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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-14
(45)【発行日】2022-10-24
(54)【発明の名称】磁気記録装置及び磁気ヘッド
(51)【国際特許分類】
   G11B 5/31 20060101AFI20221017BHJP
   G11B 5/012 20060101ALI20221017BHJP
   G11B 5/02 20060101ALI20221017BHJP
【FI】
G11B5/31 A
G11B5/31 E
G11B5/31 Q
G11B5/012
G11B5/02 R
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019043903
(22)【出願日】2019-03-11
(65)【公開番号】P2020149737
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157901
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 功
(72)【発明者】
【氏名】成田 直幸
(72)【発明者】
【氏名】前田 知幸
【審査官】中野 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-222485(JP,A)
【文献】特開2014-120190(JP,A)
【文献】特開2011-248997(JP,A)
【文献】特開2018-147540(JP,A)
【文献】特開2014-130672(JP,A)
【文献】特開2012-014791(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 5/31
G11B 5/012
G11B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁極と、第1シールドと、前記磁極と前記第1シールドとの間に設けられた積層体と、前記磁極と電気的に接続された第1端子と、前記第1シールドと電気的に接続された第2端子と、コイルと、を含む磁気ヘッドと、
前記第1端子及び前記第2端子と電気的に接続された第1回路と、
前記コイルと電気的に接続された第2回路と、
を備え、
前記第1回路は、少なくとも第1動作を実施し、
前記第1動作において、前記第2回路が前記コイルに記録電流を供給しているときに、前記第1回路は、前記第1端子と前記第2端子との間の電流経路に第1電流を供給し、前記第1電流は、前記電流経路の電気抵抗が発振する第2電流よりも小さい、磁気記録装置。
【請求項2】
前記第1回路は、第2動作をさらに実施し、
前記第2動作において、前記第2回路が前記コイルに前記記録電流を供給しているときに、前記第1回路は、前記電流経路に前記第2電流を供給する、請求項1記載の磁気記録装置。
【請求項3】
前記電気抵抗の発振の周波数は、10GHz以上50GHz以下である、請求項1または2に記載の磁気記録装置。
【請求項4】
前記第1電流の大きさは、前記第2電流の大きさの1/2以上である、請求項1~3のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【請求項5】
前記第2回路が前記コイルに記録電流を供給しつつ、前記第1電流が前記電流経路に流れたときの前記電気抵抗の前記第1電流の変化に対する第1変化率は、第3電流が前記電流経路に流れたときの前記電気抵抗の前記第3電流の変化に対する第3変化率とは異なり、前記第3電流の大きさは前記第1電流の大きさよりも小さい、請求項1~4のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【請求項6】
前記磁気ヘッドにより情報が記録される磁気記録媒体をさらに備え、
前記電気抵抗の発振の周波数と、前記磁気記録媒体の磁気共鳴周波数と、の差の絶対値の、前記磁気共鳴周波数に対する比は、50%以下である、請求項1~5のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【請求項7】
前記積層体は、
第1磁性層と、
前記第1シールドと前記第1磁性層との間に設けられ、Cu、Ag、Al、Cr及びAuよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第1元素を含む第1導電層と、
前記磁極と前記第1磁性層との間に設けられ、Ta、Pt、W、Mo、Ir、Ru、Tb、Rh及びPdよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第2元素を含む第2導電層と、
前記第1磁性層と前記第2導電層との間に設けられた第2磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた第3磁性層と、
前記第1磁性層と前記第3磁性層との間に設けられ、Ta、Pt、W、Mo、Ir、Cr、Tb、Rh及びPdよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第3元素を含む第3導電層と、
前記第3磁性層と前記第2磁性層との間に設けられ、Cu、Au、Ag、Al、Cr、Ta、Pt、W、Mo、Ir、Ru、Tb、Rh及びPdよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第4元素を含む第4導電層と、
を含む、請求項1~6のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【請求項8】
前記第1電流は、前記第1シールドから前記磁極への向きを有する、請求項7記載の磁気記録装置。
【請求項9】
前記第2電流は、前記第1シールドから前記磁極への向きを有する、請求項7または8に記載の磁気記録装置。
【請求項10】
前記積層体は、
第1磁性層と、
前記磁極と前記第1磁性層との間に設けられ、Cu、Ag、Al、Cr及びAuよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第1元素を含む第1導電層と、
前記第1シールドと前記第1磁性層との間に設けられ、Ta、Pt、W、Mo、Ir、Ru、Tb、Rh及びPdよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第2元素を含む第2導電層と、
前記第1磁性層と前記第2導電層との間に設けられた第2磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた第3磁性層と、
前記第1磁性層と前記第3磁性層との間に設けられ、Ta、Pt、W、Mo、Ir、Ru、Tb、Rh及びPdよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第3元素を含む第3導電層と、
前記第3磁性層と前記第2磁性層との間に設けられ、Cu、Au、Ag、Al、Cr、Ta、Pt、W、Mo、Ir、Ru、Tb、Rh及びPdよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第4元素を含む第4導電層と、
を含む、請求項1~6のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【請求項11】
前記第1電流は、前記磁極から前記第1シールドへの向きを有する、請求項10記載の磁気記録装置。
【請求項12】
前記第2電流は、前記磁極から前記第1シールドへの向きを有する、請求項10または11に記載の磁気記録装置。
【請求項13】
磁極と、第1シールドと、前記磁極と前記第1シールドとの間に設けられた積層体と、前記磁極と電気的に接続された第1端子と、前記第1シールドと電気的に接続された第2端子と、を備え、
前記積層体は、
第1磁性層と、
前記第1シールドと前記第1磁性層との間に設けられ、Cu、Ag、Al、及びAuよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第1元素を含む第1導電層と、
前記磁極と前記第1磁性層との間に設けられ、Ta、Pt、W、Mo、Ir、Ru、Tb、Rh及びPdよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第2元素を含む第2導電層と、
前記第1磁性層と前記第2導電層との間に設けられた第2磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた第3磁性層と、
前記第1磁性層と前記第3磁性層との間に設けられ、Ta、Pt、W、Mo、Ir、Ru、Tb、Rh及びPdよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第3元素を含む第3導電層と、
前記第3磁性層と前記第2磁性層との間に設けられ、Cu、Au、Ag、Al、Cr、Ta、Pt、W、Mo、Ir、Ru、Tb、Rh及びPdよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第4元素を含む第4導電層と、
を含む、磁気ヘッド。
【請求項14】
磁極と、第1シールドと、前記磁極と前記第1シールドとの間に設けられた積層体と、前記磁極と電気的に接続された第1端子と、前記第1シールドと電気的に接続された第2端子と、を備え、
前記積層体は、
第1磁性層と、
前記磁極と前記第1磁性層との間に設けられ、Cu、Ag、Al、Cr及びAuよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第1元素を含む第1導電層と、
前記第1シールドと前記第1磁性層との間に設けられ、Ta、Pt、W、Mo、Ir、Cr、Tb、Rh及びPdよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第2元素を含む第2導電層と、
