(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-14
(45)【発行日】2022-10-24
(54)【発明の名称】表示灯制御装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20221017BHJP
【FI】
G08G1/16 D
(21)【出願番号】P 2018057049
(22)【出願日】2018-03-23
【審査請求日】2021-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】下野 泰裕
(72)【発明者】
【氏名】浜田 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】堀川 邦彦
【審査官】貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-145385(JP,A)
【文献】特開平7-141591(JP,A)
【文献】特開2009-15452(JP,A)
【文献】特開2005-148998(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
G01C 21/00 - 21/36
G01C 23/00 - 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載される表示灯制御装置であって、
前記移動体が分岐車線上の渋滞の最後尾に存在することを検出したときに、移動体に設けられた表示灯を所定の第1パターンで点滅させ
、前記移動体が分岐車線でない車線上の渋滞の最後尾に存在することを検出したときに、前記表示灯を前記第1パターンとは異なる第2パターンで点滅させる制御手段、
を備える表示灯制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記移動体が分岐地点から所定距離内に存在することを検出した場合に、前記表示灯を前記第1パターンで点滅させる請求項1に記載の表示灯制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、人間の可視限界周波数よりも高い所定周波数で前記表示灯を点滅させる請求項1
又は2に記載の表示灯制御装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記所定周波数の光信号を、前記移動体が渋滞の最後尾に位置することを示すデータで変調して得た変調信号により前記表示灯を点滅させる請求項
3に記載の表示灯制御装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記所定周波数の光信号を、前記移動体が分岐車線渋滞の最後尾に位置することを示すデータで変調して得た変調信号により前記表示灯を点滅させる請求項
3に記載の表示灯制御装置。
【請求項6】
前記表示灯は、前記移動体の後方に設けられている請求項1乃至
5のいずれか一項に記載の表示灯制御装置。
【請求項7】
前記表示灯は非常点滅表示灯を含む請求項1乃至
6のいずれか一項に記載の表示灯制御装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記移動体が渋滞の最後尾に存在しなくなったことを検出したときに、前記表示灯の点滅を停止する請求項1乃至
7のいずれか一項に記載の表示灯制御装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記移動体の速度が所定速度以上になったことを検出したときに、前記表示灯の点滅を停止する請求項1乃至
8のいずれか一項に記載の表示灯制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等の移動体の周辺情報を取得する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両に設置されたセンサの出力に基づき、車両周辺の様々な情報を収集する技術が知られている。例えば、特許文献1には、車両等の移動体に設置されたセンサの出力に基づいて部分地図の変化点を検出した場合に、当該変化点に関する変化点情報をサーバ装置に送信する運転支援装置が開示されている。また、非特許文献1には、車両側のセンサが検出したデータをクラウドサーバで収集するためのデータフォーマットに関する仕様が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献】
