(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-14
(45)【発行日】2022-10-24
(54)【発明の名称】光超音波測定装置、方法、プログラム、記録媒体
(51)【国際特許分類】
A61B 8/13 20060101AFI20221017BHJP
【FI】
A61B8/13
(21)【出願番号】P 2017234813
(22)【出願日】2017-12-07
【審査請求日】2020-10-16
(73)【特許権者】
【識別番号】390005175
【氏名又は名称】株式会社アドバンテスト
(74)【代理人】
【識別番号】100097490
【氏名又は名称】細田 益稔
(72)【発明者】
【氏名】伊田 泰一郎
【審査官】永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-128320(JP,A)
【文献】特開2012-231980(JP,A)
【文献】特開2014-140631(JP,A)
【文献】特開2013-052225(JP,A)
【文献】特開2002-156452(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波パルスを出力する超音波パルス出力部と、
波長が異なるパルス光を出力する複数のパルス光出力部と、
前記超音波パルスおよび複数の前記パルス光の各々が出力されている時間が互いに重複しないように、前記超音波パルスおよび複数の前記パルス光の各々が出力される時点を制御するパルス出力時点制御部と、
前記超音波パルスが測定対象において反射された反射波および前記パルス光により前記測定対象において発生した光音響波に基づき前記測定対象を測定する測定部と、
を備え、
トリガ信号が、超音波パルス用トリガ信号および複数のパルス光用トリガ信号からなり、
前記超音波パルス用トリガ信号が、前記超音波パルスを発生させるために、前記超音波パルス出力部に与えられ、
前記パルス光用トリガ信号の各々が、前記パルス光を発生させるために、前記パルス光出力部の各々に与えられ、
前記パルス出力時点制御部が、
ある一つの前記パルス光出力部が前記パルス光を出力した時点に同期して出力する出力同期トリガ信号を遅延させて、ある一つの前記トリガ信号とする出力同期トリガ信号遅延部を有し、
前記出力同期トリガ信号が、電気パルスである光超音波測定装置。
【請求項2】
超音波パルスを出力する超音波パルス出力部と、波長が異なるパルス光を出力する複数のパルス光出力部とを有する光超音波測定装置による光超音波測定方法であって、
前記超音波パルスおよび複数の前記パルス光の各々が出力されている時間が互いに重複しないように、前記超音波パルスおよび複数の前記パルス光の各々が出力される時点を制御するパルス出力時点制御工程と、
前記超音波パルスが測定対象において反射された反射波および前記パルス光により前記測定対象において発生した光音響波に基づき前記測定対象を測定する測定工程と、
を備え、
トリガ信号が、超音波パルス用トリガ信号および複数のパルス光用トリガ信号からなり、
前記超音波パルス用トリガ信号が、前記超音波パルスを発生させるために、前記超音波パルス出力部に与えられ、
前記パルス光用トリガ信号の各々が、前記パルス光を発生させるために、前記パルス光出力部の各々に与えられ、
前記パルス出力時点制御工程が、
ある一つの前記パルス光出力部が前記パルス光を出力した時点に同期して出力する出力同期トリガ信号を遅延させて、ある一つの前記トリガ信号とする出力同期トリガ信号遅延工程を有し、
前記出力同期トリガ信号が、電気パルスである光超音波測定方法。
【請求項3】
超音波パルスを出力する超音波パルス出力部と、波長が異なるパルス光を出力する複数のパルス光出力部とを有する光超音波測定装置による光超音波測定処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記光超音波測定処理が、
前記超音波パルスおよび複数の前記パルス光の各々が出力されている時間が互いに重複しないように、前記超音波パルスおよび複数の前記パルス光の各々が出力される時点を制御するパルス出力時点制御工程と、
前記超音波パルスが測定対象において反射された反射波および前記パルス光により前記測定対象において発生した光音響波に基づき前記測定対象を測定する測定工程と、
を備え、
トリガ信号が、超音波パルス用トリガ信号および複数のパルス光用トリガ信号からなり、
前記超音波パルス用トリガ信号が、前記超音波パルスを発生させるために、前記超音波パルス出力部に与えられ、
前記パルス光用トリガ信号の各々が、前記パルス光を発生させるために、前記パルス光出力部の各々に与えられ、
前記パルス出力時点制御工程が、
