(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-14
(45)【発行日】2022-10-24
(54)【発明の名称】穿刺要素としての鉱物混和プラスチック配合物
(51)【国際特許分類】
B65D 81/26 20060101AFI20221017BHJP
【FI】
B65D81/26 N
(21)【出願番号】P 2019560302
(86)(22)【出願日】2018-05-02
(86)【国際出願番号】 US2018030709
(87)【国際公開番号】W WO2018204525
(87)【国際公開日】2018-11-08
【審査請求日】2021-04-30
(32)【優先日】2017-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501014005
【氏名又は名称】シーエスピー テクノロジーズ,インコーポレイティド
【住所又は居所原語表記】960 West Veterans Boulevard, Auburn, Alabama 36832 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ・キベレ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ・エルツシャイド
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-012030(JP,A)
【文献】特開2010-083491(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0122175(US,A1)
【文献】特表2004-529044(JP,A)
【文献】米国特許第05911937(US,A)
【文献】米国特許第06247604(US,B1)
【文献】特表2014-511319(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッケージから製品を分注する方法であって、
a.前記パッケージの内部を画定する底部と、それから延在する側壁とを有し、前記内部に導く開口部と、前記パッケージがシール位にある場合にその中に製品を封入するために前記開口部をシールするカバーとをさらに有し、前記パッケージが、前記内部に配置された穿刺要素をさらに含んでなり、前記穿刺要素が、前記カバーと面するカッティングエッジ又は鋭利部を有し、前記穿刺要素が、少なくともベースポリマーと、鉱物を含んでなる活性剤と
チャネリング剤とから形成されるモノリシック材料を含んでなる鉱物装填ポリマーから構成されるパッケージを提供するステップと、
b.前記パッケージを分注装置に挿入するステップと、
c.前記カッティングエッジ又は前記鋭利部が前記カバーの少なくとも一部を穿刺するか、又は切り離すことによって、前記パッケージを前記シール位から分注位まで移行して、そこで前記製品が前記開口部を通して分注されるまで、前記カッティングエッジ又は前記鋭利部に対して法線方向で前記カバー上に圧力が適用されるように、前記分注装置を始動させるステップと
を含んでな
り、
前記鉱物装填ポリマーが、前記モノリシック材料の20重量%~50重量%の鉱物装填濃度を有する方法。
【請求項2】
前記活性剤が、乾燥
剤である、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記活性剤が、前記製品の所望の品質を維持するために前記パッケージの前記内部から湿分を吸収する乾燥剤である、請求項
1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記製品が粉末である、請求項1~
3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記カバーが、前記シール位にある場合、ヒートシールによって前記開口部付近に固定される、請求項1~
4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記カバーが、紙、ボール紙、プラスチック及び箔からなる群から選択される1つ以上の層を含んでなる、請求項1~
5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記カバーが可撓性であり、且つ0.01mm~1.00m
mの厚さを有する、請求項1~
6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
