(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-14
(45)【発行日】2022-10-24
(54)【発明の名称】プリンタ装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20221017BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20221017BHJP
【FI】
B41J2/01 303
B41J2/01 129
B41J2/01 401
B41J29/00 H
(21)【出願番号】P 2019013954
(22)【出願日】2019-01-30
【審査請求日】2021-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(74)【代理人】
【識別番号】100192533
【氏名又は名称】奈良 如紘
(72)【発明者】
【氏名】森上 敬之
(72)【発明者】
【氏名】藤田 泰仁
(72)【発明者】
【氏名】酒井 千陽
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-341420(JP,A)
【文献】特開2008-114396(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
B41J 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レールと、このレール上を移動可能に設けられメディアを切断可能なカットキャリッジと、このカットキャリッジの一面に対して連結可能に設けられ前記カットキャリッジと共に前記レール上を移動可能であり前記メディアに印刷可能なプリントキャリッジと、前記カットキャリッジの前記一面とは異なる他の面に連結可能に設けられ前記カットキャリッジと共に前記レール上を移動可能な第3のキャリッジと、前記カットキャリッジ及び前記プリントキャリッジの連結状態及び非連結状態を切り替えるための第1の切替機構と、前記カットキャリッジ及び前記第3のキャリッジの連結状態及び非連結状態を切り替えるための第2の切替機構と、を有している
プリンタ装置であって、
前記プリントキャリッジから吐出されるインクは、紫外線硬化インクであり、
前記第3のキャリッジは、前記メディアに吐出されたインクに紫外線を照射する紫外線照射ランプを含むことを特徴とするプリンタ装置。
【請求項2】
前記レールの一端部は、前記非連結状態において前記プリントキャリッジが待機するプリントキャリッジ待機部に臨み、
前記プリントキャリッジ待機部の上方は、外光を遮る遮光部材によって覆われ、
前記遮光部材に覆われた部位に前記第1の切替機構が配置されていることを特徴とする請求項
1記載のプリンタ装置。
【請求項3】
前記プリントキャリッジは、前記紫外線照射ランプよりも照射する紫外線の出力が低く、且つ、軽量な補助紫外線照射ランプを含むことを特徴とする請求項
1又は請求項
2記載のプリンタ装置。
【請求項4】
レールと、このレール上を移動可能に設けられメディアを切断可能なカットキャリッジと、このカットキャリッジの一面に対して連結可能に設けられ前記カットキャリッジと共に前記レール上を移動可能であり前記メディアに印刷可能なプリントキャリッジと、前記カットキャリッジの前記一面とは異なる他の面に連結可能に設けられ前記カットキャリッジと共に前記レール上を移動可能な第3のキャリッジと、前記カットキャリッジ及び前記プリントキャリッジの連結状態及び非連結状態を切り替えるための第1の切替機構と、前記カットキャリッジ及び前記第3のキャリッジの連結状態及び非連結状態を切り替えるための第2の切替機構と、を有しているプリンタ装置であって、
前記第3のキャリッジには、前記インクキャリッジが正常に作動しているかを検査するための測色センサ、箔押しを行うための箔押し機構、ジェル状のインクを吐出するためのディスペンサ、発振したレーザによって前記メディアを切断するレーザ切断機、のいずれかが搭載されていることを特徴とす
るプリンタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メディアへの印刷を行うと共に、印刷されたメディアを切断可能なプリンタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
メディアへの印刷を行うと共に、印刷されたメディアを切断可能なプリンタ装置として、特許文献1に開示される技術がある。
【0003】
特許文献1の
