(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-14
(45)【発行日】2022-10-24
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1335 20060101AFI20221017BHJP
G02F 1/1333 20060101ALI20221017BHJP
G02F 1/1334 20060101ALI20221017BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20221017BHJP
【FI】
G02F1/1335
G02F1/1333
G02F1/1334
G02F1/13357
(21)【出願番号】P 2019077910
(22)【出願日】2019-04-16
【審査請求日】2021-10-08
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遊津 元希
(72)【発明者】
【氏名】日向野 敏行
(72)【発明者】
【氏名】三木 啓央
【審査官】横井 亜矢子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/166807(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/029555(WO,A1)
【文献】特開平07-104271(JP,A)
【文献】特開2007-094253(JP,A)
【文献】特開2014-186045(JP,A)
【文献】特開2002-082227(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/133-1/13363
G02F 1/1339-1/1341,1/1347
G02F 1/15-1/19
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1プリズムと、
第2プリズムと、
前記第1プリズムと前記第2プリズムとの間に設けられた表示パネルと、を備え、
前記表示パネルは、
第1透明基板と、画素電極と、を備えた第1基板と、
第2透明基板と、前記画素電極と対向する共通電極と、を備えた第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に設けられ、ポリマー及び液晶分子を含む液晶層と、を備え
、
前記第1プリズムは、前記第1透明基板に向かい合う第1頂部と、前記第1透明基板に対してほぼ垂直な第1面と、前記第1透明基板に対して傾斜した第1傾斜面と、を備え、前記第1面及び前記第1傾斜面が前記第1頂部を形成し、
前記第2プリズムは、前記第2透明基板に向かい合う第2頂部と、前記第2透明基板に対してほぼ垂直な第2面と、前記第2透明基板に対して傾斜した第2傾斜面と、を備え、前記第2面及び前記第2傾斜面が前記第2頂部を形成し、
前記第1傾斜面は、前記第2傾斜面とほぼ平行である、表示装置。
【請求項2】
前記第1頂部は、第1頂角を有し、
前記第2頂部は、前記第1頂角と同等の第2頂角を有している、請求項
1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1頂角及び前記第2頂角は、15°より大きく、21°より小さい、請求項
2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1プリズムは第1方向に延出し、複数の前記第1プリズムは前記第1方向に交差する第2方向に並び、
前記第2プリズムは前記第1方向に延出し、複数の前記第2プリズムは前記第2方向に並んでいる、請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
複数の前記第1プリズムは、第1方向、及び、前記第1方向に交差する第2方向に並び、
複数の前記第2プリズムは、前記第1方向、及び、前記第2方向に並んでいる、請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1プリズムを覆う第1カバー部材と、
前記第2プリズムを覆う第2カバー部材と、を備えている、請求項1乃至
5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1透明基板と前記第1プリズムとを接着する第1透明接着層と、
