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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-14
(45)【発行日】2022-10-24
(54)【発明の名称】吸音性及び不織布補強性多層
(51)【国際特許分類】
   D04H 1/498 20120101AFI20221017BHJP
   B32B 5/26 20060101ALI20221017BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20221017BHJP
   B32B 27/34 20060101ALI20221017BHJP
   B32B 27/36 20060101ALI20221017BHJP
   B60R 13/08 20060101ALI20221017BHJP
   D04H 1/4374 20120101ALI20221017BHJP
   G10K 11/168 20060101ALI20221017BHJP
【FI】
D04H1/498
B32B5/26
B32B27/32 E
B32B27/34
B32B27/36
B60R13/08
D04H1/4374
G10K11/168
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018545473
(86)(22)【出願日】2017-02-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-04-11
(86)【国際出願番号】 EP2017053617
(87)【国際公開番号】W WO2017148711
(87)【国際公開日】2017-09-08
【審査請求日】2019-11-21
(31)【優先権主張番号】102016203348.4
(32)【優先日】2016-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513044337
【氏名又は名称】アドラー ペルツァー ホルディング ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Adler Pelzer Holding GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110002251
【氏名又は名称】弁理士法人眞久特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュルツェ,フォルクマル
(72)【発明者】
【氏名】ニコライ,ノルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ヴォッルメルト,ヘルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ジクムント,シチラト
(72)【発明者】
【氏名】シュネイデル,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】ピアトコヴスキー,レイムント
【審査官】伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-209131(JP,A)
【文献】特開2011-084855(JP,A)
【文献】国際公開第2010/038491(WO,A1)
【文献】特開2015-030218(JP,A)
【文献】特開2005-215117(JP,A)
【文献】特開2005-246952(JP,A)
【文献】特開2010-064361(JP,A)
【文献】特開2005-087649(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04H 1/00-18/04
B32B 1/00-43/00
G10K 11/168
B60R 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つの外装被覆不織布(1及び4)として、
100g/m から800g/m までの目付を有するポリエチレンテレフタラート被覆ポリプロピレン不織布である第一及び第二の二つの外装被覆不織布(1及び4)
を有する、ニードルパンチされた吸音性及び不織布補強性多層(5)であって、
