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特許7159176光ケーブルキャップおよびこれを使用する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-14
(45)【発行日】2022-10-24
(54)【発明の名称】光ケーブルキャップおよびこれを使用する方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/06 20060101AFI20221017BHJP
【FI】
A61B1/06 520
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019544017
(86)(22)【出願日】2018-02-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-26
(86)【国際出願番号】 US2018018506
(87)【国際公開番号】W WO2018152409
(87)【国際公開日】2018-08-23
【審査請求日】2021-01-28
(31)【優先権主張番号】62/459,931
(32)【優先日】2017-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504466834
【氏名又は名称】ジョージア テック リサーチ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147762
【弁理士】
【氏名又は名称】藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】マカネジア,カミル
(72)【発明者】
【氏名】レインズ,ジェームズ,ケー.
(72)【発明者】
【氏名】ストレイン,パトリック,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ブラック,ランス,マイケル
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0034774(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0204200(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 - 1/32
G02B 23/24 - 23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リング、シールド、およびブリッジを含むハウジングであって、前記ブリッジが、前記リングから前記シールドまで延び、前記シールドが、第1の位置から第2の位置へ移動可能である、ハウジングと、
前記シールド内の断熱材と、を備え、
前記ハウジングが可撓性材料を含む、
光源のためのキャップ。
【請求項2】
前記ブリッジおよび前記リングのうちの少なくとも一方が、可撓性材料を含む、請求項1に記載のキャップ。
【請求項3】
前記ハウジングが、略円筒状の外形を有する、請求項1に記載のキャップ。
【請求項4】
前記ハウジングの外面が、わずかに円錐台状の外形を有する、請求項1に記載のキャップ。
【請求項5】
前記ハウジングが、既存の光ケーブル端を覆って結合するように構成される、請求項1に記載のキャップ。
【請求項6】
前記リングの内面が、前記光ケーブルの発光先端に嵌合して接するように構成される、請求項5に記載のキャップ。
【請求項7】
前記ハウジングが、シリコーンを含む、請求項1に記載のキャップ。
【請求項8】
前記ハウジングが、Shore30A~100Aの範囲内のデュロメータを有する可撓性シリコーンゴムを含む、請求項1に記載のキャップ。
【請求項9】
前記ハウジングが、Shore60Aのデュロメータを有する、請求項8に記載のキャップ。
【請求項10】
前記リング、前記シールド、および前記ブリッジが、一体である、請求項1に記載のキャップ。
【請求項11】
前記シールドの上面内に凹部をさらに備える、請求項1に記載のキャップ。
【請求項12】
前記凹部が、前記シールドを通って前記断熱材まで延びる、請求項11に記載のキャップ。
【請求項13】
前記断熱材を前記光源に曝す前記シールドの下面内に凹部をさらに備える、請求項1に記載のキャップ。
【請求項14】
