(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-14
(45)【発行日】2022-10-24
(54)【発明の名称】カテーテルシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 17/22 20060101AFI20221017BHJP
【FI】
A61B17/22
(21)【出願番号】P 2019544047
(86)(22)【出願日】2018-08-27
(86)【国際出願番号】 CN2018102424
(87)【国際公開番号】W WO2019184222
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-05-27
(31)【優先権主張番号】201810956079.3
(32)【優先日】2018-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519292811
【氏名又は名称】オーバスネイチ・メディカル(シェンゼン)・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ブライアン・ピン・イェン
(72)【発明者】
【氏名】ル、リズホン
(72)【発明者】
【氏名】オウヤン、ジュンシオン
【審査官】山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-523172(JP,A)
【文献】特開2017-113209(JP,A)
【文献】特表2015-517393(JP,A)
【文献】特開2016-187616(JP,A)
【文献】特表2008-538190(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0200603(US,A1)
【文献】特表2017-523880(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0317528(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0072957(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0276749(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0045219(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/22
A61B 17/34
A61M 25/00
A61M 25/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つの内腔と、一つの近位端と、一つの遠位端と、一つの上記の
近位端の底部に配置されている開口
(11)を有する一つのカテーテルヘッド
(10)と、
一つの円弧形の開口
(21)が設けられている先端を有し、上記のカテーテルヘッド(10)の遠位端の内腔に配置されている回転可能な内管
(20)と
、
上記の回転可能な内管(20)の内腔内に配置されているガイドワイヤ(50)と
を含み、
ここで、上記の回転可能な内管
(20)を回転させることにより、その上の上記の円弧形な開口
(21)は上記のカテーテルヘッド
(10)の
近位端の底部の上記の開口
(11)と連通する、あるいは連通しない
、および
上記の回転可能な内管(20)の上記の円弧形の開口(21)が上記のカテーテルヘッド(10)の上記の開口(11)に連通するか連通しないかに応じて、上記の回転可能な内管(20)を回転させて、上記のガイドワイヤ(50)はそれぞれ上記の回転可能な内管(20)のガイド経路に沿って下に向かって上記の開口(11)から出る、または上記の回転可能な内管(20)のガイド経路に沿って上に向かって上記のカテーテルヘッド(10)の近位端の内腔に入るカテーテルシステム。
【請求項2】
請求項
1の上記のカテーテルシステムにおいて、上記のカテーテルヘッド
(10)の上記の開口
(11)には、下向きに傾斜する第1の斜め肩
(12)が配置されており、上記のガイドワイヤ
(50)は、上記の回転可能な内管
(20)のガイド経路に沿って上記の第1の斜め肩
(12)と衝突した後、下向きに上記の開口
(11)から出る。
【請求項3】
請求項
2の上記のカテーテルシステムにおいて、上記のカテーテルヘッド
(10)は、上記の開口
(11)のところから湾曲して
いる。
【請求項4】
請求項
2の上記のカテーテルシステムにおいて、上記の第1の斜め肩
(12)は、垂直方向に対して約30-60°の角度を有する。
【請求項5】
請求項
2の上記のカテーテルシステムにおいて、上記のガイドワイヤ
(50)は上記の回転可能な内管
(20)のガイド経路に沿って上記の第1の斜め肩
(12)と衝突した後、水平面に対して約70°-90°の角度で上記の開口
(11)から出る。
【請求項6】
請求項1の上記のカテーテルシステムにおいて、上記の回転可能な内管
(20)の軸方向に対して、上記の円弧形の開口
(21)の断面の傾斜角度は約2-8°である。
【請求項7】
請求項1の上記のカテーテルシステムにおいて、上記の円弧形の開口
(21)は一つの遠位端を含み、上記の遠位端には一つの傾斜した第2の斜め肩
(22)が設けられており、
上記のガイドワイヤ
(50)は上記のガイド経路に沿って上記の第2の斜め肩
(22)と衝突した後、下向きに上記の開口
(11)から出
、かつ
上記のガイドワイヤ(50)は上記の回転可能な内管(20)のガイド経路に沿って上記の第2の斜め肩(22)と衝突した後、上記のガイドワイヤ(50)は水平面に対して約70°-90°の角度をなして上記の開口(11)から出る。
【請求項8】
請求項
7の上記のカテーテルシステムにおいて、上記の第2の斜め肩
(22)は水平面に対して約15-45°の角度を有する。
【請求項9】
請求項1の上記のカテーテルシステムにおいて、更に2つの翼部
(13)を含み、その2つの翼部
(13)は、上記のカテーテルヘッド
(10)の2つの対向する側に流線形に配置されている。
【請求項10】
請求項
9の上記のカテーテルシステムにおいて、上記の翼部
(13)は対称的に上記のカテーテルヘッド
(10)の両側に平行に配置されており、かつ上記の翼部
(13)は前方から後方にかけて徐々に広くなってから徐々に狭くなっている。
【請求項11】
請求項
9の上記のカテーテルシステムにおいて、上記の各翼部
(13)はそれぞれ一本の弧線を上記のカテーテルヘッド
(10)の
中心軸線から両側に向かって約75°で湾曲させることにより形成されている。
【請求項12】
請求項1の上記のカテーテルシステムにおいて、上記の回転可能な内管
(20)は上記のカテーテルヘッド
(10)の内腔で360°で回転することができる。
【請求項13】
請求項1の上記のカテーテルシステムにおいて、更に、一つのサポート管
(30)を含み、上記のサポート管
(30)は上記のカテーテルヘッド
(10)の近位端に接続されている。
【請求項14】
請求項
13の
カテーテルシステムにおいて、上記のサポート管
(30)は内層
(33)と、中間層
