(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-14
(45)【発行日】2022-10-24
(54)【発明の名称】車両用制御装置および車両用制御装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/00 20100101AFI20221017BHJP
B60Q 1/34 20060101ALI20221017BHJP
H05B 45/325 20200101ALI20221017BHJP
B60R 16/03 20060101ALI20221017BHJP
【FI】
H01L33/00 J
B60Q1/34 A
H05B45/325
B60R16/03 S
(21)【出願番号】P 2017175147
(22)【出願日】2017-09-12
【審査請求日】2020-07-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100120385
【氏名又は名称】鈴木 健之
(72)【発明者】
【氏名】外山 直人
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/166559(WO,A1)
【文献】特開2004-311215(JP,A)
【文献】国際公開第2016/111009(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00
B60Q 1/34
H05B 45/00
B60R 16/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、前記車両のバッテリから前記車両の負荷に供給される電圧を制御することで前記負荷の駆動を制御する車両用制御装置であって、
前記バッテリの正極と前記負荷の一端との間に接続され、前記バッテリから供給された電圧を前記負荷の駆動のための駆動電圧に変換して出力する電圧変換回路と、
前記電圧変換回路と前記負荷の一端との間に接続され、前記駆動電圧を前記負荷に供給することで前記負荷を駆動する負荷駆動回路と、
前記負荷駆動回路の出力側の出力ノードの電圧値を検出する電圧検出回路と、
前記電圧変換回路に対してPWM信号を出力し、前記PWM信号のデューティ比を制御することで前記駆動電圧の電圧値を制御する制御部と、
一端が前記バッテリの正極と前記電圧変換回路との間の入力ノード側に接続され、他端が前記制御部に接続され、前記入力ノードを経由して前記バッテリから供給された電圧を前記制御部の起動のための起動電圧に変換し、前記変換した起動電圧を前記制御部に供給する電源回路と、
一端が前記バッテリの正極側に接続され、他端が前記電源回路の一端側に接続され、オンすることで前記バッテリから前記電源回路に電圧を供給し、オフすることで前記バッテリから前記電源回路に電圧を供給しないイグニッションスイッチと、
一端が前記入力ノードに接続され、他端が前記制御部に接続され、オンすることで前記バッテリから前記制御部に電圧を供給し、オフすることで前記バッテリから前記制御部に電圧を供給しないLED駆動スイッチと、
を備え、
前記負荷は、少なくとも1つのLED素子を含み、
前記制御部は、
前記イグニッションスイッチがオンすることで前記電源回路から供給された前記起動電圧によって起動され、
起動後に、前記LED駆動スイッチがオンすることで前記バッテリから供給された電圧に応じて前記PWM信号の出力を開始し、前記駆動電圧の電圧値が、前記検出された出力ノードの電圧値と、規定された電流に対する前記負荷駆動回路における電圧降下分の電圧値との合計値になるように、前記PWM信号のデューティ比を制御することを特徴とする車両用制御装置。
【請求項2】
前記イグニッションスイッチは、一端が前記バッテリの正極に接続され、他端が前記入力ノードに接続され、オンすることで前記バッテリから前記電源回路および前記電圧変換回路の双方に電圧を供給し、オフすることで前記電源回路および前記電圧変換回路の双方に電圧を供給せず、
前記LED駆動スイッチは、前記イグニッションスイッチがオンした状態でオンすることで、前記バッテリから前記制御部に電圧を供給することを特徴とする請求項
1に記載の車両用制御装置。
【請求項3】
前記イグニッションスイッチは、一端が前記入力ノードに接続され、他端が前記電源回路の一端に接続され、
前記LED駆動スイッチは、前記イグニッションスイッチがオンした状態または前記制御部の起動後に前記イグニッションスイッチがオフした状態でオンすることで、前記バッテリから前記制御部に電圧を供給することを特徴とする請求項
1に記載の車両用制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記PWM信号の出力の開始時は、前記PWM信号のデューティ比を最大値に設定し、前記PWM信号の出力の開始後は、前記PWM信号のデューティ比を前記検出された出力ノードの電圧値に応じたデューティ比に制御することを特徴とする請求項
1乃至3のいずれか1項に記載の車両用制御装置。
【請求項5】
前記LED駆動スイッチは、ウインカスイッチであり、
前記負荷駆動回路は、オンすることで前記負荷に前記駆動電圧を供給し、オフすることで前記駆動電圧の供給を停止するスイッチ回路を有し、
前記制御部は、前記LED駆動スイッチがオンすることで前記バッテリから供給された電圧に応じて、前記負荷に含まれる前記LED素子の点滅周期に応じた設定周期で前記スイッチ回路をオンオフする制御信号を前記スイッチ回路に出力することを特徴とする請求項
1乃至4のいずれか1項に記載の車両用制御装置。
【請求項6】
前記電圧検出回路は、前記LED駆動スイッチがオンしたときに前記出力ノードの電圧値を検出し、一方、前記LED駆動スイッチがオフしたときに前記出力ノードの電圧値を検出しないことを特徴とする請求項
1乃至5のいずれか1項に記載の車両用制御装置。
【請求項7】
前記規定された電流に対する前記負荷駆動回路における電圧降下分の電圧値が記憶された記憶部を更に備え、
前記制御部は、
前記検出された出力ノードの電圧値と、前記記憶された負荷駆動回路における電圧降下分の電圧値との合計値を算出し、
前記駆動電圧の電圧値が前記算出された合計値になるように前記PWM信号のデューティ比を制御することを特徴とする請求項
1乃至6のいずれか1項に記載の車両用制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記LED駆動スイッチがオンした後に、前記検出された出力ノードの電圧値の変化に応じて、前記検出された出力ノードの電圧値と、前記記憶された負荷駆動回路における電圧降下分の電圧値との合計値を継続的に算出し、
前記駆動電圧の電圧値が前記算出された合計値になるように前記PWM信号のデューティ比を継続的に制御することを特徴とする請求項
7に記載の車両用制御装置。
【請求項9】
