(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-14
(45)【発行日】2022-10-24
(54)【発明の名称】荷役装置
(51)【国際特許分類】
B66C 15/00 20060101AFI20221017BHJP
B66C 9/16 20060101ALI20221017BHJP
B66C 5/02 20060101ALI20221017BHJP
【FI】
B66C15/00 B
B66C9/16 Z
B66C5/02
(21)【出願番号】P 2018199616
(22)【出願日】2018-10-24
【審査請求日】2021-09-17
(73)【特許権者】
【識別番号】503002732
【氏名又は名称】住友重機械搬送システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】岩長 孝啓
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-040360(JP,A)
【文献】特開2013-082514(JP,A)
【文献】特開2012-211012(JP,A)
【文献】国際公開第2017/071736(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 5/00-19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガーダと、
前記ガーダを支える剛脚と、
前記ガーダを支える揺脚と、
を備え、
前記剛脚と前記揺脚は、いずれも、レールを走行する車輪を下端部に備え、
前記揺脚は、前記ガーダに対して前記レールを走行する方向に沿った軸回りに揺動可能に連結されると共に、前記揺脚の上端部が前記ガーダから離隔する方向に移動可能に連結され
、
前記揺脚と前記ガーダとは、前記揺脚の揺動軸と、前記揺脚と前記ガーダのいずれか一方に形成された長穴とによって連結され、
前記長穴は、前記揺動軸に沿った方向から見て、前記剛脚の接地点を中心として前記揺動軸を通過する円弧に沿った形状又は当該円弧の前記揺動軸の位置における接線方向に沿った形状である荷役装置。
【請求項2】
前記揺脚と前記ガーダとを、前記ガーダに対する前記揺脚の揺動範囲を制限する転倒防止ステーで連結し、
当該転倒防止ステーは、前記揺脚又は前記ガーダに対して、前記揺脚の前記ガーダから離隔する方向の移動を許容する構造で連結されている
請求項1に記載の荷役装置。
【請求項3】
前記揺脚と前記ガーダとを、前記ガーダに対する前記揺脚の揺動範囲を制限するシリンダで連結した
請求項1又は請求項2に記載の荷役装置。
【請求項4】
前記揺脚と前記ガーダとの間に緩衝材を設けた
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の荷役装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軌道レール上を走行可能な荷役装置に関する。
【背景技術】
【0002】
軌道レール上を走行可能な大型のクレーンやアンローダ等の荷役装置は、ガーダの一端部と他端部とが、下端部に車輪を有する支持脚で支持されている。そして、一方の支持脚は、ガーダに対して揺動が生じないように固定的に組み付けられた剛脚を構成し、他方の支持脚は、ガーダに対して揺動可能に連結された揺脚を構成している。
これにより、二つの支持脚の車輪の間隔と軌道レールのレール同士の間隔とに誤差が生じた場合でも、揺脚の揺動によってこれを吸収可能としていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の荷役装置は、地震等の発生によりガーダに振動が加わると、支持脚の一方に脱輪が生じるおそれがあった。
【0005】
本発明は、地震等の振動に際して脱輪を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る荷役装置は、
ガーダと、
前記ガーダを支える剛脚と、
前記ガーダを支える揺脚と、
を備え、
前記剛脚と前記揺脚は、いずれも、レールを走行する車輪を下端部に備え、
前記揺脚は、前記ガーダに対して前記レールを走行する方向に沿った軸回りに揺動可能に連結されると共に、前記揺脚の上端部が前記ガーダから離隔する方向に移動可能に連結され、
前記揺脚と前記ガーダとは、前記揺脚の揺動軸と、前記揺脚と前記ガーダのいずれか一方に形成された長穴とによって連結され、
