(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-14
(45)【発行日】2022-10-24
(54)【発明の名称】決済サーバ、プログラム、及び決済処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/08 20120101AFI20221017BHJP
【FI】
G06Q20/08 302
(21)【出願番号】P 2019175858
(22)【出願日】2019-09-26
【審査請求日】2021-03-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】593022629
【氏名又は名称】株式会社ジェーシービー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】間下 公照
(72)【発明者】
【氏名】堀口 智也
【審査官】小山 和俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-109565(JP,A)
【文献】特開2002-197397(JP,A)
【文献】国際公開第2018/209357(WO,A1)
【文献】特開2002-318968(JP,A)
【文献】特表2020-520013(JP,A)
【文献】特開2001-306962(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支払人と受取人との間の売買取引の支払いの決済を行う決済事業者の決済サーバであって、
前記支払いに利用可能な複数の決済方法を示す決済方法出力情報を記憶する出力情報記憶部を参照して、前記複数の決済方法から前記支払人が採用する決済方法を前記支払人に選択させるために、当該決済方法出力情報を前記支払人の支払人装置に送信する送信部と、
前記支払人装置から、前記支払人が採用する決済方法の選択を受け付ける受付部と、
前記受け付けられた決済方法が前記支払いの支払元口座を第2銀行の第2口座と指定する銀行振込を行う方法であり、かつ前記第2銀行と、前記支払いの支払先口座に指定されている第1口座を保有する第1銀行と、が異なる場合、前記支払先口座を前記決済事業者が保有する前記第2銀行の回収口座に設定し、前記第2銀行の第2銀行サーバに対して、前記第2口座から前記回収口座への前記支払いのための支払金額の振込処理を指示する決済処理部と、
前記振込処理の指示があった際に、前記第2銀行サーバに対して前記回収口座の口座情報の参照を指示して前記回収口座への前記支払金額の入金を検出する検出部と、
前記検出部により前記回収口座への前記支払金額の入金が検出された場合に、前記第1銀行の第1銀行サーバに対して、前記決済事業者が保有する前記第1銀行の立替口座から前記第1口座への前記支払金額の振込処理を指示する支払先振込部と、を備える、
決済サーバ。
【請求項2】
支払人と受取人との間の売買取引の支払いの決済を行う決済事業者の決済サーバであっ
て、
前記支払いに利用可能な複数の決済方法を示す決済方法出力情報を記憶する出力情報記憶部を参照して、前記複数の決済方法から前記支払人が採用する決済方法を前記支払人に選択させるために、当該決済方法出力情報を前記支払人の支払人装置に送信する送信部と、
前記支払人装置から、前記支払人が採用する決済方法の選択を受け付ける受付部と、
前記受け付けた決済方法を用いる場合に前記支払いの支払先口座に指定されている第1口座
への前記支払いのための支払金額の入金までにかかる入金所要期間が所定の期間を超過するか否かを判定する期間判定部と、
前記第1口座を保有する第1銀行の第1銀行サーバに対して、前記入金所要期間が前記所定の期間を超過する場合、前記決済事業者が保有する前記第1銀行の立替口座から前記第1口座への前記支払金額の振込処理を指示する支払先振込部と、
前記入金所要期間が前記所定の期間を超過する場合、前記支払先口座を前記決済事業者が保有する口座に設定して、前記受け付けた決済方法による前記決済のための処理を行う決済処理部と、を備える、
決済サーバ。
【請求項3】
前記検出部は、前記支払先振込部により前記第1口座への前記支払金額の振込処理の指示があった際に、前記第1銀行サーバに対して前記第1口座の口座情報の参照を指示して前記第1口座への前記支払金額の入金を検出し、
前記決済サーバは、
前記受取人の受取人装置から、前記支払先口座を前記第1口座に指定する旨を含む前記支払いの請求を示す請求情報を取得する取得部と、
前記請求情報と、前記検出部が検出した前記第1口座への前記支払金額の入金を示す入金情報とに基づいて、前記支払いの請求に対する前記支払いの状況を判定する状況判定部と、
前記判定の結果を出力するための支払状況出力情報を生成する出力情報生成部と、をさらに備え、
前記送信部は、前記支払状況出力情報を前記受取人装置に送信する、
請求項1に記載の決済サーバ。
【請求項4】
前記出力情報生成部は、前記複数の決済方法を示す決済方法情報を記憶する決済方法記憶部を参照して、前記請求情報に基づいて、前記決済方法出力情報を生成し前記出力情報記憶部に記憶する、
請求項
3に記載の決済サーバ。
【請求項5】
前記請求情報と前記決済方法出力情報とに基づいて、当該決済方法出力情報を出力させるためのリンク情報を含む前記支払いの請求のための請求書データを生成する請求生成部をさらに備え、
前記送信部は、前記請求書データを前記支払人装置に送信する、
請求項
4に記載の決済サーバ。
【請求項6】
前記請求情報は、前記受取人の指定により支払いの決済方法を限定する決済方法限定情報を含み、
前記出力情報生成部は、前記決済方法限定情報に基づいて、前記受取人により指定された決済方法に限定した前記決済方法出力情報を生成する、
請求項
3から
5のいずれか一項に記載の決済サーバ。
【請求項7】
前記受付部は、前記支払人装置から、前記支払いに当てるための貸付の申し込みを受け付け、
前記支払人に対する与信の結果を示す与信情報を記憶する与信情報記憶部を参照して、前記受け付けた貸付の申し込みを示す申し込み情報に基づいて、前記支払金額内の貸付限度額を決定する限度額決定部と、
前記貸付限度額に基づく貸付契約を示す契約情報を出力し、前記貸付契約に前記支払人が同意する指定をするための貸付契約出力情報を生成する契約生成部と、
前記貸付契約出力情報を前記支払人装置に送信する契約送信部と、
前記支払人装置から、前記貸付契約出力情報により出力された前記貸付契約に対して、前記支払人が同意する指定を受け付ける同意受付部と、
前記受け付けた前記支払人の同意を示す同意情報に基づいて、前記支払人が保有する口座に、前記貸付限度額の範囲内で金銭を振り込む貸付処理部と、をさらに備える、
請求項1から6のいずれか一項に記載の決済サーバ。
【請求項8】
支払人と受取人との間の売買取引の支払いの決済を行う決済事業者のコンピュータに、
前記支払いに利用可能な複数の決済方法を示す決済方法出力情報を記憶する出力情報記憶機能を参照して、前記複数の決済方法から前記支払人が採用する決済方法を前記支払人に選択させるために、当該決済方法出力情報を前記支払人の支払人装置に送信する送信機能と、
前記支払人装置から、前記支払人が採用する決済方法の選択を受け付ける受付機能と、
前記受け付けられた決済方法が前記支払いの支払元口座を第2銀行の第2口座と指定する銀行振込を行う方法であり、かつ前記第2銀行と、前記支払いの支払先口座に指定されている第1口座を保有する第1銀行と、が異なる場合、前記支払先口座を前記決済事業者が保有する前記第2銀行の回収口座に設定し、前記第2銀行の第2銀行サーバに対して、前記第2口座から前記回収口座への前記支払いのための支払金額の振込処理を指示する決済処理機能と、
前記振込処理の指示があった際に、前記第2銀行サーバに対して前記回収口座の口座情報の参照を指示して前記回収口座への前記支払金額の入金を検出する検出機能と、
前記検出機能により前記回収口座への前記支払金額の入金が検出された場合に、前記第1銀行の第1銀行サーバに対して、前記決済事業者が保有する前記第1銀行の立替口座から前記第1口座への前記支払金額の振込処理を指示する支払先振込機能と、を実現させる、
プログラム。
【請求項9】
支払人と受取人との間の売買取引の支払いの決済を行う決済事業者のコンピュータが、
前記支払いに利用可能な複数の決済方法を示す決済方法出力情報を記憶する出力情報記憶部を参照して、前記複数の決済方法から前記支払人が採用する決済方法を前記支払人に選択させるために、当該決済方法出力情報を前記支払人の支払人装置に送信し、
前記支払人装置から、前記支払人が採用する決済方法の選択を受け付け、
前記受け付けられた決済方法が前記支払いの支払元口座を第2銀行の第2口座と指定する銀行振込を行う方法であり、かつ前記第2銀行と、前記支払いの支払先口座に指定されている第1口座を保有する第1銀行と、が異なる場合、前記支払先口座を前記決済事業者が保有する前記第2銀行の回収口座に設定し、
前記第2銀行の第2銀行サーバに対して、前記第2口座から前記回収口座への前記支払いのための支払金額の振込処理を指示し、
前記振込処理の指示があった際に、前記第2銀行サーバに対して前記回収口座の口座情報の参照を指示して前記回収口座への前記支払金額の入金を検出し、
