(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-14
(45)【発行日】2022-10-24
(54)【発明の名称】制御システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B60W 30/12 20200101AFI20221017BHJP
G08G 1/0968 20060101ALI20221017BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20221017BHJP
【FI】
B60W30/12
G08G1/0968
G01C21/26 A
(21)【出願番号】P 2018098482
(22)【出願日】2018-05-23
【審査請求日】2021-03-15
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】597151563
【氏名又は名称】株式会社ゼンリン
(72)【発明者】
【氏名】野口修平
【審査官】菅家 裕輔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/065182(WO,A1)
【文献】特開2006-266865(JP,A)
【文献】特開2018-017713(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
G01C 21/26
G09B 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の制御を行う制御システムであって、
第1の車線が
第2の車線よりも車線幅が広いことを
認識可能とする属性情報に基づき、
前記第2の車線と前記第2の車線の走行方向に繋がる前記第1の車線とを有する道路を走行する移動体が前記第2の車線から前記第1の車線に進入した場合に、移動体が前記第2の車線を走行する場合における第1の制御と異なる第2の制御に変更する制御部を有し、前記第2の制御は、前記第1の車線の右側の区画線の線形状をあらわす情報を含む第1の区画線情報と前記第1の車線の左側の区画線の線形状をあらわす情報を含む第2の区画線情報とに基づき、移動体を、前記第1の区画線情報があらわす区画線の位置と前記第2の区画線情報があらわす区画線の位置との間である前記第1の車線の片側寄りを走行させるように制御する制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の制御システムにおいて、前記制御部は、移動体を、前記第1の車線内の走行方向に沿った位置に対応する複数の位置情報を含む第1の車線情報及び前記第1の車線内の走行方向に沿った位置に対応する複数の位置情報を含む第2の車線情報のうち前記第1の車線情報を利用して、前記第1の車線の右側寄りを走行させるように制御し、
前記第1の車線情報に含まれる前記複数の位置情報と、前記第2の車線情報に含まれる前記複数の位置情報とが、間に区画線が存在しない一つの車線内の幅方向に隣接する位置に対応している制御システム。
【請求項3】
記憶部に記憶された地図データを、移動体の走行を支援する走行支援機能を有する制御部に参照させる参照機能を実現させるためのプログラムであって、
前記地図データは、
第1の車線が
第2の車線よりも車線幅が広いことを
認識可能とする属性情報と、第1の車線の右側の区画線の線形状をあらわす情報を含む第1の区画線情報と、前記第1の車線の左側の区画線の線形状をあらわす情報を含む第2の区画線情報とを有し、
前記走行支援機能は、前記属性情報に基づき、
前記第2の車線と前記第2の車線の走行方向に繋がる前記第1の車線とを有する道路を走行する移動体が前記第2の車線から前記第1の車線に進入した場合に、移動体が前記第2の車線を走行する場合における第1の制御と異なる第2の制御に変更し、前記第2の制御は、前記第1の区画線情報と前記第2の区画線情報とに基づき、移動体を、前記第1の区画線情報があらわす区画線の位置と前記第2の区画線情報があらわす区画線の位置との間である前記第1の車線の片側寄りを走行させるように制御する機能を含むプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、制御方法、制御プログラム及び/又はそれらに利用可能なデータのデータ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
各レーンについて、レーンの形状を直線、円、クロソイド曲線で定義したレーンデータを含めた地図データを記憶装置107に格納し、レーン検出部106は、各レーンについて、当該レーンを走行していると仮定した場合の現在位置を設定し、車速と地図データ
のレーンデータが表すレーン形状とより、当該レーンを走行していると仮定した場合の、設定した現在位置におけるレーンの曲率中心方向の加速度を理論加速度として算出し、加速度センサ103で測定した曲率中心方向の加速度に最も近い理論加速度が算出されたレーンを走行中のレーンとして検出する技術が存在する(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、移動体を適切に誘導制御することを可能とする技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態として、移動体の制御を行う制御システムを提供する。この制御システムは、第1の車線が第2の車線よりも車線幅が広いことを認識可能とする属性情報に基づき、前記第2の車線と前記第2の車線の走行方向に繋がる前記第1の車線とを有する道路を走行する移動体が前記第2の車線から前記第1の車線に進入した場合に、移動体が前記第2の車線を走行する場合における第1の制御と異なる第2の制御に変更する制御部を有し、前記第2の制御は、前記第1の車線の右側の区画線の線形状をあらわす情報を含む第1の区画線情報と前記第1の車線の左側の区画線の線形状をあらわす情報を含む第2の区画線情報とに基づき、移動体を、前記第1の区画線情報があらわす区画線の位置と前記第2の区画線情報があらわす区画線の位置との間である前記第1の車線の片側寄りを走行させるように制御する。
