(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-14
(45)【発行日】2022-10-24
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20221017BHJP
【FI】
H02M7/48 R
H02M7/48 M
(21)【出願番号】P 2018245629
(22)【出願日】2018-12-27
【審査請求日】2021-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】金子 恭大
(72)【発明者】
【氏名】新井 卓郎
(72)【発明者】
【氏名】児山 裕史
(72)【発明者】
【氏名】森島 洋一
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-171253(JP,A)
【文献】特開平09-163752(JP,A)
【文献】特開2016-119772(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統と電気的に接続する交流端子と、直流負荷と電気的に接続する正側直流端子および負側直流端子と、ゲート信号に基づいて動作するスイッチング素子を少なくとも1つ含むアーム変換器と、を備え、前記正側直流端子と前記負側直流端子との間に2つの前記アーム変換器を直列に接続し、2つの前記アーム変換器間と前記交流端子とを電気的に接続した相変換器を少なくとも1つと、を備え、交流電力と直流電力を互いに変換する電力変換部と、
前記相変換器の複数の前記スイッチング素子の動作を制御するための操作量を演算する第1演算処理部と、
前記操作量に応じた前記ゲート信号を生成し、前記電力変換部に送信するゲート信号生成部と、前記電力系統にて瞬時電圧低下が生じたことを検知する瞬低検知処理部と、を備えた第2演算処理部と、
前記交流端子もしくは前記アーム変換器に流れる電流値を取得し、第2演算処理部へ送信する電流検出部と、を備え、
前記瞬低検知処理部は、前記電流値が予め設定された範囲を逸脱したときに、前記電流値の時間変化率があらかじめ設定された範囲を逸脱したか否かに基づいて前記電力系統で瞬時電圧低下が発生したか否か判断し、前記電力系統で瞬時電圧低下が発生したと判断したときに、前記電力変換部の出力を停止する前記ゲート信号を生成し、前記電力変換部の出力を停止した旨を示す信号を前記第1演算処理部へ送信することを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記瞬低検知処理部は初期値が所定値のカウンタを備え、前記交流端子もしくは前記アーム変換器に流れる電流の時間変化率が予め設定された範囲を逸脱したときに前記カウンタの値を加算若しくは減算し、前記カウンタの値が所定の範囲を逸脱したときに前記電力系統で瞬時電圧低下が発生したと判断することを特徴とする、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
電力系統と電気的に接続する交流端子と、直流負荷と電気的に接続する正側直流端子および負側直流端子と、ゲート信号に基づいて動作するスイッチング素子を少なくとも1つ含むアーム変換器と、を備え、前記正側直流端子と前記負側直流端子との間に2つの前記アーム変換器を直列に接続し、2つの前記アーム変換器間と前記交流端子とを電気的に接続した相変換器を少なくとも1つと、を備え、交流電力と直流電力を互いに変換する電力変換部と、
前記相変換器の複数の前記スイッチング素子の動作を制御するための操作量を演算する第1演算処理部と、
前記操作量に応じた前記ゲート信号を生成し、前記電力変換部に送信するゲート信号生成部と、前記電力系統にて瞬時電圧低下が生じたことを検知する瞬低検知処理部と、を備えた第2演算処理部と、
前記交流端子もしくは前記アーム変換器に流れる電流値を取得し前記第2演算処理部へ送信する電流検出部と、を備え
前記交流端子における対地間電圧、若しくは、複数の前記相変換器の前記交流端子と接続された交流ライン間に印加される電圧の値を取得し前記第2演算処理部に送信する電圧検出部を有し、
前記瞬低検知処理部は、前記電流値が予め設定された範囲を逸脱したときに、前記電圧値の絶対値の総和を計算し、前記絶対値の総和があらかじめ設定した閾値以下となったときに、前記電力系統にて瞬時電圧低下が発生したと判断することを特徴とする電力変換装置。
【請求項4】
前記交流端子における対地間電圧、若しくは、複数の前記相変換器の前記交流端子と接続された交流ライン間に印加される電圧の値を取得し前記第2演算処理部に送信する電圧検出部を有し、
前記瞬低検知処理部は、前記電圧値の絶対値の総和を計算し、前記絶対値の総和があらかじめ設定した閾値以下となったときに、前記電力系統にて瞬時電圧低下が発生したと判断することを特徴とする、請求項1または請求項2記載の電力変換装置。
【請求項5】
電力系統と電気的に接続する交流端子と、直流負荷と電気的に接続する正側直流端子および負側直流端子と、ゲート信号に基づいて動作するスイッチング素子を少なくとも1つ含むアーム変換器と、を備え、前記正側直流端子と前記負側直流端子との間に2つの前記アーム変換器を直列に接続し、2つの前記アーム変換器間と前記交流端子とを電気的に接続した相変換器を少なくとも1つと、を備え、交流電力と直流電力を互いに変換する電力変換部と、
前記相変換器の複数の前記スイッチング素子の動作を制御するための操作量を演算する第1演算処理部と、
前記操作量に応じた前記ゲート信号を生成し、前記電力変換部に送信するゲート信号生成部と、前記電力系統にて瞬時電圧低下が生じたことを検知する瞬低検知処理部と、を備えた第2演算処理部と、
前記交流端子もしくは前記アーム変換器に流れる電流値を取得し前記第2演算処理部へ送信する電流検出部と、を備え
前記交流端子における対地間電圧、若しくは、複数の前記相変換器の前記交流端子と接続された交流ライン間に印加される電圧の値を取得し前記第2演算処理部に送信する電圧検出部と、を有し、
前記瞬低検知処理部は、前記電流値が予め設定された範囲を逸脱したときに、前記電圧値の時間変化率を演算し、前記電圧値の時間変化率があらかじめ設定した範囲を逸脱したときに、前記電力系統で瞬時電圧低下が発生したと判断する電力変換装置。
【請求項6】
前記交流端子における対地間電圧、若しくは、複数の前記相変換器の前記交流端子と接続された交流ライン間に印加される電圧値を取得し前記第2演算処理部に送信する電圧検出部を有し、
前記瞬低検知処理部は、前記電圧値の時間変化率を演算し、前記電圧値の時間変化率があらかじめ設定した範囲を逸脱したときに、前記電力系統で瞬時電圧低下が発生したと判断することを特徴とする、請求項1または請求項2記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記交流端子における対地間電圧、若しくは、複数の前記相変換器の前記交流端子と接続された交流ライン間に印加される電圧値を取得し前記第1演算処理部に送信する電圧検出部、を有し、
