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特許7159102情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-14
(45)【発行日】2022-10-24
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20221017BHJP
   G08G 1/005 20060101ALI20221017BHJP
【FI】
G01C21/26 P
G08G1/005
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019079538
(22)【出願日】2019-04-18
(65)【公開番号】P2020176925
(43)【公開日】2020-10-29
【審査請求日】2021-02-19
(73)【特許権者】
【識別番号】319013263
【氏名又は名称】ヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】水上 哲也
【審査官】貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-265013(JP,A)
【文献】特開2007-205839(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00 - 21/36
G08G 1/00 - 99/00
G01C 23/00 - 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置に対してユーザにより入力された目的地名を含む経路検索要求を、当該端末装置から受け付ける受付部と、
互いに誤認し易い地名を対応付けて記憶している誤認リストに前記目的地名が含まれているか否かを判定する判定部と、
前記誤認リストに前記目的地名が含まれている場合、前記誤認リストにおいて前記目的地名に対応する対応地名を含むコンテンツを生成し、前記端末装置に送信するコンテンツ生成部と、
前記誤認リストに前記目的地名が含まれている場合、当該目的地名が前記ユーザにより意図された目的地の名称とは異なる可能性を示すリスク評価値を算出する評価値算出部と、を備え、
前記コンテンツ生成部は、前記目的地名に対する前記リスク評価値に応じて、前記コンテンツにおける前記対応地名の表示形式を変更する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
請求項に記載の情報処理装置において、
前記評価値算出部は、前記目的地名または前記対応地名が示す各地点の地点情報と、前記ユーザとの関連性に基づいて、前記リスク評価値を算出する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項または請求項に記載の情報処理装置において、
前記評価値算出部は、前記目的地名または前記対応地名と、前記経路検索要求の直前の所定期間内における前記ユーザの行動履歴との関連性に基づいて、前記リスク評価値を算出する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
請求項から請求項のいずれか一項に記載の情報処理装置において、
前記評価値算出部は、前記目的地名または前記対応地名が示す各地点の混雑度に基づいて、前記リスク評価値を算出する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
請求項から請求項のいずれか一項に記載の情報処理装置において、
前記受付部が前記経路検索要求を受け付けた後、前記コンテンツ内の前記対応地名を目的地とする再検索要求を受け付けた回数をカウントし、上記目的地名に対応付けるカウント部をさらに備え、
前記評価値算出部は、前記目的地名に対応する前記回数に基づいて、前記リスク評価値を算出する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の情報処理装置において、
前記対応地名が示す地点の周辺情報を取得する周辺情報取得部をさらに備え、
前記コンテンツ生成部は、前記対応地名および前記周辺情報を含む前記コンテンツを生成する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
請求項から請求項のいずれか一項に記載の情報処理装置において、
前記端末装置に入力されたテキストに基づいて、前記目的地名の候補地名を並べた候補リストを生成し、前記端末装置に送信する候補リスト生成部をさらに備え、
前記判定部は、前記候補地名が前記誤認リストに含まれているか否かを判定し、
前記評価値算出部は、前記誤認リストに含まれている前記候補地名の前記リスク評価値を算出し、
前記候補リスト生成部は、前記誤認リストに含まれている前記候補地名について、前記候補リスト内の並び順を前記リスク評価値に基づいて決定する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
コンピュータにより情報を処理する経路検索方法であって、
端末装置に対してユーザにより入力された目的地名を含む経路検索要求を、当該端末装置から受け付ける受付ステップと、
互いに誤認し易い地名を対応付けて記憶している誤認リストに前記目的地名が含まれているか否かを判定する判定ステップと、
前記誤認リストに前記目的地名が含まれている場合、前記誤認リストにおいて前記目的地名に対応する対応地名を含むコンテンツを生成し、前記端末装置に送信するコンテンツ生成ステップと、
前記誤認リストに前記目的地名が含まれている場合、当該目的地名が前記ユーザにより意図された目的地の名称とは異なる可能性を示すリスク評価値を算出する評価値算出ステップと、を含み、
前記コンテンツ生成ステップは、前記目的地名に対する前記リスク評価値に応じて、前記コンテンツにおける前記対応地名の表示形式を変更する