予め設定された前記出力ノードの複数の電圧値と、前記駆動電圧の電圧値を前記出力ノードの複数の電圧値のそれぞれと前記規定された電流に対する前記負荷駆動回路における電圧降下分の電圧値との合計値にするように設定された前記PWM信号の複数のデューティ比と、が互いに対応付けて記憶された記憶部を更に備え、
前記制御部は、
前記検出された出力ノードの電圧値に対応する前記PWM信号のデューティ比を前記記憶部から読み出し、前記読み出されたデューティ比の前記PWM信号を前記電圧変換回路に出力することで、前記PWM信号のデューティ比を制御することを特徴とする請求項
1乃至6のいずれか1項に記載の車両用制御装置。
【請求項10】
前記スイッチ回路は、
一端が前記電圧変換回路に接続され、他端が前記負荷の一端に接続された第1トランジスタと、
一端が前記第1トランジスタの制御端子に接続され、他端が固定電位に接続され、制御端子が前記制御部に接続された第2トランジスタと、を有することを特徴とする請求項
5に記載の車両用制御装置。
【請求項11】
前記入力ノードと前記電圧変換回路との間のノードと第2の負荷の一端との間に接続され、前記バッテリから供給された電圧を前記第2の負荷の駆動のための第2の駆動電圧に変換して出力する第2の電圧変換回路と、
前記第2の電圧変換回路と前記第2の負荷の一端との間に接続され、前記第2の駆動電圧を前記第2の負荷に供給することで前記第2の負荷を駆動する第2の負荷駆動回路と、
前記第2の負荷駆動回路の出力側の第2の出力ノードの電圧値を検出する第2の電圧検出回路と、を更に備え、
前記LED駆動スイッチは、前記制御部に接続された前記LED駆動スイッチの第1接点および第2接点のいずれか一方側にオンし、
前記制御部は、
前記LED駆動スイッチが前記第1接点側にオンした場合に、前記電圧変換回路に前記PWM信号を出力し、前記駆動電圧の電圧値が、前記検出された出力ノードの電圧値と、前記負荷駆動回路における電圧降下分の電圧値との合計値になるように、前記PWM信号のデューティ比を制御し、且つ、前記負荷に前記駆動電圧を供給するように前記負荷駆動回路を制御し、
一方、
前記LED駆動スイッチが前記第2接点側にオンした場合に、前記第2の電圧変換回路に第2のPWM信号を出力し、前記第2の駆動電圧の電圧値が、前記検出された第2の出力ノードの電圧値と、規定された電流に対する前記第2の負荷駆動回路における電圧降下分の電圧値との合計値になるように、前記第2のPWM信号のデューティ比を制御し、且つ、前記第2の負荷に前記第2の駆動電圧を供給するように前記第2の負荷駆動回路を制御することを特徴とする請求項
1に記載の車両用制御装置。
【請求項12】
前記電圧変換回路と前記負荷駆動回路との間のノードと第2の負荷の一端との間に接続され、前記第2の負荷に第2の駆動電圧を供給することで前記第2の負荷を駆動する第2の負荷駆動回路と、
前記第2の負荷駆動回路の出力側の第2の出力ノードの電圧値を検出する第2の電圧検出回路と、を更に備え、
前記LED駆動スイッチは、前記制御部に接続された前記LED駆動スイッチの第1接点および第2接点のいずれか一方側にオンし、
前記制御部は、
前記LED駆動スイッチが前記第1接点側にオンした場合に、前記電圧変換回路に前記PWM信号を出力し、前記駆動電圧の電圧値が、前記検出された出力ノードの電圧値と、前記負荷駆動回路における電圧降下分の電圧値との合計値になるように、前記PWM信号のデューティ比を制御し、且つ、前記負荷に前記駆動電圧を供給するように前記負荷駆動回路を制御し、
一方、
前記LED駆動スイッチが前記第2接点側にオンした場合に、前記電圧変換回路に前記PWM信号を出力し、前記第2の駆動電圧の電圧値が、前記検出された第2の出力ノードの電圧値と、規定された電流に対する前記第2の負荷駆動回路における電圧降下分の電圧値との合計値になるように、前記PWM信号のデューティ比を制御し、且つ、前記第2の負荷に前記第2の駆動電圧を供給するように前記第2の負荷駆動回路を制御することを特徴とする請求項
1に記載の車両用制御装置。
【請求項13】
前記バッテリの負極および前記負荷の他端は、固定電位に接続されていることを特徴とする請求項1
乃至12のいずれか1項に記載の車両用制御装置。
【請求項14】
バッテリの正極と負荷の一端との間に接続され、前記バッテリから供給された電圧を前記負荷の駆動のための駆動電圧に変換して出力する電圧変換回路と、前記電圧変換回路と前記負荷の一端との間に接続され、前記駆動電圧を前記負荷に供給することで前記負荷を駆動する負荷駆動回路と、前記負荷駆動回路の出力側の出力ノードの電圧値を検出する電圧検出回路と、前記電圧変換回路に対してPWM信号を出力し、前記PWM信号のデューティ比を制御することで前記駆動電圧の電圧値を制御する制御部と、一端が前記バッテリの正極と前記電圧変換回路との間の入力ノード側に接続され、他端が前記制御部に接続され、前記入力ノードを経由して前記バッテリから供給された電圧を前記制御部の起動のための起動電圧に変換し、前記変換した起動電圧を前記制御部に供給する電源回路と、一端が前記バッテリの正極側に接続され、他端が前記電源回路の一端側に接続され、オンすることで前記バッテリから前記電源回路に電圧を供給し、オフすることで前記バッテリから前記電源回路に電圧を供給しないイグニッションスイッチと、
一端が前記入力ノードに接続され、他端が前記制御部に接続され、オンすることで前記バッテリから前記制御部に電圧を供給し、オフすることで前記バッテリから前記制御部に電圧を供給しないLED駆動スイッチと、を備
え、前記負荷は、少なくとも1つのLED素子を含む、車両用制御装置の制御方法であって、
前記制御部は、前記イグニッションスイッチがオンすることで前記電源回路から供給された前記起動電圧によって起動され、
起動後に、前記LED駆動スイッチがオンすることで前記バッテリから供給された電圧に応じて前記PWM信号の出力を開始し、前記駆動電圧の電圧値が、前記検出された出力ノードの電圧値と、規定された電流に対する前記負荷駆動回路における電圧降下分の電圧値との合計値になるように、前記PWM信号のデューティ比を制御することで、前記駆動電圧の電圧値を制御することを特徴とする車両用制御装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用制御装置および車両用制御装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両のバッテリから車両のLED素子に供給される電圧を制御することでLED素子の駆動を制御する車両用制御装置には、温度変化等によってLED素子のVF(順方向電圧)が変化した場合においても明るさのバラツキを少なくするため、定電流方式でLED素子を駆動するLED駆動回路が備えられていた。
【0003】
LED駆動回路には、コンバータ回路からバッテリの電圧をDC‐DC変換した電圧が供給され、LED駆動回路は、コンバータ回路から供給された電圧をLED素子に供給することで、LED素子を点灯させていた。
【0004】
