IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ミサワホーム株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-余剰電力活用システム 図1
  • 特許-余剰電力活用システム 図2
  • 特許-余剰電力活用システム 図3
  • 特許-余剰電力活用システム 図4
  • 特許-余剰電力活用システム 図5
  • 特許-余剰電力活用システム 図6
  • 特許-余剰電力活用システム 図7
  • 特許-余剰電力活用システム 図8
  • 特許-余剰電力活用システム 図9
  • 特許-余剰電力活用システム 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-14
(45)【発行日】2022-10-24
(54)【発明の名称】余剰電力活用システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20221017BHJP
   G06Q 10/04 20120101ALI20221017BHJP
【FI】
G06Q50/06
G06Q10/04
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020060883
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021162890
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2021-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】307042385
【氏名又は名称】ミサワホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】相馬 康幸
(72)【発明者】
【氏名】川上 隆士
(72)【発明者】
【氏名】後藤 伸希
【審査官】関 博文
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-004546(JP,A)
【文献】特開2015-122836(JP,A)
【文献】特開2019-088151(JP,A)
【文献】特開2007-228697(JP,A)
【文献】特開2011-229208(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に設置された発電手段と、
前記発電手段が発電することにより、所定時間経過後に余剰となっていることが予想される電力量である予測余剰電力量を算出する算出手段と、
前記算出手段が算出した前記予測余剰電力量に基づいて、前記所定時間経過後に、前記建物内に設置された電気機器を制御する機器制御手段と、
任意の制御対象時間を設定することが可能な設定手段と、
過去の所定期間に前記電気機器が消費した電力量である消費電力量を測定する測定手段と、
表示手段と、を備え、
前記機器制御手段は、前記算出手段が算出した前記予測余剰電力量が所定値以上である場合に、前記電気機器を制御し、
前記機器制御手段は、前記設定手段が予め設定した制御対象時間内において、前記電気機器を制御し、
前記算出手段は、前記測定手段が測定した前記消費電力量を、前記所定時間経過後に消費していると予想される電力量である予測消費電力量とみなし、
前記算出手段は、前記発電手段が前記所定時間経過後に発電していると予想される電力量である予測発電量を算出し、
前記算出手段は、前記予測発電量から前記予測消費電力量を差し引くことにより、前記予測余剰電力量を算出し、
前記測定手段は、実際に余剰となった電力量である実績余剰電力量を測定し、
前記表示手段は、前記算出手段が算出した前記予測余剰電力量と共に、前記測定手段が測定した前記実績余剰電力量を表示し、
前記表示手段は、前記予測余剰電力量及び前記実績余剰電力量を、縦軸又は横軸の一方を時刻、他方を電力量として、所定時間ごとの棒グラフで表示し、
前記表示手段は、グラフの表示領域における、前記設定手段が設定した時間に対応する部分の色を変更することを特徴とする余剰電力活用システム。
【請求項2】
請求項に記載の余剰電力活用システムにおいて、
前記算出手段が算出した前記予測余剰電力量に基づいて、前記建物の利用者へ推奨する、余剰電力の消費方法を選択する選択手段を備え、
前記表示手段は、前記選択手段が選択した余剰電力の消費方法を表示することを特徴とする余剰電力活用システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の余剰電力活用システムにおいて、
前記電気機器は、空調機器及び床暖房機器のうちの少なくとも一方であることを特徴とする余剰電力活用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、余剰電力活用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電力の固定価格買取制度の終了に伴い、余剰電力を売電するよりも、自宅で消費して買電に要する費用を抑える方が、経済的に有利となる場合が出てくるようになった。そこで、従来、余剰電力を建物内で活用するための各種技術が提案されている。