【0006】
上記の実施形態において、制御部は、移動体を、第1の車線内の走行方向に沿った位置に対応する複数の位置情報を含む第1の車線情報及び第1の車線内の走行方向に沿った位置に対応する複数の位置情報を含む第2の車線情報のうち第1の車線情報を利用して、第1の車線の右側寄りを走行させるように制御し、第1の車線情報に含まれる複数の位置情報と、第2の車線情報に含まれる複数の位置情報とが、間に区画線が存在しない一つの車線内の幅方向に隣接する位置に対応している。また、他の実施形態として、記憶部に記憶された地図データを、移動体の走行を支援する走行支 援機能を有する制御部に参照させる参照機能を実現させるためのプログラムを提供する。このプログラムにおいて、地図データは、第1の車線が第2の車線よりも車線幅が広いことを認識可能とする属性情報と、第1の車線の右側の区画線の線形状をあらわす情報を含む第1の区画線情報と、前記第1の車線の左側の区画線の線形状をあらわす情報を含む第2の区画線情報とを有し、前記走行支援機能は、前記属性情報に基づき、前記第2の車線と前記第2の車線の走行方向に繋がる前記第1の車線とを有する道路を走行する移動体が前記第2の車線から前記第1の車線に進入した場合に、移動体が前記第2の車線を走行する場合における第1の制御と異なる第2の制御に変更し、前記第2の制御は、前記第1の区画線情報と前記第2の区画線情報とに基づき、移動体を、前記第1の区画線情報があらわす区画線の位置と前記第2の区画線情報があらわす区画線の位置との間である前記第1の車線の片側寄りを走行させるように制御する機能を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
実施形態1乃至3の走行支援システムを説明するための図である。
【
図2】
実際の交差点周辺の道路を説明するための図である。
【
図3】
実施形態1の地図データのデータ構造の概念を説明するための図である。
【
図4】
実施形態1の地図データのデータ構造の詳細を説明するための図である。
【
図5】
実施形態1の地図データのデータ構造の詳細を説明するための図である。
【
図6】
実施形態1の地図データのデータ構造の詳細を説明するための図である。
【
図7】
実施形態1の走行支援処理の動作フローを説明するための図である。
【
図8】
実施形態2の地図データのデータ構造の概念を説明するための図である。
【
図9】
実際の交差点周辺の道路を説明するための図である。
【
図10】
実際の交差点周辺の道路を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、制御装置の一例である実施形態1乃至3における走行支援システム1である。その走行支援システム1は、移動体である車両2に搭載され、情報制御部3、記憶部4、入力部5、位置取得部6、車速情報取得部7、周辺情報取得部8及び車両制御部9を有する。情報制御部3は、全体制御部10、経路探索部11、経路特定部12、地図データ取得部13、位置特定部14、及び誘導部15とを含み、図示していないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)を備える。情報制御部3のCPUは、ROMに格納された各種プログラムを読み出して、RAMに展開して実行することで、各種プログラムに関する機能を実現する。なお、全体制御部10、経路探索部11、経路特定部12、地図データ取得部13、位置特定部14及び誘導部15は、プログラムによって実現される機能である。
【0009】
記憶部4は、ハードディスクやSD-RAM等の大容量記憶媒体で構成されている。
記憶部4には、経路探索処理、車両の位置特定、車両誘導制御等に用いられる地図データ20が記憶されている。地図データ20は、道路ネットワーク情報30、車線ネットワーク情報31、地物情報32及び関連情報33を有している。
【0010】
道路ネットワーク情報30は、道路の特定地点(例えば、道路の分岐地点)に関する情報を含む複数の地点情報及び道路の所定区間に関する情報を含む複数の道路区間情報を有し、その複数の地点情報及びその複数の道路区間情報により道路の繋がりをあらわしている。なお、当該道路区間情報を、以下「道路区間情報」という。車線ネットワーク情報31は、各々が道路を構成する車線の所定区間に関する情報を含む複数の車線区間情報を有し、その複数の車線区間情報により車線の繋がりをあらわしている。なお、当該車線区間情報を、以下「車線区間情報」という。地物情報32は、道路の区画線をあらわす情報である区画線情報(以下「区画線情報」という。)等を含むものである。関連情報33は、道路ネットワーク情報30の道路区間情報と車線ネットワーク情報31の車線区間情報とを関連付けるための情報、車線ネットワーク情報31の車線区間情報と地物データ32の区画線情報とを関連付ける区画線関連情報(以下「区画線関連情報」という。)、ある車線の所定区間から隣接する車線の所定区間へ車線変更可能であるか否かをあらわす情報である車線変更情報(以下「車線変更情報」という。)、ある車線の所定区間の属性をあらわす情報である属性情報(以下「属性情報」という。)等を含むものである。なお、車線区間情報、区画線情報、車線変更情報及び属性情報の詳細については、後述で説明する。
【0011】