ある一つの前記パルス光出力部が前記パルス光を出力した時点に同期して出力する出力同期トリガ信号を遅延させて、ある一つの前記トリガ信号とする出力同期トリガ信号遅延工程を有し、
前記出力同期トリガ信号が、電気パルスであるプログラム。
【請求項4】
超音波パルスを出力する超音波パルス出力部と、波長が異なるパルス光を出力する複数のパルス光出力部とを有する光超音波測定装置による光超音波測定処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータによって読み取り可能な記録媒体であって、
前記光超音波測定処理が、
前記超音波パルスおよび複数の前記パルス光の各々が出力されている時間が互いに重複しないように、前記超音波パルスおよび複数の前記パルス光の各々が出力される時点を制御するパルス出力時点制御工程と、
前記超音波パルスが測定対象において反射された反射波および前記パルス光により前記測定対象において発生した光音響波に基づき前記測定対象を測定する測定工程と、
を備え、
トリガ信号が、超音波パルス用トリガ信号および複数のパルス光用トリガ信号からなり、
前記超音波パルス用トリガ信号が、前記超音波パルスを発生させるために、前記超音波パルス出力部に与えられ、
前記パルス光用トリガ信号の各々が、前記パルス光を発生させるために、前記パルス光出力部の各々に与えられ、
前記パルス出力時点制御工程が、
ある一つの前記パルス光出力部が前記パルス光を出力した時点に同期して出力する出力同期トリガ信号を遅延させて、ある一つの前記トリガ信号とする出力同期トリガ信号遅延工程を有し、
前記出力同期トリガ信号が、電気パルスである記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光音響波および超音波の測定に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、パルス光を被測定物(例えば、生体)に照射することにより得られる光音響信号を測定する光音響測定装置が知られている。例えば、特許文献1および2には、複数の光源を有する光音響測定装置が開示されている。非特許文献1には、光音響測定装置の一種であるAR-PAMが開示されている。
【0003】
また、特許文献3には、照明光発生部および超音波発生部を一つずつ用いて、被測定物を測定する測定装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-047114号公報
【文献】特開2011-229660号公報
【文献】国際公開第2010/095487号
【文献】Zhang, Hao Fら、“Functional photoacoustic microscopy for high resolution andnoninvasive in vivo imaging”、Nature Biotechnology、2006年6月25日、Volume 24、Number 7、p.848-851
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、超音波発生部および複数のパルス光源を用いた測定装置は無い。
【0006】
そこで、本発明は、超音波発生部および複数のパルス光源を用いて測定することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる光超音波測定装置は、超音波パルスを出力する超音波パルス出力部と、波長が異なるパルス光を出力する複数のパルス光出力部と、前記超音波パルスおよび複数の前記パルス光の各々が出力されている時間が互いに重複しないように、前記超音波パルスおよび複数の前記パルス光の各々が出力される時点を制御するパルス出力時点制御部と、前記超音波パルスが測定対象において反射された反射波および前記パルス光により前記測定対象において発生した光音響波に基づき前記測定対象を測定する測定部とを備えるように構成される。
【0008】
上記のように構成された光超音波測定装置によれば、超音波パルス出力部が、超音波パルスを出力する。複数のパルス光出力部が、波長が異なるパルス光を出力する。パルス出力時点制御部が、前記超音波パルスおよび複数の前記パルス光の各々が出力されている時間が互いに重複しないように、前記超音波パルスおよび複数の前記パルス光の各々が出力される時点を制御する。測定部が、前記超音波パルスが測定対象において反射された反射波および前記パルス光により前記測定対象において発生した光音響波に基づき前記測定対象を測定する。
【0009】
なお、本発明にかかる光超音波測定装置は、トリガ信号が、超音波パルス用トリガ信号および複数のパルス光用トリガ信号からなり、前記超音波パルス用トリガ信号が、前記超音波パルスを発生させるために、前記超音波パルス出力部に与えられ、前記パルス光用トリガ信号の各々が、前記パルス光を発生させるために、前記パルス光出力部の各々に与えられるようにしてもよい。