また、LED素子のVFが最大値および最小値の何れの場合においてもLED素子を確実に点灯させるため、コンバータ回路は、LED駆動回路にVFの最大値に対応する電圧を供給していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来は、VFが最小値のときにLED駆動回路の損失が大きくなることを考慮して、損失に耐え得るようにLED駆動回路の部品を大きくしなければならなかった。このため、従来は、LED素子のVFの変化のような負荷の電圧降下の変化を考慮した負荷の適切な駆動を確保しながら、小型化およびコストの削減を図ることが困難であるといった問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、負荷の電圧降下の変化を考慮した負荷の適切な駆動を確保しながら小型化およびコストの削減を図ることが可能な車両用制御装置および車両用制御装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る車両用制御装置は、
車両に搭載され、前記車両のバッテリから前記車両の負荷に供給される電圧を制御することで前記負荷の駆動を制御する車両用制御装置であって、
前記バッテリの正極と前記負荷の一端との間に接続され、前記バッテリから供給された電圧を前記負荷の駆動のための駆動電圧に変換して出力する電圧変換回路と、
前記電圧変換回路と前記負荷の一端との間に接続され、前記駆動電圧を前記負荷に供給することで前記負荷を駆動する負荷駆動回路と、
前記負荷駆動回路の出力側の出力ノードの電圧値を検出する電圧検出回路と、
前記電圧変換回路に対してPWM信号を出力し、前記PWM信号のデューティ比を制御することで前記駆動電圧の電圧値を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記駆動電圧の電圧値が、前記検出された出力ノードの電圧値と、規定された電流に対する前記負荷駆動回路における電圧降下分の電圧値との合計値になるように、前記PWM信号のデューティ比を制御する。
【0009】
前記車両用制御装置において、
前記負荷は、少なくとも1つのLED素子を含み、
前記車両用制御装置は、
一端が前記バッテリの正極と前記電圧変換回路との間の入力ノード側に接続され、他端が前記制御部に接続され、前記入力ノードを経由して前記バッテリから供給された電圧を前記制御部の起動のための起動電圧に変換し、前記変換した起動電圧を前記制御部に供給する電源回路と、
一端が前記バッテリの正極側に接続され、他端が前記電源回路の一端側に接続され、オンすることで前記バッテリから前記電源回路に電圧を供給し、オフすることで前記バッテリから前記電源回路に電圧を供給しないイグニッションスイッチと、
一端が前記入力ノードに接続され、他端が前記制御部に接続され、オンすることで前記バッテリから前記制御部に電圧を供給し、オフすることで前記バッテリから前記制御部に電圧を供給しないLED駆動スイッチと、を更に備え、
前記制御部は、前記イグニッションスイッチがオンすることで前記電源回路から供給された前記起動電圧によって起動され、起動後に、前記LED駆動スイッチがオンすることで前記バッテリから供給された電圧に応じて前記PWM信号の出力を開始してもよい。
【0010】
前記車両用制御装置において、
前記イグニッションスイッチは、一端が前記バッテリの正極に接続され、他端が前記入力ノードに接続され、オンすることで前記バッテリから前記電源回路および前記電圧変換回路の双方に電圧を供給し、オフすることで前記電源回路および前記電圧変換回路の双方に電圧を供給せず、
前記LED駆動スイッチは、前記イグニッションスイッチがオンした状態でオンすることで、前記バッテリから前記制御部に電圧を供給してもよい。
【0011】
前記車両用制御装置において、
前記イグニッションスイッチは、一端が前記入力ノードに接続され、他端が前記電源回路の一端に接続され、
前記LED駆動スイッチは、前記イグニッションスイッチがオンした状態または前記制御部の起動後に前記イグニッションスイッチがオフした状態でオンすることで、前記バッテリから前記制御部に電圧を供給してもよい。
【0012】
前記車両用制御装置において、
前記制御部は、前記PWM信号の出力の開始時は、前記PWM信号のデューティ比を最大値に設定し、前記PWM信号の出力の開始後は、前記PWM信号のデューティ比を前記検出された出力ノードの電圧値に応じたデューティ比に制御してもよい。
【0013】
前記車両用制御装置において、
前記LED駆動スイッチは、ウインカスイッチであり、
前記負荷駆動回路は、オンすることで前記負荷に前記駆動電圧を供給し、オフすることで前記駆動電圧の供給を停止するスイッチ回路を有し、
前記制御部は、前記LED駆動スイッチがオンすることで前記バッテリから供給された電圧に応じて、前記負荷に含まれる前記LED素子の点滅周期に応じた設定周期で前記スイッチ回路をオンオフする制御信号を前記スイッチ回路に出力してもよい。
【0014】
前記車両用制御装置において、
前記電圧検出回路は、前記LED駆動スイッチがオンしたときに前記出力ノードの電圧値を検出し、一方、前記LED駆動スイッチがオフしたときに前記出力ノードの電圧値を検出しなくてもよい。
【0015】
前記車両用制御装置において、
前記規定された電流に対する前記負荷駆動回路における電圧降下分の電圧値が記憶された記憶部を更に備え、
前記制御部は、
前記検出された出力ノードの電圧値と、前記記憶された負荷駆動回路における電圧降下分の電圧値との合計値を算出し、
前記駆動電圧の電圧値が前記算出された合計値になるように前記PWM信号のデューティ比を制御してもよい。
【0016】
前記車両用制御装置において、
前記制御部は、
前記LED駆動スイッチがオンした後に、前記検出された出力ノードの電圧値の変化に応じて、前記検出された出力ノードの電圧値と、前記記憶された負荷駆動回路における電圧降下分の電圧値との合計値を継続的に算出し、
前記駆動電圧の電圧値が前記算出された合計値になるように前記PWM信号のデューティ比を継続的に制御してもよい。
【0017】
前記車両用制御装置において、
予め設定された前記出力ノードの複数の電圧値と、前記駆動電圧の電圧値を前記出力ノードの複数の電圧値のそれぞれと前記規定された電流に対する前記負荷駆動回路における電圧降下分の電圧値との合計値にするように設定された前記PWM信号の複数のデューティ比と、が互いに対応付けて記憶された記憶部を更に備え、
前記制御部は、
前記検出された出力ノードの電圧値に対応する前記PWM信号のデューティ比を前記記憶部から読み出し、前記読み出されたデューティ比の前記PWM信号を前記電圧変換回路に出力することで、前記PWM信号のデューティ比を制御してもよい。
【0018】
前記車両用制御装置において、
前記スイッチ回路は、
一端が前記電圧変換回路に接続され、他端が前記負荷の一端に接続された第1トランジスタと、