入力部5は、利用者から経路設定や車両誘導のための指示入力を受付ける。位置取得部6は、GPS(Global Positioning System)を構成する人工衛星から受信した電波や、車両に備えられたジャイロからの信号に基づいて、緯度及び経度を含む車両の位置に関する位置情報を取得する。車速情報取得部7は、車速センサから取得したパルス信号に基づいて、車両の速度に関する情報を取得する。周辺情報取得部8は、車両周辺の標識や道路の標示ペイント(例えば、区画線)等の被写体の画像情報である車両の周辺情報を取得する。車両制御部9は、後述する誘導部15等からの情報に基づき道路の所定の車線に沿って移動するように車両を誘導制御(操舵、加速・減速、停止等)する。
【0012】
全体制御部10は、走行支援システム1全体を制御する。経路探索部11は、記憶部4に記憶されている道路ネットワーク情報30を用いて経路探索処理を実行する。具体的には、経路探索部11は、道路ネットワーク情報30に含まれる道路区間情報と地点情報とを用いて出発地から目的地に至る経路探索処理を実行する。そして、経路探索処理により出発地から目的地に至るまでの道順(出発地から目的地までを接続する複数の地点情報と複数の道路区間情報)を示す経路情報が作成される。なお、経路探索の手法としては、ダイクストラ法など周知の方法を採用し、道路区間情報に含まれるコスト情報を用いて出発地から目的地までの最短経路を探索する。
【0013】
経路特定部12は、経路探索部11で作成された道路ネットワーク情報30の経路情報を用いて、関連情報33により車線ネットワーク情報31に経路を特定する処理を行う。地図データ取得部13は、記憶部4から地図データ20を取得する処理を行う。位置特定部14は、位置取得部6により取得された位置情報から車両の位置が道路上のいずれの位置であるかを特定したり、地物情報32及び周辺情報取得部8により取得された周辺情報から車両の位置が道路上のいずれの位置であるかを特定する。誘導部15は、道路の所定の車線に沿って移動したり、所定のタイミングで車線変更するように車両を制御するための誘導情報を生成し、車両制御部9に出力する。車両制御部9は、誘導情報等に基づき車両を制御(操舵、加速・減速、停止等)する。
【0014】
なお、走行支援システム1は、情報制御部3及び記憶部4が、車両2内に搭載されず、サーバー内に搭載され、サーバー内の情報制御部3が、通信情報として、入力部5、位置取得部6、車速情報取得部7及び周辺情報取得部8の情報を受領するとともに、通信情報として減速情報や誘導情報を車両制御部9に出力する構成であっても良い。また、走行支援システム1は、記憶部4が、車両2内に搭載されず、サーバー内に搭載され、車両内の情報制御部3が、地図データの取得要求に応じて、記憶部4に記憶されている所望の地図データ20を通信情報によって抽出及び受領する構成であっても良い。
【0015】
(実施形態1)
図2は、実際の交差点周辺の道路40をあらわす図であり、41~47は、区画線をあらわしており、区画線41、43、46は、線種(白色の破線、白色の実線、黄色の実線等の区画線の表示形態をいう。以下同じ。)が黄色の実線の車道中央線であり、区画線42、44、45、47は、線種が白の実線の車道外側線である。48は、停止線であり、49は、横断歩道である。そして、区画線41及び区画線42によって形成される車線、区画線43及び区画線44によって形成される車線及び区画線45及び区画線46によって形成される車線は、幅方向に2台の車両2が併走できる幅を有している。なお、区画線41及び区画線42によって形成される車線は、A地点までは車両1台分が走行できる幅であり、A地点から走行方向に車両2が進むに従い車線の幅が広くなり、車両2がB地点を越えると車線の幅が一定となるとともに幅方向に2台の車両2が併走できる幅を有するようになっている。
【0016】
図3は、本実施形態の地図データ20のデータ構造の概念図であり、
図2で説明した道路40に対応した領域である。なお、
図3のA乃至Dが示す位置は、
図2のA乃至Dが示す位置に各々対応する。そして、LL1~LL35の各々は、車線区間情報であり、CL1~CL10の各々は、区画線情報であり、RC1~RC5の各々は、区画線関連情報であり、RR1~RR8の各々は、車線変更情報であり、RA1、RA2の各々は、属性情報である。
【0017】
車線区間情報LL1~LL35の各々は、車線内の走行方向(
図3、
図8において、矢印が示す方向をいう。以下同じ。)に沿った複数の位置をあらわす情報(以下「車線位置情報」という。)、並びに車線の繋がりをあらわす情報として退出側の車線区間情報との繋がりをあらわす情報(以下「退出側識別情報」という。)及び進入側の車線区間情報とのつながりをあらわす情報(以下「進入側識別情報」という。)を含んでいる。Aまでの区間において、車線区間情報LL17、LL18、LL19の車線位置情報により形成される走行線は、間に区画線が存在しない一つの車線内の幅方向に一つである。そして、AからBの区間において、車線区間情報LL20と車線区間情報LL21とに分岐し、BからDの区間において、車線区間情報LL22、LL24、LL26の車線位置情報により形成される走行線と車線区間情報LL23、LL25、LL27の車線位置情報により形成される走行線とは、間に区画線が存在しない一つの車線内の幅方向で隣接する構成となっている。つまり、第1の車線情報の一例としての車線区間情報LL26に含まれる車線位置情報と、第2の車線情報の一例としての車線区間情報LL27に含まれる車線位置情報とが、間に区画線が存在しない一つの車線内の幅方向に隣接する位置に対応している。
【0018】