前記第2透明基板と前記第2プリズムとを接着する第2透明接着層と、を備えている、請求項1乃至
5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
発光素子を備え、
前記第2透明基板は、前記発光素子と対向する側面を備えている、請求項1乃至
7のいずれか1項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高分子分散液晶層を備えた表示装置が種々提案されている。一例では、電極基板と透明山形層との間に、高分子分散液晶層及び液晶層を備えたヘッドアップディスプレイが開示されている。これによれば、電圧無印加時には、外表面側から入射する光が透明山形層と液晶層との境界面で屈折され、高分子分散液晶層により散乱される。一方、電圧印加時には、外表面側から入射する光が屈折することなく、透明山形層、液晶層、及び、高分子分散液晶層を直進する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態の目的は、消費電力を低減することが可能な表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態によれば、
第1プリズムと、第2プリズムと、前記第1プリズムと前記第2プリズムとの間に設けられた表示パネルと、を備え、前記表示パネルは、第1透明基板と、画素電極と、を備えた第1基板と、第2透明基板と、前記画素電極と対向する共通電極と、を備えた第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に設けられ、ポリマー及び液晶分子を含む液晶層と、を備えている、表示装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、本実施形態の表示装置DSPの一構成例を示す平面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示した表示パネルPNLの一構成例を示す断面図である。
【
図3】
図3は、本実施形態の表示装置DSPの第1構成例を示す断面図である。
【
図4】
図4は、表示パネルPNLの透明状態及び散乱状態を説明するための図である。
【
図5】
図5は、本実施形態の表示装置DSPにおける透明状態を説明するための図である。
【
図6】
図6は、本実施形態の表示装置DSPにおける散乱状態を説明するための図である。
【
図7】
図7は、第2頂角θ2の最適な角度を説明するための一例を示す図である。
【
図8】
図8は、第2頂角θ2の最適な角度を説明するための他の例を示す図である。
【
図9】
図9は、第1プリズムP1及び第2プリズムP2の一構成例を示す図である。
【
図10】
図10は、第1プリズムP1及び第2プリズムP2の他の構成例を示す図である。
【
図11】
図11は、本実施形態の表示装置DSPの第2構成例を示す断面図である。
【
図12】
図12は、本実施形態の表示装置DSPの第3構成例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0008】
図1は、本実施形態の表示装置DSPの一構成例を示す平面図である。一例では、第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zは、互いに直交しているが、90度以外の角度で交差していてもよい。第1方向X及び第2方向Yは、表示装置DSPを構成する基板の主面と平行な方向に相当し、第3方向Zは、表示装置DSPの厚さ方向に相当する。第3方向Zを示す矢印の先端側に表示装置DSPを観察する観察位置があるものとし、この観察位置から、第1方向X及び第2方向Yで規定されるX-Y平面に向かって見ることを平面視という。
【0009】
本実施形態においては、表示装置DSPの一例として、高分子分散型液晶を適用した液晶表示装置について説明する。表示装置DSPは、表示パネルPNLと、配線基板1と、ICチップ2と、発光素子LDと、を備えている。
【0010】
表示パネルPNLは、第1基板SUB1と、第2基板SUB2と、液晶層LCと、シールSEと、を備えている。第1基板SUB1及び第2基板SUB2は、X-Y平面と平行な平板状に形成されている。第1基板SUB1及び第2基板SUB2は、平面視で、重畳している。第1基板SUB1及び第2基板SUB2は、シールSEによって接着されている。液晶層LCは、第1基板SUB1と第2基板SUB2との間に保持され、シールSEによって封止されている。
