(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-14
(45)【発行日】2022-10-24
(54)【発明の名称】3Dプリンタ及び3Dプリンタ用材料カートリッジ
(51)【国際特許分類】
B29C 64/259 20170101AFI20221017BHJP
B29C 64/112 20170101ALI20221017BHJP
B29C 64/321 20170101ALI20221017BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20221017BHJP
【FI】
B29C64/259
B29C64/112
B29C64/321
B33Y30/00
(21)【出願番号】P 2022003769
(22)【出願日】2022-01-13
【審査請求日】2022-01-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】594034005
【氏名又は名称】ホッティーポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089026
【氏名又は名称】木村 高明
(72)【発明者】
【氏名】堀田 秀敏
(72)【発明者】
【氏名】田鍋 史生
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3216830(JP,U)
【文献】特表2019-500237(JP,A)
【文献】特表2018-509321(JP,A)
【文献】特開2018-144486(JP,A)
【文献】特開2021-020473(JP,A)
【文献】特表2020-533209(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B33Y 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線硬化材料を積層しつつ紫外線により硬化させて造形物を製造する3Dプリンタであって、
前記紫外線硬化材料を収容した単一の材料カートリッジと、
前記材料カートリッジを交換可能に保持するカートリッジ保持部と、
前記カートリッジ保持手段に保持された前記材料カートリッジから前記紫外線硬化材料を射出させる材料射出手段と、
前記材料カートリッジから射出された前記紫外線硬化材料が積層されるステージ部と、
前記カートリッジ保持部と前記ステージ部とを互いに移動させる移動手段と、
前記ステージ部に射出された前記紫外線硬化材料に紫外線を照射する紫外線照射部と、を有し、
前記材料カートリッジは、
紫外線遮蔽材料により形成されたシリンジ状の材料容器部と、当該材料容器部に挿入されたピストン部と、を有し、
前記材料射出手段は、
前記紫外線硬化材料を前記材料容器部から射出させるべく圧縮空気により前記ピストン部を駆動するピストン駆動機構を有し、
前記材料カートリッジは、収容している前記紫外線硬化材料の種類が異なる複数種類のものが用意されており、前記材料容器部の上端には圧縮空気入口が設けられ、供給される圧縮空気により、前記ピストン部が押圧駆動されて、材料容器部の下端に設けられた吐出口から紫外線硬化材料を前記ステージ上に吐出するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の3Dプリンタ。
【請求項2】
前記材料カートリッジ、前記カートリッジ保持部、前記材料射出手段、前記ステージ部、前記移動手段及び前記紫外線照射部を覆う紫外線遮蔽体を有することを特徴とする
請求項1記載の3Dプリンタ。
【請求項3】
紫外線硬化材料を積層しつつ紫外線照射により硬化させて造形物を製造する3Dプリンタのカートリッジ保持部に交換可能に装着される材料カートリッジであって、
紫外線遮蔽材料により形成されたシリンジ状の材料容器部と、
前記状材料容器に挿入されたピストン部と、を有し、
前記紫外線硬化材料を前記材料容器部から射出させるべく、前記ピストン部が前記3Dプリンタのピストン駆動機構により駆動され、
前記材料容器部の上端には圧縮空気入口が設けられ、供給される圧縮空気により前記ピストン部が押圧駆動されて、材料容器部の下端に設けられた吐出口から紫外線硬化材料を前記ステージ上に吐出するように構成されていることを特徴とする、3Dプリンタ用材料カートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線硬化材料を積層しつつ紫外線により硬化させて造形物を製造する3Dプリンタの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