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項9】
コンピュータにより読み取り実行可能な情報処理プログラムであって、
前記コンピュータを請求項1から請求項のいずれか一項に記載の情報処理装置として機能させる
ことを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザにより入力された目的地および目的地に基づき、電車等の交通機関を利用する経路情報を提供する情報処理装置が知られている。例えば、特許文献1には、目的駅までの経路検索を要求する端末装置に対して、目的駅までの経路情報と、目的駅の駅周辺情報とを共に表示させる情報処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-209164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、駅名などの地名には、「青梅(おうめ)」駅および「青海(あおみ)」駅など、漢字の形状や読みが似ているものが多数存在している。このため、馴染みのない土地へ向かうユーザは、本来の目的地の名称に似ている別の地点の名称を入力し、経路検索を要求してしまう場合がある。
しかし、上述した特許文献1などの従来の情報処理装置は、ユーザに対して目的地が誤っている可能性を提示することがなく、ユーザにより入力された目的地までの経路を検索する。このため、仮に目的地の周辺情報が経路情報と共に提供された場合であっても、その周辺情報がコンビニや飲食店などのありふれた情報であれば、ユーザは、自らの誤りに気が付かないまま、提供された経路情報に従ってしまう可能性がある。
本発明は、ユーザが自分で入力した目的地名の誤りに気が付かないまま、提供された経路情報に従ってしまうリスクを低減できる情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る情報処理装置は、端末装置に対してユーザにより入力された目的地名を含む経路検索要求を、当該端末装置から受け付ける受付部と、互いに誤認し易い地名を対応付けて記憶している誤認リストに前記目的地名が含まれているか否かを判定する判定部と、前記誤認リストに前記目的地名が含まれている場合、前記誤認リストにおいて前記目的地名に対応する対応地名を含むコンテンツを生成し、前記端末装置に送信するコンテンツ生成部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の情報処理装置は、端末装置から取得した目的地名が誤認リストに含まれている場合、すなわちユーザの意図する目的地の名称とは異なる可能性がある場合、目的地名に対応する対応地名を含む案内コンテンツを端末装置に送信することにより、ユーザに対して目的地の確認を促すことができる。これにより、ユーザが自分で入力した目的地名の誤りに気が付かないまま、提供された経路情報に従ってしまうリスクを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態に係る経路検索システムのシステム構成を示す図。
図2】本実施形態の端末装置の概略構成を示すブロック図。
図3】本実施形態のサーバ装置の概略構成を示すブロック図。
図4】本実施形態の誤認リストの一例を示す図。
図5】本実施形態における経路検索ページの例を示す模式図。
図6】本実施形態における経路検索処理の流れを示すフローチャート。
図7】本実施形態におけるコンテンツ生成処理の流れを示すフローチャート。
図8】本実施形態における案内コンテンツの一例を示す模式図。
図9】本実施形態における案内コンテンツの一例を示す模式図。
図10】本実施形態における案内コンテンツの一例を示す模式図。
図11】本実施形態における案内コンテンツの一例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第一実施形態]
以下、本発明に係る第一実施形態について説明する。
[経路検索システム100の構成]
図1は、本実施形態の経路検索システム100の概略構成を示す模式図である。経路検索システム100は、複数の端末装置1と、本発明の情報処理装置であるサーバ装置2と、検索サーバ装置3と、混雑予測サーバ4と、を備える。サーバ装置2は、ネットワークを介して、端末装置1、検索サーバ装置3および混雑予測サーバ4との間で通信可能である。ネットワークは、WAN(Wide Area Network)やLAN(Local Area Network)、インターネット、専用回線、無線基地局、プロバイダなどを含む。
経路検索システム100において、端末装置1は、ユーザにより目的地名を入力され、当該目的地名を含む経路検索要求をサーバ装置2に送信する。サーバ装置2は、経路検索要求に含まれる目的地名について、ユーザの意図する目的地の名称とは異なる可能性(相違リスク)の有無を判定する。サーバ装置2は、相違リスクが存在すると判定した場合、サーバ装置2のデータベース、検索サーバ装置3または混雑予測サーバ4等から取得される各種情報に基づいて、相違リスクを示すリスク評価値を算出する。そして、サーバ装置2は、リスク評価値に応じて、ユーザに目的地の確認を促す案内コンテンツを生成し、端末装置1に送信する。
【0009】
[端末装置の構成]
図2は、本実施形態に係る端末装置1の構成図である。端末装置1は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等である。端末装置1は、例えば、通信部11と、入力部12と、表示部13と、記憶部14と、測位部15と、制御部16とを備える。
【0010】
通信部11は、ネットワークを介してサーバ装置2と通信する。通信部11は、サーバ装置2により送信された情報を受信した場合、受信した情報を制御部16に出力する。また、通信部11は、制御部16の指示に従って、サーバ装置2に情報を送信する。