【0010】
なお、本発明にかかる光超音波測定装置は、前記パルス出力時点制御部が、ある一つの前記トリガ信号を遅延させて、別の一つの前記トリガ信号とするトリガ信号遅延部を有するようにしてもよい。
【0011】
なお、本発明にかかる光超音波測定装置は、前記パルス出力時点制御部がある一つの前記パルス光出力部が前記パルス光を出力した時点に同期して出力する出力同期トリガ信号を遅延させて、ある一つの前記トリガ信号とする出力同期トリガ信号遅延部を有するようにしてもよい。
【0012】
なお、本発明にかかる光超音波測定装置は、前記パルス出力時点制御部が、前記パルス光を光電変換した電気パルスを遅延させて、ある一つの前記トリガ信号とする電気パルス遅延部を有するようにしてもよい。
【0013】
なお、本発明にかかる光超音波測定装置は、ある一つの前記パルス光出力部が、別の一つの前記パルス光出力部の出力する前記パルス光を受けて波長を変換して出力するものであり、別の一つの前記パルス光出力部の出力を、ある一つの前記パルス光出力部および前記測定対象のいずれに与えるかを切り替えることができる光スイッチを備えるようにしてもよい。
【0014】
なお、本発明にかかる光超音波測定装置は、移動制御パルスを受けて、前記超音波パルスおよび前記パルス光が前記測定対象に与えられる位置を移動させる移動部を備え、前記パルス出力時点制御部が、前記移動制御パルス、前記超音波パルスおよび複数の前記パルス光の各々が出力されている時間が互いに重複しないように、前記移動制御パルス、前記超音波パルスおよび複数の前記パルス光の各々が出力される時点を制御するようにしてもよい。
【0015】
なお、本発明にかかる光超音波測定装置は、前記移動制御パルスの立下りよりも後で、さらに別の前記超音波パルスおよび複数の前記パルス光の各々が出力されるようにしてもよい。
【0016】
本発明は、超音波パルスを出力する超音波パルス出力部と、波長が異なるパルス光を出力する複数のパルス光出力部とを有する光超音波測定装置による光超音波測定方法であって、前記超音波パルスおよび複数の前記パルス光の各々が出力されている時間が互いに重複しないように、前記超音波パルスおよび複数の前記パルス光の各々が出力される時点を制御するパルス出力時点制御工程と、前記超音波パルスが測定対象において反射された反射波および前記パルス光により前記測定対象において発生した光音響波に基づき前記測定対象を測定する測定工程とを備えた光超音波測定方法である。
【0017】
本発明は、超音波パルスを出力する超音波パルス出力部と、波長が異なるパルス光を出力する複数のパルス光出力部とを有する光超音波測定装置による光超音波測定処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記光超音波測定処理が、前記超音波パルスおよび複数の前記パルス光の各々が出力されている時間が互いに重複しないように、前記超音波パルスおよび複数の前記パルス光の各々が出力される時点を制御するパルス出力時点制御工程と、前記超音波パルスが測定対象において反射された反射波および前記パルス光により前記測定対象において発生した光音響波に基づき前記測定対象を測定する測定工程とを備えたプログラムである。
【0018】
本発明は、超音波パルスを出力する超音波パルス出力部と、波長が異なるパルス光を出力する複数のパルス光出力部とを有する光超音波測定装置による光超音波測定処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータによって読み取り可能な記録媒体であって、前記光超音波測定処理が、前記超音波パルスおよび複数の前記パルス光の各々が出力されている時間が互いに重複しないように、前記超音波パルスおよび複数の前記パルス光の各々が出力される時点を制御するパルス出力時点制御工程と、前記超音波パルスが測定対象において反射された反射波および前記パルス光により前記測定対象において発生した光音響波に基づき前記測定対象を測定する測定工程とを備えた記録媒体である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第一の実施形態にかかる光超音波測定装置1の構成を示す機能ブロック図である。
【
図2】第一の実施形態にかかるパルス出力時点制御部20の構成を示す機能ブロック図である。
【
図3】第一の実施形態にかかるトリガ信号T1、T2、T3のタイミングチャートである。
【
図4】第一の実施形態にかかる複数のパルス光P1、P2および超音波パルスP3のタイミングチャートである。
【
図5】第二の実施形態にかかる光超音波測定装置1におけるパルス出力時点制御部20の構成を示す機能ブロック図である。
【