この種の3Dプリンタは、ディスペンサ部に充填する紫外線硬化材料を所望のものに入れ替えることで、所望の材質の製品(造形物)を製造することができる(特許文献1)。
【0003】
しかし、従来の3Dプリンタのディスペンサ部は、粘性を有する紫外線硬化材料が容易には排出され難い複雑な構造になっていたため、前回使用した材料の残滓が次回使用する材料に混入することによる製品の品質低下の問題、及び、ディスペンサ部内の洗浄のために長時間要することによる製品の製造効率低下の問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、製品を高品質且つ高効率に製造可能な3Dプリンタ及び3Dプリンタ用材料カートリッジを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の3Dプリンタは、紫外線硬化材料を積層しつつ紫外線により硬化させて造形物を製造する3Dプリンタであって、前記紫外線硬化材料を収容した材料カートリッジと、前記材料カートリッジを交換可能に保持するカートリッジ保持部と、前記カートリッジ保持手段に保持された前記材料カートリッジから前記紫外線硬化材料を射出させる材料射出手段と、前記材料カートリッジから射出された前記紫外線硬化材料が積層されるステージ部と、前記カートリッジ保持部と前記ステージ部とを互いに移動させる移動手段と、前記ステージ部に射出された前記紫外線硬化材料に紫外線を照射する紫外線照射部とを有し、前記材料カートリッジは、紫外線遮蔽材料により形成されたシリンジ状の材料容器部と、当該材料容器部に挿入されたピストン部とを有し、前記材料射出手段は、前記紫外線硬化材料を前記材料容器部から射出させるべく圧縮空気により前記ピストン部を駆動するピストン駆動機構を有し、前記材料カートリッジは、収容している前記紫外線硬化材料の種類が異なる複数種類のものが用意されており、前記材料容器部の上端には圧縮空気入口が設けられ、供給される圧縮空気により、前記ピストン部が押圧駆動されて、材料容器部の下端に設けられた吐出口から紫外線硬化材料を前記ステージ上に吐出するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の3Dプリンタである。
【0007】
請求項1記載の3Dプリンタは、カートリッジ保持部とステージ部とを相対移動させつつ、紫外線硬化材料を材料カートリッジからステージ部に射出するとともに、ステージ部上の紫外線硬化材料に紫外線を照射することにより、紫外線硬化材料を硬化させて造形物を製造する。
紫外線硬化材料は、材料カートリッジのシリンジ状の材料容器部に予め収容されており、材料射出手段が材料カートリッジのピストン部を駆動することによりステージ部に射出される。材料容器部は紫外線遮蔽材料により形成されているので、材料カートリッジ内の紫外線硬化材料は劣化することなく高品質に保たれる。
そして、この3Dプリンタは、材料カートリッジが交換可能であることにより、材料カートリッジを別の材料を収容している材料カートリッジに交換するだけで、使用する材料を別の材料に変えることができるので、従来のようなディスペンサ部の洗浄作業が不要である。よって、この3Dプリンタによれば、製品を高品質且つ高効率に製造可能である。
【0008】
請求項1記載の3Dプリンタは、請求項1記載の3Dプリンタにおいて、前記材料カートリッジは、収容している前記紫外線硬化材料の種類が異なる複数種類のものが用意されていることを特徴とする。このように、収容している紫外線硬化材料の種類が異なる複数種類の材料カートリッジが用意されていることにより、材料カートリッジを交換するだけで、紫外線硬化材料の種類が異なる複数種類の製品を高品質且つ高効率に製造可能である。また部分ごとに、異なる数種の材料で、1つの造形物を作成することも可能となる。
【0009】
請求項1記載の3Dプリンタは、前記ピストン駆動機構は、圧縮空気によりピストン部を駆動することを特徴とする。圧縮空気によりピストン部を駆動するピストン駆動機構を採用することで、比較的簡単な構成でピストン駆動機構を実現できるので、3Dプリンタの製造コスト及びメンテナンスコストを低減できる。
【0010】
請求項2記載の3Dプリンタは、前記材料カートリッジ、前記カートリッジ保持部、前記材料射出手段、前記ステージ部、前記移動手段及び前記紫外線照射部を覆う紫外線遮蔽体を有することを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の3Dプリンタによれば、外部からの紫外線の入射を紫外線遮蔽体により防止して、紫外線硬化材料からなる造形物を高品質に製造することができる。そして、材料容器部が紫外線遮蔽材料により形成されているので、紫外線遮蔽体と材料容器部とによる二重の紫外線遮蔽効果により、材料カートリッジに収容された紫外線硬化材料を外部からの紫外線から強力に保護することができる。
