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特許7158952織機における同期制御方法、及びその織機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-14
(45)【発行日】2022-10-24
(54)【発明の名称】織機における同期制御方法、及びその織機
(51)【国際特許分類】
   D03D 51/00 20060101AFI20221017BHJP
   D03C 1/14 20060101ALI20221017BHJP
   D03C 13/00 20060101ALI20221017BHJP
【FI】
D03D51/00 Z
D03C1/14 F
D03C13/00 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018149988
(22)【出願日】2018-08-09
(65)【公開番号】P2020026581
(43)【公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000215109
【氏名又は名称】津田駒工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002712
【氏名又は名称】弁理士法人みなみ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 直幸
【審査官】住永 知毅
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第00893525(EP,A1)
【文献】特表2006-523782(JP,A)
【文献】特開平03-249233(JP,A)
【文献】特開2009-062637(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D03D29/00-51/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
織機の主軸モータから独立した開口モータを駆動源として備えると共に、全ての綜絖に共通の単一の駆動軸が前記開口モータによって駆動されることにより各前記綜絖を上下方向に変位させる開口装置を備えた織機において、
少なくとも織機の定常運転時に各織機サイクル中における前記駆動軸の回転量を検出すると共に、その検出信号に従って織機の主軸が前記駆動軸に対し同期して回転されるように前記主軸モータの駆動を制御する
ことを特徴とする織機における同期制御方法。
【請求項2】
前記主軸モータの駆動の制御が、予め設定された設定期間毎に検出された前記駆動軸の回転量に基づいて求められた目標回転量だけ該目標回転量が求められた時点からの前記設定期間において前記主軸が回転されるように行われ、
予め設定された所定の前記主軸の回転角度である設定角度に前記主軸の回転角度が達することが想定される時点における前記主軸の実際の回転角度を検出し、
その検出された前記実際の回転角度と前記設定角度とを比較して前記設定角度に対する前記実際の回転角度の偏差を求め、
予め設定された回数の前記偏差が求められた時点で、その時点以降の前記設定期間に対し求められる前記目標回転量を前記偏差に基づいて補正する
ことを特徴とする請求項1に記載の織機における同期制御方法。
【請求項3】
前記主軸モータの制御に用いられる制御パラメータを、前記綜絖の変位に伴って前記駆動軸に作用する負荷に応じて変更する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の織機における同期制御方法。
【請求項4】
織機の主軸モータから独立した開口モータを駆動源として備える開口装置であって全ての綜絖に共通の単一の駆動軸が前記開口モータによって駆動されることにより各前記綜絖を上下方向に変位させる開口装置と、前記主軸モータの駆動を制御する主軸制御装置とを備えた織機であって、
少なくとも織機の定常運転時に各織機サイクル中における前記駆動軸の回転量を検出する回転検出装置と、
該回転検出装置から出力される検出信号に従って織機の主軸が前記駆動軸に対し同期されるように前記主軸の回転量を求める同期制御装置であって、求めた前記主軸の回転量に基づく回転指令信号を前記主軸制御装置に対し出力する同期制御装置とを備えた
ことを特徴とする織機。
【請求項5】
前記同期制御装置は、予め設定された設定期間毎に検出された前記駆動軸の回転量に基づいて求められる目標回転量であって該目標回転量が求められた時点からの前記設定期間において前記主軸が回転される目標回転量を求める演算器を備え、
さらに、前記同期制御装置は、予め設定された所定の前記主軸の回転角度である設定角度に前記主軸の回転角度が達することが想定される時点における前記主軸の実際の回転角度を求める角度検出器と、該角度検出器によって求められた前記実際の回転角度と前記設定角度とを比較して前記設定角度に対する前記実際の回転角度の偏差を求める比較器とを含み、
前記演算器は、予め設定された回数の前記偏差が求められた時点で、その時点以降の前記設定期間に対し求められる前記目標回転量を前記偏差に基づいて補正する補正器を含む
ことを特徴とする請求項4に記載の織機。
【請求項6】
前記同期制御装置は、前記主軸モータの制御に用いられる制御パラメータを前記綜絖の変位に伴って前記駆動軸に作用する負荷に応じて変更する機能を有する
ことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の織機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、織機の主軸モータから独立した開口モータを駆動源として備えると共に、全ての綜絖に共通の単一の駆動軸が前記開口モータによって駆動されることにより各綜絖を上下方向に変位させる開口装置を備えた織機における同期制御方法、及びその織機に関する。
【背景技術】
【0002】
織機において、経糸に開口動作を行わせる開口装置として、ジャカード開口装置がよく知られている。
【0003】
そのジャカード開口装置は、全ての綜絖に共通の単一の駆動軸が回転駆動されることにより、各綜絖に引き通された経糸を開口状態とすべく、各綜絖を個別に予め設定されたパターンに従って上方又は下方へ変位させるように構成されている。
【0004】
そのようなジャカード開口装置を備えた織機について、その開口装置の駆動軸は、一般的には織機の主軸が1回転される毎に1/2回転されるように回転駆動される。そして、そのように駆動軸を回転駆動する構成として、従来においては、主軸を駆動源とする機械的構成と専用モータを駆動源とする電気的構成との2種類の構成が存在している。
【0005】
前者の機械的構成では、その織機は、開口装置の駆動軸と織機の主軸とをシャフトやチェーン等で機械的に連結する構成となっている。しかし、その構成の場合、多くの機械部品が必要であると共に、メンテナンスが非常に煩雑であるという問題がある。
【0006】