前記第1演算処理部は、前記電力変換部の出力を停止した旨を示す信号を受信してから所定時間経過後の前記電力系統の残電圧が所定の閾値以上であるとき、前記電力変換部の出力を前記電力系統の残電圧に応じた値に復帰させることを特徴とする、請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記交流端子における対地間電圧、若しくは、複数の前記相変換器の前記交流端子と接続された交流ライン間に印加される電圧値を取得し前記第1演算処理部に送信する電圧検出部、を有し、
前記第1演算処理部は、前記電力変換部の出力を停止した旨を示す信号を受信してから所定時間経過後の前記電力系統の残電圧が所定の閾値未満であるとき、前記電力系統の電圧が復帰した後に、前記電力変換部の出力を瞬時電圧低下発生前の出力まで復帰させることを特徴とする、請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記第2演算処理部の演算周期は、前記第1演算処理部よりも短い周期で演算することが可能であることを特徴とする、請求項1乃至請求項8のいずれか1項記載の電力変換装置。
【請求項10】
前記第2演算処理部は、プログラマブルロジックデバイスを備えることを特徴とする、請求項9記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電力系統に連系される太陽光発電装置や蓄電装置、風力発電装置などの再生可能エネルギーが増加している。これに伴い、電力系統の総発電量に占める再生可能エネルギーに基づく電力量の割合も増加している。
【0003】
再生可能エネルギーに基づく電力を出力する装置を電力系統に連系するときには、電力変換器が用いられる。例えば、系統送電線の事故などによる一過性の系統擾乱が起きたときに、電力変換器が一斉に解列したり出力低下が継続したりすると、系統全体の電圧や周波数に悪影響を与える恐れがある。そのため、電力系統で発生する瞬時電圧低下(瞬低)や周波数変動などの系統擾乱に対しては、運転を継続あるいは一時的に電力変換器の出力を停止し、電圧復帰後に即座に出力を復帰する機能(FRT:Fault Ride Through)が求められる。日本国内では、例えば系統連系規程JEAC9701-2016において、系統連系する電力変換器が遵守すべきFRT要件について規定されている。
【0004】
系統連系する電力変換器は交流(AC)ラインに挿入されたACリアクトルを備えると。瞬時電圧低下が発生すると、電圧低下の度合いに応じてACリアクトルに過大な電圧が印加され、ACリアクトルの容量や、印加される電圧の大きさ、電圧が印加される時間に応じて、ACラインやスイッチング素子に電流が流れる。このときスイッチング素子の劣化や破損を招くほどの大電流が流れた場合には、安全性が確保できるまで電力変換器を停止させて電力系統から解列する必要がある。電力変換器が電力系統から解列した場合、電力変換器の出力が復帰するまでの時間が長くなり、系統連系規程のFRT要件を遵守することができない可能性がある。したがって、FRT要件を遵守するためには、電力系統にて瞬時電圧低下が発生したことを高速に検知し、電力変換器の出力を一時的に停止することでACラインに流れる過電流を極力抑制し、電力系統から電力変換器が解列することを回避する必要がある。
【0005】
一方で、近年、ACリアクトルの小型化、低コスト化を目的として、連系インピーダンスを低減可能な回路技術が開発されている。例えば、交流側の電圧波形を多段化するマルチレベル変換器(MMC:Modular Multi-level Converter)や中性点クランプ方式のマルチレベル変換器、フライングキャパシタ方式のマルチレベル変換器などや、SiCやGaNなどの半導体を用いたスイッチング素子を備え、交流側の電圧を高周波化する高周波コンバータなどは、連系インピーダンスを低減可能な回路である。これら連系インピーダンスが小さい回路を含む装置では、瞬時電圧低下時にACラインに流れる電流が大きくなるため、瞬時電圧低下時の過電流をさらに高速に検出することが必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-78207号公報
【文献】特開2017-163777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の実施形態は上記事情を鑑みて成されたものであって、電力系統の瞬時電圧低下時に電力変換器の出力を一時的に停止し、瞬時電圧低下による過電流を抑制可能な電力変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態による電力変換装置は、電力系統と電気的に接続する交流端子と、直流負荷と電気的に接続する正側直流端子および負側直流端子と、ゲート信号に基づいて動作するスイッチング素子を少なくとも1つ含むアーム変換器と、を備え、前記正側直流端子と前記負側直流端子との間に2つの前記アーム変換器を直列に接続し、2つの前記アーム変換器間と前記交流端子とを電気的に接続した相変換器を少なくとも1つと、を備え、交流電力と直流電力を互いに変換する電力変換部と、前記相変換器の複数の前記スイッチング素子の動作を制御するための操作量を演算する第1演算処理部と、前記操作量に応じた前記ゲート信号を生成し、前記電力変換部に送信するゲート信号生成部と、前記電力系統にて瞬時電圧低下が生じたことを検知する瞬低検知処理部と、を備えた第2演算処理部と、前記交流端子もしくは前記アーム変換器に流れる電流値を取得し、第2演算処理部へ送信する電流検出部と、を備え、前記瞬低検知処理部は、前記電流値が予め設定された範囲を逸脱したときに、前記電流値の時間変化率があらかじめ設定された範囲を逸脱したか否かに基づいて前記電力系統で瞬時電圧低下が発生したか否か判断し、前記電力系統で瞬時電圧低下が発生したと判断したときに、前記電力変換部の出力を停止する前記ゲート信号を生成し、前記電力変換部の出力を停止した旨を示す信号を前記第1演算処理部へ送信する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態の電力変換装置の構成例を概略的に示すブロック図である。
【
図2A】
図2Aは、
図1に示す電力変換装置の電流センサおよび電流検出部の他の構成例を概略的に示す図である。
【
図2B】
図2Bは、
図1に示す電力変換装置の電圧センサおよび電圧検出部の他の構成例を概略的に示す図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態の電力変換装置における瞬低検知処理部の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図4】
図4は、一実施形態の電力変換装置にて電力変換部の出力を停止する際の第2演算処理部の動作タイミングの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、一実施形態の電力変換装置において、出力停止状態から出力を復帰するときの動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図6】
図6は、電力系統にて瞬時電圧低下が発生し所定時間経過後の残電圧が20%以上であるときに、一実施形態の電力変換装置の出力を復帰する動作の一例を概略的に示す図である。
【
図7】
