(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-14
(45)【発行日】2022-10-24
(54)【発明の名称】感覚発生器を用いるレーザ手術機器の制御
(51)【国際特許分類】
A61F 9/008 20060101AFI20221017BHJP
【FI】
A61F9/008 120Z
(21)【出願番号】P 2019566728
(86)(22)【出願日】2018-07-12
(86)【国際出願番号】 IB2018055173
(87)【国際公開番号】W WO2019021096
(87)【国際公開日】2019-01-31
【審査請求日】2021-06-07
(32)【優先日】2017-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】ペーター マルティン
【審査官】胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0207978(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0192995(US,A1)
【文献】特開2005-301827(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0295243(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0293259(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0290031(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/008
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ装置を制御するためのシステムであって、
焦点を有するレーザビームを発生させるように構成された前記レーザ装置と、
前記焦点と患者の標的との間の距離を測定するように構成された距離計と、
感覚パターンをユーザに投射する音場を発生させるように構成された皮膚感覚発生器と、
コンピュータであって、
前記距離計から前記距離を受け取り、
前記距離に対応する前記感覚パターンを前記距離が変数である関数に従って特定し、
前記皮膚感覚発生器に対し前記特定された感覚パターンを投射する前記音場を発生させるように命令する
ように構成されたコンピュータと、
を含
み、
前記距離について、前記関数により前記感覚パターンの形状の寸法の長さが得られる、システム。
【請求項2】
前記形状は、円、楕円形、正方形、長方形、複数の点、及び線からなる群より選択される、請求項
1に記載のシステム。
【請求項3】
前記形状は円であり、
前記寸法は前記円の直径である、
請求項
1に記載のシステム。
【請求項4】
前記形状は複数のオブジェクトであり、
前記寸法は前記オブジェクトのうちの少なくとも2つの間の距離である、
請求項
1に記載のシステム。
【請求項5】
第一の距離について、前記関数により第一の長さが得られ、
前記第一の距離より長い第二の距離について、前記関数により前記第一の長さより長い第二の長さが得られる、
請求項
1に記載のシステム。
【請求項6】
警告距離範囲外にある第一の距離について、前記関数により第一の形状のパターンが得られ、
前記警告距離範囲内にある第二の距離について、前記関数により第二の形状のパターンが得られる、
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記ユーザのジェスチャを検出し、
前記ジェスチャの説明を前記コンピュータに提供する
ように構成されたジェスチャ検出器をさらに含み、
前記コンピュータは、前記ジェスチャに対応する動作を実行する命令を提供するように構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記コンピュータは、前記レーザ装置に前記レーザビームの前記焦点を移動させる命令を提供するように構成される、請求項
7に記載のシステム。
【請求項9】
前記コンピュータは、前記レーザ装置に対し前記患者の照明を変化させる命令を提供するように構成される、請求項
7に記載のシステム。
【請求項10】
前記患者を前記レーザ装置に関して支持するように構成された患者支持手段をさらに含み、
前記コンピュータは、前記患者支持手段に対し前記患者を前記レーザ装置に関して移動させる命令を提供するように構成される、
請求項
7に記載のシステム。
【請求項11】
レーザ装置を制御する
ためのシステムを作動させるための方法であって、