一方で、後者の電気的構成では、その織機は、開口装置の駆動軸が織機の主軸モータから独立した専用の駆動モータ(開口モータ)で駆動される構成となっている。そして、その構成によれば、開口装置の駆動軸と織機の主軸との連結が電気的なものであるため、前記の機械的構成と比べ、機械部品が少なくなり、メンテナンス性が向上するといった利点がある。なお、ジャカード開口装置の駆動軸と織機の主軸との連結に対し、そのような電気的構成を採用した織機が、下記の特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平3-249233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、前記特許文献1に記載の織機は、開口装置の駆動軸の回転を織機の主軸の回転に対し同期させるようにその開口モータの駆動を同期制御するものである。
【0009】
なお、開口装置においては、所定の張力に維持された経糸が引き通された綜絖を上方又は下方へ変位させるものであるため、その駆動軸に掛かる負荷は大きい。その上で、ジャカード開口装置は、一般的には複雑な織柄の織物の製織に用いられる。そのため、ジャカード開口装置においては、複雑なパターンに従って綜絖が駆動され、それに伴い、上方に変位させる綜絖の数と下方に変位させる綜絖の数とが織機1サイクル毎に大きく変化する場合が多々ある。そして、その場合には、駆動軸に作用する負荷が織機1サイクル毎に大きく変化する。
【0010】
そこで、開口モータの駆動を前記のように同期制御するにあたっては、その負荷変動に引きずられて駆動軸の回転に遅れや進みが生じないように、その開口モータの駆動が制御される必要がある。
【0011】
しかも、織機の主軸は筬打ち装置に連結されており、その筬打ち動作(筬の揺動)による負荷が織機の主軸に作用している。そのため、主軸の回転は、一定ではなく、1回転中(織機1サイクル中)において変化している。したがって、前記の開口モータの同期制御は、そのように変化する主軸の回転に駆動軸の回転が追従するように行われる必要がある。
【0012】
そのため、専用の駆動モータ(開口モータ)を駆動源とするジャカード開口装置においては、一般的には、そのような同期制御を可能とするような大出力の同期モータ(例えば、サーボモータ)が開口モータとして採用されている。しかし、そのような同期モータは高価であるため、ジャカード開口装置を備えた織機のコストアップを招いていた。
【0013】
本発明は、上記実情を考慮して創作されたものであり、前述のような織機において、開口モータとしてそのような大出力の同期モータを使用する必要がなく、織機の全体コストを低く抑えることを可能とする織機における同期制御方法、及びその織機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、織機の主軸モータから独立した開口モータを駆動源として備えると共に、全ての綜絖に共通の単一の駆動軸が前記開口モータによって駆動されることにより各前記綜絖を上下方向に変位させる開口装置を備えた織機を前提とする。
【0015】
そして本発明の織機における同期制御方法は、少なくとも織機の定常運転時に各織機サイクル中における前記駆動軸の回転量を検出すると共に、その検出信号に従って織機の主軸が前記駆動軸に対し同期して回転されるように前記主軸モータの駆動を制御することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の織機における同期制御方法は、前記主軸モータの駆動の制御が、予め設定された設定期間毎に検出された前記駆動軸の回転量に基づいて求められた目標回転量だけ該目標回転量が求められた時点からの前記設定期間において前記主軸が回転されるように行われ、予め設定された所定の前記主軸の回転角度である設定角度に前記主軸の回転角度が達することが想定される時点における前記主軸の実際の回転角度を検出し、その検出された前記実際の回転角度と前記設定角度とを比較して前記設定角度に対する前記実際の回転角度の偏差を求め、予め設定された回数の前記偏差が求められた時点で、その時点以降の前記設定期間に対し求められる前記目標回転量を前記偏差に基づいて補正するようにしても良い。
【0017】
さらに、本発明の織機における同期制御方法は、前記主軸モータの制御に用いられる制御パラメータを、前記綜絖の変位に伴って前記駆動軸に作用する負荷に応じて変更するようにしても良い。
【0018】
また、本発明による同期制御方法を実現するための織機は、織機の主軸モータから独立した開口モータを駆動源として備える開口装置であって全ての綜絖に共通の単一の駆動軸が前記開口モータによって駆動されることにより各前記綜絖を上下方向に変位させる開口装置と、前記主軸モータの駆動を制御する主軸制御装置とを備えた織機を前提とする。
【0019】
そして本発明では、その織機が、少なくとも織機の定常運転時に各織機サイクル中における前記駆動軸の回転量を検出する回転検出装置と、該回転検出装置から出力される検出信号に従って織機の主軸が前記駆動軸に対し同期されるように前記主軸の回転量を求める同期制御装置であって、求めた前記主軸の回転量に基づく回転指令信号を前記主軸制御装置に対し出力する同期制御装置とを備えたことを特徴とする。
【0020】
また、本発明の織機は、前記同期制御装置が、予め設定された設定期間毎に検出された前記駆動軸の回転量に基づいて求められる目標回転量であって該目標回転量が求められた時点からの前記設定期間において前記主軸が回転される目標回転量を求める演算器を備え、さらに、前記同期制御装置が、予め設定された所定の前記主軸の回転角度である設定角度に前記主軸の回転角度が達することが想定される時点における前記主軸の実際の回転角度を求める角度検出器と、該角度検出器によって求められた前記実際の回転角度と前記設定角度とを比較して前記設定角度に対する前記実際の回転角度の偏差を求める比較器とを含み、前記演算器が、予め設定された回数の前記偏差が求められた時点で、その時点以降の前記設定期間に対し求められる前記目標回転量を前記偏差に基づいて補正する補正器を含むようにしても良い。
【0021】
さらに、本発明の織機は、前記同期制御装置が、前記主軸モータの制御に用いられる制御パラメータを前記綜絖の変位に伴って前記駆動軸に作用する負荷に応じて変更する機能を有するようにしても良い。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、開口装置の駆動軸の回転に対し織機の主軸の回転を同期させるという駆動軸と主軸との同期制御が行われるため、製織中において前記のように回転変動する主軸に対し大きい負荷の掛かる駆動軸の同期状態が維持できるような性能を開口モータに求める必要がない。それにより、開口モータとして、高価な同期モータではなく、安価な誘導モータを採用することができ、その結果として、開口装置のコストを下げることができる。
【0023】
なお、駆動軸の回転に対し主軸の回転を同期させるので、主軸モータに同期モータを採用する必要があり、その分、主軸モータのコストが上昇する。しかし、駆動軸に作用する負荷(綜絖を変位させるのに伴う負荷)と主軸に作用する負荷(筬の揺動に伴う負荷)とを比較した場合、主軸に作用する負荷は、駆動軸に作用する負荷に対し半分程度であって十分小さい。そのため、主軸モータに同期モータを採用する場合であっても、その主軸モータは、従来の織機における開口モータと比べ出力の小さい安価なものとすることができる。したがって、主軸モータ自体は若干のコストアップとなるが、織機全体としては、開口モータに同期モータを採用した場合よりもコストを下げることができる。
【0024】
また、本発明において、主軸の目標回転量が補正されるように主軸モータの駆動を制御することにより、駆動軸と主軸との間に回転量のずれが生じた場合であっても、そのずれを解消することで駆動軸の回転に対し主軸の回転がより正確に同期した状態を維持することができる。