例えば特許文献1には、太陽光発電量予測値と消費電力予測値とに基づいて建物における余剰電力予測値を算出し、算出した余剰電力予測値と室温予測値と在室時間帯予測値とに基づいて、熱源の駆動パターンの候補を選択し、電力の売電価格と商用電力の買電価格とに基づく売買電収支を選択した駆動パターンの候補について算出し、算出した売買電収支に基づいて算出した駆動パターンの候補から、熱源の駆動に用いられる駆動パターンを選択し、選択した駆動パターンを熱源の駆動装置に出力する熱源制御装置について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-012613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された熱電制御装置は、余剰電力が十分でない場合に、商用電力を併用して熱源を駆動させるようになっている。
このため、例えば、熱源を駆動させる頻度が多くなる、又は熱源を駆動させる一回当たりの消費電力量が大きくなる夏場や冬場、あるいは悪天候が続いて太陽光発電量が低下する梅雨の時期等に、住宅の居住者が気づかないうちに熱源が商用電力を消費し、居住者が意図しない買電費用を支払わなければならなくなってしまう可能性がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、電気機器を自動制御することにより余剰電力を活用する際に、意図しない買電費用が生じてしまうのを防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、例えば図1~5,7,8に示すように、
建物Bに設置された発電手段1と、
前記発電手段1が発電することにより、所定時間経過後に余剰となっていることが予想される電力量である予測余剰電力量を算出する算出手段21と、
前記算出手段21が算出した前記予測余剰電力量に基づいて、前記所定時間経過後に、前記建物B内に設置された電気機器3を制御する機器制御手段21と、
任意の制御対象時間を設定することが可能な設定手段21,6と、
過去の所定期間に前記電気機器3が消費した電力量である消費電力量を測定する測定手段と、
表示手段6と、を備え、
前記機器制御手段21は、前記算出手段21が算出した前記予測余剰電力量が所定値以上である場合に、前記電気機器3を制御し、
前記機器制御手段21は、前記設定手段21,6が予め設定した制御対象時間内において、前記電気機器3を制御し、
前記算出手段は、前記測定手段が測定した前記消費電力量を、前記所定時間経過後に消費していると予想される電力量である予測消費電力量とみなし、
前記算出手段は、前記発電手段が前記所定時間経過後に発電していると予想される電力量である予測発電量を算出し、
前記算出手段は、前記予測発電量から前記予測消費電力量を差し引くことにより、前記予測余剰電力量を算出し、
前記測定手段は、実際に余剰となった電力量である実績余剰電力量を測定し、
前記表示手段6は、前記算出手段が算出した前記予測余剰電力量と共に、前記測定手段が測定した前記実績余剰電力量を表示し、
前記表示手段6は、前記予測余剰電力量及び前記実績余剰電力量を、縦軸又は横軸の一方を時刻、他方を電力量として、所定時間ごとの棒グラフで表示し、
前記表示手段6は、グラフの表示領域における、前記設定手段21,6が設定した時間に対応する部分の色を変更することを特徴とする余剰電力活用システム100である。
【0007】
請求項1に記載の発明は、予測余剰電力量が比較的十分ある場合(余剰電力だけで電気機器3の消費電力を賄える場合)に電気機器3を制御するため、建物の利用者が気づかないところで商用電力を併用することが無い。
このため、請求項1に記載の発明によれば、電気機器を自動制御することにより余剰電力を活用する際に、意図しない買電費用が生じてしまうのを防ぐことができる。
【0009】
請求項に記載の発明によれば、建物Bの利用者が所望する時間(例えば、建物の利用者の不在時、建物に戻ってくる直前等)に電気機器3を作動させることができる。
【0011】
所定時間ごとの消費電力量は連続的に変化するため、ある時刻における消費電力量と当該時刻から所定時間経過後における消費電力量とは、比較的近い値を示す可能性が高い。このため、請求項1に記載の発明によれば、簡単な演算で比較的正確な予想余剰電力量を算出することができる。
【0013】
請求項に記載の発明によれば、予測余剰電力量と実績余剰電力量とを容易に比較することができる。
【0015】
請求項に記載の発明によれば、電気機器3を制御することになる時間帯の予測余剰電力量を容易に把握することができる。
【0016】
請求項に記載の発明は、例えば図2,3,6,9に示すように、
請求項に記載の余剰電力活用システム100において、
前記算出手段21が算出した前記予測余剰電力量に基づいて、前記建物Bの利用者へ推奨する、余剰電力の消費方法を選択する選択手段21を備え、
前記表示手段6は、前記選択手段21が選択した余剰電力の消費方法を表示することを特徴とする。
【0017】
請求項に記載の発明によれば、表示された消費方法に従って電力を消費する(電気機器を作動させる)ことにより、効率よく余剰電力を利用することができる。
【0018】
請求項に記載の発明は、例えば図1,5に示すように、
請求項1又は請求項2に記載の余剰電力活用システムにおいて、
前記電気機器3は、空調機器及び床暖房機器のうちの少なくとも一方であることを特徴とする。
【0019】
請求項に記載の発明によれば、余剰電力を用いて、熱くなっている室内を冷やしたり、冷えている室内を温めたりすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、電気機器を自動制御することにより余剰電力を活用する際に、意図しない買電費用が生じてしまうのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係る余剰電力活用システムを示すブロック図である。