【0012】
請求項3記載の3Dプリンタ用材料カートリッジは、紫外線硬化材料を積層しつつ紫外線照射により硬化させて造形物を製造する3Dプリンタのカートリッジ保持部に交換可能に装着される材料カートリッジであって、紫外線遮蔽材料により形成されたシリンジ状の材料容器部と、前記状材料容器に挿入されたピストン部とを有し、前記紫外線硬化材料を前記材料容器部から射出させるべく、前記ピストン部が前記3Dプリンタのピストン駆動機構により駆動され、前記材料容器部の上端には圧縮空気入口が設けられ、供給される圧縮空気により前記ピストン部が押圧駆動されて、材料容器部の下端に設けられた吐出口から紫外線硬化材料を前記ステージ上に吐出するように構成されていることを特徴とする3Dプリンタ用材料カートリッジである。
【0013】
請求項3記載の3Dプリンタ用材料カートリッジによれば、材料容器部は紫外線遮蔽材料により形成されているので、材料カートリッジ内の紫外線硬化材料は劣化することなく高品質に保たれる。そして、この3Dプリンタ用材料カートリッジは、予め紫外線硬化材料を収容しており、3Dプリンタのカートリッジ保持部に交換可能に装着されるので、3Dプリンタのディスペンサ部の洗浄作業を不要にする。よって、この3Dプリンタ用材料カートリッジを使用可能な3Dプリンタによれば、製品を高品質且つ高効率に製造可能である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の3Dプリンタによれば、材料カートリッジに収容した紫外線硬化材料を高品質に保つことができ且つ材料カートリッジが交換可能であるので、製品を高品質且つ高効率に製造可能である。
【0015】
請求項1記載の3Dプリンタによれば、収容している紫外線硬化材料の種類が異なる複数種類のものが用意されているので、紫外線硬化材料の種類が異なる複数種類の製品を高品質且つ高効率に製造可能である。
【0016】
請求項1記載の3Dプリンタによれば、圧縮空気によりピストン部を駆動するという比較的簡単な構成でピストン駆動機構を実現できるので、3Dプリンタの製造コスト及びメンテナンスコストを低減できる。
【0017】
請求項2記載の3Dプリンタによれば、外部からの紫外線の入射を紫外線遮蔽体により防止して、紫外線硬化材料からなる造形物を高品質に製造することができる。材料容器部が紫外線遮蔽材料により形成されているので、紫外線遮蔽体と材料容器部とによる二重の紫外線遮蔽効果により、材料カートリッジに収容された紫外線硬化材料を外部からの紫外線から強力に保護しつつ、紫外線照射により高品質の製品を製造することができる。
【0018】
請求項3記載の3Dプリンタ用材料カートリッジは、予め紫外線硬化材料を収容しており、且つ、3Dプリンタのカートリッジ保持部に交換可能に装着されるので、これを使用可能な3Dプリンタによれば、製品を高品質且つ高効率に製造可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】一実施形態の3Dプリンタの全体の構造の概念図である。
【
図2】一実施形態の3Dプリンタの要部の構造の概念図である。
【
図3】一実施形態の3Dプリンタ用材料カートリッジの概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
[構成]
【0021】
[3Dプリンタ]
図1及び
図2に示すように、一実施形態の3Dプリンタ10は、紫外線硬化材料Mを射出するディスペンサ部20と、ディスペンサ部20から射出された紫外線硬化材料Mが積層されるステージ部30と、ディスペンサ部20とステージ部30とを互いに相対的に移動させる移動機構部40と、ステージ部30に射出された紫外線硬化材料Mに紫外線UVを照射する紫外線照射部50と、プリンタ本体60と、これら全てを覆う筐体70と、を有する。筐体70は紫外線を遮蔽するように構成されている。
【0022】
プリンタ本体60は、3Dプリンタ10の底部を構成する基部61と、基部61から上方に延びる二つの支持部62、63とを有する。ディスペンサ部20は一方の支持部62に支持されており、紫外線照射部50は他方の支持部63に支持されている。ステージ部30は、基部61上に設けられている。
【0023】
ディスペンサ部20は、紫外線硬化材料Mを収容した材料カートリッジ21と、材料カートリッジ21を交換可能に保持するカートリッジ保持部22と、カートリッジ保持部22に保持(装着)された材料カートリッジ21から紫外線硬化材料Mを射出させる圧縮空気供給部(材料射出手段)23と、を有する。
