(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-14
(45)【発行日】2022-10-24
(54)【発明の名称】部品実装装置
(51)【国際特許分類】
H05K 13/08 20060101AFI20221017BHJP
H05K 13/04 20060101ALI20221017BHJP
H05K 13/02 20060101ALI20221017BHJP
【FI】
H05K13/08 A
H05K13/04 B
H05K13/02 C
(21)【出願番号】P 2018202854
(22)【出願日】2018-10-29
【審査請求日】2021-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】上杉 明靖
【審査官】寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/147425(WO,A1)
【文献】特開平07-009381(JP,A)
【文献】特開2001-177296(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/08
H05K 13/04
H05K 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の部品を保持するヘッドを含むヘッドユニットと、
前記所定の部品を収納した収納部が形成されたキャリアテープおよび前記収納部の上方の開口を覆うカバーテープを有するテープを、前記ヘッドにより前記所定の部品を吸着する吸着位置に送るテープ送り部を含むテープフィーダと、
前記ヘッドを下降させて、前記ヘッドの吸着による負圧の上昇か、または、前記ヘッドを昇降させるモータの電流値の上昇が計測された前記ヘッドの位置に基づく前記テープ送り部により送られる前記テープのテープ厚みの測定結果に基づいて、前記テープの種類を判別する制御を行う制御部とを備える、部品実装装置。
【請求項2】
前記テープフィーダは、前記テープ送り部により送られる前記テープを下方から支持する支持部を有する搬送通路部と、前記支持部により支持される前記テープを上方から押さえるテープガイド部とを含み、
前記制御部は、前記搬送通路部の前記支持部と前記テープガイド部との間に挟まれた前記テープの部分の前記テープ厚みを測定する制御を行うように構成されている、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記ヘッドの下端部と、前記テープガイド部の上端面部との間の所定距離の測定結果に基づいて、前記搬送通路部の前記支持部と前記テープガイド部との間に挟まれた前記テープの部分の前記テープ厚みを測定する制御を行うように構成されている、請求項2に記載の部品実装装置。
【請求項4】
前記所定の部品を前記ヘッドに吸着する際の負圧を計測する負圧計測部をさらに備え、
前記制御部は、前記テープガイド部の上方に前記ヘッドを配置した上昇位置と、前記上昇位置から前記ヘッドを下降させて、前記テープガイド部の上端面部を前記ヘッドが吸着して前記負圧計測部により負圧の上昇が計測される下降位置とに基づいて、前記所定距離を測定する制御を行うように構成されている、請求項3に記載の部品実装装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記ヘッドの下端部から前記搬送通路部の前記支持部の上端部までの距離から、前記所定距離と前記テープガイド部の厚みとを加算した距離を引くことにより、前記テープ厚みを測定する制御を行うように構成されている、請求項3または4に記載の部品実装装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記搬送通路部の前記支持部と前記テープガイド部との間に挟まれた前記テープの部分の前記テープ厚みの前記測定結果が所定厚み未満の場合には、前記テープの種類をエンボス加工された前記キャリアテープを有する第1テープと判別する制御を行うように構成され、前記テープ厚みの前記測定結果が前記所定厚み以上の場合には、前記テープの種類をエンボス加工されていない前記キャリアテープを有する第2テープと判別する制御を行うように構成されている、請求項2~5のいずれか1項に記載の部品実装装置。
【請求項7】
前記制御部は、判別された前記テープの種類に基づいて、前記テープガイド部に設定される前記吸着位置の認識条件の変更、前記テープ送り部による前記テープの送り速度の変更、および、前記テープフィーダに取り付けられる正しい前記テープの種類との照合の少なくともいずれかを行うように構成されている、請求項2~6のいずれか1項に記載の部品実装装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記テープフィーダにより供給される前記テープを巻き付けたリールが切り替えられたことに基づいて、前記テープ送り部により送られる前記テープの前記テープ厚みを再測定する制御を行うように構成されている、請求項1~7のいずれか1項に記載の部品実装装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記所定の部品を供給する前記テープフィーダが前記所定の部品を供給する代替のテープフィーダへ切り替えられたことに基づいて、前記テープ送り部により送られる前記テープの前記テープ厚みを再測定する制御を行うように構成されている、請求項1~8のいずれか1項に記載の部品実装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、部品実装装置に関し、特に、キャリアテープおよびカバーテープを有するテープを供給するテープフィーダを備える部品実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キャリアテープおよびカバーテープを有するテープを供給するテープフィーダを備える部品実装装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、キャリアテープおよびトップテープ(カバーテープ)を有する部品包装テープ(テープ)を供給するテープフィーダを備える電子部品実装機(部品実装装置)が開示されている。ここで、上記特許文献1の電子部品実装機では、部品包装テープは、エンボステープおよび紙テープといった異なるテープ材質のテープから部品が供給されている。
【0004】
また、上記特許文献1の電子部品実装機は、部品包装テープを部品吸着位置(吸着位置)へピッチ送りするスプロケット(テープ送り部)と、部品包装テープのテープ材質を判別する制御装置とを備えている。上記特許文献1の電子部品実装機は、スプロケットを挿入するスプロケット孔を形成したキャリアテープを部品吸着位置にピッチ送りする際、スプロケット孔が上方を通過する背景エリアを備えている。ここで、上記特許文献1の電子部品実装機では、背景エリアに色付け(たとえば、白色、黒色または灰色など)がなされている。
【0005】
上記特許文献1の電子部品実装機では、制御装置により、背景エリアの色情報とキャリアテープにおけるスプロケット孔の周囲の色情報との差に基づいて、スプロケット孔を認識可能か否かが判別される。上記特許文献1の電子部品実装機では、制御装置により、スプロケット孔の認識結果に基づいて、部品包装テープのテープ材質が判別される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1の電子部品実装機では、異なるテープ材質であったとしてもキャリアテープのスプロケット孔の周囲の色情報が同じかまたは近い場合、制御装置によりスプロケット孔を認識してもテープ材質(テープの種類)を判別できないという問題点がある。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、テープの種類ごとの色に関わらず、テープの種類を確実に判別可能な部品実装装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面による部品実装装置は、所定の部品を保持するヘッドを含むヘッドユニットと、所定の部品を収納した収納部が形成されたキャリアテープおよび収納部の上方の開口を覆うカバーテープを有するテープを、ヘッドにより所定の部品を吸着する吸着位置に送るテープ送り部を含むテープフィーダと、ヘッドを下降させて、ヘッドの吸着による負圧の上昇か、または、ヘッドを昇降させるモータの電流値の上昇が計測されたヘッドの位置に基づくテープ送り部により送られるテープのテープ厚みの測定結果に基づいて、テープの種類を判別する制御を行う制御部とを備える。