図7は、電力系統にて瞬時電圧低下が発生し所定時間経過後の残電圧が20%未満であるときに、一実施形態の電力変換装置の出力を復帰する動作の一例を概略的に示す図である。
【
図8】
図8は、電力系統にて瞬時電圧低下が発生したときの、一実施形態の電力変換装置の動作のシミュレーション結果の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態の電力変換装置の構成例を概略的に示すブロック図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態の電力変換装置にて電力系統の瞬時電圧低下を検知したときの第2演算処理部の動作の一例を説明するための図である。
【
図11】
図11は、第2実施形態の電力変換装置にて、交流電圧の検出値と、瞬低検知処理部の演算2により得られる信号との一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態の電力変換装置について図面を参照して説明する。
図1は、一実施形態の電力変換装置の構成例を概略的に示すブロック図である。
本実施形態の電力変換装置100は、電力変換部10と、第1演算処理部12と、第2演算処理部13と、電流センサ14と、電流検出部15と、電圧センサ16と、電圧検出部17と、を備えている。
なお、電流センサ14と、電圧センサ16とは、電力変換装置100の外部に設けられても構わない。
【0011】
電力変換部10は、交流端子NACと、正側直流端子NDCPと負側直流端子NDCNと、少なくとも1つの相変換器11と、を備えている。本実施形態において、電力変換部10は、直流電力と交流電力とを相互に変換する回路であって、三相交流系統と接続される場合、U相、V相、および、W相に対応する3つの相変換器11を備えている。
【0012】
交流端子NACは、交流ラインを介して電力系統1と電気的に接続される。
正側直流端子NDCPと負側直流端子NDCNは、図示しない直流負荷と電気的に接続可能である。なお、正側直流端子NDCPと負側直流端子NDCNには、直流負荷として太陽光発電装置や、蓄電装置、風力発電装置を接続することができる。
【0013】
相変換器11は、2レベル電力変換器又はマルチレベル電力変換器であって、アーム変換器A1、A2と、交流ラインに挿入されるACリアクトル、またはアーム変換器A1、A2に直列接続されるバッファリアクトル(図示せず)と、を備えている。アーム変換器A1、A2のぞれぞれは、図示しないスイッチング素子を少なくとも1つ備えている。
ACリアクトル、またはバッファリアクトルは、交流端子NAC交流ラインに連系インピーダンスを形成する。
【0014】
スイッチング素子は、例えば、MOSFET(半導体電界効果トランジスタ:Metal-Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor)、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ:Insulated Gate Bipolar Transistor)、IEGT(電流注入促進型絶縁ゲートトランジスタ:Injection Enhanced Gate Transistor)などを採用することが可能である。複数のスイッチング素子は、後述する第2演算処理部13から供給されるゲート信号に基づいて動作する。
【0015】
電流センサ14は、例えば、ホール素子やシャント抵抗を用いるものを採用することができる。電流センサ14は、電力変換部10の交流端子NACと電力系統1との間に電気的に接続された交流ラインに取り付けられ、電力変換部10の交流端子NACに流れる電流を検出する。
【0016】
電流センサ14は、相変換器11のスイッチング素子に流れる電流を検出可能な構成であれば上記構成に限定されるものではない。電流センサ14は、電力変換部10内の交流ラインに取り付けられ、交流端子NACに流れる電流を検出してもよく、相変換器11のアーム変換器A1、A2に流れる電流を検出するように構成されてもよい。
【0017】
図2Aは、
図1に示す電力変換装置の電流センサおよび電流検出部の他の構成例を概略的に示す図である。
図2Aに示す例では、電流センサ14は、アーム変換器A1と交流端子NACとの間と、アーム変換器A2と交流端子NACとの間とに取り付けられている。このように電流センサ14を取り付けることにより、アーム変換器A1に流れる電流i
armpと、アーム変換器A2に流れる電流i
armnとを検出することが可能である。
【0018】
電流検出部15は、電流センサ14にて検出された電流値(若しくは電流相当値)を受信する。電流検出部15は、電流センサ14から受信した信号のノイズを除去するためのフィルタ処理や振幅調整を行い、検出した電流値を出力することができる。
【0019】
電圧センサ16は、交流端子NACの電圧を検出する。電圧センサ16は、例えばアース電位などの基準電位に基づいて、交流端子NACの電圧(対地間電圧)を検出することができる。電力変換部10が複数の相変換器11を備える場合には、電圧センサ16は相電圧を検出してもよく、交流端子NACと電力系統1との間に電気的に接続された複数の交流ラインの線間電圧を検出してもよい。
図2Bは、
図1に示す電力変換装置の電圧センサおよび電圧検出部の他の構成例を概略的に示す図である。
図2Bに示す例では、電圧センサ16は、複数の交流ライン(例えばU相およびV相)のそれぞれの電圧を取得し、いずれかの電圧を基準とした線間電圧V
12を電圧検出部17へ出力する。
【0020】
電圧検出部17は、電圧センサ16にて検出された電圧値(若しくは電圧相当値)の振幅を調整し、交流電圧の検出値X5を第1演算処理部12へ出力する。本実施形態では、検出値X5は、第1演算処理部12のA/D変換器(図示せず)に入力される。なお、交流電圧の検出値X5は、電圧センサ16で検出された値に準じた値である。
【0021】
第1演算処理部12は、例えば交流端子NACおよび直流側の電圧および電流の値を取得し、電力変換部10の各相変換器11に対する出力指令値など、スイッチング素子の動作を制御するための操作量X1を演算し、第2演算処理部13へ出力する。第1演算処理部12は、例えば、電流制御又は電圧制御を行う機能(図示せず)を備え、スイッチング素子の動作を制御するための各種操作量を演算することが可能である。
なお、第1演算処理部12は、例えば、交流端子NACおよび直流側の電圧および電流の値を検出するセンサと検出回路とを備えていてもよく、第2演算処理部13を介して検出値を取得してもよく、電力変換装置100の外部から検出値を取得してもよい。
【0022】
第1演算処理部12は、例えば、CPU(central processing unit)やMPU(micro processing unit)などのプロセッサと、プロセッサにより実行されるプログラムが記録されるメモリ(図示せず)と、を備えている。
【0023】
第2演算処理部13は、少なくとも1つのプログラマブルロジックデバイス(PLD:Programmable Logic Device)を含む演算部131と、A/D変換器132と、メモリ13Mと、を備えている。
【0024】