前記断熱材が、耐高温材料を含む、請求項1に記載のキャップ。
【請求項15】
前記耐高温材料が、セラミックである、請求項14に記載のキャップ。
【請求項16】
前記耐高温材料が、ガラス充填シリコーンである、請求項14に記載のキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、光源、特に、内視鏡手技において使用される光ケーブルのためのキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡検査は、急速に普及しつつある医学分野である。手術および診断の状況において主に使用される内視鏡検査およびその異形(例えば、腹腔鏡検査、関節鏡検査、膀胱鏡検査など)は、外部からの小切開または自然の開口部を利用して、操作の対象となる内部の生体構造および構造体へアクセスする。内視鏡手技は、医学専門分野にわたって技法は様々であるが、それらはすべて同じ基礎を有する。非常に大きい切開を伴う従来の手術と比較して手術部位の入口および縫合からの感染および外部外傷のレベルが減少されることから、内視鏡手術は、医学分野において代表的な存在になっている。
【0003】
医学分野において内視鏡検査の市場が大きく広がっているにもかかわらず、本質的に伴う危険が存在する。図1は、手術環境における露出された光源ケーブル148の欠点を例証する。光源ケーブル148は、光源デバイス154に接続する。カメラケーブル156も様々な手技のために含まれ得る。上に説明されるように、光源デバイス154および光ケーブルシステム148は、一般的な内視鏡検査の主要コンポーネントであり、トロカール152または人体開口部(図示されない)などの様々な手段を介して目的の体腔へと患者160内へ挿入するための内視鏡158に光を届けるために使用される。患者は、典型的には、ドレープ162で覆われる。最適可視化のため、光源は、非常に高い強度を有することが求められる。手技中にしばしば、外科医は、手術領域の可視化を向上させるために2つ以上の内視鏡を使用する。その結果、外科医は、手技中に異なる地点で内視鏡を交換することになり、光ケーブル148およびそれらの発光先端138は多くの場合、内視鏡交換中に照明が点いたままである。
【0004】
典型的には、外科技術師が内視鏡158を準備する間、照明の点いた光ケーブル148は、交換中に患者160およびドレープ162の上に置かれ、外科医は、患者160およびその状況を監視し続ける。高強度の光が光ケーブル148の先端138から依然として発せられているため、大量の熱エネルギーが、周囲環境(患者皮膚およびドレープ)に放出され、時に煙、火災、および火傷を結果としてもたらす(図1)。光先端138は、およそ華氏500度の温度に達する場合がある。光源154が切られた後にさえも、発光先端138または切り離された光ケーブル148は、いくらかの時間は熱いままの場合がある。図1は、光ケーブルと共に使用されている内視鏡、および光先端138を周囲環境に露出するために内視鏡から切り離された光ケーブル148の両方を例証する。
【0005】
この安全性の問題に対する現在の解決策は、手術室の看護師が、光源のスイッチを物理的に切るか、または光源を内視鏡交換中はスタンバイの状態にすることである。手術室の看護師が、滅菌野を損なうことができない、または多くの場合は、記録すること、および手術の他の側面で外科医および外科技術師を補佐することで忙しいために、このプロトコルは効果的ではない。
【0006】
したがって、大部分は回避可能な熱事象(thermal event)の燃料として作用する、光源から周囲環境への熱エネルギーの外への放射を低減するための、安全で効果的かつ効率的な手段が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明は、関連技術による限定および欠点に起因する問題のうちの1つまたは複数を回避する光ケーブルキャップを対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の利点は、光源ケーブルのためのキャップを提供することである。本キャップは、リング、シールド、およびブリッジを含むハウジングであって、ブリッジがリングからシールドまで延び、シールドが第1の位置から第2の位置へ移動可能である、ハウジングと、シールド内の断熱材(thermal insulator)と、を有する。
【0009】
