(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-14
(45)【発行日】2022-10-24
(54)【発明の名称】携帯式のエンジン作業機
(51)【国際特許分類】
F02D 41/06 20060101AFI20221017BHJP
F02D 41/08 20060101ALI20221017BHJP
F02D 41/14 20060101ALI20221017BHJP
F02D 41/10 20060101ALI20221017BHJP
F02D 9/02 20060101ALI20221017BHJP
F02P 5/15 20060101ALI20221017BHJP
【FI】
F02D41/06
F02D41/08
F02D41/14
F02D41/10
F02D9/02 H
F02D9/02 305A
F02D9/02 311
F02P5/15 E
(21)【出願番号】P 2018136721
(22)【出願日】2018-07-20
【審査請求日】2021-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】509264132
【氏名又は名称】株式会社やまびこ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100123607
【氏名又は名称】渡邊 徹
(72)【発明者】
【氏名】黒岩 稔
【審査官】池田 匡利
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-075547(JP,A)
【文献】特開2013-040599(JP,A)
【文献】特開2009-264266(JP,A)
【文献】特開2016-079843(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0034011(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0273467(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 41/06
F02D 41/08
F02D 41/14
F02D 41/10
F02D 9/02
F02P 5/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯式のエンジン作業機(1)であって、
内燃エンジン(2)と、
前記内燃エンジン(2)によって駆動される作動部(3)と、
前記内燃エンジン(2)と前記作動部(3)との間に配置されたクラッチ(4)と、
前記内燃エンジン(2)の回転数を検出して前記回転数を制御する制御装置(16)と、を有し、
前記クラッチ(4)は、前記内燃エンジン(2)の回転数が所定のクラッチイン回転数よりも高い回転数であるときに内燃エンジン(2)と前記作動部(3)とを連結して、前記内燃エンジン(2)の回転を前記作動部(3)に伝達し、
前記内燃エンジン(2)は、スロットルバルブ(8)を含む燃料量、空気量、及び/又は混合気量制御装置(7)を有し、
前記内燃エンジン(2)は、前記スロットルバルブ(8)が全閉位置又はその近傍(8a)にあるとき、通常アイドル回転数で作動し、前記スロットルバルブ(8)が所定の位置(8b)にあるとき、ファストアイドル回転数で作動し、
前記制御装置(
16)は、前記内燃エンジン(2)の始動後、前記内燃エンジン(2)の作動モードを、前記ファストアイドル回転数が前記クラッチイン回転数よりも高くなることを防止するファストアイドルモード(M2)に移行させ、次いで、前記通常アイドル回転数よりも高く且つ前記クラッチイン回転数よりも低い所定の回転数及び/又は所定の回転数範囲内を目標とする内燃エンジン(2)の回転数の制御を行う中間アイドルモード(M3)に移行させ、
前記中間アイドルモード(M3)は、内燃エンジン(2)の回転数に応じて変化する回転数要素の一方の境界値(
R3U)
及び他方の境界値(
R3L)を有する範囲内で作動され、
前記制御装置(16)は、前記中間アイドルモード(M3)において、前記回転数要素が一方の境界値又は他方の境界値を越えたとき、前記中間アイドルモード(M3)を解除して、前記作動モードを他の作動モードに移行させることを特徴とするエンジン作業機。
【請求項2】
前記中間アイドルモード(M3)の制御は、前記所定の回転数を目標とするフィードバック制御であることを特徴とする請求項1に記載のエンジン作業機。
【請求項3】
前記中間アイドルモード(M3)のフィードバック制御は、PI制御であることを特徴とする請求項2に記載のエンジン作業機。
【請求項4】
前記制御装置(16)は、前記中間アイドルモード(M3)において、前記回転数要素が一方の境界値(R3U)を越えたとき、前記中間アイドルモード(M3)を解除して、前記作動モードを、前記内燃エンジン(2)を加速させる加速モード(M5)に移行させることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のエンジン作業機。