一端が前記第1トランジスタの制御端子に接続され、他端が固定電位に接続され、制御端子が前記制御部に接続された第2トランジスタと、を有してもよい。
【0019】
前記車両用制御装置において、
前記入力ノードと前記電圧変換回路との間のノードと第2の負荷の一端との間に接続され、前記バッテリから供給された電圧を前記第2の負荷の駆動のための第2の駆動電圧に変換して出力する第2の電圧変換回路と、
前記第2の電圧変換回路と前記第2の負荷の一端との間に接続され、前記第2の駆動電圧を前記第2の負荷に供給することで前記第2の負荷を駆動する第2の負荷駆動回路と、
前記第2の負荷駆動回路の出力側の第2の出力ノードの電圧値を検出する第2の電圧検出回路と、を更に備え、
前記LED駆動スイッチは、前記制御部に接続された前記LED駆動スイッチの第1接点および第2接点のいずれか一方側にオンし、
前記制御部は、
前記LED駆動スイッチが前記第1接点側にオンした場合に、前記電圧変換回路に前記PWM信号を出力し、前記駆動電圧の電圧値が、前記検出された出力ノードの電圧値と、前記負荷駆動回路における電圧降下分の電圧値との合計値になるように、前記PWM信号のデューティ比を制御し、且つ、前記負荷に前記駆動電圧を供給するように前記負荷駆動回路を制御し、
一方、
前記LED駆動スイッチが前記第2接点側にオンした場合に、前記第2の電圧変換回路に第2のPWM信号を出力し、前記第2の駆動電圧の電圧値が、前記検出された第2の出力ノードの電圧値と、規定された電流に対する前記第2の負荷駆動回路における電圧降下分の電圧値との合計値になるように、前記第2のPWM信号のデューティ比を制御し、且つ、前記第2の負荷に前記第2の駆動電圧を供給するように前記第2の負荷駆動回路を制御してもよい。
【0020】
前記車両用制御装置において、
前記電圧変換回路と前記負荷駆動回路との間のノードと第2の負荷の一端との間に接続され、前記第2の負荷に第2の駆動電圧を供給することで前記第2の負荷を駆動する第2の負荷駆動回路と、
前記第2の負荷駆動回路の出力側の第2の出力ノードの電圧値を検出する第2の電圧検出回路と、を更に備え、
前記LED駆動スイッチは、前記制御部に接続された前記LED駆動スイッチの第1接点および第2接点のいずれか一方側にオンし、
前記制御部は、
前記LED駆動スイッチが前記第1接点側にオンした場合に、前記電圧変換回路に前記PWM信号を出力し、前記駆動電圧の電圧値が、前記検出された出力ノードの電圧値と、前記負荷駆動回路における電圧降下分の電圧値との合計値になるように、前記PWM信号のデューティ比を制御し、且つ、前記負荷に前記駆動電圧を供給するように前記負荷駆動回路を制御し、
一方、
前記LED駆動スイッチが前記第2接点側にオンした場合に、前記電圧変換回路に前記PWM信号を出力し、前記第2の駆動電圧の電圧値が、前記検出された第2の出力ノードの電圧値と、規定された電流に対する前記第2の負荷駆動回路における電圧降下分の電圧値との合計値になるように、前記PWM信号のデューティ比を制御し、且つ、前記第2の負荷に前記第2の駆動電圧を供給するように前記第2の負荷駆動回路を制御してもよい。
【0021】
前記車両用制御装置において、
前記バッテリの負極および前記負荷の他端は、固定電位に接続されていてもよい。
【0022】
本発明の一態様に係る車両用制御装置の制御方法は、
バッテリの正極と負荷の一端との間に接続され、前記バッテリから供給された電圧を前記負荷の駆動のための駆動電圧に変換して出力する電圧変換回路と、前記電圧変換回路と前記負荷の一端との間に接続され、前記駆動電圧を前記負荷に供給することで前記負荷を駆動する負荷駆動回路と、前記負荷駆動回路の出力側の出力ノードの電圧値を検出する電圧検出回路と、を備えた車両用制御装置の制御方法であって、
前記電圧変換回路に対してPWM信号を出力し、前記駆動電圧の電圧値が、前記検出された出力ノードの電圧値と、規定された電流に対する前記負荷駆動回路における電圧降下分の電圧値との合計値になるように、前記PWM信号のデューティ比を制御することで、前記駆動電圧の電圧値を制御する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一態様に係る車両用制御装置は、
バッテリの正極と負荷の一端との間に接続され、バッテリから供給された電圧を負荷の駆動のための駆動電圧に変換して出力する電圧変換回路と、電圧変換回路と負荷の一端との間に接続され、駆動電圧を負荷に供給することで負荷を駆動する負荷駆動回路と、負荷駆動回路の出力側の出力ノードの電圧値を検出する電圧検出回路と、電圧変換回路に対してPWM信号を出力し、PWM信号のデューティ比を制御することで駆動電圧の電圧値を制御する制御部と、を備える。制御部は、駆動電圧の電圧値が、検出された出力ノードの電圧値と、規定された電流に対する負荷駆動回路における電圧降下分の電圧値との合計値になるように、PWM信号のデューティ比を制御する。
このように、負荷の電圧降下を反映した出力ノードの電圧値と、負荷駆動回路における電圧降下分の電圧値とに基づいて、駆動電圧の電圧値が出力ノードの電圧値と負荷駆動回路における電圧降下分の電圧値との合計値となるようにPWM信号のデューティ比を制御することで、電圧変換回路から負荷駆動回路に、負荷を駆動するための必要最小限の駆動電圧を供給できる。これにより、負荷駆動回路の損失を十分に抑制することができるので、負荷駆動回路の部品を小さくすることができる。
したがって、本発明によれば、負荷の電圧降下の変化を考慮した負荷の適切な駆動を確保しながら小型化およびコストの削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】第1の実施形態に係る車両用制御装置の一例を示す図である。
【
図2】第1の実施形態に係る車両用制御装置のLED駆動回路の一例を示す図である。
【
図3】第1の実施形態に係る車両用制御装置の制御方法の一例を示すフローチャートである。
【
図4】第2の実施形態に係る車両用制御装置の一例を示す図である。
【
図5】第2の実施形態の変形例に係る車両用制御装置の一例を示す図である。
【
図6】第3の実施形態に係る車両用制御装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0026】
(第1の実施形態)
図1に示される第1の実施形態に係る車両用制御装置1は、車両に搭載され、車両のバッテリ3から車両の負荷の一例であるLED素子2に供給される電圧を制御することでLED素子2の駆動を制御する装置である。LED素子2は、例えば、車両のウインカの光源である。LED素子2は、車両のヘッドライトの光源であってもよい。車両は、例えば、二輪車である。車両は、四輪車などの二輪車以外の車両であってもよい。
【0027】
図1の例において、車両用制御装置1は、バッテリ3の正極と負極との間で直列接続された2つのLED素子2を有しているが、LED素子2の個数および接続状態の具体的な態様は、
図1の態様に限定されない。また、負荷は、LED素子2のアノードに接続された保護用のダイオードを更に有していてもよい。