(32)と、外層
(31)からなる三層構造であり、上記の内層
(33)は網状に構造され、上記の中間層
(32)は螺旋状に構造されている。
【請求項15】
請求項1の上記のカテーテルシステムにおいて、更に一つのTIP先端
(40)を含み、上記のTIP先端
(40)は上記のカテーテルヘッド
(10)の
遠位端に連接されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は介入医療機械分野に属し、医療用カテーテルシステムに関して、特に、血管偽腔を真腔に再入するためのカテーテルシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
慢性完全閉塞病変(chronic total occlusion, CTO)は、手術が困難なため、ずっと経皮的冠状動脈形成術(percutaneous coronary intervention, PCI)において克服されてない技術的な砦とされてきた。しかし、人々のCTOに対する認識が深くなり、技術経験の蓄積と特殊な器械の出現につれて、CTOに対するPCIの成功率はすでに大幅に改善され、その上、PCIに対する手術策略も標準化されるようになっている。ガイドワイヤの走行経路により、現在のCTOに対するPCIは、2つの治療戦略があり、一つは真腔から閉塞部位を直接的に通過する真腔に到達するというガイドワイヤアップグレード戦略であり、もう一つは切開及びリエントリーDART(dissection and re-entry techniques)である。そしてガイドワイヤがCTOを通る方向によって、上記の戦略は更に順行性及び逆行性アプローチに分けられる。
【0003】
既存のDART関連技術は、主に順行性ガイドワイヤが偽腔を通過して真腔に戻る技術であり、それは1)内膜下の追跡および突入(subintimal tracking and re-entry,STAR)技術と、2)コントラストによりガイドされたSTAR技術(contrast-guided STAR)と、3)mini-STAR技術或いは制限された順行性内膜下の追跡技術(limited antegrade subintimal tracking technique, LAST)と、4)Stingrayシステムとを含む。1)内膜下の追跡および突入(subintimal tracking and re-entry,STAR)技術は、最も早いDART技術(Colombo A, Mikhail G W, Michev I, et al. Treating chronic total occlusions using subintimal tracking and reentry: the STAR technique[J]. Catheter Cardiovasc Interv,2005,64(4):407-411, 412.3)であり、2005年で正式的にColomboにより提出された。この技術は、STAR技術により、ガイドワイヤが内膜下領域から真腔に再進入する突破口は閉塞部位から遠い血管の分岐部にあることが多いため、偽腔の長さが遠位繊維性被膜を大幅に超えることにより、非閉塞周囲にある分岐血管に急性閉塞症を引き起こし得る。2)ガイド付きコントラストのSTAR技術(contrast-guided STAR)は、2008年にCarlinoより初めて提出された「簡単化されたSTAR技術(Carlino M, Godino C,Latib A, et al. Subintimal tracking and re-entry technique with contrast guidance: a safer approach[J]. Catheter Cardiovasc Interv,2008,72(6):790-796.36)であり、「改善されたSTAR技術」とも称され、その動作原理はマイクロカテーテルによる閉塞部位の内部に押し込まれた造影剤を採用して、疎性内膜下組織を分解して、可視挟層を形成することにより、作業ガイドワイヤの進行を誘導することである。このような真腔の再入技術(典型的なSTAR技術と改善されたSTAR技術とを含む)は、常に順行性アプローチ法と逆行性アプローチ法が失敗した場合にのみ採用される。3)mini-STAR技術或いは制限された順行性内膜下の追跡技術(limited antegrade subintimal tracking technique, LAST)において、mini-STAR技術も一種類の改善されたSTAR技術であり、Galassiにより2012年に正式的に提出され(Galassi A R, Tomasello S D, Costanzo L, et al. Mini-STAR as bail-out strategy for percutaneous coronary intervention of chronic total occlusion[J]. Catheter Cardiovasc Interv,2012,79(1):30-40.3)、当該の技術はFielderFCかXTガイドワイヤを採用し、その動作原理は基本的にクラシックなSTAR技術と同じ、主な区別はmini-STAR技術による形成された挟層範囲が比較的に短く、ガイドワイヤが真腔に再入する”突破口”が極めてCTO病変部位の遠位繊維製被膜に近いことにある。4)Stingrayシステムにおいて、Boston Scientific会社により生産されたStingrayシステムはバルーンと誘導ガイドワイヤとを含む、専門的に偽腔を真腔に再入するために用いられる特殊器具であり、CrossBossカテーテルと組み合わせて或いは単独で使用され得る。CrossBossカテーテル、StingrayバルーンとガイドワイヤはともにBoston Scientific社製のBridgePointシステムを構成し、BridgePointシステムは順行性のCTO専用器具として、主に遠位標的血管が現像でき、しかも直径が相対的に粗大なCTO病変に適用されている(Werner G S. The BridgePoint devices to facilitate recanalization of chronic total coronary occlusions through controlled subintimal reentry[J]. Expert Rev Med Devices,2011,8(1):23-29.36)。
【0004】
現在、上記された既存の順行性ガイドワイヤの偽腔を介して真腔に再入する技術に存在する主な欠陥は、以下の点である:1)ガイドワイヤが真腔に再入する時の位置は、大部分が閉塞部位から遠い血管の分岐にあるため、医者は正確な位置決めが困難で、それで、真腔に再入した後の偽腔の長さは、遠位線維性被膜より大幅に長くなり、非閉塞周囲にある分枝血管に急性閉塞症を引き起こし得る;2)ガイドワイヤが血管中間層に入った後、医者はカテーテルを押し込む途中で、ガイドワイヤの先端が直線的な経路で前進することが難しく、屈曲して或いは絡んで血管の内壁層に覆いやすい、或いは、医者による不適切な力の把握のため、血管の外皮、つまり、外膜と中膜を通貫し、患者内出血、重篤馬な場合は致命的となる可能性もある;3)既存の器具を採用する医者は一般に、既存の器具を完全閉塞区域に通貫して真腔血管に再入することに必要とする手術時間は多く、手術時間が多いほど患者への損害が多くなる。したがって、ガイドワイヤを、CTO病変を容易に通過させ、かつ真腔に誘導することを補助するツールを開発する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明の主な目的は、既存のガイドワイヤ介入治療の手術において、ガイドワイヤの操作が困難で、位置決めが不正確で、操作時間が長いことによる介入治療のリスクが大きい問題に対して、一種類の医療用カテーテルシステムを提供する。