演算部131は、例えば、数ns~数十nsのクロック周期で高速に演算処理を行うことが可能な回路として設定された集積回路である。第2演算処理部13のプログラマブルロジックデバイスとしては、例えばFPGA(Field Programmable Gate Arrays)を採用することができる。
【0025】
A/D変換器132は、電流検出部15から出力された値を受信し、デジタル信号に変換して演算部131へ出力する。本実施形態において、例えば、A/D変換器132の変換処理時間は1μs程度である。
【0026】
演算部131は、例えば、ゲート信号生成部131Aと、過電流・瞬低検知処理部131Bと、を備えている。
ゲート信号生成部131Aは、第1演算処理部12から出力された操作量X1に従って、複数の相変換器11のスイッチング素子を制御するゲート信号X2を生成する。ゲート信号X2の算出には、例えば、PWM(パルス幅変調:Pulse Width Modulation)により、操作量X1を満たすゲート信号X2を算出することができる。なお、ゲート信号生成部131Aにおいてゲート信号X2を生成する際には、操作量X1に応じたゲート信号X2を算出可能であれば上記方法以外の方法も採用可能であって、例えば、ベクトル制御やルックアップテーブルを用いてゲート信号X2を算出する方法を用いることが可能である。
【0027】
過電流・瞬低検知処理部131は、ゲート信号生成部131Aにてゲート信号X2を算出する処理と同時に、複数の相変換器11のスイッチング素子に流れる電流(若しくは交流端子NACに流れる電流)の検出値X3を利用して、電力系統1における瞬時電圧低下の有無を検知するための演算を行う。なお、本実施形態において、同時に行われる処理とは、A/D変換器132における変換処理の一周期内に行われる処理であり、変換処理一周期とは例えば1μs周期である。
【0028】
過電流・瞬低検知処理部131B は、電力系統1における瞬時電圧低下を検知したときに、電力変換部10の出力を停止させるゲート信号X2を生成して電力変換部10へ送信する。また、過電流・瞬低検知処理部131Bは、電力系統1における瞬時電圧低下を検知したときに、第1演算処理部12に出力停止動作開始信号X4を送信する。
【0029】
演算部131は、電力系統1における瞬時電圧低下が検知されたときに、電力変換部10へ出力するゲート信号X2の値を、ゲート信号生成部131Aの出力値から過電流・瞬低検知処理部131Bの出力値へ切り替えることが可能である。また、電力系統1が瞬時電圧低下から復帰したときに、電力変換部10へ出力するゲート信号X2の値を、過電流・瞬低検知処理部131Bの出力値からゲート信号生成部131Aの出力値へ切り替えることが可能である。
【0030】
図3は、第1実施形態の電力変換装置における瞬低検知処理部の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
最初に、過電流・瞬低検知処理部131Bは、A/D変換器132から、複数のアーム変換器A1、A2に流れる電流(若しくは交流端子NACに流れる電流)の検出値X3を取得する。検出値X3を取得する周期は、A/D変換器132の変換周期に合わせることが望ましい。過電流・瞬低検知処理部131Bは、このとき取得した検出値X3をメモリ13Mに記録する。(ステップS1)
【0031】
続いて、過電流・瞬低検知処理部131Bは、瞬時電圧低下の判定と出力停止に係る演算とを開始する。過電流・瞬低検知処理部131Bは、後述するステップS3-S5とステップS6とを並列に行う。(ステップS2)
まず、過電流・瞬低検知処理部131Bにて、検出値X3の時間変化率を算出する処理(演算1)(ステップS6)について説明する。
【0032】
過電流・瞬低検知処理部131Bは、メモリ13Mに記録された一周期前の検出値X3と、検出値X3の現在値とを比較して、検出値X3の時間変化率(例えば単位時間当たりの検出値X3の変化量[A/s])を算出することができる。なお、検出値X3の時間変化率を算出する方法は、微分演算であればよく、上記方法に限定されるものではない。また、過電流・瞬低検知処理部131Bは、検出値X3の高周波ノイズを除去するために、時間変化率の算出前に、検出値X3をフィルタ処理しても良い。
【0033】
次に、過電流・瞬低検知処理部131Bは、算出した検出値X3の時間変化率があらかじめ設定した上限値を超過したか、あるいは、あらかじめ設定した下限値より低下したかを判定する。ここで用いられる上限値と下限値は、定常運転時に検出値X3が変動する範囲よりも外側にあることが望ましい。
【0034】
過電流・瞬低検知処理部131Bは、例えば、初期値ゼロのカウンタnを備え、検出値X3の時間変化率が上限値を超過するか下限値よりも低下した(判定結果が正である)ときにカウンタnの値を繰り上げ、検出値X3の時間変化率が下限値以上であり、かつ上限値以下である(判定結果が負である)ときにカウンタnの値を0にリセットする。過電流・瞬低検知処理部131Bは、カウンタnの値をメモリ13Mに記録する。なお、カウンタnの初期値はゼロに限定されるものではない。また、過電流・瞬低検知処理部131Bは、検出値X3の時間変化率が上限値を超過するか下限値よりも低下した(判定結果が正である)ときにカウンタnの値を繰り下げてもよい。(ステップS6)
【0035】
次に、過電流・瞬低検知処理部131Bにおける、過電流の判定および出力停止の処理(ステップS3-S5)について説明する。
過電流・瞬低検知処理部131Bは、検出値X3があらかじめ設定した上限値以上であるか、あらかじめ設定した下限値以下であるかを判定し(予め設定された範囲を超えたか否か判定し)、過電流であるか否か判断する。(ステップS3)
なお、上記ステップS3にて用いる上限値と下限値は、電力変換装置100が電力系統1から解列されないように複数のアーム変換器に流れる電流(若しくは交流端子NACに流れる電流)が過大になる前に電力変換部10の出力を停止できるように設定される。連系インピーダンスが低い電力変換器では、瞬時電圧低下発生から電力変換部10の出力を停止するまでの時間が、第1演算処理部12の演算周期以下となる場合がある。
【0036】
ステップS3にて、過電流・瞬低検知処理部131Bは、検出値X3が上限値よりも大きい又は下限値よりも小さいときに過電流であると判断し(ステップS3の判定結果を正とし)、ステップS4を実行する。ステップS4では、メモリ13Mに記録されたカウンタnの値、すなわち、直前の演算周期において上述のステップS6にて算出されたカウンタnの値と、あらかじめ設定した任意の数Nと比較する。
【0037】
例えば、メモリ13Mに記録されたカウンタnの値が任意の数N以上のとき、瞬低検知処理部131Bは、電力系統1にて瞬時電圧低下が発生している判断し(ステップS4の判定結果を正とし)、メモリ13Mに記録されたカウンタnの値が任意の数N未満であるとき、電力系統1にて瞬時電圧低下が発生していないと判断する。
なお、上記ステップS6にて、瞬低検知処理部131Bが、検出値X3の時間変化率が上限値を超過するか下限値よりも低下したときにカウンタnの値を繰り下げるときには、例えば、メモリ13Mに記録されたカウンタnの値が任意の数N以下のとき、過電流・瞬低検知処理部131Bは、電力系統1にて瞬時電圧低下が発生している判断し、メモリ13Mに記録されたカウンタnの値が任意の数Nより大きいとき、電力系統1にて瞬時電圧低下が発生していないと判断する。
