で可動装飾器40を現在位置に保持する可動装飾器40の保持力Fhは「可動装飾器40の現在位置での両補助スプリング59の合計のバネ力Fsと可動装飾器40の自重Fwとの間の差分」に比べて大きく設定されている。
【0043】
可動装飾器40の保持力Fhは両駆動モータ45の回転軸に作用する抵抗力を称するものであり、下記[1]~[3]を含んでいる。尚、両駆動モータ45の永久磁石と両駆動モータ45のコイルと両ピニオン46と両ラック37と4つのガイドローラ33とラックプレート36とアーム33は保持手段80(
図5参照)を構成するものである。
[1]両駆動モータ45のオフ状態での合計の磁気的な自己吸引力
[2]両ピニオン46のラック37に対する合計の回転抵抗力
[3]4つのガイドローラ43のアーム部33またはラックプレート37に対する合計の回転抵抗力
【0044】
各補助スプリング59は可動装飾器40が通常位置から予告位置に向けて下降することに応じて伸長するものであり、両補助スプリング59から可動装飾器40に作用する下から上への合計のバネ力Fsは可動装飾器40の予告位置で最大になる。この可動装飾器40は両駆動モータ45のオフ状態で予告位置に静止するものであり、要するに可動装飾器40の保持力Fhは可動装飾器40の現在位置に拘わらず「両補助スプリング59の合計のバネ力Fsと可動装飾器40の自重Fwとの間の差分」よりも大きく設定され、可動装飾器40は両駆動モータ45に対するパルス信号の印加が遮断されることに応じて現在位置で静止する。
【0045】
図9および
図10はサブ制御基板17の制御内容を示すものであり、サブ制御基板17はメイン制御基板13からの変動開始コマンドの選択結果および大当りであるか否かの判定結果を検出した場合に
図9のステップS1で判定結果が大当りであるか否かを判断する。ここで判定結果が大当りであると判断した場合にはステップS2でフラグFを高確率Xhでオンし、ステップS1で判定結果が大当りでないと判断した場合にはステップS3でフラグFを低確率Xl(<Xh)でオンする。
【0046】
サブ制御基板17は演出図柄遊技の映像で停止順序が第1の左列の演出図柄のスクロール表示を停止すると、
図10のステップS11でフラグFがオンされているか否かを判断する。ここでフラグFがオンされていると判断した場合にはステップS12でフラグFをオフし、ステップS13で両駆動モータ45に下降信号を出力する。この状態では可動装飾器40が通常位置に静止しており、可動装飾器40は両駆動モータ45が下降信号に応じた回転量だけ回転することに応じて予告位置に移動する。
【0047】
サブ出制御基板17は
図10のステップS13で可動装飾器40を通常位置から予告位置に下降操作すると、ステップS14で設定時間Tが経過したか否かを判断する。この設定時間Tは停止順序が1番目の左列の演出図柄の停止表示から停止順序が2番目の右列の演出図柄の停止表示に至るまでの時間に比べて短く設定されたものであり、サブ制御基板17はステップS14で設定時間Tが経過したと判断した場合にはステップS15で両駆動モータ45に上昇信号を出力する。この状態では可動装飾器40が予告位置に静止しており、可動装飾器40は両駆動モータ45が上昇信号に応じた回転量だけ回転することに応じて予告位置から通常位置に復帰する。
【0048】
可動装飾器40は演出図柄遊技の映像で左列の演出図柄のスクロール表示が停止した後から右列の演出図柄のスクロール表示が停止する前までの間に通常位置から予告位置に下降することに応じて遊技者から視認可能となるものである。この可動装飾器40の下降操作は3列の演出図柄が大当りの組合せとなる場合に高確率で実行され、大当りの組合せとならない場合に低確率で実行されるものであり、3列の演出図柄が大当りの組合せとなることに対する遊技者の期待感は遊技者が演出図柄遊技の映像で可動装飾器40を視認することに応じて高められる。
【0049】
パチンコ遊技機が工場から出荷される前にはパチンコ遊技機を横向きに寝かせた状態でパチンコ遊技機の検査が行われることがある。この検査は、