【0004】
【文献】here社ホームページ、Vehicle Sensor Data Cloud Ingestion Interface Specification(v2.0.2),[平成29年10月27日検索]、インターネット<URL:https://lts.cms.here.com/static-cloud-content/Company_Site/2015_06/Vehicle_Sensor_Data_Cloud_Ingestion_Interface_Specification.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自動運転車が予め設定された走行経路に従って走行する場合において、高速道路を下りる際、本線道路から分岐する車線(以下、「分岐車線」とも呼ぶ。)上に渋滞が発生していることがある。分岐車線上の渋滞は、長い場合には本線道路上にもつながっていることがあるため、出口で正しく高速道路を降りるためには、自動運転車は本線上につながっている渋滞の最後尾につく必要がある。しかし、出口渋滞でない渋滞(一般渋滞)が本線上でも発生している場合、いずれの渋滞車列の最後尾が出口渋滞の最後尾であるかを判別することが困難である。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、高速道路などの分岐車線上で発生している渋滞の最後尾の情報を後続の車両へ通知することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項に記載の発明は、移動体に搭載される表示灯制御装置であって、前記移動体が分岐車線上の渋滞の最後尾に存在することを検出したときに、移動体に設けられた表示灯を所定の第1パターンで点滅させ、前記移動体が分岐車線でない車線上の渋滞の最後尾に存在することを検出したときに、前記表示灯を前記第1パターンとは異なる第2パターンで点滅させる制御手段、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】データ収集システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図3】端末装置が実行する処理概要を示したブロック図である。
【
図6】第1実施例による最後尾通知のための点滅制御の例を示す。
【
図7】第2実施例による最後尾通知のための点滅制御の例を示す。
【
図8】最後尾通知のための点滅制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の1つの好適な実施形態は、移動体に搭載される表示灯制御装置であって、前記移動体が分岐車線上の渋滞の最後尾に存在することを検出したときに、移動体に設けられた表示灯を所定の第1パターンで点滅させる制御手段、を備える。この表示灯制御装置によれば、分岐車線上の渋滞の最後尾についた移動体は、自分が渋滞の最後尾に位置していることを、後続の移動体に通知する。これにより、後続の移動体は渋滞の最後尾に並ぶことができる。
【0010】
上記の表示灯制御装置の一態様では、前記制御手段は、前記移動体が分岐車線でない車線上での渋滞の最後尾に存在することを検出したときに、移動体に設けられた表示灯を前記第1パターンとは異なる第2パターンで点滅させる。これにより、分岐車線上の渋滞と分岐車線以外での渋滞とを区別して後続の移動体に通知することができる。
【0011】
上記の表示灯制御装置の他の一態様では、前記制御手段は、前記移動体が分岐地点から所定距離内に存在することを検出した場合に、前記表示灯を前記第1パターンで点滅させる。この態様では、分岐地点から所定距離内にいる場合に、自分が渋滞の最後尾に位置していることを、後続の移動体に通知する。
【0012】
上記の表示灯制御装置の一態様では、前記制御手段は、人間の可視限界周波数よりも高い所定周波数で前記表示灯を点滅させる。この態様では、表示灯の点滅が周辺の移動体の搭乗者に対して視覚的な影響を与えることを防止できる。
【0013】
上記の表示灯制御装置の他の一態様では、前記制御手段は、前記所定周波数の光信号を、前記移動体が渋滞の最後尾に位置することを示すデータで変調して得た変調信号により前記表示灯を点滅させる。この態様では、自車が渋滞の最後尾に位置していることを後続の移動体に伝えることができる。
【0014】
上記の表示灯制御装置の他の一態様では、前記制御手段は、前記所定周波数の光信号を、前記移動体が分岐車線渋滞の最後尾に位置することを示すデータで変調して得た変調信号により前記表示灯を点滅させる。この態様では、自車が分岐車線渋滞の最後尾に位置していることを後続の移動体に伝えることができる。