前記回収口座への前記支払金額の入金が検出された場合に、前記第1銀行の第1銀行サーバに対して、前記決済事業者が保有する前記第1銀行の立替口座から前記第1口座への前記支払金額の振込処理を指示する、
決済処理方法。
【請求項10】
支払人と受取人との間の売買取引の支払いの決済を行う決済事業者のコンピュータに、
前記支払いに利用可能な複数の決済方法を示す決済方法出力情報を記憶する出力情報記憶部を参照して、前記複数の決済方法から前記支払人が採用する決済方法を前記支払人に選択させるために、当該決済方法出力情報を前記支払人の支払人装置に送信する送信機能と、
前記支払人装置から、前記支払人が採用する決済方法の選択を受け付ける受付機能と、
前記受け付けた決済方法を用いる場合に前記支払いの支払先口座に指定されている第1口座
への前記支払いのための支払金額の入金までにかかる入金所要期間が所定の期間を超過するか否かを判定する期間判定機能と、
前記第1口座を保有する第1銀行の第1銀行サーバに対して、前記入金所要期間が前記所定の期間を超過する場合、前記決済事業者が保有する前記第1銀行の立替口座から前記第1口座への前記支払金額の振込処理を指示する支払先振込機能と、
前記入金所要期間が前記所定の期間を超過する場合、前記支払先口座を前記決済事業者が保有する口座に設定して、前記受け付けた決済方法による前記決済のための処理を行う決済処理機能と、を実現させる、
プログラム。
【請求項11】
支払人と受取人との間の売買取引の支払いの決済を行う決済事業者のコンピュータが、
前記支払いに利用可能な複数の決済方法を示す決済方法出力情報を記憶する出力情報記憶部を参照して、前記複数の決済方法から前記支払人が採用する決済方法を前記支払人に選択させるために、当該決済方法出力情報を前記支払人の支払人装置に送信し、
前記支払人装置から、前記支払人が採用する決済方法の選択を受け付け、
前記受け付けた決済方法を用いる場合に前記支払いの支払先口座に指定されている第1口座への前記支払いのための支払金額の入金までにかかる入金所要期間が所定の期間を超過するか否かを判定し、
前記第1口座を保有する第1銀行の第1銀行サーバに対して、前記入金所要期間が前記所定の期間を超過する場合、前記決済事業者が保有する前記第1銀行の立替口座から前記第1口座への前記支払金額の振込処理を指示し、
前記入金所要期間が前記所定の期間を超過する場合、前記支払先口座を前記決済事業者が保有する口座に設定して、前記受け付けた決済方法による前記決済のための処理を行う、
決済処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、決済サーバ、プログラム、及び決済処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
事業者間の売買取引の決済において、様々な決済方法を提供するマルチ決済サービスが存在する。このようなマルチ決済サービスでは、支払人は、提示された利用可能な複数の決済方法から自身に都合のよい決済方法を選択する。そして、このように選択された決済方法で売買取引の決済が行われる。下記特許文献1には、クレジットカード決済プラグイン、電子マネー決済プラグイン、コンビニ支払い決済プラグイン等の決済手段からユーザが1以上の決済手段を選択できるマルチ決済装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マルチ決済サービスにおいては、支払人が選択した決済方法によっては、コスト又は効率化等の観点から、受取人にとって必ずしも都合のよい方法ではないという課題がある。例えば、支払人が選択した決済方法がクレジットカード決済等の場合、現金支払等と比べて、支払人にとってはキャッシュアウトの時期を遅らせることができるが、受取人にとってはキャッシュインの時期が遅くなり資金化までに時間がかかってしまう可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題を解決するため、複数の決済方法から支払人が採用する決済方法を選択できるマルチ決済サービスにおいて、早期に受取人の口座に入金させることができる決済サーバ、プログラム、及び決済処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る決済サーバは、支払人と受取人との間の売買取引の支払いの決済を行う決済事業者の決済サーバであって、支払いに利用可能な複数の決済方法を示す決済方法出力情報を記憶する出力情報記憶部を参照して、複数の決済方法から支払人が採用する決済方法を支払人に選択させるために、当該決済方法出力情報を支払人の支払人装置に送信する送信部と、支払人装置から、支払人が採用する決済方法の選択を受け付ける受付部と、受け付けた決済方法が所定の条件を満たした場合、受取人から支払いの支払先口座に指定されている第1口座を保有する第1銀行の第1銀行サーバに対して、決済事業者が保有する第1銀行の立替口座から第1口座への支払いのための支払金額の振込処理を指示する支払先振込部と、受け付けた決済方法が所定の条件を満たした場合、支払先口座を決済事業者が保有する口座に設定して、受け付けた決済方法による決済のための処理を行う決済処理部と、を備える。
【0007】
本発明の一態様に係るプログラムは、支払人と受取人との間の売買取引の支払いの決済を行う決済事業者のコンピュータに、支払いに利用可能な複数の決済方法を示す決済方法出力情報を記憶する出力情報記憶機能を参照して、複数の決済方法から支払人が採用する決済方法を支払人に選択させるために、当該決済方法出力情報を支払人の支払人装置に送信する送信機能と、支払人装置から、支払人が採用する決済方法の選択を受け付ける受付機能と、受け付けた決済方法が所定の条件を満たした場合、受取人から支払いの支払先口座に指定されている第1口座を保有する第1銀行の第1銀行サーバに対して、決済事業者が保有する第1銀行の立替口座から第1口座への支払いのための支払金額の振込処理を指示する振込機能と、受け付けた決済方法が所定の条件を満たした場合、支払先口座を決済事業者が保有する口座に設定して、受け付けた決済方法による決済のための処理を行う決済機能と、を実現させる。
【0008】
本発明の一態様に係る決済処理方法は、支払人と受取人との間の売買取引の支払いの決済を行う決済事業者のコンピュータが、支払いに利用可能な複数の決済方法を示す決済方法出力情報を記憶する出力情報記憶部を参照して、複数の決済方法から支払人が採用する決済方法を支払人に選択させるために、当該決済方法出力情報を支払人の支払人装置に送信し、支払人装置から、支払人が採用する決済方法の選択を受け付け、受け付けた決済方法が所定の条件を満たした場合、受取人から支払いの支払先口座に指定されている第1口座を保有する第1銀行の第1銀行サーバに対して、決済事業者が保有する第1銀行の立替口座から第1口座への支払いのための支払金額の振込処理を指示し、受け付けた決済方法が所定の条件を満たした場合、支払先口座を決済事業者が保有する口座に設定して、受け付けた決済方法による決済のための処理を行う。
【0009】
上記の態様によれば、支払人が選択した決済方法に応じて、受取人の口座と同一銀行内の決済事業者の口座を利用して、受取人の口座に支払金額を同一銀行内の銀行振込により入金させることができる。これにより、早期に受取人の口座に入金させることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の決済方法から支払人が採用する決済方法を選択できるマルチ決済サービスにおいて、早期に受取人の口座に入金させることができる決済サーバ、プログラム、及び決済処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態に係る決済システムのシステム構成例を説明するための図である。
【
図2】第1実施形態に係る決済システムの概要の一例を説明するための図である。
【
図3】第1実施形態に係る決済システムの概要の一例を説明するための図である。
【
図4】第1実施形態に係る決済サーバの機能構成の一例を示す図である。
【
図5】第1実施形態に係る決済システムの画面例を示す図である。
【
図6】第1実施形態に係る決済システムの画面例を示す図である。
【
図7】第1実施形態に係る決済システムの画面例を示す図である。
【
図8】第1実施形態に係る決済サーバの動作例を示す図である。
【
図9】第1実施形態に係る決済サーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図10】第2実施形態に係る決済サーバの機能構成の一例を示す図である。
【
図11】第2実施形態に係る決済システムの画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0013】
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態について説明する。本実施形態では、B2B(事業者間)の売買取引の支払い(以下、単に「支払い」ともいう)の決済において、複数の決済方法を提供するいわゆるマルチ決済サービスを利用する例を説明するが、これに限る趣旨ではない。本実施形態に係る決済システムは、C2C(個人間取引)やC2B、B2C(事業者-個人間取引)における売買取引の支払いの決済にも用いることができる。なお、本実施形態では、売買取引において、代金を支払う事業者を「支払人」といい、代金を受け取る事業者を「受取人」という。