入力部12は、例えば、ボタン、キーボード、マウス、マイク、タッチパネル等のユーザインターフェースである。また、入力部12は、例えば、音声による入力を受け付けるものであってもよい。なお、表示部13がタッチパネルである場合、入力部12の一部は表示部13と一体として形成される。
【0011】
表示部13は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electroluminescence)ディスプレイなどの表示装置である。表示部13は、制御部16から入力される情報に基づいて各種画像を表示する。
記憶部14は、例えば、フラッシュメモリ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、SDカード、HDD(Hard Disc Drive)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の不揮発性の記憶媒体と、レジスタ等の揮発性の記憶媒体等により実現される。
測位部15は、例えばGNSS(Global Navigation Satellite System)受信機を含む。測位部15は、衛星から受信した電波に基づく測位を行って、端末装置1の位置(すなわちユーザの位置)を特定し、位置情報を制御部16に出力する。
【0012】
制御部16は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサが、記憶部14に記憶されたプログラム(ソフトウェア)を実行することで実現される。プログラムは、例えば、ネットワークを介してアプリケーションサーバからダウンロードされてもよいし、端末装置1にプリインストールされていてもよい。制御部16は、ユーザにより入力された情報をサーバ装置2に送信するとともに、サーバ装置2から受信した情報を表示部13に表示させる。
【0013】
[サーバ装置の構成]
図3は、本実施形態のサーバ装置2の構成図である。サーバ装置2は、例えば、通信部21と、記憶部22と、制御部23とを備える。
通信部21は、ネットワークを介して、端末装置1や他のサーバ装置(例えば検索サーバ装置3、混雑予測サーバ4)と通信する。通信部21は、端末装置1により送信された情報を受信した場合、受信した情報を制御部23に出力する。また、通信部21は、制御部23の指示に従って、端末装置1に情報を送信する。
【0014】
記憶部22は、例えば、HDD、フラッシュメモリ、EEPROM、ROM、またはRAMにより実現される。記憶部22は、サーバ装置2の全体動作を制御するためのOS(Operating System)、経路検索プログラムを含む各種プログラム、および、制御部23による処理結果などの各種データが記憶される。
また、記憶部22は、地図データベース221、時刻表データベース222、誤認リストデータベース223、および、ユーザデータベース224を格納する。なお、これらのデータベースは、サーバ装置2とネットワークを介して通信可能に接続された他のサーバ装置に格納されていてもよい。
【0015】
地図データベース221は、例えば、道路の形状がノードとリンクによって表された地図情報と、地図上の所定の地点(例えば、駅、バス停、空港、港などの施設や場所)に対応する地点情報とを含む。
地点情報は、地点の名称や属性情報(地点属性情報)などを含む。地点属性情報としては、例えば、地点のカテゴリや、地点を利用する利用者の傾向を表す各種データ(年齢層、性別、家族構成など)が挙げられる。
【0016】
時刻表データベース222は、鉄道、路線バス、航空路線、定期航路等の公共交通機関ごとに、路線名、出発地、出発時刻、目的地、到着時刻および運賃を互いに対応付けた時刻表を格納している。
【0017】
誤認リストデータベース223は、図4に示すように、誤認しやすい地名を一覧にした誤認リストを格納している。この誤認リストでは、各地名に対して取り違い易い他の地名(対応地名)が対応付けられている。ここで、「対応地名」としては、各地名に発音または表記文字の形状が同一または類似している他の地名が挙げられる。例えば図4には、漢字の読みや形状が互いに似ている「青梅」と「青海」、「越谷」と「熊谷」を例示している。
なお、本実施形態の誤認リストデータベース223には、予め作成された誤認リストが格納されているが、誤認リストは、後述する誤認リスト更新部239によって更新されてもよい。
また、本明細書において、「地名」は、駅名、バス停名、港名、施設名など、様々なカテゴリの地点名称を意味している。
【0018】
ユーザデータベース224は、経路検索システム100を利用するユーザに関するユーザデータが記録されている。ユーザデータは、ユーザを識別するユーザID、属性情報、拠点情報、スケジュール情報および履歴情報などを含む。
属性情報は、例えば、性別、家族構成および嗜好性などを含んでいる。
拠点情報は、ユーザの家、学校または職場など、ユーザの拠点を示す情報である。拠点情報は、ユーザにより入力されてもよいし、測位部15により測定されたユーザの位置情報に基づいて従来技術を利用して特定されてもよい。
スケジュール情報は、少なくとも日時を含む情報であり、要件や場所などの情報をさらに含んでもよい。
履歴情報は、例えば、ユーザが経路検索のために入力した出発地名および目的地名、ならびに、ユーザの移動履歴などを含む。
【0019】
制御部23は、CPU(Central Processing Unit)等の演算回路、RAM(Random Access Memory)等の記憶回路により構成される。制御部23は、記憶部22等に記憶されているプログラムをRAMに展開し、RAMに展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行する。
そして、制御部23は、記憶部22に記憶された情報処理プログラムを読み取り実行することで、図3に示すように、受付部231、判定部232、評価値算出部233、周辺情報取得部234、経路検索部235、コンテンツ生成部236、カウント部237、候補リスト生成部238および誤認リスト更新部239として機能する。