車線区間情報LL30は、退出側に車線区間情報LL32及び車線区間情報LL35と繋がりを有するが、左折を誘導する車線区間情報との繋がりは有さない。車線区間情報LL31は、退出側に車線区間情報LL33及び車線区間情報LL34と繋がりを有するが、右折を誘導する車線区間情報との繋がりは有さない。車線区間情報LL3、LL4の車線位置情報により形成される走行線と車線区間情報LL6、LL7の車線位置情報により形成される走行線とは、間に区画線が存在しない一つの車線内の幅方向で隣接する構成となっている。車線区間情報LL3は、車線区間情報LL2を介して車線区間情報LL1と繋がる構成になっているが、車線区間情報LL1に対応する車線の反対車線に対応する車線区間情報LL30及び車線区間情報LL31とは繋がらない構成となっている。車線区間情報LL6は、車線区間情報LL35を介して車線区間情報LL30と繋がる構成になっているが、車線区間情報LL30に対応する車線の反対車線に対応する車線区間情報LL1とは繋がらない構成となっている。
【0019】
車線区間情報LL26は、車線区間情報LL26に対応する車線の両側(右側及び左側)の区間線に対応する区画線情報CL3及び区画線情報CL12と区画線関連情報RC1によって関連付けられており、車線区間情報LL27は、車線区間情報LL27に対応する車線の両側(右側及び左側)の区間線に対応する区画線情報CL3及び区画線情報CL12と区画線関連情報RC2によって関連付けられている。車線区間情報LL20は、車線区間情報LL20に対応する車線の両側(右側及び左側)の区間線に対応する区画線情報CL6及び区画線情報CL15と車線関連情報RC3によって関連付けられおり、車線区間情報LL21は、車線区間情報LL21に対応する車線の両側(右側及び左側)の区間線に対応する区画線情報CL6及び区画線情報CL15と車線関連情報RC4によって関連付けられている。車線区間情報LL18は、車線区間情報LL18に対応する車線の両側(右側及び左側)の区間線に対応する区画線情報CL8及び区画線情報CL17と車線関連情報RC5によって関連付けられている。なお、図示はしていないが、他の車線区間情報も同様に、対応する車線の両側(右側及び左側)の区画線情報と区画線関連情報によって関連付けられている。
【0020】
車線区間情報LL3、LL4、LL6、LL7、LL20~LL31に対応する車線は、一つの車線内で幅方向に2台の車両2が併走できる幅を有する区間である。そのため、属性情報として、車線区間情報LL3、LL4、LL6、LL7、LL20~LL31に対応する車線が特定の属性を有することをあらわす情報を有している(例えば、車線区間情報LL26に関連して属性情報RA1を有している)。一方、それら以外の車線区間情報に対応する車線は、一つの車線内で幅方向に2台の車両2が併走できる幅を有する区間でない。そのため、属性情報として、車線区間情報LL1、LL2、LL5、LL8~LL19、LL32~LL35に対応する車線が特定の属性を有しないことをあらわす情報を有している(例えば、車線区間情報LL18に関連して属性情報RA2を有している)。区画線情報CL1~CL18は、区画線の走行方向に沿った複数の位置をあらわす情報(以下「区画線位置情報」という。)を含んでいる。
【0021】
車線変更情報RR1は車線区間情報LL30に、車線変更情報はRR2は車線区間情報LL28に関連し、それらは一つの車線内において、車両2が走行方向に走行している右側(車線区間情報LL28及び車線区間情報LL30の車線位置情報により形成される走行線を中心とした右寄り走行範囲)から、左側(車線区間情報LL29及び車線区間情報LL31の車線位置情報により形成される走行線を中心とした左寄り走行範囲)に寄ることを禁止している情報及び走行方向において右側の区画線を越えて走行することを禁止している情報を含んでいる。車線変更情報RR3は車線区間情報LL26に、車線変更情報RR4は車線区間情報LL24に関連し、車線変更情報RR5は車線区間情報LL22に関連し、それらは一つの車線内において、車両2が走行方向に走行している右側(車線区間情報LL22、車線区間情報LL24及び車線区間情報LL26の車線位置情報により形成される走行線を中心とした右寄り走行範囲)から、左側(車線区間情報LL23、車線区間情報LL25及び車線区間情報LL27の車線位置情報により形成される走行線を中心とした左寄り走行範囲)に寄ることを許容している情報及び走行方向において右側の区画線を越えて走行することを禁止している情報を含んでいる。車線変更情報RR6は車線区間情報LL20に関連し、一つの車線内において、車両2が走行方向に走行している右側(車線区間情報LL20により形成される走行線を中心とした右寄り走行範囲)から、左側(車線区間情報LL21の車線位置情報により形成される走行線を中心とした左寄り走行範囲)に寄ることを禁止している情報及び走行方向において右側の区画線を越えて走行することを禁止している情報を含んでいる。車線変更情報RR7は車線区間情報LL19に、車線変更情報RR8は車線区間情報LL18に、車線変更情報RR9は車線区間情報LL17に関連し、それらは走行方向に走行している車線から右側の区画線を越えて走行することを禁止している情報を含んでいる。他の車線区間情報も同様に、車線変更情報が関連付けられている。
【0022】
図4乃至
図6は、本実施形態の地図データ20のデータ構造の詳細を説明するための図である。
図4の車線区間情報LL26は、車線識別情報としてその車線区間情報LL26を識別するための情報、車線位置情報としてその車線区間情報LL26に対応する車線の右側寄りの走行方向に沿った走行線の座標点列をあらわす情報、退出側識別情報として車線区間情報LL2の退出側の車線区間情報LL28の車線識別情報及び進入側識別情報として車線区間情報LL26の進入側の車線区間情報LL24の車線識別情報を有している。なお、他の車線区間情報も車線区間情報LL26と同様の構成である。
【0023】