図6】第二の実施形態の変形例にかかる光超音波測定装置1におけるパルス出力時点制御部20の構成を示す機能ブロック図である。
【
図7】第三の実施形態にかかる光超音波測定装置1におけるパルス出力時点制御部20の構成を示す機能ブロック図である。
【
図8】第四の実施形態にかかる光超音波測定装置1におけるパルス出力時点制御部20の構成を示す機能ブロック図である。
【
図9】第五の実施形態にかかる光超音波測定装置1の構成を示す機能ブロック図である。
【
図10】第五の実施形態にかかるパルス出力時点制御部20の構成を示す機能ブロック図である。
【
図11】第五の実施形態にかかる複数のパルス光P1、P2、超音波パルスP3および光音響波AW1、AW2、反射波USのタイミングチャートである。
【
図12】第五の実施形態の変形例にかかるパルス出力時点制御部20の構成を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0021】
第一の実施形態
図1は、本発明の第一の実施形態にかかる光超音波測定装置1の構成を示す機能ブロック図である。
【0022】
第一の実施形態にかかる光超音波測定装置1は、測定対象2(例えば、人体であるが、それに限定されない)を測定するためのものであり、パルス出力部10、パルス出力時点制御部20、パルス光出力部30a、30b、超音波パルス出力部32、測定部40を備える。
【0023】
パルス出力部10は、電気パルス(パルス光用トリガ信号T1と同じ)を出力する。
【0024】
複数のパルス光出力部30a、30bは、波長が異なるパルス光P1、P2を出力する。なお、
図1においては、パルス光出力部30a、30bが2個設けられているが、3個以上設けられていてもよい。超音波パルス出力部32は、超音波パルスP3を出力する。
【0025】
なお、パルス光用トリガ信号T1、T2の各々が、パルス光P1、P2を発生させるために、パルス光出力部30a、30bの各々に与えられる。パルス光出力部30aは、パルス光用トリガ信号T1に同期して、パルス光P1を発生し、測定対象2に与える。パルス光出力部30bは、パルス光用トリガ信号T2に同期して、パルス光P2を発生し、測定対象2に与える。
【0026】
超音波パルス用トリガ信号T3が、超音波パルスP3を発生させるために超音波パルス出力部32に与えられる。超音波パルス出力部32は、超音波パルス用トリガ信号T3に同期して、超音波パルスP3を発生し、測定対象2に与える。
【0027】
超音波パルス用トリガ信号T3および複数のパルス光用トリガ信号T1、T2を、トリガ信号という。
【0028】
測定部40は、超音波パルスが測定対象2において反射された反射波USおよびパルス光P1、P2により測定対象2において発生した光音響波AW1、AW2に基づき測定対象2を測定する。
【0029】
なお、パルス光P1、P2を測定対象2に照射し、測定部40にて光音響波AW1、AW2を受けるための構造としては、例えば、AR-PAMがあるが、AR-PAMに限定されるものではない。
【0030】
パルス出力時点制御部20は、超音波パルスP3および複数のパルス光P1、P2の各々が出力されている時間が互いに重複しないように、超音波パルスP3および複数のパルス光P1、P2の各々が出力される時点を制御する(
図4参照)。
【0031】
図2は、第一の実施形態にかかるパルス出力時点制御部20の構成を示す機能ブロック図である。パルス出力時点制御部20は、遅延部(トリガ信号遅延部)20a、20bを有する。
【0032】
パルス出力時点制御部20は、パルス出力部10から電気パルス(パルス光用トリガ信号T1と同じ)を受けて、そのまま出力し、パルス光出力部30aに与える。
【0033】
遅延部(トリガ信号遅延部)20aは、ある一つのトリガ信号T1を遅延させて、別の一つのトリガ信号T2として、パルス光出力部30bおよび遅延部20bに与える。遅延部(トリガ信号遅延部)20bは、ある一つのトリガ信号T2を遅延させて、別の一つのトリガ信号T3として、超音波パルス出力部32に与える。
【0034】
図3は、第一の実施形態にかかるトリガ信号T1、T2、T3のタイミングチャートである。トリガ信号T1が遅延してトリガ信号T2となり、トリガ信号T2が遅延してトリガ信号T3となる。トリガ信号T1、T2、T3が出力されている時間(Highになっている時間)は重複していない。
【0035】
図4は、第一の実施形態にかかる複数のパルス光P1、P2および超音波パルスP3のタイミングチャートである。
【0036】
トリガ信号T1、T2、T3に同期して、複数のパルス光P1、P2および超音波パルスP3が出力される。パルス光P2の立ち上がりは、パルス光P1の立ち上がりよりもΔt1遅れている。Δt1は、パルス光P1のパルス幅W1よりも大きい。超音波パルスP3の立ち上がりは、パルス光P2の立ち上がりよりもΔt2遅れている。Δt2は、パルス光P2のパルス幅W2よりも大きい。このように、超音波パルスP3および複数のパルス光P1、P2の各々が出力されている時間が互いに重複しない。