【0010】
この発明の一の局面による部品実装装置では、上記のように、テープ送り部により送られるテープのテープ厚みの測定結果に基づいて、テープの種類を判別する制御を行う制御部を備える。これにより、テープの種類ごとのキャリアテープの色が同じかまたは近い場合であっても、テープの厚みの違いにより、テープの種類を確実に判別することができる。また、制御部においてテープの種類を判別させることにより、テープの種類を作業者により設定する必要がないので、作業者にかかる負担を軽減することができる。また、テープの種類を作業者により設定する必要がないので、作業者による設定間違いを防止することができる。
【0011】
この発明の一の局面による部品実装装置において、好ましくは、テープフィーダは、テープ送り部により送られるテープを下方から支持する支持部を有する搬送通路部と、支持部により支持されるテープを上方から押さえるテープガイド部とを含み、制御部は、搬送通路部の支持部とテープガイド部との間に挟まれたテープの部分のテープ厚みを測定する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、テープ厚みを測定するテープの部分を搬送通路部の支持部とテープガイド部との間に挟むことにより、テープ厚みを測定するテープの部分のたわみを抑制することができるので、テープ厚みを正確に測定することができる。
【0012】
この場合、好ましくは、制御部は、ヘッドの下端部と、テープガイド部の上端面部との間の所定距離の測定結果に基づいて、搬送通路部の支持部とテープガイド部との間に挟まれたテープの部分のテープ厚みを測定する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、テープの種類が異なったとしても、測定箇所を変更することなく、ヘッドの下端部と、テープガイド部の上端面部との間の所定距離を測定することにより、テープ厚みを測定することができるので、測定方法の複雑化を抑制することができる。
【0013】
上記所定距離の測定結果に基づいてテープ厚みを測定する部品実装装置において、好ましくは、所定の部品をヘッドに吸着する際の負圧を計測する負圧計測部をさらに備え、制御部は、テープガイド部の上方にヘッドを配置した上昇位置と、上昇位置からヘッドを下降させて、テープガイド部の上端面部をヘッドが吸着して負圧計測部により負圧の上昇が計測される下降位置とに基づいて、上記所定距離を測定する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、部品を保持するヘッドを用いてテープ厚みを測定することにより、測定のための専用の部材を別途設ける必要がないので、部品実装装置の部品点数の増加を抑制することができる。これにより、部品実装装置の大型化および複雑化を抑制することができる。
【0014】
上記所定距離の測定結果に基づいてテープ厚みを測定する部品実装装置において、好ましくは、制御部は、ヘッドの下端部から搬送通路部の支持部の上端部までの距離から、上記所定距離とテープガイド部の厚みとを加算した距離を引くことにより、テープ厚みを測定する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、上記所定距離を計測するだけで、テープ厚みを測定することができるので、上記所定距離以外の距離も測定する場合よりも、テープ厚みの測定による作業時間の増加を抑制することできる。
【0015】
上記搬送通路部の支持部とテープガイド部との間に挟まれたテープの部分の厚みを測定する部品実装装置において、好ましくは、制御部は、搬送通路部の支持部とテープガイド部との間に挟まれたテープの部分のテープ厚みの測定結果が所定厚み未満の場合には、テープの種類をエンボス加工されたキャリアテープを有する第1テープと判別する制御を行うように構成され、テープ厚みの測定結果が上記所定厚み以上の場合には、テープの種類をエンボス加工されていないキャリアテープを有する第2テープと判別する制御を行うように構成されている。なお、エンボス加工されたキャリアテープを有する第1テープとは、たとえば、樹脂製のキャリアテープを有するエンボステープを示す。また、エンボス加工されていないキャリアテープを有する第2テープとは、たとえば、紙製のキャリアテープを有する紙テープを示す。このように構成すれば、テープ厚みと所定厚みとの比較を行うだけで、エンボス加工されたキャリアテープを有する第1テープとエンボス加工されていないキャリアテープを有する第2テープとを判別することができるので、テープの種類を容易に判別することできる。
【0016】
上記搬送通路部の支持部とテープガイド部との間に挟まれたテープの部分の厚みを測定する部品実装装置において、好ましくは、制御部は、判別されたテープの種類に基づいて、テープガイド部に設定される吸着位置の認識条件の変更、テープ送り部によるテープの送り速度の変更、および、テープフィーダに取り付けられる正しいテープの種類との照合の少なくともいずれかを行うように構成されている。このように構成すれば、認識条件の変更、テープの送り速度の変更、および、テープフィーダに取り付けられる正しいテープの種類との照合の少なくともいずれかを自動で行うことができる。この結果、作業者による変更および照合に起因する設定間違いを防止することができるので、部品実装装置の作業性を向上させることができる。また、テープの種類に適合してないテープフィーダにテープが取り付けられた場合、作業者に報知するようにすれば、テープの種類に適合するテープフィーダにテープを確実に取り付けることができるので、部品実装装置による所定の電子部品の実装品質の低下を抑制することができる。なお、実装品質とは、基板上の実装位置に実装された所定の電子部品が、正しい実装位置でかつ正しい姿勢で実装されたかを示す尺度である。
【0017】
上記一の局面による部品実装装置において、好ましくは、制御部は、テープフィーダにより供給されるテープを巻き付けたリールが切り替えられたことに基づいて、テープ送り部により送られるテープのテープ厚みを再測定する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、同じ種類の所定の部品であるにも関わらず収容するテープの種類がリールごとに異なる場合であっても、テープの種類を自動で判別することにより、部品実装装置における所定の部品の実装動作をテープの種類に合わせることができるので、部品実装装置による所定の部品の実装品質の低下を抑制することができる。
【0018】
上記一の局面による部品実装装置において、好ましくは、制御部は、所定の部品を供給するテープフィーダが所定の部品を供給する代替のテープフィーダへ切り替えられたことに基づいて、テープ送り部により送られるテープのテープ厚みを再測定する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、同じ種類の所定の部品であるにも関わらず収容するテープの種類がテープフィーダごとに異なる場合であっても、テープの種類を自動で判別することにより、部品実装装置における所定の部品の実装動作をテープの種類に合わせることができるので、部品実装装置による所定の部品の実装品質の低下を抑制することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、上記のように、テープの種類ごとの色に関わらず、テープの種類を確実に判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本実施形態による部品実装装置の概略を示した平面図である。
【
図2】本実施形態による部品実装装置の概略を示した側面図である。
【
図3】本実施形態による部品実装装置において、テープフィーダにより送られる状態のテープを上方から基板認識カメラにより撮像した吸着位置画像を示した模式図である。