【請求項5】
前記制御装置(16)は、前記中間アイドルモード(M3)において、前記回転数要素が他方の境界値(R3L)を越えたとき、前記中間アイドルモード(M3)を解除して、前記作動モードを、前記内燃エンジン(2)を前記通常アイドル回転数で作動させる通常アイドルモード(M4)に移行させることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のエンジン作業機。
【請求項6】
前記制御装置(16)は、前記通常アイドルモード(M4)において、所定の回転数(R4)を目標とするフィードバック制御を行う、請求項5に記載のエンジン作業機。
【請求項7】
前記通常アイドルモード(M4)のフィードバック制御は、PI制御であることを特徴とする請求項6に記載エンジン作業機。
【請求項8】
前記通常アイドルモード(M4)は、内燃エンジン(2)の回転数に応じて変化する回転数要素の少なくとも一方の境界値(
R4U)を有する範囲内で作動され、
前記制御装置(16)は、前記通常アイドルモード(M4)において、前記回転数要素が一方の境界値を越えたとき、前記作動モードを前記通常アイドルモードから、前記内燃エンジンを加速させる加速モード(M6)に移行させることを特徴とする請求項5~7の何れか1項に記載のエンジン作業機。
【請求項9】
前記制御装置(16)は、前記ファストアイドルモード(M2)を、その開始から所定の期間経過後に解除することを特徴とする請求項1~8の何れか1項に記載のエンジン作業機。
【請求項10】
前記ファストアイドルモード(M2)及び/又は前記中間アイドルモード(M3)において、点火タイミングによる制御が行われることを特徴とする請求項4に記載のエンジン作業機。
【請求項11】
前記ファストアイドルモード(M2)、前記中間アイドルモード(M3)、及び/又は前記通常アイドルモードにおいて、点火タイミングによる制御が行われることを特徴とする請求項5に記載のエンジン作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯式のエンジン作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
チェーンソー、刈払機、ヘッジトリマーなどの携帯式のエンジン作業機が知られている。
【0003】
また、エンジン作業機は、内燃エンジンと、作動部(例えばチェーンソーの場合、刃のついたチェーン)と、内燃エンジンと作動部の間に配置された遠心クラッチを有している。遠心クラッチは、内燃エンジンの回転数が所定のクラッチイン回転数よりも高いときに、内燃エンジンと作動部とを連結し、それにより、内燃エンジンの回転が、作動部に伝達される。
【0004】
エンジン作業機の内燃エンジンは、それに設けられた気化器のスロットルバルブが全閉位置又はその近傍(通常アイドル位置)にあるとき、クラッチイン回転数よりも低い回転数で安定して回転するように設計されている。この状態は、アイドル状態(通常アイドル状態)と呼ばれている。
【0005】
内燃エンジンを、特に暖機が不十分な状態で、始動させるとき、内燃エンジンの始動及び運転を安定化させるために、気化器のスロットルバルブを半開位置(ファストアイドル位置)にして内燃エンジンに供給する空気量を増大させた状態で、内燃エンジンを始動させ、スロットルバルブを半開位置にしばらく維持したままエンジンを運転することが一般的に行われている。この状態は、ファストアイドル状態と呼ばれている。
【0006】
内燃エンジンは、ファストアイドル状態において、内燃エンジンの回転数がクラッチイン回転数に達しないように制御される。したがって、ファストアイドル状態が解除されないと、内燃エンジンの回転数を、クラッチイン回転数よりも高い回転数にすることができない。これは、作業者の意図しないときに、内燃エンジンと作動部が連結されることを防止するためである。これに関して、ファストアイドル状態を、所定時間の経過後に解除して、通常アイドル状態にする技術が知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0007】
また、通常アイドル状態において、所定の通常アイドル回転数を目標とするPI制御を用いる技術が知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許出願公開第2008/0223339号
【文献】米国特許出願公開第2015/0345460号
【文献】米国特許第4979477号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ファストアイドル状態を所定時間の経過後に解除すると、エンジン作業機を適切なタイミングで操作することができない場合がある。例えば、所定時間の経過前に、作業者がスロットルバルブを全開位置(加速位置)にして、内燃エンジンを加速させようとしても、内燃エンジンをクラッチイン回転数よりも低い回転数に制御しようとする。また、いったん所定時間が経過した後に作業者が内燃エンジンを加速させようとすると、所望の回転数に達するまでの時間がかかり、内燃エンジンの加速の応答性が悪くなることがある。
