(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-14
(45)【発行日】2022-10-24
(54)【発明の名称】安全柵用パネル及びベルトコンベア用安全柵
(51)【国際特許分類】
E04H 17/04 20060101AFI20221017BHJP
B65G 21/00 20060101ALI20221017BHJP
【FI】
E04H17/04 A
B65G21/00 Z
(21)【出願番号】P 2019032028
(22)【出願日】2019-02-25
【審査請求日】2021-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】593213342
【氏名又は名称】株式会社日向製錬所
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】鶴川 和也
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】実開平2-40861(JP,U)
【文献】特開2016-135963(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第3130706(EP,A1)
【文献】特開2015-194062(JP,A)
【文献】特開2017-106284(JP,A)
【文献】特開2014-185489(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 17/04
B65G 21/00
E01F 7/00
E01F 15/00
E04F 11/00
E04H 5/00
E04G 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外枠部と該外枠部の内縁に設置されているメッシュ部とで構成されており、
少なくとも一方の表面が、平面視上において、外枠部寄り区画領域と、該外枠部寄り区画領域の内側を占める中央寄り区画領域と、に分割されていて、
前記外枠部寄り区画領域の表面色が黄色であり、
前記中央寄り区画領域の表面色が黒色である、
安全柵用パネル。
【請求項2】
前記黄色が、JIS安全色彩の黄色(2.5Y8/12)であり、
前記黒色が、JIS安全色彩の黒色(N1)である、
請求項1に記載の安全柵用パネル。
【請求項3】
前記メッシュ部が、エキスパンドメタルである、請求項1又は2に記載の安全柵用パネル。
【請求項4】
前記メッシュ部の開口部の大きさが、メッシュ寸法で30mm≦LWD≦102mmである請求項1から3の何れかに記載の安全柵用パネル。
【請求項5】
請求項1から4の何れかに記載の安全柵用パネルが、ベルトコンベアの側方位置に、複数枚連接して配置されているベルトコンベア用安全柵。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全柵用パネル、及び、それを用いて構成することができるベルトコンベア用安全柵に関する。詳しくは、主にメッシュ状のパネルで形成されており、パネルの所定範囲を所定の色彩で塗装することにより、ベルトコンベア等の操業状況に係る点検作業の効率を向上させることが可能な安全柵を構成することができる、安全柵用パネル及びそれを用いて構成されるベルトコンベア用安全柵に関する。
【背景技術】
【0002】
ベルトコンベアの操業状況に係る点検作業は、例えば、
図2に示すように点検作業者がベルトコンベアに沿って設置された歩道(歩廊)から目視することによって行われている。
【0003】
ベルトコンベアの操業としては、最上部のコンベアベルトには被移送物が積載されて移送されており、移送中に被移送物が両脇に漏れ落ちにくくするためキャリヤローラーにより移送方向に垂直な断面形状が凹型・V型等にされており、キャリヤローラーはローラーホルダーにより支持されており、ローラーホルダーはベルトコンベア全体を支えるフレームに取り付けられており、下方には移送方向とは逆の方向にコンベアベルトが戻っており、戻るコンベアベルトはリターンローラーによって支持されていることが一般的である。
【0004】
点検作業者は、ベルトコンベアの各部材が正常に稼働しているか、被移送物の異常な漏洩がないか等を、
図2の下図に示すようにベルトコンベアの移送方向のほぼ全域にわたって、例えば50mをいった距離にわたって点検することが必要であり、少なくとも点検作業者が歩行する部分には安全柵を設けて、回転する部材や移動する部材等に点検作業者の身体が接触できない様にしている。点検作業者の安全を確保すると同時に、目視点検を可能とするために、金網やメッシュ状のパネル等、少なくとも点検作業者の手先が通り抜けることがないサイズの開口部を備えている。メッシュ状のパネルとしては、例えばエキスパンドメタルやパンチングメタル等が使用され、開口部を通して部材を点検できるようにしている。
