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  • 特許-高所点検装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-14
(45)【発行日】2022-10-24
(54)【発明の名称】高所点検装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 57/02 20060101AFI20221017BHJP
   B64C 27/08 20060101ALI20221017BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20221017BHJP
   G01D 21/00 20060101ALI20221017BHJP
【FI】
B62D57/02 K
B64C27/08
B64C39/02
G01D21/00 K
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019099934
(22)【出願日】2019-05-29
(65)【公開番号】P2020192903
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2021-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】岡田 聡
(72)【発明者】
【氏名】福本 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 洸介
【審査官】姫島 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-061298(JP,A)
【文献】特開2018-111986(JP,A)
【文献】特開2017-039334(JP,A)
【文献】特開昭54-146165(JP,A)
【文献】特開2018-130983(JP,A)
【文献】特開2016-203926(JP,A)
【文献】特開2016-107893(JP,A)
【文献】特開平07-081638(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 57/02
B64C 27/08
B64C 39/02
G01D 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面または壁面から高所の点検対象を点検する高所点検装置であって、
前記床面または前記壁面に吸着するための吸着手段と、
前記床面または前記壁面を走行するための走行手段と、
前記壁面を走行する際に自重を支持するための自重保持手段と、
伸縮自在なテレスコポールと、
該テレスコポールの先端に設けた撮影手段と、
前記テレスコポールを延伸する場合に前記床面または前記壁面に押し当てて前記走行手段を浮かすアウトリガと、
を有することを特徴とする、高所点検装置。
【請求項2】
請求項1に記載の高所点検装置において、
前記吸着手段は、前記床面または前記壁面に吸着する推進力を発生させるプロペラであり、
前記自重保持手段は、鉛直上向きの推進力を発生させるプロペラであることを特徴とする、高所点検装置。
【請求項3】
請求項2に記載の高所点検装置において、
前記走行手段は、車輪またはクローラであることを特徴とする高所点検装置。
【請求項4】
請求項1に記載の高所点検装置において、
前記撮影手段は、
前記点検対象を撮影するカメラユニットと、
該カメラユニットの視野のパン方向およびチルト方向を変更するパン・チルト駆動部と、
を有することを特徴とする、高所点検装置。
【請求項5】
請求項4に記載の高所点検装置において、
前記撮影手段は、前記カメラユニットと同期した方向を向く照明を有することを特徴とする、高所点検装置。
【請求項6】
請求項4に記載の高所点検装置において、
前記撮影手段は、前記カメラユニットと同期した方向を向くレーザ距離計を有することを特徴とする、高所点検装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6の何れか一項に記載の高所点検装置において、
前記吸着手段、前記走行手段、前記自重保持手段、前記テレスコポール、および、前記撮影手段は、外部のコントローラからの信号に基づいて制御されることを特徴とする、高所点検装置。
【請求項8】
請求項1から請求項6の何れか一項に記載の高所点検装置において、