【
図4】本実施形態による部品実装装置の制御的な構成を示したブロック図である。
【
図5】
図6の100-100線に沿った断面図である。
【
図6】本実施形態による部品実装装置において、テープフィーダにより紙テープが送られるとともに、実装ヘッドが上昇位置に配置された状態を示した断面図である。
【
図7】本実施形態による部品実装装置において、テープフィーダにより紙テープが送られるとともに、実装ヘッドが下降位置に配置された状態を示した断面図である。
【
図8】
図9の110-110線に沿った断面図である。
【
図9】本実施形態による部品実装装置において、テープフィーダによりエンボステープが送られるとともに、実装ヘッドが上昇位置に配置された状態を示した断面図である。
【
図10】本実施形態による部品実装装置において、テープフィーダによりエンボステープが送られるとともに、実装ヘッドが下降位置に配置された状態を示した断面図である。
【
図11】本実施形態による部品実装装置において、制御部によるテープの種類に応じた設定の選択方法を示した模式図である。
【
図12】本実施形態による部品実装装置の制御部において実施されるテープ種類判別処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1~
図11を参照して、本実施形態による部品実装装置1の構成について説明する。
【0023】
図1に示すように、部品実装装置1は、IC、トランジスタ、コンデンサおよび抵抗などの電子部品をプリント基板などの基板Bに実装するように構成されている。ここで、部品実装装置1において、基板Bを搬送する搬送方向をX1方向とし、基板Bを搬送する搬送方向の逆方向をX2方向とし、水平方向におけるX方向に直交する方向をY方向とする。また、部品実装装置1において、X方向およびY方向に直交する上下方向をZ方向とする。
【0024】
部品実装装置1は、基台2と、フィーダ配置部3と、基板搬送部4と、ヘッドユニット5と、支持部6と、レール部7と、部品認識カメラ8と、基板認識カメラ9と、制御部10とを備えている。
【0025】
(基台)
基台2は、部品実装装置1において各構成要素を配置する基礎となる台である。基台2上には、構成要素として、基板搬送部4、レール部7、および、部品認識カメラ8が設けられている。また、基台2内には、制御部10が設けられている。また、基台2には、Y方向の両側(Y1方向側およびY2方向側)に、複数のテープフィーダ3aを配置可能なフィーダ配置部3が設けられている。
【0026】
(テープフィーダ)
テープフィーダ3aは、基板Bに実装される所定の電子部品Eaを供給する装置である。テープフィーダ3aは、複数の所定の電子部品Eaを所定の間隔を隔てて保持したテープTを巻き回したリールR(
図4参照)を保持している。また、テープフィーダ3aは、ヘッドユニット5による所定の電子部品Eaの取り出しのための部品保持動作に応じて、保持されたリールRを回転させてテープTを送り出すように構成されている。テープフィーダ3aは、テープTを送り出すことにより、実装作業位置側の先端部(吸着位置A1)から所定の電子部品Eaを供給するように構成されている。テープフィーダ3aの構成については、後に詳しく説明する。なお、所定の電子部品Eaは、特許請求の範囲の「所定の部品」の一例である。
【0027】
(基板搬送部)
基板搬送部4は、部品実装装置1の外部から基板Bを搬入し、基板Bを搬送方向(X1方向)に搬送するように構成されている。基板搬送部4は、一対のコンベア部4aと、一対のコンベア部4aを回転駆動させるための駆動モータ4bとを含んでいる。一対のコンベア部4aは、それぞれ、プーリ(図示せず)と、プーリに掛け回された輪状の搬送ベルトとを有している。制御部10は、駆動モータ4bを制御することにより、一対のコンベア部4a上に載置された基板Bの搬送速度を制御するように構成されている。
【0028】
(ヘッドユニット)
ヘッドユニット5は、
図2に示すように、部品実装用のヘッドユニット5であり、実装位置において固定された基板Bに所定の電子部品Eaを実装するように構成されている。具体的には、ヘッドユニット5は、所定の電子部品Eaを保持(吸着)する複数(4つ)の実装ヘッド5aと、所定の電子部品Eaを実装ヘッド5aに保持(吸着)する際にかかる負圧を計測する負圧計測部5b(
図4参照)とを含んでいる。なお、実装ヘッド5aは、特許請求の範囲の「ヘッド」の一例である。
【0029】
複数の実装ヘッド5aの各々は、真空発生装置(図示せず)に接続されており、真空発生装置により生じる負圧によって、先端に装着されたノズルに所定の電子部品Eaを保持(吸着)可能に構成されている。ここで、負圧計測部5bは、たとえば、複数の実装ヘッド5aの各々から真空発生装置への空気の圧力に基づいて、実装ヘッド5aに保持(吸着)する際にかかる負圧を計測するように構成されている。
【0030】
また、複数の実装ヘッド5aの各々は、真空発生装置による負圧を正圧に切り換えることによって、所定の電子部品Eaを基板Bに実装可能に構成されている。複数の実装ヘッド5aは、それぞれ、Z軸モータ5cにより上下方向に移動可能に構成されている。また、複数の実装ヘッド5aは、それぞれ、R軸モータ5d(
図4参照)により回転軸回りに回転可能に構成されている。
【0031】
(支持部)
支持部6は、
図1に示すように、ヘッドユニット5を搬送方向(X1方向)および搬送方向とは逆方向(X2方向)に移動可能に支持するように構成されている。具体的には、支持部6は、搬送方向に延びるボールねじ軸6aと、ボールねじ軸6aを回転させるX軸モータ6bとを含んでいる。ヘッドユニット5には、支持部6のボールねじ軸6aと係合するボールナット(図示せず)が設けられている。ヘッドユニット5は、X軸モータ6bによりボールねじ軸6aが回転されることにより、ボールねじ軸6aと係合するボールナットとともに、支持部6に沿って搬送方向に移動可能に構成されている。
【0032】
(レール部)
一対のレール部7は、支持部6をY方向に移動可能に支持するように構成されている。具体的には、レール部7は、Y方向に延びるボールねじ軸7aと、ボールねじ軸7aを回転させるY軸モータ7bとを含んでいる。支持部6には、レール部7のボールねじ軸7aと係合するボールナット(図示せず)が設けられている。支持部6は、Y軸モータ7bによりボールねじ軸7aが回転されることにより、ボールねじ軸7aと係合するボールナットとともに、一対のレール部7に沿ってY方向に移動可能に構成されている。
【0033】
このような構成により、ヘッドユニット5は、基台2上を水平面内で(X方向およびY方向に)移動可能に構成されている。すなわち、ヘッドユニット5は、基板搬送部4上の基板Bに対して相対的に移動可能に構成されている。これにより、ヘッドユニット5は、実装位置において固定された基板Bの上方に移動して、実装ヘッド5aに保持された所定の電子部品Eaを基板B上の所定箇所(実装位置)に実装することが可能である。
【0034】
(部品認識カメラ)
部品認識カメラ8は、
図2に示すように、基板Bへの所定の電子部品Eaの実装に先立って実装ヘッド5aに保持(吸着)された所定の電子部品Eaを撮像する部品撮像用のカメラである。部品認識カメラ8は、基台2上に固定されており、所定の電子部品Eaの下方(Z2方向)から、実装ヘッド5aに保持(吸着)された所定の電子部品Eaを撮像するように構成されている。
【0035】
(基板認識カメラ)
基板認識カメラ9は、ヘッドユニット5に取り付けられ、基板Bへの所定の電子部品Eaの実装に先立って、基板Bの上面に付されたFIマーク(Fiducial Mark(フィデューシャルマーク))(図示せず)を撮像するマーク撮像用のカメラである。FIマークは、基板Bの位置を確認するためのマークである。
【0036】
また、基板認識カメラ9は、
図3および
図4に示すように、テープフィーダ3aにより送られた所定の電子部品Eaを実装ヘッド5aにより吸着するに先立って、テープフィーダ3a内の吸着位置A1に送られたテープT内の所定の電子部品Eaおよび所定の電子部品Eaの周囲を含む吸着位置画像Sを撮像する部品撮像用のカメラである。
【0037】