【0014】
本実施形態では、受取人は第1銀行の第1口座を保有し、支払人は第2銀行の第2口座を保有する。また、本実施形態では、受取人は第1口座を支払いの決済の支払先口座に指定し、支払人は第2口座を支払いの決済の支払元口座に指定してもよい。また、本実施形態において、決済事業者が保有する受取人への支払いを立て替えるための立替口座は第1銀行の口座であり、決済事業者が保有する支払人から支払いの支払金額を回収するための回収口座は第2銀行の口座である。
【0015】
本実施形態に係る決済事業者(以下、単に「決済事業者」という)は、支払いの決済においてマルチ決済サービスを提供する事業者である。決済事業者は、例えば、取引の決済の行う業者(例えば、PSP(Payment Service Provider))等である。また、決済事業者は、決済指示サービス提供者(PISP(Payment Initiation Service Provider))として、上記支払人の決済方法の選択に応じて、銀行等の金融機関に対して決済や資金移動を指示するサービスも提供するものとする。また、決済事業者は、口座情報サービス提供者(Account Information Service Provider)として、銀行等の金融機関から口座情報を取得して受取人等に提示するサービスも提供するものとする。
【0016】
「口座情報」とは、銀行の各口座を管理するための情報である。口座情報は、例えば、対象の銀行を識別するための「銀行ID」、支払人又は受取人が有する口座を識別するための「口座ID」、口座に入金されている総額等の口座残高を示す「口座残高」又は口座を利用した取引の内容を示す「取引内容」等を含む。取引内容は、例えば、入出金履歴を示す「入出金履歴」を含む。入出金履歴は、例えば、各入出金を識別するための「入出金ID」、入出金の際に利用した銀行カードのIDやクレジットカードの引き落としにおけるクレジットカード会社等の入出金の相手方を示すID等を示す「取引先ID」、入出金された日時を示す「入出金日時」、口座に入金された金額を示す「入金額」又は口座から出金された金額を示す「出金額」等を含む。
【0017】
<1.システム構成>
図1を参照して、本実施形態に係る決済システム1のシステム構成例を説明する。
【0018】
決済システム1は、決済事業者がマルチ決済サービスを提供するためのシステムである。
図1に示すように、決済システム1は、決済事業者の決済サーバ100と、受取人が使用する受取人装置200と、支払人が使用する支払人装置300とを含む。また、受取人装置200と、支払人装置300とは、特に区別の必要が無い場合は、総称して「ユーザ装置」という。
【0019】
決済サーバ100とユーザ装置とは、ネットワークNを介して互いに接続されている。また、決済サーバ100は、銀行の口座を利用した決済を行うため、ネットワークNを介して第1銀行の第1銀行サーバ400aと第2銀行の第2銀行サーバ400bとに接続されている。また、第1銀行サーバ400aと第2銀行サーバ400bとは、特に区別の必要が無い場合は、総称して「銀行サーバ400」という。また、決済サーバ100は、ネットワークNを介して、受取人又は支払人が利用する会計システム、又はクレジットカードシステムや銀行システム等の各種決済方法による決済サービスを提供する外部システムと接続されてもよい。
【0020】
ネットワークNは、無線ネットワークや有線ネットワークにより構成される。ネットワークの一例としては、携帯電話網や、PHS(Personal Handy-phone System)網、無線LAN(Local Area Network)、3G(3rd Generation)、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、5G(5th Generation)、WiMax(登録商標)、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)、有線LAN、電話線、電灯線ネットワーク、IEEE1394等に準拠したネットワークがある。
【0021】
決済サーバ100は、ユーザ装置や銀行サーバとの通信が可能な情報処理装置である。決済サーバ100は、所定のプログラムを実行することにより、ユーザ装置等と連携して決済に関する情報(例えば、請求情報等)を管理し、クレジットカード決済やカードレス払い、第1銀行と第2銀行との間の銀行振込等による決済のための処理を制御するサーバ機能を実現する。なお、決済サーバ100は、
図1において、説明を簡単にするために1台のみ図示しているが、複数台設けてもよい。
【0022】
「請求情報」とは、売買取引における支払いの請求を示す情報である。請求情報は、例えば、支払対象の取引を識別するための「取引ID」、支払対象の「サービス名」又は「商品名」、支払対象の取引において支払う金額を示す「支払金額」、支払先口座を指定するための「支払先口座指定」等を含む。支払先口座指定は、例えば、支払先口座を第1口座に指定する旨を含んでもよい。また、請求情報は、受取人の指定により支払いの決済方法を限定する、すなわち、支払人が利用可能な決済方法を限定する決済方法限定情報を含んでもよい。決済方法限定情報は、例えば、受取人が銀行振込による支払い決済のみに限定するよう決済方法を指定した場合、支払人が利用可能な決済方法は銀行振込のみとなる。
【0023】
決済サーバ100は、決済システム1専用のハードウェアやOS等(例えば、オンプレミス型のサーバ構成)を設けてもよいし、クラウドサーバによるSaaS(Software as a Service)、Paas(Platform as a Service)、IaaS(Infrastructure as a Service)を適宜用いてもよい。
【0024】
受取人装置200は、受取人からの売買取引における支払いの請求(以下、単に「支払請求」という)の指示の受け付け等の入力や受取人の保有する第1銀行の第1口座への入金等の通知の出力、決済サーバ100との通信が可能な情報処理装置である。受取人装置200は、受取人が使用する販売管理機能や会計管理機能を備えるERP等の業務システムを制御するサーバ装置であってもよいし、受取人の従業員が使用するスマートフォンやラップトップ等の端末装置であってもよい。受取人装置200は、所定のプログラムを実行することにより、決済サーバ100と連携して支払請求の指示に関する情報を送受信したり、入金に関する画面を表示したり、受取人の指示を受け付けたりする。
【0025】
支払人装置300は、支払人からの売買取引における支払いの決済方法の選択の受け付け等の入力や支払人の保有する第2銀行の第2口座からの出金等の通知の出力、決済サーバ100との通信が可能な情報処理装置である。支払人装置300は、支払人が使用する販売管理機能を備えるERP等の業務システムを制御するサーバ装置であってもよいし、支払人の従業員が使用するスマートフォンやラップトップ等の端末装置であってもよい。支払人装置300は、所定のプログラムを実行することにより、決済サーバ100と連携して支払請求に関する情報や決済方法に関する情報を送受信したり、出金に関する画面を表示したり、支払人の選択を受け付けたりする。
【0026】
銀行サーバ400は、銀行口座の口座情報を管理し、当該口座に対する振込処理や参照処理を行う銀行システムのサーバである。銀行サーバ400は、上記振込処理等に関するサービスを提供するために決済サーバ100と連携する。
【0027】
銀行サーバ400は、例えば、それぞれの銀行が提供する銀行APIを実装していてもよい。なお、銀行サーバ400は、銀行APIを実装していることに限定されず、外部から利用できる、支払い決済のための資金移動や口座情報を取得するための何らかのインタフェースが備わっていればどのような態様でもよい。
【0028】
「銀行API(Application Programming Interface)」とは、資金移動や残高照会等、既存機能を個別にサービス化して、外部のアプリケーションから利用するために、ソフトウェアコンポーネントが互いにやり取りするために使用するインタフェースである。銀行APIには、「更新系API」と「参照系API」とが含まれる。「更新系API」は、銀行口座の振込・振替等の資金移動のためのAPIであり、「参照系API」は、銀行口座の残高照会等の口座情報を取得するためのAPIである。
【0029】
<2.概要>
図2及び
図3を参照して、決済システム1の概要の一例を説明する。
図2及び
図3において、太枠で囲ったボックスは、
図4に示す決済サーバ100の各機能部を表す。本例では、サプライヤーとバイヤーとの間の売買取引における支払いの決済を例に説明する。サプライヤーは受取人の一態様であり、バイヤーは支払人の一態様である。なお、本例では、(A)バイヤーが自身の第2銀行の第2口座を支払元口座に指定して銀行振込を選択して決済を行う場合、(B)バイヤーがクレジットカード決済を選択して決済を行う場合、という2つの場面に分けて決済システム1の概要を説明する。