パッケージの内部を画定する底部と、それから延在する側壁とを有するパッケージであって、前記パッケージが、前記内部に導く開口部と、前記パッケージがシール位にある場合に前記開口部をシールするカバーとをさらに有し、前記パッケージが、前記内部に配置された穿刺要素をさらに含んでなり、前記穿刺要素が、前記カバーと面するカッティングエッジ又は鋭利部を有し、前記穿刺要素が、少なくともベースポリマーと、鉱物を含んでなる活性剤と
チャネリング剤とから形成されるモノリシック材料を含んでなる鉱物装填ポリマーから構成され、分注装置が前記カッティングエッジ又は前記鋭利部に対して法線方向で前記カバー上
に圧力を適用する時に、前記カッティングエッジ又は前記鋭利部が、前記カバーの少なくとも一部を穿刺するか、又は切り離すことによって、前記パッケージを前記シール位から分注位まで移行して、そこで前記内部に収容された製品が前記開口部を通して分注され得るように構成されるように、前記パッケージが、分注装置中への挿入のために構成され
、
前記鉱物装填ポリマーが、前記モノリシック材料の20重量%~50重量%の鉱物装填濃度を有するパッケージ。
【請求項9】
前記活性剤が、乾燥
剤である、請求項
8に記載のパッケージ。
【請求項10】
前記活性剤が、前記内部に収容された製品の所望の品質を維持するために前記パッケージの前記内部から湿分を吸収する乾燥剤である、請求項
8または9に記載のパッケージ。
【請求項11】
前記製品が粉末である、請求項1
0に記載のパッケージ。
【請求項12】
前記カバーが、紙、ボール紙、プラスチック及び箔からなる群から選択される1つ以上の層を含んでなる、請求項
8~
11のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項13】
前記カバーが可撓性であり、且つ0.01mm~1.00m
mの厚さを有する、請求項
8~
12のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項14】
カッティングエッジ又は鋭利部を有する穿刺要素であって、少なくともベースポリマーと、鉱物を含んでなる活性剤と
チャネリング剤とから形成されるモノリシック材料を含んでなる鉱物装填ポリマーから構成され
、
前記鉱物装填ポリマーが、前記モノリシック材料の20重量%~50重量%の鉱物装填濃度を有する穿刺要素。
【請求項15】
前記活性剤が、乾燥
剤である、請求項1
4に記載の穿刺要素。
【請求項16】
前記穿刺要素が鋭利部を有する場合、前記鋭利部が、1.0mm未
満の直径又は断面幅を有する、請求項1
4または15に記載の穿刺要素。
【請求項17】
前記穿刺要素がカッティングエッジを有する場合、前記カッティングエッジが、1.0mm未
満の幅を有する、請求項1
4または15に記載の穿刺要素。
【請求項18】
カバ
ーを穿刺するための請求項1
4~
17のいずれか一項に記載の穿刺要素の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、乾燥剤混和プラスチック配合物に関する。より特には、本発明は、例えば、箔、紙、ボール紙又はプラスチックフィルム若しくは層を穿刺するための製品パッケージ中での穿刺要素などの配合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
制御及び/又は規制されなければならない環境において、好ましくは、貯蔵、輸送及び/又は利用される品目が多数ある。例えば、湿分制御分野において、その中に捕捉された過剰量の湿分を吸収する能力を有する容器及び/又はパッケージは望ましいものとして認識されている。湿分、酸素、エチレン及び他のガス状物質の制御は、医学的、電子工学的及び食品包装用途において望ましくなり得る。
【0003】
慣習的に、乾燥剤、酸素吸収剤及び他の活性剤は、パッケージの内部環境を制御するために、そのままの状態で、例えば、パッケージ内でサッシェ又はキャニスターに収容されたルーズな粒子として使用される。多くの用途に関して、そのようなルーズに貯蔵された活性物質を有することは望ましくない。この課題を克服するために、本出願の譲渡人は、そのようなポリマーが所望の形態、例えば、コンテナライナー、プラグ、フィルムシート、ペレット及び他のそのような構造へと押出成形及び/又は成形可能である、活性剤を含んでなる活性剤混和ポリマーを開発した。任意選択的に、そのような活性混和ポリマーは、混和活性剤(例えば、湿分を吸収する乾燥剤)に選択された材料(例えば、湿部)を伝達するために、混和ポリマーの表面とその内部との間にチャネルを形成する、ポリエチレングリコール(PEG)などのチャネリング剤を含み得る。