図5の区画線情報CL3は、区画線識別情報として、その区画線情報CL3を識別するための情報「CL3」、区画線位置情報として、その区画線102の走行方向における中心線の座標点列(区画線情報CL3に対応する区間において)をあらわす情報「(X21,Y21,Z21),(X22,Y22,Z22),・・・」を有している。なお、他の区画線情報も区画線情報CL3と同様の構成である。
【0024】
図5の区画線関連情報RC1は、区画線関連識別情報としてその区画線関連情報RC1を識別するための情報「RC1」、車線区間情報の車線識別情報として車線区間情報LL26の車線識別情報「LL26」、走行方向における車線区間情報LL26に対応する車線に対する区画線の位置の情報として「右」、その車線に対する右側の区画線に対応する区画線情報の区画線識別情報として区画線情報CL3の区画線識別情報「CL3」、、走行方向における車線区間情報LL26に対応する車線に対する区画線の位置の情報として「左」、その車線に対する左側の区画線に対応する区画線情報の区画線識別情報として区画線情報CL12の区画線識別情報「CL12」を有している。そして、区画線関連情報RC1により、車線区間情報LL26と区画線情報CL3とが関連(車線区間情報LL26に対応する区間の右側の位置において)付けられており、車線区間情報LL26と区画線情報CL12とが関連(車線区間情報LL26に対応する区間の左側の位置において)付けられていることがわかる。なお、他の区画線関連情報も区画線関連情報RC1と同様の構成である。
【0025】
図5の属性情報RA1は、属性識別情報としてその属性情報RA1を識別するための情報「RA1」、車線区間情報の車線識別情報として車線区間情報LL26の車線識別情報「LL26」、属性を示す情報として車線区間情報LL26に対応する車線が特定の属性を有することをあらわす「1」を有している。属性情報RA2は、属性識別情報としてその属性情報RA2を識別するための情報「RA2」、車線区間情報の車線識別情報として車線区間情報LL18の車線識別情報「LL18」、属性を示す情報として車線区間情報LL18に対応する車線が特定の属性を有しないことをあらわす情報「0」を有している。なお、他の属性情報も属性情報RA1、RA2と同様の構成である。
【0026】
図6の車線変更情報RR4は、車線変更識別情報としてその車線変更情報RR4を識別するための情報「RR4」、関連する車線区間情報の車線識別情報として車線区間情報LL24の車線識別情報「LL24」、走行方向において左側の車線区間情報の車線識別情報として車線区間情報LL25の車線識別情報「LL25」、車線変更種別情報として一つの車線内における車両2が走行している右側(車線区間情報LL24により形成される走行線を中心とした右寄り走行範囲)から左側(車線区間情報LL25の車線位置情報により形成される走行線を中心とした左寄り走行範囲)に寄ることを許容している情報「可」、走行方向における右側の車線区間情報の車線識別情報として車線区間情報LL11の車線識別情報「LL11」、車線変更種別情報として一つの車線内における車両2が走行している右側(車線区間情報LL24により形成される走行線を中心とした右寄り走行範囲)から右側の区画線を越えて車線区間情報LL11に対応する車線を走行することを禁止している情報「不可」を有している。なお、他の車線変更情報も車線変更情報RR4と同様の構成である。
【0027】
図7は、上記の
図2乃至6で説明した車線区間情報LL1~LL35、区画線情報CL1~CL10、区画線関連情報RC1~RC5、車線変更情報RR1~RR8及び属性情報RA1、RA2を含む地図データ20を用いた走行支援システム1の情報制御部3の走行支援処理の動作フローを示す図である。情報制御部3は、走行支援処理として、地図データの取得処理(ステップS10)、車線区間情報を用いた誘導処理(ステップS20)、区画線を用いた誘導処理(ステップS30)、経路に応じた誘導処理(ステップS40)及び車線変更時の誘導処理(ステップS50)を行う。なお、上記の処理を行う前提として、経路探索部11と経路特定部12によって車線ネットワーク情報に経路が特定されている。
【0028】
情報制御部3(地図データ取得部13)は、地図データの取得処理(ステップS10)として、車線区間情報、区画線情報、属性情報及び車線変更情報を必要なときに記憶部4から取得する処理を行う。具体的には、以下の処理を行う。特定された経路に沿って車両2が走行するにあたり、車線区間情報の退出側識別情報を参照して、次の車線区間情報を順次取得する。例えば、車線区間情報LL26に含まれる退出側識別情報「LL28」を参照して、車線区間情報LL26の次に車線区間情報LL28を取得する。また、車両2の現在位置に対応する車線区間情報の車線識別情報を有する区画線関連情報を用いて、車両2の現在位置に対応する車線区間情報に関連する区画線情報を記憶部4から取得する。例えば、車両2が車線区間情報LL26に対応する区間を走行している場合、車線識別情報「LL26」を有する関連識別情報RC1を取得するとともに、関連識別情報RC1に含まれる区画線識別情報「CL3」「CL12」を用いて、区画線情報CL3及び区画線情報CL12を取得する。また、車線変更情報に含まれる車線識別情報を参照して、車線区間情報に関連する車線変更情報を記憶部4から取得する。例えば、車線区間情報LL24に関連する車線変更情報を取得する場合、関連する車線区間情報の車線識別情報「LL24」を有する車線変更情報RR4を取得する。
【0029】
情報制御部3(誘導部15)は、車線区間情報を用いた誘導処理(ステップS20)として、以下の処理を行う。