前記外装被覆不織布(1及び4)で挟まれており、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタラート、ポリプロピレン、及びそれら何れかの二成分繊維又は多成分繊維を有してなる多成分(BiCo)繊維状物質の破砕材料(3)を含有して成る層を、有しており、
前記破砕材料(3)を含有して成る前記層は、再生した綿、ポリエチレンテレフタラート、又は前記二成分繊維からなる繊維の屑繊維を、前記破砕材料(3)に対して5重量%から50重量%まで、さらに含んでおり、
三層ポリエチレン/ポリアミド/ポリエチレン シート(2)が、外装被覆不織布(1)と、前記破砕材料を含有して成る前記層との間に、設けられ、又は、前記破砕材料(3)を含有して成る前記層と、前記外装被覆不織布(4)との間に、設けられている
ことを特徴とする、ニードルパンチされた吸音性及び不織布補強性多層(5)。
【請求項2】
三層ポリエチレン/ポリアミド/ポリエチレン シート(2)が、40μmから150μmまでの全厚みを有していることを特徴とする請求項に記載のニードルパンチされた吸音性及び不織布補強性多層(5)。
【請求項3】
少なくとも何れか又は両方の前記外装被覆不織布(1及び4)が、シート状のポリエチレンテレフタラートと三層ポリエチレン/ポリアミド/ポリエチレンとの不織布を有しており、それのポリエチレン側が前記破砕材料に上張りされていることを特徴とする請求項1~の何れかに記載の吸音性及び不織布補強性多層(5)。
【請求項4】
前記三層ポリエチレン/ポリアミド/ポリエチレン シート(2)、及び/又は前記シート状のポリエチレンテレフタラートと三層ポリエチレン/ポリアミド/ポリエチレンシートとの不織布が、微細穿孔化されていることを特徴とする請求項1~の何れかに記載のニードルパンチされた吸音性及び不織布補強性多層(5)。
【請求項5】
請求項1~の何れかに記載のニードルパンチされた吸音性及び不織布補強性多層(5)を製造する方法であって、
破砕径である粒子径が1mmから8mmまでの範囲にある破砕材料(3)と、破砕径が1μmから1mmまでの範囲にある屑繊維(3)とを、前記第一の外装被覆不織布(1)上に撒いた後、その上側に前記第二の外装被覆不織布(4)、設前記吸音性及び不織布補強性多層(5)全体を圧縮し、ニードルパンチする際に、
三層ポリエチレン/ポリアミド/ポリエチレン シート(2)を、外装被覆不織布(1)と、前記破砕材料を含有して成る前記層との間に、設けられ、若しくは、前記破砕材料(3)を含有して成る前記層と、前記外装被覆不織布(4)との間に、設ける
ことを特徴とするニードルパンチされた吸音性及び不織布補強性多層(5)を製造する方法。
【請求項6】
吸音性及び不織布補強性多層(5)全体のニードルパンチにより微細穿孔(列)を施すことを特徴とする請求項に記載のニードルパンチされた吸音性及び不織布補強性多層(5)を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸音性及び不織布補強性多層に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、吸音性及び不織布補強性の同義語である用語「不織布」を使用するための出発点であると、考えられる。その特許文献1によれば、フィルム形成粘着剤を水溶性分散液に用いて、合成繊維や天然繊維の繊維状ウェブの上に付した後、昇温して乾燥することによって、最終製品としていわゆる不織布が作製されていると、解される。それ以前では、結合剤で接合された繊維状ウェブは、含浸させた繊維状ウェブや合成皮革様シート、又は糊付け繊維含有シートなどと呼ばれており、ニードルパンチされた繊維状ウェブは、ニードルフェルトと呼ばれている。表面接合が施されているのみならず内部でも確り接合が施されており、又は表面に密着した層が接合し好ましくは全面に均等に平滑化されている場合に、不織層でできた製品は、詰め綿というよりむしろ不織布の範疇に属する。フェルトと不織布との違いについて、ドイツ工業規格DIM 61 205(改訂されることなく2006年に廃止)に、言及されている。それによれば、フェルトとニードルパンチフェルト(ニードル化フェルト)又はニードル化不織布(ニードルパンチ不織布)との違いとして、フェルトにはフェルト化可能繊維の使用が必要不可欠である旨、記載されている。ニードルパンチフェルトとニードルパンチ不織布との区別は、密度によってなされる。それゆえ、密度0.15g/cm未満の製品は不織布を有するものであり、一方、それ以上の密度の製品は、ニードルパンチフェルトを有するものである。
【0003】