【0028】
図1に示すように、車両用制御装置1は、電圧変換回路の一例であるコンバータ回路4と、負荷駆動回路の一例であるLED駆動回路5と、電圧検出回路7と、記憶部9と、電源回路11と、イグニッションスイッチ121と、LED駆動スイッチ13と、制御部の一例であるCPU8とを備える。
【0029】
(コンバータ回路4)
コンバータ回路4は、バッテリ3の正極と、負荷の一端の一例であるLED素子2のアノードとの間に接続されている。なお、LED素子2は、他端の一例であるカソード側が固定電位の一例である接地電位および接地電位に接続されたバッテリ3の負極に接続されている。コンバータ回路4は、バッテリ3から供給された電圧を、LED素子2の駆動のための駆動電圧に変換して出力する。コンバータ回路4は、例えば、チョッパ方式のDC-DCコンバータであってもよいが、これに限定されない。
【0030】
(LED駆動回路5)
LED駆動回路5は、コンバータ回路4とLED素子2のアノードとの間に接続されている。LED駆動回路5は、LED素子2に駆動電圧を供給することでLED素子2を駆動する。
【0031】
図2に示すように、LED駆動回路5は、オンすることでLED素子2に駆動電圧を供給し、オフすることで駆動電圧の供給を停止するスイッチ回路で構成されている。
【0032】
図2の例において、LED駆動回路5は、第1トランジスタの一例であるPNPトランジスタTr1と、第2トランジスタの一例であるNPNトランジスタTr2とを有する。
【0033】
PNPトランジスタTr1は、エミッタ(一端)がコンバータ回路4に接続され、コレクタ(他端)がLED素子2のアノードに接続されている。
【0034】
NPNトランジスタTr2は、コレクタ(一端)がPNPトランジスタTr1のベース(制御端子)に接続され、エミッタ(他端)が固定電位の一例である接地電位に接続され、ベース(制御端子)がCPU8に接続されている。
【0035】
このような構成を有するLED駆動回路5は、NPNトランジスタTr2のベースにCPU8から制御信号が入力されることでNPNトランジスタTr2がオンする。NPNトランジスタTr2がオンすることでPNPトランジスタTr1のベースが接地電位に接続され、PNPトランジスタTr1がオンする。PNPトランジスタTr1がオンすることで、コンバータ回路4からLED駆動回路5への駆動電圧の供給が許容される。
【0036】
なお、LED駆動回路5の具体的な態様は
図2の態様に限定されない。例えば、LED駆動回路5をMOSトランジスタで構成してもよい。
【0037】
(電圧検出回路7)
図1に示される電圧検出回路7は、LED駆動回路5の出力側の出力ノード6の電圧値(以下、負荷電圧とも呼ぶ)を検出し、検出された負荷電圧をCPU8に出力する。
【0038】
(記憶部9)
記憶部9には、規定された電流に対するLED駆動回路5における電圧降下分の電圧値が記憶されている。例えば、記憶部9には、LED素子2を定電流駆動するときの定電流に対するLED駆動回路5における電圧降下分の電圧値が記憶されている。
【0039】
(電源回路11)
電源回路11は、一端がバッテリ3の正極とコンバータ回路4との間の入力ノード10に接続され、他端がCPU8に接続されている。
【0040】
電源回路11は、入力ノード10を経由してバッテリ3から供給された電圧を、CPU8の起動のための起動電圧に変換し、変換した起動電圧をCPU8に供給する。
【0041】
(イグニッションスイッチ121)
イグニッションスイッチ121は、一端がバッテリ3の正極側に接続され、他端が電源回路11の一端側に接続されている。
【0042】
より具体的には、
図1の例におけるイグニッションスイッチ121は、一端がバッテリ3の正極に接続され、他端が入力ノード10に接続されている。
【0043】
イグニッションスイッチ121は、オンすることでバッテリ3から電源回路11に電圧を供給し、オフすることでバッテリ3から電源回路11に電圧を供給しない。
【0044】
より具体的には、
図1の例におけるイグニッションスイッチ121は、オンすることでバッテリ3から電源回路11およびコンバータ回路4の双方に電圧を供給し、オフすることで電源回路11およびコンバータ回路4の双方に電圧を供給しない。
【0045】
(LED駆動スイッチ13)
LED駆動スイッチ13は、一端が入力ノード10に接続され、他端がCPU8に接続されている。
【0046】
LED駆動スイッチ13は、オンすることでバッテリ3からCPU8に電圧を供給し、オフすることでバッテリ3からCPU8に電圧を供給しない。
【0047】
より具体的には、
図1の例におけるLED駆動スイッチ13は、イグニッションスイッチ121がオンした状態でオンすることで、バッテリ3からCPU8に電圧を供給する。
【0048】
LED駆動スイッチ13は、例えば、車両のウインカを点滅させるためのウインカスイッチである。LED駆動スイッチ13は、車両のヘッドライトを点灯させるためのヘッドライトスイッチであってもよい。
【0049】
電圧検出回路7は、LED駆動スイッチ13がオンしたときに負荷電圧を検出し、一方、LED駆動スイッチ13がオフしたときに負荷電圧を検出しなくてもよい。
【0050】
(CPU8)
CPU8は、イグニッションスイッチ121がオンすることで電源回路11から供給された起動電圧によって起動される。そしてCPU8は、起動後に、LED駆動スイッチ13がオンすることでバッテリ3から供給された電圧に応じて、コンバータ回路4へのPWM信号の出力を開始する。CPU8は、PWM信号のデューティ比を制御することで、駆動電圧の電圧値を制御する。
【0051】
より具体的には、CPU8は、駆動電圧の電圧値が、電圧検出回路7で検出された負荷電圧(出力ノード6の電圧値)と、規定された電流に対するLED駆動回路5における電圧降下分の電圧値との合計値になるようにPWM信号のデューティ比を制御する。
【0052】
より具体的には、CPU8は、電圧検出回路7で検出された負荷電圧の変化に応じて、検出された負荷電圧と、記憶部9に記憶されたLED駆動回路5における電圧降下分の電圧値との合計値を継続的に算出する。そして、CPU8は、駆動電圧の電圧値が算出された合計値になるようにPWM信号のデューティ比を継続的に制御する。なお、CPU8は、PWM信号のデューティ比を継続的に制御する代わりに、LED駆動スイッチ13がオンしたときに、検出された負荷電圧に基づいて1回だけデューティ比を制御してもよい。この場合、駆動電圧の制御を簡便化することが可能となる。
【0053】
また、CPU8は、LED駆動スイッチ13がオンすることでバッテリ3から供給された電圧に応じて、LED駆動回路5をオンする制御信号をLED駆動回路5に出力する。LED素子2がウインカの光源である場合、制御信号は、LED素子2の点滅周期に応じた設定周期でLED駆動回路5をオンオフする信号である。LED素子2がヘッドライトの光源である場合、制御信号は、LED駆動回路5を連続的にオンする信号である。