制御部10は、認識条件データCおよび吸着位置画像Sに基づいて、所定の電子部品Eaの吸着位置A1を取得するように構成されている。具体的には、基板認識カメラ9は、照明部9a(
図2参照)と、撮像部9b(
図2参照)とを含んでいる。なお、認識条件データCは、特許請求の範囲の「認識条件」の一例である。
【0038】
すなわち、制御部10は、所定明度C1および所定配光C2の照明光を照明部9aにより照射した状態で、撮像部9bによりテープT内の所定の電子部品Eaおよび所定の電子部品Eaの周囲を撮像することにより吸着位置画像Sを取得するように構成されている。制御部10は、認識条件データCのしきい値C3に基づいて、吸着位置画像S上のテープTのスプロケット孔T4を認識するように構成されている。制御部10は、認識された吸着位置画像S上のテープTのスプロケット孔T4の中心位置に基づいて、スプロケット孔T4から第1所定距離D1の位置にある吸着位置A1を取得するように構成されている。
【0039】
ここで、所定明度C1とは、照明部9aの明るさを示す。所定配光C2とは、照明部9aの光源から出る光の空間における分布の仕方を示す。しきい値C3とは、吸着位置画像S上のテープTのスプロケット孔T4を認識するため、吸着位置画像Sの画素値の二値化を行う際に用いられる境界値を示す。このように、認識条件データCは、吸着位置A1を認識するための様々な条件を含んだデータである。
【0040】
なお、制御部10は、吸着位置画像S上のテープTのスプロケット孔T4の代わりにテープTの収納部T3を認識することにより、吸着位置画像S上の吸着位置A1を取得するように構成されてもよい。
【0041】
また、制御部10は、吸着位置画像Sおよび吸着位置A1に基づいて、テープフィーダ3a上において、実装ヘッド5aにより吸着する位置である測定位置A2を取得(認識)するように構成されている。ここで、測定位置A2は、吸着位置A1から第2所定距離D2の位置に設定されている。
【0042】
(制御部)
制御部10は、
図4に示すように、CPU(Central Processing Unit)10aおよびメモリ10bなどを含み、部品実装装置1の動作を制御する制御回路である。制御部10は、テープフィーダ3a、基板搬送部4、ヘッドユニット5、支持部6、レール部7、部品認識カメラ8、基板認識カメラ9、X軸モータ6bおよびY軸モータ7bに電気的に接続されている。
【0043】
メモリ10bには、テープフィーダ3aに取り付けられたテープTの種類を判別するためのテープ種類判別処理を含む電子部品の実装処理に基づく実装プログラムPが記憶されている。さらに、メモリ10bには、部品実装装置1の各構成の固有の情報を含む設備固有データFが記憶されている。
【0044】
ここで、設備固有データFは、後述するテープガイド部33の厚みt、第1距離Hおよびフィーダ照合データReを有している。テープガイド部33の厚みtは、後述するテープガイド部33のZ方向(上下方向)の長さである。第1距離Hは、実装ヘッド5aの上方向側(Z1方向側)の端部を基準とした場合における実装ヘッド5aの下端部51から後述する搬送通路部32の上端部までの距離である。フィーダ照合データReは、各テープフィーダ3aのフィーダ種類を示すデータである。なお、フィーダ種類とは、テープフィーダ3aがいずれのテープTの種類用のテープフィーダであるかを示す。
【0045】
また、メモリ10bには、上記した認識条件データCとして、上記した所定明度C1、所定配光C2およびしきい値C3が記憶されている。また、メモリ10bには、後述するテープ厚みTx、測定距離Me、第2距離M、部品厚みEt、しきい値Thおよびテープ送り速度Vが記憶されている。なお、部品厚みEtは、特許請求の範囲の「所定厚み」の一例である。また、測定距離Meは、特許請求の範囲の「所定距離」の一例である。また、テープ送り速度Vは、特許請求の範囲の「テープの送り速度」の一例である。
【0046】
また、メモリ10bには、設定データGが記憶されている。設定データGは、制御部10による制御の際に読み出される第1設定G1、第2設定G2および第3設定G3を有している。第1設定G1、第2設定G2および第3設定G3は、それぞれ、テープ厚みTxに応じて、認識条件データC、テープ送り速度Vおよびフィーダ照合データReなどの内容を異ならせた設定情報である。
【0047】
制御部10は、テープフィーダ3a、ヘッドユニット5、支持部6、レール部7および基板認識カメラ9を、実装プログラムPにしたがって制御することにより、テープフィーダ3aに取り付けられたテープTの種類の確認を行うように構成されている。
【0048】
(テープフィーダの詳細な構成)
次に、テープフィーダ3aの詳細な構成について説明する。
【0049】
テープフィーダ3aは、自動でテープTをローディング可能なオートローディングフィーダである。また、以下の説明において、フィーダ配置部3におけるZ1部分(
図1参照)に配置されたテープフィーダ3aについて説明を行なう。
【0050】
〈テープの種類〉
テープTは、たとえば、
図5に示すように、紙テープTpにより構成されている。紙テープTpは、紙製のキャリアテープT1と、樹脂製のカバーテープT2とを含んでいる。なお、紙テープTpは、特許請求の範囲の「第2テープ」の一例である。
【0051】
キャリアテープT1には、所定の電子部品Eaを収納した収納部T3が形成されている。収納部T3は、キャリアテープT1をZ方向に貫通する貫通孔をZ方向(上下方向)の両側から閉塞した構成である。ここで、収納部T3のZ1方向(上方向)の開口Tuは、カバーテープT2(以下、上側カバーテープT21)により覆われている。また、収納部T3のZ2方向(下方向)の開口は、カバーテープT2(以下、下側カバーテープT22)により覆われている。上側カバーテープT21および下側カバーテープT22は、それぞれ、樹脂製の薄いフィルムである。
【0052】
これにより、部品供給前に収納部T3から所定の電子部品Eaが飛び出ることを防止することが可能である。このように、紙製のキャリアテープT1を有する紙テープTpは、キャリアテープT1にエンボス加工を施していないテープTである。ここで、エンボス加工とは、樹脂などの薄板に凹部(収納部T3)を形成する加工だけではなく、樹脂を凹部(収納部T3)を有する部材に成型する加工も含む広い概念である。
【0053】
キャリアテープT1には、
図3に示すように、スプロケット31aに係合する複数のスプロケット孔T4が形成されている。複数のスプロケット孔T4は、互いにY方向に一定の間隔(送りピッチ)を隔てて配置されている。スプロケット孔T4は、平面視において、収納部T3に対して所定の相対位置に配置されている。
【0054】
〈テープ送り部、搬送通路部およびテープガイド部〉
テープフィーダ3aは、
図5および
図6に示すように、テープ送り部31(
図4参照)と、搬送通路部32と、テープガイド部33とを含んでいる。
【0055】
テープ送り部31は、所定の電子部品Eaを収納した収納部T3が形成されたキャリアテープT1および収納部T3の上方の開口Tuを覆う上側カバーテープT21を有するテープTを、実装ヘッド5aにより所定の電子部品Eaを吸着する吸着位置A1に送るように構成されている。具体的には、テープ送り部31は、スプロケット31a(
図4参照)と、モータ31b(
図4参照)とを含んでいる。モータ31bは、スプロケット31aを駆動させる。これにより、スプロケット31aは、キャリアテープT1のスプロケット孔T4に係合して、テープTをテープ送り方向(Y1方向)に沿って送るように構成されている。
【0056】
このように、制御部10は、モータ31bの駆動を制御して、スプロケット31aによるテープTの送り動作を制御するように構成されている。つまり、テープ送り部31によるテープTのテープ送り速度Vは、制御部10によるモータ31bの駆動の制御により変更可能である。
【0057】
搬送通路部32は、吸着位置A1に向けて送られるテープTをガイドする通路として構成されている、具体的には、搬送通路部32は、フィーダ本体部32aと、フィーダ本体部32aに設けられ、テープ送り部31により送られるテープTを下方から支持する第1支持部32bおよび第2支持部32cを有している。なお、第1支持部32bおよび第2支持部32cは、各々、特許請求の範囲の「支持部」の一例である。