【0030】
まず、上記(A)の場面について説明する。(1)
図2に示すように、サプライヤーは、売買取引における支払請求(以下、単に「支払請求」ともいう)を行うため、受取人装置200の連携部から請求情報を決済サーバ100に送信する。この連携部は、例えば、支払請求を決済サーバ100に連携するために、販売管理機能を備えるERPシステムから請求情報を取得して、決済サーバ100に送信してもよい。なお、請求情報の取得元は、上記のERPシステムに限定されず、売買取引における支払いを管理する様々な機能やシステム等が考えられる。また、上記の連携部は、請求情報取得のトリガーに関して、例えば、サプライヤーから支払請求を指示する入力を受け付けてもよい。また、上記の連携部は、請求情報取得のトリガーに関して、他の例として、支払請求を示すリクエストを上記のERP等の業務システムから受信してもよい。なお、この連携部は、受取人装置200にインストールされた決済システム1のプラグインの機能部であってもよい。(2)決済サーバ100の取得部113は、受取人装置200から送信された請求情報を取得する。
【0031】
(3-1)決済サーバ100の出力情報生成部114は、決済方法出力情報を記憶する決済方法記憶部142を参照して、請求情報に基づいて、決済方法出力情報を生成する。ここで、「決済方法出力情報」とは、複数の決済方法を示す情報である。決済方法出力情報の詳細は、後述する。
【0032】
(3-2)決済サーバ100の請求生成部116は、請求情報と決済方法出力情報とに基づいて、請求書データを生成する。ここで「請求書データ」とは、リンク情報を含む支払請求のためのデータである。請求書データの詳細は、後述する。また、ここで「リンク情報」とは、決済方法出力情報を出力させるためのリンクを示す情報である。リンク情報は、例えば、決済方法出力情報にアクセスするためのURL、QRコード(登録商標)等であってもよい。例えば、バイヤーが支払人装置300でリンク情報を指定すると、決済方法出力情報にアクセスし、決済方法出力情報が支払人装置の画面等に出力される。
【0033】
(4)決済サーバ100の送信部131は、支払人装置300に請求書データを送信する。支払人装置300は、請求書データを受信すると、当該請求書データに含まれるリンク情報へのバイヤーの指定を受け付ける。(5)支払人装置300は、リンク情報への指定を受け付けると、決済サーバ100の出力情報記憶部141が記憶する決済方法出力情報にアクセスする。(6)決済サーバ100は、当該アクセスを受け付けると、決済方法出力情報を支払人装置300に送信する。
【0034】
(7)支払人装置300は、決済方法出力情報を受信すると、バイヤーに対して、支払いに利用可能な複数の決済方法を出力する。(8)バイヤーは、支払人装置300に出力された複数の決済方法に対して採用する決済方法を選択する。この際、バイヤーは、支払いの支払元口座を第2銀行の第2口座とする銀行振込を選択したものとする。(9)決済サーバ100の受付部111は、上記(8)の選択を受け付ける。
【0035】
(10)決済サーバ100の決済処理部112は、支払先口座を第2銀行の回収口座に設定し、第2銀行サーバ400bに対して、第2口座から回収口座への支払金額の振込処理を指示する。(11)第2銀行サーバ400bは、当該指示に応じて、第2口座から回収口座に支払金額の振込処理を行う。
【0036】
(12)決済サーバ100の検出部1122は、上記(10)の決済処理部112により回収口座への支払金額の振込処理の指示があった際に、第2銀行サーバ400bに対して回収口座の口座情報の参照を指示して回収口座への支払金額の入金を検出する。
【0037】
(13)決済サーバ100の支払先振込部1121は、上記(12)の検出部1122により回収口座への支払金額の入金が検出された場合に、第1銀行サーバ400aに対して、立替口座から第1口座への支払金額の振込処理を指示する。(14)第1銀行サーバ400aは、当該指示に応じて、立替口座から第1口座に支払金額の振込処理を行う。
【0038】
(14)決済サーバ100の状況判定部117は、請求情報と、上記(12)の検出部1122が検出した回収口座への支払金額の入金を示す入金情報と、に基づいて、支払請求に対する支払いの状況を判定する。(15)出力情報生成部114は、支払状況出力情報を生成する。ここで、「支払状況出力情報」とは、上記(14)の判定の結果を出力するための情報である。支払状況出力情報の詳細は、後述する。
【0039】
(16)決済サーバ100の送信部131は、受取人装置200に支払状況出力情報を送信する。(17)受取人装置200の出力部は、支払状況出力情報に基づいて、支払請求に対する支払いの状況を出力する。
【0040】
上記構成によれば、決済システム1は、サプライヤーの第1口座とバイヤーの第2口座のそれぞれの同一銀行内の決済事業者の回収口座と立替口座とを利用して、バイヤーの第2口座から出金しサプライヤーの第1口座に入金することができる。このため、上記構成によれば、決済システム1は、バイヤーからサプライヤーに対する他行宛の銀行振込にかかっていた振込手数料等のコストを低減し、また早期にサプライヤーの第1口座に入金することができる。
【0041】
つぎに、上記(B)の場面について説明する。なお、
図3に示すように(1)~(7)は、上記(A)の(1)~(7)と同様であるため説明を割愛する。
【0042】
(8)バイヤーが、支払人装置300に出力された複数の決済方法に対して採用する決済方法を選択する。この際、複数の決済方法のうち、バイヤーは、支払元口座を第2銀行の第2口座と指定するクレジットカード決済を行う決済方法を選択したものとする。(9)決済サーバ100の受付部111は、上記(8)の選択を受け付ける。
【0043】
(10)決済サーバ100の決済処理部112は、上記(8)の受付部111がクレジットカード決済の選択を受け付けた場合、第2銀行の回収口座を支払先口座に設定して、該当するクレジットカードシステムにクレジットカード決済処理を指示する。当該クレジットカードシステムは当該指示に応じて、第2口座から回収口座に支払金額が支払われるようクレジットカード決済処理を行う。
【0044】
(11)決済サーバ100の支払先振込部1121は、上記(8)の受付部111がクレジットカード決済の選択を受け付けた場合、第1銀行サーバに対して、立替口座から第1口座への支払金額の振込処理を指示する。(12)第1銀行サーバ400aは、当該指示に応じて、立替口座から第1口座に支払金額の振込処理を行う。
【0045】
(13)決済サーバ100の検出部1122は、上記(10)の決済処理部112により第1口座への支払金額の振込処理の指示があった際に、第1銀行サーバ400aに対して第1口座の口座情報の参照を指示して第1口座への支払金額の入金を検出する。
【0046】
(14)決済サーバ100の状況判定部117は、請求情報と、上記(12)の検出部1122が検出した第1口座への支払金額の入金を示す入金情報と、に基づいて、支払請求に対する支払いの状況を判定する。(15)~(17)は、上記(A)の(15)~(17)と同様であるため、説明を割愛する。
【0047】
上記構成によれば、決済システム1は、サプライヤーの第1口座と同一銀行内の決済事業者の立替口座を利用して、サプライヤーの第1口座に入金することができる。このため、上記構成によれば、決済システム1は、サプライヤーが選択した決済方法がクレジットカード決済等の受取人が指定する口座に入金されるまでにタイムラグが発生する方法であっても、早期にサプライヤーの口座に入金させることができる。
【0048】
<3.決済サーバの機能構成>
図4を参照して、本実施形態に係る決済サーバ100の機能構成を説明する。
図4に示すように、決済サーバ100は、制御部110と、通信部130と、記憶部140と、を備える。
【0049】
制御部110は、受付部111と、決済処理部112と、出力情報生成部114と、を備える。また、制御部110は、取得部113、期間判定部115、請求生成部116、又は状況判定部117を備えてもよい。
【0050】
受付部111は、支払人装置300から、支払人が採用する決済方法の選択を受け付ける。受付部111における支払人から上記決済方法の選択を受け付ける態様はどのような態様でもよく、例えば、支払人装置300から決済方法の選択用のWebサイトのページにアクセスさせて当該ページ経由で受け付けてもよい。また、受付部111は、他の例として、支払人装置300に上記決済方法の選択を行うための決済システム1専用のアプリケーションプログラム(以下、「アプリ」という)をインストールさせて当該アプリ経由で受け付けてもよい。
【0051】
決済方法出力情報は、例えば、クレジットカード決済やデビットカード決済等のカード決済、カードレス払い決済、電子マネー決済、銀行振込決済等の決済方法を示してもよい。また、決済方法出力情報は、例えば、これらの決済方法による決済のための処理をクレジットカード会社、銀行、電子マネー事業者等に指示するための情報を含んでもよい。決済方法出力情報は、具体的には、支払いに利用可能な複数の決済方法を出力し、当該複数の決済方法からバイヤー等の支払人が採用する決済方法を選択するための情報であってもよい。決済方法出力情報は、例えば、支払いに利用可能な複数の決済方法を選択可能に出力するWebサイト情報(例えば、支払いに関する様々なサービスや機能をまとめて提供するためのポータルサイト等)であってもよい。