【0025】
詳しくは、本発明においては、駆動軸の回転に対し主軸の回転を同期させているが、何らかの原因(例えば、織機の異常振動等)により駆動軸と主軸との間に回転量のずれが生じることがある。
【0026】
そこで、前記設定角度に主軸の回転角度が達すると想定される時点における主軸の実際の回転角度を検出し、その検出された実際の回転角度と前記設定角度とを比較することによってその回転量のずれ(偏差)を求める。その上で、その求めた偏差に基づいて主軸の目標回転量を補正するように主軸モータの駆動を制御することにより、そのずれを解消することができる。そして、その結果として、主軸が駆動軸に対し、より正確に同期した状態を維持することができる。
【0027】
また、本発明において、主軸モータの制御に用いられる制御パラメータを、駆動軸に作用する負荷に応じて変更することにより、主軸モータの負担を抑えることができる。
【0028】
詳しくは、前記のように織機1サイクル毎に駆動軸に作用する負荷が変化する結果として、駆動軸の回転が織機1サイクル毎に変動する。そして、本発明においては、主軸の回転をその変動する駆動軸の回転に追従させることになるため、その変動が大きい場合には、主軸モータの負担が大きくなる。
【0029】
そこで、駆動軸に作用する負荷が大きい織機サイクルにおいては主軸の回転の駆動軸の回転に対する追従性が低くなるように制御パラメータを変更することで、駆動軸の回転変動が大きくなる場合において主軸モータの負担を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明による織機の構成の一例を示すブロック図である。
図2】同期制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
図3】同期制御装置の構成の他の例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1に示すのは本発明が適用される織機の一例であって、本実施例での織機は、緯入れ装置、筬打ち装置等(図示略)を備えた織機本体11を含む製織装置1と、経糸に開口運動を与える開口装置として製織装置1(織機本体11)の上方に配置されたジャカード本体21を含むジャカード開口装置2とから成っている。但し、そのジャカード開口装置2は、織機本体11のモータ(主軸モータ13)から独立した専用のモータ(開口モータ23)を駆動源としており、ジャカード本体21が織機本体11とは機械的に独立した構成となっている。
【0032】
製織装置1は、主軸12を含むと共に前記した緯入れ装置、筬打ち装置等によって製織が行われる部分である織機本体11に加え、その織機本体11における主軸12を回転駆動するための主軸モータ13、及びその主軸モータ13の回転を制御するための主軸制御装置14を含んでいる。また、製織装置1は、前記のように回転駆動される主軸12の回転量を検出するための主軸側エンコーダ15、及び製織条件等の各設定値を入力設定するための入力設定装置16を含んでいる。
【0033】
主軸モータ13は、減速機等の駆動伝達機構17を介して織機本体11における主軸12に連結されている。この主軸モータ13は、本実施例では同期モータからなるものとする。因みに、この同期モータの一例としては、IPMモータが挙げられる。そして、主軸12は、そのような主軸モータ13によって回転駆動される。その上で、前記した織機本体11に含まれる筬打ち装置は、主軸12と連結された筬が主軸12の回転によって揺動駆動されるように構成されている。したがって、その筬打ち装置においては、前記のように主軸12が回転駆動されることにより、筬が揺動駆動されて筬打ち運動が行われる。
【0034】
また、製織装置1においては、前記した緯入れ装置による緯入れを伴う製織が行われるが、その緯入れ装置等の製織に関連する装置は、検出された主軸12の回転角度(以下、「クランク角度」と言う。)に従って制御される。そのため、製織装置1は、そのクランク角度を検出するための主軸側エンコーダ15を備えている。そして、その主軸側エンコーダ15は、その検出したクランク角度に応じた検出信号(以下、「主軸側検出信号Rm」と言う。)を、各装置の動作を制御する装置制御器(図示略)に対し出力している。
【0035】
また、その主軸側検出信号Rmは、主軸モータ13の駆動制御を行う主軸制御装置14に対しても出力されている。その上で、主軸制御装置14は、入力される後述の回転指令信号Rc及び主軸側エンコーダ15からの主軸側検出信号Rmに基づいて主軸モータ13の駆動を制御するように構成されている。
【0036】
入力設定装置16は、その製織における製織条件の各設定値を入力設定するための装置である。なお、その製織条件としては、そのときの製織に対し想定(設定)された織機の回転数(定常運転時の回転数)である設定回転数や、織機サイクル毎の経糸の位置(上方、下方)が設定される経糸の開口パターン等が含まれている。因みに、入力設定装置16は、例えば、タッチパネル式の画面表示装置を有しており、その画面表示装置に表示される設定画面等によって前記の各設定値が入力設定可能に構成されたものである。そして、その入力設定装置16は、織機本体11に接続されており、入力設定された各設定値を、対応する織機本体11における各装置制御器に対し伝送するように構成されている。
【0037】
ジャカード開口装置2は、経糸の本数に応じた数だけ設けられてそれぞれに経糸が挿通された複数本の綜絖(図示略)と、その綜絖を上下方向に変位させることにより経糸開口を形成するジャカード本体21と、そのジャカード本体21の駆動源となる開口モータ23と、その開口モータ23の回転を制御する開口制御装置24とを含んでいる。また、ジャカード開口装置2は、開口モータ23により回転駆動されるジャカード本体21の駆動軸22の回転量を検出する回転量検出装置としての開口側エンコーダ25を含んでいる。
【0038】
ジャカード本体21は、単一の駆動軸22を備え、その駆動軸22が回転駆動されることにより、綜絖を上下方向に変位させるように構成されている。すなわち、そのジャカード本体21における単一の駆動軸22は、全ての綜絖に共通となっている。そして、その駆動軸22は、開口モータ23に対し減速機等の駆動伝達機構26を介して連結されている。この開口モータ23は、本実施例では誘導モータからなるものとする。なお、ジャカード本体21自体の構成は周知のものであるため、その詳細な説明は省略するが、そのジャカード本体21は、駆動軸22の回転を上下方向の運動に変換する構成を含む駆動機構(図示略)を有している。また、その駆動機構は、各綜絖に対応して設けられて各綜絖に繋がれたロープ(ワイヤ)を介し、各綜絖と連結されている。そして、その駆動機構は、駆動軸22の回転に伴って綜絖が上下方向に変位するように構成されている。
【0039】
開口制御装置24は、製織装置1側の入力設定装置16に接続されると共に、開口側エンコーダ25にも接続されている。その上で、その開口制御装置24に対しては、前記した製織条件としての設定回転数及び開口パターンが入力設定装置16から伝送される。また、開口側エンコーダ25で検出された駆動軸22の回転量に応じた検出信号(以下、「開口側検出信号Rd」と言う。)が、その開口側エンコーダ25から開口制御装置24に対し出力されている。なお、本実施例では、前記の駆動機構は、駆動軸22が1回転されると各綜絖に2織機サイクル分の製織のための動作を行わせるように構成されているものとする。したがって、本実施例では、駆動軸22は、織機1サイクルで1/2回転されるように回転駆動される。そのため、開口制御装置24は、設定回転数の1/2の回転数で駆動軸22が駆動されるように、その設定回転数及び開口側検出信号Rdに基づいて開口モータ23の駆動を制御するように構成されている。また、開口制御装置24は、開口パターンに従って綜絖が変位されるようにジャカード本体21(駆動機構)の制御を行う構成となっている。