前記システムは、前記レーザ装置と、距離計と、皮膚感覚発生器と、コントローラと、コンピュータとを備え、前記方法は、
前記コントローラが、前記レーザ装置で、焦点を有するレーザビームを発生させるステップと、
前記コントローラが、前記距離計で、前記焦点と患者の眼の標的との間の距離を測定するステップと、
前記コントローラが、前記皮膚感覚発生器で、感覚パターンをユーザに投射する音場を発生させるステップと、
コンピュータ
が、前記距離計から前記距離を受け取るステップと、
前記コンピュータ
が、前記距離に対応する前記感覚パターンを前記距離が変数である関数に従って特定するステップと、
前記コンピュータ
が、前記皮膚感覚発生器に対し前記特定された感覚パターンを投射する前記音場を発生させるように命令するステップと、
を含
み、
前記距離について、前記関数により前記感覚パターンの形状の寸法の長さが得られる、方法。
【請求項12】
第一の距離について、前記関数により第一の長さが得られ、
前記第一の距離より長い第二の距離について、前記関数により前記第一の長さより長い第二の長さが得られる、
請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記コンピュータが、ジェスチャ検出器
により、ユーザのジェスチャを検出するステップと、
前記コンピュータが、前記ジェスチャ検出器により、前記ジェスチャの説明を前記コンピュータに提供するステップと、
前記コンピュータ
が、前記ジェスチャに対応する動作を実行する命令を提供するステップと、
をさらに含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項14】
前記コンピュータが、患者支持手段で、前記患者を前記レーザ装置に関して支持するステップと、
前記コンピュータ
が、前記患者支持手段に対し前記患者を前記レーザ装置に関して移動する命令を提供するステップと、
を含む、請求項
11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、手術用レーザ機器を制御することに関し、より詳しくは、感覚発生器を用いてレーザ手術機器を制御することに関する。
【背景技術】
【0002】
外科医は、レーザ手術機器を使って体の組織を整形し、切り、取り除く。例えば、レーザ手術機器(例えば、LASIK機器)は、角膜の形状を変化させて、眼に対して屈折力の矯正を行う。機器はコントローラ(例えば、ノブ、スイッチ、フットスイッチ、ボタン、又はグラフィック要素)を有し、外科医はこれを使って機器の機能を制御する。例えば、ノブは術野の照明を増減させるために使用できる。特定の状況では、手術機器の汚染の可能性に関する問題は、タッチレスコントローラ、例えば外科医の手のジェスチャで制御される機器の開発につながった。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
レーザ装置を制御するためのシステムは、レーザ装置と、距離計と、皮膚感覚発生器と、コンピュータと、を含む。レーザ装置は、焦点を有するレーザビームを発生させる。距離計は、焦点と患者の眼の標的との間の距離を測定する。皮膚感覚発生器は感覚パターンをユーザに投射する音場を発生させる。コンピュータは、距離計から距離を受け取り、距離に対応するパターンを距離が変数である関数に従って特定し、皮膚感覚発生器に対し特定されたパターンを投射する音場を発生させるように命令する。
【0004】
特定の実施形態において、ある距離について、関数によりパターンの形状の寸法の長さが得られる。形状は、円、楕円形、正方形、長方形、複数の点、及び線からなる群より選択できる。形状が円である場合、寸法は円の直径とすることができる。形状が複数のオブジェクトである場合、寸法はオブジェクトのうちの少なくとも2つの間の距離とすることができる。特定の実施形態において、第一の距離について、関数により第一の長さが得られ、第一の距離より長い第二の距離について、関数により第一の長さより長い第二の長さが得られる。
【0005】
特定の実施形態において、システムはジェスチャ検出器を含み、これはユーザのジェスチャを検出して、そのジェスチャの説明をコンピュータに提供する。コンピュータは、ジェスチャに対応する動作を実行する命令を提供する。例えば、コンピュータは、レーザ装置に対しレーザビームの焦点を移動させる、又は眼の照明を変化させる命令を提供できる。特定の実施形態において、システムは患者をレーザ装置に関して支持する患者支持手段を含み、コンピュータは患者支持手段に対し患者をレーザ装置に関して移動させる命令を提供する。
【0006】