図11に示すように、電源の遮断状態で外枠1を水平な検査台Pの上面に載置した検査状態で行われるものであり、外枠1は長辺が水平となる姿勢で載置される。この検査状態では可動装飾器40の移動方向が設置状態に対して直交する水平方向となり、可動装飾器40の通常位置および予告位置が水平に並んだ左右方向となる。このパチンコ遊技機の検査時には検査者が可動装飾器40を通常位置から予告位置に手で引出し操作することがある。この検査状態では可動装飾器40の自重Fwが引出し操作の抵抗力とならず、可動装飾器40の引出し操作は可動装飾器40の保持力Fhと両補助スプリング59の合計のバネ力Fs力に抗して行われる。
【0050】
パチンコ遊技機の検査状態で検査者が可動装飾器40を予告位置に引出し操作した後に可動装飾器40から手指を離した場合には可動装飾器40が予告位置から通常位置に自己復帰する。この可動装飾器40の自己復帰時には可動装飾器40の自重Fwが復帰動作の抵抗力とならず、両補助スプリング59が可動装飾器40の保持力Fhに抗して可動装飾器40を通常位置に引き戻す。即ち、両補助スプリング59の合計のバネ力Fsは可動装飾器40の保持力Fhに比べて強く設定されている。
【0051】
上記実施例1によれば次の効果を奏する。
通常位置および予告位置が当該順序で上から下の上下方向に並んだ設置状態では通常位置から下の予告位置に向けて離れた可動装飾器40が当該状態に止められることを両補助スプリング59が許容する構成とした。このため、可動装飾器40が演出図柄遊技中に予告位置から自重でさらに下降することが防止されるので、予告演出の見た目が低下することが防止される。しかも、通常位置および予告位置が上下方向に対して交差して並んだ検査状態では両補助スプリング59が予告位置に引出された可動装飾器40を通常位置に戻す構成とした。このため、可動装飾器40が工場出荷にそぐわない予告位置に静止したままの状態でパチンコ遊技機が出荷される不都合が防止される。
【0052】
設置状態では可動装飾器40の保持力Fhが通常位置から下へ移動した可動装飾器40を両補助スプリング59のバネ力Fsおよび可動装飾器40の自重Fwに抗して現在位置に止める構成としたので、設置状態で可動装飾器40を現在位置に静止させる静止力が強められる。このため、予告演出中に遊技者が前面枠3を叩いたときの衝撃力が可動装飾器40に作用した場合にも可動装飾器40が予告位置に静止するようになるので、可動装飾器40が衝撃力で予告位置から通常位置に戻されてしまう場合とは異なり、遊技者に可動装飾器40を確実に予告位置で見せることが可能になる。しかも、検査状態では可動装飾器40が両補助スプリング59のバネ力Fsで予告位置から通常位置に戻ることを可動装飾器40の保持力Fhが許容する構成としたので、動装飾器40が工場出荷にそぐわない予告位置に静止したままの状態でパチンコ遊技機が出荷される不都合も防止される。
【0053】
可動装飾器40を通常位置で遊技者から視認不能に隠し、予告位置で視認可能に露出させる上遮蔽板32を設けた。このため、演出図柄遊技の映像で可動装飾器40が視野内に不意に飛込んだ驚き感を遊技者に与えることができるので、遊技の趣向性が高まる。しかも、可動装飾器40を予告位置に引出すことに応じて目視で検査をすることができるので、可動装飾器40の検査に不都合が生じることも防止される。
【0054】
可動装飾器40の左端部および右端部のそれぞれをスライド片52に連結し、左端部のスライド片52を一方の補助スプリング59によって左から右に向けて付勢し、右端部のスライド片52を他方の補助スプリング59によって右から左に向けて付勢したので、検査状態で可動装飾器40が両補助スプリング59のバネ力で上下方向の中央の目標位置に弾性的に位置決めされ、
図6に示すように、可動装飾器40の各ガイドローラ43の軸方向の端面が凹部35の壁面から離間した状態に保持される。このため、検査者がパチンコ遊技機の検査状態で可動装飾器40を通常位置から予告位置に引出し操作する場合に可動装飾器40の各ガイドローラ43の軸方向の端面が凹部35の壁面に接触し難くなるので、可動装飾器40の引出し操作を小さな力で円滑に行うことが可能になる。しかも、検査者がパチンコ遊技機の検査状態で予告位置の可動装飾器40から手指を離した場合に各ガイドローラ43の軸方向の端面および凹部35の壁面間が両補助スプリング59の弾性力によって離間状態に保たれるので、可動装飾器40を確実に通常位置に自己復帰させることが可能になる。