【0006】
本発明は以上の既存技術において、ガイドワイヤが真腔に再入する時に存在する、操作が困難で、位置決めが不正確で、操作時間が長い及び分枝血管に急性閉塞症と内出血を発生する問題を解決するために、また、血管偽腔を速やかに正確で低リスクで真腔に再入するカテーテルシステムと方法を提出する。
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の技術方案を採用する。
本発明に係る実施形態は、カテーテルシステムを提供し、
一つの内腔と、一つの近位端と、一つの遠位端と、一つの上記の遠位端の底部に配置された開口とを含むカテーテルヘッドと、
一つの先端を含み、上記の先端に円弧形の開口が配置され、上記のカテーテルヘッドの近位端の内腔に配置される回転可能な内管とを含み、
その中で、上記の回転可能な内管を回転して上記の円弧形の開口を上記のカテーテルヘッドの遠位端にある上記の開口と繋がる或いは繋がらないことが可能である。
【0008】
いくつかの実施形態において、上記のカテーテルシステムは更に、
上記の回転可能な内管の内腔に配置されるガイドワイヤを含み、
ここで、上記の内管の円弧形の開口が、上記のカテーテルヘッドの開口と繋がるか繋がらないかによって、上記の回転可能な内管を回転させて、上記のガイドワイヤが、それぞれに上記の回転可能な内管のガイド経路に沿って下向に上記の開口から出ていく、或いは、上記の回転可能な内管のガイド経路に沿って上向きに上記のカテーテルヘッドの遠位端の内腔に入ることができる。
【0009】
いくつかの実施形態において、上記のカテーテルヘッドの上記の開口に、一つの下向きに傾斜した第1の斜め肩が設けられ、上記のガイドワイヤは上記の回転可能な内管のガイド経路に沿って上記の第1の斜め肩と衝突した後、下向きに上記の開口から通す。
【0010】
上記のカテーテルヘッドは上記の開口から湾曲し、その内腔は第1部分と第2部分を含み、第1部分はわずかに上方に持ち上げられ、第2部分は平行に配置されている。いくつかの実施形態において、上記の第1部分は約2-8°だけ持ち上げられ、上記の第2部分は平行に配置される。さらなる実施形態において、上記の第1の斜め肩が垂直方向に対する角度が約30-60°となる。上記のガイドワイヤは、上記の回転可能な内管のガイド経路に沿って上記の第1の斜め肩と衝突した後、水平面に対して約70-90°の角度で上記の開口から出る。
【0011】
上記の円弧形の開口の断面は、上記の回転可能な内管の軸線に対する角度が2-8°である。
【0012】
いくつかの実施形態において、上記の円弧形の開口は一つの遠位端を含み、上記の遠位端には傾斜した第2の斜め肩が配置され、上記のガイドワイヤは上記のガイド経路に沿って上記の第2の斜め肩と衝突した後、下向きに上記の開口から通す。
【0013】
上記の第2の斜め肩は、水平方向に対する角度が約15-45°となることができる。
【0014】
上記のガイドワイヤは、上記の回転可能な内管のガイド経路に沿って上記の第2の斜め肩と衝突した後、水平面に対して約70-90°の角度をなして上記の開口から通すことができる。
【0015】
いくつかの実施形態において、上記のカテーテルシステムは2つの翼部を含み、それは上記のカテーテルヘッドの両側にそれぞれ流線形に配置される。上記の2つの翼部は、対称的に上記のカテーテルヘッドの両側に平行に配置され、上記の翼部は、前から後にかけて徐々に広がってから徐々に狭くなり、上記の翼部は、一本の弧線を上記のカテーテルヘッドの両側に向けて約75°で湾曲することにより形成されてもよい。
【0016】
いくつかの実施形態において、上記の回転可能な内管は上記のカテーテルヘッドの内腔で360°で回転可能である。上記のカテーテルシステムは更に、一つのサポート管を含み、それは上記のカテーテルヘッドの近位端に接続される。上記のサポート管は内層と、中間層と、外層とからなる三層構造であってもよく、上記の内層は網状構造であり、上記の中間層は螺旋状構造である。上記のカテーテルシステムは、さらに一つの上記のカテーテルヘッドの遠位端に接続されるTIP先端を含む。
【0017】
本実施形態は更に、血管偽腔を真腔に再入するカテーテルシステムを提供し、上記のカテーテルシステムは、一つの内腔と、一つの近位端と、一つの遠位端と、一つの下向きに傾斜する第1の斜め肩と、一つの上記の第1の斜め肩に対向し、上記の第1の斜め肩に隣接して上記の近位端の底部に配置された開口とを含む一つのカテーテルヘッド、及び上記のカテーテルヘッドの近位端の内腔に配置され、近位端と一つの円弧形の開口を有する遠位端とを含む回転可能な内管を含む。上記の回転可能な内管を円弧形の開口が上向きになる位置まで回転させた後、上記の回転可能な内管の内腔にあるガイドワイヤは、上記の回転可能な内管のガイド経路に沿って上記のカテーテルヘッドの遠位端の内腔に入ることができ、或いは、上記の回転可能な内管を、円弧形の開口が下向きになる位置まで回転させた後、上記の回転可能な内管にあるガイドワイヤは、上記の回転可能な内管のガイド経路に沿って上記の第1の斜め肩と衝突した後、下向きに上記の開口から通す。
【0018】
いくつかの実施形態において、上記の湾曲状のカテーテルヘッドの内腔は一つの第1部分と一つの第2部分を有し、上記の第1部分はわずかに約3-6°持ち上げられ、上記の第2部分は平行に配置される。いくつかの実施形態において、上記の湾曲状のカテーテルヘッドの外径が約0.54mmより小さく、内径が約0.48mmである。上記の湾曲状のカテーテルヘッドの頂部と底部の間の最大の垂直高さが、約1mmより小さくてもよい。上記の第1の斜め肩の垂直方向に対する角度が約45°である。
【0019】
さらなる実施形態において、上記のカテーテルシステムはまた、2つの翼部を含み、それは上記のカテーテルヘッドの対向する両側にそれぞれ流線形に配置される。いくつかの実施形態において、上記の翼部が平行に対称的に上記のカテーテルヘッドの両側に配置され、かつ上記の翼部が前方から後方にかけて徐々に広がってから徐々に狭くなる。上記の翼部は、一本の弧線を上記のカテーテルヘッドの対向する両側に向かって75°の角度をなして湾曲することにより形成される。上記の翼部の遠位端の始めどころの幅は、約0.9mm以下であってよい。上記の翼部が拡張した最大の幅は、約2.4mm以下であってもよい。上記の翼部と上記のカテーテルヘッドの間の最大の垂直高さが、約1.25mmより小さくてもよい。
【0020】
いくつかの実施形態において、直径が0.014in-0.018inのカテーテルのガイドワイヤを採用する。
【0021】