【0020】
受付部231は、目的地名などを含む経路検索要求を、端末装置1から受け付ける。
判定部232は、経路検索要求に含まれる目的地名が誤認リストに含まれているか否かを判定する。また、判定部232は、後述する候補リスト生成部238により地図データベース221から抽出された候補地名について、各候補地名が誤認リストに含まれているか否かを判定する。
【0021】
評価値算出部233は、経路検索要求に含まれる目的地名または地図データベース221から抽出された候補地名が誤認リストに含まれている場合に、目的地名または候補地名がユーザの意図する目的地の名称とは異なる可能性(相違リスク)を示すリスク評価値を算出する。
周辺情報取得部234は、目的地名に対するリスク評価値が、任意に設定された閾値以上である場合に、目的地名が示す地点の周辺情報や、対応地名が示す地点の周辺情報を取得する。周辺情報は、例えば施設情報や開催中のイベント情報を含み、地図データベース221や検索サーバ装置3などから取得可能である。
【0022】
経路検索部235は、地図データベース221や時刻表データベース222から経路検索要求に基づく移動経路を検索し、当該移動経路を含む経路情報を作成する。なお、経路情報は、移動経路だけでなく、移動経路に対応する移動時間、移動距離および運賃等を含んでもよい。
【0023】
コンテンツ生成部236は、相違リスクの有無およびリスク評価値に応じて異なる案内コンテンツを生成し、端末装置1に送信する。特に、コンテンツ生成部236は、相違リスクが存在する場合において、対応地名を含む案内コンテンツ(本発明のコンテンツ)を生成する。
【0024】
カウント部237は、案内コンテンツ内の対応地名を目的地とする再検索要求を端末装置1から受け付けた際、直前の経路検索要求に含まれる目的地名に対応する誤認回数をカウントする。目的地名に対応する誤認回数が多いほど、当該目的地名について誤認したユーザ数が多いことを意味する。
なお、カウント部237によりカウントされた誤認回数は、誤認リストにおける目的地名に対応付けられて記憶される。この誤認回数は、現在から直前の所定期間にカウントされた回数であってもよい。
【0025】
候補リスト生成部238は、端末装置1に対して出発地や目的地を入力するユーザ操作を補助する。具体的には、ユーザにより端末装置1に入力された文字列を取得し、当該文字列に前方一致する地名(候補地名)を並べた候補リストを生成し、当該候補リストを端末装置1に送信し、表示させる。
【0026】
誤認リスト更新部239は、複数のユーザの利用履歴に基づいて誤認リストを更新する。例えば、ユーザが、初回に経路検索した目的地(初回目的地)に向かって移動した後、当該目的地に到着する前または到着して直ぐに、初回目的地に類似の名称を有する目的地(次回目的地)について経路検索した場合、次回目的地がユーザの本来の目的地であったという分析が可能である。誤認リスト更新部239は、このような利用履歴に基づいて、初回目的地および次回目的地を対応付けて誤認リストに含めてもよい。
【0027】
[経路検索方法]
本実施形態の経路検索システム100を用いた経路検索方法について説明する。
図5に示すように、端末装置1の制御部16は、ウェブブラウザを用いて、サーバ装置2から提供される経路検索ページ60を表示部13に表示させる。経路検索ページ60は、出発地名を入力するための出発地入力欄61、目的地名を入力するための目的地入力欄62、出発日時または到着日時を指定するための日時指定欄63、および、経路検索の実行を指示する検索ボタン64などを有している。
出発地入力欄61および目的地入力欄62には、駅、バス停、住所、施設などを入力可能である。また、出発地入力欄61および目的地入力欄62は、例えば現在地を選択可能にするプルダウンなどの機能を有していてもよい。
【0028】
図6は、端末装置1およびサーバ装置2における経路検索処理の流れを示すフローチャートである。
【0029】
端末装置1の制御部16は、目的地入力欄62にテキストが入力されたと判断すると(ステップS101;Yes)、当該テキストをサーバ装置2に送信する(ステップS102)。なお、制御部16は、目的地入力欄62にテキストが入力されるまで、ステップS101を繰り返す。
【0030】
サーバ装置2の候補リスト生成部238は、端末装置1から送信されたテキストを取得し、地図データベース221から当該テキストに対応する候補地名を抽出する(ステップS201)。テキストに対応する候補地名として、例えば、当該テキストに対して読みまたは漢字が前方一致する地名が挙げられる。
【0031】
次いで、判定部232は、ステップS201で抽出された候補地名のうち誤認リストに含まれている候補地名が存在するか否かを判定する(ステップS202)。誤認リストに含まれる候補地名が存在する場合(ステップS202;Yes)、評価値算出部233は、当該候補地名の相違リスクを示すリスク評価値を算出する(ステップS203)。
なお、リスク評価値の算出方法については、後述にて説明する。
一方、誤認リストに含まれる候補地名が存在しない場合(ステップS202;No)、ステップS203を省略する。
【0032】
次いで、候補リスト生成部238は、候補地名の表示順(候補表示順)を決定する(ステップS204)。
ここで、上述のステップS203でリスク評価値を算出された候補地名が存在する場合、候補リスト生成部238は、候補表示順をリスク評価値の低い順、すなわちユーザの目的地である可能性が高い順に決定する。また、リスク評価値を算出された候補地名と、それ以外の候補地名とが混在する場合、リスク評価値に基づく手法と従来の手法とを併用してもよい。
【0033】