【実施例2】
【0055】
サブ制御基板17は
図12のステップS13で可動装飾器40を通常位置から予告位置に下降操作すると、ステップS21で両駆動モータ45にブレーキ信号を出力する。これら各駆動モータ45はサーボモータからなるものであり、ブレーキ信号が印加されることに応じて磁気吸引力でロックされた状態となる。このサーボモータ45のディテントトルクはパルスモータのディテントトルクに比べて弱く、両サーボモータ45はホールディングトルクでロックされる。この場合の可動装飾器40の保持力Fhは下記[1]~[3]を含んでいる。
[1]両駆動モータ45のオン状態での合計の磁気的な自己吸引力
[2]両ピニオン46のラック37に対する合計の回転抵抗力
[3]4つのガイドローラ43のアーム部33またはラックプレート37に対する合計の回転抵抗力
【0056】
サブ制御基板17は
図12のステップS14で設定時間Tが経過したと判断すると、ステップS22で両駆動モータ45に対するブレーキ信号を出力停止する。このブレーキ信号のオフ状態では両駆動モータ45のホールディングトルクが消滅してディテントトルクとなり、可動装飾器40の保持力が弱まるので、可動装飾器40が両補助スプリング59の合計のバネ力で予告位置から通常位置に復帰する。
【0057】
即ち、可動装飾器40の保持力は両駆動モータ45のオン状態で「両補助スプリング59の合計のバネ力と可動装飾器40の自重との間の差分」に比べて大きくなり、両駆動モータ45のオフ状態では「両補助スプリング59の合計のバネ力と可動装飾器40の自重との間の差分」に比べて小さくなるように設定されている。この可動装飾器40の両駆動モータ45のオフ状態での保持力は両補助スプリング59の合計のバネ力に比べて小さく設定されており、パチンコ遊技機の検査状態で検査者が可動装飾器40を通常位置から予告位置に引出し操作した後に可動装飾器40から手指を離した場合には可動装飾器40が両補助スプリング59のバネ力で通常位置に自己復帰する。
【0058】
上記実施例2によれば次の効果を奏する。
サブ制御基板17が両駆動モータ45に予告位置で電磁的なブレーキ力を印加する構成とした。このため、可動装飾器40を予告位置に静止させる静止力が強められるので、可動装飾器40が遊技者からの衝撃力で予告位置から通常位置に戻ってしまうことを一層確実に防止することが可能になる。
【0059】
尚、上記実施例2においては、各駆動モータ45としてパルスモータを用いても良い。
また、上記実施例1および2においては、パチンコ遊技機を水平な検査状態で検査する構成としたが、これに限定されるものではなく、例えば「設置状態」に比べて水平に近い傾斜した検査状態で検査する構成としても良い。この場合には検査状態での可動装飾器40の自重Fwの鉛直方向への分力Fθを考慮し、可動装飾器40が検査状態で予告位置から通常位置に戻るように、両補助スプリング59の合計のバネ力Fsを「可動装飾器40の保持力Fh+分力Fθ」に比べて大きく設定すると良い。
【実施例3】
【0060】
ベース部材31には、
図13に示すように、駆動源に相当する電磁ソレノイド61が固定されている。この電磁ソレノイド61は直動形の自己復帰形のものであり、圧縮コイルスプリングからなる復帰スプリング62を有している。この復帰スプリング62は付勢手段に相当するものであり、電磁ソレノイド61のプランジャ63は電磁ソレノイド61の電気的なオフ状態では復帰スプリング62のバネ力で上へ突出した突出状態に静止し、電磁ソレノイド61の電気的なオン状態では復帰スプリング62のバネ力に抗して下へ下降した退避状態に静止する。この電磁ソレノイド61はパチンコ遊技機の設置状態でプランジャ63の移動方向が鉛直となる姿勢で配置されたものである。この電磁ソレノイド61のプランジャ63は可動装飾器40に連結されており、可動装飾器40は電磁ソレノイド61のオフ状態で通常位置となり、電磁ソレノイド61のオン状態で予告位置となる。尚、両駆動モータ45および両ピニオン46は廃止されている。