前記第1磁性層と前記第2導電層との間に設けられた第2磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた第3磁性層と、
前記第1磁性層と前記第3磁性層との間に設けられ、Ta、Pt、W、Mo、Ir、Cr、Tb、Rh及びPdよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第3元素を含む第3導電層と、
前記第3磁性層と前記第2磁性層との間に設けられ、Cu、Au、Ag、Al、Cr、Ta、Pt、W、Mo、Ir、Ru、Tb、Rh及びPdよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第4元素を含む第4導電層と、
を含む、磁気ヘッド。
【請求項15】
磁極と、第1シールドと、前記磁極と前記第1シールドとの間に設けられた積層体と、前記磁極と電気的に接続された第1端子と、前記第1シールドと電気的に接続された第2端子と、を備え、
前記第1端子と前記第2端子との間の電流経路に第1電流が流れたときの前記第1電流の変動に対する前記電流経路の電気抵抗の第1変化率は、前記電流経路に第2電流が流れたときの前記第2電流の変動に対する前記電流経路の電気抵抗の第2変化率とは異なり、
前記第1変化率は、前記電流経路に第3電流が流れたときの前記第3電流の変動に対する前記電流経路の電気抵抗の第3変化率とは異なり、
前記第1電流の大きさは、第1電流範囲にあり、
前記第2電流の大きさは、前記第1電流範囲よりも大きい第2電流範囲にあり、
前記第3電流の大きさは、前記第1電流範囲よりも小さい第3電流範囲にある、磁気ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、磁気記録装置及び磁気ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ヘッドを用いて、HDD(Hard Disk Drive)などの磁気記録媒体に情報が記録される。磁気記録装置及び磁気ヘッドにおいて、記録密度の向上が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-156709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、記録密度の向上が可能な磁気記録装置及び磁気ヘッドを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、磁気記録装置は、磁気ヘッド、第1回路及び第2回路を含む。前記磁気ヘッドは、磁極と、第1シールドと、前記磁極と前記第1シールドとの間に設けられた積層体と、前記磁極と電気的に接続された第1端子と、前記第1シールドと電気的に接続された第2端子と、コイルと、を含む。前記第1回路は、前記第1端子及び前記第2端子と電気的に接続される。前記第2回路は、前記コイルと電気的に接続される。前記第1回路は、少なくとも第1動作を実施する。前記第1動作において、前記第2回路が前記コイルに記録電流を供給しているときに、前記第1回路は、前記第1端子と前記第2端子との間の電流経路に第1電流を供給する。前記第1電流は、前記電流経路の電気抵抗が発振する第2電流よりも小さい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1(a)及び図1(b)は、第1実施形態に係る磁気ヘッド及び磁気記録装置を例示する模式的断面図である。
図2図2(a)~図2(d)は、第1実施形態に係る磁気ヘッド及び磁気記録装置における特性を例示するグラフ図である。
図3図3(a)~図3(c)は、第1実施形態に係る磁気ヘッド及び磁気記録装置における動作を例示する模式的断面図である。
図4図4は、磁気ヘッド及び磁気記録装置における特性を例示するグラフ図である。
図5図5は、第1実施形態に係る磁気ヘッド及び磁気記録装置における特性を例示するグラフ図である。
図6図6は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式的断面図である。
図7図7(a)及び図7(b)は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式的断面図である。
図8図8(a)及び図8(b)は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式的断面図である。
図9図9は、第2実施形態に係る磁気ヘッド及び磁気記録装置を例示する模式的断面図である。
図10図10は、第2実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式的断面図である。
図11図11(a)及び図11(b)は、第2実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式的断面図である。
図12図12(a)及び図12(b)は、第2実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式的断面図である。
図13図13は、実施形態に係る磁気記録装置の一部を例示する模式的斜視図である。
図14図14は、実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的斜視図である。
図15図15(a)及び図15(b)は、実施形態に係る磁気記録装置の一部を例示する模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1(a)及び図1(b)は、第1実施形態に係る磁気ヘッド及び磁気記録装置を例示する模式的断面図である。
図1(b)は、図1(a)の一部の拡大図である。
【0009】
図1(a)に示すように、実施形態に係る磁気記録装置150は、磁気ヘッド110を含む。磁気ヘッド110は、磁極30、第1シールド31、及び、積層体20を含む。この例では、磁気ヘッド110は、第1端子T1、第2端子T2、第2シールド32及びコイル30cをさらに含む。
【0010】
第1シールド31と第2シールド32との間に、磁極30の少なくとも一部が設けられる。例えば、コイル30cの少なくとも一部は、磁極30と第1シールド31との間に設けられる。この例では、コイル30cの一部は、磁極30と第2シールド32との間に設けられる。
【0011】
コイル30cに、第2回路30D(記録用電気回路)が電気的に接続される。記録用電気回路からコイル30cに記録電流Iwが供給される。磁極30から記録電流Iwに応じた磁界(記録磁界)が生じる。記録磁界が磁気記録媒体80に加わり、磁気記録媒体80に情報が記録される。このように、記録用電気回路(第2回路30D)は、記録される情報に対応した電流(記録電流Iw)をコイル30cに供給可能である。
【0012】
図1(a)に示すように、例えば、磁極30、第1シールド31、第2シールド32、コイル30c及び積層体20の周りに、絶縁部30iが設けられる。図1(b)においては、絶縁部30iは、省略されている。
【0013】
磁極30は、例えば、主磁極である。磁極30の端部30eに、磁極面30Fが設けられる。磁極面30Fは、例えば、磁気ヘッド110のABS(Air Bearing Surface)に沿う。磁極面30Fが、磁気記録媒体80に対向する。
【0014】
磁極面30Fに対して垂直な方向をZ軸方向とする。Z軸方向に対して垂直な1つの方向をX軸方向とする。Z軸方向及びX軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。
【0015】
Z軸方向は、例えば、ハイト方向である。X軸方向は、例えば、ダウントラック方向である。Y軸方向は、クロストラック方向である。
【0016】
例えば、磁極面30Fの近傍において、磁極30は、X軸方向に沿って、第1シールド31から離れる。例えば、磁極面30Fの近傍において、第2シールド32は、X軸方向に沿って磁極30から離れる。X軸方向に実質的に沿って、磁気ヘッド110と磁気記録媒体80とが、相対的に移動する。これにより、磁気記録媒体80の任意の位置に、情報が記録される。
【0017】
第1シールド31は、例えば、「trailing shield」に対応する。第2シールド32は、例えば、「leading shield」に対応する。第1シールド31は、例えば、補助磁極である。第1シールド31は、磁極30とともに、磁気コアを形成可能である。例えば、サイドシールド(図示しない)などの追加のシールドが設けられても良い。
【0018】
図1(a)に示すように、磁気ヘッド110は、第1配線W1及び第2配線W2を含んでも良い。第1配線W1は、磁極30と電気的に接続される。第2配線W2は、第1シールド31と電気的に接続される。第1端子T1は、第1配線W1を介して、磁極30と電気的に接続される。第2端子T2は、第2配線W2を介して第1シールド31と電気的に接続される。
【0019】
積層体20は、磁極30及び第1シールド31と電気的に接続される。磁気ヘッド110において、電流経路35が形成される。電流経路35は、例えば、第1端子T1、第1配線W1、磁極30、積層体20、第1シールド31、第2配線W2及び第2端子T2を含む。
【0020】
第1回路20Dから、例えば、第1端子T1と第2端子T2との間に電流Id1(図1(b)参照)が供給される。電流Id1は、電流経路35(図1(a))に供給される。
【0021】
図1(b)に示すように、この例では、積層体20は、第1磁性層25a、第2磁性層25b、第3磁性層25c、第1導電層21、第2導電層22、第3導電層23及び第4導電層24を含む。
【0022】
第1磁性層25aは、磁極30と第1シールド31との間に設けられる。第1導電層21は、第1シールド31と第1磁性層25aとの間に設けられる。第1導電層21は、第1元素を含む。第1元素は、Cu、Ag、Al、Cr及びAuよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第1導電層21は、例えば、Cu層である。
【0023】