図1において、液晶層LC及びシールSEは、異なる斜線で示している。
【0011】
図1において拡大して模式的に示すように、液晶層LCは、ポリマー31と、液晶分子32と、を含む高分子分散型液晶を備えている。一例では、ポリマー31は、液晶性ポリマーである。ポリマー31は、第1方向Xに沿って延出した筋状に形成されている。液晶分子32は、ポリマー31の隙間に分散され、その長軸が第1方向Xに沿うように配向される。ポリマー31及び液晶分子32の各々は、光学異方性あるいは屈折率異方性を有している。ポリマー31の電界に対する応答性は、液晶分子32の電界に対する応答性より低い。
【0012】
一例では、ポリマー31の配向方向は、電界の有無にかかわらずほとんど変化しない。一方、液晶分子32の配向方向は、液晶層LCにしきい値以上の高い電圧が印加された状態では、電界に応じて変化する。液晶層LCに電圧が印加されていない状態では、ポリマー31及び液晶分子32のそれぞれの光軸は互いに平行であり、液晶層LCに入射した光は、液晶層LC内でほとんど散乱されることなく透過する(透明状態)。液晶層LCに電圧が印加された状態では、ポリマー31及び液晶分子32のそれぞれの光軸は互いに交差し、液晶層LCに入射した光は、液晶層LC内で散乱される(散乱状態)。
【0013】
表示パネルPNLは、画像を表示する表示部DAと、表示部DAを囲む額縁状の非表示部NDAと、を備えている。シールSEは、非表示部NDAに設けられている。表示部DAは、第1方向X及び第2方向Yにマトリクス状に配列された画素PXを備えている。
図1において拡大して示すように、各画素PXは、スイッチング素子SW、画素電極PE、共通電極CE、液晶層LC等を備えている。スイッチング素子SWは、例えば薄膜トランジスタ(TFT)によって構成され、走査線G及び信号線Sと電気的に接続されている。走査線Gは、第1方向Xに並んだ画素PXの各々におけるスイッチング素子SWと電気的に接続されている。信号線Sは、第2方向Yに並んだ画素PXの各々におけるスイッチング素子SWと電気的に接続されている。画素電極PEは、スイッチング素子SWと電気的に接続されている。共通電極CEは、複数の画素電極PEに対して共通に設けられている。画素電極PEの各々は、第3方向Zにおいて共通電極CEと対向している。液晶層LC(特に、液晶分子32)は、画素電極PEと共通電極CEとの間に生じる電界によって駆動される。容量CSは、例えば、共通電極CEと同電位の電極、及び、画素電極PEと同電位の電極の間に形成される。
後に説明するが、走査線G、信号線S、スイッチング素子SW、及び、画素電極PEは、第1基板SUB1に設けられ、共通電極CEは、第2基板SUB2に設けられている。第1基板SUB1において、走査線G及び信号線Sは、配線基板1あるいはICチップ2と電気的に接続されている。
【0014】
配線基板1は、第1基板SUB1の延出部Exに電気的に接続されている。配線基板1は、折り曲げ可能なフレキシブルプリント回路基板である。ICチップ2は、配線基板1に電気的に接続されている。ICチップ2は、例えば、画像表示に必要な信号を出力するディスプレイドライバなどを内蔵している。なお、ICチップ2は、延出部Exに電気的に接続されてもよい。
【0015】
発光素子LDは、平面視で延出部Exに重畳している。複数の発光素子LDは、第1方向Xに沿って間隔をおいて並んでいる。
【0016】
図2は、
図1に示した表示パネルPNLの一構成例を示す断面図である。
第1基板SUB1は、第1透明基板10と、絶縁膜11及び12と、容量電極13と、スイッチング素子SWと、画素電極PEと、配向膜AL1と、を備えている。第1透明基板10は、主面(下面)10Aと、主面10Aの反対側の主面(上面)10Bと、を備えている。スイッチング素子SWは、主面10B側に配置されている。絶縁膜11は、スイッチング素子SWを覆っている。なお、
図1に示した走査線G及び信号線Sは、第1透明基板10と絶縁膜11との間に配置されているが、ここでは図示を省略している。容量電極13は、絶縁膜11及び12の間に配置されている。画素電極PEは、絶縁膜12と配向膜AL1との間において、画素PX毎に配置されている。画素電極PEは、容量電極13の開口部OPを介してスイッチング素子SWと電気的に接続されている。画素電極PEは、絶縁膜12を挟んで、容量電極13と重畳し、画素PXの容量CSを形成している。配向膜AL1は、画素電極PEを覆っている。