【0015】
好適な例では、前記表示灯は、前記移動体の後方に設けられている。他の好適な例では、前記表示灯は非常点滅表示灯を含む。
【0016】
上記の表示灯制御装置の他の一態様では、前記制御手段は、前記移動体が渋滞の最後尾に存在しなくなったことを検出したときに、前記表示灯の点滅を停止する。この態様では、渋滞の最後尾に位置しなくなった場合には、後続の移動体に対する通知が停止される。
【0017】
上記の表示灯制御装置の他の一態様では、前記制御手段は、前記移動体の速度が所定速度以上になったことを検出したときに、前記表示灯の点滅を停止する。この態様では、渋滞が解消した場合には、後続の移動体に対する通知が停止される。
【実施例】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
[データ収集システム]
(全体構成)
図1は、実施例に係るデータ収集システムの概略構成である。データ収集システムは、移動体である車両に搭載され車両と共に移動する端末装置1と、各端末装置1とネットワークを介して通信を行うサーバ装置2とを備える。そして、データ収集システムは、各端末装置1から送信された情報に基づき、サーバ装置2若しくはサーバ装置2と通信回線を介して接続された図示しない地図サーバ装置が保有する地図やその他の情報を更新する。なお、以後において、「地図」とは、従来の経路案内用の車載機が参照するデータに加えて、ADAS(Advanced Driver Assistance System)や自動運転に用いられるデータも含むものとする。
【0019】
サーバ装置2は、各車両の端末装置1と通信セッションを確立し、車両の周辺環境に関するデータ(以下、「周辺環境データ」と呼ぶ。)をサーバ装置2へ送信することを要求するリクエストDrを端末装置1へ送信する。端末装置1は、要求された周辺環境データを含むアップロードデータDuをサーバ装置2に送信する。具体的には、端末装置1は、サーバ装置2と通信セッションを確立した場合に、端末装置1が搭載された車両の属性情報等をアップロードデータDuに含めてサーバ装置2へ送信する。また、端末装置1は、カメラやライダ(LIDAR:Laser Illuminated Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging又はLiDAR:Light Detection and Ranging)などから構成されるセンサ部7の出力に基づき周辺環境データを生成し、アップロードデータDuに含めてサーバ装置2へ送信する。
【0020】
サーバ装置2は、各端末装置1からアップロードデータDuを受信して記憶する。サーバ装置2は、例えば、収集したアップロードデータDuに基づき、地図データの作成基準時点からの変化部分(変化点)を検出し、検出した変化点を反映するための地図データの更新などを行う。
【0021】
(端末装置の構成)
図2は、端末装置1の機能的構成を表すブロック図を示す。
図2に示すように、端末装置1は、主に通信部11と、記憶部12と、入力部13と、制御部14と、インターフェース15と、出力部16と、表示灯制御部40とを有する。端末装置1内の各要素は、バスライン98を介して相互に接続されている。
【0022】
通信部11は、制御部14の制御に基づき、アップロードデータDuをサーバ装置2へ送信したり、地
図DB4を更新するための地図データをサーバ装置2から受信したりする。また、通信部11は、車両を制御するための信号を車両に送信する処理、車両の状態に関する信号を車両から受信する処理を行ってもよい。
【0023】
記憶部12は、制御部14が実行するプログラムや、制御部14が所定の処理を実行する為に必要な情報を記憶する。本実施例では、記憶部12は、複数の地
図DB4と、センサデータキャッシュ6と、車両属性情報IVとを記憶する。
【0024】
地
図DB4は、例えば、道路データ、施設データ、及び、道路周辺の地物データなどを含むデータベースである。道路データには、経路探索用の車線ネットワークデータ、道路形状データ、交通法規データなどが含まれる。地物データは、道路標識等の看板や停止線等の道路標示、センターライン等の道路区画線や道路沿いの構造物等の情報を含む。また、地物データは、自車位置推定に用いるための地物の高精度な点群情報などを含んでもよい。その他、地
図DB4には、位置推定に必要な種々のデータが記憶されてもよい。なお、記憶部12は、データの種類(道路データ、施設データ、地物データ)ごとに分けられた複数の地