図2におけるBからDまでの区間を車両2が走行方向に走行している場合には、車両2に対して、第1の車線情報の一例としての車線区間情報LL26を利用して、間に車線境界線が存在しない一つの車線内であってその一つの車線内の右側寄りを走行させ、第2の車線情報の一例としての車線区間情報LL27を利用して、間に区画線が存在しない一つの車線内であって、一つの車線内の左側寄りを走行させるように制御する。具体的には、ある車両2は車線区間情報LL26に含まれる車線位置情報の点座標により形成される走行線に沿うとともに、車両が当該走行線上を走行するように制御する。また、別の車両2は車線区間情報LL27に含まれる車線位置情報の点座標により形成される走行線に沿うとともに、車両が当該走行線上を走行するように制御する。なお、車両2が車線区間情報LL26に対応する区間を走行し終えた後は、車線区間情報LL26の退出側識別情報「LL28」を用いて取得された車線区間情報LL28を用いて同様の制御を行う。また、車両が車線区間情報LL27に対応する区間を走行し終えた後は、車線区間情報LL27の退出側識別情報「LL29」を用いて取得された車線区間情報LL29を用いて同様の制御を行う。なお、
図2におけるAまでの区間を車両2が走行している場合、車線区間情報LL18に対応する区間では、車線区間情報LL18に含まれる車線位置情報の点座標により形成される走行線に沿うとともに、車両が当該走行線上を走行するように制御する。また、他の区間も同様の制御を行う。
【0030】
次に、情報制御部3(誘導部15)は、上記の車線区間情報を用いた誘導処理(ステップS20)を行うとともに、区画線を用いた誘導処理(ステップS30)として、以下の処理を行う。
図2におけるAまでの区間を車両2が走行方向に走行している場合、属性情報RA2に基づき、区画線情報CL17及び区画線情報CL8に基づき、車両2を区画線情報CL17があらわす区画線の位置と区画線情報CL8があらわす区画線の位置との間において走行させるように制御する。具体的には、以下の処理を行う。車両2の現在位置に対応する車線区間情報が車線区間情報LL18である場合、車線識別情報として「LL18」を有する区画線関連情報RC5を用いて、車線区間情報LL18に関連する区画線情報CL17及び区画線情報CL8を取得する。また、車線区間情報LL18に関連する属性情報として、車線識別情報「LL18」を有する属性情報RA2を取得する。属性情報RA2に含まれる属性を示す情報は、「0」であること、つまり、車線が特定の属性を有することをあらわしていないことを認識する。そして、車線が特定の属性を有することをあらわしていない場合、区画線情報CL17及び区画線情報CL8の区画線位置情報を参照して区画線情報CL17に対応する区画線及び区画線情報CL8に対応する区画線の範囲内(車線内)からはみ出さないように走行するように誘導制御する。
【0031】
図2におけるBからDまでの区間を車両2が走行している場合には、属性情報RA1に基づき第1の車線情報の一例である車線区間情報LL26に対応する車線が特定の属性を有する場合、少なくとも区画線情報CL3に基づき、車両2を、区画線情報CL3があらわす区画線の位置と区画線情報CL12があらわす区画線の位置との間であって、区画線情報CL3があらわす区画線の位置と区画線情報CL12があらわす区画線の位置の中心よりも走行方向において右側を走行させるように制御する。例えば、車両2の現在位置に対応する車線区間情報が車線区間情報LL26である場合、車線識別情報として「LL26」を有する区画線関連情報RC1を用いて、車線区間情報LL26に関連する区画線情報CL12及び区画線情報CL3を取得する。また、車線区間情報LL26に関連する属性情報として、車線識別情報「LL26」を有する属性情報RA1を取得する。属性情報RA1に含まれる属性を示す情報は「1」であること、つまり、車線が特定の属性を有することをあらわしていることを認識する。そして、その属性情報に基づき車線区間情報LL26に対応する車線が特定の属性を有する場合、区画線情報CL12及び区画線情報CL3に基づき、車両2を、区画線情報CL12があらわす区画線の位置と区画線情報CL3があらわす区画線の位置との間であって、区画線情報CL12があらわす区画線の位置と区画線情報CL3があらわす区画線の位置の中心よりも走行方向において右側を走行させるように制御する。具体的には、車両の走行方向において右側においては、区画線情報CL3の区画線位置情報を参照して区画線情報CL3に対応する区画線からはみ出さないようにして走行するように誘導制御する。車両の走行方向において左側においては、区画線情報CL3の区画線位置情報により形成される線と区画線情報CL12の区画線位置情報により形成される線との中心線の座標を算出し、その中心線から走行方向において左側にはみ出さないようにして、走行するように誘導制御する。
【0032】
情報制御部3は、以上のように車両2を制御することにより、一つの車線内において複数の車両2が衝突することなく併走することが可能となり、渋滞の抑制などに繋がる。また、自動運転車ではない運転者の手動によって走行している車両と同じように走行することが可能となるため、自動運転車ではない運転者の手動によって走行している車両との事故の発生を抑制することが出来る。
【0033】
情報制御部3(誘導部15)は、経路に応じた誘導処理(ステップS40)として、以下の処理を行う。走行方向において経路が左折及び直進の場合には、車線区間情報LL21、LL23、LL25、LL27、LL29、LL31に含まれる車線位置情報に沿って、車線内の左側を走行するように制御する。走行方向において経路が次の交差点で右折、又は次の交差点では直進するが所定距離内に右折の場合には、車線区間情報LL20、LL22、LL24、LL26、LL28、LL30に含まれる車線位置情報に沿って、車線内の右側を走行するように制御する。交差点において、右折する場合、右折用の車線区間情報は、車線区間情報LL35のみであり、車線区間情報LL30と車線区間情報LL3とを接続する車線区間情報は存在しない。また、反対車線側の左折用の車線区間情報は、車線区間情報LL2のみであり、車線区間情報LL1と車線区間情報LL6とを接続する車線区間情報は存在しない。そのため、交差点で右折する車両2と反対車線から左折する車両2とが右折及び左折後に衝突するといったことを抑制し、スムーズな右折及び左折動作を促進することが可能となる。