好ましくは、上記の回転可能な内管は、上記のカテーテルヘッドの内腔で360°で回転する。上記のガイドワイヤは、上記の回転可能な内管のガイド経路に沿って上記の第1の斜め肩と衝突した後、水平面に対して約70-90°の角度で上記の開口から通す。いくつかの実施形態において、上記の回転可能な内管の上記の円弧形の開口が、上記の回転可能な内管の軸線に対する傾斜角度が約4°-5°である。上記の回転可能な内管の遠位端はニッケルチタン合金の材質、近位端は金属の材質であり、近位端と遠位端は溶接の方式によって一体と接続され得る。
【0022】
上記のカテーテルシステムは更に、一つのサポート管を含み、それは上記のカテーテルヘッドの近位端に接続される。いくつかの実施形態において、上記のサポート管は内層と、中間層と、外層からなる三層構造であり、上記の内層は網状構造であり、上記の中間層は螺旋状構造である。上記のサポート管の壁厚さが約0.004inである。
【0023】
上記のカテーテルシステムはさらに上記のカテーテルヘッドの遠位端に接続されるTIP先端を含む。
【0024】
本発明の実施形態は一種類のカテーテルヘッドと回転可能な内管の血管偽腔を採用して速やかに、正確に低リスクに真腔に再入する方法を提供し、上記のカテーテルヘッドは、一つの内腔と、一つの開口と、一つの第1の斜め肩とを有し、上記の内管は一つの円弧形の開口を有し、上記のカテーテルヘッドの内腔に配置される遠位端を含む。上記の方法は具体的に以下のステップを含む。
ステップ1、回転可能な内管を、円弧形の開口が上向きになる位置まで回転させた後、第1のガイドワイヤを回転可能な内管の中に挿入し、それにカテーテルヘッドに押し込むことにより、カテーテルヘッドを第1のガイドワイヤによる敷かれた偽腔に入る経路を介して血管の偽腔の完全閉塞区域に入らせる;
ステップ2、マイクロカテーテルを押して、直線的に完全閉塞区域を通過させて、カテーテルヘッドの第1の斜め肩が完全閉塞区域を過ぎたばかりの位置に置いてから、第1のガイドワイヤを外す;
ステップ3、引き続き回転可能な内管を、円弧形の開口が下向きになる位置まで回転させて、第2のガイドワイヤを回転可能な内管に挿入してカテーテルヘッドまで押して、第2のガイドワイヤを、カテーテルヘッドの第1の斜め肩と衝突させた後、下向きに通過させることにより、血管真腔に再入することを完成する。
【0025】
いくつかの実施形態において、上記の第1のガイドワイヤの直径が0.018inである。上記の第2のガイドワイヤの直径が0.014inである。上記の第2のガイドワイヤは上記の第1の斜め肩と衝突した後、水平面に対して約70°-90°の角度で上記の開口から通す。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、本発明に係るカテーテルシステムの全体構造を示す概略図である。
【
図2】
図2は、本発明に係るカテーテルシステムの正面図である。
【
図3】
図3は、本発明に係るカテーテルシステムの概略上面図である。
【
図4】
図4は、本発明に係るカテーテルシステムの断面図である。
【
図5】
図5は、本発明に係るカテーテルシステムの組立構造の概略図である。
【
図6】
図6は、本発明に係るカテーテルシステムにおけるカテーテルヘッドの概略上面図である。
【
図7】
図7は、本発明に係るカテーテルシステムにおけるカテーテルヘッドの概略断面図である。
【
図8】
図8は、本発明に係るカテーテルシステムにおけるカテーテルヘッドの概略底面図である。
【
図9】
図9は、本発明に係るカテーテルシステムの翼部の幅を示す概略図である。
【
図10】
図10は、本発明に係るカテーテルシステムにおけるカテーテルヘッドの高さを示す概略図である。
【
図11】
図11は、本発明に係るカテーテルシステムにおける回転可能な内管の概略正面図である。
【
図12】
図12は、本発明に係るカテーテルシステムにおける回転可能な内管の概略断面図である。
【
図13】
図13は、本発明に係るカテーテルシステムにおける回転可能な内管の概略上面図である。
【
図14】
図14は、本発明に係るカテーテルシステムにおける回転可能な内管の偏心円腔道が下を向いている場合の概略図である。
【
図15】
図15は、
図14に示したカテーテルシステムの偏心円腔道が下向きになっているときのガイドワイヤの動作状態を示す概略図である。
【
図16】
図16は、本発明に係るカテーテルシステムにおける回転可能な内管の偏心円腔道が上を向いた場合の概略図である。
【
図17】
図17は、
図16に示したカテーテルシステムの偏心円腔道が上向きになる場合のガイドワイヤの動作状態を示す概略図である。
【
図18】
図18は、本発明に係るカテーテルシステムにおけるサポート管の構造の概略図である。
【
図19】
図19は、本発明に係るカテーテルシステムにおけるサポート管の概略断面図である。
【
図20】
図20は、本発明に係るカテーテルシステムが完全閉塞区域を通過する状態の概略図である。
【
図21】
図21は、本発明に係るカテーテルシステムの血管偽腔における動作状態の概略図である。
【
図22】
図22は、本発明に係るカテーテルシステムの血管偽腔における別の動作状態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は一種類のカテーテルシステムを提出し、血管性病変の介入治療或いは腫瘍の介入治療に広範に応用できる。更に具体的には、一種類の血管偽腔が高速で正確で低リスクで真腔に戻るカテーテルシステムと方法を提供し、このカテーテルシステムは医師の手技の難しさを減らし、手技時間を短縮し、分枝血管の急性閉塞と内出血を引き起こすことを回避し得る。
【0028】
例えば、血管性病変の中で、各種の原因による血管狭窄閉塞、腎臓動脈、鎖骨下動脈、腸骨動脈及び下肢のアテローム性動脈硬化プラーク狭窄、様々な動脈瘤及び動静脈奇形、大腿骨頭壊死などは、ステント留置術、バルーン拡張術、血管内塞栓術、その他の介入方法などにより、臨床症状を明らかに改善することができる。ステント留置或いはバルーン拡張治療を行う過程で、このカテーテルシステムにより、医師が閉塞した病変部位を通過し、介入治療をより良く完成することができる。例えば、冠状動脈の慢性完全閉塞手術中に、バルーンとステントをデリバリーと取り付けのためにガイドワイヤにより偽腔に入る新しい経路を開いた;同様に、末梢血管の慢性完全閉塞手術中に、バルーンとステントをデリバリーと取り付けのために、ガイドワイヤによる偽腔に入る新しい経路を開いた。
【0029】
腫瘍の介入治療(主に術後または腫瘍圧迫による血管、胆道、消化管、気管、尿道などの様々な管腔の治療)において、このカテーテルシステムは、医師が新しい介入治療の道を開くのを助けることにより、癌化組織に対する正確な化学療法の目的を達成することができ、あるいは新しい経路を開くことにより、狭い位置にステントを取り付けるための経路の条件を提供して、手術の創傷を減らすことができる。腫瘍介入治療において、塞栓術を行う過程で、塞栓剤カテーテルを所定の位置まで搬送することを助け、偽腔に入ってから真腔に入ることによって新しい薬物輸送経路を開き、正確な投薬を実現し、最高の治療効果を達成し、良性或いは悪性の各種類の腫瘍を治療することができる。