【0010】
そこで、本発明は、状況に応じた適切なタイミングで操作することができる携帯式のエンジン作業機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明による携帯式のエンジン作業機は、内燃エンジンと、内燃エンジンによって駆動される作動部と、内燃エンジンと作動部との間に配置されたクラッチと、内燃エンジンの回転数を検出してかかる回転数を制御する制御装置と、を有し、クラッチは、内燃エンジンの回転数が所定のクラッチイン回転数よりも高い回転数であるときに内燃エンジンと作動部とを連結して、内燃エンジンの回転を作動部に伝達し、内燃エンジンは、スロットルバルブを含む燃料量、空気量、及び/又は混合気量制御装置を有し、内燃エンジンは、スロットルバルブが全閉位置又はその近傍にあるとき、通常アイドル回転数で作動し、スロットルバルブが所定の位置にあるとき、ファストアイドル回転数で作動し、制御装置は、内燃エンジンの始動後、内燃エンジンの作動モードを、ファストアイドル回転数がクラッチイン回転数よりも高くなることを防止するファストアイドルモードに移行させ、次いで、通常アイドル回転数よりも高く且つクラッチイン回転数よりも低い所定の回転数及び/又は所定の回転数範囲内を目標とする内燃エンジンの回転数の制御を行う中間アイドルモードに移行させ、中間アイドルモードは、内燃エンジンの回転数に応じて変化する回転数要素の一方の境界値及び/又は他方の境界値を有する範囲内で作動され、制御装置は、中間アイドルモードにおいて、上記回転数要素が一方の境界値又は他方の境界値を越えたとき、中間アイドルモードを解除して、作動モードを他の作動モードに移行させることを特徴としている。
【0012】
このように構成されたエンジン作業機は、内燃エンジンの始動後、スロットルバルブが所定の位置にあるとき、内燃エンジンは、ファストアイドル回転数で作動し、制御装置は、内燃エンジンの作動モードをファストアイドルモードに移行させ、次いで、作動モードを中間アイドルモードに移行させる。ファストアイドルモードにおいて、ファストアイドル回転数は、クラッチイン回転数よりも高くなることを防止され、中間アイドルモードにおいて、内燃エンジンの回転数はクラッチイン回転数よりも低い所定の回転数を目標として制御されるので、いずれのモードにおいても、内燃エンジンの回転数がクラッチイン回転数に達することが確実に防止される。また、作業者がスロットルバルブを、所定の位置から全閉位置又はその近傍に戻すことを忘れている場合であっても、中間アイドルモードにおいて、内燃エンジンの回転数はクラッチイン回転数よりも低い所定の回転数を目標として制御されるので、内燃エンジンの回転数がクラッチイン回転数に達することが確実に防止され、安全な始動をスムーズに行うことができる。
【0013】
中間アイドルモードにおいて、例えば、内燃エンジンを加速させるためにスロットルバルブを全開位置に移動させるとき、及び/又は、暖気運転を終了させるためにスロットルバルブを全閉位置又はその近傍に移動させるとき、内燃エンジンの回転数が上昇し又は下降する。中間アイドルモードは、内燃エンジンの回転数に応じて変化する回転数要素の一方の境界値及び/又は他方の境界値を有する範囲内で作動され、制御装置は、上記回転数要素が一方の境界値又は他方の境界値を越えたとき、中間アイドルモードを解除して、作動モードを他の作動モードに移行させる。このため、制御装置は、作業者の操作に対して敏感に応答することができる。その結果、作業者の操作性を向上させることができる。中間アイドルモードにおける所定の回転数及び/又は所定の回転数範囲と、一方の境界値及び/又は他方の境界値との差を小さくすれば、制御装置は、作業者の操作に対して更に敏感に応答することができ、その結果、作業者の操作性を更に向上させることができる。
【0014】
上記エンジン作業機において、好ましくは、中間アイドルモードの制御は、上記所定の回転数を目標とするフィードバック制御であり、かかるフィードバック制御は、好ましくは、PI制御である。
【0015】
このように構成されたエンジン作業機では、スロットルバルブが所定の位置にあるときのファストアイドル回転数が、所定の回転数を目標とするフィードバック制御により安定する。制御装置は、スロットルバルブの位置を変化させたときの内燃エンジンの回転数の変化を敏感に検出して、作動モードを変化させることができ、その結果、作業者の操作性を向上させることができる。
【0016】
上記エンジン作業機において、好ましくは、制御装置は、中間アイドルモードにおいて、上記回転数要素が一方の境界値を越えたとき、中間アイドルモードを解除して、作動モードを、内燃エンジンを加速させる加速モードに移行させる。
【0017】
このように構成されたエンジン作業機では、例えば、作業者が、内燃エンジンを加速させるためにスロットルバルブを所定の位置から全開位置に移動させると、内燃エンジンの回転数が上昇する。制御装置は、上記回転数要素が一方の境界値を越えたとき、作動モードを中間アイドルモードから加速モードに移行させるので、中間アイドルモードにおける所定の回転数又は所定の回転数範囲と一方の境界値との差を小さくすれば、作業者の操作に対して敏感に応答することができる。その結果、作業者の操作性を向上させることができる。