図6に示されるような、プリンタ装置は、レールと、このレール上を移動可能に設けられメディアに印刷を行うプリントキャリッジと、このプリントキャリッジに固定され前記メディアを切断可能なカットキャリッジと、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたプリンタ装置によれば、メディアを切断する際に、カットキャリッジとプリントキャリッジとは、共に移動される。プリントキャリッジの重量は重いため、カットキャリッジのみを移動させることができれば、カットキャリッジ移動の際の位置精度の向上が可能となり、また、これらを駆動するためのモータ等に係る負荷を軽減することができ、プリンタ装置の長寿命化に資する。
【0006】
本発明は、長寿命化を図ることのできるプリンタ装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、レールと、このレール上を移動可能に設けられメディアを切断可能なカットキャリッジと、このカットキャリッジの一面に対して連結可能に設けられ前記カットキャリッジと共に前記レール上を移動可能であり前記メディアに印刷可能なプリントキャリッジと、前記カットキャリッジの前記一面とは異なる他の面に連結可能に設けられ前記カットキャリッジと共に前記レール上を移動可能な第3のキャリッジと、前記カットキャリッジ及び前記プリントキャリッジの連結状態及び非連結状態を切り替えるための第1の切替機構と、前記カットキャリッジ及び前記第3のキャリッジの連結状態及び非連結状態を切り替えるための第2の切替機構と、を有しているプリンタ装置であって、
前記プリントキャリッジから吐出されるインクは、紫外線硬化インクであり、
前記第3のキャリッジは、前記メディアに吐出されたインクに紫外線を照射する紫外線照射ランプを含むことを特徴とするプリンタ装置が提供される。
【0008】
プリントキャリッジは、カットキャリッジの一面に対して連結可能に設けられている。このため、メディアを切断する際には、プリントキャリッジを非連結状態とすることができる。メディアの切断時には、重量物であるプリントキャリッジを移動させずに、カットキャリッジのみを移動させることができる。カットキャリッジを移動させるためのモータ等に加わる負荷を軽減することができ、プリンタ装置の長寿命化に資する。
【0009】
加えて、カットキャリッジの別の面に対して連結可能に第3のキャリッジが設けられる。カットキャリッジの別の面に第3のキャリッジを連結させるため、第3のキャリッジによる作業を行う際に、プリントキャリッジを共に移動させる必要がない。プリントキャリッジはカットキャリッジの動作中は定位置に待機することとなり、プリントヘッドの保護がなされることとなる。また、カットキャリッジを移動させるためのモータ等に加わる負荷を軽減することができ、プリンタ装置の長寿命化に資する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によるプリンタ装置は、長寿命化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施例1によるプリンタ装置の正面図である。
【
図2】
図1に示されたプリンタ装置の要部を模式的に示した図である。
【
図3】
図2に示されたプリンタ装置の印刷工程について説明する図である。
【
図4】
図2に示されたプリンタ装置のプリントキャリッジ退避工程及びプリントキャリッジ切り離し工程について説明する図である。
【
図5】
図2に示されたプリンタ装置のインク硬化工程について説明する図である。
【
図6】
図2に示されたプリンタ装置の第3のキャリッジ退避工程及びメディア切断工程について説明する図である。
【
図7】実施例2によるプリンタ装置の要部を模式的に示した図である。
【
図8】実施例3によるプリンタ装置の要部を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図中、Leは左、Riは右、Upは上、Dnは下を示している。
<実施例1>
【0013】
[プリンタ装置10について]
図1を参照する。プリンタ装置10は、前後方向(図面表裏方向)に移動可能に設けられたメディアMeに印刷を行うと共に、印刷を行ったメディアMeを切断可能な装置である。
【0014】
