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特許7158888冷却モジュールおよび当該冷却モジュールを備える電力変換器
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  • 特許-冷却モジュールおよび当該冷却モジュールを備える電力変換器 図1
  • 特許-冷却モジュールおよび当該冷却モジュールを備える電力変換器 図2
  • 特許-冷却モジュールおよび当該冷却モジュールを備える電力変換器 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-14
(45)【発行日】2022-10-24
(54)【発明の名称】冷却モジュールおよび当該冷却モジュールを備える電力変換器
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/473 20060101AFI20221017BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20221017BHJP
【FI】
H01L23/46 Z
H05K7/20 N
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018090784
(22)【出願日】2018-05-09
(65)【公開番号】P2018190984
(43)【公開日】2018-11-29
【審査請求日】2021-04-09
(31)【優先権主張番号】1754142
(32)【優先日】2017-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】515017094
【氏名又は名称】メルセン フランス エスベー ソシエテ パ アクシオンス シンプリフィエ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100119987
【氏名又は名称】伊坪 公一
(72)【発明者】
【氏名】ヤニック モワソン
(72)【発明者】
【氏名】ミカエル ドベーズ
(72)【発明者】
【氏名】ジェローム ジオラ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-リュック デュベロワ
【審査官】正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-109495(JP,A)
【文献】特開2005-045027(JP,A)
【文献】特開平06-268127(JP,A)
【文献】特表2012-533868(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0139096(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/473
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力変換器(1)のための冷却モジュール(5)であって、
電力変換モジュール(3)を外部支持面(52)上に固着する手段(54、55)を備える前記外部支持面(52)を有するハウジング(50)と、
相互に対してずれている個別の熱転送流体ブランチ(82)を備える熱転送流体ネットワーク(68)であって、
各ブランチは、前記ハウジング(50)において、前記外部支持面(52)に平行なネットワーク平面(P64)において延伸し、
各ブランチ(82)は、前記ネットワーク平面(P64)において個別のゾーン(83)を占有する、熱転送流体ネットワーク(68)と、を備え、
各ブランチ(82)は、
熱転送流体供給コレクタ(90)と、
熱転送流体排出コレクタ(91)と、
複数の個別の熱転送流体サブブランチ(92)であって、各サブブランチ(92)は、
当該サブブランチ(92)の入口端部(93)を介して、前記供給コレクタ(90)に接続され、
該サブブランチ(92)の出口端部(94)を介して、前記排出コレクタ(91)に接続され、
該ブランチ(82)の前記ゾーン(83)が有する個別のサブゾーン(98)を占有し、
前記供給コレクタ(90)と前記排出コレクタ(91)との間で、他のサブブランチ(92)に対してずれており、
前記入口端部(93)を前記出口端部(94)に接続する単一熱転送流体チャネルを形成する、複数の個別の熱転送流体サブブランチ(92)と、を備え、
各サブブランチ(92)の前記単一熱転送流体チャネルは、前記ネットワーク平面(P64)において、規則的なピッチを有するアンジュレーションを伴って形成される、ことを特徴とする冷却モジュール(5)。
【請求項2】
各サブブランチ(92)は、前記ネットワーク平面(P64)において、他のサブブランチ(92)と同一の形状を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の冷却モジュール(5)。
【請求項3】
各個別のゾーン(83)は、ブランチ軸(X82)を定義する細長い形状を有し、
前記ゾーン(83)は、前記ブランチ軸(X82)が相互に平行になるように配置され、
各ブランチ(82)の前記サブゾーン(98)は、当該ブランチ(82)の前記ブランチ軸(X82)に沿って分布する、ことを特徴とする請求項1または2に記載の冷却モジュール(5)。
【請求項4】
前記単一熱転送流体チャネルは、一定の幅を有する、ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の冷却モジュール(5)。
【請求項5】
各サブブランチ(92)に対して、前記アンジュレーションの前記ピッチは、前記単熱転送流体チャネルの前記幅よりも大きい、ことを特徴とする請求項4に記載の冷却モジュール(5)。
【請求項6】
各サブブランチ(92)の前記単一熱転送流体チャネルは、
前記入口端部(93)から延伸し、前記ネットワーク平面(P64)において第1螺旋で巻かれる第1部分(95)と、
前記出口端部(94)から前記第1部分(95)に延伸し、前記ネットワーク平面(P64)において第2螺旋で巻かれ、前記第1螺旋に差し挟まれる第2部分(96)と、を備える、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の冷却モジュール(5)。
【請求項7】
前記第1螺旋および前記第2螺旋を有する各螺旋は、各回転において4つの角を描き、前記4つの角は四辺形のように分布する、ことを特徴とする請求項6に記載の冷却モジュール(5)。
【請求項8】