【0061】
可動装飾器40の保持力は電磁ソレノイド61のプランジャ63に作用する抵抗力を称するものである。この保持力は下記[11]~[12]を含むものであり、電磁ソレノイド61のコイル64および4つのガイドローラ33は保持手段を構成するものである。
[11]電磁ソレノイド61のオン状態での磁気的な吸引力
[12]4つのガイドローラ43のアーム部33またはラックプレート37に対する合計の回転抵抗力
【0062】
パチンコ遊技機の設置状態で電磁ソレノイド61がオフ状態にされている場合にはプランジャ63が突出状態となることに応じて可動装飾器40が通常位置となる。この場合には復帰スプリング62のバネ力が可動装飾器40の自重を上回り、可動装飾器40が通常位置に静止する。このパチンコ遊技機の設置状態で電磁ソレノイド61がオンされた場合にはプランジャ63が退避状態となることに応じて可動装飾器40が予告位置へ移動する。この電磁ソレノイド61のオン状態では電磁ソレノイド61の磁気吸引力が「復帰スプリング62の上へのバネ力と可動装飾器40の下への自重との間の差分」を上回り、可動装飾器40が予告位置に静止する。この状態で電磁ソレノイド61がオフされた場合には電磁ソレノイド61の磁気吸引力が消滅し、プランジャ63が復帰スプリング62のバネ力で退避状態から突出状態となることに応じて可動装飾器40が通常位置に復帰する。この復帰スプリング63は付勢手段に相当するものであり、復帰スプリング63のバネ力は可動装飾器40の自重に比べて大きく設定されている。
【0063】
パチンコ遊技機の検査状態での可動装飾器40の引出し操作は復帰スプリング62のバネ力に抗して行われるものであり、検査者が可動装飾器40を通常位置から予告位置に引出し操作した後に可動装飾器40から手指を離した場合には可動装飾器40が予告位置から通常位置に復帰スプリング62のバネ力で復帰する。この場合には可動装飾器40の自重が復帰の抵抗力とならず、可動装飾器40が設置状態に比べて勢い良く通常位置に復帰する。
【0064】
上記実施例3によれば次の効果を奏する。
可動装飾器40の駆動源として直動形の電磁ソレノイド61を用いたので、電磁ソレノイド61のプランジャ63の移動方向と可動装飾器40の移動方向とが同一となる。このため、両補助スプリング59と両ワイヤ56と両ピニオン46等が不要になるので、駆動源の駆動力を可動装飾器40に伝達する機械的な伝達機構の構成が簡単になる。
【0065】
尚、上記実施例3においては、パチンコ遊技機を「設置状態」に比べて水平に近い傾斜した検査状態で検査する構成としても良い。この場合には検査状態での可動装飾器40の自重の鉛直方向への分力を考慮し、可動装飾器40が検査状態で予告位置から通常位置に戻るように、復帰スプリング62のバネ力を「可動装飾器40の分力」に比べて大きく設定すると良い。
【0066】
また、上記実施例1ないし3においては、可動装飾器40の全部を通常位置で視認不能としたが、これに限定されるものではなく、例えば可動装飾器40の大部分を視認不能とし且つ残余部を視認可能とする等、要は可動装飾器40の通常位置での視認性を予告位置での視認性に比べて劣る視認困難な状態とすれば良い。
また、上記実施例1ないし3においては、可動装飾器40の全部を予告位置で視認可能としたが、これに限定されるものではなく、例えば可動装飾器40の大部分を視認可能とし且つ残余部を視認不能とする等、要は可動装飾器40の予告位置での視認性を通常位置での視認性に比べて勝る視認容易な状態とすれば良い。
【0067】
また、上記実施例1ないし3においては、可動装飾器40を動作させることに応じて大当りの発生を予告したが、これに限定されるものではんく、例えばリーチの発生を予告しても良い。あるいは、可動装飾器40を図柄遊技の映像とは無関係に動作する単なる装飾器として用いても良い。