【0058】
第1支持部32bおよび第2支持部32cは、各々、Y2方向側から見て略L字形状に形成されている。第1支持部32bは、フィーダ本体部32aのZ1方向側(上方向側)の端面部のX1方向側の端部からZ1方向(上方向)に突出しているとともに、突出先端からX2方向に突出している。また、第2支持部32cは、フィーダ本体部32aのZ1方向側(上方向側)の端面部のX2方向側の端部からZ1方向(上方向)に突出しているとともに、突出先端からX1方向に突出している。
【0059】
搬送通路部32には、フィーダ本体部32a、第1支持部32bおよび第2支持部32cにより囲まれる収容空間32dが形成されている。
【0060】
テープガイド部33は、第1支持部32bおよび第2支持部32cにより支持されるテープTをZ1方向側(上方向側)から押さえるように構成されている。すなわち、テープガイド部33は、テープTをZ1方向側(上方向側)から押さえることにより、テープTをテープ送り方向に沿ってガイドするように構成されている。具体的には、テープガイド部33は、カバー部33aと、実装ヘッド5aが所定の電子部品Eaを取り出すための開放部33bおよび取出孔33cとを有している。
【0061】
開放部33bは、カバーテープT2により覆われた収納部T3の上方の開口Tuを開放し、所定の電子部品Eaを露出させるように構成されている。開放部33bは、キャリアテープT1とカバーテープT2との間に挿入することによりカバーテープT2を切断するカッター(図示せず)を有している。
【0062】
取出孔33cは、開放部33bにより露出した所定の電子部品Eaを実装ヘッド5aによって収納部T3から取出すための孔である。取出孔33cは、カバー部33aを上下方向(Z方向)に貫通する孔である。取出孔33cは、開放部33bのY1方向側に配置されている。
【0063】
〈テープの種類〉
テープTは、たとえば、
図8および
図9に示すように、紙テープTpではなくエンボステープTeにより構成されていてもよい。エンボステープTeは、樹脂製のキャリアテープT1と、樹脂製のカバーテープT2とを含んでいる。なお、エンボステープTeは、特許請求の範囲の「第1テープ」一例である。
【0064】
キャリアテープT1は、所定の電子部品Eaを収納する収納部T3と、収納部T3のZ1方向側(上方向側)の端部に設けられる第1突出部T31および第2突出部T32とを有している。収納部T3は、キャリアテープT1においてZ1方向に窪む凹部である。第1突出部T31は、収納部T3のX1方向側の側壁部のZ1方向側(上方向側)の端部からX1方向に突出している。第2突出部T32は、収納部T3のX2方向側の側壁部のZ1方向側(上方向側)の端部からX2方向に突出している。ここで、収納部T3のZ1方向(上方向)の開口Tuは、カバーテープT2により覆われている。カバーテープT2は、第1突出部T31および第2突出部T32に貼り付けられる樹脂製の薄いフィルムである。
【0065】
これにより、部品供給前に収納部T3から所定の電子部品Eaが飛び出ることを防止することが可能である。このように、樹脂製のキャリアテープT1を有するエンボステープTeは、キャリアテープT1にエンボス加工を施しているテープTである。
【0066】
キャリアテープT1には、紙テープTpと同様に
図3に示すように、スプロケット31aに係合する複数のスプロケット孔T4が形成されている。複数のスプロケット孔T4は、互いにY方向に一定の間隔(送りピッチ)を隔てて配置されている。スプロケット孔T4は、平面視において、収納部T3に対して所定の相対位置に配置されている。
【0067】
このように、テープフィーダ3aは、テープTの種類として紙テープTpまたはエンボステープTeを、吸着位置A1に送るように構成されている。
【0068】
(実装プログラム)
図5~
図10に示すように、本実施形態の制御部10は、実装プログラムPを実施することにより、テープ送り部31により送られるテープTのテープ厚みTxの測定結果に基づいて、テープTの種類を判別する制御を行うように構成されている。すなわち、制御部10は、搬送通路部32の第1支持部32bおよび第2支持部32cとテープガイド部33との間に挟まれたテープTの部分のテープ厚みTxの測定結果に基づいて、テープTの種類を判別する制御を行うように構成されている。
【0069】
このように、制御部10は、キャリアテープT1の色の違いではなく、テープTの種類毎に異なるテープ厚みTxを利用して、テープTの種類を判別する制御を行うように構成されている。
【0070】
〈テープ厚みの測定(紙テープ)〉
まず、
図5~
図7を参照して、テープTの種類として紙テープTpをテープフィーダ3aに取り付けた場合のテープ厚みTxの測定について説明する。
【0071】
図5~
図7に示すように、制御部10は、搬送通路部32の第1支持部32bおよび第2支持部32cとテープガイド部33との間に挟まれたテープTの部分のテープ厚みTxを測定する制御を行うように構成されている。すなわち、制御部10は、実装ヘッド5aの下端部51とテープガイド部33の上端面部33dとの間の測定距離Meに基づいて、テープ厚みTxを測定する制御を行うように構成されている。
【0072】
具体的には、制御部10は、実装ヘッド5aの下端部51から搬送通路部32の第1支持部32bおよび第2支持部32cの上端部までの第1距離Hから、測定距離Meとテープガイド部33の厚みtとを加算した第2距離Mを引くことにより、テープ厚みTxを測定する制御を行うように構成されている。ここで、第1距離Hは、設備固有データFとしてあらかじめメモリ10bに記憶されている。テープガイド部33の厚みtは、設備固有データFとしてあらかじめメモリ10bに記憶されている。
【0073】
つまり、制御部10は、測定距離Meを測定部材により測定したことに基づいて、テープ厚みTxを取得する制御を行うように構成されている。ここで、テープ厚みTxとは、
図5に示すように、下側カバーテープT22の厚み、キャリアテープT1の厚みおよび上側カバーテープT21の厚みを加算した厚みである。紙テープTpでは、第1支持部32bおよび第2支持部32cよりもZ1方向側(上方向側)に収納部T3が配置される。
【0074】
制御部10は、
図6および
図7に示すように、測定部材としての実装ヘッド5aおよび負圧計測部5bにより、測定距離Meを取得するように構成されている。具体的には、制御部10は、テープガイド部33のZ1方向側(上方向側)に実装ヘッド5aを配置した上昇位置Upと、上昇位置Upから実装ヘッド5aを下降させて、テープガイド部33の上端面部33dを実装ヘッド5aが吸着して負圧計測部5bにより負圧の上昇が計測される下降位置Dwとに基づいて、測定距離Meを測定する制御を行うように構成されている。
【0075】
上昇位置Upとは、吸着位置A1から第2所定距離D2だけ離れた上記した測定位置A2のZ1方向(上方向)において、実装ヘッド5aをZ軸モータ5cにより最もZ1方向側(上方向側)に移動させた状態の実装ヘッド5aの下端部51の位置である。下降位置Dwとは、上昇位置Upから実装ヘッド5aを下降させて、テープガイド部33の上端面部33dを実装ヘッド5aが吸着して負圧計測部5bにより負圧の上昇が計測された際の実装ヘッド5aの下端部51の位置である。測定距離Meとは、上昇位置Upと下降位置Dwとの間のZ方向(上下方向)における相対距離である。
【0076】
制御部10は、実装ヘッド5aをZ軸モータ5cにより最もZ1方向側(上方向側)に移動させた状態において、支持部6およびレール部7によりヘッドユニット5をXY方向(水平方向)に移動させて上昇位置Upに実装ヘッド5aを配置する制御を行うように構成されている。制御部10は、上昇位置Upから実装ヘッド5aをZ軸モータ5cによりZ2方向側(下方向側)に、実装ヘッド5aの下端部51がテープガイド部33の上端面部33dの測定位置A2に当接するまで移動させて下降位置Dwに実装ヘッド5aを配置する制御を行うように構成されている。
【0077】
制御部10は、実装ヘッド5aの上方向側(Z1方向側)の端部を基準とした場合における下降位置Dwと上昇位置Upとの間の相対距離を測定距離Meとして取得する制御を行うように構成されている。