【0040】
以上で説明した製織装置1及びジャカード開口装置2を備えた織機において、本発明では、その織機は、定常運転時に回転検出装置(開口側エンコーダ25)の開口側検出信号Rdに従って製織装置1の織機本体11における主軸12がジャカード開口装置2のジャカード本体21における駆動軸22に同期して回転されるように主軸12の回転量を求める同期制御装置3であって、求めた主軸12の回転量に基づく回転指令信号Rcを主軸制御装置14に対し出力する同期制御装置3を備えている。
【0041】
図1に示すように、同期制御装置3は、その入力端において開口側エンコーダ25及び主軸側エンコーダ15と接続されると共に、その出力端において主軸制御装置14と接続されている。また、図2に示すように、同期制御装置3は、演算器31、判別器32、角度検出器33、及び比較器34といった構成要素を含むように構成されている。それらの各構成要素について、詳しくは以下の通りである。
【0042】
図2に示すように、演算器31は、回転量演算器35及び補正器36を含んでいる。それらのうち、回転量演算器35は、その入力端において開口側エンコーダ25及び補正器36と接続されると共に、その出力端において主軸制御装置14と接続されている。また、補正器36は、その入力端において比較器34と接続されると共に、その出力端において回転量演算器35と接続されている。
【0043】
そして、回転量演算器35は、予め設定された期間(例えば、0.5msecとする。以下、「設定期間」と言う。)毎に、その設定期間中に開口側エンコーダ25から出力された開口側検出信号Rdに基づき、前記設定期間における駆動軸22の回転量(以下、「駆動軸回転量」と言う。)を求めるように構成されている。さらに、回転量演算器35は、そのように駆動軸回転量が求められる毎(前記設定期間毎)に、その求められた駆動軸回転量から、その次に開口側検出信号Rdが入力されるまでの間(前記設定期間中)に主軸12が回転駆動されるべき回転量である目標回転量を求めるように構成されている。
【0044】
但し、その目標回転量は、主軸12の回転を駆動軸22の回転に対し追従させるための回転量であって、次に駆動軸回転量が求められる0.5msec後(前記設定期間後)に、その目標回転量を求める基となる駆動軸回転量が求められた時点の駆動軸22の回転角度に対応した回転角度へ主軸12の回転角度が達するような回転量である。なお、その駆動軸22の回転角度に対応した回転角度は、駆動軸22の回転角度を2倍した回転角度である。したがって、その目標回転量は、駆動軸回転量を2倍することによって求められる。
【0045】
詳しくは、製織装置1側では、通常、主軸12が1回転されることで1回の製織動作(1回の緯入れ、筬打ち等を伴う製織のための動作)が行われる。なお、織機による製織においては、この1回の製織動作が繰り返し行われ、その1回が織機の1サイクル(1織機サイクル(1製織サイクルとも言う。))に相当する。一方で、本実施例のジャカード開口装置2は、前記したように、駆動軸22の1回転毎に各綜絖が2製織サイクル分の動作を行うように構成されている。言い換えれば、ジャカード開口装置2では、1製織サイクル分の動作が駆動軸22の1/2回転で行われる。したがって、駆動軸22が1/2回転する間に主軸12が1回転するように、主軸12が駆動されなければならないため、目標回転量は駆動軸回転量の2倍となる。
【0046】
加えて、回転量演算器35は、その求めた目標回転量に基づき、前記した主軸制御装置14において主軸モータ13を制御するために用いられる回転指令信号Rcであって主軸12がその目標回転量で回転駆動されるような回転指令信号Rcを生成し、その回転指令信号Rcを主軸制御装置14に対し出力するように構成されている。
【0047】
また、本実施例における同期制御装置3は、主軸12の回転量を開口側検出信号Rdと主軸側検出信号Rmとの偏差に基づいて補正するように構成されている。
【0048】
詳しくは、回転量演算器35が前記のように構成されていて、主軸制御装置14が回転指令信号Rcに従って主軸モータ13を駆動する結果として、主軸12は、その1回転中(1製織サイクル中)において駆動軸22の回転に対し前記設定期間(0.5msec)の遅れで追従して回転駆動されるはずである。したがって、主軸12の1回転中の予め設定された所定の回転角度(本発明で言う「設定角度」、以下では「設定角度」と言う。)に主軸12の回転角度が達する時点と、その設定角度に対応する駆動軸22の回転角度(以下、基準角度」とも言う。)に駆動軸22が達した時点とを比較すると、主軸12が前記設定角度に達する時点は、駆動軸22が前記基準角度に達した時点に対し前記設定期間(0.5msec)後となるはずである。しかし、場合によっては、何らかの原因(例えば、織機の異常振動)で駆動軸22と主軸12との間で回転量にずれが生じ、主軸12が前記設定角度に達する時点が、駆動軸22が前記基準角度に達した時点に対し0.5msecよりも遅れた状態、或いは進んだ状態となることがある。
【0049】
そこで、本実施例の同期制御装置3は、開口側エンコーダ25の開口側検出信号Rd及び主軸側エンコーダ15の主軸側検出信号Rmに基づき、主軸12の回転量を補正するように構成されている。そして、同期制御装置3は、そのための構成要素として、判別器32、角度検出器33、比較器34、及び演算器31に含まれる補正器36を備えている。
【0050】
なお、本実施例では、主軸12の前記設定角度として0°(360°)が設定されており、前記設定角度に対応する駆動軸22の前記基準角度として180°、360°(0°)が設定されているものとする。
【0051】
判別器32は、その入力端において開口側エンコーダ25と接続されると共に、その出力端において角度検出器33と接続されている。そして、その判別器32は、開口側エンコーダ25から出力された開口側検出信号Rdに基づいて駆動軸22の回転角度を求めるように構成されている。その上で、判別器32は、その求めた駆動軸22の回転角度が前記基準角度(180°、360°(0°))に達したことを判別すると共に、前記基準角度に達したと判別した時点から0.5msec後(前記設定期間後)に、角度検出器33に対し、クランク角度が前記設定角度(0°)に達するべきタイミングを示す信号(以下、「基準信号T0」と言う。)を出力するように構成されている。
【0052】
角度検出器33は、その入力端において主軸側エンコーダ15及び判別器32と接続されると共に、その出力端において比較器34と接続されている。また、角度検出器33は、主軸側エンコーダ15から出力された主軸側検出信号Rmに基づいて、クランク角度を求めることが可能に構成されている。その上で、角度検出器33は、判別器32から前記基準信号T0が出力された時点におけるクランク角度を求めるように構成されている。そして、角度検出器33は、比較器34に対し、その求めたクランク角度を示す信号(以下、「角度信号θ」と言う。)を出力するように構成されている。
【0053】