【0005】
例えば、特開2016-028980号公報(特許文献1)には、安全柵を、安全柵用パネルの網の目や棒間の隙間に所定の部材を取り付けて固定することにより、組立時に部品を見失うことを防止する技術の記載があり、又、例えば、特開2017-186110号公報(特許文献2)には、安全柵用パネルの網の目や棒間の隙間に所定の部材を取り付けて使用することにより、安全柵を少ない部品数で固定する技術の記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-28980号公報
【文献】特開2017-186110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
開口部を備えた部材として安全柵に使用される際、操業現場で目立ちやすいように、例えば黄色等の明るい色が選択される場合が多く、安全柵の製造コストを低減するためにも単一色で塗装される場合が多い。
【0008】
ところが、ベルトコンベア用安全柵は、上記したように開口部をとおして目視による点検作業が必要であり、更に、点検すべき部材の最上部にコンベアベルトがあって、目視する対象の部材は比較的暗い場所にあり、一見しただけでは稼働状況の良否判別が困難であるため、ゆっくりと歩行するか、或いは、立ち止まって目視する必要があり、点検作業に時間がかかるという問題があった。
【0009】
本発明は、このような状況を解決するため、安全柵の外側からのベルトコンベア等の稼働状況の良否判別を容易にして、点検作業に要する時間を短縮することができる安全柵を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、安全柵の塗装において、所定の塗装方法を採用することによって、課題解決できることを見出し、本発明を完成した。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
【0011】
(1) 外枠部と該外枠部の内縁に設置されているメッシュ部とで構成されており、少なくとも一方の表面が、平面視上において、外枠部寄り区画領域と、該外枠部寄り区画領域の内側を占める中央寄り区画領域とに分割されていて、前記外枠部寄り区画領域の表面色が黄色であり、前記中央寄り区画領域の表面色が黒色である、安全柵用パネル。
【0012】
(1)の安全柵用パネルによれば、外枠部寄り区画領域の黄色の表面色により、安全に対する注意喚起機能を保持しつつ、中央寄り区画領域の表面色を黒色とすることにより、「すだれ」に類似した作用効果よって、この区画領域表面での過剰な光の乱反射を抑制し、安全柵の内側の視認性を高めることができる。これにより、安全柵の外側からのベルトコンベア等の稼働状況の良否判別を容易にして、点検作業に要する時間を短縮することができる、安全柵を構成することができる。
【0013】
(2) 前記黄色が、JIS安全色彩の黄色(2.5Y8/12)であり前記黒色が、JIS安全色彩の黒色(N1)である、(1)に記載の安全柵用パネル。
【0014】
(2)の安全柵用パネルにおいては、(1)の安全柵用パネルの各領域の表面色を、それぞれJIS(日本工業規格)規定の安全色彩に特定した。これにより、(1)の発明の上記効果を更に向上させつつ、公共性の面でもより好ましいものとし、更に汎用性の高い安全柵を構成することができる。
【0015】
(3) 前記メッシュ部が、エキスパンドメタルである、(1)又は(2)に記載の安全柵用パネル。
【0016】
(3)の安全柵用パネルにおいては、(1)又は(2)の安全柵用パネルのメッシュ部を、エキスパンドメタルによって構成するものとした。これにより、強度が不十分となりやすい金網や、重量が大きく設置作業や取り換え作業の負担が嵩むパンチングメタルの欠点を回避して、(1)又は(2)の安全柵用パネルの強度と生産性と保守容易性を更に向上させることができる。
【0017】
(4) 前記メッシュ部の開口部の大きさが、メッシュ寸法で30mm≦LWD≦102mmである(1)から(3)の何れかに記載の安全柵用パネル。
【0018】
(4)の安全柵用パネルにおいては、(1)から(3)の何れかの安全柵用パネルのメッシュ部の開口部の大きさを、更に最適化した。これにより、安全性と視認性のバランスに得に優れるエキスパンドメタルによって構成するものとした。これにより、(1)から(3)の何れかの安全柵用パネルによる安全柵を特に安全性と視認性とをバランスよく高水準で兼ね備えるものとすることができる。
【0019】
(5) (1)から(4)の何れかに記載の安全柵用パネルが、ベルトコンベアの側方位置に、複数枚連接して配置されているベルトコンベア用安全柵。