【0078】
〈テープ厚みの測定(エンボステープ)〉
次に、
図8~
図10を参照して、テープTの種類としてエンボステープTeをテープフィーダ3aに取り付けた場合のテープ厚みTxの測定について説明する。
【0079】
図8~
図10に示すように、制御部10は、搬送通路部32の第1支持部32bおよび第2支持部32cとテープガイド部33との間に挟まれたテープTの部分のテープ厚みTxを測定する制御を行うように構成されている。すなわち、制御部10は、実装ヘッド5aの下端部51とテープガイド部33の上端面部33dとの間の測定距離Meに基づいて、テープ厚みTxを測定する制御を行うように構成されている。
【0080】
具体的には、制御部10は、実装ヘッド5aの下端部51から搬送通路部32の第1支持部32bおよび第2支持部32cの上端部までの第1距離Hから、測定距離Meとテープガイド部33の厚みtとを加算した第2距離Mを引くことにより、テープ厚みTxを測定する制御を行うように構成されている。ここで、第1距離Hは、設備固有データFとしてあらかじめメモリ10bに記憶されている。テープガイド部33の厚みtは、設備固有データFとしてあらかじめメモリ10bに記憶されている。
【0081】
つまり、制御部10は、測定距離Meを測定部材により測定したことに基づいて、テープ厚みTxを取得する制御を行うように構成されている。ここで、テープ厚みTxとは、
図8に示すように、キャリアテープT1の第1突出部T31または第2突出部T32の厚みおよびカバーテープT2の厚みを加算した厚みである。エンボステープTeでは、第1支持部32bおよび第2支持部32cよりもZ2方向側(下方向側)に収納部T3の一部が配置される。
【0082】
なお、
図9および
図10に示す測定距離Meの具体的な測定方法は、上記した紙テープTpにおける測定距離Meの測定方法(
図6および
図7を参照)と同様であるので、説明を省略する。
【0083】
〈テープの種類の判別およびテープの種類に基づく設定変更〉
まず、
図11を参照して、テープ厚みTxに基づくテープTの種類の判別について説明する。すなわち、制御部10は、テープ厚みTxと部品厚みEtとの比較に基づいて、テープTの種類を紙テープTpまたはエンボステープTeのいずれであるかを判別する制御を行うように構成されている。
【0084】
ここで、部品厚みEtとは、判別されたテープTの種類のテープTに収容された所定の電子部品Eaの厚みである。部品厚みEtは、テープTの種類毎の所定の電子部品Eaに関連付けて、あらかじめメモリ10bに記憶されている。
【0085】
制御部10は、テープ厚みTxの測定結果が部品厚みEt以上の場合には、テープTの種類をエンボス加工されていないキャリアテープT1を有するテープT(紙テープTp)と判別する制御を行うように構成されている。また、制御部10は、テープ厚みTxの測定結果が部品厚みEt未満の場合には、テープTの種類をエンボス加工されたキャリアテープT1を有するテープT(エンボステープTe)と判別する制御を行うように構成されている。
【0086】
さらに、制御部10は、テープ厚みTxが部品厚みEt未満の場合、テープ厚みTxとしきい値Thとの比較に基づいて、テープTの種類をエンボステープTeのうちのエンボスAテープTe1またはエンボスBテープTe2のいずれであるかを判別する制御を行うように構成されている。
【0087】
具体的には、制御部10は、テープ厚みTxが部品厚みEt未満しきい値Th以上である場合には、テープTの種類をエンボス加工されたキャリアテープT1のうちのテープ厚みTxが大きいエンボスAテープTe1と判別する制御を行うように構成されている。また、制御部10は、テープ厚みTxが部品厚みEt未満しきい値Th未満である場合には、テープTの種類をエンボス加工されたキャリアテープT1のうちのテープ厚みTxが小さいエンボスBテープTe2と判別する制御を行うように構成されている。
【0088】
次に、テープTの種類に基づく、テープフィーダ3aの制御、実装ヘッド5aの制御および認識条件データCのパラメータなどの設定変更について説明する。
【0089】
制御部10は、判別されたテープTの種類に基づいて、テープガイド部33に設定される吸着位置A1の認識条件データCの変更、テープ送り部31によるテープTのテープ送り速度Vの変更、および、テープフィーダ3aに取り付けられる正しいテープTの種類とを照合する制御を行うように構成されている。すなわち、制御部10は、判別されたテープTの種類に基づいて、設定データGに含まれる複数の設定のうち適切な設定を選択する制御を行うように構成されている。
【0090】
ここで、複数の設定には、それぞれ、テープTの種類、フィーダ種類、フィーダ制御、認識モードおよび吸着高さオフセットなどの設定値が示されている。つまり、制御部10は、制御部10により判別されるテープTの種類と、複数の設定の各々のテープTの種類との照合に基づいて、適切な設定を選択する制御を行うように構成されている。
【0091】
具体的には、制御部10は、テープTの種類を紙テープTpと判別した場合、複数の設定のうちの第1設定G1を読み出すように構成されている。第1設定G1には、テープTの種類として紙テープTp、フィーダ種類として紙用テープフィーダ、フィーダ制御として紙用制御、認識モードとして紙用認識条件データ、および、吸着高さオフセットとして紙用オフセット値などの設定値が示されている。
【0092】
制御部10は、第1設定G1のフィーダ種類とフィーダ照合データReとを照合させて、紙テープTpを紙用テープフィーダに正しく取り付けているか否かを判別する制御を行うように構成されている。制御部10は、第1設定G1の紙用制御に基づいて、テープ送り速度Vを、たとえば高速に設定する制御を行うように構成されている。制御部10は、第1設定G1の紙用認識条件データに基づいて、たとえば所定明度C1、所定配光C2およびしきい値C3を紙テープTpに適した値に設定する制御を行うように構成されている。制御部10は、第1設定G1の紙用オフセット値に基づいて、たとえば吸着高さオフセットを約0mmに設定する制御を行うように構成されている。
【0093】
また、制御部10は、テープTの種類をエンボスAテープTe1と判別した場合、複数の設定のうちの第2設定G2を読み出すように構成されている。第2設定G2には、テープTの種類としてエンボスAテープTe1、フィーダ種類としてエンボスA用テープフィーダ、フィーダ制御としてエンボスA用制御、認識モードとしてエンボスA用認識条件データ、および、吸着高さオフセットとしてエンボスA用オフセット値などの設定値が示されている。
【0094】
そして、制御部10は、第2設定G2の設定値に基づいて、第1設定G1の場合と同様に各設定値を更新するように構成されている。
【0095】
すなわち、制御部10は、第2設定G2のフィーダ種類とフィーダ照合データReとを照合させて、エンボスAテープTe1をエンボスA用テープフィーダに正しく取り付けているか否かを判別する制御を行うように構成されている。制御部10は、第2設定G2のエンボスA用制御に基づいて、テープ送り速度Vを、たとえば低速に設定する制御を行うように構成されている。制御部10は、第2設定G2のエンボスA用認識条件データに基づいて、たとえば所定明度C1、所定配光C2およびしきい値C3をエンボスAテープTe1に適した値に設定する制御を行うように構成されている。制御部10は、第2設定G2のエンボスA用オフセット値に基づいて、たとえば吸着高さオフセットを約0.3mmに設定する制御を行うように構成されている。
【0096】
また、制御部10は、テープTの種類をエンボスBテープTe2と判別した場合、複数の設定のうちの第3設定G3を読み出すように構成されている。第3設定G3には、テープTの種類としてエンボスBテープTe2、フィーダ種類としてエンボスB用テープフィーダ、フィーダ制御としてエンボスB用制御、認識モードとしてエンボスB用認識条件データ、および、吸着高さオフセットとしてエンボスB用オフセット値などの設定値が示されている。
【0097】
そして、制御部10は、第3設定G3の設定値に基づいて、第1設定G1の場合と同様に各設定値を更新するように構成されている。
【0098】