図DB4を記憶してもよく、用途(案内用、自動運転用、障害検知用)等に分けられた複数の地
図DB4を記憶してもよい。
【0025】
センサデータキャッシュ6は、センサ部7の出力データ(いわゆる生データ)を一時的に保持するキャッシュメモリである。車両属性情報IVは、車両の種別、車両ID、車両長さ、車幅、車高などの車両サイズ、車両の燃料タイプなど、端末装置1を搭載した車両の属性に関する情報を示す。
【0026】
入力部13は、ユーザが操作するためのボタン、タッチパネル、リモートコントローラ、音声入力装置等であり、例えば、経路探索のための目的地を指定する入力、自動運転のオン及びオフを指定する入力などを受け付け、生成した入力信号を制御部14へ供給する。出力部16は、例えば、制御部14の制御に基づき出力を行うディスプレイやスピーカ等である。
【0027】
インターフェース15は、センサ部7の出力データを制御部14やセンサデータキャッシュ6に供給するためのインターフェース動作を行う。センサ部7は、ライダ31やカメラ32などの車両の周辺環境を認識するための複数の外界センサと、GPS受信機33、ジャイロセンサ34、ポジションセンサ35、3軸センサ36などの内界センサを含む。ライダ31は、外界に存在する物体までの距離を離散的に測定し、当該物体の表面を3次元の点群として認識し、点群データを生成する。カメラ32は、車両から撮影した画像データを生成する。ポジションセンサ35は、各外界センサの位置を検出するために設けられ、3軸センサ36は、各外界センサの姿勢を検出するために設けられている。なお、センサ部7は、
図2に示した外界センサ及び内界センサ以外の任意の外界センサ及び内界センサを有してもよい。例えば、センサ部7は、外界センサとして、超音波センサ、赤外線センサ、マイクなどを含んでもよい。
【0028】
制御部14は、1または複数のプラットフォーム上で所定のプログラムを実行するCPUなどを含み、端末装置1の全体を制御する。制御部14は、機能的には、位置推定部17と、オブジェクト検出部18と、アップロードデータ生成部19とを含む。
図3は、端末装置1の位置推定部17、オブジェクト検出部18、及びアップロードデータ生成部19の処理概要を示したブロック図である。
【0029】
位置推定部17は、センサデータキャッシュ6に保持されているセンサ部7の出力データ及び地
図DB4に基づき、自車位置(車両の姿勢も含む)を推定する。位置推定部17は、種々の位置推定方法を実行可能となっている。位置推定部17は、例えば、GPS受信機33及びジャイロセンサ34等の自立測位センサの出力に基づくデッドレコニング(自律航法)による自車位置推定方法、自律航法に地
図DB4の道路データなどをさらに照合する処理(マップマッチング)を行う自車位置推定方法、周囲に存在する所定のオブジェクト(ランドマーク)を基準としてライダ31やカメラ32などの外界センサの出力データと地
図DB4の地物情報が示すランドマークの位置情報とに基づく自車位置推定方法などを実行する。そして、位置推定部17は、現在実行可能な位置推定方法の中から最も高い推定精度となる位置推定方法を実行し、実行した位置推定方法に基づき得られた自車位置等を示した自車位置情報を、アップロードデータ生成部19へ供給する。位置推定部17は、実行した位置推定方法を特定する情報を自車位置情報に含めてアップロードデータ生成部19へ供給する。
【0030】
オブジェクト検出部18は、センサ部7が出力する点群情報、画像データ、音声データ等に基づき、所定のオブジェクトを検出する。この場合、例えば、オブジェクト検出部18は、位置推定部17が推定した自車位置に基づき、センサ部7により検出したオブジェクトに対応する地物データを地
図DB4から抽出する。そして、オブジェクト検出部18は、センサ部7により検出したオブジェクトの位置及び形状等と、地
図DB4から抽出した地物データが示すオブジェクトの位置及び形状等とに違いがある場合、又は、地
図DB4に該当する地物データが存在しない場合などに、センサ部7により検出したオブジェクトに関する情報(「オブジェクトデータ」とも呼ぶ。)を、アップロードデータ生成部19へ供給する。
【0031】
なお、オブジェクト検出部18は、センサ部7により検出したオブジェクトと地
図DB4の地物情報が示すオブジェクトとに形状や位置等に違いがあるか否かに関わらず、特定のオブジェクトを検出した場合に、当該オブジェクトに関するオブジェクトデータをアップロードデータ生成部19へ供給してもよい。例えば、オブジェクト検出部18は、センサ部7の出力に基づき、道路標識の内容、形状、位置等を認識した場合、又は、車線境界(即ち区画線等)の位置、形状等を認識した場合に、これらの認識結果をオブジェクトデータとしてアップロードデータ生成部19へ供給してもよい。