【0018】
上記エンジン作業機において、好ましくは、制御装置は、中間アイドルモードにおいて、上記回転数要素が他方の境界値を越えたとき、中間アイドルモードを解除して、作動モードを、内燃エンジンを通常アイドル回転数で回転させる通常アイドルモードに移行させる。
【0019】
このように構成されたエンジン作業機では、例えば、作業者が、暖気運転を終了させるためにスロットルバルブを所定の位置から全閉位置又はその近傍に移動させると、内燃エンジンの回転数が下降する。制御装置は、上記回転数要素が他方の境界値を越えたとき、作動モードを中間アイドルモードから通常アイドルモードに移行させるので、作業者の操作に対して敏感に応答することができる。その結果、作業者の操作性を向上させることができる。また、スロットルバルブを所定の位置から全閉位置又はその近傍に移動させたときに作動モードが中間アイドルモードのままであるときに生じ得るエンストを防止することができる。
【0020】
通常アイドルモードに移行する上記エンジン作業機において、好ましくは、制御装置は、通常アイドルモードにおいて、所定の回転数を目標とするフィードバック制御を行い、かかる通常アイドルモードのフィードバック制御は、好ましくは、PI制御である。
【0021】
このように構成されたエンジン作業機では、スロットルバルブが全閉位置又はその近傍にあるときの通常アイドル回転数が、所定の回転数を目標とするフィードバック制御により安定する。制御装置は、スロットルバルブの位置を変化させたときの内燃エンジンの回転数の変化を敏感に検出して、作動モードを変化させることができ、その結果、作業者の操作性を向上させることができる。
【0022】
通常アイドルモードに移行する上記エンジン作業機において、好ましくは、通常アイドルモードは、内燃エンジンの回転に応じて変化する回転数要素の少なくとも一方の境界値を有する範囲内で作動され、制御装置は、通常アイドルモードにおいて、上記回転数要素が一方の境界値を越えたとき、作動モードを通常アイドルモードから、内燃エンジンを加速させる加速モードに移行させる。
【0023】
このように構成されたエンジン作業機では、例えば、作業者がスロットルバルブを所定の位置から全閉位置又はその近傍に移動させた後、内燃エンジンは通常アイドル回転数で作動し、作動モードは、通常アイドルモードである。その後、作業者が、内燃エンジンを加速させるためにスロットルバルブを全開位置に移動させると、内燃エンジンの回転数が上昇する。また、中間アイドルモードの所定の回転数と通常アイドルモードの所定の回転数を設定すれば、通常アイドルモードの一方の境界値と所定の回転数の差を小さくすることができ、作業者の操作に対して敏感に応答することができる。その結果、作業者の操作性を向上させることができる。
【0024】
上記エンジン作業機において、好ましくは、制御装置は、ファストアイドルモードを、その開始から所定の期間経過後に解除する。
【0025】
このように構成されたエンジン作業機では、所定期間を内燃エンジンの暖気が達成される程度の期間に定めることにより、内燃エンジンの暖気を確実に行うことができる。その後、作動モードを中間アイドルモードに移行させて、作動モードを変化させることができるので、作業者の操作性を向上させることができる。
【0026】
上記エンジン作業機において、好ましくは、ファストアイドルモード、中間アイドルモード、及び/又は通常アイドルモードにおいて、制御装置により点火タイミングが制御される。
【0027】
点火タイミングが制御されるので、エンストを起こさないでクラッチインさせない制御および/または加速する制御において、応答性の良い制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図5】本発明によるチェーンソーの第1の作動例を示す図である。
【
図6】本発明によるチェーンソーの第2の作動例を示す図である。
【
図7】本発明によるチェーンソーの第3の作動例を示す図である。
【
図8】本発明によるチェーンソーの第4の作動例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態の一例による携帯式のエンジン作業機であるチェーンソーを説明する。
【0030】
図1に示すように、チェーンソー1は、内燃エンジン2と、内燃エンジン2によって駆動される作動部である刃付きチェーン3と、内燃エンジン2と刃付きチェーン3との間に配置された遠心クラッチ4を有している。遠心クラッチ4は、内燃エンジン2の回転数が所定のクラッチイン回転数よりも高い回転数のときに内燃エンジン2と刃付きチェーン3とを連結して、内燃エンジン2の回転を刃付きチェーン3に伝達する。また、チェーンソー1は、遠心クラッチ4の出力側を停止させるブレーキ(図示せず)を作動させるブレーキレバー5を有している。チェーンソー1における内燃エンジン2、刃付きチェーン3、遠心クラッチ4、及びその他の構造は、従来のものであり、その詳細な説明を省略する。