例えば、「青」という文字列に前方一致する「青森」、「青山一丁目」、「青梅」および「青海」という候補地名が抽出され、これらの候補地名のうち「青梅」および「青海」という候補地名についてリスク評価値が算出されたと仮定する。このような場合、従来の手法(例えば検索数が多い順や地図の北側に位置する順)に候補地名を並べた後、「青梅」の表示順と「青海」の表示順とを、リスク評価値の低い順に並べ替えてもよい。
一方、上述のステップS203でリスク評価値を算出された候補地名が存在しない場合、従来の手法を利用すればよい。
【0034】
次に、候補リスト生成部238は、候補地名を候補表示順に並べた候補リストを、端末装置1に送信する(ステップS205)。
端末装置1の制御部16は、サーバ装置2から送信された候補リストを取得し、この候補リストを、目的地入力欄62のドロップダウンリスト等として表示させる(ステップS103)。ユーザは、候補リストから自身が目的地として希望する候補地名を選択する操作を行う。制御部16は、候補リストから候補地名が選択されたと判断すると(ステップS104;Yes)、当該候補地名を目的地入力欄62に入力する。
なお、ここでは説明を省略するが、従来の手法を利用して、出発地入力欄61への入力操作の補助処理が行われてもよい。
【0035】
次いで、制御部16は、出発地入力欄61および目的地入力欄62にそれぞれ入力が行われた状態で、検索ボタン64が操作されたと判断すると(ステップS105;Yes)、出発地名および目的地名を含む経路検索要求を作成し、サーバ装置2に送信する(ステップS106)。
【0036】
なお、ステップS104またはステップS105でNoと判断された場合、Yesと判断されるまでステップS104またはステップS105が繰り返される。また、ステップS106において、制御部16は、時刻入力欄に時刻(出発時刻または到着時刻)が入力されている場合、当該時刻を検索要求に含めてもよい。
【0037】
サーバ装置2は、端末装置1から送信された経路検索要求に基づいて、案内コンテンツを生成する(ステップS206)。案内コンテンツの生成処理についての具体的な説明は後述する。その後、サーバ装置2は、生成した案内コンテンツを端末装置1に送信する(ステップS207)。
端末装置1の制御部16は、サーバ装置2から送信された案内コンテンツを取得し、この案内コンテンツを表示部13に表示させる(ステップS107)。ユーザは、この案内コンテンツにより、目的地として入力した地名が自身の意図する目的地名とは異なる可能性や、経路検索結果などを知ることができる。
以上により、経路検索処理のフローが終了する。
【0038】
[案内コンテンツ生成処理]
次に、サーバ装置2における案内コンテンツ生成処理について説明する。図7は、サーバ装置2における案内コンテンツ生成処理の流れを示すフローチャートである。
【0039】
まず、サーバ装置2の受付部231は、端末装置1から経路検索要求を受け付ける(ステップS261;受付ステップ)。なお、以下では、出発地名、目的地名および出発日時が経路検索要求に含まれている場合を説明する。
【0040】
次いで、判定部232は、経路検索要求に含まれた目的地名が誤認リストに含まれるか否か、すなわち、目的地名がユーザの意図する目的地の名称とは異なる可能性(相違リスク)の有無について判定する(ステップS262;判定ステップ)。
ここで、目的地名が誤認リストに含まれる場合(ステップS262;Yes)、ステップS263に進む。
【0041】
ステップS263において、評価値算出部233は、相違リスクを示すリスク評価値を算出する。このリスク評価値を算出する方法については、後述にて説明する。
【0042】
次に、コンテンツ生成部236は、リスク評価値が予め定められた第1閾値T1以下であるか否かを判断する(ステップS264)。
リスク評価値が第1閾値T1以下である場合(ステップS264;Yes)、または、目的地名が誤認リストに含まれない場合(ステップS262;No)、経路検索部235が、出発地名および目的地名に基づいて経路検索を行い、経路情報を作成する(ステップS265)。その後、ステップS270へ進む。
一方、リスク評価値が第1閾値T1より大きい場合(ステップS264;No)、周辺情報取得部234が、対応地名が示す地点の周辺情報を取得する(ステップS266)。
【0043】
次に、コンテンツ生成部236は、リスク評価値が予め定められた第2閾値T2以下であるか否かを判断する(ステップS267)。ここで、第2閾値T2は、第1閾値T1より大きい値である。
リスク評価値が第2閾値T2以下である場合(ステップS267;Yesの場合)、ステップS265と同様、経路検索部235が、目的地名および目的地名に基づいて経路検索を行い、経路情報を作成する(ステップS268)。その後、ステップS270に進む。
一方、リスク評価値が第2閾値T2より大きい場合(ステップS267;Noの場合)、周辺情報取得部234が、目的地名が示す地点の周辺情報を取得する(ステップS269)。その後、ステップS270に進む。
【0044】
ステップS270において、コンテンツ生成部236は、目的地名が誤認リストに含まれるか否かの判定結果、および、目的地名に対応するリスク評価値と第1閾値T1および第2閾値T2との比較結果に応じて、案内コンテンツを生成し、端末装置1に送信する(コンテンツ生成ステップ)。なお、案内コンテンツの例については後述する。
以上により、サーバ装置2における案内コンテンツ生成処理のフローが終了する。
【0045】
[リスク評価値の算出例]
以下、評価値算出部233よるリスク評価値の算出方法の例について説明する。
評価値算出部233は、例えば以下の(A)~(G)のような各項目において、スコアテーブル等のスコア算出法を利用してリスク評価値を算出し、任意の項目のリスク評価値を合計した合計値が満点値に対して占める割合を、最終的なリスク評価値として算出することができる。
【0046】
(A)拠点情報
ユーザデータベース224内のユーザの拠点(職場または住居)が目的地名または対応地名が示す地点から近い場合、ユーザが目的地名または対応地名について既知である可能性が高く、相違リスクが低くなる。