また、上記実施例1ないし3においては、本発明をパチンコ遊技機に適用したが、これに限定されるものではなく、例えばスロットマシンに適用しても良い。
また、本発明は上記実施例1ないし3に限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することが可能である。
【0068】
以下、本明細書で開示した実施形態に関連する発明を参考発明として開示する。
従来の遊技機には2つの位置間で移動可能な可動部材を備えたものがある。この可動部材はモータ等を駆動源として2つの位置間で移動操作されるものであり、遊技球の挙動を目で追うこととは異なる視覚的な趣向性を遊技者に与える(特開2002-177480号公報参照)この遊技機の場合には可動部材が一方の位置から他方の位置に手動操作されることがある。この手動操作は遊技機を工場から出荷する前の検査時に遊技機を横向きに寝かせた状態で行われるものであり、可動部材が工場出荷にそぐわない他方の位置に静止したままの不都合に繋がる虞がある。下記の[参考発明1]~[参考発明7]は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は可動部材が手動で移動操作されたままの状態となることを防止することが可能な遊技機を提供することにある。
【0069】
[参考発明1]
可動部材と、
前記可動部材を第1の位置と第2の位置との間で移動操作する駆動源と、前記第1の位置から前記第2の位置に向けて離れた前記可動部材を前記第1の位置に向けて付勢する付勢手段を備えたものであり、
前記付勢手段は、前記第1の位置および前記第2の位置が当該順序で上から下の上下方向に並んだ状態では前記第1の位置から前記第2の位置に向けて離れた前記可動部材が当該状態に止められることを許容し、前記第1の位置および前記第2の位置が上下方向に対して傾斜または交差して並んだ状態では前記可動部材を前記第1の位置に戻すものであるところに特徴を有する。
参考発明1によれば、第1の位置および第2の位置が上下方向に対して交差または傾斜して並んだ状態では検査者が可動部材を第1の位置から第2の位置に向けて手動で移動操作した後に可動部材から手を離すことで可動部材が第1の位置に戻されるので、可動部材が工場出荷にそぐわない状態のまま遊技機が出荷されることを防止できる。
【0070】
[参考発明2]
可動部材と、
前記可動部材を第1の位置と第2の位置との間で移動操作する駆動源と、
前記第1の位置から前記第2の位置に向けて離れた前記可動部材を前記第1の位置に向けて付勢する付勢手段と、前記可動部材を現在位置に止めるための保持力を前記可動部材に付与する保持手段を備えたものであり、
前記保持手段は、
前記第1の位置および前記第2の位置が当該順序で上から下の上下方向に並んだ状態では前記第1の位置から前記第2の位置に向けて離れた前記可動部材を前記付勢手段の付勢力および前記可動部材の自重に抗して当該状態に止め、前記第1の位置および前記第2の位置が上下方向に対して傾斜または交差して並んだ状態では前記可動部材が前記付勢手段の付勢力で前記第1の位置に戻ることを許容するものであるところに特徴を有する。
参考発明2によれば、第1の位置および第2の位置が上下方向に対して交差または傾斜して並んだ状態では検査者が可動部材を第1の位置から第2の位置に向けて手動で移動操作した後に可動部材から手を離すことで可動部材が第1の位置に戻されるので、可動部材が工場出荷にそぐわない状態のまま遊技機が出荷されることを防止できる。しかも、第1の位置および第2の位置が上下方向に並んだ状態では可動部材が保持手段の保持力で現在位置に静止するので、可動部材が不用意な外力で第1の位置に戻ることを防止することも可能になる。
【0071】
[参考発明3]
可動部材と、
前記可動部材を第1の位置と第2の位置との間で移動操作する駆動源と、
前記第1の位置から前記第2の位置に向けて離れた前記可動部材を前記第1の位置に向けて付勢する付勢手段と、