混和ポリマーは、2相配合物(すなわち、チャネリング剤を含まず、ベースポリマー及び活性剤を含んでなる)又は3相配合物(すなわち、ベースポリマー、活性剤及びチャネリング剤を含んでなる)であり得る。混和ポリマーは、例えば、それぞれ参照によって完全に記載されるように本明細書に組み込まれる、米国特許第5,911,937号明細書、同第6,080,350号明細書、同第6,124,006号明細書、同第6,130,263号明細書、同第6,194,079号明細書、同第6,214,255号明細書、同第6,486,231号明細書、同第7,005,459号明細書及び米国特許出願公開第2016/0039955号明細書において記載されている。
【0004】
混和ポリマーは、特定の幾何構造部分を形成するように有利に形成されてよい。しかしながら、乾燥剤材料の高い装填によって、そのような部分は脆砕性となり得る。これは、典型的な乾燥剤材料がシリカゲル、モレキュラーシーブ及びベントナイト粘土などの鉱物の形態にあるという事実のためである。乾燥剤が多いほど、得られる製品の湿分吸収能力が高くなるが、脆砕性も高くなる。60~70%の乾燥剤装填が製品パッケージのためのパック、ライナー及びフィルムの形態である乾燥剤混和ポリマーの典型である。しかしながら、そのような乾燥剤は、一般に乾燥機能のみを果たすか、又は可能であれば製品貯蔵のために画定されたキャビティを提供するであろう(例えば、診断試験ストリップバイアル中の乾燥剤ライナー)。鉱物乾燥剤の装填が高い部分は脆砕性であるため、それらは一般には積極的に採用されず、そして破壊の危険のために他の構成要素が物理的に利用される(例えば、穿刺)。
【0005】
パッケージ体積が低く、且つパッケージのプラスチック、紙、箔又はボール紙の膜又は層の手動又は自動穿刺が必要とされる場合、乾燥剤要素として折り曲げられた穿刺部材を提供することが望ましいであろう。しかしながら、適切な配合の割合を決定することは、特に上記された脆砕性のため、困難となる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、密閉空間中で乾燥効果をもたらしながら、シール、例えば、箔を穿刺することが可能である乾燥剤混和ポリマーに対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、一態様において、開示された概念は、適切な穿刺幾何構造、例えば、少なくとも1つの鋭利部を有する特別に配合された乾燥剤プラスチック部分から製造されたパッケージ穿刺要素に関する。鋭利部は、好ましくは、穿刺力の適用時に標準的なパッケージ箔又はプラスチックラミネートを穿刺するために十分なモジュラスを有するべきである。
【0008】
任意選択的な実施形態において、30重量%~50重量%の乾燥剤を含んでなる配合物から全部分が製造される。乾燥剤は任意選択的にモレキュラーシーブである。ベースポリマーは任意選択的にポリプロピレン又はナイロンである。チャネリング剤は、食品接触面の一部として使用される場合、エチレンビニルアセテート(EVA)であり得るか、或いはポリエチレングリコール(PEG)、又は上記で引用される特許参考文献に開示される他のいずれかのチャネリング剤であり得る。上記乾燥剤装填では、その部分が脆砕性となって穿刺要素として機能しなくなることがなく、意図された用途のために十分な湿分吸収を有利に提供する。
【0009】
任意選択的な実施形態において、その部分の割合は、上記で明らかにされたように製造され、且つそれ自体が穿刺のための鋭利部を含んでなる剛性金属又はプラスチック構成要素上に過形成される。このようにして、箔又はプラスチックパッケージ層の穿刺を促進するために所望の剛性(脆砕性なし)が提供される。
【0010】
任意選択的に、パッケージ箔又はラミネートを穿刺するための方法が提供される。この方法は、本明細書に開示されたいずれの実施形態による穿刺要素を提供することと、穿刺要素がパッケージング層を突破するまで穿刺要素とパッケージング層との間に力を提供することとを含んでなる。
【0011】
同様の数字が同様の要素を指定する以下の図面と関連して、本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】混和ポリマーの構成を説明するための、混和ポリマーから形成されたプラグの透視図である。
【
図2】
図1の線2-2に沿って切断された断面図である。
【
図3】混和ポリマーの別の実施形態から形成されたプラグを示す、
図2と類似の断面図である。