比較器34は、その入力端において角度検出器33と接続されると共に、その出力端において演算器31における補正器36と接続されている。そして、比較器34は、角度検出器33から角度信号θが出力されると、その角度信号θが示すクランク角度と、前記設定角度(0°)、すなわち前記基準信号T0が出力された時点においてクランク角度が達することが想定される回転角度とを比較することによって前記設定角度に対するクランク角度の偏差を求めると共に、その求めた偏差を示す偏差信号Δθを演算器31へ出力するように構成されている。但し、ここで言う偏差は、0も含むものとする。すなわち、偏差が0の場合には、比較器34は、演算器31に対して偏差=0に応じた偏差信号Δθを出力する。因みに、偏差は、駆動軸22の回転に対し主軸12の回転が遅れた状態ならば正の値、進んだ状態ならば負の値となるように求められるものとする。
【0054】
演算器31における補正器36は、その入力端において比較器34と接続されると共に、その出力端において回転量演算器35と接続されている。そして、補正器36は、比較器34から偏差信号Δθが入力されると、その偏差信号Δθが示す偏差に基づき、前記のようにして回転量演算器35において求められる主軸12の目標回転量を補正するための補正回転量を求めるように構成されている。
【0055】
詳しくは、補正器36は、比較器34からの偏差信号Δθが入力される毎にその偏差信号Δθが示す偏差を記憶し、偏差信号Δθの入力回数が予め設定された回数(例えば、10回(10製織サイクル)、以下「設定回数」と言う。)に達するとその設定回数分の偏差の平均値(以下、「偏差平均値」とも言う。)を算出するように構成されている。なお、比較器34から偏差信号Δθが出力される時点は、前記のように駆動軸22が前記基準角度に達した時点から前記設定期間(0.5msec)が経過した時点であり、補正器36においてそのときの駆動軸回転量が求められる時点(延いては、その駆動軸回転量に基づいて主軸12の目標回転量が求められる時点であって回転指令信号Rcが生成・出力される時点)である。
【0056】
そして補正器36は、前記のように偏差平均値が求められる毎に、その偏差平均値に基づいて補正回転量を求めるように構成されている。具体的には、本実施例では補正器36には、偏差の大きさに対応させるかたちで、想定される複数の偏差に対応させた複数の補正回転量が予め設定されており、補正器36は、前記で求められた偏差平均値の大きさに応じた補正回転量を選択する。因みに、補正回転量について、偏差平均値>0の場合には、駆動軸22の回転に対し主軸12の回転が遅れた状態であるから、目標回転量の値を増加させる、すなわち、補正回転量>0となる回転量が設定されているものとする。一方、偏差平均値<0の場合には、駆動軸22の回転に対し主軸12の回転が進んだ状態であるから、目標回転量の値を減少させる、すなわち、補正回転量<0となる回転量が設定されているものとする。但し、偏差平均値=0の場合には、目標回転量の値を増減させない、すなわち、補正回転量=0が設定されているものとする。その上で、補正器36は、そのようにして求められた補正回転量に対応する補正信号Cを回転量演算器35に対しその補正回転量が求められる毎(偏差平均値が算出される毎)に出力するように構成されている。
【0057】
回転量演算器35は、補正器36から補正信号Cが出力されると、その時点において求められた主軸12の目標回転量をその補正信号Cが示す補正回転量に基づいて補正するように構成されている。すなわち、回転量演算器35は、補正器36で補正回転量が求められた時点、延いては比較器34から前記設定回数目の偏差信号Δθが出力された時点において前記のように偏差平均値が求められると、その時点で出力する回転指令信号Rcを、前記の目標回転量に対し偏差平均値に対応した値の補正回転量を加算して求められた回転量に応じたものとして出力するように構成されている。
【0058】
したがって、偏差平均値>0の場合、すなわち、駆動軸22の回転に対し主軸12の回転が遅れた状態である場合には、補正回転量>0であるから、回転量演算器35は、前記の目標回転量(駆動軸回転量の2倍の回転量)の値を増加させた新たな目標回転量に応じた回転指令信号Rcを出力する。また、偏差平均値<0の場合、すなわち、駆動軸22の回転に対し主軸12の回転が進んだ状態である場合には、補正回転量<0であるから、回転量演算器35は、前記の目標回転量の値を減少させた新たな目標回転量に応じた回転指令信号Rcを出力する。さらに、偏差平均値=0の場合、すなわち、駆動軸22と主軸12との間で回転量にずれがない場合には、補正回転量=0であるから、回転量演算器35は、前記の目標回転量に応じた回転指令信号Rcを出力する。
【0059】
なお、本実施例において、同期制御装置3は、その各構成要素がそれぞれの機能を有する回路素子によって構成された回路からなる装置であっても良いし、その各構成要素の機能についてプログラミングされたコンピュータが同期制御装置3として動作するものであっても良い。また、同期制御装置3、主軸制御装置14、開口制御装置24及び入力設定装置16は、それぞれが独立した装置(装置として動作するコンピュータを含む。)であっても良いし、1台のコンピュータが複数の装置として動作するものであっても良い。
【0060】
以上のような本実施例における同期制御装置3を備えた織機について、その作用は以下の(1)~(8)の通りである。
【0061】
(1)織機の運転開始時に運転ボタン(図示略)が操作されると、ジャカード開口装置2における開口制御装置24による開口モータ23の駆動が開始される。そして、それに伴い、駆動軸22の回転が開始される。なお、開口モータ23の駆動は、製織条件として予め設定された設定回転数の1/2の回転数で駆動軸22が回転駆動されるように行われる。
【0062】
(2)駆動軸22の回転が開始されると、開口側エンコーダ25がその回転量を検出し、それに伴い、その回転量に応じた開口側検出信号Rdが開口側エンコーダ25から同期制御装置3に対し出力される。
【0063】
(3)その上で、同期制御装置3においては、前記のように駆動軸22の回転が開始されてから前記設定期間(0.5msec)毎に、開口側エンコーダ25からの開口側検出信号Rdに基づき、その演算器31における回転量演算器35において直前の前記設定期間における駆動軸回転量が求められる。
【0064】
(4)さらに、同期制御装置3における演算器31(回転量演算器35)においては、そのように駆動軸回転量が求められる毎に(すなわち、前記設定期間毎に)、その求められた駆動軸回転量に基づき、前述のようにして主軸12の目標回転量が求められる。そして、そのようにして主軸12の目標回転量が求められると、その目標回転量に応じた回転指令信号Rcが回転量演算器35から製織装置1における主軸制御装置14に対し出力される。
【0065】
(5)そして、その回転指令信号Rcの出力に伴い、主軸制御装置14は、その時点からの前記設定期間においてその回転指令信号Rcで表される目標回転量だけ主軸12が回転するように、主軸モータ13の駆動を制御する。その結果として、織機においては、主軸12は駆動軸22の回転に対し前記設定期間(0.5msec)の遅れで追従して回転駆動される。すなわち、織機は、主軸12が駆動軸22の回転に対し同期して回転駆動された状態となる。
【0066】