レーザ装置を制御する方法は、レーザ装置で、焦点を有するレーザビームを発生させるステップと、距離計で、焦点と患者の眼の標的との間の距離を測定するステップと、皮膚感覚発生器で、感覚パターンをユーザに投射する音場を発生させるステップと、コンピュータにおいて、距離計から距離を受け取るステップと、コンピュータにより、距離に対応するパターンを距離が変数である関数に従って特定するステップと、コンピュータにより、皮膚感覚発生器に対し特定されたパターンを投射する音場を発生させるように命令するステップと、を含む。特定の実施形態は、レーザ装置を制御するためのシステムに関して上述した特徴を含んでいてよい。
【0007】
本開示の実施形態は、下記の添付の図面を参照しながら例によってより詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】皮膚感覚パターンを使用してレーザ装置を制御するためのシステムのある実施形態を示す。
【
図2A-2B】
図1のシステムの構成要素を制御するユーザコントローラとして動作する感覚パターンの例を示す。
【
図2C-2D】
図1のシステムの構成要素を制御するユーザコントローラとして動作する感覚パターンの例を示す。
【
図2E】
図1のシステムの構成要素を制御するユーザコントローラとして動作する感覚パターンの例を示す。
【
図3A-3B】
図1のシステムが感覚パターンを特定するために適用できる機能の例を示す。
【
図4】測定を提供し、レーザ装置を制御する方法の例を示す。
【
図5】皮膚感覚パターンを使用してレーザ装置を制御する方法の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここで説明文と図面を参照して、開示されている装置、システム、及び方法の例示的な実施形態を詳しく説明する。当業者にとっては明らかであるように、開示されている実施形態は例であり、考えられるあらゆる実施形態を網羅しているわけではない。
【0010】
図1は、皮膚感覚パターンを使ってレーザ装置20を制御するためのシステム10の実施形態を示す。システム10により、ユーザ(例えば、外科医)がレーザ装置20に触ることを必要としないレーザ装置20の制御が可能となり、これはレーザ装置20の汚染を低減させる。
【0011】
特定の実施形態において、システム10は、図のように連結されたレーザ装置20と、皮膚感覚発生器22と、ディスプレイ24と、ジェスチャ検出器26と、患者支持手段28と、コンピュータ30と、を含む。レーザ装置20は、患者29に対する医療処置、例えば患者に対する眼科手術を行うために使用されるレーザビームを発生させる。皮膚感覚発生器22は音場を生成し、これはユーザが感じることのできる感覚パターンをユーザに投射する。幾つかの場合において、感覚パターンはユーザに情報を提供してよい。例えば、レーザビームの焦点と標的との間の距離を示すために、パターンは、より長い距離を示すにはより大きく感じられ、より短い距離を示すためには小さく感じられてよい。他の場合では、感覚パターンはシステム10内の調整を行うようにユーザが相互作用できるユーザコントローラとして動作してよい。例えば、パターンはユーザが回すことのできるノブのように感じられてもよい。
【0012】
特定の実施形態において、ディスプレイ24はグラフィック要素を表示する。幾つかの場合では、グラフィック要素はユーザに提供される情報の視覚表現を提供してもよい。例えば、焦点と標的との間の距離を示すために、グラフィック要素は、より長い距離を示すにはより大きく、又はより短い距離を示すにはより小さくてよい。他の場合では、グラフィック要素はユーザコントローラの視覚表現を提供してよい。例えば、グラフィック要素はノブのように見えてよい。ジェスチャ検出器26はユーザのジェスチャ、例えばユーザコントローラと相互作用するユーザのジェスチャを検出する。例えば、ジェスチャはユーザがノブのようなものを回転させることであってもよい。患者支持手段28(例えば、患者のベッド又はヘッドレスト)は患者29をレーザ装置に関して支持する。コンピュータ30は、レーザ装置20、皮膚感覚発生器22、ディスプレイ24、ジェスチャ検出器26、及び/又は患者支持手段28に対し、それらの動作を制御する命令を送信する。
【0013】