光ケーブルキャップは、既存の内視鏡光ケーブルを覆って主として円周方向に結合するシリコーンハウジングを含み得、断熱材が、ケーブルの発光先端を覆って配置され得る。
【0010】
本発明の別の態様において、光源ケーブルと共に内視鏡を使用する方法であって、光源ケーブルが、リング、シールド、ブリッジ、およびシールド内の断熱材を有する光ケーブルキャップを含み、シールドが光源ケーブルの発光体に隣接する、方法は、シールドを光ケーブルキャップの軸方向から離れる方へ変位させることと、内視鏡を光源ケーブルに接続することと、シールドを解放することとを含む。本方法は、光源ケーブルから内視鏡を切り離すことと、シールドが発光体に隣接する元の位置まで戻ることを可能にすることとをさらに含み得る。本方法はまた、シールドを発光体の上に手動で再配置することをさらに含み得る。
【0011】
光ケーブルキャップのさらなる実施形態、特徴、および利点、ならびに光ケーブルキャップの様々な実施形態の構造および動作は、添付の図面を参照して以下に詳細に説明される。
【0012】
先述の概要および以下の詳細な説明の両方は、単に例示および解説であり、特許請求される発明を制限するものではないということを理解されたい。
【0013】
本明細書に組み込まれ、明細書の部分を形成する添付の図は、内視鏡手技のための光ケーブルキャップを例証する。説明と一緒に、図は、本明細書に説明される光ケーブルキャップの原理を説明するのにさらに役立ち、それにより、当業者が光ケーブルキャップを作製および使用することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】露出された光源ケーブルの欠点を例証する図である。
図2A】本発明の原理に従う光ケーブルキャップの実施形態の等角図である。
図2B】本発明の原理に従う光ケーブルキャップの実施形態の前面図である。
図2C】本発明の原理に従う光ケーブルキャップの実施形態の側面図である。
図2D】本発明の原理に従う光ケーブルキャップの実施形態の背面図である。
図2E】本発明の原理に従う光ケーブルキャップの実施形態の断面前面図である。
図2F】本発明の原理に従う光ケーブルキャップの実施形態の底面図である。
図3】本発明の原理に従う実施形態を例証する図である。
図4】本発明の原理に従う光ケーブルキャップの実施形態の上面図である。
図5】放熱用の通気穴を含むための本発明の態様を例証する図である。
図6】例示的な内視鏡光源ケーブルを覆う本発明の原理に従う光ケーブルキャップの実施形態の破断図である。
図7】例示的な内視鏡光源ケーブルを覆う本発明の原理に従う光ケーブルキャップの実施形態の破断図である。
図8】例示的な内視鏡光源ケーブルを覆う本発明の原理に従う光ケーブルキャップの実施形態の破断図である。
図9】光ケーブル上の本発明の原理に従う光ケーブルキャップの実施形態を例証する図である。
図10A】内視鏡を、本発明の原理に従う光ケーブルキャップを有する光源ケーブルに接続する、およびそこから切り離すステップを例証する図である。
図10B】内視鏡を、本発明の原理に従う光ケーブルキャップを有する光源ケーブルに接続する、およびそこから切り離すステップを例証する図である。
図10C】内視鏡を、本発明の原理に従う光ケーブルキャップを有する光源ケーブルに接続する、およびそこから切り離すステップを例証する図である。
図10D】内視鏡を、本発明の原理に従う光ケーブルキャップを有する光源ケーブルに接続する、およびそこから切り離すステップを例証する図である。
図11】本発明の原理に従って接続を促進するためにブリッジがどのように機能しシールドを変位させるかについてブリッジ部分の様々な関節運動様式を例証する図である。
図12】遮光部分が内視鏡を受け入れるように手動で作動され得る「ピッチャー」および「カン」設計を例証する図である。
図13】蓋特徴部、ならびにコネクタの側面に位置する空隙またはポートを含む「サイドポート」設計を例証する図である。
図14】内視鏡を接続する前にユーザがデバイスの側面へと蓋を回転させる「バケツ柄蓋」設計を例証する図である。
図15】平坦面のある楕円形スリットを有する「コインポーチ」設計であって、平坦面がスリットの縦軸に垂直である、設計を例証する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
これより、同様の参照番号が同様の要素を示す添付の図を参照して、光ケーブルキャップの実施形態について詳細に言及する。