例えば、評価値算出部233は、ユーザの拠点から目的地名または対応地名に対応する各地点までの距離を算出し、当該距離が所定値以下であるか否かに基づいてリスク評価値を算出することができる。
【0047】
(B)スケジュール情報
ユーザデータベース224内に場所情報を含むスケジュール情報が存在している場合、目的地名が示す地点がスケジュール情報内の場所情報が示す地点の最寄地点である場合、相違リスクが低くなる。一方、対応地名が示す地点がスケジュール情報内の場所情報が示す地点の最寄地点である場合、相違リスクが高くなる。
よって、評価値算出部233は、目的地名が示す地点または対応地名が示す地点のいずれが、スケジュール情報内の場所情報が示す地点に対する最寄地点になるかという判断に基づいて、リスク評価値を算出することができる。
【0048】
(C)属性情報
目的地名の地点属性情報とユーザ属性情報との関連性が高いほど、相違リスクが低くなり、対応地名の地点属性情報とユーザ属性情報との関連性よりも高いほど、相違リスクが高くなる。
例えば、目的地名である「青梅」の地点属性情報が「高齢層」を主な年齢層とする利用者年齢情報を含み、対応地名である「青海」の地点属性情報が「若年」を主な年齢層とする利用者年齢情報を含むと仮定する。この場合、ユーザ属性情報に含まれるユーザの年齢が若いほど、相違リスクが低くなる。
よって、評価値算出部233は、目的地名に対応する地点属性情報とユーザ属性情報との関連性を示す関連性スコアと、対応地名に対応する地点属性情報とユーザ属性情報との関連性を示す関連性スコアとをそれぞれ算出し、これらの関連性スコアの大小関係に基づいてリスク評価値を算出することができる。
なお、属性情報は、年齢に関する情報だけでなく、家族構成や職業などを利用可能である。
【0049】
(D)検索履歴
経路検索要求の直前の所定期間内にユーザが検索を行っている場合、検索履歴が相違リスクに関連することがある。具体的には、検索履歴内の検索語が目的地名と関連している場合、相違リスクが低くなるが、検索履歴内の検索語が対応地名と関連している場合、相違リスクが高くなる。ここで、「関連している」とは、例えば目的地名または対応地名が検索語に含まれる場合、目的地名または対応地名が示す地点の周辺施設名などが検索語に含まれる場合などが挙げられる。例えば、検索語が、対応地名である「青海」に対応する地点の周辺施設である「Aライブハウス」を含む場合、相違リスクが高くなる。
よって、評価値算出部233は、検索サーバ装置3のデータベースからユーザの検索履歴を取得し、当該検索履歴内の検索語と、目的地名または対応地名との関連性の有無に基づいて、リスク評価値を算出することができる。
【0050】
(E)移動履歴
経路検索要求の直前の所定期間におけるユーザの移動範囲に目的地名または対応地名が示す地点が含まれる場合、ユーザが目的地名または対応地名について既知である可能性が高く、相違リスクが低くなる。
よって、評価値算出部233は、ユーザの移動履歴に基づいて、上述の所定期間におけるユーザの移動範囲に目的地名または対応地名が示す地点が含まれるか否かを判定し、その判定結果に基づいて、リスク評価値を算出することができる。
【0051】
(F)誤認回数
目的地名に対応する誤認回数が多いほど、相違リスクは高くなる。
よって、評価値算出部233は、誤認リストから目的地名に対応する誤認回数を取得し、当該誤認回数に基づいてリスク評価値を算出することができる。
【0052】
(G)混雑度
目的地名が示す地点の混雑度が、対応地名が示す地点の混雑度に比べて高いほど、目的地名に人を呼ぶ施設やイベント等の要素が存在する可能性が高く、相違リスクは低くなる。
よって、評価値算出部233は、混雑予測サーバ4のデータベースから目的地名が対応する地点の混雑度と、対応地名が対応する地点の混雑度とをそれぞれ取得し、両者の混雑度の対比結果に基づいて、リスク評価値を算出することができる。
【0053】
評価値算出部233は、上述した任意の項目のリスク評価値を合計した合計値が満点値に対して占める割合を最終的なリスク評価値として算出できる。このとき、評価値算出部233は、ユーザ毎に設定された重みを乗じた値をリスク評価値として算出してもよい。ユーザ毎の重みは、例えば、ユーザが再検索処理を要求する頻度に基づいて設定することができる。
なお、リスク評価値を算出するための上述の各項目は例示であり、他の項目を利用してもよい。また、上述した項目のうち、データを取得可能な項目のみを利用してもよい。
【0054】
[案内コンテンツの例]
以下、コンテンツ生成部236より生成される案内コンテンツの例について説明する。なお、図8図11は、目的地名が「東京」駅または「青梅」駅である場合の案内コンテンツを例示している。
【0055】
目的地名(例えば「東京」駅)が誤認リストに含まれない場合、すなわち相違リスクがない場合、コンテンツ生成部236は、図8に示すように、経路情報を含む案内コンテンツ71を生成する。なお、案内コンテンツ71は、到着までにかかる時間、乗換回数または料金のいずれかの順序で経路情報を切り換え表示するための切換タブ等を含んでいてもよい。
【0056】
目的地名(例えば「青梅」駅)が誤認リストに含まれており、かつ、リスク評価値が第1閾値T1以下である場合、コンテンツ生成部236は、図9に示すような案内コンテンツ72を生成する。この案内コンテンツ72は、経路情報を含んでおり、また、「目的地の名称に似ている地点があります」などのコメントと共に対応地名(例えば「青海」駅)を示すテキストを含んでいる。
図9に示す案内コンテンツ72によれば、ユーザに対して、目的地の誤認に関する軽度な注意喚起を行うことができる。
【0057】
目的地名(例えば「青梅」駅)が誤認リストに含まれており、かつ、リスク評価値が第1閾値T1より大きく第2閾値T2以下である場合、コンテンツ生成部236は、図10に示すような案内コンテンツ73を生成する。