(6)このように、以上で説明した織機によれば、ジャカード開口装置2の駆動軸22が設定回転数に基づいて回転駆動され、製織装置1の主軸12がその駆動軸22の回転に同期(追従)するようなかたちで回転駆動されるため、駆動軸22が主軸12の回転に対し同期するように回転駆動される従来の織機と比べ、開口モータ23として従来のような高価な同期モータではなく安価な誘導モータを使用することができる。また、主軸モータ13についても、主軸12に作用する負荷を踏まえると出力の小さい安価な同期モータで済むため、織機全体としてコストを下げることができる。
【0067】
(7)また、以上のように駆動軸22の回転に対し同期するように主軸12が回転駆動されるように主軸モータ13の駆動が制御された上で、本実施例の織機においては、駆動軸22の回転に対し主軸12の回転がより正確に同期した状態が維持されるように、必要に応じて、予め定められた時点で主軸12の目標回転量を補正する制御が行われる。詳しくは、以下の通りである。
【0068】
本実施例の織機では、クランク角度が前記設定角度(360°(0°))に達することが想定される時点、すなわち、駆動軸22の回転角度が前記基準角度に達した時点から前記設定期間(0.5msec)が経過した時点で、同期制御装置3において、前記基準信号T0が判別器32から角度検出器33に対し出力される。
【0069】
それに伴い、角度検出器33においてその時点のクランク角度(実際のクランク角度)が主軸側エンコーダ15から出力された主軸側検出信号Rmに基づいて求められると共に、その求められた実際のクランク角度に対応する角度信号θが比較器34に対し出力される。
【0070】
比較器34においては、その求められた実際のクランク角度と前記基準信号T0が出力された時点においてクランク角度が達することが想定される前記設定角度(0°)とが比較されることによりその偏差が求められる。そして、その求められた偏差に対応する偏差信号Δθが、比較器34から演算器31における補正器36に対し出力される。
【0071】
補正器36においては、前述のように前記設定回数分の偏差信号Δθから偏差平均値が求められると共に、その偏差平均値に基づいて求められた補正回転量に対応する補正信号Cが演算器31における回転量演算器35に対し出力される。
【0072】
そして、回転量演算器35においては、その補正回転量に基づいて主軸12の目標回転量が補正される。なお、その補正は、偏差平均値が算出された時点(前記設定回数目の偏差信号Δθが比較器34から出力された時点)において求められた主軸12の目標回転量に対し行われる。そして、その補正された主軸12の目標回転量に応じた回転指令信号Rcが回転量演算器35から主軸制御装置14に対し出力され、主軸制御装置14によってその補正された主軸12の目標回転量に基づいて主軸モータ13が駆動される。
【0073】
(8)したがって、前述のように何らかの原因によって駆動軸22と主軸12との間で回転量にずれが生じた状態となった場合であっても、本実施例の織機によれば、予め定められた時点で、そのずれが解消するように主軸12の回転量を補正する補正制御が同期制御装置3によって行われるため、駆動軸22の回転に対し主軸12の回転がより正確に同期した状態を維持することができる。
【0074】
なお、本発明については、以上で説明した実施例(前記実施例)に限定されるものではなく、以下の(1)~(9)のような変形した実施形態でも実施が可能である。
【0075】
(1)前記実施例では、製織装置(織機本体)におけるクランク角度が0°の状態に対応するジャカード開口装置の状態を駆動軸の回転角度が0°(360°)又は180°の状態として製織が行われることを前提として、駆動軸回転量に基づいて主軸モータの駆動制御が行われている。
【0076】
なお、前記の前提は、ジャカード開口装置が駆動軸の回転角度=0°(360°)又は180°で閉口状態となるように綜絖を駆動する構成であると共に、クランク角度=0°の筬打ち時点で経糸が閉口状態である製織条件の下に製織が行われることに基づいている。しかし、(本発明の織機に限らず)織機の製織では、経糸が閉口状態となるクロスタイミングに筬打ち時点のクランク角度(筬打ち角度)であるクランク角度=0°を一致させて製織が行われるとは限られておらず、製織条件によっては、クランク角度が0°となるよりも前の例えば300°となる時点にクロスタイミングが設定されて製織が行われる場合がある。
【0077】
そして、本発明は、前記筬打ち角度とクロスタイミングとの関係について、前記実施例のように両者を一致させて製織が行われる場合に限らず、前記のように両者を異ならせて製織が行われる場合にも適用可能である。具体的には、前記のように駆動軸の回転角度が0°(360°)又は180°で経糸が閉口状態となるようにジャカード開口装置が構成されている場合であって、例えば織機本体におけるクランク角度が300°のときに経糸がジャカード開口装置によって閉口状態となるように製織が行われる場合では、駆動軸の回転角度が0°(360°)又は180°に達した時点から予め設定された期間経過後(前記実施例では0.5msec後)にクランク角度が300°に達するように主軸モータの駆動制御が行われることとなる。
【0078】
(2)前記実施例では、主軸の1回転中に定められた前記設定角度について、その前記設定角度に対応する駆動軸の前記基準角度から求められる実際のクランク角度に基づく回転角度と前記設定角度とが比較され、その比較の結果として求められた偏差(偏差平均値)に基づいて主軸の目標回転量の補正が行われている。その上で、前記実施例では、前記設定角度を0°としている。
【0079】
しかし、本発明においては、前記設定角度は0°に限らず、0°以外の回転角度としてもよい。但し、緯入れ動作中に主軸の目標回転量の補正が行われると、緯入れに影響が出る可能性があるため、前記設定角度は、緯入れ動作が行われていない回転角度(緯入れ動作終了から次回緯入れ動作開始までの期間における回転角度)とするのが望ましい。
【0080】
なお、前記設定角度を0°以外の回転角度とした場合は、駆動軸の前記基準角度も当然ながらその0°以外の前記設定角度に応じたものとなる。具体的には、前記設定角度を20°とした場合、前記実施例のように、クロスタイミングと前記筬打ち角度とを一致させて製織が行われる織機においては、前記基準角度は10°(20°/2)及び190°(20°/2+180°)となる。
【0081】
また、前記した例のようにクロスタイミングと前記筬打ち角度とを異ならせて(クロスタイミングと前記筬打ち角度とに角度差を設けて)製織が行われる織機においては、前記基準角度はその角度差に応じたものとなる。具体的には、例えば、駆動軸の回転角度0°に対応するクランク角度が300°に設定された織機においては、駆動軸の回転は主軸の回転に対し30°(クランク角度で60°)進んでいることから、前記設定角度を20°とした場合、前記基準角度は40°(10°+30°)及び220°(190°+30°)となる。
【0082】
(3)前記実施例では、主軸の目標回転量の補正(以下、単に「補正」とも言う。)は、前記のように予め設定された前記設定回数目の偏差が求められた時点で行われている。その上で、前記実施例では、前記設定回数を10回としている。
【0083】
しかし、本発明においては、前記設定回数は、その10回に限らず、それ以外の回数(例えば、30回)としても良い。なお、本発明で言う前記設定回数は、前記のように複数回に限らず、1回であっても良い。そして、その場合には、偏差が求められる毎、すなわち、主軸の1回転毎に前記補正が行われることとなる。さらに、前記設定回数を複数回に設定した場合であっても、前記補正は、前記実施例のように偏差平均値に基づいて行われるものには限らず、その前記設定回数目で求められた(1つの)偏差に基づいて行われるようにしても良い。