【0038】
なお、本実施形態では、ここで用いる任意の数Nとしては、例えば「3」を選択したものとして説明する。任意の数Nとして「3」を選択したときには、過電流・瞬低検知処理部131BのステップS6にて、3周期連続で検出値X3の時間変化率が上限値を超えるもしくは下限値より低下したときに、ステップS4にて、電力系統1で瞬時電圧低下が発生していると判断することとなる。
【0039】
例えば、任意の数Nを「1」や「2」とした場合は、任意の数Nを「3」としたときよりも高速に瞬時電圧低下の判定結果を得られる。一方で、任意の数Nを小さくするときには、検出値X3に含まれるノイズ等による誤判定の可能性を考慮すべきである。上記のように、任意の数Nは、瞬時電圧低下検出に要する時間と、誤判定の可能性とを考慮して決定されることが望ましい。
すなわち、上述のステップS4とステップS6とは、過電流・瞬低検知処理部131Bにおける瞬時電圧低下の誤判定を防止するための処理である。
【0040】
ステップS4にて、電力系統1で瞬時電圧低下が発生していると判断したときに、ステップS5を実行する。ステップS5では過電流・瞬低検知処理部131B電力変換部10の出力を停止させる。過電流・瞬低検知処理部131Bは、複数の相変換器11のスイッチング素子を強制的にオフするゲート信号X2を生成して電力変換部10へ出力してもよく、スイッチング素子に流れる電流がゼロとなるゲート信号X2を生成して電力変換部10へ出力してもよい。
【0041】
なお、過電流・瞬低検知処理部131Bにて、電力系統1で瞬時電圧低下が発生していると判断されたときに、演算部131は、電力変換部10へ出力する値を、ゲート信号生成部131Aから出力されるゲート信号X2から過電流・瞬低検知処理部131Bから出力されるゲート信号X2へ切り替えることができる。
【0042】
過電流・瞬低検知処理部131Bまた、ステップ5では、電力変換部10の出力を停止したことを示す出力停止動作開始信号X4を第1演算処理部12へ送信する。出力停止動作開始信号X4は、例えば、一定時間ハイ状態を継続するパルス信号であってもよく、ワンショットの信号であってもよい。
【0043】
第1演算処理部12は、第2演算処理部13から出力停止動作開始信号X4を受信したときに、例えば、電力変換部10から出力される交流電流の指令値がゼロとする操作量X1を出力する。また、第1演算処理部12は、各種の電流や電圧の制御に用いる積分器をリセットしてもよい。
なお、演算部131は、例えば、第2演算処理部13において出力を復帰すると判断されるまで、電力変換部10の出力を停止した状態を保持する。
【0044】
過電流・瞬低検知処理部131Bは、ステップS3にて過電流でない(検出値X3が下限値以上であり上限値以下である)と判断したとき、および、上記ステップS5-S6が終了した後、演算を終了する。(ステップS7)
過電流・瞬低検知処理部131Bは、所定の演算周期にて上記ステップS1-S7を周期的に行う。なお、過電流・瞬低検知処理部131Bにて行われる一連の処理(ステップS1-S7)の演算周期は、A/D変換器132での変換周期以上であり、例えば1μs程度である。
【0045】
図4は、一実施形態の電力変換装置にて電力系統1の瞬時電圧低下を検知したときの第2演算処理部13の動作の一例を説明するための図である。
ここでは、電力変換装置100の通常運転時に、電力系統1における瞬時電圧低下が発生した場合について説明する。
【0046】
電力変換装置100の通常運転時において、例えば、複数の交流端子NACもしくはアーム変換器A1、A2に流れる電流は、電流Iのようにリプルを含む波形となる。なお、電流Iのリプル周期は、第1演算処理部12の演算周期となる。第1演算処理部12の演算周期は、例えば、数十μsから数百μsである。
【0047】
電力系統1において瞬時電圧低下が発生した直後から電流Iは上昇し始める。連系インピーダンスが低い電力変換装置100では、電力系統1の瞬時電圧低下発生時に生じる電流Iの変化率は、通常運転時のリプルの変化率よりも著しく大きく、例えばリプルの10倍程度にもなり得る。
【0048】
例えば、電力変換部10の連系インピーダンスが100μHであって、電力系統1における瞬時電圧低下により交流電圧が低下し、連系インピーダンスに163Vの電圧が印加されると、瞬時電圧低下発生後の電流Iの変化率は1μsあたりおよそ1.6Aとなる。
【0049】
上記の場合、第1演算処理部12の演算周期を例えば50μsとすると、一演算周期間に、スイッチング素子に流れる電流が80A上昇することとなる。この電流上昇を許容するために、電流耐量の大きいスイッチング素子を用いると、電力変換装置100の製造コストが増加する。電力変換装置100の製造コストを抑えるために、スイッチング周期(第1演算処理部12の演算周期)よりも短い時間で、できるだけ早く電力変換器の出力を停止することが望ましい。
【0050】
また、例えば、電流Iの通常運転時のピーク値が略30Aであって、スイッチングデバイスの保護のために電力変換部10を停止し、電力系統1から電力変換部10を解列するロックアウトレベルを50Aであるとする。このとき、FRT要件を満足し、電力系統1の瞬時電圧低下が発生したときに電力変換装置100の運転を継続するためには、瞬時電圧低下から10μs程度の間に電力変換部10の出力を停止しなければならない。
【0051】
図4では、電力系統1にて瞬時電圧低下が発生した時点および発生時以降の電流Iについて、時間軸を拡大して更に示している。ここでは、電流Iと、検出値X3と、検出値X3の時間変化率ΔIと、第2演算処理部13のステップS3-S6での判定結果の一例とを示している。また、この例では、第2演算処理部13における演算周期を1μsとしている。
【0052】
なお、電流検出部15から出力される検出値X3は、センサやフィルタ処理による遅れを含むため、実際の電流値よりも低く検出されることを考慮して、前述のステップS3にて用いる上限値と下限値とを設定することが望ましい。
【0053】
電力系統1にて瞬時電圧低下が発生すると、電流Iが上昇し始め、これに遅れて検出値X3が上昇し始める。その結果、
図4に示す例では、電力系統1にて瞬時電圧低下が発生してから4μs後にはじめて、検出値X3の時間変化率ΔIが予め設定された上限値を超え、ステップS6にてカウンタnの値が加算される。その後、検出値X3の時間変化率ΔIは上限値を超えている間、カウンタnの値が演算周期毎に加算される。
【0054】
ステップS3では、検出値X3の値が予め設定された上限値を超えたときに、過電流であると判断される(判断結果が正(=1)となる)。
図4に示す例では、電力系統1にて瞬時電圧低下が発生してから略6μs後にステップS3にて過電流であると判断される。
【0055】
なお、電力変換装置の運転条件や系統擾乱の条件により、ステップS3の判定結果が正(=1)となるタイミングと、ステップS6の判定結果が正(=1)となるタイミングは前後する可能性がある。
【0056】
ステップS3の判定結果が正となると、第2演算処理部13はステップS4の処理へ進む。
図4に示す例のようにステップS4において、任意の数Nが例えば「5」と設定されている場合、第2演算処理部13は、ステップS4においてカウンタnの値が5回連続で加算されたときに、瞬時電圧低下と判断することとなる(判定結果が正(=1)となる)。