ニードルパンチフェルトとニードルパンチ不織布との違いは、後続基準のドイツ工業規格DIN EN 29 092:1992には、もはや記載されなくなっている。湿式圧延で作製されたフェルトのみが不織布から未だに外されている。不織布の定義が有効な、最新のドイツ工業規格DIN EN ISO 9092が、承認されている。
【0004】
不織接合方法、即ち不織布での接合よりも繊維間でより強い接合を行うことによる不織布への繊維状ウェブの変性は、殆んど、機械的接合方法、化学的接合方法、及び熱的接合方法に分類される。
【0005】
機械的接合方法では、繊維間の結合は、摩擦接合によって、又は摩擦接合と押込係止との組み合わせによって、形成される。
【0006】
摩擦結合では、近傍繊維間距離が、不織布圧縮によって、不織布での近傍繊維間距離よりも、小さくなっている。その結果、より強い力を負荷でき、繊維の相互密着が増加する。変形に対する不織布の抵抗力は、より高くなり、不織布は、より強くなる。繊維が熱及び/又は膨張剤に晒されて収縮可能であれば、この圧縮は全繊維の収縮又はその摩擦によってもたらされることとなり、収縮不織布又は膨張不織布が形成される。また、圧縮は、加圧(殆んどの場合カレンダー加工)又は圧延によって、施される。そのとき、不織布の繊維は、フェルト化可能なものであり、繊維同士が、熱作用、化学作用、又は機械的作用に晒されると同時に、フェルト化される。圧延すると、フェルトを形成し、又は圧延不織布を形成する。
【0007】
摩擦接合と押込係止との組み合わせにより作製された不織布では、不織布の繊維は、機械的作用によって相互に縺れている。
【0008】
繊維のこのような縺れと、不織布の圧縮及び補強とは、ニードルパンチによって施すことができる。このとき、針床又は針梁に並んだ特殊な針(棘針、鋤針)の複数が、穿孔出し入れされて、それによってニードルパンチ不織布が形成される。このタイプの繊維縺れは、紡糸繊維でできた不織布と長繊維でできた不織布との双方で、生じている。
【0009】
複合針を不織布のニードルパンチに用いると、繊維の束が「輪状」になる。即ち、複合針を用いると、ループ形状配列(ループ)となる。このようにして、紡糸繊維でできた交錯不織布が、用いられる。不織布繊維接合法で、マリヴィリィズ(Malivlies)(ウィキペディア;キーワード ヴィリーストッフ(Vliesstoff:不織布)、2016年2月11日検索)のような繊維状不織布を形成する。
【0010】
ドイツ工業規格DIN 61 210によれば、不織布は、「全て又は本質的に繊維からなる布」と定義されている。不織布の特性として定義されたこのような繊維は、ランダムに配列しており、又は特定の方向に指向している。個々の繊維間の結合は、押込係止(縺れ)によって、又は摩擦(接着結合)によって、もたらされている(ブルクハード ボルフホルスト(Burkhard Wulfhorst)、繊維製造(Textile Fertigungsverfahren)、ミュンヘン(Munich)、ウィーン(Vienna):ハンザー(Hanser)、1998年,p.167-186)。
【0011】
自動車において、特に客車や荷物室において、熱変形性の吸音性及び不織布補強性の繊維が用いられている。これらの殆んどは、熱硬化性又は熱可塑性での結合性により緩く圧縮した織物繊維不織布であり、同一又は異なる流動抵抗を有する発泡層及び/又は不織布層を組み合わせたものである。さらに、いわゆる音響流不織布も、選択的に吸音性を調整するために、用いられる。また、床材においては、大気や音響を受ける多孔質性の層が、布の表層と、封止性となるよう製造された厚手層や断熱材との間に、固定された踏み面との相互作用によって、吸音性能をもたらすように、挿入されている。この大気や音響を受け入れる多孔質性の層には、ポリエステルや混合不織繊維が用いられる。踏み抵抗性は、不織布中の二成分(BiCo)繊維の比率によって、左右される。
【0012】
隔壁材構造体において、不織布単層や不織布多層や発泡材裏張り不織布が、しばしば用いられる。
【0013】
不織布及び/又は不織布結合体も、車のトランク、主に壁面内装、後部ドアの内装、予備タイヤ用の窪みに、用いられる。
【0014】
特許文献2には、自動車用の不織布成型部品が、記載されている。不織布成型部品の原料は、順次積層した幾つかの不織布からなる不織布製半製品である。これらの不織布は、相互に異なったデザインを有している。各不織布層は、一つが構造形成性繊維と、他方が結合形成性繊維とである混成物によって、構成されている。所定の加熱温度に晒された時、結合形成性繊維のみが溶融し、一方、構造形成性繊維は溶融しない。前記成型部品の機械特性や吸音特性を向上させるために、他の不織層に比べてより低い溶融体粘度及び/又はより高いメルトインデックスを有するようにして使用される場合に、成型完成製品の非露出側を形成する少なくとも各不織層中に結合形成性繊維を設けることが、提案されている。