【0017】
第2基板SUB2は、第2透明基板20と、遮光層BMと、共通電極CEと、オーバーコート層OCと、配向膜AL2と、を備えている。第2透明基板20は、主面(下面)20Aと、主面20Aの反対側の主面(上面)20Bと、を備えている。第2透明基板20の主面20Aは、第1透明基板10の主面10Bと向かい合っている。遮光層BM及び共通電極CEは、主面20A側に配置されている。遮光層BMは、例えば、スイッチング素子SWの直上、及び、図示しない走査線G及び信号線Sの直上にそれぞれ配置されている。共通電極CEは、複数の画素PXに亘って配置され、第3方向Zにおいて、複数の画素電極PEと対向している。また、共通電極CEは、遮光層BMを覆っている。共通電極CEは、容量電極13と電気的に接続されており、容量電極13とは同電位である。オーバーコート層OCは、共通電極CEを覆っている。配向膜AL2は、オーバーコート層OCを覆っている。
【0018】
液晶層LCは、第1基板SUB1と第2基板SUB2との間に設けられ、配向膜AL1及びAL2に接している。
【0019】
第1透明基板10及び第2透明基板20は、ガラス基板やプラスチック基板などの絶縁基板である。絶縁膜11は、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸窒化物、アクリル樹脂などの透明な絶縁材料によって形成されている。一例では、絶縁膜11は、無機絶縁膜及び有機絶縁膜を含んでいる。絶縁膜12は、シリコン窒化物などの無機絶縁膜である。容量電極13、画素電極PE、及び、共通電極CEは、インジウム錫酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)などの透明導電材料によって形成された透明電極である。遮光層BMは、例えば、共通電極CEよりも低抵抗な導電層を備えている。一例では、遮光層BMは、モリブデン、アルミニウム、タングステン、チタン、銀などの不透明な金属材料によって形成されている。共通電極CEは、遮光層BMに接しているため、遮光層BMと電気的に接続される。これにより、共通電極CEが低抵抗化される。配向膜AL1及びAL2は、X-Y平面に略平行な配向規制力を有する水平配向膜である。一例では、配向膜AL1及びAL2は、第1方向Xに沿って配向処理されている。なお、配向処理とは、ラビング処理であってもよいし、光配向処理であってもよい。
【0020】
〔第1構成例〕
図3は、本実施形態の表示装置DSPの第1構成例を示す断面図である。なお、表示パネルPNLについては、主要部のみを図示している。
【0021】
第2透明基板20は、第2方向Yにおいて、発光素子LDと対向する側面20Cを備えている。発光素子LDは、配線基板Fに電気的に接続されている。発光素子LDは、例えば、発光ダイオードであり、詳述しないが、赤発光部、緑発光部、及び、青発光部を備えている。なお、発光素子LDと、側面20Cとの間に、透明な導光体が配置されてもよい。
【0022】
表示装置DSPは、第1プリズムP1と、第2プリズムP2と、を備えている。表示パネルPNLは、第1プリズムP1と第2プリズムP2との間に設けられている。
図3に示した例において、第1プリズムP1、第1透明基板10、液晶層LC、第2透明基板20、及び、第2プリズムP2は、第3方向Zに沿ってこの順に並んでいる。複数の第1プリズムP1は、第1透明基板10の主面10Aにおいて、第2方向Yに並んでいる。同様に、複数の第2プリズムP2は、第2透明基板20の主面20Bにおいて、第2方向Yに並んでいる。
【0023】
第1プリズムP1は、第1頂部T1と、第1面P11と、第1傾斜面P12と、第1底面P13と、を備えている。第1頂部T1は、第1透明基板10に向かい合い、主面10Aに接している。隣接する第1プリズムP1の間の空間は、第1透明基板10及び第1プリズムP1よりも低い屈折率を有し、一例では空気層である。つまり、主面10Aは、第1頂部T1と接する領域を除いて、空気層に接している。
【0024】