第2導電層22は、磁極30と第1磁性層25aとの間に設けられる。第2導電層22は、第2元素を含む。第2元素は、Ta、Pt、W、Mo、Ir、Ru、Tb、Rh及びPdよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2導電層22は、例えば、Ta層である。
【0024】
第2磁性層25bは、第1磁性層25aと第2導電層22との間に設けられる。第3磁性層25cは、第1磁性層25aと第2磁性層25との間に設けられる。
【0025】
第3導電層23は、第1磁性層25aと第3磁性層25cとの間に設けられる。第3導電層23は、第3元素を含む。第3元素は、Ta、Pt、W、Mo、Ir、Ru、Tb、Rh及びPdよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第3導電層23は、例えば、Ta層である。
【0026】
第4導電層24は、第3磁性層25cと第2磁性層25bとの間に設けられる。第4導電層24は、第4元素を含む。第4元素は、Cu、Au、Ag、Al、Cr、Ta、Pt、W、Mo、Ir、Ru、Tb、Rh及びPdよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第4導電層24は、例えば、Ta層である。
【0027】
例えば、第1導電層21は、第1シールド31及び第1磁性層25aに接しても良い。第1磁性層25aは、第1導電層21及び第3導電層23と接しても良い。第3導電層23は、例えば、第1磁性層25a及び第3磁性層25cと接しても良い。第3磁性層25cは、第3導電層23及び第4導電層24と接しても良い。第4導電層24は、例えば、第3磁性層25c及び第2磁性層25bと接しても良い。第2磁性層25bは、例えば、第4導電層24及び第2導電層22と接しても良い。第2導電層22は、例えば、第2磁性層25b及び磁極30と接しても良い。
【0028】
既に説明したように、第2回路30Dが、このような磁気ヘッド110のコイル30cに記録電流Iwを供給する。この記録電流Iwの極性は、例えば、記録される情報に応じて反転する。例えば、「1」及び「-1」の一方に対応する情報を記録する場合には、正の記録電流Iwがコイル30cに供給される。例えば、「1」及び「-1」の他方に対応する情報を記録する場合には、負の記録電流Iwがコイル30cに供給される。
【0029】
このような記録電流Iwにより、磁極30の端部30eを含む領域から記録磁界が発生する。既に説明したように、記録磁界は、磁気記録媒体80に印加され、情報が磁気記録媒体80に記録される。このとき、記録磁界の一部は、積層体20にも印加される。記録磁界の一部の積層体20への印加と、積層体20に流れる電流と、に応じて、積層体20を含む電流経路35の電気抵抗が変化する。例えば、正または負の記録電流Iwがコイル30cに供給されている状態で、第1端子T1と第2端子T2との間の電流経路35に電流(例えば、図1(b)に示す電流Id1)が流れたときに、電流経路35の電気抵抗が変化する。以下、電気抵抗の変化の例について説明する。
【0030】
図2(a)~図2(d)は、第1実施形態に係る磁気ヘッド及び磁気記録装置における特性を例示するグラフ図である。
図2(a)及び図2(b)の横軸は、時間ttに対応する。縦軸は、電流経路35の電気抵抗Rcに対応する。図2(a)は、電流経路35に流れる電流(例えば、図1(b)に示す電流Id1)が、1つの電流(第1電流I1)のときの特性を例示している。図2(a)に示すように、第1電流I1において、電気抵抗Rcは実質的に一定である。第1電流I1における電気抵抗Rcは、発振しない。
【0031】
図2(b)は、電流経路35に流れる電流(例えば、電流Id1)が、別の電流(第2電流I2)のときの特性を例示している。第2電流I2の大きさは、第1電流I1の大きさよりも大きい、図2(b)に示すように、第2電流I2において、電気抵抗Rcは、時間的に周期的に変化する。第2電流I2における電気抵抗Rcは、発振する。電気抵抗Rcの発振の周波数は、例えば、10GHz以上50GHz以下である。
【0032】
実施形態においては、例えば、第1回路20Dは、少なくとも第1動作を実施する。第1動作において、第2回路30Dがコイル30cに記録電流Iwを供給しているときに、第1回路20Dは、電流経路35に上記の第1電流I1を供給する。第1電流I1は、電流経路35の電気抵抗Rcが発振する第2電流I2よりも小さい電流である。これにより、後述するように、記録磁界が効果的に磁気記録媒体80に加わる。これにより、記録密度の向上が可能な磁気記録装置を提供できる。
【0033】
実施形態において、第1回路20Dは、以下の第2動作をさらに実施しても良い。第2動作において、第2回路30Dがコイル30cに記録電流Iwを供給しているときに、第1回路20Dは、電流経路35に上記の第2電流I2を供給する。後述するように、第2電流I2に基づく発振により発生した高周波磁界が磁気記録媒体80の磁化を効率的に制御でき、記録密度の向上が可能になる。例えば、第1動作と第2動作とを切り替えて実施しても良い。記録密度のさらに向上し易くなる。
【0034】
以下、電気抵抗の変化の例についてさらに説明する。
図2(c)において、横軸は、電流Id1の大きさに対応する。縦軸は、電流経路35の電気抵抗Rcに対応する。図2(c)の特性は、第2回路30Dがコイル30cに記録電流Iwを供給し、記録電流Iwに基づく記録磁界の一部が積層体20に印加されているときの特性である。記録電流Iwは、正または負の、1つの電流である。
【0035】
図2(c)に示すように、第2回路30Dがコイル30cに記録電流Iwを供給しつつ、電流経路35に第1電流I1が流れたときに、電流経路35は、第1電気抵抗R1を有する。
【0036】
第2回路30Dがコイル30cに上記の記録電流Iwを供給しつつ、電流経路35に第2電流I2が流れたときに、電流経路35は、第2電気抵抗R2を有する。第2電流I2は、第1電流I1よりも大きい。第2電流I2の向きは、第1電流I1の向きと同じである。第2電気抵抗R2は、第1電気抵抗R1よりも低い。第2電気抵抗R2は、発振しているので、時間的に変化する。従って、図2(c)においては、第2電気抵抗R2の時間的な平均値が示されいる。
【0037】
第2回路30Dがコイル30cに上記の記録電流Iwを供給しつつ、電流経路35に第3電流I3が流れたときに、電流経路35は、第3電気抵抗R3を有する。第3電流I3は、第1電流I1よりも小さい。第3電流I3の向きは、第1電流I1の向きと同じである。第3電気抵抗R3は、第電気抵抗R2よりも低い。
【0038】
例えば、電流経路35に供給する電流の大きさを増大させると、第3電気抵抗R3の第3状態ST3から、第1電気抵抗R1の第1状態ST1に移行する。さらに、電流の大きさを増大させると、第1状態ST1から、第2電気抵抗R2の第2状態ST2に移行する。第2状態ST2は、発振状態である。実施形態に係る磁気ヘッド110においては、このような特殊な電気抵抗の変化を有する。
【0039】
電流の大きさを増大させると、積層体20の温度が上昇する場合がある。一般に、温度が上昇すると、電気抵抗が上昇する。このため、図2(c)の電気抵抗Rcの変化は、温度の上昇が少ない状態で、より明確に観測し易い。例えば、電流が短いパルス状である場合などにおいて、温度の上昇が比較的抑制できる。例えば、温度上昇による抵抗変化がある場合も、上記の電気抵抗Rcの変化に基づいた電気抵抗の変化を観測することができる。
【0040】
図2(c)に例示した模式的な特性は、電流経路35の実質的な電気抵抗Rcを示す。図2(c)に例示した模式的な特性は、温度上昇による抵抗変化を実質的に含まない。
【0041】
図2(d)は、温度上昇による抵抗変化を含む場合の電気抵抗Rcの変化を模式的に示している。図2(d)において、横軸は、電流Id1の大きさに対応する。縦軸は、電流経路35の電気抵抗Rcに対応する。図2(d)においては、第2電気抵抗R2の時間的な平均値が示されている。
【0042】
図2(d)に示すように、例えば、第3状態ST3から第1状態ST1への移行、または、第1状態ST1から第2状態ST2への移行に応じて、電流経路35に供給する電流の大きさに対する電気抵抗Rcの傾きが変化する。例えば、第3状態ST3から第1状態ST1への移行、または、第1状態ST1から第2状態ST2への移行に応じて、電流経路35に供給する電流の大きさに対する電気抵抗Rcが不連続的に変化する。これらは、上記の電気抵抗Rcの実質的な変化に基づく。
【0043】
例えば、第2回路30Dがコイル30cに記録電流Iwを供給しつつ、第1電流I1が電流経路35に流れたときの電気抵抗Rcの第1電流の変化に対する変化率を第1変化率とする。第3電流I3が電流経路35に流れたときの電気抵抗Rcの第3電流I3の変化に対する変化率を第3変化率とする。第1変化率は、例えば、第1電流範囲ir1における電気抵抗Rcの変化率である。第3変化率は、例えば、第3電流範囲ir3における電気抵抗Rcの変化率である。第3電流範囲ir3は、第1電流範囲ir1よりも小さい。第3電流I3の大きさは、第1電流I1の大きさよりも小さい。第3変化率は、第1変化率とは異なる。例えば、第1変化率は、第3変化率よりも高い。
【0044】
一方、例えば、第2回路30Dがコイル30cに記録電流Iwを供給しつつ、第2電流I2が電流経路35に流れたときの電気抵抗Rcの第2電流I2の変化に対する変化率を第2変化率とする。第2変化率は、例えば、第2電流範囲ir2における電気抵抗Rcの変化率である。第1電流I1に関する第1変化率は、第2変化率とは異なる。
【0045】
このような電気抵抗Rcの変化が生じる磁気ヘッド110を用いて、第1電流I1を用いる第1動作、または、第2電流I2を用いる第2動作が実施される。
【0046】
記録磁界の一部が積層体20に印加されている状態で、積層体20を含む電流経路35に電流が流れると、積層体20に含まれる磁性層の磁化の向きが変化すると考えられる。この磁化の向きの変化により、図2(a)~図2(d)に例示する電気抵抗Rcの変化が生じると考えられる。以下、上記の第1~第3状態ST1~ST3の例について説明する。