この案内コンテンツ73は、経路情報を含んでおり、また、「もしかして目的地は『青海』駅?」などのコメントと共に、対応地名(例えば「青海」駅)を示すテキストを含んでいる。さらに、案内コンテンツ73は、対応地名が示す地点の周辺地図を表示させる地図表示ボタン731、対応地名の周辺情報(周辺施設、開催中のイベント)、および、対応地名の詳細な周辺情報へのリンクボタン733,734を含んでいる。
図10に示す案内コンテンツ73によれば、ユーザに対して、目的地の誤認に関する注意喚起を、案内コンテンツ72よりも細やかに行うことができる。
【0058】
目的地名(例えば「青梅」駅)が誤認リストに含まれており、かつ、リスク評価値が第2閾値T2より大きい場合、コンテンツ生成部236は、図11に示すような案内コンテンツ74を生成する。
この案内コンテンツ74は、上述の案内コンテンツ71~73とは異なり、経路情報を含んでいない。また、案内コンテンツ74は、「あなたの目的地は?」というコメント共に、目的地名(例えば「青梅」駅)を示すテキストと、対応地名(例えば「青海」駅)を示すテキストとを含んでいる。
さらに、案内コンテンツ74は、目的地名または対応地名が示す各地点について、周辺地図を表示させる地図表示ボタン741,742、周辺情報(周辺施設、開催中のイベント)、および、詳細な周辺情報へのリンクボタン743~746を含んでいる。
図11の案内コンテンツ74によれば、ユーザに対して、目的地の誤認に関する注意喚起を強力に行うことができる。
【0059】
また、図11に示す案内コンテンツ74は、「青梅」駅または「青海」駅のいずれが意図する目的地であるか分からないユーザのために、キーワード検索欄749を含んでいる。ユーザがキーワード検索欄749に任意のキーワードを入力して検索実行すると、制御部23は、地図データベース221から当該キーワードに関する施設等の最寄駅を検索し、端末装置1に表示させる。これにより、ユーザは、目的地を確実に確認することができる。
【0060】
[再検索処理]
図9図11に示す案内コンテンツ72~74は、それぞれ、対応地名を目的地として経路を再検索することを指示する再検索ボタン721,732,747を有している。ユーザは、再検索ボタン721,732,747を選択する操作を行うことで、対応地名を目的地とする経路を簡単に検索できる。
【0061】
ユーザが経路の再検索ボタン721,732,747を操作した場合、端末装置1の制御部16は、経路の再検索要求を生成してサーバ装置2に送信する。この再検索要求は、直前の経路検索要求と同様の目的地情報(および時刻情報)を含み、かつ、対応地名を目的地として含む。
【0062】
サーバ装置2の受付部231は、通信部21を介して、端末装置1から再検索要求を受け付ける。この場合、経路検索部235は、再検索要求に従って経路を検索し、経路情報を作成する。コンテンツ生成部236は、作成された経路情報を含む再検索結果コンテンツを生成し、端末装置1に送信する。
【0063】
ここで、受付部231が再検索要求を受け付けた際、カウント部237は、誤認リストにおいて、直前の経路検索要求で目的地であった目的地名について、当該目的地名に対応する誤認回数をカウントする。
【0064】
なお、図11に示す案内コンテンツ74は、対応地名を目的地として経路を再検索することを指示する再検索ボタン747だけでなく、目的地名を目的地として経路を検索することを指示する検索ボタン748を有している。ユーザが検索ボタン748を選択する操作を行った場合、経路検索部235は、直前の経路検索要求に従って経路を検索する。
【0065】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態のサーバ装置2は、受付部231、判定部232およびコンテンツ生成部236として機能する制御部23を備える。受付部231は、端末装置1から目的地名を含む経路検索要求を受け付ける。判定部232は、互いに誤認し易い地名を対応付けて記憶している誤認リストに目的地名が含まれているか否かを判定する。そして、コンテンツ生成部236は、誤認リストに目的地名が含まれている場合、誤認リストにおいて目的地名が対応している対応地名を含む案内コンテンツを生成し、端末装置1に送信する。
【0066】
このようなサーバ装置2は、目的地名が誤認リストに含まれている場合、すなわちユーザの意図する目的地の名称とは異なる可能性がある場合、目的地名に対応する対応地名を含む案内コンテンツを端末装置1に送信することにより、ユーザに対して目的地の確認を促すことができる。これにより、ユーザが自分で入力した目的地名の誤りに気が付かないまま、提供された経路情報に従ってしまうリスクを低減できる。
【0067】
本実施形態のサーバ装置2において、制御部23は、評価値算出部233としても機能する。この評価値算出部233は、誤認リストに目的地名が含まれている場合、当該目的地名がユーザにより意図された目的地の名称とは異なる可能性(相違リスク)を示すリスク評価値を算出する。そして、コンテンツ生成部236は、目的地名に対するリスク評価値に応じて、案内コンテンツにおける対応地名の表示形式を変更する。
これにより、案内コンテンツにおいてユーザに目的地の確認を促す度合いを、リスク評価値に応じて設定できる。例えば、リスク評価値が高い場合には、確認を強く促す表示形態にすることで、ユーザが自らの意図とは異なる経路情報に従うリスクを低減できる。一方、リスク評価値が高い場合には、軽度の注意喚起を行う表示形態にすることで、ユーザの感じる煩わしさを軽減できる。
【0068】
本実施形態のサーバ装置2において、評価値算出部233は、目的地名または対応地名が示す各地点の地点情報(位置情報または属性情報など)と、ユーザのユーザ情報(ユーザの拠点情報、属性情報またはスケジュール情報など)との関連性に基づいて、評価値を算出してもよい。
また、評価値算出部233は、目的地名または対応地名と、経路検索要求の直前の所定期間内におけるユーザの行動履歴(検索履歴または移動履歴)との関連性に基づいて、リスク評価値を算出してもよい。