【0054】
なお、CPU8は、PWM信号の出力の開始時は、PWM信号のデューティ比を最大値に設定し、PWM信号の出力の開始後は、PWM信号のデューティ比を検出された負荷電圧に応じたデューティ比に制御してもよい。
【0055】
また、記憶部9は、LED駆動回路5による電圧降下分の電圧値を記憶する代わりに、予め設定された複数の負荷電圧と、駆動電圧の電圧値を複数の負荷電圧のそれぞれとLED駆動回路5における電圧降下分の電圧値との合計値にするように設定されたPWM信号の複数のデューティ比と、を互いに対応付けて記憶してもよい。この場合、CPU8は、電圧検出回路7で検出された負荷電圧に対応するPWM信号のデューティ比を記憶部9から読み出し、読み出されたデューティ比のPWM信号をコンバータ回路4に出力することで、PWM信号のデューティ比を制御すればよい。
【0056】
(車両用制御装置1の制御方法)
次に、第1の実施形態による車両用制御装置1の制御方法の一例について、
図3のフローチャートを用いて説明する。
【0057】
先ず、ユーザ操作によってイグニッションスイッチ121をオンする(ステップS1)。
【0058】
イグニッションスイッチ121がオンされることで、バッテリ3から電源回路11およびコンバータ回路4に電圧が供給される。電源回路11は、バッテリ3から供給された電圧を起動電圧に変換してCPU8に出力する。CPU8は、電源回路11から入力された起動電圧によって起動される(ステップS2)。
【0059】
CPU8が起動された後、ユーザ操作によってLED駆動スイッチ13をオンする(ステップS3)。
【0060】
LED駆動スイッチ13がオンされることで、バッテリ3からCPU8に電圧(バッテリ電圧)が供給される。バッテリ3からの電圧の供給に応じて、CPU8は、コンバータ回路4へのPWM信号の出力を開始する。PWM信号の出力の開始時において、CPU8は、PWM信号のデューティ比を、初期値すなわち最大値に設定する(ステップS4)。
【0061】
デューティ比を初期値に設定した後、CPU8は、設定されたデューティ比の初期値に応じた駆動電圧(すなわち、最大値の駆動電圧)によるLED素子2の点灯を行う(ステップS5)。具体的には、CPUは、デューティ比が初期値のPWM信号をコンバータ回路4に出力する。コンバータ回路4は、バッテリ3から供給された電圧を初期値のPWM信号に応じた駆動電圧に変換してLED駆動回路5に出力する。LED駆動回路5は、初期値のPWM信号に応じた駆動電圧でLED素子2を駆動する。
【0062】
デューティ比の初期値に応じた駆動電圧によるLED素子2の点灯後、電圧検出回路7は、負荷電圧を検出し、検出された負荷電圧をCPU8に出力する(ステップS6)。
【0063】
CPU8は、電圧検出回路7から入力された負荷電圧に基づいて、PWM信号のデューティ比を負荷電圧に応じたデューティ比に再設定する(ステップS7)。具体的には、CPU8は、負荷電圧と、記憶部9に記憶されたLED駆動回路5における電圧降下分の電圧値との合計値を算出する。そして、CPU8は、駆動電圧の電圧値が算出された合計値となるようにデューティ比を再設定する。
【0064】
デューティ比を再設定した後、CPU8は、再設定値に応じた駆動電圧によるLED素子2の点灯を行う(ステップS8)。具体的には、CPUは、デューティ比が再設定値のPWM信号をコンバータ回路4に出力する。コンバータ回路4は、バッテリ3から供給された電圧を再設定値のPWM信号に応じた駆動電圧に変換してLED駆動回路5に出力する。LED駆動回路5は、再設定値のPWM信号に応じた駆動電圧でLED素子2を駆動する。
【0065】
なお、CPU8は、負荷電圧がバッテリ電圧となった場合、LED素子2側の断線を検知してもよい。この場合、CPU8は、コンバータ回路4へのPWM信号の出力およびLED駆動回路5への制御信号の出力を停止することでLED素子2の駆動を停止してもよい。
【0066】
以下、第1の実施形態によってもたらされる作用について説明する。
【0067】
既述したように、第1の実施形態に係る車両用制御装置1は、コンバータ回路4と、電圧検出回路7と、CPU8とを備える。コンバータ回路4は、バッテリ3の正極とLED素子2のアノードとの間に接続され、バッテリ3から供給された電圧をLED素子2の駆動のための駆動電圧に変換して出力する。LED駆動回路5は、駆動電圧をLED素子2に供給することでLED素子2を駆動する。電圧検出回路7は、負荷電圧を検出する。CPU8は、コンバータ回路4に対してPWM信号を出力し、PWM信号のデューティ比を制御することで駆動電圧の電圧値を制御する。CPU8は、駆動電圧の電圧値が、検出された負荷電圧と、規定された電流に対するLED駆動回路5における電圧降下分の電圧値との合計値になるように、PWM信号のデューティ比を制御する。
【0068】
このような構成により、LED素子2の電圧降下を反映した負荷電圧と、LED駆動回路5における電圧降下分の電圧値とに基づいて、駆動電圧の電圧値が負荷電圧とLED駆動回路5における電圧降下分の電圧値との合計値となるようにPWM信号のデューティ比を制御することで、コンバータ回路4からLED駆動回路5に、LED素子2を駆動するための必要最小限の電圧を供給できる。これにより、LED駆動回路5の損失を十分に抑制できるので、LED駆動回路5の部品を小さくすることができる。したがって、LED素子2の電圧降下の変化を考慮したLED素子2の適切な駆動を確保しながら小型化およびコストの削減を図ることができる。
【0069】
また、第1の実施形態に係る車両用制御装置1において、CPU8は、イグニッションスイッチ121がオンすることで電源回路11から供給された起動電圧によって起動され、起動後に、LED駆動スイッチ13がオンすることでバッテリ3から供給された電圧に応じてPWM信号の出力を開始する。
【0070】
このような構成により、イグニッションスイッチ121のオンによってCPU8が起動されるまでは、LED駆動スイッチ13をオンしてもPWM信号を出力しないようにすることができるので、車両を起動しない状態でのLED素子2の点灯を防止することができる。
【0071】
また、第1の実施形態に係る車両用制御装置1において、イグニッションスイッチ121は、一端がバッテリ3の正極に接続され、他端が入力ノード10に接続され、オンすることでバッテリ3から電源回路11およびコンバータ回路4の双方に電圧を供給し、オフすることで電源回路11およびコンバータ回路4の双方に電圧を供給しない。また、LED駆動スイッチ13は、イグニッションスイッチ121がオンした状態でオンすることで、バッテリ3からCPU8に電圧を供給する。
【0072】
このような構成により、イグニッションスイッチ121をオンしなければLED駆動スイッチ13をオンしてもバッテリ3からCPU8に電圧が供給されないようにすることができるので、車両を起動しない状態でのLED素子2の点灯を更に確実に防止することができる。