【0047】
図3(a)~図3(c)は、第1実施形態に係る磁気ヘッド及び磁気記録装置における動作を例示する模式的断面図である。
図3(a)は、上記の第3状態ST3に対応する。図3(b)は、上記の第1状態ST1に対応する。図3(c)は、上記の第2状態ST2に対応する。これらの図において、図を見やすくするために、積層体20に含まれる複数の磁性層は、1つの「磁性層25」として描かれている。
【0048】
図3(a)に示すように、第3状態ST3において、磁極30から記録磁界Hwが生じる。記録磁界Hwの一部(第1部分)は、磁気記録媒体80に向かう。第3状態ST3においては、電流経路35に含まれる磁性層25に第3電流I3が供給される。または、電流が供給されない。このため、磁性層25の磁化25Mの向きは、記録磁界Hwの向きと同じである。この場合、記録磁界Hwの別の一部(第2部分)は、磁性層25を通過し、磁気記録媒体80を通過せずに第1シールド31に入る。このため、第3状態ST3においては、磁極30から生じる記録磁界Hwのうちで磁気記録媒体80に向かう部分(第1部分)の量が少ない。
【0049】
図3(b)に示すように、第1状態ST1においても、磁極30から記録磁界Hwが生じる。第1状態ST1においては、電流経路35に含まれる磁性層25に、しきい値以上の第1電流I1が供給される。この第1電流I1により、磁性層25の磁化25Mの向きは、記録磁界Hwの向きと逆に反転する。この場合、記録磁界Hwは、磁性層25に向かい難い。このため、第1状態ST1においては、磁極30から生じる記録磁界Hwのうちで磁気記録媒体80に向かう部分(第1部分)の量が、第3状態ST3における量よりも増える。第1状態ST1を利用することで、効率的な磁気記録を行うことができる。
【0050】
第1状態ST1での記録動作を行うことで、ライトギャップを小さくしたときにおいても、磁極30から出た記録磁界Hwが、磁性層25を介して直接的に第1シールド31に向かうことが抑制される。その結果、磁極30から出た記録磁界Hwの多くが磁気記録媒体80に向かう。記録磁界Hwが効果的に磁気記録媒体80に加わる。これにより、記録密度の向上が可能になる。
【0051】
図3(c)に示すように、第2状態ST2においても、磁極30から記録磁界Hwが生じる。第2状態ST2においては、電流経路35に含まれる磁性層25に、大きい第2電流I2が供給される。この第2電流I2により、磁性層25の磁化25Mは発振する。例えば、少なくとも1つの磁性層において、磁化が発振状態となる。例えば、高周波磁界Hacが磁性層25から発生する。高周波磁界Hacは、磁気記録媒体80の一部に印加される。高周波磁界Hacの周波数は、磁気記録媒体80の磁気共鳴周波数と実質的に一致するように設計される。磁気記録媒体80の、高周波磁界Hacが印加された部分において、磁化が反転し易くなる。このように、高周波磁界Hacによってアシストされた磁気記録が行われる。このような記録動作においても、磁気記録媒体80の磁化を効率的に制御でき、記録密度の向上が可能になる。
【0052】
実施形態において、例えば、上記の第1状態ST1を利用した磁気記録動作が行われる。実施形態において、上記の第2状態ST2を利用した磁気記録動作が行われても良い。これらの動作が切り替えて実施されても良い。このような動作は、第1回路20Dにより行うことができる。上記の第1回路0D及び第2回路0Dは、磁気記録装置150に含まれる。
【0053】
例えば、第1回路20Dは、少なくとも第1動作を実施する。第1動作において、第2回路30Dがコイル30cに記録電流Iwを供給しているときに、第1回路20Dは、電流経路35に上記の第1電流I1を供給する。これにより、磁極30から出た記録磁界Hwの多くが磁気記録媒体80に向かう。記録磁界Hwが効果的に磁気記録媒体80に加わる。これにより、記録密度の向上が可能になる。
【0054】
実施形態によれば、記録密度の向上が可能な磁気ヘッド及び磁気記録装置が提供できる。
【0055】
実施形態において、例えば、第1電流I1の大きさは、第2電流I2の大きさの1/2以上であることが好ましい。大きな第2電流I2においては、第2状態ST2(発振)が生じる。第1電流I1の大きさは、この第2電流I2の大きさよりも小さくされる。これにより、第1電流I1により、上記の第1状態ST1が得られる。例えば、第1電流I1が、第2電流I2の大きさの1/5未満の場合は、上記の第3状態ST3が生じる。第1電流I1の大きさが第2電流I2の大きさの1/5以上、より好ましくは、1/2以上のときに、第1電流I1により第1状態ST1が得やすくなる。
【0056】
上記の第1電流I1は、第1シールド31から磁極30への向きを有する。
【0057】
第1回路20Dは、以下の第2動作をさらに実施しても良い。第2動作において、第2回路30Dがコイル30cに記録電流Iwを供給しているときに、第1回路20Dは、電流経路35に上記の第2電流I2を供給する。これにより、高周波磁界Hacによってアシストされた磁気記録が行われる。磁気記録媒体80の磁化を効率的に制御でき、記録密度の向上が可能になる。
【0058】
上記の第2電流I2は、第1シールド31から磁極30への向きを有する。上記のように、この第2動作における電流領域において、第2電気抵抗R2は、発振する条件を有する。第2電気抵抗R2は、時間的に変化する第2電流I2の領域を有する。この発振の周波数は、例えば、10GHz以上50GHz以下である。発振により変化する電気抵抗の時間的な平均が、上記の第2電気抵抗R2に対応する。
【0059】
磁気記録装置150は、磁気記録媒体80を含んでも良い。既に説明したように、磁気ヘッド110により、情報が磁気記録媒体80に記録される。上記の発振の周波数f1と、磁気記録媒体80の磁気共鳴周波数f2と、の差の絶対値(|f1-f2|)の、磁気共鳴周波数f2に対する比は、50%以下である。このように、発振の周波数f1は、磁気共鳴周波数f2に実質的に一致するように設計される。これにより、高周波磁界Hacによってアシストされた磁気記録が行われる。発振の周波数f1は、例えば、積層体20に流れる電流、及び、積層体20に印加される磁界(記録磁界Hwの一部)により制御できる。
【0060】
例えば、上記の第1動作または第2動作を切り替えて実施することで、用いる磁気記録媒体80に合わせた適切な磁気記録が実施できる。例えば、磁気記録媒体80の磁気共鳴周波数f2に高周波磁界Hacの周波数f1を適合させることが容易な場合には、上記の第2動作を実施しても良い。例えば、磁気記録媒体80の磁気共鳴周波数f2に高周波磁界Hacの周波数f1を適合させるよりも上記の第1動作を実施した方が有利な場合には、上記の第1動作を実施しても良い。より実用的な磁気記録を行うことができる。より実用的な磁気記録装置が提供できる。
【0061】
積層体20がSTO(Spin Torque Oscillator)として機能する第1参考例がある。この第1参考例においては、第1状態ST1が設けられない。例えば、積層体20に供給される電流を増大させると、第3状態ST3から第2状態ST2に直接移行する。
【0062】
積層体20において、高周波の発振が実質的に生じない第2参考例がある。この第2参考例においては、第3状態ST3と第1状態ST1が設けられ、第2状態ST2が生じない。
【0063】
実施形態においては、例えば、積層体20が、上記の第1~第3磁性層25a~25c、及び、上記の第1~第4導電層21~24を含む構成を有することで、上記のような第1~第3状態ST1~ST3が得られる。
【0064】
第1~第3状態ST1~ST3は、例えば、積層体20に電流を通電することによって各磁性層に生じるスピントランスファートルクを起源とした磁化の挙動による。積層体20に含まれる各磁性層において、導電層を介したスピントランスファートルクの作用により、各磁性層の磁化の向きを変化させることができる。
【0065】
さらに、実施形態においては、上記の第2参考例に比べて、磁性層の磁化を高い効率で反転させることができることが分かった。
【0066】
図4は、磁気ヘッド及び磁気記録装置における特性を例示するグラフ図である。
図4には、上記の第1動作を行ったときにおける、実施形態に係る磁気ヘッド110の特性、及び、第2参考例の磁気ヘッド119の特性が例示されている。磁気ヘッド110は、上記の第1~第3磁性層25a~25c、及び、上記の第1~第4導電層21~24を含む。磁気ヘッド119においては、第1磁性層25a、第1導電層21及び第2導電層22が設けられ、第2磁性層25b、第3磁性層25c、第3導電層23及び第4導電層24は設けられない。磁気ヘッド119においては、第1導電層21は、第1シールド31及び第1磁性層25aに接し、第2導電層22は、磁極30及び第1磁性層25aに接する。
【0067】
図4は、積層体20に含まれる磁性層の磁気ボリュームの設計値(設計磁気ボリュームMst1)と、積層体20に含まれる磁性層のうちで、磁化が反転する部分の磁気ボリューム(反転磁気ボリュームMst2)と、の関係についてのシミュレーション結果を示す。磁気ヘッド110においては、設計磁気ボリュームMst1は、第1~第3磁性層25a~25cのそれぞれの磁気ボリュームの和に対応する。磁気ヘッド119においては、設計磁気ボリュームMst1は、第1磁性層25aの磁気ボリュームに対応する。磁気ボリュームは、磁性層の飽和磁化と、その磁性層の厚さと、の積に対応する。図4において、横軸は、設計磁気ボリュームMst1である。縦軸は、反転磁気ボリュームMst2である。
【0068】
図4において、反転磁気ボリュームMst2は、設計磁気ボリュームMst1に対して比例することが期待される。しかしながら、図4に示すように、磁気ヘッド119においては、設計磁気ボリュームMst1が大きくなると、反転磁気ボリュームMst2は飽和する。磁気ヘッド110においては、設計磁気ボリュームMst1が大きくなっても、反転磁気ボリュームMst2は、設計磁気ボリュームMst1に対して比例して大きくなる。これは、磁気ヘッド110においては、磁化反転の生じる磁性層を分割することにより、磁化反転の効率が高くなったためと考えられる。