【0037】
なお、
図4においては、パルス光P1の後にパルス光P2が出力され、パルス光P2の後に超音波パルスP3が出力されている。しかし、必ずしも、パルス光P1、P2、超音波パルスP3の順番で出力されていなければならないというものではなく、出力の順番は任意である。
【0038】
次に、第一の実施形態の動作を説明する。
【0039】
まず、パルス出力部10は、電気パルス(パルス光用トリガ信号T1と同じ)を出力する。電気パルスは、パルス出力時点制御部20を通過して、パルス光用トリガ信号T1として、パルス光出力部30aに与えられる。
【0040】
パルス光用トリガ信号T1は、遅延部20aにより遅延され、パルス光用トリガ信号T2として、パルス光出力部30bに与えられる。
【0041】
パルス光用トリガ信号T2は、遅延部20bにより遅延され、超音波パルス用トリガ信号T3として、超音波パルス出力部32に与えられる。
【0042】
パルス光出力部30a、30bは、それそれ、波長が異なるパルス光P1、P2を出力する。超音波パルス出力部32は、超音波パルスP3を出力する。
【0043】
パルス光P1、P2および超音波パルスP3は、測定対象2に与えられる。パルス光P1が測定対象2に与えられることにより、光音響波AW1が発生する。パルス光P2が測定対象2に与えられることにより、光音響波AW2が発生する。超音波パルスP3が測定対象2に与えられると、反射される。この反射波が反射波USである。
【0044】
反射波USおよび光音響波AW1、AW2に基づき、測定部40によって測定対象2が測定される。
【0045】
第一の実施形態によれば、パルス出力時点制御部20によって、超音波パルスP3および複数のパルス光P1、P2の各々が出力されている時間が互いに重複しないので、アーティファクト信号を除外し、超音波出力部32および複数のパルス光出力部30a、30bを用いて測定することができる。
【0046】
第二の実施形態
第二の実施形態にかかる光超音波測定装置1は、ある一つのパルス光出力部30a(30b)がパルス光P1(P2)を出力した時点に同期して出力する出力同期トリガ信号T1out(T2out)を遅延させて、ある一つの前記トリガ信号T2(T3)とする点が、第一の実施形態にかかる光超音波測定装置1と異なる。
【0047】
図5は、第二の実施形態にかかる光超音波測定装置1におけるパルス出力時点制御部20の構成を示す機能ブロック図である。なお、第二の実施形態にかかる光超音波測定装置1の構成要素のうち、第一の実施形態と同様なものは、同一の符号を付して説明を省略する。測定対象2、パルス出力部10、超音波パルス出力部32および測定部40は、第一の実施形態と同様であり、説明を省略する。
【0048】
第二の実施形態にかかるパルス光出力部30a、30bは、第一の実施形態と同様であるが、出力同期トリガ信号T1out、T2outを出力する点が、第一の実施形態と異なる。
【0049】
第二の実施形態にかかるパルス光出力部30aは、パルス光P1を出力した時点に同期して出力同期トリガ信号T1outを出力する。第二の実施形態にかかるパルス光出力部30bは、パルス光P2を出力した時点に同期して出力同期トリガ信号T2outを出力する。
【0050】
第二の実施形態にかかるパルス出力時点制御部20は、第一の実施形態と同様であるが、遅延部(出力同期トリガ信号遅延部)20c、20dを有する。
【0051】
遅延部(出力同期トリガ信号遅延部)20cは、出力同期トリガ信号T1outを遅延させて、トリガ信号T2とする。遅延部(出力同期トリガ信号遅延部)20dは、出力同期トリガ信号T2outを遅延させて、トリガ信号T3とする。
【0052】
なお、トリガ信号T1、T2、T3のタイミングチャートは第一の実施形態と同様であり(
図3参照)、パルス光P1、P2、超音波パルスP3のタイミングチャートは第一の実施形態と同様であるので(
図4参照)、説明を省略する。
【0053】
次に、第二の実施形態の動作を説明する。
【0054】
まず、パルス出力部10は、電気パルス(パルス光用トリガ信号T1と同じ)を出力する。電気パルスは、パルス出力時点制御部20を通過して、パルス光用トリガ信号T1として、パルス光出力部30aに与えられる。
【0055】
パルス光出力部30aは、パルス光P1を出力する。さらに、パルス光出力部30aは、パルス光P1を出力した時点に同期して出力同期トリガ信号T1outを出力する。出力同期トリガ信号T1outは、遅延部20cにより遅延され、パルス光用トリガ信号T2として、パルス光出力部30bに与えられる。
【0056】