【0073】
また、第1の実施形態に係る車両用制御装置1において、CPU8は、PWM信号の出力の開始時は、PWM信号のデューティ比を最大値(初期値)に設定し、PWM信号の出力の開始後は、PWM信号のデューティ比を検出された負荷電圧に応じたデューティ比に制御する。
【0074】
このような構成により、LED素子2のVFが最大となる始動時には、PWM信号のデューティ比を最大値にして駆動電圧を最大にすることができるので、LED素子2の点灯を確実に開始させることができる。そして、LED素子2の点灯開始後は、駆動電圧を負荷電圧に応じた合計値に制御することができるので、LED駆動回路5の損失を抑制することができる。
【0075】
また、第1の実施形態に係る車両用制御装置1において、電圧検出回路7は、LED駆動スイッチ13がオンしたときに負荷電圧を検出し、一方、LED駆動スイッチ13がオフしたときに負荷電圧を検出しなくてもよい。
【0076】
このような構成により、LED駆動スイッチ13がオンしているときだけ負荷電圧を検出することができるので、電圧検出回路7の消費電力を削減することができる。
【0077】
また、第1の実施形態に係る車両用制御装置1は、規定された電流に対するLED駆動回路5における電圧降下分の電圧値が記憶された記憶部9を更に備える。CPU8は、電圧検出回路7で検出された負荷電圧と、記憶部9に記憶されたLED駆動回路5における電圧降下分の電圧値との合計値を算出する。そして、CPU8は、駆動電圧の電圧値が算出された合計値になるようにPWM信号のデューティ比を制御する。
【0078】
このような構成により、合計値を算出することで、合計値に基づいて負荷電圧に適合したPWM信号のデューティ比を設定することができるので、LED駆動回路5の損失を効果的に削減することができる。
【0079】
また、第1の実施形態に係る車両用制御装置1において、CPU8は、LED駆動スイッチ13がオンした後に、電圧検出回路7で検出された負荷電圧の変化に応じて、検出された負荷電圧と、記憶部9に記憶されたLED駆動回路5における電圧降下分の電圧値との合計値を継続的に算出する。そして、CPU8は、駆動電圧の電圧値が算出された合計値になるようにPWM信号のデューティ比を継続的に制御する。
【0080】
このような構成により、負荷電圧を常時監視して、負荷電圧に適合したPWM信号のデューティ比を、負荷電圧の変化に応じて高精度に設定することができるので、LED駆動回路5の損失を更に効果的に削減することができる。
【0081】
また、第1の実施形態に係る車両用制御装置1において、記憶部9は、予め設定された複数の負荷電圧と、駆動電圧の電圧値を複数の負荷電圧のそれぞれと規定された電流に対するLED駆動回路5における電圧降下分の電圧値との合計値にするように設定されたPWM信号の複数のデューティ比とを、互いに対応付けて記憶していてもよい。そして、CPU8は、検出された負荷電圧に対応するPWM信号のデューティ比を記憶部9から読み出し、読み出されたデューティ比のPWM信号をコンバータ回路4に出力することで、PWM信号のデューティ比を制御してもよい。
【0082】
このような構成により、負荷電圧に対応するデューティ比を読み出してPWM信号の出力に用いることができるので、駆動電圧のPWM制御を簡便に行うことができる。
【0083】
(第2の実施形態)
次に、並列接続されたLED素子のそれぞれの駆動を制御する第2の実施形態に係る車両用制御装置1について、第1の実施形態との差異を中心に説明する。
【0084】
図4に示すように、第2の実施形態に係る車両用制御装置1は、第1の実施形態の構成に加えて、更に、第2の負荷の一例である2つの第2のLED素子22と、第2の電圧変換回路の一例である第2のコンバータ回路42と、第2の負荷駆動回路の一例である第2のLED駆動回路52と、第2の電圧検出回路72とを備える。
【0085】
2つの第2のLED素子22は、バッテリ3の正極と負極との間で直列接続されているとともに、2つのLED素子2に並列接続されている。第2のLED素子22の個数は、2つに限定されない。
【0086】
図4の例において、LED素子2は、車両の左方向への進路変更を指示する左側のウインカの光源である。一方、第2のLED素子22は、車両の右方向への進路変更を指示する右側のウインカの光源である。
【0087】
なお、LED素子2は、互いに並列接続された状態で二列設けられていてもよい。この場合、一方の列のLED素子2は、車両の左側のフロントウインカの光源であり、他方の列のLED素子2は、車両の左側のリアウインカの光源であってもよい。同様に、第2のLED素子22も、互いに並列接続された状態で二列設けられていてもよい。この場合、一方の列の第2のLED素子22は、車両の右側のフロントウインカの光源であり、他方の列の第2のLED素子22は、車両の右側のリアウインカの光源であってもよい。
【0088】
第2のコンバータ回路42は、入力ノード10とコンバータ回路4との間のノード14と、第2の負荷の一例である第2のLED素子22のアノード(一端)との間に接続されている。第2のコンバータ回路42は、バッテリ3から供給された電圧を第2のLED素子22の駆動のための第2の駆動電圧に変換して出力する。第2のコンバータ回路42の具体的な構成は、コンバータ回路4と同様であってもよい。
【0089】
第2のLED駆動回路52は、第2のコンバータ回路42と第2のLED素子22のアノードとの間に接続されている。第2のLED駆動回路52は、第2の駆動電圧を第2のLED素子22に供給することで第2のLED素子22を駆動する。第2のLED駆動回路52は、LED駆動回路5と同様のスイッチ回路(
図2参照)によって構成されている。
【0090】
第2の電圧検出回路72は、第2のLED駆動回路52の出力側の第2の出力ノード62の電圧値(以下、第2の負荷電圧とも呼ぶ)を検出する。第2の電圧検出回路72の具体的な構成は、電圧検出回路7と同様であってもよい。
【0091】
LED駆動スイッチ13(すなわち、ウインカスイッチ)は、CPU8に接続されたLED駆動スイッチ13の第1接点Lおよび第2接点Rのいずれか一方側にオンする。
図4の例において、LED駆動スイッチ13は、ユーザによって左方向への進路変更を指示するためのLED駆動スイッチ13の操作がなされた場合に、第1接点L側にオンする。一方、LED駆動スイッチ13は、ユーザによって右方向への進路変更を指示するためのLED駆動スイッチ13の操作がなされた場合に、第2接点R側にオンする。
【0092】
CPU8は、LED駆動スイッチ13が第1接点L側にオンした場合に、バッテリ3から供給された電圧に応じてコンバータ回路4にPWM信号を出力し、第1の実施形態で説明したようにPWM信号のデューティ比を制御することで駆動電圧の電圧値を制御する。
【0093】