【0016】
様々な修正および変異が本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく本発明においてなされ得ることは当業者には明らかである。したがって、本発明は、本発明の修正および変異が添付の特許請求項およびそれらの等価物の範囲内に入ることを前提として本発明の修正および変異を網羅することが意図される。
【0017】
図2Aは、本発明の原理に従う光ケーブルキャップ10の実施形態の等角図を例証する。図2Aに例証されるように、光ケーブルキャップ10は、略円筒状の外形を有する。外形は、例えば、限定するものではないが、長方形、楕円形、砂時計型など、特定の光源デバイス(図示されない)に適合するのに相応しいように円筒状とは異なる場合がある。光ケーブルキャップ10は、その外側の外形に対して指溝(finger grrove)をさらに含み得る。例えば、および例証から想像され得るように、光ケーブルキャップ10自体が、わずかにテーパ付けされた(円錐台形状の)外形を有し得る。円筒状を有する、またはわずかにテーパ付けされているため、例証される光ケーブルキャップ10は、略円形断面を有するが、特定の光源デバイス(図示されない)に適合するのに相応しい断面を有し得る。テーパ付けされた外形は、射出成形によるデバイスの製造を促進し得る。光ケーブルキャップ10の内側の外形は、円形など、光ケーブル上に十分にフィットする形状である。光ケーブルキャップ10の内面は、少なくとも、リングが光ケーブルに結合する領域内で、光ケーブル48上への光ケーブルキャップ10の設置を容易にするための内面粗度を有し得る。
【0018】
光ケーブルキャップ10は、図2A図2Fに例証されるように、2つのコンポーネント:内視鏡光ケーブル(図示されない)の光先端(図示されない)などの既存の光源(図示されない)を覆って結合するハウジング12、および光源/ケーブル(図示されない)の発光先端(図示されない)を覆って配置され得る断熱材16を含む。断熱材16はハウジング12と一緒に、光源ケーブルおよび発光先端(図示されない)から周囲環境へ逃げる熱および光エネルギーを実質的に減少させる光源ケーブル(図示されない)用の遮光を提供する。図示されないが、吸熱器が断熱材の代わりに使用されてもよい。
【0019】
ハウジング12は、少なくとも断熱材16の場所において断熱を提供する材料を含む。1つの実施形態において、ハウジング12は、医療用シリコーンであり得るが、バイトンのような熱可塑性エラストマもしくはゴムなどの他の好適な材料、または複数の材料で作製されてもよい。他の材料は、ガラス充填シリコーンなどの混合物を含む。限定するものではないが、そのような材料は、フルオロカーボンまたはペルフルオロカーボンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム、ネオプレン、ニトリルを含み得る。図2A図2Fに例証されるように、ハウジング12は、リング/リング部分またはカフ20、ブリッジ/ブリッジ部分24、およびシールド/シールド部分28を含む。図2A図2Fに見られるように、シールド部分28は、ブリッジ部分24によってリング部分20に接続される。例証される実施形態において、ハウジング12の少なくともリング部分20は、シリコーンなどの可撓性材料を含んで、リング部分20の内側が光を発しない領域において光源ケーブル(図示されない)に接し、摩擦ばめ(friction fit)により適所に保持されるように、リング部分20が光源ケーブル(図示されない)の端に嵌合されることを可能にする。摩擦ばめが例証されるが、ハウジング12は、締まりばめ、仮止接着剤、または他の知られている方法など、他の知られている方法により適所に保持されてもよい。光ケーブルキャップ10は、既存の内視鏡光ケーブルを覆って主として円周方向に結合し、例えば、リング/カフは、光先端の円周の大半を囲む「C」形状の断面を有し得る。ブリッジ部分24は、可撓性材料を含み得、また、リング部分20と一体であり得、例えば、射出成形プロセスにおいてリング部分20と一緒に形成され得る。例証されないが、光ケーブルキャップ10は、発光先端から離れるシールドの運動を促進し、内視鏡が取り外されたときにシールドを発光先端の上に戻すための複数のブリッジまたは複数の関節運動点を含み得る。内視鏡への装着のための光ケーブルキャップコンポーネントの「転置」は、例証される実施形態においてより詳細に説明されるように、適切な機械的運動によって実施され得る。ハウジングは、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリ乳酸(PLA)、熱可塑性プラスチック、熱硬化性樹脂など、あまり可撓性ではないか、または硬性/剛性である部分(リングまたはシールドまたはヒンジ連結されたブリッジ)を含み得る。剛性および可撓性コンポーネントの様々な組み合わせの例は、以下で表1内に提供される。