【0030】
以下、本発明をより良く理解するために、具体的な実施の形態を通して本発明を詳細かつ具体的に説明するが、以下の実施形態は、本発明の範囲を限定するものではない。
【0031】
図1~
図4に示すように、本発明の実施形態は一種類のカテーテルシステムを提供し、それは主に、底部に配置され、カテーテルヘッドの近位端に面するカテーテルヘッド10と、カテーテルヘッド10の遠位端の内腔に配置された回転可能な内管20とを含み;回転可能な内管20の遠位端に円弧形の開口21が配置され、回転可能な内管20は、カテーテルヘッド10の内腔で360°で回転することができ、異なるガイドワイヤを固定腔道に入らせる経路選択機能が実現される。その中で、回転可能な内管20を回転させて、その上の円弧形の開口21をカテーテルヘッド10の底部における開口11と連通するかまたは連通しないようにすることができる。また、このカテーテルシステムは更に、回転可能な内管20の内腔に位置するガイドワイヤ50を含み、
図21と
図22に示すように、使用中に、回転可能な内管20を円弧形の開口21が上向きになる位置まで回転させる時、ガイドワイヤ50は回転可能な内管20のガイド経路に沿ってカテーテルヘッド10の遠位端の内腔に入る。回転可能な内管20を、円弧形の開口21が下向きになる位置まで回転させると、ガイドワイヤ50は回転可能な内管20のガイド経路に沿って下を向いて開口11から通すことができる。上記のような様々な血管病変の介入治療または腫瘍の介入治療に広く使用され得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、上記の円弧形の開口21のエッジおよび/または周縁は、回転可能な内管20のガイド経路に沿って斜めに配置されたU形構造となっている。この円弧形の開口21のエッジまたは周縁は、曲線を辺とする三角形構造であってもよく、略三角形形状の開口を形成してもよい。また、この円弧形の開口21の開口は、例えば、半円形、楕円形、半楕円形、長方形または半直方体のような他の形状を採用してもよい。実際の応用では、異なるタイプの医療機器(例えば、直径が約0.05mm-1.0mmのガイドワイヤ)を収容するために、円弧形の開口21の開口形状またはサイズを調整することができる。具体的に、円弧形の開口21の開口形状は、ガイドワイヤの先端の開口形態およびガイドワイヤの直径の大きさに応じて変更され得る。
【0033】
一つの実施形態において、
図2、4、7と8に示すように、一つの下を向いて傾斜する第1の斜め肩12が、カテーテルヘッド10の方向に沿って開口11に設けられ、ガイドワイヤ50は、回転可能な内管20のガイド経路に沿って第1の斜め肩12と衝突した後、下を向いて開口11から通す。第1の斜め肩12の役割は、回転可能な内管20のガイド経路から伸び出すガイドワイヤ50を開口11から下向きに転向させることであり、その中で、第1の斜め肩12の傾斜角度は約30°-60°であってもよく、ガイドワイヤの圧入に有利であり、医師の手技の難しさを減少させる。
【0034】
図1-2に示す実施形態では、カテーテルヘッド10は開口11から湾曲状にしており、その内腔は2つの部分を有しており、一部分はわずかに上方に持ち上げられ、他の一部分は平行に配置されている。いくつかの実施形態において、わずかに上方に持ち上げられた部分は約2-8°で持ち上げられ、他の一部分は平行に配置される;好ましくは、わずかに上方に持ち上げられた部分は約3-6°で持ち上げられ、他の一部分は平行に配置される;より好ましくは、わずかに上方に持ち上げられた部分は約4.2°で持ち上げられ、他の一部分は平行に配置される。このような実施形態では、第1の斜め肩12は、垂直方向に対して約30-60°の角度をとることができ、好ましくは、約35-58°、約40-55°の角度、約42-55°の角度をとることができる。いくつかの実施形態では、第1の斜め肩12は垂直方向に対する角度は約45°である。上記の第1の斜め肩12の傾斜した角度に基づいて、ガイドワイヤは、回転可能な内管20のガイド経路に沿って第1の斜め肩12と衝突した後、水平面に対して約70°-90°の角度で開口11から通し、好ましくは72°-88°、75°-85°、78°-85°、さらには80°-82°である。また,上向きに持ち上げられたカテーテルヘッド10を、その内腔も上向きに持ち上げられるように持ち上げることができ、上向きに持ち上げられた上部腔道は0.018inの直径を有するガイドワイヤを受け入れて送達することができる。約45°の角度を有する第1の斜め肩12に面する円弧形なの開口21の遠位端を、衝突面とする。直径が約0.014inの第2のガイドワイヤを上記の衝突面に圧入することができ、それに上記の第2のガイドワイヤは、方向を変更して、水平面に対して約75°-90°の比較的に大きな角度で開口11から出ることができる。
【0035】
一つの好ましい実施形態として、回転可能な内管20の方向に沿う円弧形の開口21の断面の傾斜角度は約2~8°であり、好ましくは、円弧形の開口部21の断面の傾斜角度は約4~6°であり、より好ましくは、円弧形の開口部21の断面の傾斜角度は約4.8°である。回転可能な管内管20の先端はニッケルチタン合金の材質であってもよく、よって回転可能な内管ガイド経路の強度は保証され、経路の曲げ外しの可能性が減少される。回転内管20の近位端は、金属材質(例えば、304ステンレスなど)である。近位端と遠位端は溶接方式で連結して、例えばレーザー溶接の方式を採用することができる。
【0036】
もう一つの好ましい実施形態において、
図11~
図13に示すように、円弧形の開口21の遠位端に傾斜した第2の斜め肩22が設けられており、ガイドワイヤは、回転可能な管内管20のガイドパスに沿って第2斜肩22と衝突した後、下方向に開口部11から出る。本実施形態における回転可能な内管20のガイド経路は、回転可能な内管20の縦軸L方向に沿っている。第2の斜め肩22は、水平方向に対する角度が約15-45°であってもよく、好ましくは18-42°、20-40°、20-38°、22-35°であり、好ましくは約25-30°である。この第2の斜め肩22と水平表面との間の角度が、第1の斜め肩12と水平表面との間の角度より小さいため、ガイドワイヤ50は、回転可能な内管20のガイド経路において、第2の斜め肩22を介して第1の斜め肩12へと緩やかに移行することができる。本実施形態において、ガイドワイヤは回転可能な内管20のガイド経路に沿って第2の斜め肩22と衝突した後、水平表面に対して約70°-90°の角度で開口11から出ることができ、好ましくは、72°-88°、75°-85°、78°-85°であり、更に好ましくは、
図22に示すように、80°-82°である。
【0037】
図1~