また、CPU8は、LED駆動スイッチ13が第1接点L側にオンした場合に、LED駆動回路5に制御信号を出力することで、LED素子2に駆動電圧を供給するようにLED駆動回路5を制御する。より具体的には、CPU8は、LED駆動スイッチ13が第1接点L側にオンすることでバッテリ3から供給された電圧に応じて、LED素子2の点滅周期に応じた設定周期でLED駆動回路5をオンオフする制御信号をLED駆動回路5に出力する。これにより、LED駆動回路5からLED素子2にLED素子2の点滅周期に応じた周期で断続的に駆動電圧が供給され、LED素子2が点滅周期で点滅する。
【0094】
一方、LED駆動スイッチ13が第2接点R側にオンした場合に、CPU8は、バッテリ3から供給された電圧に応じて第2のコンバータ回路42に第2のPWM信号を出力する。CPU8は、第2の駆動電圧の電圧値が、第2の電圧検出回路72で検出された第2の負荷電圧と、規定された電流に対する第2のLED駆動回路52における電圧降下分の電圧値との合計値になるように、第2のPWM信号のデューティ比を制御することで、第2の駆動電圧の電圧値を制御する。
【0095】
また、CPU8は、LED駆動スイッチ13が第2接点R側にオンした場合に、第2のLED駆動回路52に第2の制御信号を出力することで、第2のLED素子22に第2の駆動電圧を供給するように第2のLED駆動回路52を制御する。より具体的には、CPU8は、LED駆動スイッチ13が第2接点R側にオンすることでバッテリ3から供給された電圧に応じて、第2のLED素子22の点滅周期に応じた設定周期で第2のLED駆動回路52(スイッチ回路)をオンオフする第2の制御信号を第2のLED駆動回路52に出力する。これにより、第2のLED駆動回路52から第2のLED素子22に第2のLED素子22の点滅周期に応じた周期で断続的に第2の駆動電圧が供給され、第2のLED素子22が点滅周期で点滅する。
【0096】
第2の実施形態によれば、LED素子2の電圧降下を反映した負荷電圧に基づいて、コンバータ回路4からLED駆動回路5に、LED素子2を駆動するための必要最小限の電圧を供給できる。また、第2のLED素子22の電圧降下を反映した第2の負荷電圧に基づいて、第2のコンバータ回路42から第2のLED駆動回路52に、第2のLED素子22を駆動するための必要最小限の電圧を供給できる。これにより、LED駆動回路5および第2のLED駆動回路52の双方の損失を十分に抑制できるので、LED駆動回路5および第2のLED駆動回路52の双方の部品を小さくすることができる。したがって、左右のウインカのLED素子2、22のそれぞれの電圧降下の変化を考慮したLED素子2、22の適切な駆動を確保しながら、小型化およびコストの削減を図ることができる。
【0097】
また、第2の実施形態に係る車両用制御装置1において、LED駆動回路5、52は、オンすることでLED素子2、22に駆動電圧を供給し、オフすることで駆動電圧の供給を停止するスイッチ回路で構成されている。より具体的には、LED駆動回路5、52は、エミッタがコンバータ回路4、42に接続され、コレクタがLED素子2、22のアノードに接続されたPNPトランジスタTr1と、コレクタがPNPトランジスタTr1のベースに接続され、エミッタが接地電位に接続され、ベースがCPU8に接続されたNPNトランジスタTr2とを有する。そして、CPU8は、LED駆動スイッチ13が第1接点L側にオンすることでバッテリ3から供給された電圧に応じて、LED素子2の点滅周期に応じた設定周期でLED駆動回路5をオンオフする制御信号をLED駆動回路5に出力する。一方、CPU8は、LED駆動スイッチ13が第2接点R側にオンすることでバッテリ3から供給された電圧に応じて、第2のLED素子22の点滅周期に応じた設定周期で第2のLED駆動回路52をオンオフする第2の制御信号を第2のLED駆動回路52に出力する。このような構成により、LED駆動スイッチ13に連動したウインカの点滅を簡易な構成によって低コストで行うことができる。
【0098】
(変形例)
次に、並列接続されたLED素子のそれぞれの駆動の制御に、共通の電圧変換回路を用いる第2の実施形態の変形例に係る車両用制御装置1について、
図4の構成との差異を中心に説明する。
【0099】
図5に示すように、第2の実施形態の変形例に係る車両用制御装置1は、LED素子2に並列接続された第2のLED素子22の点灯を制御するために、第2のLED駆動回路52と第2の電圧検出回路72とを備える点で、
図4の構成と同様である。一方、変形例の車両用制御装置1は、
図4に示した第2のコンバータ回路42を有しない点で、
図4の構成と相違する。
【0100】
より具体的には、
図5に示すように、変形例における第2のLED駆動回路52は、コンバータ回路4とLED駆動回路5との間のノード15と、第2のLED素子22のアノードとの間に接続されている。
【0101】
コンバータ回路4は、LED駆動スイッチ13が第1接点L側にオンした場合に、バッテリ3から供給された電圧を駆動電圧に変換してLED駆動回路5に出力する。一方、コンバータ回路4は、LED駆動スイッチ13が第2接点R側にオンした場合に、バッテリ3から供給された電圧を第2の駆動電圧に変換して第2のLED駆動回路52に出力する。
【0102】
変形例によれば、並列接続されたLED素子2、22の駆動制御に1つのコンバータ回路4を共用することができるので、部品点数およびコストを削減することができる。
【0103】
(第3の実施形態)
次に、イグニッションスイッチのオフ後もLED素子2を駆動可能な第3の実施形態に係る車両用制御装置1ついて、第1の実施形態との差異を中心に説明する。
【0104】
図6に示すように、第3の実施形態に係る車両用制御装置1において、イグニッションスイッチ122は、一端が入力ノード10に接続され、他端が電源回路11の一端に接続されている。
【0105】
LED駆動スイッチ13は、イグニッションスイッチ122がオンした状態またはCPU8の起動後にイグニッションスイッチ122がオフした状態でオンすることで、バッテリ3からCPU8に電圧を供給する。
【0106】
第3の実施形態によれば、イグニッションスイッチ122をオンしてCPU8を起動させた後に、イグニッションスイッチ122をオフした場合にも、LED駆動スイッチ13をオンすることでLED素子2を駆動することができる。
【0107】
なお、LED素子以外の負荷の電圧降下の変化を考慮した負荷の適切な駆動を確保しながら小型化およびコストの削減を図るために、車両用制御装置1を適用することもできる。
【0108】
上述した実施形態は、あくまで一例であって、発明の範囲を限定するものではない。発明の要旨を逸脱しない限度において、上述した実施形態に対して種々の変更を行うことができる。変更された実施形態は、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0109】
1 車両用制御装置
2 LED素子
3 バッテリ
4 コンバータ回路
5 LED駆動回路
6 出力ノード
7 電圧検出回路
8 CPU
11 電源回路