各サブブランチ(92)に対して、前記単一熱転送流体チャネルの前記アンジュレーションの前記ピッチは、当該サブブランチの前記第1螺旋および前記第2螺旋を有する螺旋の最大直径または最長辺よりも小さい、ことを特徴とする請求項6または7に記載の冷却モジュール(5)。
【請求項9】
前記ネットワーク(68)は、
前記ハウジング(50)の外側で表に現れ、前記ブランチ(82)の前記供給コレクタ(90)に接続される主熱転送流体入口コレクタ(77)と、
前記ハウジング(50)の外側で表に現れ、前記ブランチ(82)の前記排出コレクタ(91)に接続される主熱転送流体出口コレクタ(78)と、を備える、ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の冷却モジュール(5)。
【請求項10】
前記固着する手段(54、55)は、各ブランチ(82)に対して、前記外部支持面(52)の表面上で表に現れる少なくとも1つの開口部(55)を備える、ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の冷却モジュール(5)。
【請求項11】
各ブランチ(82)に対して、前記少なくとも1つの開口部(55)は、ネジ(54)を埋め込むように構成される、ことを特徴とする請求項10に記載の冷却モジュール(5)。
【請求項12】
電力変換器(1)であって、
請求項1~11のいずれか一項に記載の冷却モジュール(5)と、
別々の電力変換モジュール(3)であって、各電力変換モジュール(3)は、
相互に反対側となる構成要素面(13)と外部接触面(17)とを備える熱インタフェースプレート(9)と、
それぞれが、少なくとも1つの半導体構成要素を備え、前記構成要素面(13)上に固定的に分布する、別々の電力変換サブモジュール(15)と、を備える、別々の電力変換モジュール(3)と、備え、
各電力変換モジュール(3)は、
前記外部接触面(17)が前記外部支持面(52)と接触するように、前記固着する手段(54、55)を介して、前記外部支持面(52)上に固着され、
その熱インタフェースプレート(9)が、前記ゾーン(83)の1つと対向する側になり、そのサブモジュール(15)が、当該ゾーン(83)のサブゾーン(98)と対向する側になるように位置決めされる、ことを特徴とする電力変換器(1)。
【請求項13】
各サブモジュール(15)は、前記ネットワーク平面(64)において垂直投影(Z)されて、サブモジュール領域(57)を占有し、
各サブブランチ(92)は、当該サブブランチ(92)により占有される前記サブゾーン(98)が、前記反対側のサブモジュール(15)の前記サブモジュール領域(57)と略一致するように構成される、ことを特徴とする請求項12に記載の装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却モジュールと、当該冷却モジュールおよび電力変換モジュールを備える電力変換器と、に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、電力変換器、例えば、インバータタイプで、特に、モータに電力を供給したりモータを制御し、または、発電の状況においてエネルギを変換する電力変換器全般の分野に関する。制御されたり電力を供給されるモータは、例えば、鉄道車両のための車両牽引モータ、農業用車両、重量機器もしくは採掘車両に搭載される作業モータ、または、産業もしくは家庭用自動モータである。当該発電は、産業または家庭活動における、例えば、熱、風力、または太陽に由来するものでもよい。
【0003】
1つの周知の変換器は、複数の変換モジュールを備え、これらは平行になるように配置され、冷却システム上に固定的に配置されてプレートを形成する。各変換モジュールは、並列に作動するトランジスタおよびダイオード、特に、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)を含む半導体構成要素を備える。冷却プレートには、作動するときに相当な熱を発するモジュールを冷却するために循環する熱転送流体用のチャネルのネットワークが張り巡らされる。この変換器の冷却ネットワークは、相互に流れが変わる(diverted)複数の冷却アームを備える。各冷却支線(以下、支線をブランチと記述する)は、冷却対象のモジュールの表面全体にわたり巻かれる単一連続チャネルを備える。
【0004】
しかしながら、この周知の冷却システムは、1つのモジュールから他のモジュールにかけて、そして各モジュールにおいて、1つのサブモジュールから他のサブモジュールにかけて、温度のバランスの取れた分布を得ることができない。これらの温度差は、変換構成要素の電気特性に影響を与え、電力変換の一般的な品質にとって有害であり、構成要素が並列して使用されるときは特に有害である。
【0005】
米国特許第9、042、100 B2号は、熱を発生する電力構成要素を冷却するためのアセンブリを開示する。この周知のシステムは、構成要素を冷却するためにストライキングジェット(striking jet)を実施する。しかしながら、ストライキングジェットの使用は、行われる冷却の一様性に対して有害である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明は、電力変換器に対して、新しい冷却モジュールを提案することによりこれらの欠点を解決することを目指し、この冷却モジュールは、効果的な冷却を行いながら、電力変換器における温度の分布を改善することを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、電力変換器用の冷却モジュールに関し、この冷却モジュールは、
電力変換モジュールを外部支持面に固着する(fasten)手段を備える外部支持面を有するハウジングと、
各ブランチが、ハウジングにおいて、外部支持面に平行なネットワーク平面において延伸し(extending)、ネットワーク平面において個別の(individual)ゾーンを占有し、相互に対してずれている(deviated)個別の熱転送流体ブランチを備える熱転送流体ネットワークと、を備える。
【0008】
各ブランチは、
熱転送流体供給コレクタと、
熱転送流体排出コレクタと、
複数の個別の熱転送流体サブブランチと、を備え、各サブブランチは、
当該サブブランチの入口端部を介して、供給コレクタに接続され、
当該サブブランチの出口端部を介して、排出コレクタに接続され、
当該ブランチのゾーンが有する個別のサブゾーンを占有し、
供給コレクタと排出コレクタとの間で、他のサブブランチに対してずれており、
入口端部を出口端部に接続する単一熱転送流体チャネルを形成する。
【0009】
本発明によれば、各サブブランチの単一チャネルは、ネットワーク平面において、規則的なピッチを有するアンジュレーション(波動、起伏)(undulation)を伴って形成される。