【0031】
図2に示すように、内燃エンジン2は、好ましくは、2サイクルガソリンエンジンである。また、内燃エンジン2に設けられた気化器7は、内燃エンジン2に流入させる混合気の量を調節するスロットルバルブ8を有する。スロットルバルブ8は、スロットルレバー7a(
図1参照)又はチョークノブ(図示せず)等によって作動され、従来既知のものである。内燃エンジン2は、シリンダ2aと、クランクシャフト2bと、シリンダ2a内に配置され且つクランクシャフト2bに連結されたピストン2cと、シリンダ2aの上部に配置された点火プラグ10を有している。内燃エンジン2の圧縮ストロークにおいて、ピストン2cは、上死点位置2dまで上昇する。一般的にはピストン2cが上死点位置2dに到達するよりも前のタイミングで、点火プラグ10を有効に作動させてシリンダ2a内の混合気を燃焼させることにより、ピストン2cに下向きの推進力を与える。
【0032】
図3に示すように、内燃エンジン2は、点火プラグ10を作動させる点火装置12を有している。点火装置12は、クランクシャフト2b(
図2参照)に取付けられたフライホイール14aの外周に設けられた1対の磁石14bと、フライホイール14aの外周に隣接して配置されたU字形の鉄心14cと、鉄心14cの周りに巻かれた入力用コイル14dを有している。また、点火装置12は、入力用コイル14dに接続された制御装置16と、制御装置16に接続された1次側コイル18aと、点火プラグ10に接続された2次側コイル18bを有している。
【0033】
図4に示すように、点火装置12の制御装置16は、マイコン20と、ダイオード22と、コンデンサ24と、スイッチ用サイリスタ26を有する。マイコン20のピンaとピンeは、入力用コイル14dに接続され、入力用コイル14dに誘導された電圧は、マイコン20に電力を供給する。マイコン20のピンb及びピンcも、入力用コイル14dに接続され、マイコン20は、入力用コイル14dに誘導された電気信号を受信する。ダイオード22、コンデンサ24及び1次側コイル18aが、入力用コイル14dに直列に接続される。スイッチ用サイリスタ26は、コンデンサ24及び1次側コイル18aと並列に接続される。また、マイコン20のピンdは、サイリスタ26のゲートに接続される。ピンdがLOWのとき、サイリスタ26は非通電状態になり、ピンdがHIGHのとき、サイリスタ26は通電状態になる。
【0034】
次に、本発明の実施形態の一例による点火装置の作動を説明する。
【0035】
内燃エンジン2の作動により、クランクシャフト2bが回転すると、フライホイール14aに取付けられた1対の磁石14bが、U字形の鉄心14cの近くを通過する。それにより、入力用コイル14dに電圧が誘導され、入力用コイル14dに電流が流れる。マイコン20は、入力用コイル14dからピンa、eを介して供給される電圧によって駆動されるとともに、電流による電気信号をピンb,cを介して受信する。マイコン20は、かかる電気信号により、内燃エンジン2の回転数(回転速度)及び角度位置を検出し又は計算する。
【0036】
マイコン20がピンdをLOWにして、サイリスタ26を非通電状態にすると、入力用コイル14dに誘導された電圧により、コンデンサ24を充電する。点火プラグ10の点火タイミングになったら、マイコン20は、ピンdをHIGHにして、サイリスタ26を通電状態にする。それにより、コンデンサ24を放電させて、1次側コイル18aに電流を流す。1次側コイル18aに流れる電流は、2次側コイル18bに高電圧パルスを発生させて、かくして、点火プラグ10を作動させる。
【0037】
本発明の実施形態の一例のチェーンソー1において、スロットルバルブ8の位置を検出するセンサは設けられていない。制御装置16(マイコン20)は、内燃エンジン2の回転数及び角度位置を検出することによって、後述するように、スロットルバルブ8の位置を判断したり、作動モードを変更したり、点火タイミングの制御を行ったりするようにプログラムされ又は構成される。
図2に示すように、スロットルバルブ8の位置は、例えば、全閉位置又はその近傍である通常アイドル位置8a、半開位置であるファストアイドル位置8b、及び全開位置である加速位置8cである。以下、スロットルバルブ8が通常アイドル位置8aにあるときの内燃エンジン2の回転数を、通常アイドル回転数と称し、スロットルバルブ8がファストアイドル位置8bにあるときの内燃エンジン2の回転数を、ファストアイドル回転数と称する。
【0038】
次に、
図5~
図9を参照して、本発明の実施形態によるチェーンソー1の第1~第4の作動例を説明する。
【0039】
図5に示す第1の作動例において、制御装置16は、内燃エンジン2の作動モードを、始動モードM1、ファストアイドルモードM2、中間アイドルモードM3、通常アイドルモードM4の順に移行させる。リコイルロープを引くこと等によって、内燃エンジン2のクランクシャフト2bを回転させて、内燃エンジン2を始動させる。
【0040】