【0057】
ステップS4にて瞬時電圧低下であると判断されると、第2演算処理部13はステップS5の処理へ進み、電力変換部10の出力が停止される(例えば、ステップS5にて出力停止処理フラグが正(=1)となる)。
図4に示す例では、電力系統1にて瞬時電圧低下が発生してから電力変換部10の出力が停止されるまでに要する時間は、8μs程度となる。
【0058】
本実施形態では、第2演算処理部13の演算周期は第1演算処理部12の演算周期よりも短く、例えば1μsである。これにより、第2演算処理部13は、電力系統1における瞬時電圧低下の発生直後、数μsの間に電力変換部10の出力停止動作を行うことが可能であり、電流Iの増加を抑制することができる。
【0059】
また、通常運転時にステップS6における判定の結果が正(=1)とならないように上限値および下限値を設定することにより、電力系統の常時電圧変動や検出系のノイズなどの影響で、通常運転時にステップS3で過電流を検出してしまったとしても、ステップSS4における判定結果が正(=1)となることはない。したがって、本実施形態の電力変換装置100によれば、通常運転時に過電流の誤検出がなくなり、不要な出力停止動作を回避することができる。
【0060】
次に、電力変換部10の出力が停止された状態から、出力を復帰する際の電力変換装置100の動作の一例について説明する。
図5は、一実施形態の電力変換装置において、出力停止状態から出力を復帰するときの動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【0061】
本実施形態において、交流端子NACにおける交流電圧は、第1演算処理部12にて取得することができる。第1演算処理部12では、取得した交流端子NACにおける交流電圧を用いて、電力変換部10の出力を復帰する際の処理を行う。例えば、第2演算処理部13において、交流端子NACにおける交流電圧を取得可能であるときには、第2演算処理部13にて、出力を復帰する際の処理を行うことも可能である。
【0062】
最初に、第1演算処理部12は、出力復帰制御を開始する。第1演算処理部12が出力復帰制御を開始するタイミングは、例えば、
図3に示すステップS6によって第1演算処理部12が出力停止動作開始信号X4を受信してから、一定時間t1だけ経過した時とする。ここで、一定時間t1とは、系統連系規程のFRT要件を満足するように設定される時間であれば良く、例えば20msである。(ステップS10)
【0063】
なお、第1演算処理部12が出力復帰制御を開始するタイミングは、FRT要件を満足できればよく、第1演算処理部12が出力停止動作開始信号X4を受信した後の、交流端子NACにおける交流電圧のゼロクロスのタイミングや、制御演算の初端や終端、PWM制御に用いるキャリア波など周期的な波形の変化点や山谷、エッジなど、特徴的となる時点を利用しても良い。
【0064】
続いて、第1演算処理部12は、交流端子NACにおける交流電圧の振幅を算出する。振幅の算出方法としては、PLL(Phase Locked Loop)処理を用いるほか、交流電圧の最大値から演算することができる。(ステップS11)
【0065】
続いて、第1演算処理部12は、ステップS11にて算出した交流電圧の振幅から、交流電圧の残電圧が20%以上か否かを判定する。なお、判定基準は必ずしも20%でなくともよい。電力変換部10の出力を復帰できる範囲で判定基準を下げて、例えば10%としてもよい。(ステップS12)
【0066】
ステップS12にて、交流電圧の残電圧が20%以上であると判断したとき(判定結果が正(=1)であるとき)、第1演算処理部12は、
図3のステップS6にて電力変換部10の出力を停止した状態を解除し、出力を復帰させる。第1演算処理部12は、例えば、交流電流の指令値をゼロもしくは出力停止時の状態から、出力可能な最大値まで増加させる。電力変換部10の出力可能な最大値は、例えば、電力変換部10の出力を停止する直前の交流電流の指令値に、交流電圧の残電圧[%]を乗じることにより算出されてもよく、交流電圧の残電圧を入力として、入力された残電圧[%]に応じた交流電流の指令値を出力するルックアップテーブルを用いて算出されてもよい。
【0067】
また、第1演算処理部12は、電力変換部10の出力を復帰する際の交流電流の指令値を、FRT要件を満足する範囲で徐々に増加させてもよい。例えば、処理S13の開始から0.1秒かけて交流電流の指令値を増加させる。(ステップS13)
【0068】
ステップS13が終了すると、第1演算処理部12は、出力復帰制御を終了する。(ステップS20)
ステップS12にて、交流電圧の残電圧が20%以上でないと判断したとき(判定結果が正(=1)でないとき)、第1演算処理部12は、カウンタmをゼロにセットする。なお、第1演算処理部12は、ステップS10やステップS11の直前直後にステップS14を行ってもよい。(ステップS14)
【0069】
以下に説明するステップS15-S19では、第1演算処理部12は、電力系統1の電圧が瞬時電圧低下発生前の状態に復帰するまで電力変換部10の出力を復帰させずに待機するための処理を行う。第1演算処理部12は、電力系統1の電圧が一定時間の間(例えばカウンタmが所定の値以上となるまでに要する時間)に復帰しなければ、異常と判断して電力変換部10の出力を停止した状態を継続する。
【0070】
ステップS14の後、第1演算処理部12は、電力系統1の電圧が復帰したか否かを判定する。
第1演算処理部12は、例えば、電力系統1にて瞬時電圧低下が発生する直前の交流電圧の振幅をメモリ(図示せず)に記憶しておき、ステップS11にて算出した交流電圧の振幅とメモリに記憶された値との差が所定の値未満であるときに、電力系統1の電圧が復帰したと判定する(判定結果を正(=1)とする)。(ステップS15)
【0071】
ステップS15において電力系統1の電圧が復帰したと判定したときに、第1演算処理部12は、電力変換部10の出力を停止した状態を解除し、出力を復帰する。出力を復帰する方法としては、例えば交流電流の指令値をゼロから瞬時電圧低下発生前の値まで増加させることが考えられる。出力復帰時の交流電流の指令値は、FRT要件を満足する範囲で徐々に増加させても良い。この場合、第1演算処理部12は、例えばステップS16の開始時点から0.1秒かけて交流電流の指令値を増加させる。(ステップS16)
【0072】
ステップS16が終了すると、第1演算処理部12は、出力復帰制御を終了する。(ステップS20)
ステップS15において電力系統1の電圧が復帰していないと判断したときに、第1演算処理部12は、カウンタmをカウントアップする(m=m+1とする)。(ステップS17)
【0073】
続いて、第1演算処理部12は、カウンタmの値があらかじめ設定した任意の数Mより大きいか否か判定する。(ステップS18)
ここで任意の数Mは、例えば、電力変換部10が出力復帰する必要がある場合の瞬時電圧低下の継続時間を考慮して設定されることが望ましい。例えば、0.3秒以下の瞬時電圧低下に対して電力変換部10が出力復帰する必要があれば、カウンタmのカウントアップを開始してから少なくとも0.3秒経過してから、カウンタmの値が任意の数Mより大きくなるように(ステップS18にて判定結果が正(=1)となるように)任意の数Mが設定されることが望ましい。