【0015】
特許文献3は、吸音性成型部品、特に自動車の隔壁内装や自動車カーペット用の裏張り繊維の製造法に関するものである。この方法は、次の工程を必須に含むものであって:未調整及び/又は再生された熱可塑性熱溶融性繊維、再生発泡粒子、及び再生厚層粒子の少なくとも何れかを有する異なる材料からマット形状の二次元構造物を形成するためのベルトコンベア又は領域で前記材料へ圧縮空気を導入する工程、加熱と、加熱した前記二次元構造物の加圧とを行う工程を有し、前記二次元構造物のうち所定位置にて異なる密度にするというものである。
【0016】
特許文献4は、比較的きめの粗い屑材料の再利用方法、例えば自動車部品の製造工程で出た繊維屑から製品を製造する方法に関するものである。この方法は、屑材料を比較的小さな小片に破砕することを特徴としている。その後、この破砕材料を基材に付す。引き続いて、他の原材料の上層に、屑原料でできた基材上を付し、その層を互いに接合するというものである。特許文献5は、類似した方法であって、さらに追加して硬層を一体化させるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【文献】独国特許第1062206C号明細書
【文献】独国特許出願公開第10 2007 033 635A1号明細書
【文献】国際公開2007/090479A1号
【文献】トルコ国特許出願公開第200803410号明細書
【文献】トルコ国特許出願公開第200906997号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
それに対し、本発明の目的は、特に自動車分野に用いられるもので、自動車領域において繊維を含む製品の製造でできてしまうが今まで使われてこなかった熱可塑性の屑繊維である本質的に公知の破砕材料と共に用いて、優れた吸音性を有した吸音性及び不織布補強性多層を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記の目的を達成するためになされたニードルパンチされた吸音性及び不織布補強性多層の第一の態様は、
二つの外装被覆不織布(1及び4)として、
0g/mから200g/mでの目付を有するポリエチレン粘着不織布から成る第一の外装被覆不織布(1)と、50g/mから250g/mでの目付を有するポリプロピレン/ポリエチレンテレフタラート不織布から成る第二の外装被覆不織布(4)
有する、ニードルパンチされた吸音性及び不織布補強性多層(5)であって、
記外装被覆不織布(1及び4)で挟まれており、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタラート、ポリプロピレン、及びそれら何れかの二成分繊維又は多成分繊維を有してなる多成分(BiCo)繊維状物質の破砕材料(3)から選ばれる何れかを含有して成る層を、有しており、
前記破砕材料(3)を含有して成る層は、再生した綿、ポリエチレンテレフタラート、又は前記二成分繊維の屑繊維を、前記破砕材料(3)に対して5重量%から50重量%まで、さらに含んでおり、
三層ポリエチレン/ポリアミド/ポリエチレン シート(2)が、外装被覆不織布(1)と、破砕材料(3)を含有して成る前記層との間に、設けられ、又は、破砕材料(3)から成る前記層と、前記外装被覆不織布(4)との間に、設けられている
ニードルパンチされた吸音性及び不織布補強性多層は、例えば、二つの外装被覆不織布(1及び4)として、
第一の外装被覆不織布(1)は、前記ポリエチレン粘着不織布が50g/m から150g/m までの目付を有し、
第二の外装被覆不織布(4)は、前記ポリプロピレン/ポリエチレンテレフタラート不織布が80g/m から200g/m までの目付を有している。
ニードルパンチされた吸音性及び不織布補強性多層の第二の態様は、
二つの外装被覆不織布(1及び4)として、
100g/m から800g/m までの目付を有するポリエチレンテレフタラート被覆ポリプロピレン不織布である第一及び第二の二つの外装被覆不織布(1及び4)
を有する、ニードルパンチされた吸音性及び不織布補強性多層(5)であって、
前記外装被覆不織布(1及び4)で挟まれており、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタラート、ポリプロピレン、及びそれら何れかの二成分繊維又は多成分繊維を有してなる多成分(BiCo)繊維状物質の破砕材料(3)を含有して成る層を、有しており、