前記長穴は、前記揺動軸に沿った方向から見て、前記剛脚の接地点を中心として前記揺動軸を通過する円弧に沿った形状又は当該円弧の前記揺動軸の位置における接線方向に沿った形状である構成とした。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、地震等の振動発生時に脱輪の発生を抑制するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態である荷役装置としてのアンローダの正面図である。
【
図5】走行フレームが振動発生時にガーダが浮き上がった状態を示す説明図である。
【
図7】転倒防止ステーに替えてシリンダを有する走行フレームの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態である荷役装置としてのアンローダ10の正面図、
図2はアンローダの走行フレームの正面図、
図3は
図2のT1部分の拡大図、
図4は走行フレームの斜視図、
図5は走行フレームが振動発生時にガーダが浮き上がった状態を示す説明図、
図6は
図5のT2部分の拡大図である。
【0010】
図示のアンローダ10は、いわゆるバケットエレベータ式の船舶用連続アンローダを例示している。このアンローダ10は、岸壁に接岸された船舶の船倉から、石炭やコークス、鉱石等のバラ荷を連続的に陸揚げするのに適した装置である。
【0011】
アンローダ10は、岸壁101等の補強整備された地上の水平面に平行に敷設された2本のレールR上を移動可能な走行フレーム20と、船舶の船倉等に上方から挿入してバラ荷を回収するバケットエレベータ40と、先端部でバケットエレベータ40を支持するブーム11と、ブーム11を旋回させる旋回フレーム12とを備えている。
【0012】
[バケットエレベータ]
バケットエレベータ40は、鉛直方向に延伸する筒状のエレベータ本体41と、当該エレベータ本体41の下端部に設けられた側面掘削方式の掻き取り部42と、当該エレベータ本体41の上端部近傍に設けられ、バラ荷をブーム11側に搬送する回転フィーダ43と、エレベータ本体41内を周回して掻き取り部42から回転フィーダ43にバラ荷を運ぶチェーンバケット44とを備えている。
【0013】
チェーンバケット44は、一対の無端環状のローラチェーンによって両持ち支持された複数のバケットを備えている。
そして、チェーンバケット44は、エレベータ本体41の上端部に設けられた駆動ローラ411と掻き取り部42において二つ並んで設けられた従動ローラ421,422との間をエレベータ本体41の内部を通過して周回するように配置されている。
【0014】
掻き取り部42の二つの従動ローラ421,422は、エレベータ本体41の下端部において、水平に並んで配設されている。前述したチェーンバケット44は、これら二つの従動ローラ421,422の下側を通過する際に、各バケットがバラ荷を掻き取って内部に取り込み、当該バラ荷を上方に向かって運搬する。
【0015】
回転フィーダ43は、エレベータ本体41の上端部で折り返して搬送されるチェーンバケット44の周囲を取り囲む受け皿となる構造を備えている。そして、回転フィーダ43は、エレベータ本体41の上端部における折り返しによって反転することで、チェーンバケット44の各バケットが排出するバラ荷を回収することができる。
回転フィーダ43は、ブーム11の内部に設けられたブームコンベア111に連通しており、回収したバラ荷をブームコンベア111に排出する。
【0016】
[ブーム]
ブーム11は、旋回フレーム12から水平に延出され、シリンダ112により起伏回動動作が付与される。
ブーム11の内部には、バケットエレベータ40からバラ荷を搬送するコンベア111がブーム11のほぼ全長に渡って設けられている。
ブーム11には、バケットエレベータ40の逆側にバランシングレバー14を介してカウンタウエイト13が連結されており、バケットエレベータ40とカウンタウエイト13とにより、走行フレーム20におけるブーム11の長手方向両側の重量バランスの偏りが抑制されている。
【0017】
また、ブーム11は先端部において、当該ブーム11の長手方向に直交する水平方向に沿った軸回りにバケットエレベータ40を回動可能に支持している。そして、ブーム11の起伏回動時に、バケットエレベータ40の姿勢を矯正する平行リンク113がブーム11に併設されており、ブーム11の角度に拘わらず、バケットエレベータ40が常に鉛直上下方向に平行な状態が維持される。