【0010】
本発明により、ネットワークに熱転送流体が供給されるときに、各ブランチに対して、熱転送流体は、実際には同じ温度でサブブランチのそれぞれに到達する。サブブランチにより定義されるサブゾーンは、当該(in question)ブランチのゾーンの中で分布する(distributed)ので、このゾーンにおいてこの一様な温度が分布する。変換モジュールが、変換モジュールを固着する目的のために設置される外部支持面に固着される一方、このゾーンと対向する側に配置されると、モジュールの冷却は、特に一様に行われる。
【0011】
サブブランチのチャネルのアンジュレーションの存在とこれらのアンジュレーションの規則的なピッチとにより、この冷却がストライキングジェットを実施しないという事実にもかかわらず、冷却をより効果的にすることを可能にする。しかしながら、インパクティングジェット(impacting jets)を使用するソリューションに関して、本発明により得られる冷却の一様性は、熱転送流体の特別な循環方式のために大きく改善される。したがって、本発明は、電力変換器が非常に一様性の高い、しかも効率的な冷却を必要とする場合、特に有用である。
【0012】
本発明の、他の随意的かつ利点のある特徴によれば、技術的に可能なすべての組み合わせに従って、下記のことが考慮される。
各サブブランチは、ネットワーク平面において他のサブブランチと同一の形状を有する。
各個別のゾーンは、ブランチ軸を定義する細長い形状を有し、ゾーンは、ブランチ軸が相互に対して平行になるように配置され、各ブランチのサブゾーンは、当該ブランチのブランチ軸に沿って分布する。
単一チャネルは、一定の(constant)幅を有する。
各サブブランチに対して、アンジュレーションのピッチは、当該単一チャネルの幅よりも大きい。
各サブブランチの単一チャネルは、
入口端部から延伸し、ネットワーク平面において第1螺旋で巻かれる第1部分と、
出口端部から第1部分に延伸し、ネットワーク平面において、第1螺旋に差し挟まれる(交互に配置される)(interleaved)第2螺旋で巻かれる第2部分と、を備える。
第1螺旋および第2螺旋を有する各螺旋は四辺形であり、各回転において4つの角(corner)を定義する。
各サブブランチに対して、単一チャネルのアンジュレーションのピッチは、当該サブブランチの、第1螺旋および第2螺旋を有する螺旋の最大直径よりも小さい。
ネットワークは、
ブランチの供給コレクタに接続され、ハウジングの外側で表に現れる(emerging)主熱転送流体入口コレクタと、
ブランチの排出コレクタに接続され、ハウジングの外側で表に現れる主熱転送流体出口コレクタと、を備える。
固着手段は、各ブランチに対して、外部支持面の表面上で表に現れる少なくとも1つの開口部を備える。
各ブランチに対して、少なくとも1つの開口部は、ネジの埋め込みのために構成される。
【0013】
本発明は、また、電力変換器にも関し、電力変換器は、
上記に記載の冷却モジュールと、
別々の電力変換モジュールであって、それぞれが、
相互に反対側となる構成要素面と外部接触面とを備える熱インタフェースプレートと、
それぞれが少なくとも1つの半導体構成要素を備え、構成要素面上で固着されて分布する、別々の電力変換サブモジュールと、を備え、
各電力変換モジュールは、
外部接触面が外部支持面と接触するように、外部支持面上で固着手段を介して固着され、
その熱インタフェースプレートがゾーンの1つと対向する側になり、そのサブモジュールが、このゾーンのサブゾーンと対向する側になるように位置決めされる。
【0014】
オプションとして、そして有利には、各サブモジュールは、ネットワーク平面において垂直投影されたサブモジュール領域を占有し、各サブブランチは、このサブブランチにより占有されるサブゾーンが、反対側のサブモジュールのサブモジュール領域に実質的に一致するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る電力変換器であって、本発明に係る冷却モジュールを備える電力変換器の透視図である。
図2】上側プレートが除去された、図1の冷却モジュールの上面図である。
図3図2の線III-IIIに沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
非制限的な例としてのみ提供され、付随する図面を参照してなされる下記の記述を読むことにより、本発明は、より良好に理解されるであろう。
【0017】
電力変換器1が図1に示される。
【0018】
この変換器1は、半導体構成要素の回路に基づいて、パワーエレクトロニクスを使用して作動する。この例においては、変換器1は、半導体、特に、インバータまたは整流器を有する電力変換器である。代替として、電力変換器は、クリッパ、スイッチングモード電源、またはディマーである。その前述のタイプに基づいて、電力変換器は、前述の分野の1つにおいて、例えば、電気モータの制御および電気モータへの電力供給、または、生成源からの電気エネルギの変換において特に適用可能である。
【0019】
本実施例の変換器1は、好ましくは、100Vを超える電圧を扱う。
【0020】
図に示されるように、正規直交座標系が、方向X、Y、およびZにより定義されて変換器1に添付されており、変換器1の空間的配置を理解するための支援をする。
【0021】
図1の変換器1は、電力変換エレクトロニクスを含む4つの電力変換モジュール3を備える。これらのモジュール3は、相互に別々であり、すなわち分離しており結合されていない。更に、そのため、モジュール3は、相互に独立して使用できる。各モジュール3は、例えば、10cmと1mとの間に含まれる長さと、4cmと20cmとの間に含まれる幅と、を有する。典型的なモジュール3は、約25cmの長さと約7.5cmの幅とを有する。
【0022】
各モジュール3は、有利には、インバータアームを形成する。代替として、各モジュール3は、インバータスイッチを形成する。しかしながら、各モジュール3は、所望の適用(application)の機能として、他の電力変換機能を形成できる。
【0023】
また、変換器1は、モジュール3が固着される冷却モジュール5も備える。
【0024】
モジュール3は、好ましくは、本実施例の場合のように同一であり、または、少なくとも類似の動作を有する。しかしながら、モジュール3は、代替として、その実施形態およびその動作において相互に異なってもよい。
【0025】
モジュール3のそれぞれは、ハウジング7を備える。各ハウジング7は、平面XYに平行に延伸する熱インタフェースプレート(thermal interface plate)9と、熱インタフェースプレート9により閉じられる上側シェル11と、を備える。本実施例においては、上側シェル11は、プレート9の面13上に取り付けられる。