前記破砕材料(3)を含有して成る前記層は、再生した綿、ポリエチレンテレフタラート、又は前記二成分繊維からなる繊維の屑繊維を、前記破砕材料(3)に対して5重量%から50重量%まで、さらに含んでおり、
三層ポリエチレン/ポリアミド/ポリエチレン シート(2)が、外装被覆不織布(1)と、前記破砕材料を含有して成る前記層との間に、設けられ、又は、前記破砕材料(3)を含有して成る前記層と、前記外装被覆不織布(4)との間に、設けられている。
ニードルパンチされた吸音性及び不織布補強性多層は、例えば、二つの外装被覆不織布(1及び4)は、前記ポリエチレンテレフタラート被覆ポリプロピレン不織布であって100g/m から800g/m までの目付を有しているというものである。
より具体的には、ニードルパンチされた吸音性及び不織布補強性多層は、
二つの外装被覆不織布として、
a)30g/mから200g/mまで、好ましくは50g/mから150g/mまでの目付を有するポリエチレン粘着不織布から成る第一の外装被覆不織布と、50g/mから250g/mまで、好ましくは80g/mから200g/mまでの目付を有するポリエチレンテレフタラート被覆ポリプロピレン不織布から成る第二の外装被覆不織布、又は
b)100g/mから800g/mまで、好ましくは300g/mから600g/mまでの目付を有するポリエチレンテレフタラート被覆ポリプロピレン不織布である二つの外装被覆不織布
を有する、ニードルパンチされた吸音性及び不織布補強性多層であって、
何れでも、前記外装被覆不織布で挟まれており、250g/mから700g/mまでの目付を有しているポリエチレン、ポリエチレンテレフタラート、ポリプロピレン、又はそれら何れかの二成分繊維又は多成分繊維を有してなる多成分(BiCo)繊維状物質の破砕材料から成る層を、有しており、
前記破砕材料は、再生した綿、ポリエチレンテレフタラート及び前記二成分繊維の屑繊維を、前記破砕材料に対して5重量%から50重量%まで、好ましくは10重量%から40重量%まで、含んでいる
ことを特徴とするというものである。
【0020】
ポリエチレン(PE)として、ポリエチレンホモポリマーが挙げられ、また、主たるポリエチレン断片を有するポリエチレンコポリマーも挙げられる。ポリプロピレン(PP)として、ポリプロピレンホモポリマーが挙げられ、また、主たるポリプロピレン断片を有するポリプロピレンコポリマーも挙げられる。ポリエチレンテレフタラート(PET)として、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタラート類が挙げられる。BiCoとして、二成分繊維や多成分繊維が挙げられる。
【0021】
このように、本発明の基本的な構成は、繊維部品や非繊維部品、特に自動車部品の製造の際に出るものの再利用されず破棄(例えば焼却)されていた、屑、屑繊維を使用するというものである。
【0022】
これに代わる本発明の好ましい別な形態のニードルパンチされた吸音性及び不織布補強性多層は、40μmから150μmまで、特に60μmから100μmまでの全厚みを有する三層ポリエチレン/ポリアミド/ポリエチレン シートが、外装被覆不織布側である最上面と、破砕材料及び屑繊維から成る前記層との間に、設けられていることを特徴とするというものである。
【0023】
本発明の好ましい別な形態のニードルパンチされた吸音性及び不織布補強性多層は、40μmから150μmまで、特に60μmから100μmまでの全厚みを有する三層ポリエチレン/ポリアミド/ポリエチレン シートが、外装被覆不織布側である最上面及び破砕材料及び屑繊維から成る前記層と、最下面の前記外装被覆不織布との間に、設けられていることを特徴とするというものである。
【0024】
本発明の目的の範囲内のもので特に好ましい形態のニードルパンチされた吸音性及び不織布補強性多層は、一つの前記外装被覆不織布が、シート状のポリエチレンテレフタラートと三層ポリエチレン/ポリアミド/ポリエチレンの不織布を有しており、それのポリエチレン側が前記破砕材料に上張りされていることを特徴とするというものである。
【0025】
本発明の目的の範囲内のものでさらに好ましい形態のニードルパンチされた吸音性及び不織布補強性多層は、両方の前記外装被覆不織布が、シート状のポリエチレンテレフタラートと三層ポリエチレン/ポリアミド/ポリエチレンの不織布を有しており、それのポリエチレン側が前記破砕材料に上張りされていることを特徴とするというものである。