【
図4】活性剤が吸収又は吸着材料、例えば、乾燥剤である、任意選択的な実施形態による混和ポリマーの概略図である。
【
図5】パッケージに製品が充填される前であり、且つカバーを有さない、開示された概念による任意選択的なパッケージの概略図。
【
図6】製品が充填され、且つパッケージの開口部にカバーを含み、それによってシール部が提供される、
図5のパッケージの概略図。
【
図7】分注装置中に配置された
図6の充填及びシールされたパッケージの概略図。
【
図8】パッケージからの製品の分注操作を示す、
図7のパッケージ及び分注装置の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書で使用される場合、「活性」という用語は、本発明に従って選択された材料(例えば、湿分又は酸素)において作用するか、それと相互作用するか、又はそれと反応することが可能であることとして定義される。そのような作用又は相互作用の例としては、選択された材料の吸収、吸着又は放出を含み得る。
【0014】
本明細書で使用される場合、「活性剤」という用語は、(1)ベースポリマーと非混和性であり、且つベースポリマー及びチャネリング剤との混合及び加熱時に溶融せず、すなわち、ベースポリマー又はチャネリング剤のいずれかに対する融点よりも高い融点を有し、且つ(2)選択された材料において作用するか、それと相互作用するか、又はそれと反応する材料として定義される。「活性剤」という用語には、限定されないが、選択された材料を吸収、吸着又は放出する材料が含まれ得る。本発明による活性剤は、粒子、好ましくは、鉱物の形態であり得るが、(それぞれの請求項が他に記載しない限り、)本発明は、一般に、粒子状活性剤にのみ制限されるとみなされるべきではない。
【0015】
本明細書で使用される場合、「ベースポリマー」という用語は、チャネリング剤のガス透過率よりも実質的に低いか、低いか、又は実質的にそれと同等である、選択された材料のガス透過率を任意選択的に有するポリマーである。例として、選択された材料が湿分であり、且つ活性剤が吸水乾燥剤である実施形態において、そのような透過率は水蒸気透過率である。ベースポリマーの主要機能は、混和ポリマーの構造を提供することである。適切なベースポリマーとしては、熱可塑性ポリマー、例えば、ポリオレフィン、例えば、ポリプロピレン及びポリエチレン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリブテン、ポリシロキサン、ポリカーボネート、ポリアミド、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、エチレン-メタクリレートコポリマー、ポリ(塩化ビニル)、ポリスチレン、ポリエステル、多酸無水物、ポリアクリリアニトリル(polyacrylianitrile)、ポリスルホン、ポリアクリル酸エステル、アクリル、ポリウレタン及びポリアセタール、或いはそのコポリマー又は混合物が含まれ得る。
【0016】
ベースポリマー及びチャネリング剤水蒸気透過率のそのような比較を参照して、一実施形態において、チャネリング剤は、ベースポリマーの水蒸気透過率の少なくとも2倍の水蒸気透過率を有する。別の実施形態において、チャネリング剤は、ベースポリマーの水蒸気透過率の少なくとも5倍の水蒸気透過率を有する。別の実施形態において、チャネリング剤は、ベースポリマーの水蒸気透過率の少なくとも10倍の水蒸気透過率を有する。なお別の実施形態において、チャネリング剤は、ベースポリマーの水蒸気透過率の少なくとも20倍の水蒸気透過率を有する。なお別の実施形態において、チャネリング剤は、ベースポリマーの水蒸気透過率の少なくとも50倍の水蒸気透過率を有する。なお別の実施形態において、チャネリング剤は、ベースポリマーの水蒸気透過率の少なくとも100倍の水蒸気透過率を有する。
【0017】
本明細書で使用される場合、「チャネリング剤」という用語は、ベースポリマーと非混和性であり、且つベースポリマーよりも速い速度でガス相物質を輸送する親和力を有する材料として定義される。任意選択的に、チャネリング剤は、チャネリング剤をベースポリマーと混合することによって形成される時に、混和ポリマーを通ってチャネルを形成することが可能である。任意選択的に、そのようなチャネルは、単にベースポリマーのみにおける速度よりも速い速度で、混和ポリマーを通って選択された材料を伝達することが可能である。
【0018】
本明細書で使用される場合、「チャネル」又は「相互連結チャネル」という用語は、ベースポリマーを通して貫入するチャネリング剤から形成された流路として定義され、且つ互いに相互連結し得る。