【0026】
この同じ面13上において、各モジュール3は、6つの電力変換サブモジュール15を備え、そのうちの1つが、シェル11を通して、点線で図1に図示される。各サブモジュール15は、有利には基板を形成する。各サブモジュール15は、少なくとも1つの半導体構成要素を備える。このタイプのサブモジュールは、一般には1辺が3cmと5cmとの間の寸法を有しており、典型的には、約4cmである。
【0027】
1つの好適な実施形態において、各サブモジュール15は、1つもしくは複数のスイッチ機能並びに1つもしくは複数のダイオード機能を分散して備える。例えば、サブモジュール15は、回路において相互接続され、それぞれがスイッチ機能を行う4つのIGBTと、2つのダイオードと、を備えることができる。サブモジュール15は、適用に基づいて、動作中に相対的に多くの熱を発する構成要素の他の組み合わせを有することができる。適用に基づいて、特に、電力が関連する適用に基づいて、各モジュール3には、6つを超える、または6つ未満のサブモジュール15を設けることができる。サブモジュール15に加えて、またはサブモジュール15の代わりに、他の構成要素をモジュール3に設けることができる。
【0028】
好ましくは、各モジュール3のサブモジュール15は、ほぼ同じ動作を有し、または、同一または類似する。サブモジュール15は、有利には、並列して使用され、それにより、協働して、接続されるサブモジュールの数に依存する大きな電力を取り扱うことができる。
【0029】
各モジュール3において、サブモジュール15は、プレート9と上側シェル11との間のハウジング7に含まれる。サブモジュール15は、「構成要素面」と呼ばれる、プレート9の面13上に固着される。サブモジュール15は、好ましくは、変換器1に搭載されるモジュール3を有する構成において、モジュール3の軸X3に沿って、軸Xに平行に、重なることなく規則的に整列される(aligned)。このため、各モジュール3のハウジング7は、結果として、サブモジュール15の形を結合でき、このようにモジュール3の簡潔性を保証できるように、略平行六面体であり、軸X3に沿って細長くなる。
【0030】
有利には、異なるモジュール3は、他の変換モジュールと個別に(individually)容易に置き換えることができるように標準の寸法を有する。このため、変換器1は、モジュール式(modular)であり、冷却モジュール上に設置された変換モジュールの組み合わせは、適用に適合するために、または、変換器により行われる機能を修正するために、または、少なくともその動作特性を修正するために、変換モジュールの1つまたは複数を置き換えることにより修正できる。
【0031】
冷却モジュール5は、ハウジング50を備え、好ましくは、平面XYに平行に延伸する厚みのある長方形のトレーを形成する。ハウジング50は、上側プレート58と、上側プレートが固着される下側プラテン(platen)60と、を備える。代替として、プレート58とプラテン60とは、一体に形成される。略平行六面体であるプレート58およびプラテン60は、平面XYに平行に延伸し、軸Zに沿って重ね合わされる。
【0032】
プレート58は、平面XYに平行な平面P53において延伸する、ハウジング50の外部面52を形成する。また、プレート58は、面52に対向しかつ平行な面62も備え、それを介してプラテン60上に置かれる。
【0033】
モジュール3は、支持体として機能する外部面52により冷却モジュール5上に固着される。この場合、モジュール3は、その軸X3が平行で、軸Yに沿って規則的な間隔となるように、面52上で分布する。
【0034】
より具体的には、モジュール3は、その熱インタフェースプレート9により面52上に固着される。各熱インタフェースプレート9は、面52との外部接触面17を備え、面17は、面13に対向しかつ平行である。したがって、プレート9のそれぞれの面17は、外部支持面52上に、好ましくは、面17全体の領域上に、面接触(in surface contact)、すなわち、平坦に置かれる(rest flat)。冷却モジュール5とサブモジュール15との間の熱交換は、プレート58およびプレート9を通して行われる。その目的のため、プレート9およびプレート58は、有利には、アルミニウム、または他の適切な熱伝導材料から作製される。有利には、熱ペースト(thermal paste)が、より良好な熱伝導を得るために、プレート9の面17とプレート58の面52との間に導入される。
【0035】
モジュール3は、ネジ54を使用して面52上に固着される。好ましくは、これらのネジ54は、プラテン60の開口部(orifices)55に整列されて配置され面52の表面上で表に現れるプレート58の開口部を介して、プレート58を横断しながら(traversing)プラテン60の開口部55に埋め込められ、好ましくは、開口部55には雌ネジが切られる。代替として、ネジ54を埋め込むために、プラテン60に開口部を設けずに、ブラインド開口部を、面52の表面上で表に現れるようにしてプレート58に配置して設けることができる。代替として、プレート58及びプラテン60を横断する開口部を設けて、その全体の長さ、またはその一部に雌ネジを切ることもできる。本実施例においては、各モジュールは、各列が7つで2列のネジにより固着され、各列のネジ54は、軸Xと規則的に整列されている。ネジ54は、Y軸に沿って水平に埋め込まれ、モジュール3の2つの連続するサブモジュール15間は分離される。ネジ54とそのそれぞれの開口部55とは、モジュール3をモジュール5上に固着する手段を構成する。ネジ54とそれに関連する開口部55との数は、適用に基づいて、特に、各モジュール3に設けられるサブモジュール15の数に基づいて変更できる。搭載される各モジュール3に対して、少なくとも1つの開口部55を、ネジ54を収納するために設けることが考慮される。
【0036】
代替として、開口部55は、リベットなどの、ネジ以外のタイプの固着要素を収容するために設けることができる。
【0037】
代替として、このネジ54の代わりに、またはそれに追加して、特定の状況に基づく任意の適切なタイプの固着手段を設けることができる。
【0038】