レーザ装置20は、レーザビーム40を発生させる。特定の実施形態において、レーザ装置20はレーザ32と、照明器34と、距離計36と、装置コントローラコンピュータ28と、を含む。レーザ32は、焦点Fのレーザビーム40を発生させる。レーザビーム40は、xyz座標系を画定してよい。レーザビーム40の軸はz軸を画定し、これはxy平面に垂直である。レーザ32の例としては、エキシマレーザ(パルス繰返し率が約100Hz~8kHz、パルス幅が約10ns~30nsの紫外線レーザ)やフェムト秒レーザ(赤外又は紫外波長範囲の光を発することのできる超短パルスレーザ)が含まれる。エキシマレーザは、例えば角膜組織の形状を変化させるために、組織を光切除できるレーザビームを発生させる。フェムト秒レーザは、例えば角膜組織に切開創を作るために、組織内でレーザ誘起光破壊(LIOBs:laser-induced optical breakdowns)を生起することのできるレーザビームを発生させる。レーザ装置20は、ビーム40を制御するその他の構成要素、例えばスキャナ、光学素子、及び集光対物レンズを含んでいてもよい。
【0014】
処置は、患者29の組織を切除又は整形する、患者29に対する何れの適当な医療処置であってもよく、これは例えば患者29の眼50に対する眼科手術である。これらの場合、焦点Fは眼50の標的Tに向けられてよい。標的Tは眼50の表面上のある点又は眼50の組織、例えば角膜、水晶体、又は網膜組織内のある点であってよい。他の実施形態では、標的Tは皮膚の表面上のある点又は表皮組織内のある点であってもよい。
【0015】
照明器34は、処置の対象領域を照明できる光(例えば、可視光又は赤外光)を発生させる何れかの適当な光源を含む。強度及び/又は方向は、装置コントローラコンピュータ38により制御されてよい。
【0016】
距離計36は距離、例えば焦点Fと眼50の標的Tとの間の距離を計測する。何れの適当な距離計36が使用されてもよい。例えば、距離計36は非平行光ビームを眼50に向けて、眼50の表面上に光のスポットを形成するダイオードを有していてもよい。眼50がレーザ32に近付くように、又はそれから遠ざかるように調整されると、スポットも近付くか、遠ざかるように移動する。幾つかの場合では、スポットは、眼50がレーザ32からか特定の距離にあるときに重複し得る。距離計36は、スポットを見て、レーザ32からの距離を特定するカメラを有していてもよい。装置コントローラコンピュータ88は、その構成要素、例えばレーザ32、照明器34、及び距離計36に命令を送信することによって、レーザ装置20の動作を制御するコンピュータであってよい。
【0017】
皮膚感覚発生器22は、感覚パターン60をユーザ62へと投射する音場を発生させる。感覚パターン60は、ユーザ62、例えば人間が感じることのできる触覚である。人間の場合、感覚パターン60は通常、手で感じ取られるが、人体の何れの部分で感じ取られるものであってもよい。特定の場合において、感覚パターン60はユーザコントローラとして動作するが、これは、ユーザ62がコマンドを送信するジェスチャを行うことによって感覚パターン60と相互作用できるからである。何れの適当な皮膚感覚発生器22が使用されてもよく、例えばULTRAHAPTICS TOUCH装置である。何れの適当な感覚パターン60が投射されてもよく、パターン60の例は
図2A~3Bに関して説明されている。
【0018】
特定の実施形態において、皮膚感覚発生器22は、音場を人間に投射するトランスデューサアレイを含む。各トランスデューサは音波を出力し、これはその結果として得られる音場を生成する。場の周波数は、人間が皮膚感覚を認知できるように制御される。特定の実施形態において、音波は0.1Hz~500Hzの周波数で変調される超音波を含む。
【0019】
ディスプレイ24はグラフィック要素を表示する。ディスプレイ24は視覚情報、例えばグラフィック要素を提示するコンピュータモニタであってよい。グラフィック要素は、典型的には特定の意味を有する大きさ、色、及び/又は形状の画像である。例えば、グラフィック要素はユーザコントローラを表現し、この要素は、ユーザコントローラとして動作する感覚パターン60がユーザ62のために生成されたときに表示されてよい。この例では、ユーザ62は、感覚パターン60と相互作用してシステム10にコマンドを送信させるようにジェスチャすることができる。他のグラフィック要素は、ジェスチャ検出器26によって検出されるジェスチャに対するグラフィック応答であってよい。例えば、グラフィック要素は、ユーザ62が感覚パターン60と相互作用するためにジェスチャを行ったことを示すためにハイライトしていてもよい。グラフィック要素の例は
図2A~3Bに関して説明されている。
【0020】
ジェスチャ検出器26は、ユーザのジェスチャを検出する。ジェスチャはユーザの動き、例えばユーザの手、足、頭、又はその他の部分の動きである。動きは、何れの適当な速度の何れの適当な方向のものであってもよい。ジェスチャの例は、