【0074】
ステップS18にてカウンタmが任意の数M以下であると判断されると、第1演算処理部12は、交流端子NACにおける交流電圧の振幅を算出する。(ステップS19)
続いて、第1演算処理部12は、次の制御周期を待ってから、前述のステップS15以降の処理を繰り返す。
【0075】
ステップS18にてカウンタmが任意の数Mより大きいと判断されると、第1演算処理部12は、出力復帰制御を終了する(ステップS20)。この場合、電力変換部10の出力停止状態が維持される。
【0076】
図6は、電力系統にて瞬時電圧低下が発生し所定時間経過後の残電圧が20%以上であるときに、一実施形態の電力変換装置の出力を復帰する動作の一例を概略的に示す図である。
電力系統1にて瞬時電圧低下が発生したとき、第2演算処理部13は、例えば、
図3に示すフローに従って電力変換部10の出力を停止する。
【0077】
第1演算処理部12は、第2演算処理部13から出力停止動作開始信号X4を受信してから一定時間t1経過したタイミングT1にて、出力復帰制御を開始する。時間t1は、例えば20msである。
【0078】
図6に示す例では、電力系統1の残電圧が20%以上であるため、第1演算処理部12は、例えば、
図5のステップS13を実行し、電力変換部10の出力交流電流の指令値を残電圧に応じた値まで増加させて、電力変換部10の出力を復帰し始める。
【0079】
その後、電力系統1の電圧が復帰すると、交流端子NACの電圧に応じて電力変換部10の出力交流電流の指令値が上昇し、電力変換部10の出力も徐々に復帰していく。第1演算処理部12は、電力系統1にて瞬時電圧低下が発生した直前の出力まで電力変換部10の出力が復帰すると(タイミングT2)、出力復帰制御を終了する。
【0080】
図7は、電力系統にて瞬時電圧低下が発生し所定時間経過後の残電圧が20%未満であるときに、一実施形態の電力変換装置の出力を復帰する動作の一例を概略的に示す図である。
電力系統1にて瞬時電圧低下が発生したとき、第2演算処理部13は、例えば、
図3に示すフローに従って電力変換部10の出力を停止する。
【0081】
第1演算処理部12は、第2演算処理部13から出力停止動作開始信号X4を受信してから一定時間t2経過したタイミングT3にて、出力復帰制御を開始する。時間t2は、例えば20msである。
図7に示す例では、電力系統1の残電圧が20%未満であるため、第1演算処理部12は、
図5のステップS14-S19を実行し、交流端子NACの電圧が復帰するまで電力変換部10の出力を停止した状態を維持させる。
【0082】
交流端子NACの電圧が復帰すると、上述のステップS19により電圧復帰後の交流電圧の振幅が算出される。第1演算処理部12は、算出後の電圧振幅に基づいてステップS15にて交流電圧が復帰したと判断すると、ステップS16により、電力系統1にて瞬時電圧低下が発生する直前の値まで、電力変換部10の出力を復帰させる動作を開始する。この例では、第1演算処理部12は、電力変換部10の出力電流の指令値を徐々に増加させ、電力変換部10の出力を徐々に復帰させている。
【0083】
図8は、電力系統にて瞬時電圧低下が発生したときの、一実施形態の電力変換装置の動作のシミュレーション結果の一例を示す図である。
ここでは、電力変換装置100が通常運転時に、電力系統1にて残電圧0%の瞬時電圧低下が略50ms間継続したときのシミュレーション結果の一例を示す。
【0084】
図8に示すシミュレーション結果によれば、電力系統1にて瞬時電圧低下が発生した直後、即座に電力変換部10の出力が停止している。これにより、複数のアーム変換器A1、A2に流れる電流若しくは交流端子NACに流れる電流もゼロとなる。
【0085】
その後、電力系統1の残電圧が0%である間は、電力変換部10の出力が停止した状態が維持されている。電力系統1の電圧が復帰した後、所定時間経過後、第1演算処理部12における交流電圧振幅の演算結果に反映され、交流電圧の振幅が100%に復帰したと判断されると、電力変換部10の出力電流の指令値が徐々に瞬時電圧低下発生の直前の値まで戻る。これに応じて、電力変換部10の出力も徐々に復帰し、電力変換部10の出力電流が瞬時電圧低下発生前の振幅まで復帰している。
【0086】
上記のように、本実施形態の電力変換装置100によれば、電力系統1にて瞬時電圧低下が発生したときに、電力変換部10の出力を停止し、瞬時電圧低下による過電流を抑制することが可能である。
また、本実施形態の電力変換装置100によれば、検出値にノイズが重畳したときに、過電流を誤検出することがなく、不要に電力変換部10の出力が停止することを回避することができる。
すなわち、本実施形態の電力変換装置100によれば、電力変換器の出力を一時的に停止し、瞬時電圧低下による過電流を抑制可能な電力変換装置を提供することができる。
【0087】
次に、第2実施形態の電力変換装置について図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明において、上述の第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0088】
図9は、第2実施形態の電力変換装置の構成例を概略的に示すブロック図である。
本実施形態の電力変換装置100は、電圧検出部17から出力される検出値X5が第2演算処理部13へ更に入力されている。
【0089】
電圧センサ16は、交流端子NACの電圧を検出する。電力変換部10が複数の相変換器11を備える場合には、電圧センサ16は相電圧を検出してもよく、例えば
図2Bに示すように、交流端子NACと電力系統1との間に電気的に接続された複数の交流ラインの線間電圧を検出してもよい。
【0090】
電圧検出部17は、電圧センサ16にて検出された電圧値(若しくは電圧相当値)の振幅を調整し、交流電圧の検出値X5を第1演算処理部12および第2演算処理部13へ出力する。検出値X5は、第1演算処理部12のA/D変換部(図示せず)と第2演算処理部13のA/D変換器132とに入力される。なお、交流電圧の検出値X5は、電圧センサ16で検出された値に準じた値である。
【0091】
図10は、第2実施形態の電力変換装置にて電力系統の瞬時電圧低下を検知したときの第2演算処理部の動作の一例を説明するための図である。
本実施形態の電力変換装置では、第2演算処理部13の過電流・瞬低検知処理部131Bは、上述の第1実施形態におけるステップS6に代えてステップS8を行い、ステップS4に代えてステップS9を行う。
【0092】
最初に、過電流・瞬低検知処理部131Bは、A/D変換器132から、電流の検出値X3と、電圧の検出値X5とを取得する。検出値X3および検出値X5を取得する周期は、A/D変換器132の変換周期に合わせることが望ましい。過電流・瞬低検知処理部131Bは、このとき取得した検出値X3および検出値X5をメモリ13Mに記録する。(ステップS1)
続いて、過電流・瞬低検知処理部131Bは、瞬時電圧低下の判定と出力停止に係る演算とを開始する。過電流・瞬低検知処理部131Bは、後述するステップS3、S9、S5とステップS8とを並列に行う。(ステップS2)