【0024】
カートリッジ保持部22は、昇降機構41を介して支持部62に支持されている。昇降機構41は、カートリッジ保持部22を上下方向(矢印Zで示す方向)に移動させる。
【0025】
圧縮空気供給部23は、支持部62に固定して設けられている。圧縮空気供給部23は、圧縮空気を吐出する圧縮空気吐出機構23aと、圧縮空気吐出機構23aから吐出された圧縮空気を、カートリッジ保持部22に装着された材料カートリッジ21に供給するための圧縮空気供給管23bと、を有している。
【0026】
図2に示すように、材料カートリッジ21は、シリンジ状の材料容器部21aと、材料容器部21aに挿入されたピストン部21bと、を有する。材料容器部21aの基端(上端)には、圧縮空気供給管23bが接続される圧縮空気入口21cが設けられている。材料カートリッジ21は、圧縮空気吐出機構23aから圧縮空気供給管23bを通して供給される圧縮空気Aにより、ピストン部21bが押圧されることにより、材料容器部21aの先端(下端)に設けられた吐出口21dから紫外線硬化材料Mを吐出する。材料容器部21a及びピストン部21bは紫外線遮蔽性の合成樹脂材料により形成されている。
【0027】
図1及び
図2に示すように、ステージ部30は、水平移動機構42を介して基部61に支持されている。水平移動機構42は、ステージ部30を左右方向(矢印Xで示す方向)及び前後方向(矢印Yで示す方向)に移動させる。
【0028】
移動機構部40は、昇降機構41及び水平移動機構42により構成される。すなわち、移動機構部40は、ディスペンサ部20とステージ部30とを互いに直交する3軸方向(上下、左右及び前後)に移動させ得る。
【0029】
紫外線照射部50は、光源としてUVランプ又はUV-LEDを備える。紫外線照射部50は、ステージ部30の中央部を含むワーク製造領域に積層された紫外線硬化材料Mに紫外線を均一に照射し得るように構成されている。この例では、一層分の紫外線硬化材料Mがステージ部30に吐出される毎に、ステージ部30のワーク製造領域が紫外線照射部50の紫外線照射範囲に入るようにステージ部30がY方向に沿って移動され、ステージ部30上の紫外線硬化材料Mに紫外線UVが照射される。
【0030】
3Dプリンタ10は図示しない制御装置を備える。制御装置は、製造すべき製品の3Dデータに基づいて、圧縮空気供給部23、移動機構部40及び紫外線照射部50を制御する。
【0031】
[3Dプリンタ用材料カートリッジ]
図3に示すように、材料カートリッジ21は、収容している紫外線硬化材料Mの種類が異なる複数種類の材料カートリッジ21A、21B、21C、・・・が用意されている。紫外線硬化材料Mは、予め一又は複数種類の硬化材料成分を含有させた溶液である。未使用の材料カートリッジ21の圧縮空気入口21c及び吐出口21dは、図示しない閉塞部材で塞がれている。閉塞部材は紫外線遮蔽性の合成樹脂材料により形成されている。
【0032】
[作用]
【0033】
上記のように構成された一実施形態の3Dプリンタ10は、カートリッジ保持部22とステージ部30とを互いに直交する3軸方向(上下、左右及び前後)に相対的に移動させつつ、紫外線硬化材料Mを材料カートリッジ21からステージ部30に射出するとともに、ステージ部30上の紫外線硬化材料Mに紫外線を照射することにより、紫外線硬化材料Mを硬化させて造形物を製造する。
紫外線硬化材料Mは、材料カートリッジ21のシリンジ状の材料容器部21aに予め収容されており、圧縮空気供給部23が材料カートリッジ21のピストン部21bを駆動することによりステージ部30に射出される。材料カートリッジ21は紫外線遮蔽材により形成されているので、材料カートリッジ21内の紫外線硬化材料Mは劣化することなく高品質に保たれる。
そして、この3Dプリンタ10は、材料カートリッジ21が交換可能であることにより、材料カートリッジ21を別の材料を収容している材料カートリッジ21に交換するだけで、使用する紫外線硬化材料Mを別の紫外線硬化材料Mに変えることができるので、従来のようなディスペンサ部の洗浄作業が不要である。
よって、この3Dプリンタ10によれば、製品を高品質且つ高効率に製造可能である。また、この3Dプリンタ10は、ディスペンサ部として、合成樹脂製の材料カートリッジ21を使用するので、金属製のディスペンサ部を備える従来の3Dプリンタと比較して安価に製造可能である。
【0034】