図2A~2Eに関して説明されている。ジェスチャ検出器26は、何れの適当な検出器を用いてジェスチャを検出してもよく、これは例えば奥行き認識カメラ(例えば、パターン光又は飛行時間カメラ)、ステレオカメラ、又はジェスチャ利用のコントローラである。ジェスチャを検出すると、ジェスチャ検出器26はジェスチャの説明をコンピュータ30に提供してよい。
【0021】
コンピュータ30は、システム10の動作を制御し、プロセッサ51とメモリ52を含む。プロセッサ51は、メモリ52に保存されている命令54に従って動作を実行する。コンピュータ30は、何れの適当な動作を実行することもできる。例えば、コンピュータ30は、焦点Fと標的Tとの間の距離の測定値を距離計36から受け取り、距離が変数である関数に従って距離に対応するパターンを特定し、皮膚感覚発生器22に対し、特定されたパターンを投射する音場を発生させるように命令する。何れの適当な関数が使用されてもよく、関数の例は
図3A~3Bに関して説明されている。
【0022】
他の例として、コンピュータ30は皮膚感覚発生器22に対し、ユーザコントローラに対応する感覚パターンを投射する音場を発生させるように命令し、ディスプレイ24に対し、ユーザコントローラを表現するグラフィック要素を表示するように命令する。コンピュータ30は、ユーザコントローラと相互作用するユーザ62のジェスチャの説明を受け取る。コンピュータ30は次に、ディスプレイ24に対して、ジェスチャへのグラフィック応答を表示するように命令する。グラフィック応答の例は
図2A~3Bに関して説明されている。コンピュータ30はまた、ジェスチャに対応する動作を特定し、その動作を実行するための命令を提供する。動作はジェスチャを動作に関連付ける表を使って特定されてもよく、システム10の構成要素により実行されてよい。このような動作の例としては、レーザ装置20に焦点F又はビーム40を眼50の標的Tに近付ける、又はそれから遠ざけるべく移動させるように命令すること、照明器34に対し、照明、例えば照明の明るさ又は方向を変化させるように命令すること、又は患者支持手段28に対し、患者29をレーザ装置20に関して、例えばz方向に、又はxy平面に沿って遠ざける、又は近付けるべく移動させるように命令すること、が含まれる。
【0023】
図2A~2Eは、システム10の構成要素を制御するためのユーザコントローラとして動作する感覚パターン60の例を示す。これらの例において、皮膚感覚発生器22はユーザコントローラとして動作する感覚パターン60(60a~e)を発生させ、ディスプレイ24はユーザコントローラを表すグラフィック要素70(70a~e)を表示する。ユーザ62はジェスチャにより感覚パターンと相互作用し、ユーザコントローラでシステム10に入力を提供する。ジェスチャ検出器26はジェスチャを検出し、ディスプレイ24はジェスチャに対するグラフィック応答72(72a~e)を表示する。コンピュータ30(
図1に示される)は、動作を実行するための命令をシステム10の構成要素に送信する。
【0024】
図2Aにおいて、ユーザコントローラはコマンドボタンであり、ユーザ62はそれを選択してボタンにより表されるイベントをトリガできる。皮膚感覚発生器22は、ボタンとして動作する感覚パターン60aを発生させる。ディスプレイ24は、ボタンを表すボタン要素70aを表示する。ユーザ62はジェスチャにより感覚パターン60aと相互作用してボタンを選択し、例えば、ユーザ62は手を動かして感覚パターン60aを押して、ボタンを選択する。ディスプレイ24は、押すことを表すグラフィック応答72aを表示し、例えば、ボタンのグラフィック70aがハイライトされて、ボタンが選択されたことを示してもよい。
【0025】
図2Bにおいて、ユーザコントローラはノブであり、ユーザ62はそれを回してノブにより示される値を選択できる。皮膚感覚発生器22は、ノブとして動作する感覚パターン60bを発生させる。ディスプレイ24は、ノブを表すノブ要素70bを表示する。ユーザ62は、ジェスチャにより感覚パターン60bと相互作用してノブを回し、例えば、ユーザ62は手を動かして感覚パターン60bを回し、ノブにより示される値を選択する。ディスプレイ24は、選択を表すグラフィック応答72bを表示し、例えば選択された値がハイライトされてよい。
【0026】
図2Cにおいて、ユーザコントローラはスライダであり、ユーザ62はそれをスライドさせて、スライダにより示される値を選択できる。皮膚感覚発生器22は、スライダとして動作する感覚パターン60cを発生させる。ディスプレイ24は、スライダを表すスライダ要素70cを表示する。ユーザ62はジェスチャにより感覚パターン60cと相互作用してスライダをスライドさせ、例えばユーザは手を動かして感覚パターン60cをスライドさせて、スライダにより示される値を選択する。ディスプレイ24は選択を表すグラフィック応答72cを表示し、例えば選択された値がハイライトされてよい。