図2を参照する。プリンタ装置10は、上面部にメディアMeが搬送されるテーブル11と、このテーブル11の上方においてメディアMeの搬送方向に直交する方向、すなわち副搬送方向に延びるレール12と、このレール12上を移動可能に設けられメディアMeを切断可能なカットキャリッジ20と、このカットキャリッジ20に対して連結可能に設けられメディアMeに印刷可能なプリントキャリッジ30と、カットキャリッジ20に連結可能に設けられカットキャリッジ20と共にレール12上を移動可能な第3のキャリッジ40と、テーブル11の上方及び側方を覆っているカバー部16(遮光部材16)と、カットキャリッジ20及びプリントキャリッジ30の連結状態及び非連結状態を切り替えるための第1の切替機構50と、カットキャリッジ20及び第3のキャリッジ40の連結状態及び非連結状態を切り替えるための第2の切替機構60と、カットキャリッジ20、プリントキャリッジ30、第3のキャリッジ40、第1の切替機構50、第2の切替機構60を制御するための制御部18と、を有する。
【0015】
[メディアMeについて]
メディアMeは、例えば、ロールに巻かれたロールメディアであり、メディアMeの材質としては、普通紙などの紙類であってもよく、ポリ塩化ビニル、ポリエステル等の樹脂類であってもよく、アルミニウム材、鉄材等の金属類であってもよく、様々な材料で構成可能である。メディアMeは、搬送装置によって後方から前方に向かって送られる。
【0016】
[テーブル11について]
テーブル11は、上面部11aが平面状に形成され、この上面部11aの上をメディアMeが搬送される。上面部11aの一部には、左右方向に亘って溝が形成されている。なお、上面部11aには、メディアMeを下方に吸引するための吸引穴等が形成されていてもよい。
【0017】
[カットキャリッジ20について]
カットキャリッジ20は、モータ等の動力によって、レール12上を移動可能に設けられている。カットキャリッジ20は、上下方向に移動可能に支持され、メディアMeを切断するためのカッター22を含む。カッター22は、メディアMeを切断可能な切断位置から、メディアMeの上方に離間する待避位置まで移動可能である。カッター22の位置は、制御部18によって制御される。
【0018】
カットキャリッジ20の一方の側面20a(一面20a)には、プリントキャリッジ30と連結するための第1の連結磁石23が設けられている。カットキャリッジ20の他方の側面20b(一面20aとは異なる面20b)には、第3のキャリッジ40と連結するための第2の連結磁石24が設けられている。
【0019】
これらの連結磁石23、24には、永久磁石を採用することができる。これらの連結磁石23、24は、例えば、N極がカットキャリッジ20の側面20a、20bに密着し、S極がそれぞれ連結されるキャリッジ30、40に向いている。
【0020】
[プリントキャリッジ30について]
プリントキャリッジ30は、カットキャリッジ20に連結可能に設けられている。プリントキャリッジ30は、カットキャリッジ20に連結されることにより、レール12上を移動可能となる。プリントキャリッジ30は、カットキャリッジ20に連結されていない非連結状態において、プリントキャリッジ待機部A1にて待機している。
【0021】
プリントキャリッジ30は、それぞれ異なる色のインクを吐出する複数のプリントヘッド32C、32M、32Y、32Kを含む。プリントヘッド32C、32M、32Y、32Kは、シアンインクを吐出可能なシアンヘッド32Cと、マゼンダインクを吐出可能なマゼンダヘッド32Mと、イエローインクを吐出可能なイエローヘッド32Yと、ブラックインクを吐出可能なブラックヘッド32Kと、からなる。使用されるこの他のインクの種類としては、白色インク、グロスインク、メタリックインクなどがある。
【0022】
なお、プリントヘッド32C、32M、32Y、32Kを構成するカートリッジの数や色は任意に選択することができる。プリントヘッド32C、32M、32Y、32Kに充填されるインクは、紫外線を照射することにより硬化する紫外線硬化インクであることが好ましい。
【0023】
プリントキャリッジ30の側面には、第1の連結磁石23に吸着されるプリントキャリッジ側磁石33が設けられている。プリントキャリッジ側磁石33には、例えば、永久磁石が採用される。プリントキャリッジ側磁石33は、例えば、S極がプリントキャリッジ30の側面に密着し、N極がカットキャリッジ20側に向いている。
【0024】
[第3のキャリッジ40について]
第3のキャリッジ40は、カットキャリッジ20に連結可能に設けられている。第3のキャリッジ40は、カットキャリッジ20に連結されることにより、レール12上を移動可能となる。第3のキャリッジ40は、カットキャリッジ20に連結されていない非連結状態において、第3のキャリッジ待機部A2にて待機している。
【0025】
第3のキャリッジ40は、メディアMeに吐出されたインクに紫外線を照射可能な紫外線照射ランプ42を含む。紫外線照射ランプ42は、制御基板42aにLED製の光源42bが実装されてなる。光源42bの点滅は、制御基板42aを介して制御部18によって制御される。