【0026】
また、本発明の目的の範囲内のニードルパンチされた吸音性及び不織布補強性多層は、好ましくは、ニードルパンチされる、吸音性及び不織布補強性多層(以下、複合材ともいう)全体が(列状に)ニードルパンチされているときに、前記三層ポリエチレン/ポリアミド/ポリエチレン シート、又は前記シート状のポリエチレンテレフタラートと三層ポリエチレン/ポリアミド/ポリエチレンの不織布が、微細穿孔化されていることを特徴とするというものである。
【0027】
さらに、本発明は前記のニードルパンチされた吸音性及び不織布補強性多層を製造する方法に関するものであって、破砕径が1μmから1mmまでの範囲にある屑繊維を含んでおり、破砕径が1mmから8mmまで、特に2mmから3mmまでの範囲にあり前記のように規定された破砕材料を、前記第一の外装被覆不織布上に撒いた後、前記第二の外装被覆不織布を、最上面に付し好ましくは設け、前記複合材全体を圧縮し、ニードルパンチすることを特徴とするというものである。
このニードルパンチされた吸音性及び不織布補強性多層を製造する方法は、前記のニードルパンチされた吸音性及び不織布補強性多層(5)を製造する方法であって、
破砕径である粒子径が1mmから8mmまでの範囲にある破砕材料(3)と、必要に応じ破砕径が1μmから1mmまでの範囲にある屑繊維(3)とを、前記第一の外装被覆不織布(1)上に撒いた後、その上側に前記第二の外装被覆不織布(4)を、設け、前記複合材(5)全体を圧縮し、ニードルパンチする際に、
三層ポリエチレン/ポリアミド/ポリエチレン シート(2)を、ニードルパンチされた外装被覆不織布(1)と、前記破砕材料又はさらに必要に応じて前記屑繊維(3)から成る前記層との間に、設けられ、若しくは、前記破砕材料(3)から成る前記層と、前記外装被覆不織布(4)との間に、設けるというものである
【0028】
本発明の目的の範囲内の好ましい方法は、三層ポリエチレン/ポリアミド/ポリエチレン シートを、最上の外装被覆不織布の下、又は最下の前記外装被覆不織布の上にさらに設け、前記三層ポリエチレン/ポリアミド/ポリエチレン シートに、前記複合材全体のニードルパンチにより列をなして微細穿孔を施すことを特徴とするというものである。
この方法は、前記複合材(5)全体のニードルパンチにより微細穿孔(列)を施すことにより、ニードルパンチされた吸音性及び不織布補強性多層(5)を製造するというものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明を適用する複合材全体を示す図である。
図2】本発明を適用する別な複合材全体を示す図である。
【実施例
【0030】
ニードルパンチされた吸音性及び不織布補強性多層(5)は、
二つの外装被覆不織布(1及び4)として、
30g/m から200g/m までの目付を有するポリエチレン粘着不織布から成る第一の外装被覆不織布(1)と、50g/m から250g/m までの目付を有するポリプロピレン/ポリエチレンテレフタラート不織布から成る第二の外装被覆不織布(4)
を有する、ニードルパンチされた吸音性及び不織布補強性多層(5)であって、
前記外装被覆不織布(1及び4)で挟まれており、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタラート、ポリプロピレン、及びそれら何れかの二成分繊維又は多成分繊維を有してなる多成分(BiCo)繊維状物質の破砕材料(3)から選ばれる何れかを含有して成る層を、有しており、
前記破砕材料(3)を含有して成る層は、再生した綿、ポリエチレンテレフタラート、又は前記二成分繊維の屑繊維を、前記破砕材料(3)に対して5重量%から50重量%まで、さらに含んでおり、
三層ポリエチレン/ポリアミド/ポリエチレン シート(2)が、ニードルパンチされた外装被覆不織布(1)と、破砕材料(3)を含有して成る前記層との間に、設けられ、又は、破砕材料(3)から成る前記層と、前記外装被覆不織布(4)との間に、設けられているというものである。
または、ニードルパンチされた吸音性及び不織布補強性多層(5)は、
二つの外装被覆不織布(1及び4)として、
100g/m から800g/m までの目付を有するポリエチレンテレフタラート被覆ポリプロピレン不織布である第一及び第二の二つの外装被覆不織布(1及び4)
を有する、ニードルパンチされた吸音性及び不織布補強性多層(5)であって、
前記外装被覆不織布(1及び4)で挟まれており、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタラート、ポリプロピレン、及びそれら何れかの二成分繊維又は多成分繊維を有してなる多成分(BiCo)繊維状物質の破砕材料(3)を含有して成る層を、有しており、