第1面P11は、第1透明基板10に対してほぼ垂直な面であり、第1方向Xに沿って延出している。つまり、第1面P11は、第1方向X及び第3方向Zによって規定されるX-Z平面とほぼ平行な面である。第1傾斜面P12は、第1透明基板10に対して傾斜した面であり、第1方向Xに沿って延出している。第1傾斜面P12は、第1プリズムP1において、第1面P11よりも発光素子LDに近接する側に位置している。第1面P11及び第1傾斜面P12は、第1頂部T1を形成している。第1頂部T1は、第1頂角θ1を有している。第1底面P13は、第1頂部T1と向かい合い、X-Y平面とほぼ平行な面である。
【0025】
第2プリズムP2は、第2頂部T2と、第2面P21と、第2傾斜面P22と、第2底部P23と、を備えている。第2頂部T2は、第2透明基板20に向かい合い、主面20Bに接している。隣接する第2プリズムP2の間の空間は、第2透明基板20及び第2プリズムP2よりも低い屈折率を有し、一例では空気層である。つまり、主面20Bは、第2頂部T2と接する領域を除いて、空気層に接している。
【0026】
第2面P21は、第2透明基板20に対してほぼ垂直な面であり、第1方向Xに沿って延出している。つまり、第2面P21は、第1面P11と同様に、X-Z平面とほぼ平行な面である。第2傾斜面P22は、第2透明基板20に対して傾斜した面であり、第1方向Xに沿って延出している。第2傾斜面P22は、第1傾斜面P12とほぼ平行である。第2傾斜面P22は、第2プリズムP2において、第2面P21よりも発光素子LDから離間する側に位置している。第2面P21及び第2傾斜面P22は、第2頂部T2を形成している。第2頂部T2は、第2頂角θ2を有している。第2頂角θ2は、第1頂角θ2と同等の角度である。後述するが、第1頂角θ1及び第2頂角θ2は、15°より大きく、21°より小さい角度である。第2底面P23は、第2頂部T2と向かい合い、X-Y平面とほぼ平行な面である。
【0027】
次に、
図3を参照しながら、発光素子LDから出射される光L1について説明する。
発光素子LDは、側面20Cに向けて光L1を出射する。発光素子LDから出射された光L1は、第2方向Yを示す矢印の向きに沿って進行し、側面20Cから透明基板20に入射する。透明基板20に入射した光L1は、繰り返し反射されながら、表示パネルPNLの内部を進行する。
【0028】
図4は、表示パネルPNLの透明状態及び散乱状態を説明するための図である。なお、表示パネルPNLについては簡略化して図示している。
【0029】
図4の(A)は、表示パネルPNLの透明状態を説明するための図である。
図1を参照しながら説明したように、液晶層LCに電圧が印加されていない状態では、液晶層LCに入射した光L1は、液晶層LC内でほとんど散乱されることなく透過する。このとき、表示パネルPNLを、主面10A側から観察した場合であっても、主面20B側から観察した場合であっても、表示パネルPNLを介して、表示パネルPNLの背景が観察可能である。
【0030】
図4の(B)は、表示パネルPNLの散乱状態を説明するための図である。
図1を参照しながら説明したように、液晶層LCに電圧が印加された状態では、液晶層LCに入射した光L1は、液晶層LC内で散乱される。液晶層LCで散乱された光L1は、表示パネルPNLから出射される。このような散乱光は、主面10A側から観察可能であるとともに、主面20B側からも観察可能である。また、散乱状態のときも透明状態と同様に、表示パネルPNLを介してその背景が観察可能である。
【0031】
図4の(C)は、散乱状態の表示パネルPNLの輝度分布の一例を示す図である。横軸は表示パネルPNLの法線Nに対する角度を示し、縦軸は輝度を示している。なお、
図4の(B)に示すように、法線Nに対して発光素子LDに向かって傾斜した角度を負の角度(-θ)とし、法線Nに対して発光素子LDから離れる側に向かって傾斜した角度を正の角度(+θ)としている。表示パネルPNLの内部を進行する光L1のうち、散乱によって表示パネルPNLから出射される光の輝度分布において、負の角度の範囲の輝度よりも、正の角度の範囲の輝度の方が高い傾向が確認できる。しかも、この輝度分布は、0°の角度(つまり、法線Nの方向)でピークを有しておらず、約70°の角度においてピークを有することが確認できる。
【0032】
図5は、本実施形態の表示装置DSPにおける透明状態を説明するための図である。なお、表示パネルPNLについては簡略化して図示している。表示パネルPNLが透明状態であるため、第1プリズムP1を介して主面10A側から観察した場合であっても、第2プリズムP2を介して主面20B側から観察した場合であっても、表示パネルPNLを介してその背景が観察可能である。