【0026】
第3のキャリッジ40の側面には、第2の連結磁石24に吸着される第3のキャリッジ側磁石43が設けられている。第3のキャリッジ側磁石43には、例えば、永久磁石が採用される。第3のキャリッジ側磁石43は、例えば、S極が第3のキャリッジ40の側面に密着し、N極がカットキャリッジ20側に向いている。
【0027】
[第1の切替機構50について]
第1の切替機構50は、カットキャリッジ20及びプリントキャリッジ30の連結状態・非連結状態を切り替えるための機構であり、カバー部16によって覆われた部位に配置されている。
【0028】
第1の切替機構50は、プリントキャリッジ30がプリントキャリッジ待機部A1に位置していることを検知可能な第1の位置センサ51と、プリントキャリッジ30に向かって出没可能に設けられた第1のロッド52aを備えた第1の切替部材52と、を有している。第1の位置センサ51が検知した情報は、制御部18に送られる。第1の切替部材52は、制御部18からの電気信号に基づいて第1のロッド52aを上昇させ、又は、下降させる。
【0029】
[第2の切替機構60について]
第2の切替機構60は、カットキャリッジ20及び第3のキャリッジ40の連結状態・非連結状態を切り替えるための機構であり、第3のキャリッジ待機部A2のカバー部16によって覆われた部位に配置されている。
【0030】
第2の切替機構60は、第3のキャリッジ40が第3のキャリッジ待機部A2に位置していることを検知可能な第2の位置センサ61と、第3のキャリッジ40に向かって出没可能に設けられた第2のロッド62aを備えた第2の切替部材62と、を有している。第2の位置センサ61が検知した情報は、制御部18に送られる。第2の切替部材62は、制御部18からの電気信号に基づいて第2のロッド62aを上昇させ、又は、下降させる。
【0031】
プリンタ装置10の作用について説明する。
【0032】
メディアMeへの印刷は、印刷、インク硬化、メディア切断の各工程を経て行われる。これらの工程の間に、適宜、カットキャリッジ20に対して各キャリッジ30、40の連結及び切り離しを行う。非連結状態のキャリッジ30、40は、各待機位置A1、A2に待機させておく。
【0033】
[印刷工程について]
印刷工程では、プリントヘッド32C、32M、32Y、32KからインクをメディアMeに吐出する必要がある。プリントキャリッジ30のみを移動させることはできないため、プリントキャリッジ30をカットキャリッジ20に連結させる必要がある。
【0034】
まず、カッター22がメディアMeから離間している状態のカットキャリッジ20を、プリントキャリッジ30に向かって移動させる。このとき、第1のロッド52aをプリントキャリッジ30よりも低い位置に下降させておく。
【0035】
図3を参照する。第1の連結磁石23にプリントキャリッジ側磁石33を吸着させることにより、プリントキャリッジ30は、カットキャリッジ20に連結される。カットキャリッジ20と連結させた状態でプリントキャリッジ30を移動させる。移動させながら、インクをメディアMeに吐出し、印刷を行う。
【0036】
[プリントキャリッジ退避工程について]
図4を参照する。印刷が終わったら、プリントキャリッジ30をプリントキャリッジ待機位置A1に戻す。プリントキャリッジ30がプリントキャリッジ待機位置A1に戻ったことは、第1の位置センサ51によって検知する。プリントキャリッジ30がプリントキャリッジ待機位置A1に戻った後に、プリントキャリッジ30の下端よりも高い位置まで第1のロッド52aを上昇させる。
【0037】
[プリントキャリッジ切り離し工程について]
プリントの次には、メディアMeに塗布されたインクに紫外線を照射し、硬化させる必要がある。紫外線の照射時には、プリントキャリッジ30は用いないため、プリントキャリッジ30をカットキャリッジ20から切り離す。第1のロッド52aが上昇したら、カットキャリッジ20を第3のキャリッジ40に向かって移動させる。プリントキャリッジ30は、第1のロッド52aによって移動を規制されている。カットキャリッジ20をさらに移動させることにより、第1の連結磁石23及びプリントキャリッジ側磁石33は、切り離される。引き続き、カットキャリッジ20を第3のキャリッジ40に向かって移動させ、第2の連結磁石24に第3のキャリッジ側磁石43を吸着させる。
【0038】
なお、プリントキャリッジ退避工程又はプリントキャリッジ切り離し工程の間に、第2のロッド62aを第3のキャリッジ40よりも低い位置まで下降させておく。
【0039】
[インク硬化工程について]
