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特許7159008太陽電池モジュール用架台取付具及びそれを用いた太陽電池モジュール設置構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-14
(45)【発行日】2022-10-24
(54)【発明の名称】太陽電池モジュール用架台取付具及びそれを用いた太陽電池モジュール設置構造
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/08 20060101AFI20221017BHJP
   H02S 20/22 20140101ALI20221017BHJP
【FI】
E04F13/08 Z ETD
H02S20/22
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018207204
(22)【出願日】2018-11-02
(65)【公開番号】P2020070674
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】辻野 真次
(72)【発明者】
【氏名】平尾 直樹
(72)【発明者】
【氏名】藤家 充朗
(72)【発明者】
【氏名】小野村 寛
(72)【発明者】
【氏名】埴淵 晴男
(72)【発明者】
【氏名】谷 直隆
【審査官】清水 督史
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-168370(JP,A)
【文献】特開平07-217154(JP,A)
【文献】特開2016-000949(JP,A)
【文献】特開2012-134546(JP,A)
【文献】特開2001-065149(JP,A)
【文献】特開2001-241135(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/08
H02S 20/00-20/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物における構造躯体で支持された複数の壁パネルにより形成された外壁の壁面に太陽電池モジュールを取り付ける架台の取付具であって、
前記壁パネル同士の目地隙間を貫通する本体部と、
前記本体部の一方の端部に設けられ、前記構造躯体に取り付ける取付部と、
前記本体部の他方の端部に設けられ、前記架台を支える支持部とを備え、
前記本体部は、板状部材で形成される太陽電池モジュール用架台取付具。
【請求項2】
請求項に記載の太陽電池モジュール用架台取付具において、
前記支持部は、前記本体部の前記板状部材に連なって、その本体部に対して延長した板状延長部分を含んでおり、
前記板状延長部分は、
前記本体部の前記板状部材に対して垂直に屈曲された第1支持領域となり、
前記第1支持領域の屈曲部を起点として切り起こされた前記板状部材の一部が、前記第1支持領域と共に平面をなす第2支持領域となっており、
前記支持部は、前記第1支持領域と前記第2支持領域とを含む太陽電池モジュール用架台取付具。
【請求項3】
請求項又はに記載の太陽電池モジュール用架台取付具において、
前記架台を固定する固定プレートが、前記支持部に設けられており、
前記固定プレートのプレート面は、前記本体部における前記一方の端部と前記他方の端部とを結ぶ方向に対して直交する方向に取り付けられる太陽電池モジュール用架台取付具。
【請求項4】
請求項に記載の太陽電池モジュール用架台取付具において、
前記固定プレートは、前記支持部に対して脱着式の締結具により取り付けられる太陽電池モジュール用架台取付具。
【請求項5】
建築物における構造躯体で支持された複数の壁パネルにより形成された外壁の壁面に太陽電池モジュールを取り付ける架台の取付具であって、
前記壁パネル同士の目地隙間を貫通する本体部と、
前記本体部の一方の端部に設けられ、前記構造躯体に取り付ける取付部と、
前記本体部の他方の端部に設けられ、前記架台を支える支持部とを備え、
前記取付部には、前記構造躯体と締結される締結ビスのビス孔が設けられており、
前記本体部には、前記構造躯体と接することにより、前記ビス孔を軸中心とする前記本体部の回動を制止する制止片が設けられている太陽電池モジュール用架台取付具。
【請求項6】
建築物における構造躯体によって支持された複数の壁パネルにより形成された外壁の壁面に太陽電池モジュールを取り付けた太陽電池モジュール設置構造であって、