【0027】
図2Dにおいて、ユーザコントローラは1つ又は複数のオブジェクトを含む形状であり、ユーザ62はそれを操作して距離を選択できる。1つのオブジェクトに関して、ユーザ62はオブジェクトとして動作する感覚パターン60をピンチインして、より短い距離を選択するか、又は感覚パターン60をピンチアウトして、より長い距離を選択できる。複数のオブジェクトに関して、ユーザ62はオブジェクトとして動作する感覚パターン60の各部分を相互に近付けて、より短い距離を選択するか、遠ざけて、より長い距離を選択できる。この例において、皮膚感覚発生器22は、形状を表す感覚パターン60dを生成する。ディスプレイ24は、その形状を表す形状要素70dを表示する。ユーザ62はジェスチャにより感覚パターン60dと相互作用して、形状を操作する。ディスプレイ24は、その選択を表すグラフィック応答72dを表示し、例えば選択された距離が表示されてよい。
【0028】
図2Eにおいて、ユーザコントローラはレバーであり、ユーザ62はこれを上下させて、レバーにより示される値を選択できる。値は患者支持手段28とレーザ装置20との間の距離であってよく、これは患者支持手段28の高さにより示されてよい。皮膚感覚発生器22は、レバーとして動作する感覚パターン60eを生成する。ディスプレイ24は、レバーを表すレバー要素70eを表示する。ユーザ62はジェスチャにより感覚パターン60と相互作用して、スライダをスライドさせ、例えばユーザ62は手を上下に動かして患者支持手段28を上げ下げする。ディスプレイ24は選択を表すグラフィック応答72eを表示し、例えば選択された値がハイライトされてもよい。
【0029】
図3A~3Bは、コンピュータ30が感覚パターン60を特定するために適用できる関数の例を示す。これらの例では、測定値が関数の変数であるため、関数は感覚パターン60を介して測定値をユーザ62に伝えるために使用できる。例えば標的までの距離等のレーザビーム40の特徴といった何れの適当な測定値も使用されてよい。これらの例において、測定値は焦点Fと標的Tとの間の距離dである。関数は、何れの適当な方法として記憶されてもよく、例えば論理若しくは数学演算又は表として記憶されてよい。特定の実施形態において、ディスプレイ24は感覚パターン60と同じ形状のグラフィック要素70を表示する。
【0030】
図3Aにおいて、距離をdとすると、関数fによりパターン60の形状の寸法Sの長さsが得られ、すなわちs=f(d)となる。何れの適当な形状も使用でき、形状は例えば、円形、楕円形、正方形、長方形、又は直線である。形状の何れの適当な寸法も使用でき、形状の寸法は例えば円形の直径、楕円形の長径若しくは短径、正方形の辺、長方形の長辺若しくは短辺、又は直線の長さである。形状は、2つ又はそれ以上のスポットであってもよく、寸法は2つのスポット間の距離であってもよい。図の実施形態において、より長い距離dではより長い長さsが得られる。すなわち、第一の距離をd
iとすると、関数によって第一の長さs
iが得られる。第二の長さd
jが第一の長さd
jより長いとすると、関数により第一の長さs
iより長い第二の長さs
jが得られる。
【0031】
図3Bにおいて、関数fにより距離dの特定の値に関する異なる形状が得られる。例えば、関数fにより、警告距離範囲d
*内の距離dの数値に関する通知警告形状が得られる。すなわち、警告距離範囲d
*の外側の第一の距離をd
iとすると、関数により第一の形状のパターンが得られる。警告距離範囲d
*の内側の第二の距離をd
kとすると、関数により第二の形状のパターンが得られる。
【0032】
3Bの関数fは、焦点Fが標的Tに近すぎるとユーザ62に警告するために使用されてよい。例えば、警告距離範囲d*は0.05ミリメートル(mm)~0.5mmの範囲内、例えば0.05~0.1、0.1~0.2、0.2~0.3、0.3~0.4、及び/又は0.4~0.5mmであってよい。
【0033】
図4は、測定値を提供し、レーザ装置を制御する方法の例を示す。方法は、
図1のシステム10により実行されてよい。方法において、システム10は、レーザビームの焦点Fと標的Tとの間の距離をユーザ62に通知する。ユーザ62はジェスチャによりシステム10に入力を提供し、システム10は入力に応答して動作を実行する。
【0034】