パルス光出力部30bは、パルス光P2を出力する。さらに、パルス光出力部30bは、パルス光P2を出力した時点に同期して出力同期トリガ信号T2outを出力する。出力同期トリガ信号T2outは、遅延部20dにより遅延され、超音波パルス用トリガ信号T3として、超音波パルス出力部32に与えられる。
【0057】
超音波パルス出力部32は、超音波パルスP3を出力する。
【0058】
これ以降の動作は、第一の実施形態と同様であり説明を省略する。
【0059】
第二の実施形態によれば、パルス出力時点制御部20によって、超音波パルスP3および複数のパルス光P1、P2の各々が出力されている時間が互いに重複しないので、アーティファクト信号を除外し、超音波出力部32および複数のパルス光出力部30a、30bを用いて測定することができる。
【0060】
なお、第二の実施形態においては、パルス光出力部30aおよびパルス光出力部30bの双方が、出力同期トリガ信号を出力する。しかし、パルス光出力部30aのみが、出力同期トリガ信号を出力することも考えられる。そこで、パルス光出力部30aのみが、出力同期トリガ信号を出力する場合を変形例として、
図6を参照して説明する。
【0061】
図6は、第二の実施形態の変形例にかかる光超音波測定装置1におけるパルス出力時点制御部20の構成を示す機能ブロック図である。
【0062】
変形例にかかるパルス出力時点制御部20は、遅延部20c、20eを有する。遅延部20cは、第二の実施形態と同様である。遅延部(出力同期トリガ信号遅延部)20eは、出力同期トリガ信号T1outを遅延させて、ある一つのトリガ信号T3とする。
【0063】
なお、トリガ信号T1、T2、T3のタイミングチャートは第二の実施形態と同様であり(
図3参照)、パルス光P1、P2、超音波パルスP3のタイミングチャートは第二の実施形態と同様であるので(
図4参照)、説明を省略する。
【0064】
第三の実施形態
第三の実施形態にかかる光超音波測定装置1は、パルス光P1(P2)を光電変換した電気パルスを遅延させて、ある一つのトリガ信号T2(T3)とする点が、第一の実施形態にかかる光超音波測定装置1と異なる。
【0065】
図7は、第三の実施形態にかかる光超音波測定装置1におけるパルス出力時点制御部20の構成を示す機能ブロック図である。なお、第三の実施形態にかかる光超音波測定装置1の構成要素のうち、第一の実施形態と同様なものは、同一の符号を付して説明を省略する。測定対象2、パルス出力部10、パルス光出力部30a、30b、超音波パルス出力部32および測定部40は、第一の実施形態と同様であり、説明を省略する。
【0066】
第三の実施形態にかかる光超音波測定装置1は、フォトダイオードPD1、PD2を備える。フォトダイオードPD1は、パルス光P1を光電変換した電気パルスを出力する。フォトダイオードPD2は、パルス光P2を光電変換した電気パルスを出力する。なお、光電変換できるものであれば、フォトダイオードPD1、PD2にかえて使用することができる。
【0067】
第三の実施形態にかかるパルス出力時点制御部20は、第一の実施形態と同様であるが、遅延部(電気パルス遅延部)20f、20gを有する。
【0068】
遅延部(電気パルス遅延部)20fは、フォトダイオードPD1の出力を遅延させて、トリガ信号T2とする。遅延部(電気パルス遅延部)20gは、フォトダイオードPD2の出力を遅延させて、トリガ信号T3とする。
【0069】
なお、トリガ信号T1、T2、T3のタイミングチャートは第一の実施形態と同様であり(
図3参照)、パルス光P1、P2、超音波パルスP3のタイミングチャートは第一の実施形態と同様であるので(
図4参照)、説明を省略する。
【0070】
次に、第三の実施形態の動作を説明する。
【0071】
まず、パルス出力部10は、電気パルス(パルス光用トリガ信号T1と同じ)を出力する。電気パルスは、パルス出力時点制御部20を通過して、パルス光用トリガ信号T1として、パルス光出力部30aに与えられる。
【0072】
パルス光出力部30aは、パルス光P1を出力する。パルス光P1は、フォトダイオードPD1により光電変換され、電気パルスとなり、遅延部20fにより遅延され、パルス光用トリガ信号T2として、パルス光出力部30bに与えられる。
【0073】
パルス光出力部30bは、パルス光P2を出力する。パルス光P2は、フォトダイオードPD2により光電変換され、電気パルスとなり、遅延部20gにより遅延され、超音波パルス用トリガ信号T3として、超音波パルス出力部32に与えられる。
【0074】
超音波パルス出力部32は、超音波パルスP3を出力する。
【0075】
これ以降の動作は、第一の実施形態と同様であり説明を省略する。
【0076】