【0032】
アップロードデータ生成部19は、位置推定部17から供給される自車位置情報と、オブジェクト検出部18から供給されるオブジェクトデータと、センサデータキャッシュ6から供給されるセンサ部6の出力データ(いわゆる生データ)とに基づき、アップロードデータDuを生成する。そして、アップロードデータ生成部19は、生成したアップロードデータDuを、通信部11によりサーバ装置2へ送信する。例えば、アップロードデータ生成部19は、サーバ装置2との通信セッションを確立した場合に、車両属性情報IVを含むアップロードデータDuを生成し、生成したアップロードデータDuを通信部11によりサーバ装置2へ送信する。
【0033】
表示灯制御部40は、車両に設けられたハザードランプ50の点灯を制御する。表示灯制御部40は、車両が渋滞の最後尾に位置するときにハザードランプ50を点滅させ、後続の車両(主として自動運転車)に対して渋滞の最後尾であることを通知する。なお、この処理の詳細については後述する。
【0034】
(サーバ装置)
図4は、サーバ装置2の機能的構成を示すブロック図を示す。
図4に示すように、サーバ装置2は、主に通信部21と、記憶部22と、制御部23とを有する。サーバ装置2内の各要素は、バスライン99を介して相互に接続されている。
【0035】
通信部21は、制御部23の制御に基づき、各端末装置1からアップロードデータDuを受信したり、地
図DB4を更新するための地図データを各端末装置1へ送信したりする。
【0036】
記憶部22は、制御部23が実行するプログラムや、制御部23が所定の処理を実行する為に必要な情報を記憶する。本実施例では、記憶部22は、配信地
図DB5を記憶する。
【0037】
配信地
図DB5は、各端末装置1に配信するための地図データであり、各端末装置1から受信するアップロードデータDuに基づき更新が行われる。配信地
図DB5は、地
図DB4と同様に、道路データ、施設データ、道路周辺の地物データなど、自動運転やADASなどで使用される種々のデータを記憶している。
【0038】
制御部23は、所定のプログラムを実行するCPUなどを含み、サーバ装置2の全体を制御する。本実施例では、制御部23は、通信部21によりアップロードデータDuを端末装置1から受信した場合に、アップロードデータDuに含まれる周辺環境データに基づいて配信地
図DB内の地図データを更新する。
【0039】
上記の構成において、端末装置1は本発明の表示灯制御装置の一例であり、表示灯制御部40は本発明の制御手段の一例であり、ハザードランプ50は本発明の表示灯の一例である。
【0040】
[分岐車線の渋滞に関する通知]
以下、車両の端末装置1により、車両が分岐車線の渋滞(以下、「分岐車線渋滞」とも呼ぶ。)の最後尾に位置していることを示す情報を他の車両へ通知する方法について説明する。なお、分岐車線は、高速道路や有料道路の出口、PA及びSAなどの分岐車線、並びに一般道の立体交差点における分岐車線などを含む。
【0041】
図5(A)は、分岐車線の渋滞の例を示す。高速道路や有料道路などの本線道路Rmから、出口の料金所やPA、SAなどへ向かう分岐車線Rdが分岐している。分岐車線Rdには、複数の車両Vが並び、渋滞となっている。渋滞の最後尾にいる車両Vxの端末装置1xは、自分が分岐車線渋滞の最後尾についたことを後続の車両に知らせるために、ハザードランプ50を所定のパターンで点滅させる。
【0042】
図5(B)は、後続の車両Vyが到来した状態を示す。なお、後続の車両Vyは、自動運転車であり、分岐車線Rdを通って出口を出るように経路設定されているものとする。図示のように、車両Vyが車両Vxの後方位置に到着すると、車両Vyの端末装置1yは車両Vxのハザードランプ50の点滅パターンを検出し、車両Vxが分岐車線渋滞の最後尾に位置していることを知る。これにより、車両Vyは、分岐車線渋滞の最後尾、即ち、車両Vxの後に並び、出口へ向かうことができるようになる。
【0043】
(渋滞の最後尾の検出)