一般には、面52はスロット56を含んでおり、各スロット56は、モジュール3のうちの1つのプレート9の面17により占有される領域に対応する。これらのスロットは、図2において破線で示される。スロット56は、平面P52を延伸し、本実施例においては、図2に例示されるように、軸Xに平行でその最も長い軸X56を有する一般には長方形である。スロット56の長方形の形は、上述したモジュール3の幅及び長さに対応する。いずれの場合も、スロット56は、別個、すなわち、分離されていて重ならない。本実施例においては、モジュール3がなくても、スロット56を、プレート58上に設けられる雌ネジが切られた孔を使用して識別でき、それらのそれぞれの輪郭を定義する。実施形態とは無関係に、各スロット56は、モジュール3のうちの1つのみを固着するための手段を備える。
【0039】
下側プラテン60は、図2および図3に示される。プラテン60は、平面XYにおいて延伸する上面64を備える。上側プレート58が下側プラテン60上に固着されるときに、面64は、プレート58の面62と密封接触する(is in sealed contact with)。プラテン60は、また、上面64と対向しかつ平行な下面66も備える。面64は、有利には、プレート58と同じ四角形の形状を有する。
【0040】
下側プラテン60は、また、4つの側面73、74、75、および76も備え、面73および75は平面XZに平行に延伸し、面74および76は平面YZに平行に延伸する。
【0041】
プラテン60は、有利には、プレート58と同じ材料から作製されるが、熱交換が、プレート58に優先権が与えられて行われるように、熱伝導がより低い異なる材料から作製することもできる。
【0042】
熱転送流体ネットワーク68は、プラテン60の中に配置されており、面64からは見えない。ネットワーク68において使用される熱転送流体は、例えば、水であり、オプションとしてグリコール水である。
【0043】
ネットワーク68は、面64において配置されるチャネルまたは溝から形成され、上に向けて開口、すなわち、プレート58が、プラテン60上の適切な位置にあるときに、プレート58に向けて開口する。プレート58がプラテン60上で固着されるとき、ネットワーク68の種々のチャネルは、管状の導管、好ましくは、四辺形の断面を有する導管を形成する。好ましくは、このネットワーク68は、プラテン60の面64をフライス加工する(milling)ことにより、または、材料を除去する任意の他の製造法により作製される。このように、プラテン60は、有利には、一体に形成される。代替として、鋳造などの、プラテン60の他の製造方法も可能である。
【0044】
上面64は、「ネットワーク平面」と呼ばれる、平面P52に平行な平面P64を定義し、そこにおいて、ネットワーク68は延伸する。
【0045】
図2に例示されるように、ネットワーク68は、面74の表面において設けられる第1開口部70および第2開口部72と同じ高さのハウジング50から表に現れる(emerges from)。開口部70は、隣接する面73に近接して、面74の一端において設けられ、第2開口部72は、隣接する面75に近接して、面74の反対側の端部において設けられる。2つの開口部70および72の1つは、ネットワーク68における冷却流体に関する入口として機能し、他方は、出口として機能する。本実施例においては、開口部70は入口として機能し、開口部72は出口として機能する。開口部70および72は、熱転送流体供給および排出手段に接続されるように設けられ、これにより、ネットワーク68における熱転送流体の循環によってモジュール3の冷却を可能にするのに十分な低温の熱転送流体を提供する。その流体接続のため、開口部70および72のそれぞれは、有利には、ネジピッチまたは他の手段などの結合器(coupler)に結合するための手段が設けられる。
【0046】
代替として、開口部70および72は、ハウジング50の他の面上、特に、側面73、74、75、および76、または、面66上に設けることができる。開口部70および72は、ハウジング50の2つの別個の面上に設けることができる。
【0047】
本実施例においては、ネットワーク68は、開口部70に流動的に(流動体が流れるように)(fluidly)接続されながら、主入口チャネルとして機能する主コレクタ77を備える。コレクタ77は、スロット56の全てと並んで延びるように、軸Yに沿って、および面74に沿って、開口部70から面75に向けて延伸する。コレクタ77は、面64上のスロット56の輪郭の垂直投影の外側で延伸する。
【0048】
本実施例に対しては、そうでないと明示されない限り、記述される垂直投影のすべては、平面P64において軸Zに沿って行われる。これらの投影は、任意の平行な平面、特に、平面P52において同じように行うことができる。
【0049】
本実施例においては、ネットワーク68は、開口部72に流動的に接続されながら、主出口チャネルとして機能する主コレクタ78を備える。コレクタ78は、第1部分79および第2部分80を備え、平面P64において、「L」形に配置されるように、それらの端部の1つにおいて流動的に接続される。部分79は、反対側の面76に向けて延伸しながら、軸Xに沿って、および面75に沿って延伸し、一端において開口部72に流動的に接続される。部分80は、軸Yに沿って、および面76に沿って、部分79の他端から延伸する。同様に、コレクタ77に向けて、コレクタ78の部分80は、スロット56の全てと並んで延びるように延伸する。コレクタ78、特にその部分80は、スロット56の輪郭の垂直投影の外側で延伸する。
【0050】
したがって、コレクタ78の部分80は、コレクタ77と平行であり、コレクタ77から離れている。垂直投影において、モジュール3は、コレクタ77と78との間に配置される。
【0051】
また、ネットワーク68は、ハウジング50において、より具体的には、プラテン60において配置される個別のブランチ82も備える。ブランチ82は、面64からプラテン60において、すなわち平面P64において、配置されるチャネルを形成する。ブランチ82は、「個別」であると言われ、すなわち、相互に結合されず、または相互に流動的に直接接続されない。より具体的には、ブランチ82は、コレクタ77および78を介してのみ相互に接続される。特に、ネットワーク68は、前述したコレクタ77および78を除いて、2つのブランチ82を直接接続する接続部を有しない。各ブランチ82は、ネットワーク68の他の部分との、好ましくは2つのみの流体接続部84および86を備え、1つは熱転送流体の入口、他方は出口として機能する。
【0052】
本実施例においては、各ブランチ82は、その接続部84を介してコレクタ77に流動的に接続され、その接続部86を介してコレクタ78に、特に部分80に流動的に接続される。接続部84は、コレクタ77上で軸Yに平行に規則的に分布する。接続部86は、コレクタ78の部分80上で軸Yに平行に規則的に分布する。したがって、コレクタ77は、熱転送流体をブランチ82に供給するように、すべてのブランチ82に接続され、コレクタ78は、熱転送流体をブランチ82から排出するように、すべてのブランチ82に接続される。