第三の実施形態によれば、パルス出力時点制御部20によって、超音波パルスP3および複数のパルス光P1、P2の各々が出力されている時間が互いに重複しないので、アーティファクト信号を除外し、超音波出力部32および複数のパルス光出力部30a、30bを用いて測定することができる。
【0077】
第四の実施形態
第四の実施形態にかかる光超音波測定装置1は、光スイッチ34を用いて、パルス光P1およびP2の測定対象2への出力を切り替える点が、第一の実施形態にかかる光超音波測定装置1と異なる。
【0078】
図8は、第四の実施形態にかかる光超音波測定装置1におけるパルス出力時点制御部20の構成を示す機能ブロック図である。なお、第四の実施形態にかかる光超音波測定装置1の構成要素のうち、第一の実施形態と同様なものは、同一の符号を付して説明を省略する。測定対象2、パルス出力部10、パルス出力時点制御部20、パルス光出力部30a、超音波パルス出力部32および測定部40は、第一の実施形態と同様であり、説明を省略する。
【0079】
第四の実施形態にかかる光超音波測定装置1は、パルス光出力部30d、光スイッチ34を備える。
【0080】
なお、第四の実施形態のパルス出力時点制御部20の遅延部20aの出力するトリガ信号T2は、光スイッチ34に与えられる。
【0081】
パルス光出力部30dが、パルス光出力部30aの出力するパルス光P1を受けて波長を変換して出力する。この出力が、パルス光P2である。光スイッチ34は、パルス光出力部30aの出力P1を、パルス光出力部30dおよび測定対象2のいずれに与えるかを切り替えることができる。この切り替えは、光スイッチ34がトリガ信号T2を受けた時点に同期して行われる。
【0082】
例えば、光スイッチ34は、Highになったトリガ信号T2を受ける前は、パルス光出力部30aの出力P1を測定対象2に与える。光スイッチ34は、Highになったトリガ信号T2を受けた後は、パルス光出力部30aの出力P1をパルス光出力部30dに与える。
【0083】
なお、トリガ信号T1、T2、T3のタイミングチャートは第一の実施形態と同様であり(
図3参照)、パルス光P1、P2、超音波パルスP3のタイミングチャートは第一の実施形態と同様であるので(
図4参照)、説明を省略する。
【0084】
次に、第四の実施形態の動作を説明する。
【0085】
まず、パルス出力部10は、電気パルス(パルス光用トリガ信号T1と同じ)を出力する。電気パルスは、パルス出力時点制御部20を通過して、パルス光用トリガ信号T1として、パルス光出力部30aに与えられる。
【0086】
パルス光出力部30aは、パルス光P1を出力する。パルス光P1は、光スイッチ34を介して、測定対象2に与えられる。
【0087】
パルス光用トリガ信号T1は、遅延部20aにより遅延され、パルス光用トリガ信号T2として、光スイッチ34に与えられる。光スイッチ34は、パルス光P1の出力先を、パルス光出力部30dに切り替える。パルス光出力部30dから、パルス光P2が出力される。
【0088】
パルス光用トリガ信号T2は、遅延部20bにより遅延され、超音波パルス用トリガ信号T3として、超音波パルス出力部32に与えられる。超音波パルス出力部32は、超音波パルスP3を出力する。
【0089】
これ以降の動作は、第一の実施形態と同様であり説明を省略する。
【0090】
第四の実施形態によれば、パルス出力時点制御部20によって、超音波パルスP3および複数のパルス光P1、P2の各々が出力されている時間が互いに重複しないので、アーティファクト信号を除外し、超音波出力部32および複数のパルス光出力部30a、30bを用いて測定することができる。
【0091】
第五の実施形態
第五の実施形態にかかる光超音波測定装置1は、移動部50を備えた点が、第一の実施形態にかかる光超音波測定装置1と異なる。
【0092】
図9は、第五の実施形態にかかる光超音波測定装置1の構成を示す機能ブロック図である。
【0093】
第五の実施形態にかかる光超音波測定装置1は、パルス出力部10、パルス出力時点制御部20、パルス光出力部30a、30b、超音波パルス出力部32、測定部40、移動部50を備える。移動部50以外は、第一の実施形態と同様であり、同一の符号を付して説明を省略する。
【0094】
移動部50は、移動制御パルスP4を受けて、超音波パルスP3およびパルス光P1、P2が測定対象2に与えられる位置を移動させる。
【0095】
パルス出力時点制御部20は、移動制御パルスP4、超音波パルスP3および複数のパルス光P1、P2の各々が出力されている時間が互いに重複しないように、移動制御パルスP4、超音波パルスP3および複数のパルス光P1、P2の各々が出力される時点を制御する。
【0096】
図10は、第五の実施形態にかかるパルス出力時点制御部20の構成を示す機能ブロック図である。第五の実施形態にかかるパルス出力時点制御部20は、遅延部20a、20b、20kを有する。遅延部20a、20bは、第一の実施形態と同様であり、説明を省略する。