【0020】
(5)のベルトコンベア用安全柵によれば、(1)から(4)の何れかに記載の安全柵用パネルの奏する上記各効果を享受して、安全柵の外側からのベルトコンベアの稼働状況の良否判別を容易にして、点検作業に要する時間を短縮することができる、ベルトコンベア用安全柵を得ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、ベルトコンベア等の稼働状況の良否判別を容易にして、その点検作業に要する時間を短縮することが可能な、安全柵を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の安全柵用パネルの正面、側面、底面に係る3面図である。
【
図4】ベルトコンベア点検作業の概略を模式的に示すことにより、本発明のベルトコンベア用安全柵の実施態様の説明に供する図である。
【
図5】本発明のベルトコンベア用安全柵の実施形態の一例であり、同安全柵を設置したベルトコンベアの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の安全柵用パネル、及び、これを用いて構成することができるベルトコンベア用安全柵の好ましい実施形態について説明する。但し、本発明は、以下の実施形態に限定されない。
【0024】
<安全柵用パネル>
本発明の安全柵用パネルは、例えば、ベルトコンベア等の側方に複数枚連接して設置することにより、安全柵を構成するために用いることができるパネル状の部材である。本発明の安全柵用パネル1は、例えば、
図5に示すように、ベルトコンベア2の略全長に亘ってその側面側近傍に配置されることによってベルトコンベア用安全柵10を構成することができる。又、場所毎の点検作業の重要性や困難性に応じて、ベルトコンベア用安全柵10の一部のみを本発明の安全柵用パネル1で構成することもできる。
【0025】
上記のように用いて、ベルトコンベア等の安全柵を構成することができる本発明の安全柵用パネル1は、
図1に示す通り、外枠部11と外枠部11の内縁に設置されているメッシュ部12とで構成されている。そして、安全柵用パネル1の少なくとも一方の表面は、平面視において、表面色の異なる2つの領域に分割されている。2つの領域は、外枠部11に沿ってメッシュ部12の外縁を取り巻く領域を占める外枠部寄り区画領域121と、当該領域に取り囲まれて、その内側の領域を占める中央寄り区画領域122である。
図1に例示する通り、外枠部寄り区画領域121の表面色は黄色であり、中央寄り区画領域122の表面色は黒色である。尚、外枠部11についても、外枠部寄り区画領域121と同様にその表面色を黄色とすることが好ましい。
【0026】
安全柵用パネル1の一方の表面において、表面色が黄色である外枠部寄り区画領域121が占める幅w(高さh)については、それぞれ安全柵用パネル1の横幅W(高さH)の5~20%の幅(高さ)であることが好ましい(
図1及び
図2参照)。外枠部寄り区画領域121が占める幅w(高さh)が、これよりも小さくなると、安全柵用パネル1自体の認知や、黄色の外観による注意喚起効果が低下してしまうおそれがある。一方で、外枠部寄り区画領域121が占める幅w(高さh)が、これよりも大きくなると、中央寄り区画領域122の面積が相対的に小さくなりすぎることにより、本発明の主たる効果である点検作業時の内部視認性向上の効果が十分に発現しにくくなる。
【0027】
外枠部寄り区画領域121の表面色とする「黄色」及び、中央寄り区画領域122の表面色とする「黒色」の色味については、通常、点検作業者がそれぞれの色味であると認識可能な範囲の色味であれば足りる。例えば、「黄色」については、マンセル表色系の色相Yの範囲であること等が一応の目安となる。又、「黒色」については、黒及びこれに暗色(目安としては、マンセル表色系でL*値3.0以下程度の暗色)も含むものとする。
【0028】
但し、外枠部寄り区画領域121の表面色とする「黄色」の色味は、「JIS安全色彩の黄色」、即ち、マンセル値で(2.5Y8/12)である黄色とし、中央寄り区画領域122の表面色とする「黒色」の色味は、同じく、「JIS安全色彩の黒色」、即ち、マンセル値で(N1)である黒色とすることが好ましい。JIS安全色彩を発色することを保証している塗料は、多くの工業施設、操業現場等に通常備えられている。そして、これらの塗料を用いて既存の安全柵パネルの表面を上記態様で適切に塗装することにより、本発明の安全柵パネルを得ることができる。
【0029】
尚、いわゆる「艶(つや)」に係る塗料の種類について特に制限はないが、各色の塗料として艶消しの塗料を選択すると、視認性を阻害する上述の乱反射を抑える効果が向上する点において好ましい。
【0030】