【0053】
実施形態に関係なく、ブランチ82は、コレクタ77と78との間で、ネットワーク68において相互からずれている(deviated)と規定される。言い換えれば、すべてのブランチ82は、同じ供給元(source)、この場合コレクタ77、から配給される熱転送流体を受け取り、熱転送流体を同じ排出先(destination)、この場合コレクタ78、に向けて排出し、ブランチ82の1つを通過した熱転送流体は、他のブランチ82を通過しない。
【0054】
各ブランチ82は、平面P64において定義される個別のゾーン83を占有し、これらのゾーン83のうちの2つは、破線によりその輪郭で図2において示される。これらのゾーン83は、相互から分離しており重ならない限り「個別」である。ゾーン83は、コレクタ77とコレクタ78の部分80との間に延伸する。「占有する」とは、当該ブランチ82が、考慮されるゾーン83において存在するネットワーク68の唯一の部分であることを意味する。ゾーン83は、一般的には四辺形の形状を有する。より一般的には、各ゾーン83は、凹角を有しない多角形、すなわち、凹部の性質を有しない、楕円、円などの形状であり、当該ブランチ82の輪郭を結合する(marries)。好ましくは、本実施例における場合のように、ゾーン83は、長方形であり、軸Xに平行な方向を向き、軸Yに沿って規則的に分布する。ブランチ82は、各ゾーン83が、スロット56の1つと対向する側になるように、またはより具体的には、モジュール3のうちの1つのプレート9と対向する側になるように、平面P64において配置されて延伸する。「対向する側になる(across from)」とは、特にそうでないと明示されない限り、当該構成要素が、軸Zに沿って整列されることを意味する。言い換えれば、各ゾーン83は、スロット56の1つの下にある。このように各ブランチ82は、モジュール3のうちのただ1つの冷却専用である。より具体的には、図2に例示されるように、各ゾーン83は、スロット56の1つの垂直投影の内部、すなわち、モジュール3のうちの1つのプレート9により覆われる領域に含まれる。より一般的には、各ブランチ82は、平面P64において、ブランチ軸X82に沿って、軸Xに平行な方向に延伸し、軸X82は、軸Yに沿って規則的に分布する。
【0055】
各ブランチ82は、モジュール3のうちの1つの冷却専用であるので、有利には、モジュール3と同じ数のブランチ82が設けられ、各ブランチ82をモジュール3と関連付ける。本実施例においては、ネットワーク68は、4つのブランチ82を備え、4つのモジュール3に対応する。モジュール3の固着手段、すなわち、ここでは開口部55およびネジ54、のそれぞれは、このブランチ82と対向する側のモジュール3の固着を可能にするために、ブランチ82の1つと関連付けられる。各ブランチ82は、モジュール3の少なくとも1つの固着手段の少なくとも1つと関連付けられる。実際は、少なくとも1つの固着手段が、ブランチ82のそれぞれと対向する側に設けられる。したがって、好ましくは、少なくとも1つの開口部55は、面52において、各ブランチ82と対向する側に設けられる。
【0056】
各ブランチ82は、他のブランチ82からずれているので、1つのモジュール3から他のモジュール3にかけての冷却が特に一様であるように、熱転送流体は、同じような温度(close temperature)でブランチ82のそれぞれに入る。そして、異なるモジュール3の温度は、温度に関するモジュール3の電気的特性における差が特に低減されるように、動作中は実質的に等しくなる。言い換えれば、1つのブランチ82から他のブランチ82へかけて、冷却は等温度で行われる。
【0057】
本実施例においては、好ましくは、各ゾーン83は、その対応するスロット56の垂直投影により定義される領域全体を占有せず、サブモジュール15のスロットに対応する一部のみを占有する。「サブモジュール領域57」とは、サブモジュール15のそれぞれの垂直投影のことである。この領域57は、特に正方形または長方形である。領域57の2つが、図2において破線による輪郭により示される。領域57の輪郭は、サブモジュール15の前述した辺を再現し、これらの辺の長い方は、例えば、約4cmの寸法を有する。
【0058】
この場合においては、各モジュール3に対して、このモジュール3のサブモジュール15の領域57は、このモジュール3に対応するブランチ82のゾーン83に含まれる。より具体的には、ゾーン83は、この平面P64において、当該モジュール3の領域57を結合する。このように、冷却は、サブモジュール15と対向する側に集中し、すなわち、サブモジュール15の真下で放出され、このサブモジュール15は、モジュール3において最も熱を発生する要素を構成する。有利には、サブモジュール15の周囲は、冷却されないか、または最低限の冷却のみが行われ、それにより、モジュール3における温度の一様性を得ることを可能にする。言い換えれば、各モジュール3に対して、領域57の外側のスロット56の部分はゾーン83で覆われないこと、更に好ましくは、ネットワーク68により主に放置され、更に完全には、ネットワーク68から自由であること、すなわち、ネットワーク68により占有されないことが規定される。
【0059】
代替として、それにもかかわらず、冷却を、領域57の外側のスロット56のゾーンにおいて提供してもよい。
【0060】
各ブランチ82は、複数の熱転送流体サブブランチ92と共に、コレクタ90およびコレクタ91を備える。コレクタ90および91のそれぞれは、同時にはブランチ82の1つのみに属しており、すなわち、2つのブランチ82間で共有されない。
【0061】
コレクタ90および91は、相互に分離して軸Xに平行に延伸する。コレクタ90は、接続部84を介してコレクタ77に流動的に接続され、コレクタ91は、接続部86を介してコレクタ78に流動的に接続される。コレクタ90およびコレクタ91は、それぞれ、当該ブランチ82のゾーン83の輪郭の長い辺の境界を定める。モジュール3がモジュール5上に固着されると、コレクタ90および91は、領域57の外側において、当該モジュールのプレート9と対向する側において、すなわちスロット56において延伸する。コレクタ90および91のそれぞれは、平面P64において延伸する。
【0062】
各ブランチ82に対して、サブブランチ92は、当該ブランチ82の軸X82に沿って分布および整列されて、コレクタ90とコレクタ91との間に配置される。サブブランチ92は、個別、すなわち、相互に結合されず、相互に対して流動的に直接接続もされない。より具体的には、同じブランチ82に属するサブブランチ92は、このブランチ82のコレクタ90および91を介してのみ相互に接続される。特に、ネットワーク68は、前述したコレクタ90および91を除いて、2つのサブブランチ92を相互に直接接続する接続部を有しない。