【0034】
情報制御部3(誘導部15)は、経路に応じた誘導処理(ステップS40)を行うとともに、車線変更時の誘導処理(ステップS50)として、以下の処理を行う。具体的には、経路が次の交差点では直進するが所定距離内に右折を行う場合であって、
図2のA地点を超えて車線内の走行方向において右側を走行しているときに、交差点手前に右折待ちの車両2が停止している場合に以下の処理を行う。
図3のBからCの区間における車線区間情報LL22、LL24、LL26に関連する車線変更情報RR5、RR4、RR3は、左側の車線区間情報LL23、LL25、LL27に対応する走行路側へ車線変更が許容されている情報を有しているため、車両2が
図3のBからCにおける区間を走行しているときは、車線変更が可能なタイミング(左側の車線区間情報LL23、LL25、LL27に対応する走行路に車両2が走行していないタイミング)で車線変更をするように制御する。そして、
図3のCからDの区間における車線区間情報LL28、LL30に関連する車線変更情報RR2、RR1は、左側の車線区間情報LL29、LL31に対応する走行路側へ車線変更が禁止されている情報を有しているため、車両2が
図2のBからCにおける区間で車線変更できず、CからDにおける区間を走行しているときは、車線変更はしないように制御し、右折待ちをしている車両2が右折するまで交差点手前で停止するように制御する。以上のように制御することにより、手前に右折車が止まっている場合に、交差点近くでの車線変更は危険が伴うため、それを避けるとともに、可能な限り手前で車線変更することにより、危険を避けつつスムーズな車両2の走行が可能となる。
【0035】
(実施形態2)
図8は、本実施形態の地図データ20のデータ構造の概念図であり、
図2で説明した道路40に対応した領域である。なお、
図8のA乃至Dが示す位置は、
図2のA乃至Dが示す位置に各々対応する。そして、実施形態1と異なる部分は、車線区間情報LL26は、区画線関連情報RC1によって区画線情報CL3とのみ関連付けられており、車線区間情報LL27は、区画線関連情報RC2によって区画線関連情報CL12とのみ関連付けられており、車線区間情報LL20は、区画線関連情報RC3によって区画線情報CL6とのみ関連付けられており、車線区間情報LL21は、区画線関連情報RC4によって区画線情報CL15とのみ関連付けられている点である。また、他AからD区間の他の車線区間情報も同様に、走行方向において右側寄りの車線区間情報は右側の区画線情報にのみ、走行方向において左側寄りの車線区間情報は左側の区画線情報にのみ、関連付けられている。それ以外は実施形態1と同じである。
【0036】
本実施形態の地図データ20を用いた走行支援システム1の情報制御部3の走行支援処理の動作フローは区画線を用いた誘導処理(
図7におけるステップS30)が実施形態1と異なり、それ以外は同じである。
【0037】
図8におけるBからDまでの区間を車両2が走行している場合には、属性情報RA1に基づき第1の車線情報の一例である車線区間情報LL26に対応する車線が特定の属性を有する場合、少なくとも区画線情報CL3に基づき、車両2を、区画線情報CL3があらわす区画線の位置と区画線情報CL12があらわす区画線の位置との間であって、区画線情報CL3があらわす区画線の位置と区画線情報CL12があらわす区画線の位置の中心よりも走行方向において右側を走行させるように制御する。具体的には、車両2の現在位置に対応する車線区間情報が車線区間情報LL26である場合、車線識別情報として「LL26」を有する区画線関連情報RC1を用いて、車線区間情報LL26に関連する区画線情報CL3を取得する。また、車線区間情報LL26に関連する属性情報として、車線識別情報「LL26」を有する属性情報RA1を取得する。属性情報RA1に含まれる属性を示す情報は「1」であること、つまり、車線が特定の属性を有することをあらわしていることを認識する。そして、その属性情報に基づき車線区間情報LL26に対応する車線が特定の属性を有する場合、区画線情報CL3の区画線位置情報を参照して、車両2を、区画線情報CL3があらわす区画線の位置からはみ出さないようにするとともに、区画線情報CL3があらわす区画線の位置から所定距離A(m)の範囲内をはみ出さないように制御することにより、区画線情報CL12があらわす区画線の位置と区画線情報CL3があらわす区画線の位置の中心よりも走行方向において右側を走行させるように制御する。なお、地図データ20における、車線外側線がない道路に対応した部分のデータ構造は、車線区間情報と関連付けられている区画線情報が右側のみで、その車線区間情報と関連付けられている属性情報に含まれる属性を示す情報は「0」となっている。その場合は、車線が特定の属性を有することをあらわしていないことを認識し、その区画線情報の区画線位置情報を参照して、車両2を、その区画線情報があらわす区画線の位置からはみ出さないようにするとともに、その区画線情報があらわす区画線の位置から所定距離A(m)よりも長い所定距離B(m)の範囲内をはみ出さないように制御する。そのようにすることにより、道路の物理的な境界線となる構造物にあまり近づかないようにすることが可能となる。
【0038】
(実施形態3)
本実施形態の地図データ20は、以下の点で実施形態1と異なる。