【0069】
このように、実施形態に係る磁気ヘッド110においては、設計磁気ボリュームMst1が大きくなっても、磁性層のうちの実質的な全体において、磁化が反転できる。これにより、より効果的に、記録磁界Hwの多くを磁気記録媒体80に向かわせることができる。
【0070】
図5は、第1実施形態に係る磁気ヘッド及び磁気記録装置における特性を例示するグラフ図である。
図5は、磁気ヘッド110を用いて、上記の第1動作を行ったときの特性のシミュレーション結果を例示している。図5の横軸は、設計磁気ボリュームMst1である。縦軸は、磁気記録媒体80に加わる記録磁界Hwの大きさHaを例示している。
【0071】
図5に示すように、設計磁気ボリュームMst1が大きくなると、磁気記録媒体80に加わる記録磁界Hwの大きさHaが大きくなる。大きさHaは、設計磁気ボリュームMst1の増大に対して、実質的に線形に増大する。実施形態に係る磁気ヘッド110によれば、磁気記録媒体80に加わる記録磁界Hwの大きさHaを所望のように大きくできる。記録磁界Hwが効果的に磁気記録媒体80に加わる。これにより、記録密度の向上が可能になる。
【0072】
図1(b)に示すように、実施形態において、積層体20における積層方向(第1方向D1)は、Z軸方向(及びX軸方向)に対して傾斜しても良い。積層方向は、例えば、第2導電層22から第1導電層21への方向に対応する。
【0073】
実施形態において、第1磁性層25aの厚さtm1(図1(b)参照)は、例えば、2nm以上15nm以下であることが好ましい。第1磁性層25aの厚さtm1がこの範囲にあることで、例えば、第2状態ST2への効率的な遷移が生じる。例えば、第3状態ST3への効率的な遷移が生じる。例えば、磁気記録能力が改善する。
【0074】
第2磁性層25bの厚さtm2(図1(b)参照)は、例えば、2nm以上15nm以下であることが好ましい。第2磁性層25bの厚さtm2がこの範囲にあることで、例えば、第2状態ST2への効率的な遷移が生じる。例えば、第3状態ST3への効率的な遷移が生じる。例えば、磁気記録能力が改善する。
【0075】
第3磁性層25cの厚さtm3(図1(b)参照)は、例えば、2nm以上15nm以下であることが好ましい。第3磁性層25cの厚さtm3がこの範囲にあることで、例えば、第2状態ST2への効率的な遷移が生じる。例えば、第3状態ST3への効率的な遷移が生じる。例えば、磁気記録能力が改善する。
【0076】
第1導電層21の厚さtc1(図1(b)参照)は、例えば、1nm以上10nm以下であることが好ましい。第1導電層21の厚さtc1がこの範囲にあることで、例えば、第1磁性層25aに有効にスピントランスファートルクを与えることができる。例えば、第1導電層21は、スピン拡散長の長い材料を含むことが好ましい。
【0077】
第2導電層22の厚さtc2(図1(b)参照)は、例えば、1nm以上10nm以下であることが好ましい。第2導電層22の厚さtc2がこの範囲にあることで、例えば、第2磁性層25bに働くスピントランスファートルクを有効に制御できる。例えば、第2導電層22は、スピン拡散長が短い材料を含む材料を含むが好ましい。例えば、第2導電層22に含まれる材料のスピン拡散長は、第1導電層21に含まれる材料のスピン拡散長よりも短い。
【0078】
第3導電層23の厚さtc3(図1(b)参照)は、例えば、1nm以上10nm以下であることが好ましい。第3導電層23の厚さtc3がこの範囲にあることで、例えば、第1磁性層25a及び第3磁性層25cに働くスピントランスファートルクを有効に制御できる。例えば、第3導電層23は、スピン拡散長の短い材料を含むことが好ましい。例えば、第3導電層23に含まれる材料のスピン拡散長は、第1導電層21に含まれる材料のスピン拡散長よりも短い。
【0079】
第4導電層24の厚さtc4(図1(b)参照)は、例えば、1nm以上10nm以下であることが好ましい。第4導電層24の厚さtc4がこの範囲にあることで、例えば、第2磁性層25b及び第3磁性層25cに働くスピントランスファートルクを有効に制御できる。
【0080】
上記の厚さは、第1方向D1に沿う長さに対応する。
【0081】
実施形態において、第2導電層22から第1導電層21への第1方向D1に沿う第3磁性層25cの厚さtm3は、第1方向D1に沿う第1磁性層25aの厚さtm1よりも薄いことが好ましい。厚さtm3は、第1方向D1に沿う第2磁性層25bの厚さtm2よりも薄いことが好ましい。これにより、例えば、記録能力の改善効果を大きくすることができる。
【0082】
以下、実施形態に係る磁気ヘッドのいくつかの例について説明する。以下では、磁気ヘッド110とは異なる部分について、説明する。
【0083】
図6は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式的断面図である。
図6に示すように、磁気ヘッド111においては、第2導電層22は、第1領域22a及び第2領域22bを含む。第2領域22bは、第1領域22aと第2磁性層25bとの間にある。第1領域22aは、上記の第2元素を含む。第1領域22aは、例えば、Taを含む。第2領域22bは、Cu、Ag、Au、Al、Ti、Cr、Mg及びVよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0084】
例えば、第2元素が第2磁性層25bに接すると、第2磁性層25bにおけるダンピング定数が上昇する場合がある。これにより、第2磁性層25bの磁化が反転し難くなる場合がある。第2元素を含む第1領域22aと第2磁性層25bとの間に、第2領域22bを設けることで、ダンピング定数の上昇を抑制できる。これにより、例えば、上記の第1動作をより効率的に実施できる。
【0085】
図7(a)及び図7(b)は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式的断面図である。
図7(a)及び図7(b)に示すように、磁気ヘッド112及び112aにおいては、第3導電層23は、第3領域23c及び第4領域23dを含む。第4領域23dは、第3領域23cと第1磁性層25aとの間に設けられる(図7(a)参照)。または、第4領域23dは、第3領域23cと第3磁性層25cとの間に設けられる(図7(b)参照)。第3領域23cは、上記の第3元素を含む。例えば、第3領域23cは、例えば、Taを含む。第4領域23dは、Cu、Ag、Au、Al、Ti、Cr、Mg及びVよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第4領域23dは、例えば、Cuを含む。
【0086】
磁気ヘッド112及び112aにおいても、ダンピング定数の上昇を抑制できる。これにより、例えば、上記の第1動作をより効率的に実施できる。
【0087】
図8(a)及び図8(b)は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式的断面図である。
図8(a)及び図8(b)に示すように、磁気ヘッド113及び113aにおいては、第4導電層24は、第5領域24e及び第6領域24fを含む。第6領域24fは、第5領域24eと第2磁性層25bとの間に設けられる(図8(a)参照)。または、第6領域24fは、第5領域24eと第3磁性層25cとの間に設けられる(図8(b)参照)。第5領域24eは、上記の第4元素を含んでも良い。第5領域24eは、例えば、Ta、Pt、W、Mo、Ir、Ru、Tb、Rh及びPdよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。例えば、第5領域24eは、例えば、Taを含む。第6領域24fは、Cu、Ag、Au、Al、Ti、Cr、Mg及びVよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。例えば、第6領域24fは、Cuを含む。
【0088】
磁気ヘッド113及び113aにおいても、ダンピング定数の上昇を抑制できる。これにより、例えば、上記の第1動作をより効率的に実施できる。
【0089】
第1領域22a、第3領域23c及び第5領域24eのそれぞれの厚さは、例えば、1nm以上5nm以下である。第2領域22b、第4領域23d及び第6領域24fのそれぞれの厚さは、例えば、1nm以上5nm以下である。
【0090】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態に関する説明において、第1実施形態と同様の部分については、省略される。
【0091】
図9は、第2実施形態に係る磁気ヘッド及び磁気記録装置を例示する模式的断面図である。
図9に示すように、第2実施形態に係る磁気ヘッド120も、磁極30、第1シールド31及び積層体20を含む。磁気ヘッド120は、コイル30c(図1(a)参照)、第1端子T1(図1(a)参照)、及び、第2端子T2(図1(a)参照)をさらに含んでも良い。磁気記録装置150は、磁気ヘッド120を含む。磁気記録装置150は、磁気記録媒体80、第1回路0D(図1(a)参照)、及び、第2回路0D(図1(a)参照)をさらに含んでも良い。
【0092】
図9に示すように、磁気ヘッド120においても、積層体20は、第1~第3磁性層25a~25c、及び、第1~第4導電層21~24を含む。磁気ヘッド120におけるこれらの層の順番が、磁気ヘッド110における順番とは異なる。
【0093】
第1導電層21は、磁極30と第1磁性層25aとの間に設けられる。第1導電層21は、Cu、Ag、Al、Cr及びAuよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第1元素を含む。
【0094】
第2導電層22は、第1シールド31と第1磁性層25aとの間に設けられる。第2導電層22は、Ta、Pt、W、Mo、Ir、Ru、Tb、Rh及びPdよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第2元素を含む。