前記テレスコポールは、外部のエアボンベから供給される圧縮空気に応じて伸縮するものであることを特徴とする、高所点検装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建屋や構造物等を点検する点検装置に係り、特に高所にある複雑な構造物の内部を容易に点検することができる高所点検装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高所を点検する点検装置として、特許文献1の飛行装置や、特許文献2の飛翔機が知られている。
【0003】
特許文献1の要約書には、課題として「壁面や天井面などの複雑な対象面についても姿勢を維持したまま移動する飛行装置を提供する。」と記載されており、解決手段として「姿勢計測部21は、飛行ユニット11の姿勢の変化を検出する。姿勢制御部41は、この姿勢計測部21で検出した飛行ユニット11の姿勢の変化から、この姿勢の変化が予め設定した変化許容値Lを超えたか否かを判断する。姿勢制御部41は、姿勢の変化が変化許容値Lよりも小さくなるまで飛行ユニット11の姿勢を変更する。これにより、飛行ユニット11の姿勢は、飛行する対象面17に沿って飛行姿勢の変化が変化許容値Lよりも小さくなるように維持される。そのため、飛行ユニット11は、必要以上に大きな姿勢の変化が生じない。」と記載されている。そして、このような飛行装置により、同文献の図5等に示されるように、壁面や天井面に沿って移動しながら、壁面や天井面の検査を行うことができる。
【0004】
また、特許文献2の要約書には、課題として「飛翔機が対象物の垂直な壁面に沿って安定して移動できるようにする。」と記載されており、解決手段として「飛翔機10は、飛翔機本体12と、飛翔用回転翼26と、バキューム用回転翼32とを備える。飛翔用回転翼26は、飛翔機本体12に含まれ、飛翔機本体12の上下方向を軸方向とする。バキューム用回転翼32は、飛翔機本体12の側方に配置され、飛翔機本体12の前後方向を軸方向とする。」と記載されている。そして、このような飛翔機により、同文献の図6図26等に示されるように、壁面に沿って移動しながら、壁面の検査や点検などを行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-61298号公報
【文献】特開2018-165131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の飛行装置や特許文献2の飛翔機は、それら自体が検査対象面の近傍に移動して点検等を行うものであるため、飛行装置や飛翔機が接近できない部位に対しては点検等を実施できないという問題があった。特に、内部構造が複雑なプラント内には、飛行装置等が入り込めない狭隘な空間も多々あるため、特許文献1や特許文献2の技術では、検査できない領域も多かった。
【0007】
そこで、本発明は、点検装置本体が近づけない高所構造物の近傍にカメラ等の観測装置を移動させることで、高所構造物の点検を実施することができる高所点検装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の高所点検装置は、床面または壁面から高所の点検対象を点検するものであって、前記床面または前記壁面に吸着するための吸着手段と、前記床面または前記壁面を走行するための走行手段と、前記壁面を走行する際に自重を支持するための自重保持手段と、伸縮自在なテレスコポールと、該テレスコポールの先端に設けた撮影手段と、前記テレスコポールを延伸する場合に前記床面または前記壁面に押し当てて前記走行手段を浮かすアウトリガと、を有するものとした。
【発明の効果】
【0009】
本発明の高所点検装置によれば、点検装置本体が近づけない高所構造物の近傍にカメラ等の観測装置を移動させることで、高所構造物の点検を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施例の高所点検装置の概略側面図。
図2】一実施例の高所点検装置を用いた点検作業の説明図。
図3】一実施例の高所点検装置とコントローラの接続を説明する図。
図4】一実施例の高所点検装置のコントローラの詳細構造を説明する図。
図5】一実施例の高所点検装置を用いた点検作業のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図1から図5用いて、本発明の一実施例に係る高所点検装置1の構成、及び、動作について説明する。
【0012】
まず、図1の概略側面図を用いて、本実施例の高所点検装置1の概略構造を説明する。ここに示すように、本実施例の高所点検装置1は、台車2、車輪3(走行手段)、アウトリガ4、押付プロペラ5(吸着手段)、自重保持プロペラ6(自重保持手段)、テレスコポール7、バッテリ8、を有している。
【0013】