【0084】
(4)前記実施例では、偏差平均値の算出について、主軸の1回転毎に偏差を求めると共に前記設定回数目の偏差が求められた時点で、前記設定回数分の偏差に基づいて偏差平均値を算出している。
【0085】
しかし、本発明では、そのような算出の方法に限らず、前記設定回数分の実際のクランク角度の平均値と前記設定角度の設定値とから偏差平均値を求めるようにしても良い。その場合には、同期制御装置における角度検出器が、その平均値を求める機能を備えるものとすれば良い。具体的には、角度検出器は、主軸の1回転毎に求められる実際のクランク角度を記憶すると共に、前記設定回数目にその記憶した前記設定回数分の実際のクランク角度に基づいてその平均値を求めて比較器に対し出力すれば良い。その上で、比較器は、角度検出器から出力された実際のクランク角度の平均値と前記設定角度の設定値とに基づいて偏差(偏差平均値)を算出すれば良い。
【0086】
(5)前記実施例では、前記設定角度と実際のクランク角度とに基づいて偏差を求める過程(第1の過程)、その偏差に基づいて補正回転量を求める過程(第2の過程)、及びその求めた補正回転量で目標回転量を補正する過程(第3の過程)の3つの過程を経て前記補正が完了するといったかたちで前記補正に関する制御が行われている。その上で、前記実施例では、それら3つの過程が連続的に(制御的に同じ時点で)行われている。詳しくは、前記基準信号が出力された時点、すなわち、クランク角度が前記設定角度に達することが想定される時点(駆動軸の回転角度が前記基準角度に達した時点から前記設定期間が経過した時点)において、前記第1の過程、前記第2の過程、及び前記第3の過程が行われている(3つの過程は順次行われるものであるが、それに要する時間は前記設定期間と比べて十分に短い。よって、3つの過程は同じ時点で行われるものとみなすことができる。)。
【0087】
しかし、本発明においては、それらの3つの過程は、必ずしも同じ時点で行われなくても良く、異なる時点で行われても良い。例えば、前記第1の過程と前記第2の過程とを前記基準信号が出力された時点で行い、前記第3の過程を、その前記基準信号が出力された以降のn回(n≧1)の前記設定期間が経過した時点で行うようにしても良い。なお、前述のように前記設定期間が経過する毎に目標回転量が求められることから、その前記補正の対象となる目標回転量は、その前記第3の過程が行われる時点で求められた目標回転量となる。或いは、前記において、前記第1の過程と前記第2の過程とを同じ時点で行うのに代え、前記第2の過程を前記第3の過程と同じ時点で行うようにしても良い。
【0088】
(6)前記実施例では、前記補正は、求められた偏差(偏差平均値)に応じた補正回転量によって行われている。
【0089】
しかし、本発明では、その前記補正における補正回転量は、前記実施例のように求められた偏差に応じた値のものに限らず、予め設定された固定値(固定回転量)であっても良い。なお、その場合には、比較器において偏差(偏差平均値)が求められた結果として、その偏差が正の偏差であるか負の偏差であるかが求められ、それに伴い、比較器からその偏差の符号に対応する偏差信号が演算器(補正器)に対し出力される。そして、前記補正は、その偏差信号が示す偏差の符号に応じて目標回転量に対し予め設定された正の固定値である補正回転量を加算又は減算するように行われる。具体的には、比較器から出力された偏差信号が正の偏差を示す場合、すなわち、駆動軸の回転に対し主軸の回転が遅れた状態である場合には、目標回転量に対し固定回転量を加算するように前記補正が行われ、偏差信号が負の偏差を示す場合、すなわち、駆動軸の回転に対し主軸の回転が進んだ状態である場合には、目標回転量に対し固定回転量を減算するように前記補正が行われる。
【0090】
(7)以上で説明した例では、前記補正によって主軸と駆動軸との間の回転量のずれ(偏差)が解消されるように同期制御装置が構成されている、すなわち、同期制御装置がそのような補正機能を有するように構成されるものとなっている。
【0091】
しかし、本発明においては、同期制御装置は、そのような補正機能を有するように構成されたものに限らず、前記偏差が発生したのに伴い、織機本体に対し警報信号を出力する機能を有するように構成されていても良い。また、その場合において、多少の回転量のずれが許容される場合には、同期制御装置は、予め設定された許容値を前記偏差が越えた場合に前記警報信号を出力するように構成されていても良い。その上で、織機本体について、同期制御装置から前記警報信号が出力されると、前記実施例における入力設定装置のような表示装置に、開口装置と製織装置との間で同期ずれが発生した等のメッセージの表示を行うように構成すれば良い。さらに、織機本体を、前記警報信号が出力されるのに伴い、前記メッセージの表示に加え(或いは、その表示に代えて)、停止動作を行うように構成しても良い。
【0092】
(8)以上で説明したように本発明では、主軸モータは、主軸が駆動軸の回転に対し追従されるようにその駆動が制御される。
【0093】
因みに、ジャカード開口装置は、複雑な織柄の織物を製織するのに用いられるのが一般的である。また、前記した開口パターンは、複数の製織サイクルから成る1リピート分として設定され、その開口パターンに従った綜絖の駆動が繰り返し行われることで製織が行われる。さらに、前記した複雑な織柄の織物を製織する場合、開口パターン1リピート中の各製織サイクルにおける上方に位置する経糸の数と下方に位置する経糸の数とが製織サイクル毎に大きく異なるように開口パターンが設定される場合がある。
【0094】
また、ジャカード開口装置においては、各綜絖は、上下方向における一方(一般的には下方)に機械的に付勢されており、ジャカード本体(駆動機構)により他方へ向けて変位される。したがって、前述のように綜絖を変位させるにあたっては駆動軸に対し負荷が作用するが、その負荷の大きさは、前記他方へ向けて変位される綜絖の数に比例したものとなる。
【0095】
ところで、本発明によれば、前述のように開口モータとして安価な誘導モータを採用することができるが、その場合、駆動軸に作用する負荷の大きさによっては、駆動軸の回転がその影響を受ける場合がある。
【0096】
そして、その駆動軸の回転が受ける影響について、当然ながら負荷が大きいほど大きく影響を受けることとなり、その負荷の大きさによっては回転速度に変化が生じる。但し、前記のようにその負荷の大きさは前記他方へ向けて変位される綜絖の数に比例するが、その前記他方へ向けて変位される綜絖の数は、開口パターンにおいて設定された各製織サイクルにおける最大開口時での各経糸の上下位置と、その各製織サイクルの次の製織サイクルにおける最大開口時での各経糸の上下位置との関係で定まる。そして、各製織サイクルの最大開口時に前記一方の位置に設定された経糸であって次の製織サイクルの最大開口時に前記他方の位置に設定される経糸が前記他方の位置へ向けて変位を開始するのは、その次の製織サイクルにおける中間付近である。
【0097】