【0018】
[旋回フレーム]
旋回フレーム12は、走行フレーム20に鉛直上下方向の軸回りに回動可能に支持されている。これにより、ブーム11全体を回動させて、バケットエレベータ40を移動させることができる。
旋回フレーム12はブーム11内のコンベア111が搬送するバラ荷が投入されるホッパ121がその中央部に設けられている。ホッパ121は、旋回フレーム12の下に位置する走行フレーム20を貫通して設けられており、走行フレーム20の下方に設けられた搬出コンベア122によりバラ荷を機外に搬出することができるようになっている。
【0019】
[走行フレーム]
図2~
図4に示すように、走行フレーム20は、水平方向に延在するガーダ21と、ガーダ21の一端部を下から支える剛脚22と、ガーダ21の他端部を下から支える揺脚23とを備えている。
【0020】
ガーダ21は、レールRの長手方向に直交する水平方向に長い断面矩形の柱状体である。その上部には、旋回フレーム12を搭載するための円筒部211が設けられている。
なお、以下の説明では、レールRの長手方向を「左右方向」、レールRの長手方向に直交する水平方向を「前後方向」とする。
【0021】
剛脚22は、例えば、下端部の幅が広い台形トラス構造の支持脚であり、当該下端部の左右にはレールR上を走行可能な車輪25が設けられている(
図4では図示略)。
なお、本明細書における「剛脚」とは、ガーダ21に対して位置及び向きが変化しないように一定の剛性をもって連結された支持脚をいう。
この剛脚22の場合は、その上端部において、ガーダ21に対して連結ピン221によりピン結合されているが、その下腕部が、いわゆる筋違構造の連結材222によりガーダ21に連結されており、これにより、剛脚22はガーダ21に対して一定の向きに固定されている。なお、剛脚22又は後述する揺脚23は、トラス構造に限られない、例えば、箱状であってもよい。
【0022】
揺脚23は、剛脚22と同様に、下端部の幅が広い台形トラス構造の支持脚であり、当該下端部の左右にはレールR上を走行可能な車輪26が設けられている(
図4では図示略)。
なお、本明細書における「揺脚」とは、ガーダ21に対して揺動が許容された状態で連結された支持脚をいう。
【0023】
そして、揺脚23は、ガーダ21に対して左右方向に沿った軸回りに揺動可能に連結されている。具体的には、
図2及び
図3に示すように、揺脚23の上端部において、ガーダ21に対して揺動軸としての連結ピン231によりピン結合されている。連結ピン231は、ガーダ21により、左右方向に平行な方向で支持されており、揺脚23は、連結ピン231を中心として前後方向に揺動可能となっている。
図2及び
図3において、符号212は、ガーダ21の下部に設けられた連結ピン231を支持する支持部である。
【0024】
揺脚23の上端部には、連結ピン231を通す長穴232が形成されている。
揺脚23は、この長穴232により、揺脚23の上端部がガーダ21から離隔する方向に移動可能に連結されている。
より具体的には、この長穴232は、左右方向から見て、剛脚22の車輪25の接地点を中心として、ガーダ21が水平な状態における連結ピン231の中心位置を通過する円弧Cに沿った形状に形成されている。なお、円弧状とする替わりに、円弧Cにおける前記連結ピン231の中心位置の接線L1に平行な直線状としても良い。また、長穴232は、左右方向から見て、鉛直軸からガーダ21に向けて傾斜した方向に延在してもよい。
ガーダ21の自重を受けて、連結ピン231は長穴232の下端部に当接した状態となる。長穴232は、連結ピン231が長穴232の下端部に位置している状態で、ガーダ21が水平になるようにその配置が設定されている。
【0025】
揺脚23の長穴232に連結ピン231を通してガーダ21に連結した場合、ガーダ21に対して揺脚23が連結ピン231を中心として揺動可能になるが、揺動可能な角度範囲が無制限になると、ガーダ21が揺脚23側に倒れるおそれが生じる。
このため、ガーダ21と揺脚23の間を転倒防止ステー27で連結し、揺脚23の揺動可能な角度範囲を規制してもよい。なお、
図4では、転倒防止ステー27の図示を省略している。
具体的には、転倒防止ステー27の一端部は、当該一端部に形成された長穴271を介して、ガーダ21の下部における揺脚23よりも内側(剛脚22側)となる位置に設けられた左右方向に沿った連結軸272に連結されている。なお、転倒防止ステー27を揺脚23よりも外側に配置してもよい。