方法はステップ100から始まり、ここでレーザ装置20は焦点Fのレーザビーム40を発生させる。ステップ102で、距離計36は焦点Fと標的Tとの間の距離を測定する。標的Tは眼50の表面上のある点又は組織、例えば眼50の角膜組織内のある点であってよい。他の実施形態において、標的Tは皮膚上のある点、又は上皮組織内のある点であってよい。ステップ104で、コンピュータ30はその距離に対応する感覚パターン60を特定する。パターン60は、
図3A~3Bに関して説明した関数を使って特定されてよい。ステップ106で皮膚感覚発生器22は、感覚パターン60を投射するための超音波を発生させる。感覚パターン60は、例えばユーザ62の人間の手により感じ取ることのできる触覚である。ユーザ62はジェスチャにより、パターン60と相互作用する。ジェスチャは、
図2A~2Eに関して説明したようにパターン60と相互作用してよい。ステップ108で、ジェスチャ検出器26はジェスチャを検出する。ステップ110で、コンピュータ30はジェスチャに対応する動作を実行するための命令を提供する。コンピュータ30はジェスチャに対応する動作を、例えば表から特定してよい。動作は、システム10の構成要素により実行されてよい。
【0035】
図5は、皮膚感覚パターンを使ってレーザ装置を制御する方法の例を示す。方法は、
図1のシステム10により実行されてよい。方法において、システム10はユーザコントローラとして動作する感覚パターン60を投射する。ユーザ62はジェスチャによりユーザコントローラと相互作用して、入力を提供し、システム10はその入力に応答して動作を実行する。
【0036】
方法はステップ200から始まり、ここでレーザ装置20はレーザビーム40を発生させて処置を実行する。ステップ202で、皮膚感覚発生器22は、処置のためにユーザコントローラとして動作する感覚パターン60を投射するための超音波を発生させる。ステップ204で、ディスプレイ24はユーザコントローラに対応するグラフィック要素70を表示する。ユーザ62は、システム10にコマンドを送信させるために、ユーザコントローラに対応する感覚パターン60と相互作用することができる。ステップ206で、ジェスチャ検出器26はユーザコントローラと相互作用するユーザ62のジェスチャを検出する。ステップ208で、コンピュータ20はジェスチャ検出器26からジェスチャの説明を受け取る。ステップ210で、ディスプレイ24はジェスチャに対するグラフィック応答72を表示する。ステップ212で、コンピュータ30は処置のためのジェスチャに対応する動作を実行するための命令を提供する。グラフィック要素70、感覚パターン60、ジェスチャ、及びグラフィック応答72の例は
図2A~2Eに関して説明されている。
【0037】
本明細書において開示されているシステム及び装置の構成要素(例えば、コンピュータ30及び装置コントローラコンピュータ38)は、インタフェース、ロジック、及び/又はメモリを含んでいてもよく、その何れもがハードウェア及び/又はソフトウェアを含んでいてよい。インタフェースは、構成要素への入力を受け取り、構成要素からの出力を提供し、及び/又は入力及び/又は出力を処理することができる。ロジックは、構成要素の動作を実行することができ、例えば入力から出力を生成するための命令を実行できる。ロジックはプロセッサ、例えば1つ又は複数のコンピュータ又は1つ又は複数のマイクロプロセッサであってよい。ロジックはメモリ内で符号化された、コンピュータにより実行可能なコンピュータ実行可能命令、例えばコンピュータプログラム又はソフトウェアであってよい。メモリは情報を記憶でき、1つ又は複数の有形、非一時的、コンピュータ可読、コンピュータ実行可能な記憶媒体を含んでいてよい。メモリの例としては、コンピュータメモリ(例えば、Random Access Memory(RAM)又はRead Only Memory(ROM))、マスストレージ媒体(例えば、ハードディスク)、リムーバブルストレージ媒体(例えば、Compact Disk(CD)又はDigital Video Disk(DVD))、及びネットワークストレージ(例えば、サーバ又はデータベース)が含まれる。
【0038】
本開示は特定の実施形態に関して説明されているが、当業者にとって実施形態の変更(例えば、置換、追加、代替、又は省略)は明らかであろう。したがって、変更は、発明の範囲から逸脱せずに実施形態に加えられてよい。例えば、変更は本明細書で開示されているシステム及び装置に行われてよい。システム及び装置の構成要素は統合され、又は分離されてもよく、システム及び装置の動作は、より多くの、より少ない、又は他の構成要素により実行されてもよい。他の例として、変更は本明細書で開示されている方法について行われてよい。方法はより多くの、より少ない、又は他のステップを含んでいてもよく、ステップは何れの適当な順序で実行されてもよい。