車両Vxの端末装置1xは、例えば車両Vxの速度や、カメラ32による前方画像などに基づいて、分岐車線が渋滞しているか否かを判定する。例えば、端末装置1xは、車両の速度が所定速度未満である場合に渋滞が発生していると判定し、所定速度以上である場合に渋滞が発生していない(それまで渋滞が発生していた場合には渋滞が解消した)と判定することができる。さらに、端末装置1xは、カメラ32による撮影画像やライダ31による計測結果に基づいて、自車の後方に車両がいるか否か、即ち自車が最後尾であるか否かを判定する。そして、端末装置1xは、自車が分岐車線渋滞の最後尾に位置している場合に、後方の車両Vyにその旨を通知するためにハザードランプ50の点滅制御(以下、「最後尾通知のための点滅制御」と呼ぶ。)を行う。なお、渋滞が発生している車線が分岐車線であるか否かは、当該車線の位置(車線番号)を撮影画像等から識別し、その車線が出口、PA、SAへつながる車線であるか否かを、車線についての情報を記録している地図データを参照して判断することができる。
【0044】
(最後尾通知のための点滅制御)
次に、最後尾通知のための点滅制御について説明する。
(1)第1実施例
第1実施例では、端末装置1は、ハザードランプ50の点滅周波数又は光度を制御する。
図6(A)は、ハザードランプ50の通常の点滅制御の波形を示す。ここで、「通常の点滅制御」とは、車両の運転者が車室に設けられたハザードランプ50のボタンを押した場合に行われる点滅制御を指す。なお、この場合のハザードランプ50の点滅波形は、関連法令(「道路運送車両の保安基準」など)に定められる点滅周期や光度に従ったものとなる。
【0045】
これに対し、本実施例による最後尾通知のための点滅制御は、例えば
図6(B)に示すように、通常の点滅制御よりも高い周波数でハザードランプ50を点滅させる。これにより、最後尾通知のための点滅制御を通常の点滅制御と区別することができる。この場合、好ましくは人間の可視限界周波数よりも高い周波数でハザードランプ50を点滅させることにより、周辺車両の搭乗者に与える視覚的な不快感や違和感を防止することができる。例えば、ハザードランプの点滅周期のうち、滅灯している時間を十分長くし、点灯している期間をごく短い期間として高周波数で点滅することで、通常のハザードランプの点滅状態と明確に区別することができる。
【0046】
別の例では、最後尾通知のための点滅制御は、
図6(C)に示すように、通常の点滅制御よりも周波数を低くしてもよい。これにより、最後尾通知のための点滅制御を通常の点滅制御と区別することができる。また、点滅の周波数が低いので、周辺車両の搭乗者に与える視覚的な影響も小さくすることができる。
【0047】
さらに別の例では、最後尾通知のための点滅制御は、
図6(D)に示すように、ハザードランプ50の光度を段階的に変化させるものとしてもよい。
図6(D)の例では、ハザードランプ50の光度を0から段階的に増加させ、その後に段階的に減少させている。この方法でも、最後尾通知のための点滅制御を通常の点滅制御と区別することができる。
【0048】
(2)第2実施例
第2実施例では、端末装置1は、所定周波数の光信号(搬送波)を変調して生成した変調信号によりハザードランプ50を点滅させる。例えば、渋滞の最後尾を示すデータは、
図7(A)に示す波形で示されるものとする。即ち、渋滞の最後尾を示すデータは、パルス幅1.5Tの1つのパルスと、それに続くパルス幅1Tの3つのパルスとの組合せであるとする。この場合、渋滞の最後尾を示すデータで所定周波数の光信号を変調すると、
図7(B)に示す変調信号が得られる。端末装置1は、この変調信号によりハザードランプ50を点滅させる。なお、この場合、光信号の周波数は、人間の可視限界周波数より高い周波数であることが望ましい。
【0049】
別の例では、光信号を変調するデータの波形により、分岐車線渋滞の最後尾と、それ以外の渋滞(以下、「一般渋滞」と呼ぶ。)の最後尾とを区別してもよい。例えば、分岐車線渋滞の最後尾を示すデータが、
図7(A)に示すパルス波形のうち3つ目のパルスを省略した波形で示されるものとする。この場合、分岐車線渋滞の最後尾に位置する車両Vの端末装置1は、このデータにより所定周波数の光信号を変調して
図7(C)に示す変調信号を生成し、この変調信号によりハザードランプ50を点滅制御する。一方、一般渋滞の最後尾を示すデータは、
図7(A)に示すパルス波形のうち2つ目のパルスを省略した波形で示されるものとする。この場合、一般渋滞の最後尾に位置する車両Vの端末装置1は、このデータにより所定周波数の光信号を変調して
図7(D)に示す変調信号を生成し、この変調信号によりハザードランプ50を点滅制御する。
【0050】
このように、予め決められたデータにより所定周波数の光信号を変調して得た変調信号でハザードランプ50を点滅制御することにより、渋滞の最後尾であることに加えて、渋滞の種別などの情報も併せて後続車両に伝えることが可能となる。