また、一実施形態の3Dプリンタ10は、材料カートリッジ21として、収容している紫外線硬化材料の種類が異なる複数種類の材料カートリッジ21A、21B、21C、・・・が用意されているので、材料カートリッジ21を交換するだけで、紫外線硬化材料Mの種類が異なる複数種類の製品を高品質且つ高効率に製造可能である。
【0035】
また、一実施形態の3Dプリンタ10は、ピストン駆動機構として、圧縮空気によりピストン部21bを駆動する圧縮空気供給部23を採用したことにより、比較的簡単な構成でピストン駆動機構を実現できるので、3Dプリンタ10の製造コスト及びメンテナンスコストを低減できる。
【0036】
また、一実施形態の3Dプリンタ10は、外部からの紫外線の入射を紫外線遮蔽体である筐体70により防止して、紫外線硬化材料Mからなる造形物を高品質に製造することができる。そして、材料カートリッジ21の材料容器部21a及びピストン部21bが紫外線遮蔽材料により形成されているので、筐体70と材料容器部21a及びピストン部21bとによる二重の紫外線遮蔽効果により、材料カートリッジ21に収容された紫外線硬化材料Mを外部の紫外線から強力に保護しつつ、紫外線照射により高品質の製品を製造することができる。
【0037】
また、一実施形態の材料カートリッジ21は、紫外線遮蔽材により形成されているので、材料カートリッジ21内の紫外線硬化材料Mは劣化することなく高品質に保たれる。そして、この材料カートリッジ21は、予め紫外線硬化材料Mを収容しており、3Dプリンタ10のカートリッジ保持部22に交換可能に装着されるので、3Dプリンタ10のディスペンサ部20の洗浄作業を不要にする。よって、この材料カートリッジ21を使用可能な3Dプリンタ10によれば、製品を高品質且つ高効率に製造可能である。
【0038】
なお、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態では、材料カートリッジ21の材料容器部21a及びピストン部21bが紫外線遮蔽材料により形成されているが、材料カートリッジ21に収容された紫外線硬化材料Mを外部の紫外線から保護することが可能であれば、必ずしもピストン部21bは紫外線遮蔽材料で形成される必要はない。
【0039】
また、上記実施形態では、移動機構部40は、ディスペンサ部20をステージ部30に対して上下に移動させる昇降機構41と、ステージ部30をディスペンサ部20に対して水平方向に移動させる水平移動機構42とを備えているが、昇降機構41を省略するとともに、水平移動機構42に代えて、ステージ部30をディスペンサ部20に対して3軸方向(上下、左右及び前後)に移動させる移動機構を採用してもよい。
【0040】
また、上記実施形態では、紫外線照射部50がプリンタ本体60に固定されているが、紫外線照射部50はディスペンサ部20に固定されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は3Dプリンタ及び3Dプリンタ用材料カートリッジに適用することができることから、広く産業上の利用可能性を有している。
【符号の説明】
【0042】
10 3Dプリンタ
20 ディスペンサ部
21 材料カートリッジ(3Dプリンタ用材料カートリッジ)
21A 材料カートリッジ(3Dプリンタ用材料カートリッジ)
21B 材料カートリッジ(3Dプリンタ用材料カートリッジ)
21C 材料カートリッジ(3Dプリンタ用材料カートリッジ)
21a 材料容器部
21b ピストン部
21c 圧縮空気入口
21d 吐出口
22 カートリッジ保持部
23 圧縮空気供給部(材料射出手段)
23a 圧縮空気吐出機構
23b 圧縮空気供給管
30 ステージ部
40 移動機構部
41 昇降機構
42 水平移動機構
50 紫外線照射部
60 プリンタ本体
61 基部
62 支持部
63 支持部
70 筐体(紫外線遮蔽体)
A 圧縮空気
M 紫外線硬化材料
UV 紫外線
【要約】
【課題】製品を高品質且つ高効率に製造可能な3Dプリンタを提供する。
【解決手段】3Dプリンタ10は、紫外線硬化材料を収容した材料カートリッジ21と、材料カートリッジ21を交換可能に保持するカートリッジ保持部22と、カートリッジ保持部22に保持された材料カートリッジ21から紫外線硬化材料を射出させる材料射出部23と、材料カートリッジ21から射出された紫外線硬化材料Mが積層されるステージ部30と、カートリッジ保持部22とステージ部30とを互いに移動させる移動機構部40と、ステージ部30に射出された紫外線硬化材料Mに紫外線UVを照射する紫外線照射部50とを有する。材料カートリッジ21は、紫外線遮蔽材料により形成されたシリンジ状の材料容器部と、材料容器部に挿入されたピストン部と、を有し、材料射出部23は、紫外線硬化材料Mを材料容器部から射出させるべくピストン部を駆動する。
【選択図】
図1