【0095】
第2磁性層25bは、第1磁性層25aと第2導電層22との間に設けられる。第3磁性層25cは、第1磁性層25aと第2磁性層25bとの間に設けられる。
【0096】
第3導電層23は、第1磁性層25aと第3磁性層25cとの間に設けられる。第3導電層23は、Ta、Pt、W、Mo、Ir、Ru、Tb、Rh及びPdよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第3元素を含む。
【0097】
第4導電層24は、第3磁性層25cと第2磁性層25bとの間に設けられる。第4導電層24は、Cu、Au、Ag、Al、Cr,Ta、Pt、W、Mo、Ir、Ru、Tb、Rh及びPdよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第4元素を含む。
【0098】
磁気ヘッド120においても、図2に関して説明した電気抵抗Rcの特性が得られる。磁気ヘッド120においては、電流経路35(図1(a))に、図9に示す電流Id2が流れる。電流Id2は、磁極30から第1シールド31への向きを有する。
【0099】
磁気ヘッド120においても、上記の第1動作が行われる。磁極30から出た記録磁界Hwの多くが磁気記録媒体80に向かい、記録磁界Hwが効果的に磁気記録媒体80に加わる。これにより、記録密度の向上が可能になる。第1動作で供給される第1電流I1(図2参照)は、磁極30から第1シールド31への向きを有する。
【0100】
磁気ヘッド120において、上記の第2動作がさらに行われても良い。高周波磁界Hacによってアシストされた磁気記録が行われる。このような記録動作においても、磁気記録媒体80の磁化を効率的に制御でき、記録密度の向上が可能になる。第2動作で供給される第2電流I2(図2参照)は、磁極30から第1シールド31への向きを有する。
【0101】
磁気ヘッド120において、第1動作または第2動作が切り替えられて実施されても良い。より実用的な磁気記録装置が提供できる。
【0102】
図10は、第2実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式的断面図である。
図10に示すように、磁気ヘッド121においては、第2導電層22は、第1領域22a及び第2領域22bを含む。第2領域22bは、第1領域22aと第2磁性層25bとの間にある。第1領域22aは、上記の第2元素を含む。第1領域22aは、例えば、Taを含む。第2領域22bは、Cu、Ag、Au、Al、Ti、Cr、Mg及びVよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0103】
図11(a)及び図11(b)は、第2実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式的断面図である。
図11(a)及び図11(b)に示すように、磁気ヘッド122及び122aにおいては、第3導電層23は、第3領域23c及び第4領域23dを含む。第4領域23dは、第3領域23cと第1磁性層25aとの間に設けられる(図11(a)参照)。または、第4領域23dは、第3領域23cと第3磁性層25cとの間に設けられる(図11(b)参照)。第3領域23cは、上記の第3元素を含む。例えば、第3領域23cは、例えば、Taを含む。第4領域23dは、Cu、Ag、Au、Al、Ti、Cr、Mg及びVよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第4領域23dは、例えば、Cuを含む。
【0104】
図12(a)及び図12(b)は、第2実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式的断面図である。
図12(a)及び図12(b)に示すように、磁気ヘッド123及び123aにおいては、第4導電層24は、第5領域24e及び第6領域24fを含む。第6領域24fは、第5領域24eと第2磁性層25bとの間に設けられる(図12(a)参照)。または、第6領域24fは、第5領域24eと第3磁性層25cとの間に設けられる(図12b)参照)。第5領域24eは、上記の第4元素を含む。例えば、第5領域24eは、例えば、Taを含む。第6領域24fは、Cu、Ag、Au、Al、Ti、Cr、Mg及びVよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。例えば、第6領域24fは、Cuを含む。
【0105】
磁気ヘッド121、122、122a、123及び123aにおいても、ダンピング定数の上昇を抑制できる。これにより、例えば、上記の第1動作をより効率的に実施できる。
【0106】
第2実施形態において、第1領域22a、第3領域23c、第5領域24e、第2領域22b、第4領域23d及び第6領域24fのそれぞれの厚さなどの構成は、第1実施形態に関して説明が適用されても良い。
【0107】
第1実施形態及び第2実施形態において、第1~第3磁性層25a~25cの少なくともずれかは、例えば、Fe及びCoを含む。第1~第3磁性層25a~25cの少なくともずれかは、例えば、Fe及びNiを含んでも良い。
【0108】
第1実施形態または第2実施形態に係る磁気ヘッドは、上記の磁気ヘッドのいずれかの構成またはその変形の構成を有する。図1(a)に示すように、磁気ヘッドは、例えば、磁極30と、第1シールド31と、磁極30第1シールド31との間に設けられた積層体20と、磁極30と電気的に接続された第1端子T1と、第1シールド31と電気的に接続された第2端子T2と、を含む。第1端子T1と第2端子T2との間の電流経路35に第1電流I1が流れたときの第1電流I1の変動に対する電流経路35の電気抵抗Rcの第1変化率は、電流経路35に第2電流I2が流れたときの第2電流I2の変動に対する電流経路35の電気抵抗Rcの第2変化率とは異なる。第1変化率は、電流経路35に第3電流I3が流れたときの第3電流I3の変動に対する電流経路35の電気抵抗Rcの第3変化率とは異なる。図2(d)に示すように、第1電流I1の大きさは、第1電流範囲ir1にある。第2電流I2の大きさは、第1電流範囲ir1よりも大きい第2電流範囲ir2にある。第3電流I3の大きさは、第1電流範囲ir1よりも小さい第3電流範囲ir3にある。例えば、第1変化率は、第3変化率よりも高い。
【0109】
第1実施形態または第2実施形態に係る磁気ヘッドは、磁気ヘッド110、111、112、112a、113、113a、120、121、122、122a、123及び123aの少なくともいずれかの構成、または、それらの変形の構成を有してもい。
【0110】
(第3実施形態)
第3実施形態は、磁気記録装置に係る。本実施形態に係る磁気記録装置は、磁気ヘッドと、磁気記録媒体80(例えば、後述する記録用媒体ディスク180)と、第1回路20D(図1(a)参照)と、を含む。磁気記録媒体には、磁気ヘッド(磁極30)により情報が記録される。第3実施形態における磁気ヘッドとして、第1実施形態または第2実施形態に係る任意の磁気ヘッド及びその変形の磁気ヘッドが用いられる。以下では、磁気ヘッド110が用いられる場合について説明する。
【0111】
既に説明したように、第1回路20Dは、磁極30と第1シールド31との間に電流(第1電流I1または第2電流I2)を供給可能である。実施形態に係る磁気記録装置は、第2回路30D(図1(a)参照)をさらに含んでも良い。既に説明したように、第2回路30Dは、磁気記録媒体80に記録される情報に対応した電流(記録電流Iw)をコイル30cに供給可能である。
【0112】
磁気ヘッド110は、磁気記録媒体80に瓦書き記録を行っても良い。記録密度をさらに向上できる。
【0113】
以下、本実施形態に係る磁気記録装置の例について説明する。
図13は、実施形態に係る磁気記録装置の一部を例示する模式的斜視図である。
図13は、ヘッドスライダを例示している。
磁気ヘッド110は、ヘッドスライダ159に設けられる。ヘッドスライダ159は、例えばAl/TiCなどを含む。ヘッドスライダ159は、磁気記録媒体の上を、浮上または接触しながら、磁気記録媒体に対して相対的に運動する。
【0114】
ヘッドスライダ159は、例えば、空気流入側159A及び空気流出側159Bを有する。磁気ヘッド110は、ヘッドスライダ159の空気流出側159Bの側面などに配置される。これにより、磁気ヘッド110は、磁気記録媒体の上を浮上または接触しながら磁気記録媒体に対して相対的に運動する。
【0115】
図14は、実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的斜視図である。
図14に示すように、実施形態に係る磁気記録装置150においては、ロータリーアクチュエータが用いられる。記録用媒体ディスク180は、スピンドルモータ180Mに設けられる。記録用媒体ディスク180は、スピンドルモータ180Mにより矢印ARの方向に回転する。スピンドルモータ180Mは、駆動装置制御部からの制御信号に応答する。本実施形態に係る磁気記録装置150は、複数の記録用媒体ディスク180を含んでも良い。磁気記録装置150は、記録媒体181を含んでもよい。記録媒体181は、例えば、SSD(Solid State Drive)である。記録媒体181には、例えば、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリが用いられる。例えば、磁気記録装置150は、ハイブリッドHDD(Hard Disk Drive)でも良い。
【0116】
ヘッドスライダ159は、記録用媒体ディスク180に記録する情報の、記録及び再生を行う。ヘッドスライダ159は、薄膜状のサスペンション154の先端に設けられる。ヘッドスライダ159の先端付近に、実施形態に係る磁気ヘッドが設けられる。
【0117】