図2図1の余剰電力活用システムが備える中継装置(制御装置)を示すブロック図である。
図3図2の制御装置が実行する電力管理処理の流れを示すフローチャートである。
図4図3の電力管理処理における算出処理の流れを示すフローチャートである。
図5図3の電力管理処理における機器制御処理の流れを示すフローチャートである。
図6図3の電力管理処理において用いられるテーブルを示す図である。
図7図1の余剰電力活用システムが備える端末装置を示すブロック図である。
図8図7の端末装置が表示する設定画面を示す図である。
図9図7の端末装置が表示する情報表示画面を示す図である。
図10図7の端末装置が表示する情報表示画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0023】
<1.余剰電力活用システム>
まず、本実施形態に係る余剰電力活用システム(以下、システム100)の概略構成について説明する。
図1は、システム100を示すブロック図である。
【0024】
システム100は、例えば図1に示すように、発電手段1と、制御装置2と、電気機器3と、を備えている。
また、本実施形態に係るシステム100は、蓄電池4と、中継装置5と、端末装置6と、管理装置7と、を更に備えている。
これらは、通信ネットワークNを介して互いに通信可能となっている。
また、本実施形態に係るシステム100は、通信ネットワークNを介して、気象情報を扱う機関A(気象庁、気象情報会社等)とも通信可能となっている。
【0025】
発電手段1は、電気を発生させるためのもので、建物Bに設置される。
本実施形態に係る発電手段1は、建物Bの屋根に設置されたソーラーパネルとなっている。
また、本実施形態に係る発電手段1は、発電量を測定する発電量測定部1aを備えている。
「発電量」は、過去の所定期間(例えば、測定時の1時間30分前から30分前までの間)に発電手段1が実際に発電した電力量である。
なお、発電手段1は、ソーラーパネル以外のもの(例えば、ガス発電機、風力発電機等)であってもよい。
【0026】
制御装置2は、各種予測値を算出したり、必要に応じて電気機器3を制御したりするためのもので、PCや専用の装置等で構成されている。
また、制御装置2は、データベース2aと接続されている、又はデータベース2aを格納している。
データベース2aには、算出した各種予測値を含む各種情報が蓄積されている。
この制御装置2の詳細については後述する。
【0027】
電気機器3は、建物B内に少なくとも一つ設置されている。
本実施形態に係る電気機器3は、空調機器及び床暖房機器のうちの少なくとも一方となっている。
本実施形態に係る電気機器3は、室温測定部3aと、消費電力量測定部3bと、を備えている。
「室温測定部3a」は、設置されている部屋の室温を測定するものである。
「消費電力量測定部3b」は、消費電力量を測定するものである。
「消費電力量」は、過去の所定期間(例えば、1時間30分前から30分前までの間)に電気機器3が消費した電力量である。すなわち、消費電力量測定部3bは、測定手段をなす。
また、本実施形態に係る電気機器3は、後述する制御装置2が実行する制御に基づいて、自身の動作態様(温度、作動時間)を変更することが可能となっている。
【0028】
蓄電池4は、発電手段1が発生させた電気や、電力会社から供給された電気を蓄えておくことが可能となっている。
また、蓄電池4は、必要に応じて、電気機器3へ電力を供給することが可能となっている。
【0029】
中継装置5は、発電手段1及び電気機器3と、制御装置2と、の間でやり取りされる各種情報や各種信号を中継するものである。
この中継装置5の詳細については後述する。
【0030】
端末装置6は、表示手段をなすもので、PCや携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、専用の装置等で構成されている。
この端末装置6の詳細についても後述する。
【0031】
管理装置7は、例えば建物Bのメーカー等が制御装置2を管理するためのもので、PCや専用の装置等で構成されている。
なお、管理装置7は、制御装置2と一体になっていてもよい。
【0032】
<2.中継装置>
次に、システム100が備える中継装置5について具体的に説明する。
図2は中継装置5を示すブロック図である。
なお、図2における括弧書きの符号は、後述する制御装置2のものである。
【0033】
〔中継装置の構成〕
中継装置5は、図2に示すように、第一制御部51と、第一通信部52と、第一記憶部53と、を備えている。
【0034】
第一制御部51は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等により構成されている。
そして、第一制御部51のCPUは、第一記憶部53に記憶されている各種プログラムを読出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って各種処理を実行し、中継装置5各部の動作を集中制御するようになっている。
【0035】
第一通信部52は、通信モジュール等で構成されている。
そして、第一通信部52は、通信ネットワークNを介して接続された他の装置(例えば、発電手段1、制御装置2、電気機器3等)との間で各種信号や各種データを送受信するようになっている。
【0036】
第一記憶部53は、不揮発性の半動態メモリーやハードディスク等により構成されている。
また、第一記憶部53は、第一制御部51が実行する各種プログラム等を記憶している。
【0037】
〔中継装置の動作〕