前記破砕材料(3)を含有して成る前記層は、再生した綿、ポリエチレンテレフタラート、又は前記二成分繊維からなる繊維の屑繊維を、前記破砕材料(3)に対して5重量%から50重量%まで、さらに含んでおり、
三層ポリエチレン/ポリアミド/ポリエチレン シート(2)が、ニードルパンチされた外装被覆不織布(1)と、前記破砕材料を含有して成る前記層との間に、設けられ、又は、前記破砕材料(3)を含有して成る前記層と、前記外装被覆不織布(4)との間に、設けられている
というものである。
さらに具体的には、以下の通りである。
第一の適用例は、ポリエチレンテレフタラート繊維、ポリプロピレン繊維、及び/又はポリエチレンテレフタラート/共重合ポリエチレンテレフタラート二成分繊維を含有する破砕材料の500g/mを2mmの粒子径に粉砕したものと、その破砕材料に対し20重量%の屑繊維とを、150g/m のポリエチレンテレフタラート被覆ポリプロピレン不織布と70g/mのポリエチレン粘着性不織布とに間となるように撒き、得られたその複合材をニードルパンチした。
【0031】
搬送台、加熱接合パネル板1、加熱接合パネル板2及び変形具を有する加熱成形プラント中、前記不織布を、市販のデュロー カーペット(560g/mのポリエチレンテレフタラート、80g/mのラテックス、80g/mのポリエチレンコーティング層)で裏打ちし、敷物地に成形した。
【0032】
このポリエチレン粘着性不織布は、このポリエチレン敷物コーティング層に上張りされている。
【0033】
引き続き、本明細書の記載に従い、この敷物地の試験を行ったところ、この複合材全体は、特性が向上しており、(未処理の)ポリエチレンテレフタラート不織布と比較して特に曲げ剛性が向上していた。
【0034】
第二の適用例は、特に流動抵抗の設定を考慮したものである。
【0035】
その内の一つの適用例は、次の材料構造(図1参照):200g/m のポリエチレンテレフタラート被覆ポリプロピレン不織布1、三層(ポリエチレン/ポリアミド/ポリエチレン)シート2、粒径2mmに粉砕した、ポリエチレンテレフタラート、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラート/共重合ポリエチレンテレフタラート二成分繊維である破砕材料3、及び前記破砕材料に対し30重量%の屑繊維3、及び100g/mのポリエチレンテレフタラート被覆ポリプロピレン不織布4;が作製されるというものである。複合材5全体は、ニードルパンチされ、三層シート2は、この工程で、微細穿孔が施されている。
【0036】
搬送台、加熱接合パネル板1、加熱接合パネル板2及び変形具を有する加熱成形プラント中、前記不織布5も、市販のデュロー カーペット(560g/mのポリエチレンテレフタラート、80g/mのラテックス、80g/mのポリエチレンコーティング層)で裏打ちし、敷物地に成形した。
【0037】
デュロー カーペットと不織布とからなる複合材5全体の流動抵抗は、1004514Ns/m-4である。
【0038】
もう一つの適用例は、次の材料構造(図2参照):200g/m のポリエチレンテレフタラート被覆ポリプロピレン不織布1、粒径2mmに粉砕した、ポリエチレンテレフタラート、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラート/共重合ポリエチレンテレフタラート二成分繊維である破砕材料3、前記破砕材料に対し30重量%の屑繊維3、三層(ポリエチレン/ポリアミド/ポリエチレン)シート2、及び100g/mのポリエチレンテレフタラート被覆ポリプロピレン不織布4;が作製されるというものである。複合材5全体は、ニードルパンチされ、三層シート2は、この工程で、微細穿孔が施されている。
【0039】
搬送台、加熱接合パネル板1、加熱接合パネル板2及び変形具を有する加熱成形プラント中、前記不織布5も、市販のデュロー カーペット(560g/mのポリエチレンテレフタラート、80g/mのラテックス、80g/mのポリエチレンコーティング層)で裏打ちし、敷物地に成形した。
【0040】
デュロー カーペットと不織布5との流動抵抗は、526222Ns/m-4である。
【0041】
三層シート2を異なる配置にすること、複合材5全体のニードルパンチ工程でのその微細穿孔(列)にすること、及び穿孔(開孔の割合)と破砕材料3との相互関係があることとによって、流動抵抗が左右され得る。
図1
図2