【0019】
本明細書で使用される場合、「混和ポリマー」という用語は、少なくとも1種のベースポリマーと、その中に混和又は分散された活性剤及び任意選択的にチャネリング剤とから形成されたモノシリック材料として定義される。したがって、混和ポリマーとしては、2相ポリマー、及び3相ポリマーが含まれる。「鉱物装填ポリマー」又は「鉱物装填混和ポリマー」は、活性剤が、鉱物、例えば、モレキュラーシーブ又はシリカゲルなどの鉱物粒子の形態である混和ポリマーの1種である。
【0020】
本明細書で使用される場合、「モノリシック」、「モノリシック構造」又は「モノリシック組成物」という用語は、2つ以上の分離したマクロ的層又は部分からならない組成物又は材料として定義される。したがって、「モノリシック組成物」は多層複合体を含まない。
【0021】
本明細書で使用される場合、「相」という用語は、構造又は組成物にそのモノリシック特徴が与えられように均一分散されたモノリシック構造又は組成物の一部若しくは成分として定義される。
【0022】
本明細書で使用される場合、「選択された材料」という用語は、活性剤において作用するか、又はそれによって作用するか、又はそれと相互作用するか、若しくはそれと反応し、且つ混和ポリマーのチャネルを通って伝達されることが可能である材料として定義される。例えば、乾燥剤が活性剤として使用される実施形態において、選択された材料は、乾燥剤によって吸収されることが可能である湿分又はガスであり得る。放出材料が活性剤として使用される実施形態において、選択された材料は、湿分、芳香剤又は抗微生物剤などの放出材料によって放出された試剤であり得る。吸着材料が活性剤として使用される実施形態において、選択された材料は、特定の揮発性有機化合物であり得、且つ吸着材料は活性炭であり得る。
【0023】
本明細書で使用される場合、「3相」という用語は、3以上の相を含んでなるモノリシック組成物又は構造として定義される。本発明による3相組成物の例は、ベースポリマー、活性剤及びチャネリング剤から形成された混和ポリマーである。任意選択的に、3相組成物又は構造は、追加の相、例えば、着色剤を含み得る。
【0024】
図1~4は、開示された概念の態様によれば有用であり得る例示的な混和ポリマー10を例示する。混和ポリマー10は、それぞれ、ベースポリマー25、チャネリング剤35及び活性剤30を含む。示される通り、チャネリング剤35は、混和ポリマー10を通して、相互連結チャネル45を形成する。活性剤30の少なくともいくつかがこれらのチャネル45内に含まれ、チャネル45は、混和ポリマーの外側表面25において形成されたチャネル開口48を介して、活性剤30と混和ポリマー10の外側とを連通する。活性剤30は、例えば、以下にさらに詳細に記載される種々の吸収、吸着又は放出材料のいずれか1種であることが可能である。チャネリング剤、例えば、35が好ましいが、本発明は、任意選択的にチャネリング剤を含まない混和ポリマーを概括的に含む。
【0025】
適切なチャネリング剤としては、ポリグリコール、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレン-ビニルアルコール(EVOH)、ポリビニルアルコール(PVOH)、グリセリンポリアミン、ポリウレタン、及びポリアクリル酸又はポリメタクリル酸を含むポリカルボン酸が含まれ得る。代わりに、チャネリング剤35は、例えば、CLARIANTによって製造されるPolyglykol B01/240などのプロピレンオキシドポリメリセート-モノブチルエーテルなどの非水溶性ポリマーであることが可能である。他の実施形態において、チャネリング剤は、CLARIANTによって製造されるPolyglykol B01/20などのプロピレンオキシドポリメリセート-モノブチルエーテル、CLARIANTによって製造されるPolyglykol D01/240などのプロピレンオキシドポリメリセート、エチレン酢酸ビニル、ナイロン6、ナイロン66、又は上記のいずれかの組合せであることも可能である。
【0026】
本発明による適切な活性剤としては、乾燥化合物などの吸収材料が含まれる。
図4は、活性剤30が吸収又は吸着材料、例えば、乾燥剤である、開示された概念による混和ポリマー10の実施形態を例示する。矢印は、混和ポリマー10の外側から、チャネル45を通って、選択された材料を吸収又は吸着する活性剤30の粒子までの選択された材料、例えば、湿分又はガスの経路を示す。
【0027】