【0052】
受付部111は、例えば、支払人装置300から、支払いの支払元口座を第2銀行の第2口座と指定する銀行振込を行う決済方法を採用する選択を受け付けてもよい。
【0053】
決済処理部112は、受付部111が受け付けた決済方法による支払いの決済のための処理を行う。また、決済処理部112は、例えば、受付部111が受け付けた決済方法が所定の条件を満たす場合、支払先口座を決済事業者が保有する口座に設定して、当該受け付けた決済方法による決済のための処理を行ってもよい。また、決済処理部112は、例えば、受付部111が受け付けた決済方法が所定の条件を満たす場合、支払元口座を第2口座に設定して、当該受け付けた決済方法による決済のための処理を行ってもよい。また、決済処理部112は、支払先振込部1121又は検出部1122を有してもよい。
【0054】
「所定の条件」とは、受付部111が受け付けた決済方法により、支払先口座を決済事業者が保有する口座に設定して決済を行うか否かを判定するための条件である。所定の条件は、例えば、支払元口座に第1銀行とは異なる銀行の口座を指定する銀行振込であることを含んでもよい。また、所定の条件は、例えば、入金所要期間が所定の期間を超過することを含んでもよい。ここで「入金所要期間」とは、受付部111が受け付けた決済方法を用いる場合に第1口座への支払金額の入金までにかかる期間をいう。なお、所定の条件は、他の例として、第1銀行サーバ400aに対して、支払先振込部1121により第1銀行の立替口座から第1口座への支払いのための支払金額の振込処理を指示するか否かを判定するための条件であってもよい。
【0055】
「所定の期間」は、受付部111が受け付けた決済方法により、支払先口座を決済事業者が保有する口座に設定して決済を行うか否かを判定するための期間をいう。所定の期間は、例えば、受付部111が受け付けた当日であってもよい。すなわち、入金所要期間が受付部111により支払人の決済方法の選択を受け付けた当日を過ぎる場合、決済処理部112は、支払先口座を回収口座に設定し、当該受け付けた決済方法による決済のための処理を行ってもよい。なお、所定の期間は、他の例として、第1銀行サーバ400aに対して、支払先振込部1121により第1銀行の立替口座から第1口座への支払いのための支払金額の振込処理を指示するか否かを判定するための期間であってもよい。
【0056】
決済処理部112は、例えば、受付部111が受け付けた決済方法が所定の条件を満たす場合、支払先口座を第2銀行の回収口座に設定し、第2銀行サーバ400bに対して、第2口座から回収口座への支払金額の振込処理を指示してもよい。決済処理部112は、例えば、第2銀行サーバに400bが実装する更新系APIを利用して、第2口座から回収口座への支払いのための支払金額の振込処理を第2銀行サーバに400bに指示してもよい。
【0057】
上記構成によれば、決済処理部112は、支払人が選択した決済方法が支払元口座に前第1銀行とは異なる銀行の口座を指定する銀行振込等の場合、支払人の第2口座と同一銀行内の決済事業者の回収口座を利用して、第2口座から同一銀行内の回収口座に支払金額を銀行振込により出金させることができる。これにより、他行宛の銀行振込にかかっていた振込手数料等のコストを低減して支払人の第2口座から出金させることができる。
【0058】
支払先振込部1121は、例えば、受付部111が受け付けた決済方法が所定の条件を満たす場合、第1銀行サーバ400aに対して、第1銀行の立替口座から第1口座への支払いのための支払金額の振込処理を指示してもよい。支払先振込部1121は、例えば、第1銀行サーバ400aが実装する更新系APIを利用して、立替口座から第1口座への支払いのための支払金額の振込処理を第1銀行サーバに400aに指示してもよい。
【0059】
上記構成によれば、支払先振込部1121は、支払人が選択した決済方法に応じて、受取人の第1口座と同一銀行内の決済事業者の立替口座を利用して、受取人の第1口座に支払金額を同一銀行内の銀行振込により入金させることができる。これにより、早期に受取人の第1口座に入金させることができる。
【0060】
支払先振込部1121は、例えば、受付部111が受け付けた決済方法が所定の条件を満たす場合、検出部1122により回収口座への支払金額の入金が検出された場合に、第1銀行サーバ400aに対して、立替口座から第1口座への支払金額の振込処理を指示してもよい。このような構成によれば、支払先振込部1121は、支払人の口座から支払金額が入金された後で、受取人の口座に支払金額を振り込むことができる。
【0061】
検出部1122は、決済処理部112により回収口座への支払金額の振込処理の指示があった際に、第2銀行サーバに400bに対して回収口座の口座情報の参照を指示して回収口座への支払金額の入金を検出する。また、検出部1122は、例えば、決済処理部112により回収口座への支払金額の振込処理の指示があった際に、第2銀行サーバに400bに対して第2口座の口座情報の参照を指示して第2口座からの支払金額の出金を検出してもよい。検出部1122は、例えば、第2銀行サーバに400bが実装する参照系APIを利用して、回収口座や第2口座の口座情報の参照を第2銀行サーバに400bに指示してもよい。
【0062】
検出部1122は、例えば、支払先振込部1121により第1口座への支払金額の振込処理の指示があった際に、第1銀行サーバ400aに対して第1口座の口座情報の参照を指示して第1口座への支払金額の入金を検出してもよい。また、検出部1122は、例えば、支払先振込部1121により第1口座への支払金額の振込処理の指示があった際に、第1銀行サーバ400aに対して立替口座の口座情報の参照を指示して立替口座からの支払金額の出金を検出してもよい。検出部1122は、例えば、第1銀行サーバに400aが実装する参照系APIを利用して、第1口座や立替口座の口座情報の参照を第1銀行サーバに400aに指示してもよい。
【0063】
取得部113は、受取人装置200から、請求情報を取得する。請求情報は、例えば、支払先口座を第1口座に指定する旨を含んでもよい。
【0064】
出力情報生成部114は、決済方法情報を記憶する後述の決済方法記憶部142を参照して、請求情報に基づいて、決済方法出力情報を生成する。出力情報生成部114は、この生成した決済方法出力情報を後述の出力情報記憶部141に記憶する。このような構成によれば、出力情報生成部114は、受取人装置200から取得した支払請求を示す請求情報に基づいて、複数の決済方法のうち支払いに利用可能な決済方法を出力させることができる。なお、ここでいう「決済方法情報を記憶する決済方法記憶部」は、例えば、後述の決済方法記憶部142であってもよいし、支払人装置300が備える記憶部であってもよいし、外部システムのサーバ等が備える記憶部であってもよい。
【0065】
出力情報生成部114は、例えば、決済方法限定情報に基づいて、受取人により指定された決済方法に限定した決済方法出力情報を生成してもよい。このような構成によれば、受取人にとって都合のよい決済方法を支払人に選択させることができる。
【0066】
出力情報生成部114は、例えば、支払状況出力情報を生成してもよい。ここで「支払状況出力情報」とは、後述の状況判定部117の判定の結果を出力するための情報である。支払状況出力情報は、例えば、支払請求ごとの支払の状況(以下、「支払状況」ともいう)を一覧にまとめた情報であってもよい。ここで「支払状況」とは、例えば、支払請求されている支払いの決済に対して、「未決済」、「決済処理中」、「決済完了」等の状況を表してもよい。
【0067】
支払状況出力情報は、売買取引における「未決済」の支払いに対する受取人からの支払請求を指示する入力を受け付ける受け付け手段を含んでもよい。さらに、支払状況出力情報は、例えば、支払状況の管理や支払請求に関する機能等を受取人に提供するためのWebサイト情報(例えば、支払状況の管理に関する様々なサービスや機能をまとめて提供するためのポータルサイト等)であってもよい。また、出力情報生成部114は、他の例として、支払状況出力情報とは別に、上記の支払請求を指示する入力を受け付ける受け付け手段を含む出力情報(例えば、支払請求の指示入力画面等)を生成してもよい。さらに、この受付手段は、例えば、受取人から、支払いの決済方法を限定する指定を受け付けてもよい。
【0068】
期間判定部115は、入金所要期間が所定の期間を超過するか否かを判定する。このような構成によれば、期間判定部115は、売掛金を早期に資金化したい受取人に対して、時間がかかる支払金額の入金を即時に入金させるようにすることができる。
【0069】
請求生成部116は、請求情報と決済方法出力情報とに基づいて、当該決済方法出力情報を出力させるためのリンク情報を含む請求書データを生成する。請求書データは、例えば、支払請求を一意に識別するための番号を示す「請求番号」、「請求日」、請求先の事業者(本例では、支払人とする)を示す「請求先」、請求元の事業者(本例では、受取人とする)を示す「請求元」、請求する金額(本例では、支払金額とする)を示す「請求金額」、「請求明細」、支払の期日を示す「支払期日」等を含んでもよい。また、請求書データは、例えば、電子請求書(PDFファイル等)のデータであってもよい。