それぞれ垂直方向に延びると共に、水平方向に間隔をおいて配置された複数の縦軸材を含む架台と、
前記架台に設置された複数の太陽電池モジュールと、
前記架台の前記縦軸材と、前記構造躯体とを連結する、請求項1~のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール用架台取付具とを備えている太陽電池モジュール設置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面に太陽電池モジュールを設置するための架台の取付具及びそれを用いた太陽電池モジュール設置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池モジュールとそれを支持する架台の重量は合わせて15kg/m程度になる。これらを屋根の上に設置するのであれば、モジュールと架台の全荷重を屋根面に伝達させられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-000949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のように、太陽電池モジュールと架台とを壁面に設置する場合は、太陽電池モジュールと架台の全荷重を壁面に支持させてしまう。そのため、太陽電池モジュールと架台とを支持する壁面が損傷して、漏水やさらには倒壊の原因となる。
【0005】
本発明は、このような問題を解決し、太陽電池モジュール及びその架台を支持する壁面の損傷を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するため、本発明の一態様は、建築物における構造躯体によって支持された複数の壁パネルにより形成された外壁の壁面に太陽電池モジュールを取り付ける架台の取付具であって、壁パネル同士の目地隙間を貫通する本体部と、本体部の一方の端部に設けられ、構造躯体に取り付ける取付部と、本体部の他方の端部に設けられ、架台を支える支持部とを備えている。
【0007】
また、本発明の他の態様は、建築物における構造躯体によって支持された複数の壁パネルにより形成された外壁の壁面に太陽電池モジュールを取り付けた太陽電池モジュール設置構造であって、それぞれ垂直方向に延びると共に、水平方向に間隔をおいて配置された複数の縦軸材を含む架台と、架台に設置された複数の太陽電池モジュールと、架台の縦軸材と構造躯体とを連結する、本発明の太陽電池モジュール用架台取付具とを備えている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、太陽電池モジュール及びその架台を支持する壁面の損傷が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は一実施形態に係る太陽電池モジュール設置構造の施工方法の第1ステップを説明する正面図である。
図2図2は一実施形態に係る太陽電池モジュール設置構造における外壁への縦軸材の取付構造を示す断面図である。
図3図3は一実施形態に係る太陽電池モジュール設置構造の施工方法の第2ステップを説明する正面図である。
図4図4は一実施形態に係る太陽電池モジュール設置構造における一段目の太陽電池モジュールの下部の設置構造を示す断面図である。
図5図5は一実施例に係る架台取付具を用いて壁面設置用の架台を外壁に設置した状態を示す模式的な正面図である。
図6図6は一実施例に係る架台取付具によって取り付けられた太陽電池モジュールを設置する架台を構成する取付レールを示す模式的な正面図である。
図7図7図5に示す架台取付具を含む領域を示す縦方向の部分的な断面図である。
図8A図8Aは一実施例に係る架台取付具を示す右側面図である。
図8B図8Bは一実施例に係る架台取付具を示す斜視図である。
図9図9は一実施例に係る架台取付具に中央部用の固定プレートを取り付けた状態を示す正面図である。
図10図10は一実施例に係る架台取付具に端部用の固定プレートを取り付けた状態を示す正面図である。
図11図11は一実施例に係る架台を外壁に取り付ける架台取付具により、架台の左端部、中央部及び右端部を壁パネルに固定した状態を示す部分正面図である。
図12図12図11の断面図である。
図13図13は一実施例に係る壁パネルの柱への取付構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に関する実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物又はその用途を制限することを意図しない。