【0063】
各サブブランチ92は、ブランチ82のうちの1つのみに属し、したがって、ネットワーク68の複数のブランチ82間で共有されない。
【0064】
図に例示される好適な実施形態において、各サブブランチ92は単一チャネルを形成し、このチャネルは、当該ブランチ82のコレクタ90に流動的に接続される熱転送流体入口端部93と、コレクタ91に流動的に接続される熱転送流体出口端部94と、を有する。「単一チャネル」とは、端部93から端部94にかけて、サブブランチはブランチを有せず、熱転送流体に対して単一な一方向のフローチャネルが設けられることを意味する。より一般的には、各サブブランチ92は、コレクタ90および91との、好ましくは、2つのみとの流体接続部93および94を備え、一方は熱転送流体に対する入口として機能し、他方は出口として機能する。好ましくは、各サブブランチ92は、ネットワーク68の他の部分との2つのみの流体接続部を備える。各サブブランチ92の接続部93および94は、2つのサブブランチ92を相互に接続しない。好ましくは、各サブブランチ92の単一チャネルは、本実施例の場合のように、少なくともその外形の大半上で、またはその外形全体上で、平面XYにおいて一定の値の寸法の幅を有する。その目的のため、例えば、各サブブランチチャネル92は、形成されるチャネルの幅に対応する所定の直径を有するフライス加工機械(mill)によってフライス加工により形成される。例えば、所望の適用に基づいて、2mmと10mmとの間に含まれる直径を有するフライス加工機械が提供される。ブランチ82に対するチャネルを製造する方法とは無関係に、各サブブランチチャネル92の流路断面は、3mm2と100mm2との間に含まれ、好ましくは、1つのサブブランチ92から次のサブブランチ92へかけて同一であることが、有利に規定される。
【0065】
本実施例においては、各ブランチ82において、コレクタ90は、サブブランチ92、より具体的には、当該ブランチ82のすべてのサブブランチ92に対する熱転送流体の供給コレクタとして機能する。各ブランチ82において、コレクタ91は、サブブランチ92、より具体的には、当該ブランチ82のすべてのサブブランチ92からの熱転送流体の排出コレクタとして機能する。
【0066】
実施形態とは無関係に、サブブランチ92は、当該ブランチ82において相互からずれると規定される。言い換えれば、所与のブランチ82のすべてのサブブランチ92は、同じ供給元から、この場合コレクタ90から、配給される熱転送流体を受け取り、熱転送流体を同じ排出先に向けて、この場合コレクタ91に向けて、排出し、当該ブランチ82のサブブランチ92の1つを通過した熱転送流体は、同じブランチ82の他のサブブランチ92を通過しない。
【0067】
各サブブランチ92は、サブブランチ92が属するブランチ82のゾーン83の内部において、平面P64において定義される個別のサブゾーン98を占有する。これらのサブゾーン98の2つが図2に示される。これらのサブゾーン98は、相互から分離して重ならない限り「個別」である。サブゾーン98は、コレクタ90とコレクタ91との間を延伸する。「占有する」とは、当該ブランチ92が、考慮されサブゾーン98において存在するネットワーク68の唯一の部分であることを意味する。サブゾーン98は、一般的には四辺形の形状を有する。より一般的には、各サブゾーン98は、凹角を有しない全体として多角形状であり、当該サブブランチ92の輪郭を結合する。好ましくは、サブゾーンは、長方形または正方形である。各ブランチにおいて、サブブランチ92の分布のため、サブゾーン98は、軸X82に沿って規則的に分布する。
【0068】
サブブランチ92は、当該モジュール3がモジュール5上に固着されるときに、各サブゾーン98が、サブモジュール15の1つと対向する側になるように、平面P64において配置されて延伸する。言い換えると、各サブゾーン98は、サブモジュール15の1つの下にある。好ましくは、各サブブランチ92は、このように、サブモジュール15のうちの1つのみの冷却専用である。
【0069】
代替として、サブブランチ92は、当該モジュール3がモジュール5上に固着されるときに、各サブゾーン98が、厳密にサブモジュール15と対向する側になるようにではなく、各サブゾーン98が少しオフセットされる(offset)ように、平面P64において配置されて延伸することを規定できる。このオフセットは、例えば、軸Xに平行に提供される。
【0070】
代替として、サブブランチの1つが、複数の隣接するサブモジュールと対向する側に配置され、同じモジュールに属するこれらの隣接するサブモジュールの冷却専用であると規定できる。また、代替として、同じブランチに属する複数の隣接するサブブランチに対して、1つのサブモジュールのみが冷却され、そして、これらのサブブランチがこのサブモジュールと対向する側に配置されると規定できる。
【0071】
より具体的には、図2において例示されるように、各サブゾーン98は、反対側のサブモジュール15の領域57と略一致する(coincides with)。「一致する」とは、サブゾーン98と領域57とが、ほぼ同じ形状およびサイズを有し、平面P64において重ね合わされることを意味する。特に、領域57と対応するサブゾーン98とは、完全に、またはその大半が重ね合わされる。サブモジュール領域とサブゾーンとが、わずかに形状が異なって設けられる場合、平面P64において一方が他方に含まれると規定すると有利である。好ましくは、サブモジュール領域とサブゾーンとは、平面P64の同じ点を中心とすることが規定される。本実施例においては、各サブモジュール領域57は、軸Yの方向において、コレクタ90及び92の一部の上で突出する(protrudes)。より具体的には、本実施例においては、各領域57は、軸Yに平行に延伸し、一方では、コレクタ90の途中の点まで、他方においては、コレクタ91の途中の点まで延伸する。
【0072】
そして、各サブブランチ92は、当該モジュール3の他の部分に対してはあまり作用せず、唯一のサブモジュール15の冷却専用である。このように、冷却モジュール5は、モジュール3内で、モジュール3の他の要素と比較して大量の熱を発生するサブモジュール15の冷却を優先順位の高い目標とする(targets)。相互に対してずれた配置により、熱転送流体は、同じ温度で各ブランチ82のすべてのサブモジュール15に入り、それにより、1つのサブモジュール15から次のサブモジュール15にかけての冷却が特に一様であることを保証することを可能にする。そして、異なるサブモジュール15の温度は、動作中は略等しくなり、温度に関する、サブモジュール15の電気特性における差が特に低減される。1つのモジュール3から次のモジュール3にかけての冷却もまた一様なので、電気特性は、変換器1のすべてのサブモジュール15に対して一様である。言い換えると、各ブランチ82に対して、1つのサブブランチ92から次のサブブランチ92にかけて、冷却は等温的に行われる。したがって、ネットワーク68は、全体として等温冷却を産み出す。