すなわち、制御部10は、第3設定G3のフィーダ種類とフィーダ照合データReとを照合させて、エンボスBテープTe2をエンボスB用テープフィーダに正しく取り付けているか否かを判別する制御を行うように構成されている。制御部10は、第3設定G3のエンボスB用制御に基づいて、テープ送り速度Vを、たとえば超低速に設定する制御を行うように構成されている。制御部10は、第3設定G3のエンボスB用認識条件データに基づいて、たとえば所定明度C1、所定配光C2およびしきい値C3をエンボスBテープTe2に適した値に設定する制御を行うように構成されている。制御部10は、第3設定G3のエンボスB用オフセット値に基づいて、たとえば吸着高さオフセットを約0.1mmに設定する制御を行うように構成されている。
【0099】
〈再測定のタイミング〉
制御部10は、上記したテープ厚みTxに基づくテープTの種類を、所定のタイミングにおいて再度判別する制御を行うように構成されている。
【0100】
具体的には、制御部10は、テープフィーダ3aにより供給されるテープTを巻き付けたリールRが切り替えられたことに基づいて、テープ送り部31により送られるテープTのテープ厚みTxを再測定する制御を行うように構成されている。つまり、制御部10は、リールRの切り替えに基づいて、リールRに取り付けられたテープTの整合性を確認するとともに、設定データGを更新する制御を行うように構成されている。
【0101】
さらに、制御部10は、所定の電子部品Eaを供給するテープフィーダ3a(
図1のZ1部分)が所定の電子部品Eaを供給する代替のテープフィーダ3a(
図1のZ2部分)へ切り替えられたことに基づいて、テープ送り部31により送られるテープTのテープ厚みTxを再測定する制御を行うように構成されている。つまり、制御部10は、テープフィーダ3aの切り替えに基づいて、テープフィーダ3aにより送られるテープTの整合性を確認するとともに、設定データGを更新する制御を行うように構成されている。
【0102】
(テープ種類判別処理)
以下に、実装処理に含まれるテープ種類判別処理について
図12を参照して説明する。テープ種類判別処理は、テープフィーダ3aにより送られるテープTのテープ厚みTxに基づいて、テープTの種類を判別する処理である。
【0103】
ステップS1において、制御部10では、実装ヘッド5a(以下、ヘッド5a)がテープガイド部33の上端面部33dの測定位置A2の上方位置に移動される。ステップS2において、制御部10では、ヘッド5aがテープガイド部33の上端面部33dの測定位置A2まで下降される。すなわち、制御部10では、ヘッド5aの上昇位置Upから、負圧計測部5bにより計測されるヘッド5aにかかる負圧が急激に上昇する下降位置Dwまで、ヘッド5aが下降される。
【0104】
ステップS3において、制御部10では、テープ厚みTxが取得される。すなわち、制御部10では、第1距離Hから測定距離Meとテープガイド部33の厚みtとを加算した第2距離Mを引くことにより、テープ厚みTxが測定される。
【0105】
ステップS4において、制御部10では、テープ厚みTxが部品厚みEt以上か否かが判断される。制御部10では、テープ厚みTxが部品厚みEt以上であった場合にはステップS5に進み、紙テープ用の第1設定G1が取得されて、テープ種類判別処理を終了する。制御部10では、テープ厚みTxが部品厚みEt未満の場合にはステップS6に進む。
【0106】
ステップS6において、制御部10では、テープ厚みTxがしきい値Th以上か否かが判断される。制御部10では、テープ厚みTxがしきい値Th以上であった場合にはステップS7に進み、エンボスA用の第2設定G2が取得されて、テープ種類判別処理を終了する。制御部10では、テープ厚みTxがしきい値Th未満であった場合にはステップS8に進み、エンボスB用の第3設定G3が取得されて、テープ種類判別処理を終了する。
【0107】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0108】
本実施形態では、上記のように、部品実装装置1に、テープ送り部31により送られるテープTのテープ厚みTxの測定結果に基づいて、テープTの種類を判別する制御を行う制御部10を設ける。これにより、テープTの種類ごとのキャリアテープT1の色が同じかまたは近い場合であっても、テープTの厚みの違いにより、テープTの種類を確実に判別することができる。また、制御部10においてテープTの種類を判別させることにより、テープTの種類を作業者により設定する必要がないので、作業者にかかる負担を軽減することができる。また、テープTの種類を作業者により設定する必要がないので、作業者による設定間違いを防止することができる。
【0109】
また、本実施形態では、上記のように、制御部10を、搬送通路部32の第1支持部32bおよび第2支持部32cとテープガイド部33との間に挟まれたテープTの部分のテープ厚みTxを測定する制御を行うように構成する。これにより、テープ厚みTxを測定するテープTの部分を搬送通路部32の第1支持部32bおよび第2支持部32cとテープガイド部33との間に挟むことにより、テープ厚みTxを測定するテープTの部分のたわみを抑制することができるので、テープ厚みTxを正確に測定することができる。
【0110】
また、本実施形態では、上記のように、制御部10を、測定距離Meの測定結果に基づいて、テープ厚みTxを測定する制御を行うように構成する。これにより、テープTの種類が異なったとしても、測定箇所を変更することなく、実装ヘッド5aの下端部51と、テープガイド部33の上端面部33dとの間の測定距離Meを測定することにより、テープ厚みTxを測定することができるので、測定方法の複雑化を抑制することができる。
【0111】
また、本実施形態では、上記のように、制御部10を、実装ヘッド5aの上昇位置Upと実装ヘッド5aの下降位置Dwとに基づいて、測定距離Meを測定する制御を行うように構成する。これにより、所定の電子部品Eaを保持する実装ヘッド5aを用いてテープ厚みTxを測定することにより、測定のための専用の部材を別途設ける必要がないので、部品実装装置1の部品点数の増加を抑制することができる。この結果、部品実装装置1の大型化および複雑化を抑制することができる。また、既存の部品実装装置に備えられた構成を用いてテープ厚みTxを測定することが可能であるので、部品実装装置1の大型化および複雑化を抑制することが可能である。
【0112】
また、本実施形態では、上記のように、制御部10を、第1距離Hから、測定距離Meとテープガイド部33の厚みtとを加算した第2距離Mを引くことにより、テープ厚みTxを測定する制御を行うように構成する。これにより、測定距離Meを計測するだけで、テープ厚みTxを測定することができるので、測定距離Me以外の距離(第1距離Hおよびテープガイド部33の厚みt)も測定する場合よりも、テープ厚みTxの測定による作業時間の増加を抑制することできる。
【0113】
また、本実施形態では、上記のように、制御部10を、テープ厚みTxの測定結果が部品厚みEt未満の場合には、テープTの種類をエンボステープTeと判別する制御を行うように構成する。また、制御部10を、テープ厚みTxの測定結果が部品厚みEt以上の場合には、紙テープTpと判別する制御を行うように構成する。これにより、テープ厚みTxと部品厚みEtとの比較を行うだけで、エンボステープTeと紙テープTpとを判別することができるので、テープTの種類を容易に判別することできる。
【0114】
また、本実施形態では、上記のように、制御部10を、判別されたテープTの種類に基づいて、テープガイド部33に設定される吸着位置A1の認識条件データCの変更、テープ送り部31によるテープTのテープ送り速度Vの変更、および、テープフィーダ3aに取り付けられる正しいテープTの種類との照合を行うように構成する。これにより、認識条件データCの変更、テープTのテープ送り速度Vの変更、および、テープフィーダ3aに取り付けられる正しいテープTの種類との照合の少なくともいずれかを自動で行うことができる。この結果、作業者による変更および照合に起因する設定間違いを防止することができるので、部品実装装置1の作業性を向上させることができる。また、テープTの種類に適合してないテープフィーダ3aにテープTが取り付けられた場合、作業者に報知するようにすれば、テープTの種類に適合するテープフィーダ3aにテープTを確実に取り付けることができるので、部品実装装置1による所定の電子部品Eaの実装品質の低下を抑制することができる。