【0011】
ここで、まず、本出願における「太陽電池モジュール」とは、電気的に接続された複数の太陽電池セルを含み、それらが樹脂等の封止材で保護された太陽電池パネルに対して、フレーム等を付随させた製品を意味する。
【0012】
また、以下の説明では、太陽電池モジュール10は、住宅等の建築物の外壁Wに取り付けられることから、建築物の屋根側に向く方向を「上」又は「上側」、地面側に向く方向を「下」又は「下側」と称することがある。外壁Wを正面視した場合、手前側を「前側」、及びこの手前側に対する反対側を「後側」、並びに前側後側を結ぶ方向を「前後方向」と称することがある。また、上側下側を結ぶ方向を「縦方向」(垂直方向と同意)、この縦方向及び前後方向に対して直交する方向を「横方向」(水平方向と同意)、この横方向の一方側を「右側」、他方側を「左側」と称することがある。
【0013】
複数の太陽電池モジュール10が地面側(下側)から屋根側(上側)に積み上げて多段状に配置される場合にあって、任意の2つの太陽電池モジュール10を比較したとき、上側の太陽電池モジュール10を「上段」の太陽電池モジュール10、下側の太陽電池モジュール10を「下段」の太陽電池モジュール10と称することがある。各太陽電池モジュール10は、太陽電池モジュール10を電気的に接続するためのモジュール接続用ケーブルを2本有している。上段の太陽電池モジュール10に接続するためのモジュール接続用ケーブルを「上段モジュール接続用ケーブル12」、下段の太陽電池モジュール10に接続するためのモジュール接続用ケーブルを「下段モジュール接続用ケーブル13」と称することがある。
【0014】
(一実施形態)
図1図4に基づいて、一実施形態に係る太陽電池モジュール設置構造及びその施工方法を説明する。なお、本実施形態に係る太陽電池モジュール設置構造は、太陽電池モジュール10が縦方向に多段に設置されたユニットが横方向に複数列設けられたものであるが、以下では、主として、それらのうちの中間列で且つ最下段のユニットの施工方法について説明する。なお、二段目以降及び両端列のユニットの施工方法も基本的には同一である。
【0015】
<第1ステップ>
本実施形態に係る太陽電池モジュール設置構造の施工方法では、第1ステップとして、図1に示すように、住宅等の建築物の外壁W上に、各々、縦方向に延びる複数の縦軸材20を横方向に間隔をおいて取り付ける。
【0016】
具体的には、まず、外壁Wにおける縦軸材20の取付予定位置に、太陽電池モジュール用架台取付具(以下、架台取付具と呼ぶ。)21を縦方向に所定の間隔をおいて配置して固定する。架台取付具21は、例えば鋼板で形成されており、図2に示すように、前側プレート211と、その裏面の中央に結合して後側に延びる後側プレート212とを有する断面T字状部材である。架台取付具21は、前側プレート211が外壁Wに並行に配置されると共に、後側プレート212が外壁Wの目地隙間に差し入れられ、その奥の図示しない鉄骨等の構造材(構造躯体)に締結される。架台取付具21は、このようにして外壁Wに固定される。
【0017】
次に、外壁Wにおける縦軸材20の取付予定位置に固定した架台取付具21に、取付レール22を縦方向に一定の間隔をおいて配置して取り付ける。取付レール22のこの取付は、その長さ方向の両側二箇所で行う。取付レール22は、例えばめっき鋼板で形成されており、図2に示すように、幅広の正面部221と幅狭の側面部222とを有する断面L字状部材である。架台取付具21の前側プレート211は、この前側プレート211の正面から向かって左半分が左側のユニットの取付レール22のレール取付部であり、且つ右半分が右側のユニットの取付レール22のレール取付部である。取付レール22は、正面部221が前側プレート211の対応するレール取付部に接触すると共に、側面部222が外壁W側に延び、且つ正面部221と側面部222との内側の角部が前側プレート211に配置される。(なお、正面部221と側面部222との内側の角部が前側プレート211の側辺に当たっていても構わない。)そして、取付レール22側からビスB1が取付レール22の正面部221及び前面プレート211に形成されたビス孔221a、211aに締め込まれる。取付レール22は、このようにして架台取付具21に取り付けられる。
【0018】