【0051】
(後続車両の処理)
後続車両の端末装置1は、センサ部7に含まれる光センサなどのセンサにより、最後尾通知のための点滅制御を行っている車両のハザードランプ50の点滅を検出し、渋滞の最後尾に位置する車両を検出する。そして、渋滞の最後尾の車両の後方に並ぶように車両を制御する。具体的には、端末装置1は、最後尾通知のための点滅制御によるハザードランプ50の点滅パターンを予め記憶しておき、光センサなどにより検出した点滅パターンが、記憶している点滅パターンと一致したときに、その車両が渋滞の最後尾の車両であると判定すればよい。
【0052】
(点滅制御のフローチャート)
図8は、最後尾通知のための点滅制御のフローチャートを示す。この処理は、端末装置1の制御部14が予め用意されたプログラムを実行することにより行われる。また、この処理は、所定時間毎に繰り返し実行される。なお、このフローチャートは、分岐車線渋滞の最後尾についた車両の端末装置1が最後尾通知のための点滅制御を実行する場合のものとする。
【0053】
まず、端末装置1は、車両が分岐地点から所定距離内に入ったか否かを判定する(ステップS10)。なお、分岐地点から所定距離内にいるか否かは、例えばGPS受信機33等によって検出した車両の位置と、地
図DB4に記録されている地図データとを用いることによって、制御部14で実行されるプログラムの処理により判断することができる。端末装置1は、車両の現在位置と、地
図DB4内の地図データとに基づいてこの判定を行う。車両が分岐地点から所定距離内に入っていない場合(ステップS10:No)、処理は終了する。
【0054】
一方、車両が分岐地点から所定距離内に入った場合(ステップS10:Yes)、端末装置1は、分岐車線が渋滞しているか否かを判定する(ステップS11)。なお、端末装置1は、例えば車両の速度が所定速度未満である場合に渋滞が発生していると判定し、所定速度以上になった場合に渋滞が発生していないと判定することができる。また、端末装置1は、カメラ32により撮影した前方画像などに基づいて、分岐車線が渋滞しているか否かを判定してもよい。分岐車線が渋滞していない場合(ステップS11:No)、端末装置1は、ハザードランプ50を点灯せず(ステップS14)、ステップS15へ進む。
【0055】
一方、分岐車線が渋滞している場合(ステップS11:Yes)、端末装置1は、自車が分岐車線渋滞の最後尾にいるか否かを判定する(ステップS12)。なお、端末装置1は、前述のように、カメラ32やライダ31による後方車両の検出結果に基づいて、自車が最後尾であるか否かを判定することができる。
【0056】
自車の位置が分岐車線渋滞の最後尾である場合(ステップS12:Yes)、端末装置1は、上記したいずれかの方法でハザードランプ50を点滅制御し(ステップS13)、ステップS15へ進む。一方、自車の位置が分岐車線渋滞の最後尾ではない場合(ステップS12:No)、端末装置1は、ハザードランプ50を点灯せず(ステップS14)、ステップS15へ進む。
【0057】
ステップS15では、端末装置1は、自車が分岐地点を通過したか否かを判定する。自車が分岐地点を通過していない場合(ステップS15:No)、処理はステップS11へ戻り、ステップS11~S14を繰り返す。一方、自車が分岐地点を通過した場合(ステップS15:Yes)、処理は終了する。
【0058】
なお、ステップS14では、ハザードランプ50の点滅制御が未だ行われていない場合には引き続き点滅制御を行わないこととし、ハザードランプ50の点滅制御が既に行われている場合にはその点滅制御を停止するものとする。これにより、車両が分岐車線渋滞の最後尾に位置して最後尾通知のための点滅制御を行った後、分岐車線渋滞が解消したり、後続車両が到来して自車が最後尾ではなくなったりした場合には、ハザードランプ50の点滅が停止される。即ち、車両が分岐車線渋滞の最後尾に位置している間だけ、最後尾通知のための点滅制御が行われることとなる。
【0059】
[変形例]
上記の実施例では、最後尾通知のための点滅制御により車両のハザードランプ50を点滅させているが、その代わりに、車幅灯など、車両に搭載された他の表示灯を点滅制御してもよい。なお、この場合には、表示灯を人間の可視限界周波数より高い周波数で点滅させ、点滅の様子が周辺車両の搭乗者には見えないようにすることが望ましい。
【符号の説明】
【0060】
1 端末装置
2 サーバ装置
4 地
図DB
5 配信地
図DB
6 センサデータキャッシュ
7 センサ部
14、23 制御部
40 表示灯制御部
50 ハザードランプ