図17に示すように、当該のカテーテルシステムは、更にカテーテルヘッド10の両側に設けられた流線形な2つの翼部13を含み、翼厚は0.075mm-0.1mmである。それぞれの翼部13は、中軸から先端に向かって両方向に展開され、その厚さは、上記の先端から中心へと徐々に減少する。翼部13は、対称的にカテーテルヘッド10の両側に平行に配置され、かつ翼部13も遠位端にかけて徐々に広くなり、よって流線形な構造を形成する。翼部13は、1本の弧線を前記カテーテルの中心軸線から両側に60°-80°で湾曲させることにより形成されることができ、好ましくは75°である。本実施例では、翼部13の構造設計は、医師が手技の際に、カテーテルヘッド10は血管偽腔に挿入された後、マイクロカテーテルが直線経路に沿って前進することを補助し、血管外層の穿孔のリスクを低減し、マイクロカテーテルが螺旋経路に沿って進行することを防止し、同時に偽腔層に付着することにより、マイクロカテーテルの位置は安定し、マイクロカテーテルの滑り或いは変位は回避され、医師の手技難度と手術時間は減少する。
【0038】
図1-
図8に示すように、このカテーテルシステムは、カテーテルヘッド10の後端に接続されたサポート管30をさらに含み、サポート管30は、カテーテルヘッド10の近位端に、例えば溶接により接続されている。
図18-
図19に示すように、サポート管30は、内層33と、中間層32と、外層31とから構成される三層構造であり、内層33および中間層32は網状または螺旋状構造であってもよい。外層31は、ナイロン層または他の好ましい高分子材料であることができ、中間層32は波管層であり、その表面構造はレーザー機械により切断される網状又は螺旋であってもよい;内層33の構造は同様に、網状または螺旋状構造であってもよく、中間層と内層は金属材料により作製され、金属材料はステンレス系/ニッケル合金などであることが好ましい。
【0039】
このカテーテルシステムはまた、カテーテルヘッド10に溶接可能なTIP先端40を含む。TIP先端40とカテーテルヘッド10は、高分子材料により射出成形させることができる。使用されるポリマー材料は好ましくは耐久性に優れる。適切なポリマー材料には、ABS(ABS樹脂)、PLA(ポリ乳酸)、PVA(ポリビニルアルコール)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、及びナイロン(ナイロン)のうちの一つまたはいくつか含まれ得る。
【0040】
本実施形態は、血管偽腔が高速で正確でかつ低リスクで真腔に再入できるカテーテルシステムを提供し、具体的には、湾曲状のカテーテルヘッド10を有し、カテーテルヘッド10の後端底部には開口11が設けられ、開口11はカテーテルヘッド10の方向に沿って下を向いて傾斜した一つの第1の斜め肩12と対向する;カテーテルヘッド10の後端の内腔に位置する回転可能な内管20を有し、回転可能な内管20の遠位端には円弧形の開口21が設けられており、回転可能な内管20はカテーテルヘッド10の内腔で360°で回転することができ、よって、異なるガイドワイヤを固定腔道に入ることを許す。回転可能な内管20を円弧形の開口21が下向きになる位置まで回転させると、回転可能な内管20の内腔に位置するガイドワイヤは、回転可能な内管20のガイド経路に沿って第1の斜め肩12と衝突した後、下向きにして開口11から血管偽腔を出て血管真腔に入ることができる。
【0041】
図1-
図17に示すように、湾曲状のカテーテルヘッド10は2つ部分を含み、その一部分は約3-6°だけわずかに上に持ち上げられ、好ましくは、約3.4-5.3°だけわずかに上に持ち上げられ、より好ましくは、約4.2°だけわずかに上に持ち上げられ、もう一つの部分は平行に配置されている。
図10に示すように、湾曲状のカテーテルヘッド10の、内径R1は約0.48mmであり、外径R2が0.54mm以下、好ましくは約0.51mmであることができる。いくつかの実施形態において、他の値も使用されることができるが、湾曲状のカテーテルヘッド10の頂部と第1の斜め肩12の底部との間の最大の垂直高度d3は、約0.82mmであることができ、かついくつかの実施形態において、湾曲状のカテーテルヘッド10の頂部と底部との間の最大の垂直高度d4は、1mm以下である。いくつかの実施形態において、上向きに持ち上げられたカテーテルヘッド10により、その内腔も上向きに持ち上げられ、上向きに持ち上げられた上腔道が、直径が約0.018inの第1のガイドワイヤを受け取りすることができ、円弧形の開口部21は、45°の遠位端に面する第1斜肩12をガイドワイヤ衝突面とし、直径約0.014inのガイドワイヤを衝突させることができ、ガイドワイヤの向きを変えることができる。水平面に対して大きな角度で75°~90°で血管真腔に戻す。
【0042】
引き続き
図4を参照して、第1の斜め肩12は、垂直方向に対して約30-60°の角度を有することができ、好ましくは35-58°、40-55°、42-55°、より好ましくは約45°の角度を有することができる。ガイドワイヤ50は、カテーテルヘッド10の第1の斜め肩12と衝突した後、水平面に対して約70°-90°の角度で開口11から出ることができ、好ましくは約72°-88°、75°-85°、78°-85°、さらに好ましくは約80°-82で、血管真腔への再入を完了する。
【0043】
図1-17に示す実施形態は、血管偽腔が高速で正確で低リスクで真腔に再入するカテーテルシステムを提供する。上記のカテーテルはまた、カテーテルヘッド10の両側に配置された流線形の翼部13を含む。翼部13は対称的にカテーテルヘッド10の両側に平行に配置され、かつ翼部13は遠位端から近位端にかけて徐々に広がってから徐々に狭くなり、翼部13の翼厚は0.075mm-0.1mmを有し得る。翼部は中軸から両辺に展開され、厚さはその先端に向かって減少することができる。翼部13は、1本の弧線を両側に約60°-80°だけ屈曲させることにより形成することができ、好ましくは約75°である。
【0044】
図9に示す実施例では、この翼部13は、前端からの幅d1が0.9mm以下であってもよく、好ましくは約0.88mmであり、翼部13は最大幅d2が2.4mm以下であってもよく、好ましくは約2.34mmである。また、
図10に示すように、翼部13とカテーテルヘッド10との間の最大垂直高さd5は、1.25mm以下であり、好ましくは約1.22mmである。
【0045】
本発明における血管偽腔のカテーテルシステムは、直径約0.014inから約0.018inまでの範囲内のガイドワイヤを採用するために、正確かつ低リスクで真腔に再入するカテーテルシステムを具体的に調整することができる。
【0046】
ガイドワイヤは、回転可能な内管20のガイド経路に沿って第1の斜め肩12と衝突した後、水平面に対して約70°-90°の角度で開口11から突き出ることができる。
図11-
図13に示すように、回転可能な内管20の方向において、円弧形の開口21の傾斜角度は4°-5°であってもよく、好ましくは4.8°である。回転可能な内管20の遠位端は、ニッケルチタン合金の材質であってもよく、回転可能な内管のガイド経路の強度は保証され、経路の曲げ外しの可能性は減少されうる;近位端は金属材質(304ステンレスなど)であってよい;回転可能な内管の遠位端と近位端は溶接の方式で連結することができて、例えばレーザー溶接の方式を採用することができる。
【0047】