次に、縦方向に隣接する取付レール22間を架橋材23で連結する。架橋材23は、例えばめっき鋼板で形成されており、平板状部材である。架橋材23は、その上端部が上側の取付レール22の側面部222の下端部に接触すると共に、下端部が下側の取付レール22の側面部222の上端部に接触するように配置される。そして、それらのそれぞれにおいて、架橋材23側から図示しないビスが架橋材23及び取付レール22の側面部222に形成されたビス孔に締め込まれる。架橋材23は、このようにして取付レール22に取り付けられる。
【0019】
このように、架台取付具21により外壁Wに取り付けられた取付レール22と架橋材23とを交互に結合させ、そのようにして外壁Wに取り付けられた縦軸材20を構成する。従って、取付レール22及び架橋材23は、縦軸材20を構成する縦軸材構成部材である。この場合、縦軸材構成部材は、取付レール22及び架橋材23との形状の異なる2種の部材を含む。なお、縦軸材構成部材は、形状の異なる3種の以上の複数種の部材を含んでもよく、また、単一種の部材のみを含んでもよく、さらには、1本の単一部材であってもよい。
【0020】
架台取付具21、取付レール22及び架橋材23が、金属製の場合、架台取付具21により取付レール22が外壁Wに取り付けられ、また、取付レール22間が架橋材23よって連結されると共に電気的に導通される。このため、縦軸材20は、全体として接地体を構成する。従って、縦軸材20には、それを構成する取付レール22及び架橋材23の任意の位置に、各種装置から延びる接地線の電気的な接続が可能である。
【0021】
<第2ステップ>
本実施形態に係る太陽電池モジュール設置構造の施工方法では、第2ステップとして、図3に示すように、最下段の一段目の太陽電池モジュール10を設置する。
【0022】
具体的には、まず、横方向に隣接する一対の縦軸材20の下端部間に、それらを連結するようにレール補強板30を取り付ける。また、それから縦方向に太陽電池モジュール10の高さよりもやや短い間隔をおいて、それと平行に、別のレール補強板30を、一対の縦軸材20間に、それらを連結するように取り付ける。レール補強板30は、例えばめっき鋼板で形成された平板状部材である。レール補強板30は、その左端部が左側の縦軸材20に接触すると共に、右端部が右側の縦軸材20に接触するように配置される。そして、それらのそれぞれにおいて、レール補強板30側から図示しないビスがレール補強板30及び縦軸材20に形成されたビス孔に締め込まれる。レール補強板30は、このようにして縦軸材20に取り付けられる。
【0023】
以上説明した縦軸材20である取付レール22及び架橋材23と、縦軸材20同士を横方向に接続するレール補強板30及びモジュール設置部材40とによって、太陽電池モジュール設置用の架台が構成される。
【0024】
次に、縦軸材20の下端部間に取り付けた下側のレール補強板30の上に重ねるようにモジュール設置材40を取り付ける。モジュール設置材40は、例えばめっき鋼板で形成されており、図4に示すように、板状屈曲部材であって、上部の平板部41と、その下端に連続して前側に延びた後に下側に屈曲して延びた段差部42と、その下端に連続して前側に延びた後に上側に屈曲して延びたコの字溝部43とを有する。なお、コの字溝部43の底部には水抜き孔が形成されていてもよい。また、コの字溝部43の底部は、モジュール設置部材40において、一体的に形成されているものに限定されるものではなく、別体的に形成されていても構わない。また、コの字溝部43は、モジュール設置材40の全長にわたって形成されている必要はなく、モジュール設置材40の全長において部分的に形成されていても構わない。モジュール設置材40は、平板部41が下側のレール補強板30の上に重ねられる。そして、その左端部及び右端部のそれぞれにおいて、モジュール設置材40側からビスB2がモジュール設置材40の平板部41及びレール補強板30に形成されたビス孔41a、30aに締め込まれる。モジュール設置材40は、このようにしてレール補強板30に取り付けられる。
【0025】
次に、一対の縦軸材20とレール補強板30及びモジュール設置材40で形成される横長の長方形の枠の開口を封じるように一段目の太陽電池モジュール10を設置する。太陽電池モジュール10は、横長の長方形のモジュール本体11と、各々、その裏面から延びた上段モジュール接続用ケーブル12及び下段モジュール接続用ケーブル13とを有する。上段モジュール接続用ケーブル12及び下段モジュール接続用ケーブル13のそれぞれは、電線のケーブル本体121、131と、その先端に取り付けられたコネクタ122、132とを有する。上段モジュール接続用ケーブル12のコネクタ122と下段モジュール接続用ケーブル13のコネクタ132とは接続可能とされている。なお、接続間違いを防ぐ観点からは、上段モジュール接続用ケーブル12及び下段モジュール接続用ケーブル13の同種のコネクタ同士は接続不能とされていることが好ましく、また、上段モジュール接続用ケーブル12及び下段モジュール接続用ケーブル13には、色分け等の視覚的識別手段が施されていることが好ましい。