【0020】
【表1】
【0021】
図2A図2Fに例証されるように、ブリッジ部分24は、リング部分20の周縁およびシールド部分28の周縁に接続する。リング部分は、図3に例証されるように、ほぼシールド部分まで上に延びて、ユーザのための追加の熱保護を提供し得、すなわち、ユーザが触って握るためのより大きい光ケーブルキャップ表面積を提供する。
【0022】
ブリッジ部分の目的は、ユーザが、光ケーブルに接続されたままシールドを平行移動させることを可能にすることである。本発明の実施形態において、ブリッジおよびシールド部分は、異なる材料で作製される。ある態様において、ブリッジ材料は、リング材料と同じであるが、断熱材材料とは異なる。シールド内の断熱材を囲む材料は、ブリッジ部分およびリング部分と同じ材料であってもよい。本実施形態は、ブリッジおよびシールドが同じ製造プロセスにおいて一体であるように形成されることから、部品およびコンポーネントの数を低減して、製造を促進し、製造プロセスは、ブリッジ部分およびリング部分を同じ材料から作製することによっても促進され得る。材料が十分に低い熱伝導率を有するが可撓性のままであり高温で劣化しない場合、ブリッジおよびシールドは共に、同じ材料で作製され得、製造プロセスをさらに簡略化する。材料が高熱負荷に耐える能力を有して可撓性である場合、光ケーブルキャップ全体(ハウジングおよび断熱材)は、1つの部品として同じ材料で作製され得る。代替的に、デバイスのシールド部分全体が、単一の材料であり得、ブリッジおよびリングは別の材料である。この場合のブリッジとシールドとの間の接続部は異なる。図12に例証される例である、キャップが光ケーブルに装着されるときに光ケーブルに対して関節運動(articulate)をする非一体型ブリッジ部分など、シールドを平行移動する目的を達成するための他のブリッジ構成が可能である。例えば、変異形は、ピボットブリッジ、平行移動ブリッジ、回転ブリッジなどを含む。すなわち、シールド部分は、光先端を覆う第1の位置から、光先端から離れる第2の位置へ移動可能である、すなわち、第1の位置から第2の位置へ関節運動可能である。
【0023】
本実施形態において、ブリッジ部分は、シールドが発光先端から離れる方へ移動されることを可能にするために曲がる。その結果、ブリッジの材料は、比較的可撓性でなければならない。例えば、ShoreA範囲は、30A~100Aにわたると予測される。例えば、60Aは、効果的にはね返り、内視鏡装着中に変位するのが容易である。加えて、ブリッジは、可撓性を促進するために、一体丁番(living hinge)に類似したより薄い断面で設計され得る。
【0024】
光ケーブルの端の上にかぶさる完全なリングに代わって、現在開示される光ケーブルキャップの実施形態は、内視鏡に光を提供するための発光先端を露出するためにシールド部材が光ケーブルの発光先端から離れる方へ平行移動されることを可能にする、キャップを光ケーブルの一部分の上に保持するcクリップ、クランプ、または他の締結デバイスを含み得る。
【0025】
図2Bは、本発明の原理に従う光ケーブルキャップ10の前面図を例証する。図2Cは、本発明の原理に従う光ケーブルキャップ10の側面図を例証する。図2Dは、本発明の原理に従う光ケーブルキャップ10の背面図を例証する。図2Eは、本発明の原理に従う光ケーブルキャップ10の断面前面図を例証する。図2Fは、本発明の原理に従う光ケーブルキャップ10の底面図を例証する。図2A~Eに例証されるように、光ケーブルキャップ10の外側の側壁は、シールド部分28からシールド部分28の反対側のリング部分20の端まで3°±1°のテーパを有し得る。本実施形態は、射出成形による製造を促進するためのテーパを含む。テーパは光ケーブルキャップに必須ではなく、したがって、光ケーブルキャップ外形は、特にクランプもしくは他の締結デバイスが、光ケーブルキャップを光ケーブルに装着するためにリング部分の適所で使用される場合、またはブリッジ部分が機械的ピボット、回転、平行移動、もしくは同様のものによって関節運動される場合には、変化に富んだ外形など、円筒状、長方形、楕円形、砂時計型、または他の外形であり得る。