始動モードM1において、制御装置16は、回転数と点火タイミングの関係を定めたマップを使用して、内燃エンジン2を加速させる。制御装置16は、時刻T1において、内燃エンジン2の回転数が、所定の回転数R1よりも高いか低いかを判断する。所定の回転数R1及び時刻T1は、スロットルバルブ8が、ファストアイドル位置8bにあるのか通常アイドル位置8aにあるのかを判断できるように定められるのがよい。T1は、例えば、1~3秒であり、所定の回転数R1は、例えば、3000~5000rpmである。
【0041】
第1の作動例では、例えば暖気運転のために、スロットルバルブ8がファストアイドル位置8bにあると仮定する。この場合、内燃エンジン2の回転数は、時刻T1において、所定の回転数R1よりも高くなる。制御装置16は、内燃エンジン2の回転数が所定の回転数R1よりも高いことを検出することにより、スロットルバルブ8がファストアイドル位置8bにあると判断し、作動モードを始動モードM1からファストアイドルモードM2に移行させる。
【0042】
ファストアイドルモードM2において、制御装置16は、ファストアイドル回転数がクラッチイン回転数よりも高くなることを防止するために、クラッチイン回転数よりも低い所定の回転数R2を内燃エンジン2の回転数の目標とする制御を行う。制御は、回転数と点火タイミングの関係を定めたマップを使用することによる制御であってもよいし、回転数を検出して点火タイミングを変化させるフィードバック制御であってもよい。また、かかるフィードバック制御は、PI制御であるのがよい。ファストアイドルモードM2は、時刻T2まで解除されない。時刻T2は、時刻T1に所定の期間を加えた時刻であるのがよい。所定の期間は、内燃エンジン2の暖気が達成される程度の期間(例えば、5~10秒)であるのが好ましい。所定の回転数R2は、例えば、3000~5000rpmである。この場合、所定の回転数R2に換えて所定の回転数範囲を設定して、ファストアイドル回転数が所定の回転数範囲に入ることを目標とする制御を行ってもよい。制御装置16は、時刻T2において、作動モードをファストアイドルモードM2から中間アイドルモードM3に移行させる。
【0043】
中間アイドルモードM3において、制御装置16は、クラッチイン回転数よりも低い所定の回転数R3を内燃エンジン2の回転数の目標とする制御を行う。この場合、所定の回転数R3に換えて所定の回転数範囲を設定して、内燃エンジン2の回転数が所定の回転数範囲に入ることを目標とする制御を行ってもよい。所定の回転数R3は、所定の回転数R2と同じであってもよいし、それよりも高くてもよいし、それよりも低くてもよく、本実施形態では高く設定される。所定の回転数R3を所定の回転数R2よりも高く設定すると、暖機前の回転数よりも暖機後の回転数が高くなるので都合が良い。制御は、回転数と点火タイミングの関係を定めたマップを使用することによる制御であってもよいし、回転数を検出して点火タイミングを変化させるフィードバック制御であってもよい。フィードバック制御は、PI制御であるのがよい。
【0044】
中間アイドルモードM3は、ファストアイドルモードM2と異なり、内燃エンジン2の回転数に応じて変化する回転数要素の一方の境界値及び/又は他方の境界値を有する範囲内で作動される。回転数要素は、回転数の高低を定めることができる特徴又は傾向を有する要素であり、例えば、回転数自体、回転数変動、及び/又は回転数に影響を与える制御変数等である。言い換えれば、回転数要素が一方の境界値及び/又は他方の境界値を越えるとき、制御装置16は、中間アイドルモードM3を解除し、作動モードを中間アイドルモードM3から他の作動モードに移行させる。例示として、回転数要素が回転数であるとする。一方の境界値(上限値)は、所定の回転数R3よりも高い上限回転数R3Uであり、他方の境界値(下限値)は、所定の回転数R3よりも低い下限回転数R3Lである。
【0045】
第1の作動例では、作動モードが中間アイドルモードM3であるときに、作業者がスロットルバルブ8をファストアイドル位置8bから通常アイドル位置8aに戻すと仮定する。この場合、内燃エンジン2の回転数は、低下し、時刻T3において、下限回転数R3Lよりも低くなる。制御装置16は、内燃エンジン2の回転数が下限回転数R3Lよりも低いことを検出することにより、作動モードを中間アイドルモードM3から通常アイドルモードM4に移行させる。
【0046】
通常アイドルモードM4において、制御装置16は、クラッチイン回転数よりも低い所定の回転数R4を内燃エンジン2の回転数の目標とする制御を行う。この場合、所定の回転数R4に換えて所定の回転数範囲を設定して、通常アイドル回転数が所定の回転数範囲に入ることを目標とする制御を行ってもよい。所定の回転数R4は、スロットルバルブ8がアイドル位置8aにあるときに安定して作動する回転数であり、例えば、2000~4000rpmである。制御は、回転数と点火タイミングの関係を定めたマップを使用することによる制御であってもよいし、回転数を検出して点火タイミングを変化させるフィードバック制御であってもよい。フィードバック制御は、PI制御であるのがよい。
【0047】