【0097】
遅延部20kは、トリガ信号T3を遅延させて、移動制御パルスP4とする。
【0098】
図11は、第五の実施形態にかかる複数のパルス光P1、P2、超音波パルスP3および光音響波AW1、AW2、反射波USのタイミングチャートである。
【0099】
移動制御パルスP4、超音波パルスP3および複数のパルス光P1、P2の各々が出力されている時間が互いに重複しない。しかも、光音響波AW1、AW2および反射波USが出力された後に、移動制御パルスP4が出力されている。
【0100】
次に、第五の実施形態の動作を説明する。
【0101】
まず、パルス出力部10は、電気パルス(パルス光用トリガ信号T1と同じ)を出力する。電気パルスは、パルス出力時点制御部20を通過して、パルス光用トリガ信号T1として、パルス光出力部30aに与えられる。
【0102】
パルス光用トリガ信号T1は、遅延部20aにより遅延され、パルス光用トリガ信号T2として、パルス光出力部30bに与えられる。
【0103】
パルス光用トリガ信号T2は、遅延部20bにより遅延され、超音波パルス用トリガ信号T3として、超音波パルス出力部32に与えられる。
【0104】
パルス光出力部30a、30bは、それそれ、波長が異なるパルス光P1、P2を出力する。超音波パルス出力部32は、超音波パルスP3を出力する。
【0105】
パルス光P1、P2および超音波パルスP3は、測定対象2に与えられる。パルス光P1が測定対象2に与えられることにより、光音響波AW1が発生する。パルス光P2が測定対象2に与えられることにより、光音響波AW2が発生する。超音波パルスP3が測定対象2に与えられると、反射される。この反射波が反射波USである。
【0106】
反射波USおよび光音響波AW1、AW2に基づき、測定部40によって測定対象2が測定される。
【0107】
超音波パルス用トリガ信号T3は、遅延部20kにより遅延され、移動制御パルスP4として、超音波パルス出力部32に与えられる。なお、反射波USおよび光音響波AW1、AW2が発生した後で、移動制御パルスP4が移動部50に与えられる。
【0108】
移動部50は、移動制御パルスP4を受けて、超音波パルスP3およびパルス光P1、P2が測定対象2に与えられる位置を移動させる。
【0109】
第五の実施形態によれば、パルス出力時点制御部20によって、移動制御パルスP4、超音波パルスP3および複数のパルス光P1、P2の各々が出力されている時間が互いに重複しないので、移動部50により超音波パルスP3およびパルス光P1、P2が測定対象2に与えられる位置を移動させながら、アーティファクト信号を除外し、超音波出力部32および複数のパルス光出力部30a、30bを用いて測定することができる。
【0110】
なお、第五の実施形態は、第一の実施形態に移動部50を追加したものに相当する。しかし、第二~第四の実施形態に移動部50を追加するようにしてもよい。
【0111】
また、第五の実施形態の変形例として、移動制御パルスP4の立下りよりも後で、さらに別の複数のパルス光P1、P2、超音波パルスP3が出力されるようにしてもよい。
【0112】
図12は、第五の実施形態の変形例にかかるパルス出力時点制御部20の構成を示す機能ブロック図である。
【0113】
移動制御パルスP4は、パルス出力部10にも与えられる。パルス出力部10は、トリガ信号T1を出力した後、移動制御パルスP4の立下りを検知する。その検知後に、さらに別のトリガ信号T1を出力する。これにより、移動制御パルスP4の立下りよりも後で、さらに別の複数のパルス光P1、P2、超音波パルスP3が出力される。
【0114】
また、上記の実施形態は、以下のようにして実現できる。CPU、ハードディスク、メディア(フロッピー(登録商標)ディスク、CD-ROMなど)読み取り装置を備えたコンピュータに、上記の各部分、例えばパルス出力時点制御部20および測定部40を実現するプログラムを記録したメディアを読み取らせて、ハードディスクにインストールする。このような方法でも、上記の機能を実現できる。
【符号の説明】
【0115】
P1、P2 パルス光
P3 超音波パルス
P4 移動制御パルス
US 反射波
AW1、AW2 光音響波
T1、T2 パルス光用トリガ信号
T1out、T2out 出力同期トリガ信号
T3 超音波パルス用トリガ信号
1 光超音波測定装置
2 測定対象
10 パルス出力部
20 パルス出力時点制御部
20a、20b 遅延部(トリガ信号遅延部)
20c、20d 遅延部(出力同期トリガ信号遅延部)
20f、20g 遅延部(電気パルス遅延部)
30a、30b、30d パルス光出力部
32 超音波パルス出力部
34 光スイッチ
40 測定部
50 移動部