【0026】
以下により詳細に論じられるように、内視鏡手技において、1つの光源ケーブルが、手技中の異なる時間において異なる内視鏡(図示されない)と共に使用され得る。ブリッジ部分24またはブリッジ部分24の接続部は、シールド部分28が光源ケーブル(図示されない)の端から変位されて、内視鏡(図示されない)から離れる方へ押されることを可能にして、光源ケーブル(図示されない)が内視鏡(図示されない)に光を提供することを可能にするために十分に可撓性である。内視鏡が光源ケーブル(図示されない)から取り外されるとき、ブリッジ部分24またはブリッジ部分24の接続部およびシールド部分28の材料の弾力性が、シールド部分28が光ケーブルの発光先端38の近くの位置に戻って(図6を参照)発せられる光を完全にまたは部分的にブロックすることを可能にする。いくつかの態様において、シールド部分28位置は、発光先端(図示されない)を覆う特定の配置のために手動で調節され得る。
【0027】
図4は、本発明の原理に従う光ケーブルキャップ10の上面図を例証する。図4に例証されるように、シールド部分28は、光源ケーブル(図示されない)の断面を模倣するために略円形の断面を有する。少なくとも図6および図7に示されるように、シールド部分28は、シールド部分が光ケーブルの端を覆って配置されるときに中に発光先端38が伸びる開口部または凹部34を含み得る。開口部34は、発光先端を受けることが意図されるシールドの表面から断熱材16まで延び得る。加えて、開口部/凹部34は、図6に例証されるように、開口部/凹部内に光源ケーブル端36の発光先端38を受容するように形作られ得る。
【0028】
図2Eに例証されるように、ハウジング12のシールド部分28は、その中に断熱材16を含む。シールド28は、セラミックまたはガラス充填シリコーンなどの耐高温材料の遮熱材/断熱材16を含む。特に興味深いのは、必須ではないが、ガラスおよびセラミックベースの材料であり、これは、従来の熱可塑性プラスチックおよび熱硬化性樹脂と比較した際のそれらの高い断熱特性に起因する。いくつかの用途において、発せられた光との直接相互作用を促進するために、断熱材16は、昇温に耐え、熱およびエネルギーが熱的に敏感な周囲へ逃げることを防ぐために、低い熱伝導率を有する。遮熱材/断熱材16は、製造を促進するためにディスク形状を有し得、高温に耐えることができる医療用セラミックまたはプラスチック材料で作製され得る。断熱材16のための例示的な材料は、セラミック(例えば、ジルコニア、酸化アルミニウム、YTB)、またはセラミック複合体もしくは発泡体、Vespelポリマー、ガラス充填シリコーン材料、バイトン、テフロン、任意のガラス充填ポリマー、ポリイミドもしくはポリイミドベースのプラスチック、フルオロエラストマー、または同様のものである。他の好適な材料は、熱導体または吸熱器として作用する金属を含む。セラミック特性は、光ケーブルキャップ10の一部分が放射線不透過性であることを可能にし、例えば、セラミックの放射線不透過性の性質は、体内の光ケーブルキャップ10の存在を確認するためのX線で明らかになり得る。光ケーブルキャップ10の他の部分は、同じ目的のために放射線不透過性にされ得る。断熱材の材料は、断熱材が発泡体様の内部気泡であるようなものであり得る。
【0029】
図9Bまたは図10Cでは、追加の凹部または開口部32が、シールド28の上面から断熱材16の上面まで延び得る。凹部32が断熱材16までずっと延びるか否かにかかわらず、開口部の厚さ(または凹部の場合は低減された厚さ)は、発光先端が照明されているか否かをユーザが見ることを可能にするために、シールドの上部を通るいくらかの光漏出を可能にする。ハウジングはまた、熱を放散するため、ならびにハウジングのオーバーモールド製造および遮熱材の適用を助けるために、ハウジングのシールド部分内に1つまたは複数の「通気穴」18を含み得る。
【0030】