図5を参照する。カットキャリッジ20と連結させた状態で第3のキャリッジ40を副搬送方向に移動させる。このとき、紫外線照射ランプ42を点灯させることにより、メディアMeに吐出されたインクに紫外線を照射する。紫外線が照射されたインクは、硬化しメディアMe上に定着する。
【0040】
[第3のキャリッジ退避工程について]
図6を参照する。インクの硬化が終わったら、第3のキャリッジ40を第3のキャリッジ待機位置A2に戻す。第3のキャリッジ40が第3のキャリッジ待機位置A2に戻ったことは、第2の位置センサ61によって検知する。第3のキャリッジ40が第3のキャリッジ待機位置A2に戻った後に、第3のキャリッジ40の下端よりも高い位置まで第2のロッド62aを上昇させる。
【0041】
[第3のキャリッジ切り離し工程について]
インク硬化の次には、メディアMeを切断する必要がある。メディアMeの切断時には、第3のキャリッジ40は用いないため、第3のキャリッジ40をカットキャリッジ20から切り離す。第2のロッド62aが上昇したら、カットキャリッジ20をプリントキャリッジ30に向かって移動させる。第3のキャリッジ40は、第2のロッド62aによって移動を規制されている。カットキャリッジ20をさらに移動させることにより、第2の連結磁石24及び第3のキャリッジ側磁石43は、切り離される。
【0042】
なお、第3のキャリッジ退避工程又は第3のキャリッジ切り離し工程の間に、カッター22をカット開始点まで移動させた後、メディアMeに当接可能な高さまで下降させておく。
【0043】
[メディア切断工程について]
メディアMeを搬送方向に移動させると共に、カットキャリッジ20を副搬送方向に移動させ、カッター22によってメディアMeを切断する。
【0044】
以上に説明したプリンタ装置10は、以下の効果を奏する。
【0045】
プリントキャリッジ30は、カットキャリッジ20の一方の側面20aに対して連結可能に設けられている。このため、メディアMeを切断する際には、プリントキャリッジ30を非連結状態とすることができる。メディアMeの切断時には、重量物であるプリントキャリッジ30を移動させずに、カットキャリッジ20のみを移動させることができる。これにより、カットキャリッジ20の移動の際の位置精度が向上し、高いカット精度を得ることが可能となる。また、カットキャリッジ20を移動させるためのモータ等に加わる負荷を軽減することができ、プリンタ装置10の長寿命化に資する。
【0046】
図5を参照する。加えて、カットキャリッジ20の他方の側面20bに対して連結可能に第3のキャリッジ40が設けられる。カットキャリッジ20の別の面に第3のキャリッジ40を連結させるため、第3のキャリッジ40による作業を行う際に、プリントキャリッジ30を共に移動させる必要がない。プリントキャリッジ30は、カットキャリッジ20の動作中はプリントキャリッジ待機部A1に待機することとなり、プリントヘッド32C、32M、32Y、32K(
図2参照)の保護がなされることとなる。また、カットキャリッジ20を移動させるためのモータ等に加わる負荷を軽減することができ、プリンタ装置10の長寿命化に資する。
【0047】
第3のキャリッジ40は、メディアMeに吐出されたインクに紫外線を照射する紫外線照射ランプ42を含む。紫外線照射ランプ42をプリントキャリッジ30とは別の第3のキャリッジ40に設けた。これにより、重量物であるプリントキャリッジ30を移動させることなく紫外線を照射し、インクの本硬化を行うことができる。
【0048】
また、インクの本硬化時に、プリントキャリッジ30は、プリントキャリッジ待機部A1に待機している。このため、紫外線がプリントヘッド32C、32M、32Y、32K(
図2参照)に照射されることを抑制することができる。プリントヘッド32C、32M、32Y、32Kに付着したインクが硬化することを抑制することができる。
【0049】
図2を参照する。カバー部16に覆われた部位に第1の切替機構50が配置されている。これにより、プリントキャリッジ30をカバー部16によって覆われた部位に待機させることができる。待機中においてプリントヘッド32C、32M、32Y、32Kに外光が当たることを抑制し、プリントヘッド32C、32M、32Y、32Kに付着したインクが硬化することを抑制することができる。
【0050】
<実施例2>
次に、実施例2によるプリンタ装置について図面に基づいて説明する。
【0051】
図7には、実施例2によるプリンタ装置10Aが模式的に示されている。実施例2によるプリンタ装置10Aにおいては、第3のキャリッジ40Aには、測色センサ71が搭載されている。その他の基本的な構成については、実施例1によるプリンタ装置と共通する。実施例1と共通する部分については、符号を流用すると共に、詳細な説明を省略する。