通常アイドルモードM4は、内燃エンジンの回転に応じて変化する回転数要素の少なくとも一方の境界値を有する範囲内で作動される。回転数要素は、例えば、回転数自体、回転数変動、及び/又は回転数に影響を与える制御変数等である。回転数要素が一方の境界値を越えるとき、制御装置16は、通常アイドルモードM4を解除し、作動モードを通常アイドルモードM4から他の作動モードに移行させる。例示として、回転数要素が回転数であるとする。一方の境界値(上限値)は、所定の回転数R4よりも高い上限回転数R4Uである(
図7参照)。なお、第1の作動例では、通常アイドルモードM4は解除されていない。
【0048】
図6に示す第2の作動例において、制御装置16は、内燃エンジン2の作動モードを始動モードM1、ファストアイドルモードM2、中間アイドルモードM3、加速モードM5の順に移行させる。始動モードM1、ファストアイドルモードM2、中間アイドルモードM3は、第1の作動例と同様である。
【0049】
第2の作動例では、作動モードが中間アイドルモードM3であるときに、スロットルバルブ8をファストアイドル位置8bから加速位置8cに移動させると仮定する。この場合、内燃エンジン2の回転数は、上昇し、時刻T5において、上限回転数R3Uよりも高くなる。制御装置16は、内燃エンジン2の回転数が上限回転数R3Uよりも高いことを検出することにより、スロットルバルブ8が加速位置8cにあると判断し、作動モードを中間アイドルモードM3から加速モードM5に移行させる。
【0050】
加速モードM5において、制御装置16は、回転数と点火タイミングの関係を定めたマップを使用して、内燃エンジン2を加速させる。
【0051】
第1の作動例及び第2の作動例では、ファストアイドルモードM2において、ファストアイドル回転数は、クラッチイン回転数よりも高くなることが防止され、中間アイドルモードM3において、内燃エンジン2の回転数はクラッチイン回転数よりも低い所定の回転数R3を目標として制御されるので、いずれのモードにおいても、内燃エンジン2の回転数がクラッチイン回転数に達することが確実に防止される。また、作業者がスロットルバルブ8を、ファストアイドル位置8bから通常アイドル位置8aに戻すことを忘れている場合であっても、中間アイドルモードM3において、内燃エンジン2の回転数はクラッチイン回転数よりも低く、通常アイドルモードの所定の回転数R4より高い所定の回転数R3を目標として制御されるので、内燃エンジン2の回転数がクラッチイン回転数に達することが確実に防止され、安全な始動をスムーズに行うことができる。
【0052】
また、中間アイドルモードM3は、ファストアイドルモードM2と異なり、上限回転数R3U及び下限回転数R3Lを有する範囲内で作動されるので、制御装置16は、内燃エンジン2の回転数が、上限回転数R3U又は下限回転数R3Lを越えたとき、中間アイドルモードM3を解除して、作動モードを加速モードM5又は通常アイドルモードM4に移行させる。このため、制御装置16は、作業者の操作に対して敏感に応答することができる。その結果、作業者の操作性を向上させることができる。また、中間アイドルモードM3の所定の回転数R3と上限回転数R3U及び/又は下限回転数R3Lとの差を小さくすれば、制御装置16は、作業者の操作に対して更に敏感に応答することができ、その結果、作業者の操作性を更に向上させることができる。
【0053】
また、第1の作動例において、作業者がスロットルバルブ8をファストアイドル位置8bから通常アイドル位置8aに移動させたとき、制御装置16は、作動モードを中間アイドルモードM3から通常アイドルモードM4に移行させるので、作動モードが中間アイドルモードM3のままであるときに生じ得るエンストを防止することができる。
【0054】
図7に示す第3の作動例において、制御装置16は、内燃エンジン2の作動モードを始動モードM1、ファストアイドルモードM2、中間アイドルモードM3、通常アイドルモードM4、加速モードM6の順に移行させる。始動モードM1、ファストアイドルモードM2、中間アイドルモードM3、通常アイドルモードM4は、第1の作動例と同様である。
【0055】
第3の作動例では、作動モードが通常アイドルモードM4であるときに、スロットルバルブ8を通常アイドル位置8aから加速位置8cに移動させると仮定する。この場合、内燃エンジン2の回転数は、上昇し、時刻T6において、上限回転数R4Uよりも高くなる。制御装置16は、内燃エンジン2の回転数が上限回転数R4Uよりも高いことを検出することにより、作動モードを通常アイドルモードM4から加速モードM6に移行させる。
【0056】
加速モードM6において、制御装置16は、回転数と点火タイミングの関係を定めたマップを使用して、内燃エンジン2を加速させる。
【0057】
第3の作動例では、制御装置16は、内燃エンジン2の回転数が上限回転数R4Uを越えたとき、作動モードを通常アイドルモードM4から加速モードM6に移行させる。この場合、中間アイドルモードM3の所定の回転数R3を回転数の高い側に設定して、通常アイドルモードM4の所定の回転数R4を回転数の低い側に設定し、すなわち、2つの所定の回転数を設定するため、通常アイドルモードM4を中間アイドルモードM3と同じ所定の回転数R10で制御するようにしたものに比べ(この場合、これらのモードM4の所定の回転数R10と上限回転数R3Uの差は、