【0073】
各サブブランチ92は、サブモジュール15の1つを冷却するための専用であるので、有利には、サブモジュール15と同じ数のサブブランチ92が設けられる。本実施例においては、6つのサブブランチ92が、1つのブランチ82当たりに対して設けられ、1つのモジュール3当たりに対する6つのサブモジュール15と対応する。
【0074】
ネットワーク68のサブブランチ92は、軸X82に沿う整列を除いては、好ましくは、1つのブランチ82から次のブランチ82へかけて、軸Yに平行な軸に沿って整列される。代替として、反対に、サブブランチ92は、1つのブランチ82から次のブランチ82へかけてオフセットされることを規定できる。
【0075】
本実施例においては、各サブブランチ92の端部93は、有利には、端部94と軸Yに平行に整列される。サブブランチ92の端部93と端部94とは、1つのブランチ82から他のブランチ82へかけて、軸Yに平行に整列される。代替として、1つまたは複数のサブブランチ92に対して、端部93と端部94とは、軸Yに平行に整列されないことを規定できる。特に、一方の端部93を、軸Yに沿ってサブゾーン98の第1辺の近くに設け、他方の端部94を、サブゾーン98の反対側の辺の近くに設けることができる。そして、互い違いの(alternating)端部93のラインと端部94のラインとを形成するように、1つのブランチ82から次のブランチ82へかけて、端部93を、軸Yに平行な複数のラインに分布させ、端部94を、軸Yに平行な他のラインに沿って整列させることが規定される。
【0076】
好ましくは、図2および図3に示されるように、各サブブランチ92は、平面P64において他のサブブランチ92と同一の形状を有し、すなわち、サブブランチ92の単一チャネルが、すべてのサブブランチに対して同一の外形に従う。言い換えると、サブブランチ92は、面64において形成される、空洞のパターンを繰り返すことにより形成される。代替として、サブブランチ92は、平面P64において異なる形状を有することを規定できる。
【0077】
各サブブランチ92のチャネルは、サブブランチ92のチャネルの端部93からサブブランチ92の中心点97まで延伸する第1部分95と、サブブランチ92のチャネルの端部94からサブブランチ92の中心点97まで延伸する第2部分96と、を備える。好ましくは、部分95は、中心点97上を中心とする第1四辺形の螺旋状に巻かれ、部分96は、中心点97を中心とする第2四辺形の螺旋状に巻かれる。「四辺形」とは、図2に例示されるように、形成された螺旋が、各回転において4つの角を描き、長方形または正方形のタイプの四辺形のように分布することを意味する。2つの螺旋は、平面P64において形成される。2つの螺旋は、同じ方向に巻かれ、相互に差し挟まれる。このため、中心点97から半径方向に動くと、部分95と部分96とは交互に入れ替わる。
【0078】
この特別な二重螺旋形状は、このように冷却されるサブモジュール15内の温度の一様性を更に向上することを可能にする。
【0079】
一般には、サブブランチ92のそれぞれの単一チャネルは、当該サブゾーン98全体上で、相対的に規則的に分布するように、平面P64において表面分布を有することが規定される。代替として、各サブブランチ92は、四辺形ではなく、例えば、円状に差し挟まれる螺旋、または櫛形状などのように、四辺形の螺旋の対の形状とは異なる形状を有することができる。
【0080】
螺旋形状かどうかとは無関係に、各サブブランチ92の単一チャネルは、平面P64において、規則的なピッチを有するアンジュレーションに沿って巻かれると規定される。言い換えれば、図2に例示されるように、チャネルは、ジグザグ線に沿って延伸し、実質的に等しい波長を有する波形を形成する。各サブブランチ92が、2つの相互に差し挟まれた螺旋で巻かれたチャネルを有する例示される場合においては、アンジュレーションのピッチは、螺旋の最大直径または最長辺よりも小さい。アンジュレーションのピッチは、平面XYにおける寸法である、当該チャネルの幅よりも大きい。アンジュレーションの規則的なピッチとサブブランチ92の幾何学的形状との間でこれらの寸法を考慮することにより、特に、熱転送流体が水またはオプションとしてグリコール水である場合、冷却の効率および一様性を向上させることができる。
【0081】
本発明者は、このアンジュレーションの存在が、冷却をより効率的にすることによる冷却と、モジュール3において得られる温度の一様性と、の両者を向上させることを可能にすることを、驚きを持って観測した。これらの効果を単一理論と結び付けることは願わずに、アンジュレーションは、熱転送流体を乱流状態で、相対的に高速で流れることを強要し、前述した効果を得ることを可能にするように思える。
【0082】
一般に、ネットワーク68のコレクタは、サブブランチ92のチャネルの深さよりも大きい、軸Zに沿う寸法である、面64からの深さを有することが規定される。
【0083】
有利には、ネットワーク68に関して寸法を決めた図2および図3に例示されるように、ネットワーク68のコレクタの流路断面が、本実施例における場合と同様に、サブブランチ92のチャネルの流路断面よりも大きな値を有することを規定することができる。更に、コレクタ77および78の流路断面は、好ましくは、コレクタ90および91のそれぞれの流路断面よりも大きい。
【0084】
一般に、各ブランチの幾何学形状、特に、流路断面は、熱転送流体がネットワークに供給されるときは、各ブランチに対して同一の値の熱転送流体流量(flow rate)を得ることを可能にする。同様に、各ブランチの各サブブランチに対して、各サブブランチの幾何学的形状、特に、流路断面は、熱転送流体がブランチに供給されるときに、このブランチの各サブブランチに対して同一の値の熱転送流体流量を得ることを可能にする。異なる熱転送流体流量のこの特に一様性の高い分布は、冷却モジュールに搭載された電力変換モジュールの冷却の特に一様性の高い分布に貢献する。冷却モジュールは、電力変換モジュールおよびそのサブモジュールの等温冷却を産み出す。
【0085】
上述した種々の選択肢の特徴は、技術的に容認できる限り、他の選択肢へ導入できる。
図1
図2
図3