(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-14
(45)【発行日】2022-10-24
(54)【発明の名称】ロードセル
(51)【国際特許分類】
G01L 1/22 20060101AFI20221017BHJP
G01L 3/10 20060101ALI20221017BHJP
G01L 3/14 20060101ALI20221017BHJP
【FI】
G01L1/22 F
G01L3/10 311
G01L3/14 Z
(21)【出願番号】P 2019020513
(22)【出願日】2019-02-07
【審査請求日】2022-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000105659
【氏名又は名称】日本電産コパル電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】熊 四輩
【審査官】公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-172983(JP,A)
【文献】特開2002-365147(JP,A)
【文献】特開2018-091813(JP,A)
【文献】実開昭60-027336(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2003/0042050(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 1/22
G01L 3/10
G01L 3/14
G01L 5/1627
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1開口部を有する第1構造体と、
第2開口部を有する第2構造体と、
前記第1構造体と第2構造体とを接続する第3構造体と、
歪センサが設けられ、第1端部が前記第1構造体の前記第1開口部に挿入され、第2端部が前記第2構造体の前記第2開口部に挿入される起歪体と、
前記第1開口部に挿入され、前記起歪体の前記第1端部を前記第1構造体に押圧させる第1ブロックと、
前記第2開口部に挿入され、前記起歪体の前記第2端部を前記第2構造体に押圧させる第2ブロックと、
を具備するロードセル。
【請求項2】
前記第1構造体は、円筒であり、
前記第2構造体は、前記第1構造体と同心状に配置された円筒である
請求項1記載のロードセル。
【請求項3】
前記第1開口部及び前記第2開口部は、前記起歪体の前記第1端部又は前記第2端部が挿入される第1部分と、前記第1ブロック又は前記第2ブロックが挿入される第2部分とを具備する請求項1記載のロードセル。
【請求項4】
前記第1構造体は、複数の前記第1開口部を含み、
前記第2構造体は、複数の前記第2開口部を含み、
前記起歪体は、複数の前記第1開口部及び複数の前記第2開口部にそれぞれ挿入される複数の前記起歪体を含み、
前記第1ブロックは、複数の前記第1開口部に挿入される複数の前記第1ブロックを含み、
前記第2ブロックは、複数の前記第2開口部に挿入される複数の前記第2ブロックを含む
請求項3記載のロードセル。
【請求項5】
前記第3構造体は、円筒形の前記第1構造体の軸方向の一端部と、円筒形の前記第2構造体の軸方向の一端部との間に設けられ、前記第1開口部と前記第2開口部に対応する位置に複数の第3開口部を具備する請求項4記載のロードセル。
【請求項6】
複数の第1開口部を有する円筒形の第1構造体と、
複数の第2開口部を有し、前記第1構造体と同心状に配置された円筒形の第2構造体と、
前記第1構造体と第2構造体とを接続する第3構造体と、
複数の歪センサが設けられ、第1端部が前記第1構造体の複数の前記第1開口部にそれぞれ挿入され、第2端部が前記第2構造体の複数の前記第2開口部に挿入される複数の起歪体と、
複数の前記第1開口部のそれぞれに挿入され、前記起歪体の前記第1端部を前記第1構造体に押圧させる複数の第1ブロックと、
複数の前記第2開口部のそれぞれに挿入され、前記起歪体の前記第2端部を前記第2構造体に押圧させる複数の第2ブロックと、
を具備するロードセル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、力やトルクを検出することが可能なロードセルに関する。
【背景技術】
【0002】
ロードセルは、例えば力を受ける起歪体と、起歪体に設けられた歪センサとしての歪ゲージと、起歪体が固定される構造体を用いて構成される(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
起歪体は、例えば構造体にボルトを用いて固定される。しかし、ロードセルの小型化に伴い、起歪体をボルトにより構造体に固定することが困難となっており、構造体に対する起歪体の位置を高精度に保持することが困難となっている。