【0026】
一段目の太陽電池モジュール10は、モジュール本体11の下辺部がモジュール設置材40のコの字溝部43に嵌め入れられると共に、モジュール本体11の裏面の両側辺部が一対の縦軸材20に、及び裏面の上辺部が上側のレール補強板30にそれぞれ接触するように設けられ、それによって縦軸材20、レール補強板30、及びモジュール設置材40の枠に設置される。なお、モジュール本体11とコの字溝部43との間、及びモジュール本体11とレール補強板30との間のうちの少なくとも1つには、ゴム製等のガスケットを設けてもよい。
【実施例
【0027】
以下、一実施例に係る架台取付具21について図面を参照しながら説明する。
【0028】
図5は、一実施例に係る架台取付具21によって、住宅用建築物の外壁Wの壁面に取り付けられた架台1の右下側端部を模式的に表した正面図である。
【0029】
図5に示すように、架台1は、縦方向に分割された複数の取付レール22と、分割された取付レール22同士を連結する架橋材(図1を参照)と、横方向に配置された取付レール22同士を接続するレール補強板30とを含む。架台1は、例えば、軸組工法で用いられる複数の壁パネル50の目地隙間52を貫通して、構造躯体である柱(後述)と直接に取り付けられる架台取付具21によって固定される。図5は、最下段に太陽電池モジュール10を配置した状態を示す。ここで、壁パネル50は、例えば軽量コンクリートによって形成された外壁Wの一例である。
【0030】
架台1は、取付レール22及び架橋材23の追加により、縦方向にも横方向にも延長が可能であり、建築物の壁面の設置面積に応じて搭載可能な太陽電池モジュール10の枚数を適宜変更する。
【0031】
図6は太陽電池モジュール10を設置する架台1を構成する取付レール22が架台取付具21によって取り付けられた状態を示す部分的な正面図である。図7図6に示す架台1の架台取付具21を含む領域を示す縦方向の部分的な断面図である。
【0032】
図6及び図7に示すように、架台1の各取付レール22は、架台取付具21を用いて、建築物の外壁Wの壁面を支持する構造躯体である柱70に固定される。具体的には、架台取付具21は、建築物の外壁Wを構成する壁パネル50の目地隙間52を貫通して、例えば、Cチャンネル材である柱70に固定される。
【0033】
この架台取付具21について、図8Aの右側面図、図8Bの斜視図、及び図9及び図10の正面図を参照しながらその構成を説明する。図8A及び図8Bに示すように、架台取付具21は、例えば鋼製の板状部材であって、互いに隣接する壁パネル50の目地隙間52を貫通する本体部21aと、該本体部21aの一方端側(一方の端部)に設けられ、建築物の柱70に取り付ける取付部21bと、本体部21aの他方端側(他方の端部)に設けられ、架台1を支える支持部21cとを含む。取付部21bには、柱70とビスにより締結するビス孔21b1が縦方向の中央部に設けられている。
【0034】
支持部21cは、本体部21aとなる板状部材に連なって、その本体部21aに対して延長する部分(板状延長部分)を含む。そして、この延長部分は、本体部21aとなる板状部材に対して垂直(直角)に屈曲される。(なお、このように屈曲された板状延長部分は第1支持領域21c1と称する)。また、この板状延長部分における屈曲した個所(屈曲部)を起点として切り起こされた板状部材の一部が、板状延長部分と共に平面を形成する(なお、切り起こされた板状部材の一部は、板状延長部分である第1支持領域21c1と共に、平面を形成することから、第2支持領域21c2と称する)。そして、支持部21cは、これら第1支持領域21c1及び第2支持領域21c2を含む。また、支持部21cの前側の端面(第2支持領域21c2)には、架台1を固定する固定プレート211cを締結する2つのビス孔21c3が縦方向に間隔をおいて設けられている。従って、この第1支持領域21c1と第2支持領域21c2とは、本体部21aと併せて平面視でT字状となり、固定プレート211cを介して取付レール22と対向して取り付けられる。固定プレート211cは、前側プレート211の一例である。このとき、支持部21cは、壁パネル50の目地隙間52から前側に飛び出すように固定される。