図6は、例示的な内視鏡光源ケーブル48を覆う本発明の原理に従う光ケーブルキャップ10の破断図を例証する。図6に例証されるように、光ケーブル48の端に嵌合されると、リング部分20は、内視鏡発光体ハウジング40の一部分の周りに延び、ブリッジ部分24は、発光体ハウジング40に隣接する。断熱材16を有する光ケーブルキャップ10のシールド部分28は、内視鏡光源の発光先端38に隣接する。この実施形態に例証されるように、断熱材16は、発光先端38に直接的に近接する。
【0031】
本発明の実施形態において、ハウジング12は、リング部分20、ブリッジ部分24、およびシールド部分28が一体であるように射出成形により形成される。射出成形プロセスは、ハウジング12が遮熱材/断熱材16を覆って形成され、その結果、遮熱材/断熱材がハウジング12内に埋め込まれるように、遮熱材/断熱材16をオーバーモールドすることを組み込み得る。
【0032】
図7および図8は、様々な製造業者の例示的な「既製の」内視鏡光源ケーブルを覆う本発明の原理に従う光ケーブルキャップの実施形態の破断図を例証する。
【0033】
図9A図9Bは、光ケーブル上の本発明の原理に従う光ケーブルキャップを例証する。
【0034】
図10A図10Dに例証されるように、本発明の原理に従う光ケーブルキャップ10は、内視鏡交換の間に切り離される、または再接続される必要はない(図10A)。動作中、シールド部分28は、シフトされる、平行移動される、変位される、ヒンジ連結される、ピボットされる、または別のやり方で「転置(transplacing)」される等であり、シールド部分28およびブリッジ部分24は、光源ケーブル48への内視鏡44の接続を受け入れるために光ケーブルキャップの軸方向から離れる(図10B)。光源ケーブル48への内視鏡44の接続は、内視鏡を光源ケーブルに装着するための光源ケーブル48上のアダプタと一緒にハウジング12を回転させることによって促進され得る。光源ケーブル端は、典型的には、光源ケーブルを装着するために内視鏡を回転させる代わりに、内視鏡との接続を固定するために回転される。典型的には、光源ケーブル端は、内視鏡への損傷の可能性を低減するために、内視鏡の代わりに回転される部分であり、これは、内視鏡がプロセスにおいて損傷された場合には、内視鏡を置き換える費用の方が比較的高いことが理由である。内視鏡44が光源ケーブル48に接続されると、内視鏡44は、手術用途のために使用され得る(図10C)。
【0035】
光ケーブルキャップ10は、医学的手技全体を通して光ケーブルと対になったままであり、内視鏡交換中にさえも、照明が点いたままである光源から発せられる光を積極的にブロックする。ハウジング12の組成に起因してこの機能的特性を達成することが可能である。例証される実施形態において、ハウジング12は、可撓性60ShoreAデュロメータのシリコーンゴムで作製され、これにより、光ケーブルへの制約のない内視鏡受容および適切な内視鏡接続の可視性を可能にするために外科医が遮光シールド28をピボットすることが可能になる(図10B)。光ケーブル48からの内視鏡44の切り離しの際、断熱材ディスク16を有するシールド28は、強い光がブロックされるその元の位置まで戻る(図10D)。
【0036】
図11(a)~(d)は、本発明の原理に従って接続を促進するためにブリッジがどのように機能しシールドを変位させるかについてブリッジ部分の様々な関節運動様式を例証する。図11(a)は、シールド部分が「跳ね上がって」発光先端から離れることを可能にするために、ブリッジ部分が発光先端から離れる方へ曲がることができることを例証する。図11(b)は、シールドが発光先端から離れる方へ「回転される」ことを可能にするためにブリッジが「ねじられ」得ることを例証する。図11(c)は、シールド部分が「跳ね上がって」発光先端から離れることを可能にするために、ブリッジがヒンジ連結またはピボットされ得ることを例証する。図11(d)に例証されるように、ヒンジまたはピボット30の様々な構成が、シールド部分が発光先端から離れる方へ傾けられることを可能にするために利用され得る。例えば、ブリッジ部分を形成するエラストマの形成は、断面変形のためのすべてに相応しい場所においてはより薄くされ得、この断面変形はこうして一体丁番を作成する。発光先端(図示されない)に対するシールド部分の他の動きは、従来の機械的なヒンジ、ピボット、または他の平行移動機序を作成すること、またはハウジングを構成するエラストマもしくは材料の種類および厚さを変化させることのいずれかによって可能である。
【0037】
本発明の原理に従う光ケーブルキャップの追加の実施形態は、図12図15に例証される。