【0005】
構造体に対して起歪体が高精度に固定されていない場合、歪ゲージにおいて、歪と電気抵抗の変化との比率としてのゲージファクタが小さくなり、例えば弱い力を正確に検出することが困難となるなどの問題がある。
【0006】
本実施形態は、起歪体を本体に対して高精度に固定することが可能なロードセルを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態のロードセルは、第1開口部を有する第1構造体と、第2開口部を有する第2構造体と、前記第1構造体と第2構造体とを接続する第3構造体と、歪センサが設けられ、第1端部が前記第1構造体の前記第1開口部に挿入され、第2端部が前記第2構造体の前記第2開口部に挿入される起歪体と、前記第1開口部に挿入され、前記起歪体の前記第1端部を前記第1構造体に押圧させる第1ブロックと、前記第2開口部に挿入され、前記起歪体の前記第2端部を前記第2構造体に押圧させる第2ブロックと、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図5】本実施形態に適用される起歪体及び歪センサの一例を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。図面において、同一部分には、同一符号を付している。
【0010】
図1乃至
図4は、本実施形態に係るロードセル10を示している。
ロードセル10は、本体としての第1構造体11、第2構造体12及び第3構造体13と、例えば第1起歪体21、第2起歪体22、及び例えば2つの第1ブロック31a、31b、及び2つの第2ブロック32a、32bを具備している。
【0011】
第1構造体11、第2構造体12及び第3構造体13は、金属例えばステンレススチール(SUS)により一体的に構成されている。しかし、構造体の材料は、SUSに限定されるものではなく、鉄、アルミニウム、樹脂などの材料を使用することも可能である。
【0012】
第1構造体11及び第2構造体12は、例えば円筒であり、第2構造体12は、第1構造体11の内側で、第1構造体11と同心状に配置されている。すなわち、第1構造体11と第2構造体12は、中心軸を共有している。
【0013】
図2、
図3に示すように、第3構造体13は、第1構造体11と第2構造体12の軸心に沿った方向の一端部、例えば上部において、第1構造体11と第2構造体12とを接続する。第3構造体13は、弾性を有しており、第2構造体12は、第1構造体11に対して、軸心に沿った方向(
図2に示す矢印F方向)及び軸心回り方向(
図2に示す矢印T方向)に移動可能とされている。また、第3構造体13は、直径方向に沿って、例えば2つの窓13a、13bを有している。
【0014】
第1構造体11は、2つの窓13a、13bに対応する側面に、例えば2つの第1開口部11a、11bを具備し、第2構造体12は、2つの窓13a、13bに対応する側面に例えば2つの第2開口部12a、12bを具備している。第2開口部12aは、第1開口部11aに対向され、第2開口部12bは、第1開口部11bに対向されている。
【0015】
第1起歪体21は、第1構造体11の第1開口部11a内と、第2構造体12の第2開口部12a内に挿入される。すなわち、第1起歪体21の第1端部は、第1開口部11a内に配置され、第2端部は、第2開口部12a内に配置される。
【0016】
第2起歪体22は、第1構造体11の第1開口部11b内と、第2構造体12の第2開口部12b内に挿入される。すなわち、第2起歪体22の第1端部は、第1開口部11b内に配置され、第2端部は、第2開口部12b内に配置される。
【0017】
第1起歪体21及び第2起歪体22は、例えばSUSにより構成されている。第1起歪体21及び第2起歪体22の厚みは、例えば第3構造体14の厚みより薄く、後述するように、第2構造体12が第1構造体11に対して移動した場合、変形可能とされている。
【0018】
第1構造体11の第1開口部11a内には、第1ブロック31aが圧入され、第2構造体12の第2開口部12a内には、第2ブロック32aが圧入される。さらに、第1構造体11の第1開口部11b内には、第1ブロック31bが圧入され、第2構造体12の第2開口部12b内には、第2ブロック32bが圧入される。
【0019】
第1ブロック31a、31b及び第2ブロック32a、32bのそれぞれは、弾性体、例えばSUSにより構成される。第1ブロック31a、31b及び第2ブロック32a、32bのそれぞれは、例えば直方体とされているが、これに限らず、例えばくさび形のような形状であってもよい。
【0020】
第1起歪体21の第1端部は、第1ブロック31aにより第1開口部11a内の例えば上面、すなわち第1構造体11に圧接される。第1起歪体21の第2端部は、第2ブロック32aにより第2開口部12a内の例えば上面、すなわち第2構造体12に圧接される。