また、転倒防止ステー27の他端部は、揺脚23の上端部より幾分下側に対して左右方向に沿った軸回りに回動可能に連結されている。
【0026】
そして、この転倒防止ステー27は、その長手方向が、ガーダ21が水平な状態において前述した円弧Cにおける当該連結ピン231の中心位置の接線L1に平行になるように配置されている。
また、転倒防止ステー27の一端部に形成された長穴271は、転倒防止ステー27の長手方向に平行に形成されている。
また、転倒防止ステー27は、揺脚23の揺動可能な角度範囲を規制しつつも、当該揺脚23が前後のいずれにもある程度の揺動を可能とするために、ガーダ21が水平且つ揺脚23が鉛直上下方向に起立した状態において、連結軸272が転倒防止ステー27の長穴271の両端部のいずれに対しても離れた状態となるように設定されている。より詳細には、連結軸272に対して長穴271の上端部側の隙間の方が下端部側の隙間よりも大きくなることが望ましい(理由は後述する)。
【0027】
[アンローダの動作]
上記構成からなるアンローダ10は、バラ荷の陸揚げ作業の際には、バケットエレベータ40の掻き取り部42を船舶の船倉等に上方から挿入した状態で駆動ローラ411を駆動させる。これにより、チェーンバケット44が搬送され、二つの従動ローラ421,422の下側を通過する際に、各バケットがバラ荷の掻き取りを行う。
そして、チェーンバケット44の各々のバケットは、回転フィーダ43までバラ荷を運搬し、回転フィーダ43からブームコンベア111を通じて、バラ荷が旋回フレーム12のホッパ121に投入される。
ホッパ121内のバラ荷は、下方に設けられた搬出コンベア122に移動し、機外に搬出される。
【0028】
ここで、地震等の発生により、アンローダ10に前後方向の大きな振動が加えられた場合の走行フレームの動作について
図5及び
図6に基づいて説明する。
外部の振動により、走行フレーム20では、ガーダ21と剛脚22とが一体的に揺動する。具体的には、ガーダ21は、剛脚22の車輪25のレールRに対する接地点を中心に、揺動が発生し、ガーダ21の揺脚23側の端部に浮き上がりが発生する。これにより、ガーダ21の揺脚23側の端部において、連結ピン231は、前述した円弧Cに沿って上昇移動する。
一方、揺脚23側の長穴232は、円弧Cに沿った形状又はその接線L1方向に沿った形状であるため、
図5及び
図6に示すように、連結ピン231が長穴232に沿って移動を行い、揺脚23自体には、ガーダ21から浮き上がり動作が伝わらず、揺脚23の上下方向の浮き上がりが低減抑制される。
従って、ガーダ21が振動により揺動しても、揺脚23の上下の浮き上がりが抑えられ、車輪26がレールRから脱輪することを効果的に抑制することができる。
【0029】
また、このとき、転倒防止ステー27では、ガーダ21の浮き上がりに対して、連結軸272が長穴271内を移動するので、転倒防止ステー27の揺動も抑えられ、転倒防止ステー27が揺脚23の上下方向の揺動抑制の効果を妨げないようになっている。
また、前述したように、転倒防止ステー27では、長穴271内で連結軸272が、長穴271の上端部側との隙間を下端部側との隙間より大きくしているので、上記ガーダ21の揺動による浮き上がりの際に、連結軸272の移動代を十分に確保することができ、揺脚23の上下又は左右の揺動抑制の効果をより厳格に妨げないようになっている。
【0030】
[発明の実施形態の技術的効果]
上述したように、アンローダ10の走行フレーム20において、揺脚23は、ガーダ21に対して、揺脚23の上端部がガーダ21から離隔する方向に移動可能に連結されている。
これにより、地震等の発生時にガーダ21が剛脚22の車輪25のレールRに対する接地点で揺動して浮き上がりを生じた場合に、揺脚23は車輪26がレールRから離隔することが抑制され、脱輪の発生を効果的に低減することが可能となる。
特に、揺脚23に長穴232を形成して、連結ピン231を介してガーダ21と連結することにより、簡易な構造で脱輪を抑制することが可能となり、コスト増加を抑えた地震対策を施すことが可能となる。
さらに、長穴232を、連結ピン231に沿った方向から見て、剛脚22の接地点を中心として連結ピン231を通過する円弧Cに沿った形状又は当該円弧Cの連結ピン231の位置における接線L1の方向に沿った形状とした場合には、ガーダ21の浮き上がりによって伝わる揺脚23の上下方向の揺動をさらに低減することができ、揺脚23の車輪26の脱輪をより効果的に抑制することが可能となる。