【0038】
図12Aおよび図12Bは、遮光部分が内視鏡を受け入れるように手動で作動され得る「ピッチャー」または「カン」設計を例証する。ブロック特徴部は、内視鏡が取り外されると元の場所に戻る。図12に例証されるように、「リング部分」は、光ケーブル先端(図示されない)に嵌合され得る略円筒状のハウジング220である。シールド228は、テザー(tether)または一体丁番230により円筒状ハウジング220に連結される。シールド228は、別個の断熱材(図示されない)を含み得る。テザー230は、シールド228が、円筒状ハウジング220の上部における光ポート/穴/開口部270への、およびそこからの、シールドのヒンジ連結、動作、関節運動を行うことを可能にする。図12Bは、内視鏡への接続を可能にするために作動され得るか、または手動で開けられ得る蓋設計の追加の変異形を例証する。内視鏡が切り離されるときに光ファイバをブロックするためにすべてが元に戻る。
【0039】
図13は、蓋特徴部328ならびにコネクタハウジング320の側面に位置する空隙またはポート372を含む「サイドポート」設計を例証する。空隙またはポート372は、見ることを可能にする。蓋328は、内視鏡コネクタ/光先端(図示されない)を空隙372内へ挿入して、正しい配向へと手動で回転させることによって、くさび形に開口される。切り離しの際に、蓋328が閉じて、光ファイバをブロックする。
【0040】
図14は、内視鏡(図示されない)を接続する前にユーザがデバイスハウジング420の側面へと蓋428を回転させる「バケツ柄蓋(bucket handle lid)」設計を例証する。蓋自体は、シールドが発光先端から離れ、内視鏡が取り外されるときに発光先端の上に戻る動きを促進するために、関節運動のための単一もしくは複数のブリッジもしくはアーム430および/または複数の関節運動点を含み得る。ブリッジ/アーム430は、シールド428およびハウジング420の周りに均一または不均一に配置され得、これは、シールドが接続のために内視鏡の上で回転する機序を提供する。シールド/蓋428は、他の説明される実施形態のように、断熱材を含み得るか、または断熱材は、シールド/蓋部分428から分離され得る。切り離しの後、蓋は上部に戻り、光ファイバをブロックする。
【0041】
図15は、光ケーブルキャップハウジング520の上面528内に楕円形スリット574を有する「コインポーチ(coin pouch)」設計を例証する。スリットは、スリットの縦軸に垂直の平坦面を有する。スリットはまた、線形であってもよい。平坦面上が圧迫されると、デバイスのスリットは、内視鏡の接続を可能にする円形または他の適切な形状の空隙へと形状が変化する。切り離しおよび任意の外力の解放の後、デバイスは、上面において同じスリット形状へと戻り、光ファイバの光をブロックする。
【0042】
本発明の様々な実施形態が上に説明されているが、それらは単に例として提示され、制限ではないことを理解されたい。形態および詳細における様々な変更が、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなくなされ得ることは当業者には明らかである。したがって、本発明の幅および範囲は、上に説明される例示的な実施形態のいずれかによって制限されるべきではなく、以下の特許請求項およびそれらの等価物によってのみ規定されるべきである。
【符号の説明】
【0043】
10 光ケーブルキャップ
12 ハウジング
16 遮熱材/断熱材
18 通気穴
20 リング/リング部分/カフ
24 ブリッジ/ブリッジ部分
28 シールド/シールド部分
34 開口部/凹部
38 発光先端
40 発光体ハウジング
44 内視鏡
48 光源ケーブル/光ケーブル
138 発光先端
148 光源ケーブル
152 トロカール
154 光源デバイス
156 カメラケーブル
160 患者
162 ドレープ
220 ハウジング
228 シールド
230 一体丁番/テザー
320 コネクタハウジング
328 蓋/蓋特徴部
372 空隙/ポート
420 デバイスハウジング
428 シールド/蓋
430 ブリッジ/アーム
520 光ケーブルキャップハウジング
528 上面
574 スリット
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図11
図12
図13
図14
図15