記録用媒体ディスク180が回転すると、サスペンション154による押し付け圧力と、ヘッドスライダ159の媒体対向面(ABS)で発生する圧力と、がバランスする。ヘッドスライダ159の媒体対向面と、記録用媒体ディスク180の表面と、の間の距離が、所定の浮上量となる。実施形態において、ヘッドスライダ159は、記録用媒体ディスク180と接触しても良い。例えば、接触走行型が適用されても良い。
【0118】
サスペンション154は、アーム155(例えばアクチュエータアーム)の一端に接続されている。アーム155は、例えば、ボビン部などを有する。ボビン部は、駆動コイルを保持する。アーム155の他端には、ボイスコイルモータ156が設けられる。ボイスコイルモータ156は、リニアモータの一種である。ボイスコイルモータ156は、例えば、駆動コイル及び磁気回路を含む。駆動コイルは、アーム155のボビン部に巻かれる。磁気回路は、永久磁石及び対向ヨークを含む。永久磁石と対向ヨークとの間に、駆動コイルが設けられる。サスペンション154は、一端と他端とを有する。磁気ヘッドは、サスペンション154の一端に設けられる。アーム155は、サスペンション154の他端に接続される。
【0119】
アーム155は、ボールベアリングによって保持される。ボールベアリングは、軸受部157の上下の2箇所に設けられる。アーム155は、ボイスコイルモータ156により回転及びスライドが可能である。磁気ヘッドは、記録用媒体ディスク180の任意の位置に移動可能である。
【0120】
図15(a)及び図15(b)は、実施形態に係る磁気記録装置の一部を例示する模式的斜視図である。
図15(a)は、磁気記録装置の一部の構成を例示しており、ヘッドスタックアセンブリ160の拡大斜視図である。図15(b)は、ヘッドスタックアセンブリ160の一部となる磁気ヘッドアセンブリ(ヘッドジンバルアセンブリ:HGA)158を例示する斜視図である。
【0121】
図15(a)に示すように、ヘッドスタックアセンブリ160は、軸受部157と、ヘッドジンバルアセンブリ158と、支持フレーム161と、を含む。ヘッドジンバルアセンブリ158は、軸受部157から延びる。支持フレーム161は、軸受部157から延びる。支持フレーム161の延びる方向は、ヘッドジンバルアセンブリ158の延びる方向とは逆である。支持フレーム161は、ボイスコイルモータ156のコイル162を支持する。
【0122】
図15(b)に示すように、ヘッドジンバルアセンブリ158は、軸受部157から延びたアーム155と、アーム155から延びたサスペンション154と、を有している。
【0123】
サスペンション154の先端には、ヘッドスライダ159が設けられる。ヘッドスライダ159に、実施形態に係る磁気ヘッドが設けられる。
【0124】
実施形態に係る磁気ヘッドアセンブリ(ヘッドジンバルアセンブリ)158は、実施形態に係る磁気ヘッドと、磁気ヘッドが設けられたヘッドスライダ159と、サスペンション154と、アーム155と、を含む。ヘッドスライダ159は、サスペンション154の一端に設けられる。アーム155は、サスペンション154の他端と接続される。
【0125】
サスペンション154は、例えば、信号の記録及び再生用のリード線(図示しない)を有する。サスペンション154は、例えば、浮上量調整のためのヒーター用のリード線(図示しない)を有しても良い。サスペンション154は、例えばスピントルク発振子用などのためのリード線(図示しない)を有しても良い。これらのリード線と、磁気ヘッドに設けられた複数の電極と、が電気的に接続される。
【0126】
磁気記録装置150において、信号処理部190が設けられる。信号処理部190は、磁気ヘッドを用いて磁気記録媒体への信号の記録及び再生を行う。信号処理部190は、信号処理部190の入出力線は、例えば、ヘッドジンバルアセンブリ158の電極パッドに接続され、磁気ヘッドと電気的に接続される。
【0127】
本実施形態に係る磁気記録装置150は、磁気記録媒体と、実施形態に係る磁気ヘッドと、可動部と、位置制御部と、信号処理部と、を含む。可動部は、磁気記録媒体と磁気ヘッドとを離間させ、または、接触させた状態で相対的に移動可能とする。位置制御部は、磁気ヘッドを磁気記録媒体の所定記録位置に位置合わせする信号処理部は、磁気ヘッドを用いた磁気記録媒体への信号の記録及び再生を行う。
【0128】
例えば、上記の磁気記録媒体として、記録用媒体ディスク180が用いられる。上記の可動部は、例えば、ヘッドスライダ159を含む。上記の位置制御部は、例えば、ヘッドジンバルアセンブリ158を含む。
【0129】
本実施形態に係る磁気記録装置150は、磁気記録媒体と、実施形態に係る磁気ヘッドアセンブリと、磁気ヘッドアセンブリに設けられた磁気ヘッドを用いて磁気記録媒体への信号の記録及び再生を行う信号処理部と、を含む。
【0130】
実施形態は、以下の構成(例えば、技術案)を含んでも良い。
(構成1)
磁極と、第1シールドと、前記磁極と前記第1シールドとの間に設けられた積層体と、前記磁極と電気的に接続された第1端子と、前記第1シールドと電気的に接続された第2端子と、コイルと、を含む磁気ヘッドと、
前記第1端子及び前記第2端子と電気的に接続された第1回路と、
前記コイルと電気的に接続された第2回路と、
を備え、
前記第1回路は、少なくとも第1動作を実施し、
前記第1動作において、前記第2回路が前記コイルに記録電流を供給しているときに、前記第1回路は、前記第1端子と前記第2端子との間の電流経路に第1電流を供給し、前記第1電流は、前記電流経路の電気抵抗が発振する第2電流よりも小さい、磁気記録装置。
【0131】
(構成2)
前記第1回路は、第2動作をさらに実施し、
前記第2動作において、前記第2回路が前記コイルに前記記録電流を供給しているときに、前記第1回路は、前記電流経路に前記第2電流を供給する、構成1記載の磁気記録装置。
【0132】
(構成3)
前記電気抵抗の発振の周波数は、10GHz以上50GHz以下である、構成1または2に記載の磁気記録装置。
【0133】
(構成4)
前記第1電流の大きさは、前記第2電流の大きさの1/2以上である、構成1~3のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【0134】
(構成5)
前記第1動作において、前記電気抵抗は、発振しない、構成1~4のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【0135】
(構成6)
前記第2回路が前記コイルに記録電流を供給しつつ、前記第1電流が前記電流経路に流れたときの前記電気抵抗の前記第1電流の変化に対する第1変化率は、第3電流が前記電流経路に流れたときの前記電気抵抗の前記第3電流の変化に対する第3変化率とは異なり、前記第3電流の大きさは前記第1電流の大きさよりも小さい、構成1~5のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【0136】
(構成7)
前記第1変化率は、前記第3変化率よりも高い、構成6記載の磁気記録装置。
【0137】
(構成8)
前記磁気ヘッドにより情報が記録される磁気記録媒体をさらに備え、
前記電気抵抗の発振の周波数と、前記磁気記録媒体の磁気共鳴周波数と、の差の絶対値の、前記磁気共鳴周波数に対する比は、50%以下である、構成1~7のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【0138】
(構成9)
前記積層体は、
第1磁性層と、
前記第1シールドと前記第1磁性層との間に設けられ、Cu、Ag、Al、Cr及びAuよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第1元素を含む第1導電層と、
前記磁極と前記第1磁性層との間に設けられ、Ta、Pt、W、Mo、Ir、Ru、Tb、Rh及びPdよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第2元素を含む第2導電層と、
前記第1磁性層と前記第2導電層との間に設けられた第2磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた第3磁性層と、
前記第1磁性層と前記第3磁性層との間に設けられ、Ta、Pt、W、Mo、Ir、Cr、Tb、Rh及びPdよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第3元素を含む第3導電層と、
前記第3磁性層と前記第2磁性層との間に設けられ、Cu、Au、Ag、Al、Cr、Ta、Pt、W、Mo、Ir、Ru、Tb、Rh及びPdよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第4元素を含む第4導電層と、
を含む、構成1~8のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【0139】
(構成10)
前記第1電流は、前記第1シールドから前記磁極への向きを有する、構成9記載の磁気記録装置。
【0140】
(構成11)
前記第2電流は、前記第1シールドから前記磁極への向きを有する、構成9または10に記載の磁気記録装置。
【0141】
(構成12)
前記積層体は、
第1磁性層と、
前記磁極と前記第1磁性層との間に設けられ、Cu、Ag、Al、Cr及びAuよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第1元素を含む第1導電層と、
前記第1シールドと前記第1磁性層との間に設けられ、Ta、Pt、W、Mo、Ir、Ru、Tb、Rh及びPdよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第2元素を含む第2導電層と、
前記第1磁性層と前記第2導電層との間に設けられた第2磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた第3磁性層と、
前記第1磁性層と前記第3磁性層との間に設けられ、Ta、Pt、W、Mo、Ir、Ru、Tb、Rh及びPdよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第3元素を含む第3導電層と、