【0031】
また、走行フレーム20は、地震等の振動の際に、ガーダ21が剛脚22の車輪25のレールRに対する接地点を中心に左右方向に沿った軸回りの揺動を許容する構造のため、振動のエネルギーをガーダ21の上記揺動によって吸収し、振動抑制効果を得ることが可能となる。
【0032】
また、ガーダ21に対する揺脚23の揺動範囲を制限する転倒防止ステー27は、ガーダ21に対して、揺脚23のガーダ21に対する長穴232に沿った移動を許容する構造として、ガーダ21側の連結軸272に対して長穴271を介して連結されている。
これにより、揺脚23の長穴232内を連結ピン231が移動する際に、転倒防止ステー27による干渉が抑えられ、揺脚23の車輪26の脱輪の発生を効果的に抑制することが可能となる。
【0033】
[その他]
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は上記の実施形態に限られず、実施の形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0034】
例えば、走行フレーム20は、ガーダ21の揺動による浮き上がりを許容する構造となっているが、当該浮き上がりの発生後、重力によって下降すると、ガーダ21と揺脚23の上端部との間で衝突を生じるおそれがある。従って、この衝突時の衝撃を緩和するために、
図4に示すように、ガーダ21と揺脚23の間には、ゴム板等の弾性材やダンパー等の緩衝材28を介挿する構造としてもよい。
【0035】
また、ガーダ21と揺脚23との間に転倒防止ステー27を設けているが、揺脚23の転倒防止の手段としては、転倒防止ステー27に限定されない。
例えば、
図7に示すように、転倒防止ステー27と同じ配置で、伸縮式のシリンダ27Aを設けてもよい。この場合、シリンダ27Aの一端部をガーダ21に対して左右方向に沿った軸回りに回動可能に連結し、他端部を揺脚23に対して左右方向に沿った軸回りに回動可能に連結する。
このシリンダ27Aは、伸縮範囲が規制されており、これによって揺脚23の揺動角度範囲を規制することが出来る。また、地震等の振動時のガーダ21の浮き上がりの際には、シリンダ27Aは伸長して、揺脚23の長穴232内の連結ピン231の移動動作に干渉せず、揺脚23の車輪26の脱輪を抑制することができる。
なお、シリンダ27Aは、揺脚23の揺動角度範囲を規制することが出来ればよいので、伸縮の際に抵抗を生じるダンパー構造である必要はないが、ダンパー構造を有するシリンダを使用しても良い。
【0036】
また、揺脚23は、上端部に長穴232を形成し、連結ピン231に対して揺動可能に連結されているが、揺脚23ではなく、ガーダ21側に長穴を形成しても良い。
その場合、連結ピン231と揺脚23は位置の移動が生じないように連結され、ガーダ21に設けられた長穴に連結ピン231を挿入して、ガーダ21と揺脚23の連結を行う。このとき、ガーダ21に形成される長穴は、前述した円弧C又は接線L1に沿った形状とすることが望ましい。この構造の場合も、ガーダ21の浮き上がりの際に、揺脚23の車輪26の脱輪を効果的に抑制することが可能である。
【0037】
また、転倒防止ステー27は、ガーダ21との連結端部に長穴271が形成されているが、これに替えて、揺脚23との連結端部に転倒防止ステー27に沿った長穴を形成し、揺脚23に設けられた連結軸に連結する構造としても良い。
【0038】
また、円弧Cの中心は、必ずしも剛脚22の車輪25の接地点である必要はない。例えば、剛脚22の途中に、回転ピンなどによる中折れ構造を配置してもよい。その場合、長穴は、左右方向から見て、中折れ構造を中心として揺動軸を通過する円弧に沿った形状又は当該円弧の揺動軸の位置における接戦方向に沿った形状としてもよい。
【0039】
上記実施形態では、荷役装置としてアンローダを例示したが、ガーダと剛脚と揺脚とレールを走行する車輪とを有する構成であれば、他の荷役装置、例えば、クレーン装置に本発明を適用しても良い。
【符号の説明】
【0040】
10 アンローダ(荷役装置)
11 ブーム
12 旋回フレーム
20 走行フレーム
21 ガーダ
22 剛脚
23 揺脚
25,26 車輪
27 転倒防止ステー
27A シリンダ
28 緩衝材
40 バケットエレベータ
231 連結ピン(揺動軸)
232 長穴
271 長穴
272 連結軸
C 円弧
L1 接線
R レール