【0033】
ここでは、第1プリズムP1から第2プリズムP2に向かって進行する光L2について説明する。表示パネルPNLの法線Nに沿って進行する光L2は、第1プリズムP1の第1底面P13から入射する。第1プリズムP1に入射した光L2は、第1傾斜面P12で反射された後に、第1面P11を透過する。第1プリズムP1を透過した光L2は、表示パネルPNLを透過し、第2プリズムP2の第2面P21から入射する。第2プリズムP2に入射した光L2は、第2傾斜面P22で反射された後に、第2底面P23を透過する。なお、第1プリズムP1及び第2プリズムP2が空気層に接しているため、各面に入射する光、あるいは、各面を透過する光は屈折するが、ここでは詳細な図示を省略している。
【0034】
図3を参照して説明した通り、第1傾斜面P12及び第2傾斜面P22が互いに平行であるため、第1プリズムP1及び第2プリズムP2を透過する光L2の光路が光学的に補償される。つまり、法線Nに対して入射角θiで第1プリズムP1に入射した光L2が法線Nに対して透過角θtで第2プリズムP2を透過する場合、入射角θiは透過角θtに等しい。例えば、入射角θiが0°の場合は、光L2が法線Nと平行な方向から入射する場合に相当する。この場合、透過角θtも0°となる。第2プリズムP2から第1プリズムP1に向かって進行する光についても同様に、光路が光学的に補償される。
【0035】
このため、表示パネルPNLが透明状態である場合に、第1プリズムP1を介して主面10A側から観察した場合であっても、第2プリズムP2を介して主面20B側から観察した場合であっても、第1プリズムP1及び第2プリズムP2を備えていない場合と同様に、違和感なく観察することができる。
【0036】
図6は、本実施形態の表示装置DSPにおける散乱状態を説明するための図である。なお、表示パネルPNLについては簡略化して図示している。ここでは、表示パネルPNLの内部で散乱された光のうち、主面20B側から観察される光L3に着目して説明する。
主面20Bを透過した光L3は、第2プリズムP2の第2面P21から入射する。第2プリズムP2に入射した光L3は、第2傾斜面P22で反射された後に、第2底面P23を透過する。法線Nに対して透過角θ0で表示パネルPNLの主面20Bを透過した光L3が透過角θtで第2プリズムP2を透過する場合、透過角θtは透過角θ0より小さい。つまり、第2プリズムP2を設けた本実施形態の表示装置DSPによれば、第2プリズムP2を設けない比較例の表示装置DSPと比較して、法線Nの方向に透過する光の輝度が増加する。このため、表示装置DSPを法線Nの方向から観察した場合に、高輝度の画像を視認することができる。
換言すると、法線Nの方向で同一輝度の画像を観察しようとする場合に、本実施形態の表示装置DSPは、比較例の表示装置DSPよりも、発光素子LDの輝度を低減することができる。したがって、消費電力を低減することができる。
【0037】
本実施形態においては、第2プリズムP2の第2頂角θ2を最適化することにより、表示装置DSPの輝度分布が法線Nの方向に輝度のピークを有するように設計することが可能である。以下に、その具体例について説明する。
【0038】
図7は、第2頂角θ2の最適な角度を説明するための一例を示す図である。ここでは、透過角θ0で第2透明基板20の主面20Bを透過した光L3が第2プリズムP2の第2底面P23を法線Nと平行な方向に透過する場合を想定する。以下、
図7に示した角度θ0、θ2、θ21、θ22、i0の各々の関係について説明する。なお、空気層の屈折率をn1とし、第2プリズムP2の屈折率をn2とする。
角度θ0及びθ21の関係は次の通りである。
θ21=θ0…(1)
角度θ21及びθ22の関係は次の通りである。
n1*sin(θ21)=n2*sin(θ22)…(2)
角度θ2、θ22、i0の関係は次の通りである。
θ22=θ2-i0+90°…(3)
角度θ22及びi0の関係は次の通りである。
【0039】
θ22+2*i0=180°…(4)
角度θ22及びi0の関係は、式(3)及び(4)に基づき次の通りである。
θ22=2*θ2…(5)
角度θ0及びθ2の関係は、式(1)、(2)、(5)に基づき次の通りである。
n1*sin(θ0)=n2*sin(2*θ2)…(6)
【0040】
ここで、屈折率n1を1とし、屈折率n2を1.5としたとき、式(6)に基づいて透過角θ0に対する第2頂角θ2を算出すると、次の通りである。