前記第3磁性層と前記第2磁性層との間に設けられ、Cu、Au、Ag、Al、Cr、Ta、Pt、W、Mo、Ir、Ru、Tb、Rh及びPdよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第4元素を含む第4導電層と、
を含む、構成1~8のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【0142】
(構成13)
前記第1電流は、前記磁極から前記第1シールドへの向きを有する、構成12記載の磁気記録装置。
【0143】
(構成14)
前記第2電流は、前記磁極から前記第1シールドへの向きを有する、構成12または13に記載の磁気記録装置。
【0144】
(構成15)
前記第2導電層は、第1領域及び第2領域を含み、前記第2領域は、前記第1領域と前記第2磁性層との間にあり、
前記第1領域は、前記第2元素を含み、
前記第2領域は、Cu、Ag、Au、Al、Ti、Cr、Mg及びVよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、
構成9~14のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【0145】
(構成16)
前記第3導電層は、第3領域及び第4領域を含み、前記第4領域は、前記第3領域と前記第1磁性層との間、または、第3領域と前記第3磁性層との間にあり、
前記第3領域は、前記第3元素を含み、
前記第4領域は、Cu、Ag、Au、Al、Ti、Cr、Mg及びVよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、
構成9~14のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【0146】
(構成17)
前記第4導電層は、第5領域及び第6領域を含み、前記第6領域は、前記第5領域と前記第2磁性層との間、または、第5領域と前記第3磁性層との間にあり、
前記第5領域は、Ta、Pt、W、Mo、Ir、Ru、Tb、Rh及びPdよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第6領域は、Cu、Ag、Au、Al、Ti、Cr、Mg及びVよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、
構成9~16のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【0147】
(構成18)
磁極と、第1シールドと、前記磁極と前記第1シールドとの間に設けられた積層体と、前記磁極と電気的に接続された第1端子と、前記第1シールドと電気的に接続された第2端子と、を備え、
前記積層体は、
第1磁性層と、
前記第1シールドと前記第1磁性層との間に設けられ、Cu、Ag、Al、Cr及びAuよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第1元素を含む第1導電層と、
前記磁極と前記第1磁性層との間に設けられ、Ta、Pt、W、Mo、Ir、Ru、Tb、Rh及びPdよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第2元素を含む第2導電層と、
前記第1磁性層と前記第2導電層との間に設けられた第2磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた第3磁性層と、
前記第1磁性層と前記第3磁性層との間に設けられ、Ta、Pt、W、Mo、Ir、Ru、Tb、Rh及びPdよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第3元素を含む第3導電層と、
前記第3磁性層と前記第2磁性層との間に設けられ、Cu、Au、Ag、Al、Cr、Ta、Pt、W、Mo、Ir、Ru、Tb、Rh及びPdよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第4元素を含む第4導電層と、
を含む、磁気ヘッド。
【0148】
(構成19)
磁極と、第1シールドと、前記磁極と前記第1シールドとの間に設けられた積層体と、前記磁極と電気的に接続された第1端子と、前記第1シールドと電気的に接続された第2端子と、を備え、
前記積層体は、
第1磁性層と、
前記磁極と前記第1磁性層との間に設けられ、Cu、Ag、Al、Cr及びAuよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第1元素を含む第1導電層と、
前記第1シールドと前記第1磁性層との間に設けられ、Ta、Pt、W、Mo、Ir、Cr、Tb、Rh及びPdよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第2元素を含む第2導電層と、
前記第1磁性層と前記第2導電層との間に設けられた第2磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた第3磁性層と、
前記第1磁性層と前記第3磁性層との間に設けられ、Ta、Pt、W、Mo、Ir、Cr、Tb、Rh及びPdよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第3元素を含む第3導電層と、
前記第3磁性層と前記第2磁性層との間に設けられ、Cu、Au、Ag、Al、Cr、Ta、Pt、W、Mo、Ir、Ru、Tb、Rh及びPdよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第4元素を含む第4導電層と、
を含む、磁気ヘッド。
【0149】
(構成20)
前記第2導電層から前記第1導電層への第1方向に沿う前記第3磁性層の厚さは、前記第1方向に沿う前記第1磁性層の厚さよりも薄く、前記第1方向に沿う前記第2磁性層の厚さよりも薄い、構成18または19に記載の磁気ヘッド。
【0150】
(構成21)
磁極と、第1シールドと、前記磁極と前記第1シールドとの間に設けられた積層体と、前記磁極と電気的に接続された第1端子と、前記第1シールドと電気的に接続された第2端子と、を備え、
前記第1端子と前記第2端子との間の電流経路に第1電流が流れたときの前記第1電流の変動に対する前記電流経路の電気抵抗の第1変化率は、前記電流経路に第2電流が流れたときの前記第2電流の変動に対する前記電流経路の電気抵抗の第2変化率とは異なり、
前記第1変化率は、前記電流経路に第3電流が流れたときの前記第3電流の変動に対する前記電流経路の電気抵抗の第3変化率とは異なり、
前記第1電流の大きさは、第1電流範囲にあり、
前記第2電流の大きさは、前記第1電流範囲よりも大きい第2電流範囲にあり、
前記第3電流の大きさは、前記第1電流範囲よりも小さい第3電流範囲にある、磁気ヘッド。
【0151】
(構成22)
前記第1変化率は、前記第3変化率よりも高い、構成21記載の磁気ヘッド。
【0152】
実施形態によれば、記録密度の向上が可能な磁気記録装置及び磁気ヘッドが提供できる。
【0153】
本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
【0154】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、磁気ヘッドに含まれる磁極、第1シールド、磁性層、導電層、絶縁層及び配線などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0155】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0156】
その他、本発明の実施の形態として上述した磁気記録装置及び磁気ヘッドを基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての磁気記録装置及び磁気ヘッドも、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0157】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0158】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0159】
20…積層体、 20D…第1回路、 21~24…第1~第4導電層、 22a、22b…第1、第2領域、 23c、23d…第3、第4領域、 24e、24f…第5、第6領域、 25…磁性層、 25M…磁化、 25a~25c…第1~第3磁性層、 30…磁極、 30D…第2回路、 30F…磁極面、 30c…コイル、 30e…端部、 30i…絶縁部、 31…第1シールド、 32…第2シールド、 35…電流経路、 80…磁気記録媒体、 110、111、112、112a、113、113a、119.120、121、122、122a、123、123a…磁気ヘッド、 150…磁気記録装置、 154…サスペンション、 155…アーム、 156…ボイスコイルモータ、 157…軸受部、 158…ヘッドジンバルアセンブリ、 159…ヘッドスライダ、 159A…空気流入側、 159B…空気流出側、 160…ヘッドスタックアセンブリ、 161…支持フレーム、 162…コイル、 180…記録用媒体ディスク、 180M…スピンドルモータ、 181…記録媒体、 190…信号処理部、 AR…矢印、 D1…第1方向、 Hac…高周波磁界、 Hw…記録磁界、 I1~I3…第1~第3電流、 Id1、Id2…電流、 Iw…記録電流、 Mst1…設計磁気ボリューム、 Mst2…反転磁気ボリューム、 R1~R3…第1~第3電気抵抗、 Rc…電気抵抗、 ST1~ST3…第1~第3状態、 T1、T2…第1、第2端子、 W1、W2…第1、第2配線、 ir1~ir3…第1~第3電流範囲、 tc1~tc4、tm1~tm3…厚さ、 tt…時間
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