【0115】
また、本実施形態では、上記のように、制御部10を、テープフィーダ3aにより供給されるテープTを巻き付けたリールRが切り替えられたことに基づいて、テープ厚みTxを再測定する制御を行うように構成する。これにより、同じ種類の所定の電子部品Eaであるにも関わらず収容するテープTの種類がリールRごとに異なる場合であっても、テープTの種類を自動で判別することにより、部品実装装置1における所定の電子部品Eaの実装をテープTの種類に合わせることができるので、部品実装装置1による所定の電子部品Eaの実装品質の低下を抑制することができる。
【0116】
また、本実施形態では、上記のように、制御部10を、所定の電子部品Eaを供給するテープフィーダ3aが所定の電子部品Eaを供給する代替のテープフィーダ3aへ切り替えられたことに基づいて、テープ厚みTxを再測定する制御を行うように構成する。これにより、同じ種類の所定の電子部品Eaであるにも関わらず収容するテープTの種類がテープフィーダ3aごとに異なる場合であっても、テープTの種類を自動で判別することにより、部品実装装置1における所定の電子部品Eaの実装をテープTの種類に合わせることができるので、部品実装装置1による所定の電子部品Eaの実装品質の低下を抑制することができる。
【0117】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0118】
たとえば、上記本実施形態では、制御部10は、実装ヘッド5aの上昇位置Upと、実装ヘッド5aの下降位置Dwとに基づいて、測定距離Me(所定距離)を測定する制御を行うように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部は、レーザ計測部または3次元カメラにより所定距離を測定してもよい。
【0119】
また、上記本実施形態では、制御部10は、負圧計測部5bによる負圧の計測に基づいて下降位置Dwを取得する制御を行うように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部は、Z軸モータにかかる電流の上昇に基づいて下降位置を取得する制御を行うように構成されていてもよい。
【0120】
また、上記本実施形態では、制御部10は、測定距離Me(所定距離)を測定部材により測定したことに基づいて、テープ厚みTxを取得する制御を行うように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部は、測定部材により直接的にテープ厚みを測定する制御を行うように構成されていてもよい。
【0121】
また、上記本実施形態では、制御部10は、実装ヘッド5aの上方向側(Z1方向側)の端部を基準として、測定距離Me(所定距離)を取得する制御を行うように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部は、実装ヘッドの上方向側(Z1方向側)の端部以外の箇所を基準として、所定距離を取得する制御を行ってもよい。
【0122】
また、上記本実施形態では、制御部10は、判別されたテープTの種類に基づいて、テープガイド部33に設定される吸着位置A1の認識条件データCの変更、テープ送り部31によるテープTのテープ送り速度Vの変更、および、テープフィーダ3aに取り付けられる正しいテープTの種類との照合する制御を行うように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部は、判別されたテープの種類に基づいて、認識条件データの変更、テープ送り速度の変更、および、テープフィーダに取り付けられる正しいテープの種類との照合する制御の少なくともいずれかを行えばよい。
【0123】
また、上記本実施形態では、制御部10は、テープ厚みTxが部品厚みEt未満の場合、さらに、テープ厚みTxとしきい値Thとの比較に基づいて、テープTの種類をエンボステープTeの中でもエンボスAテープTe1またはエンボスBテープTe2のいずれであるかを判別する制御を行うように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部は、しきい値の数を増加させて、エンボスAテープおよびエンボスBテープよりも多数のエンボステープの種類を判別可能に構成してもよい。また、制御部は、しきい値によるエンボステープの種類の判別を行わなくてもよい。
【0124】
また、上記本実施形態では、制御部10は、リールRの切り替えおよびテープフィーダ3aの切り替えの両方に基づいて、テープTの整合性を確認するとともに、設定データGを更新する制御を行うように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部は、リールの切り替えおよびテープフィーダの切り替えの少なくともいずれかに基づいて、テープの整合性を確認するとともに、設定データを更新する制御を行うように構成されていればよい。
【0125】
また、上記本実施形態では、テープ厚みTxとは、紙テープTpにおいて、下側カバーテープT22の厚み、キャリアテープT1の厚みおよび上側カバーテープT21の厚みを加算した厚みである例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、テープ厚みとは、紙テープにおいて、キャリアテープのみの厚みであってもよい。
【0126】
また、上記本実施形態では、テープ厚みTxとは、エンボステープTeにおいて、キャリアテープT1の第1突出部T31または第2突出部T32の厚みおよびカバーテープT2の厚みを加算した厚みである例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、テープ厚みとは、エンボステープにおいて、キャリアテープの第1突出部および第2突出部のみの厚みであってもよい。
【0127】
また、上記本実施形態では、テープフィーダ3aは、自動でテープTをローディング可能なオートローディングフィーダである例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、テープフィーダは、オートローディングフィーダ以外のスプライシングによりテープを接続する態様のテープフィーダなどであってもよい。
【0128】
また、上記本実施形態では、説明の便宜上、制御部10の制御処理を、処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明した例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部の制御処理を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【符号の説明】
【0129】
1 部品実装装置
3a テープフィーダ
5 ヘッドユニット
5a 実装ヘッド(ヘッド)
5b 負圧計測部
10 制御部
31 テープ送り部
32 搬送通路部
32b 第1支持部(支持部)
32c 第2支持部(支持部)
33 テープガイド部
33d テープガイド部の上端面部
51 実装ヘッドの下端部(ヘッドの下端部)
A1 吸着位置
C 認識条件データ(認識条件)
Dw 下降位置
Ea 所定の電子部品(所定の部品)
Et 部品厚み(所定厚み)
H 第1距離(ヘッドの下端部から搬送通路部の支持部の上端部までの距離)
M 第2距離(所定距離とテープガイド部の厚みとを加算した距離)
Me 測定距離(所定距離)
R リール
Re フィーダ照合データ(テープフィーダに取り付けられる正しいテープの種類)
T テープ
T1 キャリアテープ
T2 カバーテープ
T3 収納部
Tp 紙テープ(テープの種類、第2テープ)
Te エンボステープ(テープの種類、第1テープ)
Te1 エンボスAテープ(テープの種類)
Te2 エンボスBテープ(テープの種類)
Tu 収納部の上方の開口
Tx テープ厚み
Up 上昇位置
V テープ送り速度(テープの送り速度)