【0021】
第2起歪体22の第1端部は、第1ブロック31bにより第1開口部11b内の例えば上面、すなわち第1構造体11に圧接される。第2起歪体22の第2端部は、第2ブロック32bにより第2開口部12b内の例えば上面、すなわち第2構造体12に圧接される。
【0022】
図4に示すように、第1開口部11a、11b及び第2開口部12a、12bは、第1部分12-1と第2部分12-2を有する。第1部分は、第1起歪体21及び第2起歪体22の断面形状に類似し、第2部分12-2は、第1ブロック31a、31b及び第2ブロック32a、32bの断面形状に類似する。このため、第1起歪体21、第2起歪体22、及び第1ブロック31a、31b及び第2ブロック32a、32bは、第1開口部11a、11b、及び第2開口部12a、12b内において、第1構造体11及び第2構造体12の円周方向及び軸心に沿った方向に移動しないように規制される。
【0023】
図5は、第1起歪体21及び第2起歪体22の構成を概略的に示している。
第1起歪体21の表面には、歪センサ(歪ゲージ)としての例えば薄膜抵抗体R1、R2と、複数の端子41、42、43が配置されている。薄膜抵抗体R1は、端子41と端子42の間に接続され、薄膜抵抗体R2は、端子42と端子43との間に接続されている。
【0024】
第2起歪体22の表面には、歪センサとしての例えば薄膜抵抗体R3、R4及び複数の端子44、45、46が配置されている。薄膜抵抗体R3は、端子44と端子45との間に接続され、薄膜抵抗体R4は、端子45と端子46との間に接続されている。これら薄膜抵抗体R1~R4は、例えばホイートストンブリッジ回路を構成する。
【0025】
図2に示すように、ロードセル10に外部から矢印F方向の力が印加され、第1構造体11に対して第2構造体12が軸心に沿った方向に移動すると、第1起歪体21及び第2起歪体22が変形する。これにより、薄膜抵抗体R1~R4が圧縮又は伸張され、抵抗値が変化すると、ブリッジ回路から印加された力に応じた電気信号がセンサ出力として発生される。
【0026】
また、ロードセル10は、軸心回りに力が印加された場合、トルクセンサとしても機能する。
【0027】
(実施形態の効果)
上記実施形態によれば、第1構造体11は、第1開口部11a、11bを有し、第2構造体12は、第2開口部12a、12bを有し、第1起歪体21の第1端部は、第1開口部11a内において、第1ブロック31aにより第1構造体11に圧接され、第2端部は、第2開口部12a内において、第2ブロック32aにより第2構造体12に圧接され、第2起歪体22の第1端部は、第1開口部11b内において、第1ブロック31bにより第1構造体11に圧接され、第2端部は、第2開口部12b内において、第2ブロック32bにより第2構造体12に圧接されている。このため、ボルトを用いる場合に比べて、ロードセル10を小型化することが可能であり、第1構造体11及び第2構造体12が小型化された場合においても、第1起歪体21及び第2起歪体22を第1ブロック31a、31b及び第2ブロック32a、32bによって、第1構造体11及び第2構造体12に確実に固定することができる。したがって、ロードセル10に弱い力が印加された場合においても、印加された力を高精度に検出することが可能である。
【0028】
また、本実施形態によれば、第1開口部11a、11b内に第1ブロック31a、31bを圧入し、第2開口部12a、12b内に第2ブロック32a、32bを圧入することにより、第1起歪体21及び第2起歪体22を第1構造体11及び第2構造体12に固定することができる。したがって、第1構造体11及び第2構造体12が小型化された場合においても、ボルトを用いる場合に比べて、製造が容易であり、製造コストを低廉化することが可能である。
【0029】
尚、本体を構成する第1構造体11及び第2構造体12は、円筒形に限定されるものではなく、例えば直方体であってもよい。この場合、第3構造体13は、第1構造体11及び第2構造体12を接続する構成であればよい。
【0030】
起歪体の数は、2つに限定されるものではなく、1つまたは、3つ以上であってもよい。
【0031】
起歪体に設けられる歪ゲージの数は、2つに限定されるものではなく、1つ又は4つでもよく、歪ゲージの種類は薄膜抵抗体に限定されるものではない。
【0032】
その他、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0033】
10…ロードセル、11…第1構造体、11a、11b…第1開口部、12…第2構造体、12a、12b…第2開口部、12-1…第1部分、12-2…第2部分、13…第3構造体、21…第1起歪体、22…第2起歪体、31a、31b…第1ブロック、32a、32b…第2ブロック、R1~R4…薄膜抵抗体。