活性剤が乾燥剤である場合、所与の用途のためのいずれの適切な乾燥剤も使用されてよい。典型的に、物理的吸収乾燥剤が多くの用途に対して好ましい。これらには、モレキュラーシーブ、シリカゲル、粘土及びデンプンが含まれ得る。代わりに、乾燥剤は、水を含有する結晶を形成する化合物、又は水と反応して新規化合物を形成する化合物であってもよい。任意選択的に、いずれの実施形態においても、乾燥剤は鉱物である。
【0028】
任意選択的に、いずれの実施形態においても、活性剤は、酸素捕捉剤であってもよい。
【0029】
適切な吸収材料としては、(1)限定されないが、ニッケル、銅、アルミニウム、ケイ素、はんだ、銀、金などの金属及び合金;(2)銀めっき銅、銀めっきニッケル、銀めっきガラスミクロスフェアなどの金属めっき粒子;(3)BaTiO3、SrTiO3、SiO2、Al2O3、ZnO、TiO2、MnO、CuO、Sb2O3、WC、溶融シリカ、ヒュームドシリカ、非晶質溶融シリカ、ゾル-ゲルシリカ、ゾル-ゲルチタネート、混合チタネート、イオン交換樹脂、リチウム含有セラミックス、中空ガラスミクロスフェアなどの無機物;(4)炭素、活性炭、カーボンブラック、ケットケム(ketchem)ブラック、ダイヤモンド粉末などの炭素ベースの材料;(5)ポリブタジエン、ポリシロキサン及び半金属、セラミックなどのエラストマー並びに;(6)他の充てん剤及び顔料も含まれ得る。
【0030】
別の例において、吸収材料は、酸化カルシウムなどの二酸化炭素捕捉剤であってもよい。湿分及び二酸化炭素の存在下、酸化カルシウムは炭酸カルシウムに変換される。したがって、酸化カルシウムは、二酸化炭素の吸収が必要とされる用途において吸収材料として使用され得る。そのような用途には、二酸化炭素を発生する生鮮食品(例えば、果物及び野菜)の保存が含まれる。
【0031】
本発明による他の適切な活性剤には、放出材料が含まれる。そのような材料は、放出材料から選択された材料を放出するであろういずれの適切な材料も含んでなり得る。放出材料から放出される選択された材料は、固体、ゲル、液体又はガスの形態であってよい。これらの物質は、芳香、味又は香料源としての機能;殺虫剤、有害生物忌避剤、抗微生物剤、餌、アロマ医薬品などの生物学的に活性な成分の供給;増湿又は乾燥物質の供給;腐食防止剤などの空気運搬活性薬品の送達;登熟剤及び臭気発生剤を含む種々の機能を果たすことが可能である。
【0032】
本発明の混和ポリマー中の放出材料として使用するために適切な殺生剤としては、限定されないが、殺虫剤、除草剤、殺線虫剤、殺真菌剤、殺鼠剤及び/又はその混合物が含まれ得る。殺生剤に加えて、本発明のカバーは、栄養、植物成長調節因子、フェロモン、枯葉剤及び/又はその混合物を放出することも可能である。
【0033】
四級アンモニウム化合物も本発明による放出材料として使用可能である。そのような化合物は、界面活性剤として機能するのみならず、混和ポリマーの表面に無菌特性を与えるか、又は、そのいくつかは病原体になる可能性がある、微生物体の数を減少させる条件も確立する。塩化ベンザルコニウム及びヘキサクロロフェンとしての関連化合物種などの多数の他の抗微生物剤も本発明による放出剤として使用され得る。二酸化塩素放出剤などの他の抗微生物剤が使用されてもよい。
【0034】
混合物中の活性剤の濃度が高いほど、(場合によっては)最終組成物のものであろう吸収、吸着又は放出能力が高いと考えられる。しかしながら、活性剤、特に鉱物粒子の形態の活性剤の濃度が高過ぎると、混和ポリマーが、一旦固化すると脆砕性となる可能性がある。加えて、混和ポリマーの鉱物装填が高いと、活性剤、ベースポリマー及びチャネリング剤の溶融混合物が、熱的に形成、押出成形又は射出成形されることがより困難となる可能性がある。したがって、出願人は、鉱物装填混和ポリマーの脆砕性が懸念される場合、混和ポリマーの鉱物装填の(重量による)割合が、好ましくは、その活性機能、例えば、湿分吸収を実行するために絶対的に必要とされる物と同じ程度のみとなるべきことを見出した。一実施形態において、鉱物活性剤の装填レベルは、混和ポリマーの全重量に対して、20重量%~50重量%、好ましくは30重量%~50重量%となることが可能である。任意選択的に、使用する場合、チャネリング剤は、2重量%~10重量%の範囲で提供され得る。任意選択的に、ベースポリマーは、全組成物の50重量%~80重量%の範囲となり得る。任意選択的に、着色剤が、例えば、全組成物の約2重量%で添加される。
【0035】