【0035】
また、架台取付具21の本体部21aには、柱70と接する一対の制止片21dが設けられていてもよい。具体的には、本体部21aと取付部21bとの間における両側部に、対向する2つの切り欠き部を形成することで、残った部分を制止片21dとする。この制止片21dは、図8Aに示すように、側面視で方形状であり、一対の制止片21dのうち、上側の制止片21dの上端面は取付部21bの上端面とほぼ同一である。また、下側の制止片21dの下端面は取付部21bの下端面とほぼ同一である。さらに、図9及び図10に示すように、各制止片21dの先端部は、板状の本体部21aの面内に対して同一の方向にわずかに引き起こされている。これにより、制止片21dは、柱70の背面(Cチャンネルの反対側の面)と接触する。このようにして設けられた制止片21dは、取付部21bのビス孔21b1にビスを締結する際に、固定対象である柱70の締結面(背面)と強く圧着されることにより、ビス孔21b1を軸中心とする本体部21a、ひいては、架台取付具21の回動が制止される。
【0036】
これにより、架台取付具21を柱70に固定する際の作業が容易に且つ確実に行える。また、このような架台取付具21、ひいてはそこに搭載される太陽電池モジュール10は、それらの自重でビス孔21b1を軸中心とする回動もし難い。その結果、太陽電池モジュール10と柱70との間に介在する壁パネル50に対して、太陽電池モジュール50が接触し難い。
【0037】
図9に架台取付具21の支持部21cに固定プレート211cを取り付けた状態を示す。
【0038】
図9に示す固定プレート211cは、架台1の両端部を除いた取付レール22に取り付ける際の固定プレートである。固定プレート211cには、支持部21cに設けられた2つのビス穴21c3と対応する2つのビス孔211c1が設けられており、固定プレート211cは、支持部21cに対してビスB3によって締結される。ビスB3は、脱着式の締結具の一例である。
【0039】
この固定プレート211cでは、そのプレート面の長手方向の中心付近が支持部21cの端面に対向することにより、その中心付近を境にプレート面の長手方向の両側が板状の本体部21aの面に対して垂直に向けられて固定される。
【0040】
これに対し、図10に示す固定プレート211dは、架台1の端部に取り付ける際の固定プレートである。固定プレート211dは、前側プレート211の他の例である。この固定プレート211dでは、そのプレート面の長手方向の両端のうち一方端付近が支持部21cの端面に対向することにより、プレート面の他方端側が板状の本体部21aの面に対して垂直に向けられて固定される。図10に示す固定プレート211dは、正面視で架台1の右端部に用いる固定プレートである。架台1の左端部に用いる場合は、固定プレート211dを架台取付具21に対して正面視で右側に取り付ける。固定プレート211dにおいても、支持部21cに対して、固定プレート211cと同様に、2つのビス孔211d1と、支持部21cの2つのビス穴21c3とを通してビスB3によって締結される。
【0041】
以上説明したように、本実施例に係る架台取付具21は、架台1を壁パネル50自体に固定するのではなく、構造躯体である柱70に直接に固定する。すなわち、架台取付具21が壁パネル50自体に固定されず、架台1及びそれに設置された複数の太陽電池モジュールの全荷重が建築物の複数の柱70に伝達する。その結果、太陽電池モジュール10及びその架台1を支持する壁パネル50の壁面の損傷が防止される。
【0042】
さらに、架台取付具21は、その支持部21cに架台1を直接に固定するのではなく、支持部21cに固定される固定プレート211cを介して架台1を固定する。このように、板状の架台取付具21と、その端面である支持部21cから、板状の本体部21aに対して垂直な方向に突き出す形状を有する固定プレート211c、211dとを別体の構成とすることにより、一体の構成とする場合と比べて作製が容易となる。また、壁パネル50同士の間である目地隙間52へのシーリングが容易となる。
【0043】
なお、架台取付具21の側面の具体的な形状では、図8Aに示すように、本体部21a及び支持部21cの縦方向の寸法(以下、高さ寸法とも呼ぶ。)は、取付部21bの高さ寸法よりも大きくてもよい。このようにすると、取付レール22から架台取付具21に掛かる負荷(荷重)が、この幅広の本体部21a及び支持部21cによって分散される。
【0044】
(架台取付具の取り付け例)