図7の矢印で示すようになる)、通常アイドルモードM4の上限回転数R4Uと所定の回転数R4の差を小さくすることができ、作業者の操作に対して敏感に応答することができる。その結果、作業者の操作性を向上させることができる。
【0058】
図8に示す第4の作動例において、制御装置16は、内燃エンジン2の作動モードを、始動モードM1、ファストアイドルモードM2、中間アイドルモードM3、加速モードM5、通常アイドルモードM4、加速モードM6の順に移行させる。始動モードM1、ファストアイドルモードM2、中間アイドルモードM3、加速モードM5は、第2の作動例と同様であり、通常アイドルモードM4、加速モードM6は、第3の作動例と同様である。以下、作動モードを、加速モードM5、通常アイドルモードM4、加速モードM6に移行させるところを説明する。
【0059】
加速モードM5において、制御装置16は、回転数と点火タイミングの関係を定めたマップを使用して、内燃エンジン2を加速させる。しかしながら、作業者が、スロットルバルブ8を加速位置8cにしても、内燃エンジン2の応答が追付かないこと、又は、作業者が燃料の供給量を小さく設定し過ぎていること等が原因で、内燃エンジン2が一時的にリーン状態になり(エアに比べて燃料が遅れ)、内燃エンジン2の回転数が低下する恐れがある。この場合、制御装置16は、内燃エンジン2の回転数が上限回転数R4Uよりも低いことを検出することにより、作動モードを加速モードM5から通常アイドルモードM4に移行させ、実際の回転数に応じた制御が可能になる。その後、スロットルバルブ8が加速位置8cにある場合には、内燃エンジン2の回転数が上昇し、時刻T6において、上限回転数R4Uよりも高くなる。制御装置16は、内燃エンジン2の回転数が上限回転数R4Uよりも高いことを検出することにより、スロットルバルブ8が加速位置8cにあると判断し、作動モードを通常アイドルモードM4から加速モードM6に移行させる。
【0060】
第4の作動例では、内燃エンジン2の回転数が低下する上記の状態において生じ得るエンストを防止することができる。また、中間アイドルモードM3において、作業者がスロットルバルブ8を加速位置8cへ移動させたとき、燃料供給の遅れ等による混合気のリーン化により、内燃エンジン2の回転数が、上限回転数R3Uに到達せずに、急激に低下する場合も同様であり、通常アイドルモードM4があるので、通常アイドルモードM4で制御が行われ、その結果、エンストが起きにくい。
【0061】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0062】
上記実施形態では、クラッチを、遠心クラッチ4として説明したけれども、内燃エンジン2の回転数が所定のクラッチイン回転数よりも高い回転数であるときに内燃エンジン2と作動部3とを連結して、内燃エンジン2の回転を作動部3に伝達するクラッチであれば、その他のクラッチであってもよい。
【0063】
上記実施形態では、スロットルバルブ8を気化器7に設けたけれども、気化器7の代わりに、燃料量、空気量、及び/又は混合気量制御装置を採用してもよい。
【0064】
第1の作動例の始動モードM1において、スロットルバルブ8がアイドル位置8aにある場合、内燃エンジン2の回転数は、時刻T1において、所定の回転数R1よりも低くなる。制御装置16は、内燃エンジン2の回転数が所定の回転数R1よりも低いことを検出することにより、スロットルバルブ8が通常アイドル位置8aにあると判断し、作動モードを始動モードM1から中間アイドルモードM3又は通常アイドルモードM4に移行させてもよい。作動モードが中間アイドルモードM3に移行した場合、第1の作動例のように、作動モードは中間アイドルモードM3から通常アイドルモードM4に移行する。
【0065】
上述した実施形態では、ファストアイドルモードと、中間アイドルモードと、通常アイドルモードの違いは、所定の回転数R2,R3,R4や、次のモードへ移るための条件であるが、それらの違いは、様々な内燃機関や作動部の仕様に合わせるように、所定の回転数R2,R3,R3であってもよいし、所定の回転数R2,R3,R4に換えて所定の回転数範囲であってもよいし、次のモードへ移行するための条件であってもよいし、それらの組合せであってもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 チェーンソー(エンジン作業機)
2 内燃エンジン
3 刃付きチェーン(作動部)
4 遠心クラッチ(クラッチ)
7 気化器(燃料量、空気量、及び/又は混合気量制御装置)
8 スロットルバルブ
8a 通常アイドル位置
8b ファストアイドル位置
8c 加速位置
16 制御装置
20 マイコン
M2 ファストアイドルモード
M3 中間アイドルモード
M4 通常アイドルモード
M5 加速モード
M6 加速モード
R3U 上限回転数(一方の境界値)
R3L 下限回転数(他方の境界値)
R4U 上限回転数(一方の境界値)