台車2の下部には、回転駆動する複数の車輪3と、上下方向に可動する複数のアウトリガ4を備えている。そして、車輪3の夫々の回転方向を制御することで、高所点検装置1を、前進、後退、左旋回、右旋回の各方向に移動させることができ、また、アウトリガ4の夫々を床面9aに押し当てて車輪3を浮かすことで、高所点検装置1の姿勢を安定させることができる。
【0014】
また、台車2の上部には、押付プロペラ5と、自重保持プロペラ6と、テレスコポール7を備えている。押付プロペラ5は、破線で示したプロペラを回転駆動させることで、高所点検装置1を床面9aや壁面9bに押し付ける推進力F1を発生させる。自重保持プロペラ6は、高所点検装置1が壁面9b上を移動する際に、破線で示したプロペラを回転駆動させることで、高所点検装置1の垂直位置を維持する推進力F2を発生させる。なお、ここでは、主に高所点検装置1が床面9a上や壁面9b上を移動する場面での機能に着目して、押付プロペラ5や自重保持プロペラ6の名称を与えているが、高所点検装置1を所謂ドローン・マルチコプターとして運用するために両プロペラを用いても良い。
【0015】
さらに、台車2の内部には、車輪3等に電力を供給するバッテリ8、後述するコントローラ10からの指令を受信する受信機、高所点検装置1の各部を制御する制御装置等を備えている。
【0016】
なお、図1では、扁平な四角柱状の台車2の両側面に車輪3、アウトリガ4、押付プロペラ5を夫々2つずつ備えた構成(すなわち、車輪3、アウトリガ4、押付プロペラ5を4つずつ備えた構成)を例示しているが、これらの数や設置位置は適宜変更しても良い。また、図1では、高所点検装置1を移動させるために車輪3を用いているが、車輪3に代えて、クローラ(キャタピラ、無限軌道)を用いても良い。このクローラは、金属壁面上を自由に移動できる磁気クローラであっても良い。
【0017】
台車2の上部に設けたテレスコポール7は、伸縮自在なポール部7aと、ポール部7aの先端に取り付けた雲台7bと、パン(水平方向)とチルト(上下方向)の首振りの動作を行うパン・チルト駆動部7cと、ズーム機能を有するカメラユニット7dから構成されている。
【0018】
ポール部7aは、例えば、複数の異径管を入れ子状に組み合わせたものであり、後述するエアボンベ20から圧縮空気を供給することで、所望の長さに伸長させることができる。これにより、テレスコポール7の先端に設けたカメラユニット7dを所望の高さに移動させることができる。また、雲台7bとカメラユニット7dは、パン・チルト駆動部7cを介して連結されているので、カメラユニット7dの視野Vを所望の方向に向けることができる。なお、ポール部7aは、金属製であっても良いが、軽量化と剛性強化を両立させるため、樹脂製、または、カーボンファイバー製とすることが望ましい。
【0019】
ここで、ポール部7aを伸長すると、テレスコポール7のモーメントが大きくなるため、台車2の姿勢が不安定化しやすくなるとともに、テレスコポール7の先端のカメラユニット7dの視野Vもブレやすくなる惧れがある。そこで、本実施例の高所点検装置1では、ポール部7aの長さも考慮して、アウトリガ4、押付プロペラ5、自重保持プロペラ6の三者を制御し、高所点検装置1が床面9a上にあるときも、壁面9b上にあるときも、台車2の姿勢を安定させ、その結果としてカメラユニット7dの視野Vを安定させている。しかしながら、テレスコポール7を例えば12m程度まで伸長すると、上記の制御を行っても、ポール部7aの先端の揺れを十分に抑制できない場合もある。そのため、カメラユニット7dが撮影した画像に、周知のブレ補正処理を施すことでブレを除去した画像を作業者に提示することが望ましい。
【0020】
なお、図1では、雲台7b上にカメラユニット7dのみを設置した構成を例示しているが、カメラユニット7dと同期した方向を向く、照明7eやレーザ距離計7fを雲台7b上に設置しても良い。カメラユニット7dの近傍に照明7eを設置すれば、暗所であっても撮影が可能となり、また、カメラユニット7dの近傍にレーザ距離計7fを設置すれば、カメラユニット7dと撮影対象の距離を演算できるので、カメラユニット7dが撮影した映像中の傷の大きさ等を演算して作業者に通知することができる。
【0021】
次に、図2を用いて、作業者が高所点検装置1を遠隔操作して、建屋の廃棄物保管室内の点検対象である、床面9a、壁面9b、高所の構造物9c(棚やキャビネットの内部のような隘路状部)の夫々の、ひび割れや破損等を点検している様子を説明する。なお、図2では、アウトリガ4、押付プロペラ5、自重保持プロペラ6等の図示を省略しているが、各々は状況に応じて適宜稼働しているものとする。
【0022】
高所点検装置1aは、廃棄物保管室の床面9aを点検する様子を示している。ここに示すように、床面9a上の高所点検装置1aがテレスコポール7を収納した形態でカメラユニット7dを床面9aに向けることで、作業者は床面9aを点検することができる。