安全柵用パネル1の全体構造について、外枠部11は、自立性を保持できる程度の剛性、強度を有する材料・構造であればよい。例えば、剛性と軽量性の観点から、外枠部11を構成する部材として、中空の鉄パイプを好ましく用いることができる。
【0031】
一方、メッシュ部12は、所望の視認性を確保できるだけの開口部を備えるものであれば、特定の材料や構造に限定はされず、エキスパンドメタル、或いは、一般的な金網又はパンチングボード等で構成することができる。但し、金網については、点検作業者が注視するためにパネルに手をかけた際に、メッシュ部が内側に膨らんで罹災する危険が生じる場合があり、一方、パンチングメタルについては、重量が嵩むことにより、設置時や交換時の作業負荷が大きくなるという欠点がある。よって、安全柵用パネル1のメッシュ部12は、上記のうちでもエキスパンドメタルによって構成することが特に好ましい。
【0032】
メッシュ部12の開口部の大きさは、
図3に示すように、長手方向の距離である、LWDが、30mm以上102mm以下であり、短手方向の距離である、SWDが、12mm以上38mm以下であることが好ましい。メッシュ部12の開口部の大きさが、これよりも小さいと、開口部の目が細かくなりすぎて、中央寄り区画領域122の表面色を黒色としたとしても、目視による内部視認性が十分に向上し難くなる。一方、メッシュ部12の開口部の大きさが、これよりも大きいと、点検作業者の手が安全柵の内側に入ってしまう危険が生じる。
【0033】
外枠部11を、上記の鉄パイプで構成し、メッシュ部12を上記のエキスパンドメタルで構成する場合、当該エキスパンドメタルを、外枠部11を構成する鉄パイプに固定するためには、エキスパンドメタルのサイズは、周辺端部が鉄パイプの略中心線に重なるサイズであることが好ましい。エキスパンドメタルの固定方法は特に限定されないが、上記サイズとすることにより、エキスパンドメタルの端部を外枠部11に固定する際に、外枠部11を平置し、その上にエキスパンドメタルを置いて作業することができるため、固定作業が容易になる。又、この固定方法は、ボルト締め、吊り下げ器具による固定等でよく、特に制限はないが、上述の通り、エキスパンドメタルの端部が鉄パイプの表面と接触した部分を溶接により固定する方法が、固定作業の容易性の面で好ましい。
【0034】
安全柵用パネル1を設置する方法については、特に制限はない。例えば、ベルトコンベア等の点検対象機器と、点検作業者が通行する歩道(歩廊)の間に固定できればどのような方法でもよい。例えば、各安全柵用パネル1の、メッシュ部12を、ベルトコンベア等のフレームにボルト締めで固定してもよいし、安全柵用パネル1の両端の下部に「脚部」を追加し、フレームに「受穴」を設けて挿入する設置方法であってもよい。
【0035】
<ベルトコンベア用安全柵>
上述した通り、本発明の安全柵用パネル1は、ベルトコンベア等の側方に複数枚連接して設置することにより、例えば、
図5に示すような、ベルトコンベア用安全柵10を構成することができる。
【0036】
尚、本発明の安全柵用パネル1は、ベルトコンベア用安全柵に限らず、同様の態様での点検作業が必要な、各種の工業機器や設備の周囲に設置する安全柵として広く適用することができる。
【0037】
<ベルトコンベアの点検方法>
安全柵用パネル1を、ベルトコンベア用安全柵10として設置した場合における、具体的な点検作業の方法について、本発明の作用効果と合わせて、その詳細を説明する。
【0038】
点検対象となるベルトコンベアは特定の構成のものに限定されない。一例として、
図4に示すようなベルトコンベア2を挙げることができる。このベルトコンベア2は、最上部のコンベアベルト21Aが、キャリヤローラー22Aによって駆動されながら被移送物が積載されて移送される。そして、この移送中に被移送物が両脇に漏れ落ちにくくするために、キャリヤローラー22Bによって移送方向に垂直な断面形状が凹型やV型等の形状となるように構成されている。更に、下方には移送方向とは逆方向にコンベアベルト21Bが戻っており、戻りのコンベアベルト21Bは、リターンローラー22Cによって支持されている。
【0039】
図4、5は、本発明の安全柵用パネル1を、ベルトコンベア用安全柵10として設置した場合における、ベルトコンベアの点検作業の実施態様概略を模式的に示す図である。同図に示す通り、ベルトコンベア2の操業状況に係る点検作業は、点検作業者3がベルトコンベア2に沿って設置された歩道(歩廊)23から目視することによって行われる。
【0040】