図11は架台を壁パネル50に取り付ける架台取付具21により、架台の左端部、中央部及び右端部を壁パネル50に固定した状態の正面図であり、図12はその横方向の断面図である。図11及び図12に示すように、例えば、左端部の架台取付具21は、その取付部21bが壁パネル50の目地隙間52を貫通して1本の柱70に固定され、その支持部21cには中央部側(右側)にのみ延びる固定プレート211dが取り付けられる。同様に、右端部の架台取付具21は、その取付部21bが壁パネル50の目地隙間52を貫通して1本の柱70に固定され、その支持部21cには中央部側(左側)にのみ延びる固定プレート211dが取り付けられる。また、中央部の架台取付具21は、その取付部21bが壁パネル50の目地隙間52を貫通して2本の柱70の間に挟持されて固定され、且つ、支持部21cには両端側(左右側)に延びる固定プレート211cが取り付けられる。
【0045】
ここで、壁パネル50の柱70への取り付け方法の一例として、図12及び図13を参照しながら説明する。壁パネル50の柱70への取り付けは、固定金具72及び受け金具73を用いて行われる。
【0046】
図12及び図13に示すように、壁パネル50の裏面における柱70のCチャンネル側であって、その近傍部分には、各柱70に平行に延びる蟻溝53がそれぞれ設けられている。また、図13に示すように、各柱70の下部には、各柱70を横方向に連結する下水平枠71が設けられている。
【0047】
固定金具72は、平面視でL字状の金具本体74を有している。金具本体74における壁パネル50から柱70側にほぼ90度に屈曲する部分には、第1のねじ式締結具75が設けられており、該第1のねじ式締結具75が柱70のCチャンネル(内側)部分に固定される。
【0048】
また、金具本体74における壁パネル50に平行な部分には、第2のねじ式締結具76が設けられており、該第2のねじ式締結具76が壁パネル50の蟻溝53に固定される。
【0049】
一方、蟻溝53の下部には、下水平枠71に載置される受け金具73の係止片74が嵌められて、壁パネル50が固定される。さらに、係止片74の下部に設けられた支持片75の上面に壁パネル50の下端面が当接して、壁パネル50が受け金具73に支持される。
【0050】
なお、壁パネル50の柱70への取り付け方法は、図13の構成に限られない。すなわち、互いに隣接する壁パネル50の目地隙間52と、柱70の背面(Cチャンネルの反対側の面)とが平面視で揃う構成であればよい。このような構成であれば、本実施例に係る架台取付具21が壁パネル50の目地隙間52を介して柱70に取り付けられる。
【0051】
また、壁パネル50と柱70との間に、例えば、断熱材等を挟み込む構成とする場合には、固定金具72及び受け金具73における各蟻溝53までの距離を延長すると共に、架台取付具21における本体部21aの前後方向の寸法をも同様に延長すれば対応が可能となる。
【0052】
-効果-
本実施例においては、太陽電池モジュール10の壁面設置用の架台1が、例えば軸組工法に用いられる壁パネル50上に取り付けられる場合に、該架台1の架台取付具21が壁パネル50自体に取り付けられる代わりに、壁パネル50の目地隙間52を通してその裏面側の柱70に直接に取りけられる。
【0053】
これにより、架台1及びそれに設置された複数の太陽電池モジュールの全荷重が建築物の複数の柱70に伝達するので、太陽電池モジュール10及びその架台1を支持する壁面の損傷が防止される。
【0054】
(その他の実施例)
上述した実施例では、取付レール22を固定する固定プレート211c、211dを、架台取付具21と別体としているが、別体の構成に限られない。すなわち、固定プレート211c、211dを、架台取付具21と一体に形成してもよい。この場合には、例えば、固定プレート211c、211dを、架台取付具21の支持部21cと溶接等によって固着してもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 架台
10 太陽電池モジュール
11 モジュール本体
20 縦軸材
21 取付具(架台取付具)
21a 本体部
21b 取付部
21b1 ビス孔
21c 支持部
21c1 第1支持領域
21c2 第2支持領域
21c3 ビス孔
21d 制止片
211c、211d 固定プレート
211c1、211d1 ビス孔
22 取付レール
23 架橋材
50 壁パネル
52 目地隙間
70 柱(構造躯体)
W 外壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13