【0093】
過電流・瞬低検知処理部131Bは、交流電圧を利用した演算2を行う。ここでは、過電流・瞬低検知処理部131Bは、各相における検出値X5の絶対値を演算する。続いて、過電流・瞬低検知処理部131Bは、各相における検出値X5の絶対値の総和を演算する。(ステップS8)
図11は、第2実施形態の電力変換装置にて、交流電圧の検出値と、瞬低検知処理部の演算2により得られる信号との一例を示す図である。
【0094】
上記演算2にて得られた信号は、電力変換装置100の通常運転時には、交流端子NACの電圧の振幅のルート2倍(約1.7倍)から2倍の間で脈動する信号となる。したがって、電力系統1にて瞬時電圧低下が発生すると、演算2にて得られる信号は、通常運転時の値よりも顕著に値が低下することとなる。
【0095】
図11に示す例では、交流端子NACの電圧の振幅を1puとしたとき、演算2により得られる信号は、電力系統1にて瞬時電圧低下が発生する前には1.7puから2puの間で脈動しており、電力系統1にて瞬時電圧低下が発生した後には0puまで低下する。
【0096】
次に、過電流・瞬低検知処理部131Bにおける、過電流と瞬時電圧低下の判定および出力停止の処理(ステップS3、S9、S5)について説明する。
過電流・瞬低検知処理部131Bは、上述の第1実施形態と同様に、ステップS3の処理を行う。
【0097】
ステップS3で過電流であると判定された場合には、ステップS9の処理を行う。ステップS9では、過電流・瞬低検知処理部131BステップS8にて得られた演算結果により電力系統1にて瞬時電圧低下が発生しているか否か判断する。
【0098】
過電流・瞬低検知処理部131BステップS9では、上述の演算2により得られた信号の値と、予め設定した閾値とを比較する。ここで用いる閾値は、例えば、交流端子NACの交流電圧の振幅の略1.6倍とすることができる。
【0099】
過電流・瞬低検知処理部131B上記ステップS8において、演算2により得られた信号が所定の閾値(例えば1.6pu)以下であるときに電力系統1にて瞬時電圧低下が発生したと判断し、演算2により得られた信号が所定の閾値より大きければ電力系統1にて瞬時電圧低下が発生していないと判断する。(ステップS9)
【0100】
ステップS4およびステップS9にて電力系統1にて瞬時電圧低下が発生していると判断したときに、過電流・瞬低検知処理部131Bは、上述の第1実施形態のステップS5と同様に、電力変換部10の出力を停止させる。(ステップS5)
【0101】
第1演算処理部12は、第2演算処理部13から出力停止動作開始信号X4を受信したときに、例えば、電力変換部10から出力される交流電流の指令値をゼロとする操作量X1を出力する。また、第1演算処理部12は、各種の電流や電圧の制御に用いる積分器をリセットしてもよい。
なお、演算部131は、例えば、第2演算処理部13において出力を復帰すると判断されるまで、電力変換部10の出力を停止した状態を保持する。
【0102】
過電流・瞬低検知処理部131Bは、ステップS3にて過電流でない(検出値X3が下限値以上であり上限値以下である)と判断したとき、または上記ステップS9にて電力系統1にて瞬時電圧低下が発生していないと判断したとき、および、上記ステップS5、S8が終了した後、演算を終了する。(ステップS7)
過電流・瞬低検知処理部131Bは、所定の演算周期にて上記ステップS1-S9を周期的に行う。なお、過電流・瞬低検知処理部131Bにて行われる一連の処理(ステップS1-S9)の演算周期は、A/D変換器132での変換周期に依存し、例えば1μs程度である。
【0103】
本実施形態の電力変換装置100は、上記構成以外は上述の第1実施形態と同様である。なお、本実施形態において、電力変換部10の出力停止状態から出力を復帰するときの動作(例えば
図5に示す)は、第1演算処理部12にて行われてもよく、第2演算処理部13にて行われてもよい。いずれの場合であっても上述の第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0104】
本実施形態の電力変換装置100によれば、上述の第1実施形態と同様に、電力系統1にて瞬時電圧低下が発生したときに、速やかに電力変換部10の出力を停止することが可能である。また、本実施形態では、過電流・瞬低検知処理部131BにおいてステップS8とステップS9を更に行うことにより、電力系統1において瞬時電圧低下が発生したことをより素早く検知することができる。
【0105】
また、本実施形態の電力変換装置100によれば、検出値にノイズが重畳したときに、過電流を誤検出することがなく、不要に電力変換部10の出力が停止されることを回避することができる。
すなわち、本実施形態の電力変換装置100によれば、電力系統1の瞬時電圧低下が発生したときに電力変換器の出力を一時的に停止し、瞬時電圧低下による過電流を抑制することができる。
【0106】
なお、上記第2実施形態の電力変換装置100において、ステップS8における演算2にて、交流端子NACの交流電圧の時間変化率を算出し、その絶対値を演算してもよい。この場合にも、演算2の演算結果は、電力変換装置100の通常運転時よりも、電力系統1にて瞬時電圧低下が発生したときに顕著に変化する信号となる。なお、交流端子NACの交流電圧の時間変化率を算出する前に、検出値X5に含まれる高周波のノイズを除去するためのフィルタ処理を施してもよい。
【0107】
このように上記ステップS8において、演算2にて検出値X5の時間変化率を演算した場合にも、ステップS9であらかじめ設定した閾値と比較することにより、閾値以下となったときに瞬時電圧低下があったことを検知可能となる。なお、検出値X5の時間変化率と比較する閾値は、例えば、10V/μsと設定することができる。
【0108】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、上述の第1実施形態の電力変換装置において、第2演算処理部13が電圧検出部17から検出値X5を受信可能なように構成され、過電流・瞬低検知処理部131Bは、電圧値の検出値X5の絶対値の総和を計算し、この絶対値の総和があらかじめ設定した閾値以下となったときに、電力系統1にて瞬時電圧低下が発生したと判断してもよい。その場合であっても、上述の第1実施形態および第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、過電流・瞬低検知処理部131Bは、交流電圧の検出値X5の時間変化率を演算し、時間変化率があらかじめ設定した範囲を逸脱したときに、前記電力系統で瞬時電圧低下が発生したと判断してもよい。その場合であっても、上述の第1実施形態および第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0109】
1…電力系統、10…電力変換部、11…相変換器、12…第1演算処理部、13…第2演算処理部、13M…メモリ、131…演算部、131A…ゲート信号生成部、131B…瞬低検知処理部、132…A/D変換器、14…電流センサ、15…電流検出部、16…電圧センサ、17…電圧検出部、100…電力変換装置、NAC…交流端子、NDCP…正側直流端子、NDCN…負側直流端子、A1、A2…アーム変換器。