ベルトコンベア2の点検作業をするときに、点検作業者3は歩道(歩廊)23を歩行しながら、点検箇所を目視する。ベルトコンベア2の各部材が正常に稼働しているか、例えば、コンベアベルトの「よれ」がないか、又、キャリヤローラー22A等やリターンローラー22C等が正常に回転しているか、或いは、異音がないか、又、被移送物の異常な漏れ落ちがないか等を目視確認する。とくに各ローラーの設置箇所では、上述の不具合が集中する場合が多く、注意深く目視することが必要である。
【0041】
このようなベルトコンベア2を点検する点検作業者3は、ベルトコンベアの各部材が正常に稼働しているか、被移送物の異常な漏洩がないか等を、例えば、
図4に示すような態様での目視による観察方法により、
図5に示すベルトコンベア2の移送方向のほぼ全域にわたって点検する。
【0042】
ベルトコンベア2の点検作業においては、点検箇所、即ち、上部に張られた往路のコンベアベルトが、屋根になって、その下方にあるキャリヤローラー、ローラーホルダー、フレーム、リターンローラー、ガイドローラー等の点検対象は、日陰になり、一方、点検作業者は周囲の照明や日光を遮られない状態であるところ、黄色く反射率の高い塗装が全面に施された従来の安全柵(安全柵用パネル)を通して、点検箇所を目視する場合、特に点検作業者からの点検対象の視認性が著しく低下する。この場合においては、歩行通過しながら一見して判断できる状態ではなく、重要なポイントでは立ち止まって、安全柵に顔を近づけて覗き込むことが必要であった。
【0043】
ベルトコンベア2において、点検作業者3が歩行する部分に設ける安全柵を本発明の安全柵用パネル1で構成したベルトコンベア用安全柵10とすることにより、点検作業者3の安全を確保すると同時に、安全柵の開口部を介して点検箇所を目視で点検する上記のような点検作業時の安全柵の内部の視認性を大幅に向上させることができる。
【0044】
安全柵用パネル1を、ベルトコンベア用安全柵10として設置した場合における的な作用効果として、先ず、本発明の安全柵用パネル1は、外枠部寄り区画領域121の表面色が黄色であることにより、安全柵の存在が、点検作業者3等に認知されやすく、安全柵と点検作業者3の衝突等を防止することができる。更に、本発明の安全柵用パネル1は、安全柵の表面の大部分を占める中央寄り区画領域122の表面色が黒色であることにより、視認を阻害する光線の乱反射が少なく、点検作業者3は立ち止まって注視する必要はほとんど無く、点検箇所を目視して、容易に不具合の有無を判断することができる。
【0045】
尚、本発明の安全柵用パネル1によって構成されるベルトコンベア用安全柵10を通して点検作業を行った結果、不具合箇所を発見した際には、当該部分の安全柵用パネル1のみを取り外して修繕作業を行うことができる。又、ベルトコンベア用安全柵10の一部が破損した際には、破損した安全柵用パネル1のみを交換することによりベルトコンベア用安全柵10の保守作業を効率よく行うことができる。
【実施例】
【0046】
以下、実施例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に何ら制限を受けるものではない。各例において共通の条件は以下の通りである。
【0047】
(ベルトコンベア)
ベルトコンベアの歩道(歩廊)長さ:267m、キャリヤローラー設置数:270箇所、リターンローラー設置数:134箇所、ベルトコンベアの操業状況:正常操業(不具合無し)
【0048】
(黄色塗料)
:メーカー:セントラル産業(株)、品名:ネオブリッドB NB-1304(22-80V)
【0049】
(黒色塗料)
:メーカー:セントラル産業(株)、品名:ネオブリッドA NB-301A
【0050】
(実施例)
操業中の上記のベルトコンベアに、上記の各塗料を用いて、外枠部寄り区画領域の表面色を黄色とし、中央寄り区画領域の表面色を黒色とした本発明の安全柵を設置した状態とした。この状態において、点検作業者が歩道(歩廊)を歩行して点検作業を行った。その結果、点検作業者はほぼ立ち止まることなく240~300秒で点検作業を終了した。
【0051】
(比較例)
本発明の安全柵を使用せず、パネル表面の全面を上記の「黄色」の塗料で塗装した安全柵を設置したこと以外は、実施例1と同様の条件で点検作業を行った。その結果、点検作業者は、キャリヤローラー毎に約3秒立ち止まって確認することが必要となり1050~1110秒で点検作業を終了した。
【0052】
本発明の適用により、点検作業時間が約1/4に短縮された。この結果より、本発明により、安全柵の外側からのベルトコンベア等の稼働状況の良否判別を容易にして、点検作業に要する時間を短縮することができることが分かる。
【符号の説明】
【0053】
1 安全柵用パネル
11 外枠部
12 メッシュ部
121 外枠部寄り区画領域
122 中央寄り区画領域
2 ベルトコンベア
21A、21B コンベアベルト
22A、22B キャリヤローラー
22C リターンローラー
23 23
3 点検作業者