【0070】
状況判定部117は、請求情報と入金情報とに基づいて、支払請求に対する支払状況を判定する。ここで「入金情報」とは、検出部1122が検出した回収口座及び第1口座の少なくともいずれか一つへの支払金額の入金を示す情報である。状況判定部117は、例えば、出金情報に基づいて、支払状況を判定してもよい。ここで「出金情報」とは、検出部1122が検出した立替口座及び第2口座の少なくともいずれか一つへの支払金額の出金を示す情報である。また、状況判定部117は、第1銀行サーバ400aと第2銀行サーバ400bとの間でネットワークNを介してやりとりされるISO20022に準拠した金融決済用の通信メッセージを取得して当該通信メッセージに基づいて支払状況を判定してもよい。状況判定部117は、例えば、入金情報から検出部1122が検出した第1口座への支払金額の入金を検出した場合、支払いの状況を「決済完了」と判定してもよい。
【0071】
残高調整部118は、第1銀行の第1口座から第2銀行の第2口座へ送金するための処理を行い、第1口座の残高と第2口座の残高とを調整する。残高調整部118は、例えば、所定期間において、第1口座への入金と第2口座からの出金を記録して、これらの入出金の総額を相殺精算するよう第1口座から第2口座へ送金してもよい。また、残高調整部118は、第1口座と第2口座の口座残高に対してそれぞれ所定の閾値(例えば、上限値又は下限値等)を設け、これらの所定の閾値を超過したり下回ったりした際に、所定の閾値内に収まるよう第1口座から第2口座へ送金してもよい。残高調整部118における第1口座から第2口座へ送金する処理は、日次や月次等のバッチ処理によって所定のタイミングに一括で行ってもよい。このような構成によれば、残高調整部118は、決済事業者が保有する第1銀行の第1口座の残高と第2銀行の第2口座の残高を安定的に維持することができる。
【0072】
通知部119は、検出部1122により第1口座への支払金額の入金が検出された際に、支払人及び受取人の少なくともいずれか一つに、当該第1口座への入金を通知する。通知部119は、例えば、受取人装置200に、上記第1口座への入金をプッシュ通知する通知情報を送信し、当該通知情報を受取人装置200の画面等の出力部にアラートメッセージとして出力させてもよい。また、通知部119は、支払人や受取人のメールアドレス宛に上記第1口座への入金を通知するメールを送信してもよいし、支払人や受取人のSNSアカウント宛に通知してもよい。なお、支払人宛の通知にあたっては、上記第1口座への入金に代わって、支払いの決済が完了した旨を通知してもよい。
【0073】
上記構成によれば、通知部119は、支払人や受取人に対して、第1口座への入金、すなわち支払いの決済が完了して即時にその旨を通知することができる。
【0074】
通知部119は、例えば、リコンサイル(複数帳簿間の残高照合)のため、支払人又は受取人が利用する会計システムに対して、検出部1122により検出された第1口座や回収口座の口座情報や第1口座や第2口座の所定金額の入出金の情報を通知してもよい。
【0075】
通信部130は、ネットワークNを介して、受取人装置200、支払人装置300又は外部システム等に各種情報を送受信する。通信部130は、例えば、ネットワークNを介して、受取人装置200から請求情報を受信したり、当該請求情報による支払請求のための請求書データや決済方法出力情報を支払人装置300に送信したりする。通信部130は、例えば、送信部131を有してもよい。
【0076】
送信部131は、決済方法出力情報を記憶する出力情報記憶部141を参照して、複数の決済方法から支払人が採用する決済方法を支払人に選択させるために、当該決済方法出力情報を支払人装置300に送信する。また、送信部131は、例えば、支払状況出力情報を受取人装置200に送信してもよい。このような構成によれば、送信部131は、受取人装置200等において受取人に支払状況を確認させることができる。このため、このような構成によれば、決済システム1は、受取人における売買取引における支払状況の管理をサポートすることができる。なお、ここでいう「決済方法出力情報を記憶する出力情報記憶部」は、例えば、決済サーバ100の出力情報記憶部141であってもよいし、支払人装置300が備える記憶部であってもよいし、外部システムのサーバ等が備える記憶部であってもよい。
【0077】
送信部131は、例えば、請求生成部116により生成された請求書データを支払人装置300に送信してもよい。このような構成によれば、送信部131は、受取人が支払請求のための請求書データを作成して支払人に送付する手間を低減させることができる。
【0078】
記憶部140は、各種情報を記憶する。また、記憶部140は、出力情報記憶部141と、決済方法記憶部142とを有してもよい。記憶部140は、データベースマネジメントシステム(DBMS)を利用して各情報を記憶してもよいし、ファイルシステムを利用して各情報を記憶してもよい。DBMSを利用する場合は、上記情報ごとにテーブルを設けて、当該テーブル間を関連付けて各情報を管理してもよい。
【0079】
出力情報記憶部141は、決済方法出力情報を記憶する。決済方法記憶部142は、決済方法情報を記憶する。
【0080】
<4.画面例>
図5~7を参照して、決済システム1の画面例を説明する。
図5~7は、支払人装置300の表示部(不図示)に表示される請求書データを表示する画面の例と、請求書データの支払請求による支払いのためのポータルサイト(以下、「支払ポータル」ともいう)の例とを示す模式図である。また、支払ポータルは、決済方法出力情報の一態様である。支払ポータルは、例えば、メイン画面A2と、決済方法個別画面とを含んで構成されてもよい。
【0081】
決済方法個別画面は、例えば、決済方法に銀行振込が選択された場合は、支払先情報画面A3、支払元指定画面A4及び銀行振込実行画面A5等を含んで構成される。また、決済方法個別画面は、他の例として、決済方法にカード決済が選択された場合は、カード指定画面A6等を含んで構成される。
【0082】
図5(a)に示すように、請求書データを表示する画面は、請求書データ表示領域a11と、支払ポータルにアクセスするための支払い決済方法選択ボタンa12とを含む。請求書データ表示領域a11は、請求書データに含まれる請求元と、請求番号と、請求金額と、請求明細と、支払期日とを含む。支払い決済方法選択ボタンa12が押下されると、支払いの決済方法を選択させるための支払ポータルにアクセスし、メイン画面A1を表示する。
【0083】
図5(b)に示すように、メイン画面A1は、支払い決済方法リスト表示領域a21を含む。支払い決済方法リスト表示領域a21は、支払人が利用可能な支払いのための決済方法の選択を受け付ける受け付け手段のリスト(本例では、「銀行振込」、「カード決済」、「カードレス払い」及び「電子マネー」とする)を含む。本例では、まず、支払人が決済方法として銀行振込を選択した場合を例に説明する。支払人が決済方法として銀行振込を選択すると、すなわち、リストアップされた複数の決済方法の受け付け手段のうち銀行振込選択ボタンa211が押下されると、決済方法個別画面として、支払先指定情報画面A3に遷移する。
【0084】
図5(c)に示すように、支払先指定情報画面A3は、指定支払先表示領域a31と、確認完了ボタンa32と、銀行振込指定ボタンa33と、を含む。指定支払先表示領域a31は、銀行振込にあたって受取人から支払先口座に指定されている第1口座(本例では、「123銀行」の口座番号「1234567」と記載)に関する情報を含む。確認完了ボタンa32が、支払人が第1口座に関する情報の確認だけ行う場合等に押下されると、支払人から支払元口座を指定するための支払元指定画面A4に遷移せずに指定支払先情報画面A3を閉じる。また、確認完了ボタンa32が押下されると、例えば、メイン画面A2に戻るように設定してもよい。銀行振込指定ボタンa33が押下されると、支払元口座を指定するための支払元指定画面A4に遷移する。
【0085】
図6(a)に示すように、支払元指定画面A4は、支払元口座ドロップダウンリストa41と、支払元口座情報表示領域a42と、振込実行指定領域a43と、を含む。支払元口座ドロップダウンリストa41は、予め登録されている支払人の第2口座等の銀行の口座をリスト表示する。振込元口座ドロップダウンリストa41は、このリスト表示された口座のうち支払人から第2口座(本例では、「987銀行」の「経費用口座」と記載)が指定されると、指定された第2口座を支払元口座に仮設定する。
【0086】
支払元口座情報表示領域a42は、支払元口座ドロップダウンリストa41で指定された第2口座の口座情報を表示する。また、支払元口座情報表示領域a42は、支払人から支払元口座に指定された第2口座が受取人から支払先口座に指定された第1口座と異なる銀行の口座の場合、他行の口座宛の支払いであっても振込手数料がかからない旨(本例では、「振込先の銀行と異なる銀行ですが、振込手数料はかかりません。」と記載)のメッセージ表示を含めてもよい。