透過角θ0が50°のとき、第2頂角θ2は15.4°である。
透過角θ0が60°のとき、第2頂角θ2は17.6°である。
透過角θ0が70°のとき、第2頂角θ2は19.4°である。
透過角θ0が80°のとき、第2頂角θ2は20.5°である。
【0041】
図4の(C)を参照して説明したように、表示パネルPNLの輝度分布は透過角θ0が70°の付近でピークを有するため、第2頂角θ2は、15°より大きく、21°より小さいことが望ましく、さらには17.6°以上20.5°以下であることがより望ましい。以上の通り、第2頂角θ2が設定された表示装置DSPによれば、その輝度分布は、法線Nの方向に輝度のピークを有するようになる。
【0042】
ここでは、第2頂角θ2について説明したが、
図3を参照して説明したように、第1頂角θ1は、第2頂角θ2と同等の角度である。
【0043】
図8は、第2頂角θ2の最適な角度を説明するための他の例を示す図である。
図8に示した例は、
図7に示した例と比較して、第2透明基板20と第2プリズムP2との間に透明層TLが介在する点で相違している。透明層TLは、例えば第2プリズムP2を第2透明基板20に接着する接着層である。
図8の(A)に示すように、第2透明基板20及び透明層TLを透過する光L4に着目する。角度θ0’、θ31、θ41の各々の関係は次の通りである。なお、空気層の屈折率をn1とし、第2透明基板20の屈折率をn3とし、透明層TLの屈折率をn4とする。
n3*sin(θ31)=n4*sin(θ41)=n1*sin(θ0’)…(7) 角度θ31が
図7に示した例と同一であれば、角度θ0’は、
図7に示した角度θ0と等しくなる。このため、
図8の(B)に示すように、第2透明基板20と第2プリズムP2との間に透明層TLが介在する場合であっても、光L3の光路は、実質的に
図7に示した系と同一となる。ゆえに、上記の式(6)の関係が成り立つ。つまり、第2頂角θ2の最適な角度は、
図7に示した例と同一となる。
【0044】
次に、本実施形態の表示装置DSPに適用可能な第1プリズムP1及び第2プリズムP2の構成例について説明する。
【0045】
図9は、第1プリズムP1及び第2プリズムP2の一構成例を示す図である。第1プリズムP1及び第2プリズムP2の各々は、第1方向Xに延出している。複数の第1プリズムP1は、第1透明基板10の主面10Aにおいて、第2方向Yに並んでいる。複数の第2プリズムP2は、第2透明基板20の主面20Bにおいて、第2方向Yに並んでいる。第1プリズムP1及び第2プリズムP2は、ほぼ同一形状を有している。
ここでは、第2プリズムP2の一つに着目してより、その形状を具体的に説明する。すなわち、第2面P21は、X-Z平面に平行な長方形の面である。第2底面P23は、X-Y平面に平行な長方形の面である。第2面P21及び第2底面P23のなす角度は、ほぼ90°である。第2傾斜面P22は、第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zに交差する長方形の面である。このような第2プリズムP2のY-Z平面における断面は、直角三角形である。
【0046】
図10は、第1プリズムP1及び第2プリズムP2の他の構成例を示す図である。複数の第1プリズムP1は、第1透明基板10の主面10Aにおいて、第1方向X及び第2方向Yに並んでいる。複数の第2プリズムP2は、第2透明基板20の主面20Bにおいて、第1方向X及び第2方向Yに並んでいる。第1プリズムP1及び第2プリズムP2は、ほぼ同一形状を有している。
ここでは、第2プリズムP2の一つに着目してより、その形状を具体的に説明する。すなわち、第2面P21は、X-Z平面に平行な三角形の面である。第2傾斜面P22は、第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zに交差する三角形の面である。第2面P21と第2傾斜面P22との間には、2つの三角形の面P24及びP25が形成される。このような第2プリズムP2のY-Z平面における断面は、直角三角形である。
【0047】
〔第2構成例〕
図11は、本実施形態の表示装置DSPの第2構成例を示す断面図である。
図11に示す第2構成例は、