また、評価値算出部233は、目的地名または対応地名が示す各地点の混雑度に基づいて、リスク評価値を算出してもよい。
本実施形態において、ユーザ情報、直前の行動履歴、および、各地点の混雑度などの要素は、ユーザの意図する目的地に関連する可能性が高いため、これらの要素を用いることにより、リスク評価値を高精度で算出できる。
【0069】
また、本実施形態のサーバ装置2において、制御部23は、カウント部237としても機能する。カウント部237は、受付部231が経路検索要求を受け付けた後、案内コンテンツ内の対応地名を目的地とする検索要求を受け付けた回数(誤認回数)をカウントし、目的地名に対応付ける。そして、評価値算出部233は、目的地名に対応する誤認回数に基づいて、リスク評価値を算出してもよい。
このような構成では、案内コンテンツによって表示された対応地名で経路検索をやり直すユーザ数が多いほど、誤認回数が増加する。すなわち、誤認回数が多い目的地名は、ユーザが間違い易い地名であると言える。よって、誤認回数に基づいてリスク評価値を算出することにより、リスク評価値をより高精度で算出できる。
【0070】
本実施形態のサーバ装置2において、制御部23は、周辺情報取得部234としても機能する。周辺情報取得部234は、対応地名が示す地点の周辺情報を取得し、コンテンツ生成部236は、対応地名および周辺情報を含む案内コンテンツを生成する。
このような構成では、ユーザが対応地名の周辺情報を知ることにより、ユーザは自身の目的地をより確実に確認することができる。
特に、本実施形態では、リスク評価値が高い場合において、コンテンツ生成部236は、対応地名の周辺情報だけでなく、目的地名の周辺情報を案内コンテンツに含めている。これにより、ユーザは、両者の周辺情報を見比べることができ、自身の目的地をより確実に確認することができる。
【0071】
また、本実施形態のサーバ装置2において、制御部23は、候補リスト生成部238としても機能する。候補リスト生成部238は、端末装置1に入力されたテキストに基づいて、目的地名の候補地名を並べた候補リストを生成し、端末装置1に表示させる。そして、判定部232は、候補地名が誤認リストに含まれているか否かを判定し、評価値算出部233は、誤認リストに含まれている候補地名のリスク評価値を算出し、候補リスト生成部238は、誤認リストに含まれている候補地名について、候補リスト内の並び順をリスク評価値に基づいて決定する。
このような構成では、候補リスト内の候補地名の並び順をリスク評価値の低い順、すなわちユーザの目的地である可能性が高い順に決定することができる。これにより、ユーザが目的地を間違える可能性を低減させることができる。
【0072】
[変形例]
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲で、以下に示される変形をも含むものである。
【0073】
上記実施形態では、公共交通機関を利用した路線検索を例示して説明しているが、本発明はこれに限られず、経路検索の分野において広く利用できる。
また、上記実施形態の誤認リストでは、1つの地名に対して1つの対応地名が対応付けられているが、本発明はこれに限られない。すなわち、1つの地名に対して複数の対応地名が対応付けられていてもよい。この場合、案内コンテンツにおいて複数の対応地名を含めてもよい。
【0074】
上記実施形態において、評価値算出部233は、目的地名のリスク評価値を出力する評価モデルを生成してもよい。
例えば、評価値算出部233は、サーバ装置2が経路検索要求を受け付けた際に取得する各種情報(目的地名および対応地名、各地点の地点情報、ユーザ情報、経路検索要求の直前の所定期間内におけるユーザの行動履歴、または、目的地名に対応する誤認回数)と、対応地名を目的地とする再検索要求の有無とを、教師データとして記憶部22に記憶させる。
そして、評価値算出部233は、教師データを用いた機械学習により、サーバ装置2が経路検索要求を受け付けた際に取得する上述の各種情報を入力とし、リスク評価値を出力とする評価モデルを生成する。
このような変形例では、上述のステップS261において、サーバ装置2が経路検索要求を受け付けると、評価値算出部233は、上述の各種データを取得して評価モデルに入力することで、目的地名に対するリスク評価値を算出できる。
【0075】
上記実施形態において、候補リスト生成部238は、目的地名の候補地名を並べた候補リストを生成する際、端末装置1から送信されたテキストに対して読みまたは漢字が前方一致する地名を候補地名としているが、本発明はこれに限られない。
例えば、候補リスト生成部238は、端末装置1から送信されたテキストに対して読みまたは漢字が前方一致する地名だけでなく、誤認リストにおいて当該地名に対応する対応地名を、候補地名に含めてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1…端末装置、11…通信部、12…入力部、13…表示部、14…記憶部、15…測位部、16…制御部、2…サーバ装置(情報端末装置)、21…通信部、22…記憶部、221…地図データベース、222…時刻表データベース、223…誤認リストデータベース、224…ユーザデータベース、23…制御部、231…受付部、232…判定部、233…評価値算出部、234…周辺情報取得部、235…経路検索部、236…コンテンツ生成部、237…カウント部、238…候補リスト生成部、239…誤認リスト更新部、3…検索サーバ装置、4…混雑予測サーバ、60…経路検索ページ、61…出発地入力欄、62…目的地入力欄、63…日時指定欄、64…検索ボタン、71~74…案内コンテンツ、721,732,747…再検索ボタン、731,741,742…地図表示ボタン、749…キーワード検索欄、100…経路検索システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11