【0087】
振込実行指定領域a43は、振込実行指定ボタンa431を含む。振込実行指定ボタンa431が押下されると、支払元口座ドロップダウンリストa41で指定された第2口座を支払元口座に設定し、また、支払先口座を振込先として受取人から指定された口座又は決済事業者の回収口座に設定する。また、振込実行指定ボタンa431が押下されると、銀行振込を実行するために設定された内容を支払人が確認するための振込内容確認画面A5に遷移する。
【0088】
図6(b)に示すように、振込内容確認画面A5は、振込情報表示領域a51と、振込実行領域a52と、を含む。振込情報表示領域a51は、銀行振込を実行するために設定された内容として、請求番号と、受取人から支払先口座に指定されている第1口座を示す指定支払先と、支払元と、支払金額とを含む。振込実行領域a52は、振込実行ボタンa521を含む。振込実行ボタンa521が押下されると、決済処理部112は、該当する銀行サーバに対して、設定された支払元口座から設定された支払先口座への支払金額の振込処理を指示する。
【0089】
図6(c)に示すように、振込内容確認画面A5は、上記の銀行サーバに対して指示した振込処理が完了した場合、その旨を通知する完了通知ダイアログa53を表示する。
【0090】
つぎに、メイン画面A1の支払い決済方法リスト表示領域a21において、ユーザが決済方法としてカード決済を選択した場合を例に説明する。
図7(a)に示すように、ユーザが決済方法としてカード決済を選択した場合、すなわち、リストアップされた複数の決済方法の受け付け手段のうちカード決済選択ボタンa212が押下されると、決済方法個別画面として、カード決済に用いるカードを指定するためのカード指定画面A6に遷移する。
【0091】
図7(b)に示すように、カード指定画面A6は、支払用カードドロップダウンリストa61と、カード情報表示領域a62と、カード決済実行領域a63と、を含む。支払用カードドロップダウンリストa61は、予め登録されている支払人のクレジットカード等の支払いの決済のためのカードをリスト表示する。支払用カードドロップダウンリストa61は、支払人からこのリスト表示されたカードのうち特定のカードが指定されると、指定されたカードを支払いの決済に用いるカード(以下、「支払用カード」ともいう)に仮設定する。
【0092】
カード情報表示領域a62は、支払用カードドロップダウンリストa61で指定されたカードの情報を表示する。カード決済実行指定領域a63は、カード決済実行指定ボタンa631を含む。カード決済実行指定ボタンa631が押下されると、支払用カードドロップダウンリストa61で指定されたカード(本例では、「法人カード1」と記載)を支払用カードに設定し、また、支払先口座に受取人から指定されている第1口座又は決済事業者が保有する口座を設定する。また、カード決済実行指定ボタンa631が押下されると、カード決済を実行するために設定された内容を支払人が確認するためのカード決済内容確認画面A7に遷移する。
【0093】
図7(c)に示すように、カード決済内容確認画面A7は、カード決済情報表示領域a71と、カード決済実行領域a72と、を含む。カード決済情報表示領域a71は、カード決済を実行するために設定された内容として、請求番号と、受取人を示す請求元と、支払用カードと、支払金額とを含む。カード決済実行領域a72は、カード決済実行ボタンa721を含む。カード決済実行ボタンa721が押下されると、決済処理部112は、該当するクレジットカードシステム等の外部システムに対して、設定された支払用カードから設定された支払先口座へのカード決済処理を指示する。また、上述の銀行振込の例と同様に、上記のクレジットカードシステム等の外部システムに対して指示したカード決済処理が完了した場合、その旨を通知する完了通知ダイアログ(不図示)を表示してもよい。
【0094】
<5.動作例>
図8を参照して、決済システム1の動作例を説明する。
図8は、決済システム1において、受取人装置200から支払請求のための請求情報を取得してから、当該支払請求による支払いの決済のために受取人の第1口座へ入金するまでの処理の流れを示すフロー図である。本例において、所定の条件は、支払元口座に第1銀行とは異なる銀行の口座を指定する銀行振込であることを含むものとする。なお、以下に示す処理の順番は一例であって、適宜、変更されてもよい。
【0095】
図8に示すように、決済サーバ100の取得部113は、受取人装置200から請求情報を取得する(S10)。取得部113が請求情報を取得すると、出力情報生成部114は、決済方法情報を記憶する決済方法記憶部142を参照して、請求情報に基づいて、決済方法出力情報を生成し出力情報記憶部141に記憶する(S11)。送信部131は、決済方法出力情報を記憶する出力情報記憶部141を参照して、決済方法出力情報を支払人装置300に送信する(S12)。
【0096】
決済サーバ100の受付部111は、支払人装置300から、支払元口座を第2銀行の第2口座と指定する銀行振込を行う決済方法を採用する選択を受け付ける(S13)。
【0097】
受付部111が受け付けた決済方法が所定の条件を満たす場合(S14のYes)、決済処理部112は、支払先口座を第2銀行の回収口座に設定し、第2銀行サーバ400bに対して、第2口座から回収口座への支払金額の振込処理を指示する(S15)。検出部1122は、決済処理部112により回収口座への支払金額の振込処理の指示があった際に、第2銀行サーバ400bに対して回収口座の口座情報の参照を指示して回収口座への支払金額の入金を検出する(S16)。
【0098】
支払先振込部は、検出部1122により回収口座への支払金額の入金が検出された場合に、第1銀行サーバ400aに対して、立替口座から第1口座への支払金額の振込処理を指示する(S17)。
【0099】
受付部111が受け付けた決済方法が所定の条件を満たさない場合(S14のNo)、支払元口座を第2口座に設定し、かつ支払先口座を第1口座に設定して、当該受け付けた決済方法による決済のための処理を行う。
【0100】
<6.ハードウェア構成>
図9を参照して、上述してきた決済サーバ100をコンピュータ800により実現する場合のハードウェア構成の一例を説明する。なお、それぞれの装置の機能は、複数台の装置に分けて実現することもできる。
【0101】
図9に示すように、コンピュータ800は、プロセッサ801と、メモリ803と、記憶装置805と、入力I/F部807と、データI/F部809と、通信I/F部811と、表示装置813とを含む。
【0102】
プロセッサ801は、メモリ803に記憶されているプログラムを実行することによりコンピュータ800における様々な処理を制御する。例えば、決済サーバ100の制御部110が備える各機能部等は、メモリ803に一時記憶されたプログラムを、プロセッサ801が実行することにより実現可能である。
【0103】
メモリ803は、例えばRAM(Random Access Memory)等の記憶媒体である。メモリ803は、プロセッサ801によって実行されるプログラムのプログラムコードや、プログラムの実行時に必要となるデータを一時的に記憶する。
【0104】
記憶装置805は、例えばハードディスクドライブ(HDD)やフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体である。記憶装置805は、オペレーティングシステムや、上記各構成を実現するための各種プログラムを記憶する。この他、記憶装置805は、請求情報や口座情報等を登録するテーブルと、当該テーブルを管理するDBを記憶することも可能である。このようなプログラムやデータは、必要に応じてメモリ803にロードされることにより、プロセッサ801から参照される。
【0105】
入力I/F部807は、ユーザからの入力を受け付けるためのデバイスである。入力I/F部807の具体例としては、キーボードやマウス、タッチパネル、各種センサ、ウェアラブル・デバイス等が挙げられる。入力I/F部807は、例えばUSB(Universal Serial Bus)等のインタフェースを介してコンピュータ800に接続されても良い。
【0106】
データI/F部809は、コンピュータ800の外部からデータを入力するためのデバイスである。データI/F部809の具体例としては、各種記憶媒体に記憶されているデータを読み取るためのドライブ装置等がある。データI/F部809は、コンピュータ800の外部に設けられることも考えられる。その場合、データI/F部809は、例えばUSB等のインタフェースを介してコンピュータ800へと接続される。
【0107】
通信I/F部811は、コンピュータ800の外部の装置と有線又は無線により、インターネットNを介したデータ通信を行うためのデバイスである。通信I/F部811は、コンピュータ800の外部に設けられることも考えられる。その場合、通信I/F部811は、例えばUSB等のインタフェースを介してコンピュータ800に接続される。
【0108】