【0023】
高所点検装置1bは、廃棄物保管室の壁面9bを点検する様子を示している。ここに示すように、壁面9b上の高所点検装置1bがテレスコポール7を収納した形態でカメラユニット7dを床面9aに向けることで、作業者は壁面9bを点検することができる。なお、図示していないが、高所点検装置1bでは、自重保持プロペラ6を稼働させることで、鉛直上向きに推進力F2を発生させて自重を支持している。
【0024】
高所点検装置1aや高所点検装置1bのように、テレスコポール7を収納した形態であるときは、テレスコポール7のモーメントが小さく、台車2の姿勢は比較的安定しているので、アウトリガ4や押付プロペラ5の稼働を省略しても良い。
【0025】
高所点検装置1cは、廃棄物保管室の構造物9cの内部を床面9a側から点検する様子を示している。ここに示すように、床面9a上の高所点検装置1cがテレスコポール7を延伸した形態でカメラユニット7dを構造物9cに向けることで、作業者は構造物9cの内部を点検することができる。
【0026】
高所点検装置1dは、廃棄物保管室の構造物9cの内部を壁面9b側から点検する様子を示している。ここに示すように、壁面9b上の高所点検装置1dがテレスコポール7を延伸した形態でカメラユニット7dを構造物9cに向けることで、作業者は構造物9cの内部を点検することができる。
【0027】
高所点検装置1cや高所点検装置1dのように、テレスコポール7を延伸した形態であるときは、テレスコポール7のモーメントが大きく、台車2の姿勢は不安定化するので、押付プロペラ5の稼働は必須である。特に、高所点検装置1dでは、水平状態のテレスコポール7には鉛直下向き方向の大きなモーメントが発生するため、これに対抗すべく、高所点検装置1bに比べ、押付プロペラ5と自重保持プロペラ6の回転数を高め、より大きな推進力F1、F2が得られるようにする。
【0028】
なお、床面9a、壁面9b、構造物9cを点検する順番は特に限定しないが、まず、床面9a上での点検を実行し、次に、壁面9b上での点検を実行することが望ましい。この場合には、例えば、高所点検装置1a、高所点検装置1c、高所点検装置1b、高所点検装置1dの順で、廃棄物保管室内を点検すれば良い。
【0029】
次に、図3を用いて、高所点検装置1を遠隔操作する際に作業者が用いるコントローラ10の詳細を説明する。図3は、高所点検装置1が備える各機器と、コントローラ10の各部の接続を示している。高所点検装置1とコントローラ10は、信号授受に関しては無線通信(破線矢印)により接続されている。また、高所点検装置1のアウトリガ4とポール部7aはエアボンベ20から供給される空圧により制御されるため、高所点検装置1とコントローラ10は、エアホース21でも接続されている。
【0030】
このコントローラ10には、カメラユニット7dに関連するものとして、モニタ11、レコーダ12、カメラコントローラ13、スイッチ14が設置されている。モニタ11は、カメラユニット7dが撮影した画像を表示する液晶ディスプレイ等であり、レコーダ12は、モニタ11に表示された画像を記録する映像記録装置である。また、カメラコントローラ13は、パン・チルト駆動部7cに指令を送り、カメラユニット7dの視野Vのパン方向、チルト方向を変更したり、カメラユニット7dに指令を送り、撮影画像のズームを変更したりするコントローラである。スイッチ14は、照明7eのオンオフを切り替えるものである。なお、照明7eは、カメラユニット7dと同一方向を照射できる様に、カメラコントローラ13の操作と同期して向きを変えるように構成されている。
【0031】
また、コントローラ10には、スイッチ15~17、エアスイッチ18、19も設置されている。スイッチ15は車輪3を制御するものである。スイッチ16は押付プロペラ5を制御するものである。スイッチ17は自重保持プロペラ6を制御するものである。エアスイッチ18はアウトリガ4を制御するものである。エアスイッチ19はポール部7aを制御するものである。
【0032】
図2の高所点検装置1cのように、床面9aから高所の構造物9cを点検する場合、高所点検装置1を所定の位置に移動させてから、テレスコポール7を所望の長さに延伸するとともに、高所点検装置1を床面9aに押付けて姿勢を固定する必要がある。そのため、スイッチ15を操作して車輪3で床面9a上を移動させ、所望の位置に到着後、エアスイッチ19を操作してポール部7aを所望の高さまで延伸させるとともに、スイッチ16を操作して押付プロペラ5を駆動し床面9aと反対方向に推力F1を発生させることで、高所点検装置1を床面9aに密着させる。このとき、エアスイッチ18を操作して、アウトリガ4を床面9aに押し当て車輪3を浮かせれば、高所点検装置1の姿勢を更に安定させることができる。