図2のBからDの区間に対応して、右側の区画線と左側の区画線との中心線に対応する位置に仮想的な区画線の情報としての区画線情報(以下「仮想的な区画線情報」という。)を複数設け、区画線関連情報により、車線区間情報LL22、LL24、LL26、LL28、LL30と、右側の区画線情報として区画線情報CL5、CL4、CL3、CL2、CL1と関連付けられ、左側の区画線情報として、複数の仮想的な区画線情報と関連付けられている。また、区画線関連情報により、車線区間情報LL23、LL25、LL27、LL29、LL31と、右側の区画線情報として複数の仮想的な区画線情報と関連付けられ、左側の区画線情報として区画線情報CL14、CL13、CL12、CL11、CL10と関連付けられている。それ以外の構成は、実施形態1と同じである。
【0039】
本実施形態の地図データ20を用いた走行支援システム1の情報制御部3の走行支援処理の動作フローは区画線を用いた誘導処理(
図7におけるステップS30)が実施形態1と異なり、それ以外は同じである。本実施形態では、実施形態1におけるAまでの区間における区画線を用いた誘導処理と同じ処理を、BからDまでの区間においても行う。つまり、車線区間情報LL22、LL24、LL26、LL28、LL30に含まれる車線位置情報に沿って走行する場合には、車両2を、区画線情報CL5、CL4、CL3、CL2、CL1に含まれる区画線位置情報を参照して、区画線情報CL5、CL4、CL3、CL2、CL1があらわす区画線の位置から走行方向において右側にはみ出さないようにするとともに、複数の仮想的な区画線情報に含まれる区画線位置情報を参照して、その複数の仮想的な区画線情報があらわす仮想的な区画線の位置から走行方向において左側にはみ出さないように制御する。
【0040】
以上の実施形態では、
図2で示したような道路に対応した地図データ20を説明したが、
図9(
図2と同じ番号は、同じものであることを示している)で示すように、車線の幅が一定の幅方向に2台の車両2が併走できる幅を有する区画線41及び区画線42によって形成される車線が、一つの交差点から次の交差点まで続くような道路に対応した地図データ20であっても良い。そのような地図データ20の車線の幅が一定の幅方向に2台の車両2が併走できる幅を有する区画線41及び区画線42によって形成される車線が一つの交差点から次の交差点まで続くような道路に対応した部分のデータ構造は、上記で説明した実施形態1乃至3(
図2、
図3)のBからC(
図9におけるEからFが対応)及びCからD(
図9におけるFからGが対応)に対応するデータ構造と同一である。また、そのような地図データ20を用いた走行支援システム1の情報制御部3の走行支援処理の動作フローも実施形態1乃至3(
図2、
図3)のBからC(
図9におけるEからFが対応)及びCからD(
図9におけるFからGが対応)における制御と同一である。
【0041】
また、
図10(
図2と同じ番号は、同じものであることを示している)で示すように、区画線41及び区画線42によって形成される一つの車線が、
図10のH地点において広がり、その一つの車線において、直進及び左折の標示50と右折の標示51とを有しているような道路に対応した地図データ20であっても良い。そのような地図データ20の区画線41及び区画線42によって形成される一つの車線が、
図10のH地点において広がり、その一つの車線において、直進及び左折の標示50と右折の標示51とを有しているような道路に対応した部分のデータ構造は、上記で説明した実施形態1乃至3(
図2、
図3)のAまで(
図10のHまでが対応)、AからB(
図10のHからIが対応)及びCからD(
図10のIからJが対応)に対応するデータ構造と同一である。また、そのような地図データ20を用いた走行支援システム1の情報制御部3の走行支援処理の動作フローも実施形態1乃至3(
図2、
図3)のAまで(
図10のHまでが対応)、AからB(
図10のHからIが対応)及びCからD(
図10のIからJが対応)における制御と同一である。
【0042】
特許文献1に記載された発明は、一つの車線内に一つのレーン形状をあらわすレーンデータを含む地図データを提供する技術である。しかしながら、一つの車線内であっても幅員が広い場合は、暗黙的に二車線として使用され、つまり、その一つの車線内において幅方向で車両が併走している。そのような道路であっても、一つの車線として車両を走行させると(幅方向で車両を併走させないと)、スムーズな車両の通行の妨げとなり、渋滞が発生したりする課題が存在する。また、自動運転車ではない運転者の手動によって走行している車両はそのような道路を二車線として使用していると、運転者の手動によって走行している車両と自動運転車とが事故の原因となるといった課題が存在する。
【0043】
以上の実施形態の全部又は一部に記載された態様は、移動体を適切に誘導制御することを可能とするための装置及びそれに利用可能なデータのデータ構造の提供、処理速度の向上、処理精度の向上、使い勝手の向上、データを利用した機能の向上又は適切な機能の提供その他の機能向上又は適切な機能の提供、データ及び/又はプログラムの容量の削減、装置及び/又はシステムの小型化等の適切なデータ、プログラム、記録媒体、装置及び/又はシステムの提供、並びにデータ、プログラム、装置又はシステムの制作・製造コストの削減、制作・製造の容易化、制作・製造時間の短縮等のデータ、プログラム、記録媒体、装置及び/又はシステムの制作・製造の適切化のいずれか一つの課題を解決する。
【符号の説明】
【0044】
1 走行支援システム
2 車両
3 情報制御部
4 記憶部
5 入力部
6 位置取得部
7 車速情報取得部
8 周辺情報取得部
9 車両制御部
10 全体制御部
11 経路探索部
12 経路特定部
13 地図データ取得部
14 位置特定部
15 誘導部
20 地図データ
21 道路ネットワーク情報
22 車線ネットワーク情報
23 地物情報
24 関連情報