前記可動部材を現在位置に止めるための保持力を前記可動部材に付与するものであって、電気的なオン状態ではオフ状態に比べて強い保持力を付与する保持手段を備え、
前記保持手段は、
前記第1の位置および前記第2の位置が当該順序で上から下の上下方向に並んだ状態ではオン状態とされることで前記第1の位置から前記第2の位置に向けて離れた前記可動部材を前記付勢手段の付勢力および前記可動部材の自重に抗して現在位置に静止させ、
前記第1の位置および前記第2の位置が上下方向に対して傾斜または交差して並んだ状態ではオフ状態とされることで前記可動部材が前記付勢手段の付勢力で前記第1の位置に戻ることを許容するものであるところに特徴を有する。
参考発明3によれば、第1の位置および第2の位置が上下方向に並んだ状態では第1の位置から第2の位置に向けて離れた可動部材が駆動源のオンに応じて現在位置に静止する。このため、可動部材を現在位置に静止させる静止力が高まるので、可動部材が不用意な衝撃力で現在位置から第1の位置に戻されることを防止することが可能になる。しかも、第1の位置および第2の位置が上下方向に対して交差または傾斜して並んだ状態では駆動源がオフ状態にあることを条件に第1の位置から第2の位置に向けて移動した可動部材が付勢手段の付勢力で通常位置に戻される。このため、可動部材が検査用に第1の位置から第2の位置に向けて移動操作されたまま遊技機が出荷されることを防止することが可能になる。
【0072】
[参考発明4]
参考発明1ないし3のいずれかにおいて、
前記可動部材を前記第2の位置で遊技者から視認容易とするものでって前記第1の位置では前記第2の位置に比べて視認困難とする遮蔽部材を備えたところに特徴を有する。
参考発明4によれば、可動部材を第1の位置から第2の位置に移動操作することで可動部材が遊技者の視野内に不意に飛込んだ驚き感を遊技者に与えることができるので、遊技の趣向性が高まる。しかも、可動部材を第2の位置に手動で移動操作することに応じて目視で検査をすることができるので、可動部材の検査に不都合が生じることも防止できる。
【0073】
[参考発明5]
参考発明1ないし4のいずれかにおいて、
前記駆動源を駆動制御することに応じて前記可動部材を移動操作する制御手段を備えたものであり、前記制御手段は前記駆動源に電磁的なブレーキ力を印加することが可能なところに特徴を有する。
参考発明5によれば、可動部材を第1の位置から第2の位置に向けて離れた状態に静止させる静止力を強めることができるので、可動部材が不用意な外力で第1の位置に戻ることを防止することが可能になる。
【0074】
[参考発明6]
参考発明1ないし5のいずれかにおいて、
前記第1の位置および前記第2の位置が前記上下方向に並んだ状態で左右方向へ移動可能なものであって前記可動部材に連結されたスライド部材を備えたものであり、
前記付勢手段は、前記スライド部材を左から右または右から左のうちの一方向へ付勢するバネ部材と前記スライド部材を左から右または右から左のうちの他方向へ付勢するバネ部材を有しているところに特徴を有する。
参考発明6によれば、第1の位置および第2の位置が上下方向に対して交差または傾斜して並んだ状態で可動部材が左右方向の目標位置に弾性的に位置決めされるので、検査者が可動部材を第1の位置から手動で移動操作する動作および可動部材が付勢手段の付勢力で第1の位置に戻る動作が部品相互間の余分な接触抵抗を伴うことなく、円滑に行われる。
【0075】
[参考発明7]
参考発明1ないし6のいずれかにおいて、
前記駆動源は直動形の電磁ソレノイドであるところに特徴を有する。
参考発明7によれば、電磁ソレノイドのプランジャの移動方向と可動部材の移動方向とを同一化することが可能になるので、プランジャの駆動力を可動部材に伝達する機械的な伝達機構の構成を簡単化することができる。
【符号の説明】
【0076】
17はサブ制御基板(制御手段)、32は上遮蔽板(遮蔽部材)、40は可動装飾器(可動部材)、45は駆動モータ、48は駆動源、52はスライド片(スライド部材)、59は補助スプリング(バネ部材)、60は付勢手段、61は電磁ソレノイド(駆動源)、80は保持手段、90はスライド部材である。