【0052】
測色センサ71は、プリントヘッド32C、32M、32Y、32K毎に生じるインク吐出量の誤差や、継続的な使用により生じたインク吐出量の誤差を修正するために、色を測定するセンサである。測色センサ71からの情報を基に、プリントヘッド32C、32M、32Y、32Kのインクの吐出量を調整し、所定の色で印刷を行うことができるよう調整する。
【0053】
なお、第3のキャリッジ40Aには、測色センサ71の他、箔押しを行うための箔押し機構、ジェル状のインクを吐出するためのディスペンサ、発振したレーザによって前記メディアを切断するレーザ切断機等も搭載することができる。
【0054】
以上に説明したプリンタ装置10Aも、本発明所定の効果を奏する。
【0055】
さらに、第3のキャリッジ40Aには、プリントキャリッジ30が正常に作動しているかを検査するための測色センサ71、箔押しを行うための箔押し機構、ジェル状のインクを吐出するためのディスペンサ、発振したレーザによってメディアMeを切断するレーザ切断機、のいずれかが搭載されている。モータ等にかかる負荷を軽減しつつも、プリント及びカット以外の作業をすることが可能なプリンタ装置10Aを提供することができる。
【0056】
<実施例3>
次に、実施例3によるプリンタ装置について図面に基づいて説明する。
【0057】
図8には、実施例3によるプリンタ装置10Bが模式的に示されている。実施例3によるプリンタ装置10Bにおいては、プリントキャリッジ30Bは、プリントヘッド32C、32M、32Yの他に、インクを仮硬化させるための補助紫外線照射ランプ35Bが搭載されている。その他の基本的な構成については、実施例1及び/又は実施例2によるプリンタ装置と共通する。実施例1及び/又は実施例2と共通する部分については、符号を流用すると共に、詳細な説明を省略する。
【0058】
補助紫外線照射ランプ35Bは、プリントヘッド32C、32M、32Yから吐出されたインクを短時間で仮硬化させるためのものである。プリントキャリッジ30Bを移動させ、プリントヘッド32C、32M、32Yからインクを吐出する際に、補助紫外線照射ランプ35Bを点灯させておく。これにより、吐出されたインクの垂れや滲みを抑制する。補助紫外線照射ランプ35Bは、紫外線照射ランプ42よりも照射する紫外線の出力が低く、且つ、軽量である。
【0059】
補助紫外線照射ランプ35Bは、補助制御基板35aBにLED製の補助光源35bBが実装されてなる。補助光源35bBは、例えば、1つである。このため、これよりも多くの光源42bが実装(例えば、3つ)されている紫外線照射ランプ42に比べて、照射する紫外線の出力が低い。また、少ない数の補助光源35bBを実装するだけであるため、補助制御基板35aBは、制御基板42aよりも小さい。このため、補助紫外線照射ランプ35Bは、紫外線照射ランプ42よりも軽量である。
【0060】
以上に説明したプリンタ装置10Bも、本発明所定の効果を奏する。
【0061】
プリントキャリッジ30Bには、紫外線照射ランプ42よりも照射する紫外線の出力が低く、且つ、軽量な補助紫外線照射ランプ35Bが搭載されている。補助紫外線照射ランプ35Bによってプリントと共に紫外線の照射を行うことにより、インクの液だれやインクがメディアMe上に滲むことを抑制することができる。このとき、プリントキャリッジ30Bに搭載される補助紫外線照射ランプ35Bは、紫外線照射ランプ42よりも軽量である。このため、プリントキャリッジ30Bの重量の増加を抑制し、モータ等にかかる負荷を軽減しつつ、インクの液だれやインクがメディアMe上に滲むことを抑制することができる。
【0062】
尚、各実施例は、適宜組み合わせることができる。また、本発明によるプリンタ装置は、実施例に限定されるものではなく、本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は、実施例に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明のプリンタ装置は、メディアへの印刷を行うと共に、印刷されたメディアを切断するのに好適である。
【符号の説明】
【0064】
10、10A、10B…プリンタ装置
12…レール
16…カバー部(遮光部材)
20…カットキャリッジ、20a…一方の側面(一面)、20b…他方の側面(一面とは異なる面)
30、30B…プリントキャリッジ
35B…補助紫外線照射ランプ
40、40A…第3のキャリッジ
50…第1の切替機構
60…第2の切替機構
71…測色センサ
A1…プリントキャリッジ待機部
A2…第3のキャリッジ待機部
Me…メディア