使用されている回転可能な内管20は、偏心円腔道23を有することができ、この偏心円腔道23を有する当該の回転可能な内管20を回転させることにより、異なるサイズのガイドワイヤが、回転可能な内管20の縦軸L方向に沿って特定のカテーテルヘッド10の腔道に入ることができ、従って、それは経路を誘導することと偽腔を通過して真腔に再入することとの2つ機能を実現することができる。回転可能な内管20が偏心円腔道23を下向きに回転させると、ガイドワイヤ40は、回転可能な内管20の偏心円空道23により形成されたガイド経路に沿って第1の斜め肩12と衝突した後、下を向かって開口11から血管偽腔を通過して血管真腔に入ることができる。
図14-15は、直径が0.018inの第1のガイドワイヤの概略図を示す。或いは、回転可能な内管20を偏心円腔道23が上向きになる位置まで回転させると、直径0.014inのより小さい第2のガイドワイヤは、回転可能な内管20のガイド経路Lに沿ってカテーテルヘッド10の先端内腔に進入することができ、
図16-17は直径が0.014inのガイドワイヤを示す概略図である。
【0048】
カテーテルヘッド10の近位端に接続可能なサポート管30は、カテーテルヘッド10の近位端に溶接により接続されている。引き続き
図18-
図19を参照して、サポート管30は、内層33と、中間層32と、外層31とから構成される三層構造であり、内層33および中間層32は網状または螺旋状構造であってもよい。外層はナイロン層または他の好ましい高分子材料であることができ、いくつかの実施形態において、中間層は波管層であり、その表面構造はレーザー機械により切断される網状又は螺旋であってもよい;いくつかの実施形態において、内層構造は網状または螺旋状構造であり、中間層と内層は金属材料により作成され、金属材料は例えばステンレス系/ニッケル合金である。
【0049】
先端TIP40は、カテーテルヘッド10に溶接可能である。TIP先端40とカテーテルヘッド10は、高分子材料により射出成形させることができ、その中に、先端40は、ガイドし、通過性を増加し、血管への損傷を減少する作用がある。マイクロカテーテルヘッドのポリマー材料は、耐久性があるように設計されている。ポリマー材料には、ABS(ABS樹脂)、PLA(ポリ乳酸)、PVA(ポリビニルアルコール)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、及びナイロン(ナイロン)のうちの一つまたはいくつか含まれ得る。
【0050】
本実施形態は、上記のカテーテルシステムを採用して、血管偽腔が高速で正確でかつ低リスクで真腔に再入できる方法を提供し、具体的には、以下のステップを含む:
ステップ1、
図20に示すように、カテーテルシステムを血管60の血管偽腔61内に介入して、まず、回転可能な内管20を円弧形の開口21が上向きになる位置まで回転させて、直径が約0.018inの第1のガイドワイヤ50を回転可能な内管20に挿入してカテーテルヘッド10まで圧入し、
図21に示すように、カテーテルヘッド10を第1のガイドワイヤ50による敷かれた偽腔経路を介して血管の偽腔の完全閉塞区域に入らせる;
ステップ2、マイクロカテーテルを押して、カテーテルヘッド10を直線に沿って完全閉塞区域63を通過させて、カテーテルヘッド10上の第1の斜め肩12を、完全閉塞区域を過ぎたばかりの位置に置いて、第1のガイドワイヤ50を外す;
ステップ3、
図22に示すように、引き続き回転可能な内管を、円弧形の開口が下向きになる位置まで回転させて、直径が約0.014inの第2のガイドワイヤ50を回転可能な内管に挿入してカテーテルヘッドまで押し込んで、よって、第2のガイドワイヤ50は、カテーテルヘッドの第1の斜め肩12と衝突した後、水平面に対して70°-90°の角度で開口11から出て血管真腔62に入り、これは操作が簡単で効率的で、真腔に戻すときのガイドワイヤの位置決めは正確であり、分岐血管の急性閉塞及び内出血の問題は効果的に回避される。
【0051】
以上、本発明の特定の実施形態を詳細に説明したが、例示に過ぎず、本発明は、上記の特定の実施形態に限定されるものではない。当業者にとって、本発明に対する任意の均等の修正及び置換も本発明の範囲内である。したがって、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく行われた均等置換及び修正は全部本発明内に含まれるべきである。
以下に、本願出願の当初の請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]一つの内腔と、一つの近位端と、一つの遠位端と、一つの上記の遠位端の底部に配置されている開口を有する一つのカテーテルヘッドと、
一つの円弧形の開口が設けられている先端を有し、上記のカテーテルヘッドの近位端の内腔に配置されている回転可能な内管とを含み、
ここで、上記の回転可能な内管を回転させることにより、その上の上記の円弧形な開口は上記のカテーテルヘッドの遠位端の底部の上記の開口と連通する、あるいは連通しないカテーテルシステム。
[2][1]の上記のカテーテルシステムは、更に、
上記の回転可能な内管の上記の内腔に配置されているガイドワイヤを含み、
ここで、上記の内管の円弧形の開口が上記のカテーテルヘッドに連通するか連通しないかに応じて、上記の回転可能な内管を回転させて、ガイドワイヤはそれぞれ上記の回転可能な内管のガイド経路に沿って下に向かって上記の開口から出る、または上記の回転可能な内管のガイド経路に沿って上に向かって上記のカテーテルヘッドの遠位端の内腔に入る。
[3][2]の上記のカテーテルシステムにおいて、上記のカテーテルヘッドの上記の開口には、下向きに傾斜する第1の斜め肩が配置されており、上記のガイドワイヤは、上記の回転可能な内管のガイド経路に沿って上記の第1の斜め肩と衝突した後、下向きに上記の開口から出る。
[4][3]の上記のカテーテルシステムにおいて、上記のカテーテルヘッドは、上記の開口のところから湾曲して、上記のカテーテルヘッドの内腔は、第1部分と第2部分とを含み、上記の第1部分はわずかに上に持ち上げられており、上記の第2部分は平行に配置されている。
[5][4]の上記のカテーテルシステムにおいて、上記の第1部分は約2-8°だけわずかに上に持ち上げられ、上記の第2部分は平行に配置されている。
[6][3]の上記のカテーテルシステムにおいて、上記の第1の斜め肩は、垂直方向に対して約30-60°の角度を有する。
[7][3]の上記のカテーテルシステムにおいて、上記のガイドワイヤは上記の回転可能な内管のガイド経路に沿って上記の第1の斜め肩と衝突した後、水平面に対して約70°-90°の角度で上記の開口から出る。
[8][1]の上記のカテーテルシステムにおいて、上記の回転可能な内管の軸方向に対して、上記の円弧形の開口の断面の傾斜角度は約2-8°である。
[9][1]の上記のカテーテルシステムにおいて、上記の円弧形の開口は一つの遠位端を含み、上記の遠位端には一つの傾斜した第2の斜め肩が設けられており、ガイドワイヤは上記のガイド経路に沿って上記の第2の斜め肩と衝突した後、下向きに上記の開口から出る。
[10][9]の上記のカテーテルシステムにおいて、上記の第2の斜め肩は水平面に対して約15-45°の角度を有する。
[11][9]の上記のカテーテルシステムにおいて、上記のガイドワイヤは上記の回転可能な内管のガイド経路に沿って上記の第2の斜め肩と衝突した後、上記のガイドワイヤは水平面に対して約70°-90°の角度をなして上記の開口から出る。