したがって、前記のように各製織サイクルにおける上方に位置する経糸の数と下方に位置する経糸の数とが製織サイクル毎に大きく異なるように開口パターンが設定されている場合には、開口パターン1リピート中における1以上の特定の製織サイクルにおいて、その中間付近で駆動軸の回転速度が変化するといった状況が発生する。その場合、前記のように駆動軸の回転に対し主軸の回転が追従するように主軸モータの駆動制御が行われる場合では、その駆動制御が主軸モータの回転速度をその製織サイクルにおける中間付近で急激に変化させるように行われることとなるため、その結果として主軸モータに掛かる負担が大きくなる。
【0098】
なお、そのように製織サイクルにおける中間付近で回転速度の変化が生じるかどうかは、そのときの製織条件を踏まえてその開口パターンから把握することが可能である。そこで、そのような回転速度の変化が生じることが予め把握された場合には、主軸制御装置において主軸モータの駆動制御に用いられる制御パラメータを変更する(例えば、制御ゲインを低くする)ことが考えられる。そうすれば、主軸モータの追従性を低下させることによって主軸モータの回転変動を抑えることができ、その結果として主軸モータに掛かる負担を抑えることができる。
【0099】
しかし、その場合、駆動軸の回転速度の変化が発生しない製織サイクルにおいても主軸モータの追従性が低下した状態となるため、駆動軸と主軸との同期にずれが生じ、その製織サイクルにおいて緯入れに影響が生じる可能性がある。
【0100】
そこで、本発明においては、同期制御装置は、主軸モータの制御に用いられる制御パラメータを駆動軸に作用する負荷の大きさに応じて変更する、具体的には、開口パターン1リピート中の各製織サイクルにおける制御パラメータを開口パターンに基づいて変更するように構成されていても良い。そして、そのための構成要素として、同期制御装置は、パラメータ変更器を備えている。以下では、その構成について、図3に基づいて詳しく説明する。なお、図3において、前記実施例と同じ構成要素には同じ符号を付してある。
【0101】
先ず前提として、主軸制御装置14は、主軸モータ13の駆動制御に用いる制御パラメータを同期制御装置3からの出力に応じて変更するように構成されているものとする。なお、ここでは、その制御パラメータは、制御ゲインであるものとする。因みに、その制御ゲインは、主軸モータ13の追従性を変更させるための制御パラメータであって、その値を低くすることによって主軸モータ13の追従性を低下させることができる。
【0102】
また、一般的には、開口制御装置24に記憶される開口パターンは、開口パターン1リピート中における製織ステップ(1製織ステップ=1製織サイクル)を含むかたちで設定されている。そこで、開口制御装置24は、開口側エンコーダ25からの開口側検出信号Rdに基づき、現在の製織ステップを把握すると共に、その製織ステップが更新された時点でそのステップ番号を示すステップ信号Sを出力するように構成されているものとする。
【0103】
図3に示すように、同期制御装置3は、前記実施例の構成に加え、パラメータ変更器37を含んでいる。そのパラメータ変更器37は、その入力端において開口制御装置24及び製織装置1における入力設定装置16と接続されると共に、その出力端において主軸制御装置14と接続されている。その上で、そのパラメータ変更器37には、開口パターン1リピートの各製織サイクル(製織ステップ)に対応されるかたちで、複数の値の制御ゲインが予め設定(記憶)されている。
【0104】
その制御ゲインについて、具体的には、先ずは、負荷に伴う駆動軸22(延いては、主軸12がその駆動軸22の回転に対し追従されるようにその駆動が制御される主軸モータ13)の回転速度の変化が発生しない場合の制御において適当と考えられる基準の制御ゲインが定められる。その上で、開口パターンに基づいて駆動軸22の回転速度の変化の発生が予想される製織ステップ(製織サイクル)に対しては、そのステップ番号に対応させるかたちで前記の基準の制御ゲインよりも低い値の制御ゲインが設定される。一方で、それ以外の製織ステップに対しては、そのステップ番号に対応させるかたちで前記の基準の制御ゲインが設定される。因みに、その制御ゲインは、入力設定装置16によって入力設定される。そして、入力設定された制御ゲインは、パラメータ変更器37に伝送されてパラメータ変更器37において記憶される。
【0105】
そして、パラメータ変更器37は、開口制御装置24からステップ信号Sが出力されると、そのステップ信号Sが示すステップ番号に対応する制御ゲインの値を選択すると共に、その値を示すゲイン信号Gを主軸制御装置14に対し出力するように構成されている。
【0106】
なお、主軸制御装置14においては、パラメータ変更器37からゲイン信号Gが出力されると、そのゲイン信号Gに基づき、主軸12の駆動制御に用いる制御ゲインの値が、そのゲイン信号Gで示される制御ゲインに応じた値に変更される。
【0107】
以上のように構成された同期制御装置3によれば、開口パターン1リピート中の各製織サイクルにおける主軸モータ13の駆動制御が、前記のように設定されたその製織サイクル(製織ステップ)に対応する制御ゲインを用いて行われることになる。それにより、駆動軸22に作用する負荷が大きい製織サイクルにおいては主軸モータ13の追従性を低下させるため主軸モータ13の回転変動が抑制され、その結果として主軸モータ13の負担が低減される。また、駆動軸22に作用する負荷が小さい製織サイクルにおいては主軸モータ13の追従性を低下させないため駆動軸22と主軸12との同期のずれの発生を防ぐことができる。
【0108】
なお、前記では、制御パラメータは制御ゲインであるとしたが、その制御パラメータは制御ゲインに限らず、主軸モータ13の応答性に関連する時定数等の他の制御パラメータとしても良い。
【0109】
また、前記では、制御パラメータの変更が、予め設定された複数の値の制御ゲインから選択するといった手法で行われている。しかし、その制御パラメータを変更するための手法は、そのような手法に限らない。例えば、制御ゲインを駆動軸22に作用する負荷の大きさに基づいて算出するといった手法で制御パラメータの変更が行われるようにしても良い。そして、その場合には、駆動軸22に作用する負荷の大きさについても開口パターン(具体的には、製織サイクル毎の変位される綜絖の数)に基づいて算出するようにすれば良い。
【0110】
(9)以上では、開口装置としてジャカード開口装置を備える織機に対し本発明が適用される例について説明した。しかし、本発明が適用される織機について、その開口装置は、前記のようなジャカード開口装置に限らず、綜絖枠を単一の駆動軸で上下方向に変位させる所謂ロータリ駆動方式のドビー開口装置であってその駆動軸が織機の主軸モータから独立した開口モータによって回転駆動されるドビー開口装置であっても良い。すなわち、本発明は、そのようなドビー開口装置を備えた織機にも適用可能である。
【0111】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0112】
1 製織装置
11 織機本体
12 主軸
13 主軸モータ
14 主軸制御装置
15 主軸側エンコーダ
16 入力設定装置
17 駆動伝達機構
2 ジャカード開口装置
21 ジャカード本体
22 駆動軸
23 開口モータ
24 開口制御装置
25 開口側エンコーダ
26 駆動伝達機構
3 同期制御装置
31 演算器
32 判別器
33 角度検出器
34 比較器
35 回転量演算器
36 補正器
37 パラメータ変更器
Rm 主軸側検出信号
Rd 開口側検出信号
Rc 回転指令信号
T0 基準信号
θ 角度信号
Δθ 偏差信号
C 補正信号
S ステップ信号
G ゲイン信号

図1
図2
図3