図3に示した第1構成例と比較して、第1プリズムP1を覆う第1カバー部材CV1、及び、第2プリズムP2を覆う第2カバー部材CV2が設けられた点で相違している。第1カバー部材CV1及び第2カバー部材CV2は、ガラス基板やプラスチック基板などの透明な基材である。第1プリズムP1は、第1透明基板10と第1カバー部材CV1との間に設けられている。第2プリズムP2は、第2透明基板20と第2カバー部材CV2との間に設けられている。第1プリズムP1及び第2プリズムP2は、
図9及び
図10のいずれの構成例も適用可能である。
このような第2構成例においても、第1構成例と同様の効果が得られる。加えて、第1プリズムP1及び第2プリズムP2を保護することができる。
【0048】
〔第3構成例〕
図12は、本実施形態の表示装置DSPの第3構成例を示す断面図である。
図12に示す第3構成例は、
図3に示した第1構成例と比較して、第1透明基板10と第1プリズムP1とを接着する第1透明接着層TL1、及び、第2透明基板20と第2プリズムP2とを接着する第2透明接着層TL2が設けられた点で相違している。このように第1透明接着層TL1及び第2透明接着層TL2が設けられた場合の第2頂角θ2の最適な角度は、
図8を参照して説明した通りである。第1プリズムP1及び第2プリズムP2は、
図9及び
図10のいずれの構成例も適用可能である。
このような第3構成例においても、第1構成例と同様の効果が得られる。
【0049】
以上説明したように、本実施形態によれば、消費電力を低減することが可能な表示装置を提供することができる。
【0050】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0051】
本明細書にて開示した構成から得られる表示装置の一例を以下に付記する。
(1)
第1プリズムと、
第2プリズムと、
前記第1プリズムと前記第2プリズムとの間に設けられた表示パネルと、を備え、
前記表示パネルは、
第1透明基板と、画素電極と、を備えた第1基板と、
第2透明基板と、前記画素電極と対向する共通電極と、を備えた第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に設けられ、ポリマー及び液晶分子を含む液晶層と、を備えている、表示装置。
(2)
前記第1プリズムは、前記第1透明基板に向かい合う第1頂部を備え、
前記第2プリズムは、前記第2透明基板に向かい合う第2頂部を備えている、(1)に記載の表示装置。
(3)
前記第1頂部は、第1頂角を有し、
前記第2頂部は、前記第1頂角と同等の第2頂角を有している、(2)に記載の表示装置。
(4)
前記第1頂角及び前記第2頂角は、15°より大きく、21°より小さい、(3)に記載の表示装置。
(5)
前記第1プリズムは、前記第1透明基板に対してほぼ垂直な第1面と、前記第1透明基板に対して傾斜した第1傾斜面と、を備え、前記第1面及び前記第1傾斜面が前記第1頂部を形成し、
前記第2プリズムは、前記第2透明基板に対してほぼ垂直な第2面と、前記第2透明基板に対して傾斜した第2傾斜面と、を備え、前記第2面及び前記第2傾斜面が前記第2頂部を形成し、
前記第1傾斜面は、前記第2傾斜面とほぼ平行である、(2)に記載の表示装置。
(6)
前記第1プリズムは第1方向に延出し、複数の前記第1プリズムは前記第1方向に交差する第2方向に並び、
前記第2プリズムは前記第1方向に延出し、複数の前記第2プリズムは前記第2方向に並んでいる、(1)乃至(5)のいずれか1項に記載の表示装置。
(7)
複数の前記第1プリズムは、第1方向、及び、前記第1方向に交差する第2方向に並び、
複数の前記第2プリズムは、前記第1方向、及び、前記第2方向に並んでいる、(1)乃至(5)のいずれか1項に記載の表示装置。
(8)
前記第1プリズムを覆う第1カバー部材と、
前記第2プリズムを覆う第2カバー部材と、を備えている、(1)乃至(7)のいずれか1項に記載の表示装置。
(9)
前記第1透明基板と前記第1プリズムとを接着する第1透明接着層と、
前記第2透明基板と前記第2プリズムとを接着する第2透明接着層と、を備えている、(1)乃至(7)のいずれか1項に記載の表示装置。
(10)
発光素子を備え、
前記第2透明基板は、前記発光素子と対向する側面を備えている、(1)乃至(9)のいずれか1項に記載の表示装置。
【符号の説明】
【0052】
DSP…表示装置 PNL…表示パネル
SUB1…第1基板 SUB2…第2基板
LC…液晶層 31…ポリマー 32…液晶分子
SE…シール LD…発光素子
PE…画素電極 CE…共通電極
10…透明基板 20…透明基板 30…透明基板
RL…反射層