[12][1]の上記のカテーテルシステムにおいて、更に2つの翼部を含み、その2つの翼部は、上記のカテーテルヘッドの2つの対向する側に流線形に配置されている。
[13][12]の上記のカテーテルシステムにおいて、上記の翼部は対称的に上記のカテーテルヘッドの両側に平行に配置されており、かつ上記の翼部は前方から後方にかけて徐々に広くなってから徐々に狭くなっている。
[14][12]の上記のカテーテルシステムにおいて、上記の各翼部はそれぞれ一本の弧線を上記のカテーテルヘッドの両側に向かって約75°で湾曲させることにより形成されている。
[15][1]の上記のカテーテルシステムにおいて、上記の回転可能な内管は上記のカテーテルヘッドの内腔で360°で回転することができる。
[16][1]の上記のカテーテルシステムにおいて、更に、一つのサポート管を含み、上記のサポート管は上記のカテーテルヘッドの近位端に接続されている。
[17][15]の上記の血管偽腔が迅速で正確に低リスクで真腔に再入するカテーテルシステムにおいて、上記のサポート管は内層と、中間層と、外層からなる三層構造であり、上記の内層は網状に構造され、上記の中間層は螺旋状に構造されている。
[18][1]の上記のカテーテルシステムにおいて、更に一つのTIP先端を含み、上記のTIP先端は上記のカテーテルヘッドの近位端に連接されている。
[19]一つの内腔、一つの近位端、一つの遠位端、一つの底部に配置されている開口、及び一つの下向きに傾斜する第1の斜め肩を有し、ここで、上記の開口は上記の第1の斜め肩と対向して、上記の斜め肩の近くに配置されている一つのカテーテルヘッドと、
近位端、及び一つの円弧形の開口が設けられている遠位端を有し、上記のカテーテルヘッドの近位端の内腔に位置する回転可能な内管とを含み、
上記の回転可能な内管を、上記の円弧形の開口が上向きになる位置まで回転させる時、上記の回転可能な内管に位置するガイドワイヤは、上記の回転可能な内管のガイド経路に沿って上記のカテーテルヘッドの遠位端の内腔に入ることができ、
或いは、上記の回転可能な内管を、上記の円弧形の開口が下向きになる位置まで回転させる時、上記の回転可能な内管の内腔に位置するガイドワイヤは、上記の回転可能な内管のガイド経路に沿って上記の第1の斜め肩と衝突した後、下を向かって上記の開口から出る、血管偽腔が真腔に再入することができるカテーテルシステム。
[20][19]の上記のカテーテルシステムにおいて、上記の湾曲状のカテーテルヘッドの内腔は第1部分と第2部分を含み、上記の第1部分は約3-6°だけわずかに上に持ち上げられ、上記の第2部分は平行に配置されている。
[21][20]の上記のカテーテルシステムにおいて、上記の湾曲状のカテーテルヘッドの外径が約0.54mm以下であり、内径が約0.48mmである。
[22][20]の上記のカテーテルシステムにおいて、上記の湾曲状のカテーテルヘッドの頂部と底部との間の最大垂直高度は約1mm以下である。
[23][19]の上記のカテーテルシステムにおいて、上記の第1の斜め肩は垂直方向に対して約45°の角度を有する。
[24][19]の上記のカテーテルシステムにおいて、更に、2つの翼部を含み、上記の翼部は、上記のカテーテルヘッドの2つの対向する側に流線形に配置されている。
[25][24]の上記のカテーテルシステムにおいて、上記の翼部は対称的に上記のカテーテルヘッドの両側に平行に配置され、かつ上記の翼部は前方から後方にかけて徐々に広くなってから徐々に狭くなっている。
[26][25]の上記のカテーテルシステムにおいて、上記の各翼部は、一本の弧線を上記のカテーテルヘッドの2つの対向する側に向かって約75°で湾曲させることにより形成されている。
[27][26]の上記のカテーテルシステムにおいて、上記の翼部の遠位端の始めどころの幅が0.9mm以下であり、上記の翼部の最大伸び幅が2.4mm以下である。
[28][24]の上記のカテーテルシステムにおいて、上記の翼部は上記のカテーテルヘッドとの間の最大の垂直高度は、1.25mm以下である。
[29][19]の上記のカテーテルシステムにおいて、上記のガイドワイヤの直径が0.014in-0.018inである。
[30][19]の上記のカテーテルシステムにおいて、上記の回転可能な内管は上記のカテーテルヘッドの内腔で360°で回転することができる。
[31][19]の上記のカテーテルシステムにおいて、上記のガイドワイヤは上記の回転可能な内管のガイド経路に沿って上記の第1の斜め肩と衝突した後、水平面に対して約70°-90°の角度で上記の開口から出る。
[32][19]の上記のカテーテルシステムにおいて、上記の回転可能な内管の軸方向に対して、上記の円弧形の開口の傾斜角度が約4°-5°である。
[33][19]の上記のカテーテルシステムにおいて、上記の回転可能な内管の遠位端はニッケルチタン合金材質であり、近位端は金属材質であり、近位端と遠位端は溶接によって一体に接合されている。
[34][19]の上記のカテーテルシステムは、更に、上記のカテーテルヘッドの近位端に接続される一つのサポート管を含む。
[35][34]の上記のカテーテルシステムにおいて、上記のサポート管は内層と、中間層と、外層とを含む三層構造であり、上記の内層は網状構造で、上記の中間層は螺旋状構造である。
[36][34]の上記のカテーテルシステムにおいて、上記のサポート管は厚さが約0.004inの壁を含む。
[37][19]の上記のカテーテルシステムにおいて、更に上記のカテーテルヘッドの遠位端に接続されている一つのTIP先端を含む。
[38]カテーテルヘッドと回転可能な内管を採用した血管偽腔が迅速で正確に低リスクで真腔に再入する方法であって、ここで、上記のカテーテルヘッドは、一つの内腔と、一つの開口と、一つの第1の斜め肩とを有し、上記の内管は、一つの円弧形の開口を有する上記のカテーテルヘッドの内腔に位置する遠位端を備え、上記の方法は、
ステップ1、上記の回転可能な内管を、上記の円弧形の開口21が上向きになる位置まで回転させて、第1のガイドワイヤを上記の回転可能な内管に挿入してカテーテルヘッドまで圧入して、カテーテルヘッドを第1のガイドワイヤによる敷かれた偽腔経路を介して血管の偽腔の完全閉塞区域に入らせるようにする;
ステップ2、マイクロカテーテルを押して、上記のカテーテルヘッドを直線に沿って完全閉塞区域を通過させて、カテーテルヘッド上の第1の斜め肩を、完全閉塞区域を過ぎたばかりの位置に置いてから、第1のガイドワイヤを引き出す;
ステップ3、引き続き上記の回転可能な内管を、上記の円弧形の開口が下向きになる位置まで回転させ、第2のガイドワイヤを回転可能な内管に挿入してカテーテルヘッドまで押し込み、第2のガイドワイヤは、カテーテルヘッドの第1の斜め肩と衝突した後、下を向かって出るようにして、血管真腔に再入することを完成させる。
[39][38]の上記の血管偽腔が真腔に再入する方法において、上記の第1のガイドワイヤの直径が約0.018inである。
[40][38]の上記の血管偽腔が真腔に再入する方法において、上記の第2のガイドワイヤの直径が約0.014inである。
[41][38]の上記の血管偽腔が真腔に再入する方法において、上記の第2のガイドワイヤは、上記の第1の斜め肩と衝突した後、水平面に対して約70°-90°の角度で上記の開口から出る。