図1を参照すると、開示された概念の任意選択的な態様に従って使用され得る混和ポリマーから構成されるインサート20が例示される。インサート20はプラグ55の形態である。プラグ55は、混和ポリマー部分の任意選択的な構造の代表であるのみであり、且つ以下に議論されるように、混和ポリマーが穿刺要素などの異なる構造及び形状に形成され得ることは理解されるべきである。
【0036】
図2を参照すると、活性剤30及び親水性剤又はチャネリング剤35と均一にブレンドされたベースポリマー25を含んでなる混和ポリマー10から構成されたプラグ55の断面図が示される。
図2の図示において、混和ポリマー10を通して相互連結チャネル45が形成され、固結したプラグ55を通して経路を確立するように、混和ポリマーが固結されている。
図1及び
図2の両方から理解され得るように、経路は、プラグ55の外部表面のチャネル開口48において終了する。
【0037】
図3は、
図2のプラグ55に類似の構成を有するプラグ55の実施形態を例示する。
図3中、相互連結チャネル45は、
図2を示されたものと比較して、非常に微細である。これは、チャネリング剤35と一緒にダイマー剤(すなわち、可塑剤)を使用することから得ることが可能である。ダイマー剤は、ベースポリマー25とチャネリング剤35との間の適合性を強化し得る。このような強化された適合性は、標準的条件下で均一溶液中への組み込みに抵抗する可能性があるベースポリマー25及びチャネリング剤35のより徹底的なブレンドを促進し得る、ブレンドの低粘度によって促進される。ダイマー剤が添加されている混和ポリマー10の固結時に、その中に形成された相互連結チャネル45は、より高い分散及びより小さい多孔率を有し、それによって、プラグ55を通しての相互連結チャネルのより高い密度が確立される。
【0038】
本明細書に開示されるものなどの相互連結チャネル45は、これらの材料の浸透に一般に抵抗し、したがってそれに対するバリアとして作用するベースポリマー25を通して、湿分、ガス又は臭気などの所望の材料の伝達を促進する。この理由のため、ベースポリマー25自体は、活性剤30がその中に混和され得るバリア物質として作用する。チャネリング剤35から形成された相互連結チャネル45は、所望の材料が混和ポリマー10を通って移動するための経路を提供する。これらの相互連結チャネル45がない場合、比較的少量の所望の材料が活性剤30に、又は活性剤30からベースポリマー25を通して伝達されるであろうと考えられる。活性剤30へと所望の材料が伝達される場合、それは、例えば、活性剤30が、乾燥剤又は酸素捕捉剤などの活性剤である実施形態において、活性剤30によって吸収され得る。活性剤30から所望の材料が伝達される場合、それは、例えば、活性剤30が、香料又はガス放出材料などの放出材料である実施形態において、活性剤30から放出され得る。
【0039】
ここで
図5及び6を参照すると、開示された概念によるパッケージ110の任意選択的な実施形態が示される。
図5は、製品が充填されて、そしてシールされる前のパッケージ110を示す。
図6はシール位でのパッケージ110を示す。
【0040】
パッケージ110は、底部112と、それから延在する側壁114とを有し、これらがパッケージ110の内部118を画定する。パッケージ110は、シールされる前、内部118に導く開口部116を含む。
図6に示されるように、パッケージ110は、シール位にある場合、内部118中に貯蔵された製品126を封入するカバー120を含む。任意選択的に、いずれの実施形態においても、製品126は粉末、例えば湿分に感応性である粉末である。カバーは、任意選択的にヒートシール122によって開口部116の周囲に任意選択的に固定される。ヒートシール122は(使用される場合)、当業者に周知の誘導シーリングプロセスによって適用されてよい。
【0041】
パッケージ110は、内部118中に配置された穿刺要素130をさらに含む。穿刺要素130は、カバー120に面するカッティングエッジ又は鋭利部132を含む。カッティングエッジ又は鋭利部132は、パッケージ110がシール位にある場合、任意選択的にカバー120と隣接するか、又はカバー120と接触する。カッティングエッジ又は鋭利部132を任意選択的に含む穿刺要素130は、少なくともベースポリマーと、本明細書に記載の鉱物を含んでなる活性剤とから形成されたモノリシック材料を含んでなる鉱物装填ポリマーから構成される。
【0042】