表示装置813は、各種情報を表示するためのデバイスである。表示装置813の具体例としては、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、ウェアラブル・デバイスのディスプレイ等が挙げられる。表示装置813は、コンピュータ800の外部に設けられても良い。その場合、表示装置813は、例えばディスプレイケーブル等を介してコンピュータ800に接続される。また、入力I/F部807としてタッチパネルが採用される場合には、表示装置813は、入力I/F部807と一体化して構成することが可能である。
【0109】
[第2実施形態] ※受取人の早期資金化のための貸付等
つぎに、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態に係る決済サーバ100aは、第1実施形態に係る決済サーバ100と比較して、受取人における売買取引の売掛金の早期資金化を図るための機能のバリエーションを追加した形態である。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。また、本実施形態に係る決済事業者は、この追加した機能を利用して、受取人の売買取引における売掛債権を買い取って、その債権の回収を行う金融サービス(いわゆるファクタリングサービス)を提供してもよい。
【0110】
<1.決済サーバの機能構成>
図10を参照して、本実施形態に係る決済サーバ100aの機能構成の一例について説明する。
【0111】
図10に示すように、決済サーバ100aの制御部110は、決済サーバ100の制御部110の受付部111と、決済処理部112と、取得部113と、出力情報生成部114と、期間判定部115と、請求生成部116と、状況判定部117と、残高調整部118と、通知部119とを共通して備える。また、決済サーバ100aの制御部110は、これらの機能部に加えて限度額決定部120と、契約生成部121と、同意受付部122と、承認受付部123と、を備える。
【0112】
決済サーバ100aは、通信部130においては、決済サーバ100の送信部131を共通して備える。また、決済サーバ100aは、決済サーバ100の記憶部140を共通して備える。
【0113】
受付部111は、例えば、支払人装置300から、支払いに当てるための貸付の申し込みを受け付けてもよい。また、受付部111は、例えば、受取人装置200から売買取引に係る売掛債権の譲渡の申し込みを受け付けてもよい。
【0114】
決済処理部112は、貸付処理部1123を有する。貸付処理部1123は、同意情報に基づいて、支払人が保有する口座に、貸付限度額の範囲内で金銭を振り込む。ここで「同意情報」とは、同意受付部122が受け付けた、貸付契約出力情報により出力された貸付契約に対する支払人の同意を示す情報である。このような構成によれば、貸付処理部1123は、支払能力の乏しい支払人に支払金額内の金銭を貸し付けることで、支払いの決済を促進させることができる。
【0115】
決済処理部112は、後述の承認受付部123が受取人からの売掛債権の譲渡の申し込みに対する決済事業者の承認指定を受け付けた場合、支払元口座を第1口座に設定し、かつ支払先口座を決済事業者が保有する口座に設定して、受付部111が受け付けた決済方法による決済のための処理を行ってもよい。このような構成によれば、受取人は、売買取引の売掛債権を決済事業者に譲渡することでも、早期資金化を図ることができる。
【0116】
限度額決定部120は、与信情報を記憶する後述の与信情報記憶部143を参照して、申し込み情報に基づいて、支払金額内の貸付限度額を決定する。ここで「与信情報」とは、支払人の貸付の申し込みに対する与信の結果を示す情報である。また、ここで「申し込み情報」とは、受付部111が受け付けた貸付の申し込みを示す情報である。なお、ここでいう「与信情報を記憶する与信情報記憶部」は、例えば、後述の信情報記憶部143であってもよいし、支払人装置300が備える記憶部であってもよいし、外部システムのサーバ等が備える記憶部であってもよい。
【0117】
契約生成部121は、貸付契約出力情報を生成する。ここで「貸付契約出力情報」とは、貸付限度額に基づく貸付契約を示す契約情報を出力し、当該貸付契約に支払人が同意する指定をするための情報である。
【0118】
同意受付部122は、支払人装置300から、貸付契約出力情報により出力された貸付契約に対する、支払人が同意する指定を受け付ける。
【0119】
承認受付部123は、受付部111が受け付けた売掛債権の譲渡の申し込みに対する決済事業者の承認の指定を受け付ける。
【0120】
送信部131は、契約送信部1311を有する。契約送信部1311は、貸付契約出力情報を支払人装置300に送信する。
【0121】
記憶部140は、与信情報記憶部143を有する。与信情報記憶部143は、与信情報を記憶する。
【0122】
<2.画面例>
図11を参照して、本実施形態に係る決済システムの画面例を説明する。
図11は、支払人装置300の表示部(不図示)に表示される本実施形態に係る支払ポータルの例を示す模式図である。第1実施形態との差異点として、本実施形態に係る支払ポータルのメイン画面A8は、第1実施形態に係るメイン画面A2の支払い決済方法リスト表示領域a21にリストアップされた複数の決済方法に関して、「カードレス払い」に替えて支払人への貸付によって支払う(以下、「貸付払い」ともいう)「貸付払い」を含むものとする。なお、説明を簡単にするために、この貸付のための与信、及び貸付契約の締結等は予め行われているものとする。
【0123】
図11(a)に示すように、メイン画面A8の支払い決済方法リスト表示領域a81において、ユーザが決済方法として支払人への支払いに当てるための貸付(以下、単に「貸付」ともいう)を受けることを選択した場合、すなわち、リストアップされた複数の決済方法の受け付け手段のうち貸付払い選択ボタンa811が押下されると、決済方法個別画面として、支払人への貸付にあたって支払人の借入状況に関する情報を表示するための借入情報画面A9に遷移する。
【0124】
図11(b)に示すように、借入情報画面A9は、借入情報表示領域a91と、貸付実行指定領域a92と、を含む。借入情報表示領域a91は、貸付にあたって支払人の借入状況に関する情報(本例では、支払人の借入限度額と、借入残高と、借入可能額とを含む)を表示する。なお、本例では示していないが、借入可能額は貸付限度額の一態様であってもよく、この場合、借入可能額は支払金額内の金額が設定される。
【0125】
貸付実行指定領域a92は、貸付実行指定ボタンa921を含む。貸付実行指定ボタンa921が押下されると、貸付を実行するために設定された内容を支払人が確認するための貸付内容確認画面A10に遷移する。
【0126】
図11(c)に示すように、貸付内容確認画面A10は、貸付払い情報表示領域a101と、貸付払い実行領域a102と、を含む。貸付払い情報表示領域a101は、貸付による支払い決済を実行するために設定された内容として、請求番号と、請求元と、支払金額と、支払後の支払人の借入残高とを含む。貸付支払実行領域a102は、貸付支払実行ボタンa1021を含む。貸付支払実行ボタンa1021が押下されると、決済処理部112は、支払人への貸付によって支払うための処理を行う。具体的には、貸付処理部1123が支払人の口座に支払金額の金銭を振り込んだ上で、上述の第1実施形態に係る銀行振込の例と同様に、支払先口座と支払元口座を設定して、該当する銀行サーバに対して振込処理を指示する。また、上述の第1実施形態に係る銀行振込の例と同様に、上記の銀行サーバに対して指示した振込処理が完了した場合、その旨を通知する完了通知ダイアログ(不図示)を表示してもよい。
【0127】
なお、上記実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。さらに、当業者であれば、以下に述べる各要素を均等なものに置換した実施の形態を採用することが可能であり、かかる実施の形態も本発明の範囲に含まれる。
【0128】
[変形例]
なお、本発明を上記実施の形態に基づいて説明してきたが、以下のような場合も本発明に含まれる。
【0129】
上記実施形態に係る決済サーバ100における各構成の少なくとも一部は、受取人装置200又は支払人装置300が備えていてもよい。例えば、受取人装置200及び支払人装置300に決済システム1の専用アプリとして決済サーバ100の機能を全て実装させて、受取人装置200と、銀行サーバ400、支払人装置300とのやり取りのみで本発明を実現させてもよい。
【符号の説明】
【0130】
1…決済システム、100、100a…決済サーバ、110…制御部、111…受付部、112…決済処理部、1121…支払先振込部、1122…検出部、1123…貸付処理部、113…取得部、114…出力情報生成部、115…期間判定部、116…請求生成部、117…状況判定部、118…残高調整部、119…通知部、120…限度額決定部、121…契約生成部、122…同意受付部、123…承認受付部、130…通信部、131…送信部、1311…契約送信部、140…記憶部、141…出力情報記憶部、142…決済方法記憶部、143…与信情報記憶部、200…受取人装置、300…支払人装置、400…銀行サーバ、800…コンピュータ、801…プロセッサ、803…メモリ、805…記憶装置、807…入力I/F部、809…データI/F部、811…通信I/F部、813…表示装置。