【0033】
また、図2の高所点検装置1dのように、壁面9bから高所の構造物9cを点検する場合、高所点検装置1を所定の位置に移動させてから、テレスコポール7を所望の長さに延伸するとともに、高所点検装置1を壁面9bに押付けて姿勢を固定する必要がある。そのため、スイッチ16を操作して押付プロペラ5を駆動し壁面9bと反対方向に推力F1を発生させることで、高所点検装置1を壁面9bに密着させるとともに、スイッチ17を操作して自重保持プロペラ6で上向きの推進力F2を発生させる。その上で、スイッチ15を操作して車輪3で壁面9bを移動する。そして、所望の位置に到着後、エアスイッチ19を操作してポール部7aを所望の長さまで延伸させる。
【0034】
図4は、本実施例のコントローラ10の詳細構造の一例を説明する図である。ここに示すように、コントローラ10はアンテナ10aを有しており、これを通して、高所点検装置1との間で信号を送受信する。このコントローラ10は、バッテリ駆動となっており、電源スイッチ10bで電源投入し、インジケータ10cで電源投入を確認し、制御を開始する。
【0035】
また、コントローラ10の左側には、図3のスイッチ15に相当するジョイスティックが設けられている。これを操作することで、高所点検装置1を、前進、後退、右旋回、左旋回させることができる。
【0036】
コントローラ10の中央には、図3のスイッチ16に相当するレバーが設けられている。高所点検装置1を床面9aや壁面9bに吸着させたい場合は、レバーを「吸着」方向に倒し、高所点検装置1を床面9aや壁面9bから離脱させたい場合は、レバーを「離脱」方向に倒す。これにより、押付プロペラ5で吸着方向の推進力F1を発生させたり、離脱方向の推進力F1を発生させたりすることができる。
【0037】
コントローラ10の下部には、図3のエアスイッチ19に相当するレバーが設けられている。ポール部7aを伸ばしたい場合はレバーを「延伸」方向に倒し、ポール部7aを縮めたい場合はレバーを「収縮」方向に倒す。これにより、テレスコポール7を所望の長さにすることができ、カメラユニット7dを点検箇所に接近させることができる。
【0038】
コントローラ10の右側には、図3のカメラコントローラ13に相当するジョイスティック13a、レバー13bが設けられている。このジョイスティック13aによりパン・チルト駆動部43を制御することで、カメラユニット7dを所望の方向に向けることができる。また、レバー13bによりカメラユニット7dのズームを制御することで、撮影画像を点検しやすい画角に調整することができる。なお、図4では、省略しているが、コントローラ10には、図3のエアスイッチ18に相当するレバーも設置されている。
【0039】
図5は、本実施例の高所点検装置1による点検作業フローを説明する図である。点作業を開始後、電源類を投入するシステム起動(S1)を実施する。初めは点検完了のチェック(S2)は実施せず、初めの固定位置移動(S4)を行う。そこで、固定プロペラを駆動(S5)し、位置を固定する。そこで、テレスコポールを延伸(S6)し、点検箇所にカメラを近づけ、到着したかどうかを判断する(S7)。到達していなければ、さらにテレスコポールを延伸(S6)、判断を繰り返す(S7)。点検箇所に到達した場合、点検を実施する(S8)。その後、点検装置本体は同一位置として、テレスコポールの長さを変えた点検が必要かどうかを判断(S9)し、不用であれば、テレスコポールを収縮後、点検完了の判断をする(S2)。完了した場合は、点検作業は終了(S3)となり、完了していなければ、再度、固定位置移動(S4)を行う。また、S9で、テレスコポールの長さを変えた点検が必要と判断した場合、S6に戻り、テレスコポールの長さを変える。
【0040】
以上で説明した本実施例の高所点検装置によれば、点検装置本体が近づけない高所構造物の近傍にカメラ等の観測装置を移動させることで、高所構造物の点検を実施することができる。
【符号の説明】
【0041】
1、1a~1d 高所点検装置
2 台車
3 車輪
4 アウトリガ
5 押付プロペラ
6 自重保持プロペラ
7 テレスコポール
7a ポール部
7b 雲台
7c パン・チルト駆動部
7d カメラユニット
7e 照明
7f レーザ距離計
8 バッテリ
9a 床面
9b 壁面
9c 構造物
10 コントローラ
10a アンテナ
10b 電源スイッチ
10c インジケータ
10d
11 モニタ
12 レコーダ
13 カメラコントローラ
13a ジョイスティック
13b レバー
14~17 スイッチ
18、19 エアスイッチ
20 エアボンベ
21 エアホース
図1
図2
図3
図4
図5