任意選択的に、いずれの実施形態においても、モノリシック材料はチャネリング剤を含んでなる。任意選択的に、いずれの実施形態においても、モノリシック材料中の活性剤は、乾燥剤、例えば、モレキュラーシーブ又はシリカゲルである。任意選択的に、いずれの実施形態においても、鉱物装填ポリマーは、モノリシック材料の最高50重量%まで、任意選択的に20重量%~50重量%、任意選択的に30重量%~50重量%の鉱物装填濃度を有する。任意選択的に、いずれの実施形態においても、活性剤は、製品の新鮮さを延長すること及び/又は(粉末の場合)製品のクランピング又は凝集を防ぐことなどの製品126の所望の品質を維持するためにパッケージ110の内部118から湿分を吸収する乾燥剤である。任意選択的に、いずれの実施形態においても、カバー120は、紙、ボール紙、プラスチック、箔又は上記の1つ以上の組合せを含み得る1つ以上の層を含んでなる。任意選択的に、いずれの実施形態においても、カバーは可撓性であり、且つ0.01mm~1.00mm、任意選択的に0.01mm~0.40mmの厚さを有する。
【0043】
ここで
図7及び8を参照すると、パッケージ110から製品126を分注する方法に従って使用され得る任意選択的な分注装置124が示される。そのような方法に従って、パッケージ110は分注装置124中に挿入される。分注装置124は、パッケージ110をシール位から、パッケージ110から製品126を分注するための分注位へと移行するように始動され得る。
【0044】
1つの任意選択的な方法において、パッケージ110が分注装置124中に挿入され、そして分注装置124が始動されたら、圧力をカッティングエッジ又は鋭利部132に対して法線方向でカバー120上に適用する。任意選択的に、これは、圧力部材128がカバー120に対して力を適用するように、カバー120に対して上方向にプレスする圧力部材128及び/又は下方向に強制されるパッケージ110によって実行され得る。いずれにおいても、カッティングエッジ又は鋭利部132に対して法線方向でカバー120上に適用された上記圧力によって、カッティングエッジ又は鋭利部132がカバー120を穿刺するか、又はパッケージ110からカバー120の一部が切り離される。これによって、次に、パッケージ110がシール位から分注位に移行し、そこで製品126が開口部116を通して分注される。
【0045】
任意選択的に、製品126はパッケージ110下の受け器134中に分注され、そして液体136が装填される。任意選択的に、製品126を液体136と混合し、溶液を形成する。
【0046】
任意選択的に、いずれの実施形態においても、ベースポリマーはポリプロピレン、例えば、S-1005Pである。
【0047】
任意選択的に、いずれの実施形態においても、開示された概念は、カッティングエッジ又は鋭利部(例えば、132)を有する穿刺要素(例えば、130)であって、少なくともベースポリマーと、鉱物を含んでなる活性剤とから形成されるモノリシック材料を含んでなる鉱物装填ポリマーから構成される穿刺要素(任意選択的に、好ましくは全穿刺要素がカッティングエッジ又は鋭利部を含む)に概括的に関する。開示された概念は、それが現在好ましい用途ではあるが、パッケージ(例えば、110)での穿刺要素の使用に限定されない。
【0048】
任意選択的に、いずれの実施形態においても、穿刺要素の活試剤は、乾燥剤、例えば、モレキュラーシーブ又はシリカゲルである。任意選択的に、穿刺要素のいずれの実施形態においても、鉱物装填ポリマーは、モノリシック材料の最高50重量%まで、任意選択的に20重量%~50重量%、任意選択的に30重量%~50重量%の鉱物装填濃度を有する。任意選択的に、穿刺要素のいずれの実施形態においても、穿刺要素が鋭利部(すなわち、点など)を有する場合、鋭利部は、1.0mm未満、任意選択的に0.75mm未満、任意選択的に0.01mm~0.75mm、任意選択的に0.03mm~0.5mmの直径又は断面幅を有する。任意選択的に、穿刺要素の実施形態において、穿刺要素がカッティングエッジ(すなわち、刃)を有する場合、カッティングエッジは、1.0mm未満、任意選択的に0.75mm未満、任意選択的に0.01mm~0.75mm、任意選択的に0.03mm~0.5mmの幅を有する。任意選択的に、いずれの実施形態においても、穿刺要素は、破壊することなく、且つ圧力の十分な適用時に、厚さ40ミクロンのアルミ箔カバーを穿刺するように構成される。任意選択的に、開示された概念は、カバー、任意選択的にパッケージ(例えば、110)をシールするカバー(例えば、120)を穿刺するための本明細書に開示された穿刺要素のいずれの実施形態の使用にも関する。
【0049】
本発明が詳細に、且つ特定の実施例を参考にして説明されているが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更及び修正を実行可能であることは当業者に明白であろう。