このように構成された中継装置5の第一制御部51は、以下のような機能を有している。
第一制御部51は、発電手段1から発電量を、第一通信部52を介して取得する機能を有している。
また、第一制御部51は、電気機器3から消費電力量を、第一通信部52を介して取得する機能を有している。
本実施形態に係る第一制御部51は、所定時間(例えば30分)が経過する度(例えば各時の00分,30分)に、これらの値を取得するようになっている。
なお、建物Bに発電手段1が複数備えられている場合、第一制御部51は、各発電手段1の発電量をそれぞれ取得し、その合計値を算出する。
また、建物Bに電気機器3が複数備えられている場合、第一制御部51は、各電気機器3の消費電力量をそれぞれ取得し、その合計値を算出する。
【0038】
また、第一制御部51は、実績余剰電力量を算出する機能を有している。
「実績余剰電力量」は、実際に余剰となった電力量であり、発電量から消費電力量を差し引くことにより算出される。
【0039】
また、第一制御部51は、制御装置2からの要求に応じて、取得した値や算出した値を、第一通信部52を介して制御装置2へ送信する機能を有している。
また、第一制御部51は、制御装置2から受信した制御信号を、第一通信部52を介して電気機器3へ送信する機能を有している。
【0040】
<3.制御装置>
次に、システム100が備える制御装置2について具体的に説明する。
図2は制御装置2を示すブロック図、図3は制御装置2が実行する電力管理処理の流れを示すフローチャート、図4図3の電力管理処理における算出処理の流れを示すフローチャート、図5図3の電力管理処理における機器制御処理の流れを示すフローチャート、図6図3の電力管理処理において用いられるテーブルを示す図である。
【0041】
〔制御装置の構成〕
制御装置2は、図2に示したように、第二制御部21と、第二通信部22と、第二記憶部23と、を備えている。
【0042】
第二制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等により構成されている。
そして、第二制御部21のCPUは、第二記憶部23に記憶されている各種プログラムを読出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って各種処理を実行し、制御装置2各部の動作を集中制御するようになっている。
【0043】
第二通信部22は、通信モジュール等で構成されている。
そして、第二通信部22は、通信ネットワークNを介して接続された他の装置(例えば、電気機器3、端末装置6、管理装置7等)との間で各種信号や各種データを送受信するようになっている。
【0044】
第二記憶部23は、不揮発性の半動態メモリーやハードディスク等により構成されている。
また、第二記憶部23は、第二制御部21が実行する各種プログラム(後述する電力管理処理を含む)を記憶している。
また、第二記憶部23は、後述する電力管理処理において使用するテーブル(図6参照)を記憶している。
【0045】
〔制御装置の動作〕
このように構成された制御装置2の第二制御部21は、以下のような機能を有している。
【0046】
(設定機能)
例えば、本実施形態に係る第二制御部21は、自動制御機能をオンにするかオフにするかを設定する機能を有している。
本実施形態に係る第二制御部21は、端末装置6から受信した設定情報に基づいて、オンまたはオフに設定するようになっている。
この自動制御機能がオンに設定されると、第二制御部21は、後述する電力管理処理を実行するようになる。
一方、自動制御機能がオフに設定されると、第二制御部21は、電力管理処理を実行しない。
【0047】
また、第二制御部21は、自動制御機能がオンに設定されている場合に、制御対象時間を設定する機能を有している。
「制御対象時間」は、制御装置2が電気機器3を自動制御する時間のことである。
また、本実施形態に係る第二制御部21は、自動制御機能がオンに設定されている場合に、制御方法と、基準室温と、設定室温と、を更に設定することが可能となっている。
本実施形態に係る第二制御部21は、端末装置6から受信した設定情報に基づいてこれらを設定するようになっている。
【0048】
本実施形態に係る「制御方法」には、起動のみと、起動及び停止と、が含まれる。
「起動のみ」は、電気機器3を自動的に起動させるが、停止はさせない(停止は手動の)制御方法である。
「起動及び停止」は、電気機器3を自動的に起動させ、且つ自動的に停止させる制御方法である。
「基準室温」は、電気機器3を自動的に起動させる条件となる室温である。
「設定室温」は、電気機器3を制御することによって到達させる室温である。
【0049】
本実施形態に係る制御装置2には、電気機器3を自動制御する場合の各設定が予め以下のようになされている。
新たに設定する場合は、以下の値から他の値へ変更することになる。
夏季(5~10月、空調は冷房の場合)の設定内容は以下のようになっている。
・制御対象時間:14~16時
・予測余剰電力量:500Wh
・設定室温:24℃
・基準室温:28℃以上
冬季(11~4月、空調は暖房の場合)の設定内容は以下のようになっている。
・制御対象時間:15時~17時
・予測余剰電力量:500Wh
・設定室温:24℃
・基準室温:18℃以下
【0050】
また、本実施形態に第二制御部21は、自動制御機能がオンに設定されている場合であって、建物Bに電気機器3が複数備えられている場合に、優先順位を設定することが可能となっている。
「優先順位」は、建物Bに備えられている複数の電気機器3のうち一部の電気機器3しか制御することができない(例えば、後述する予測余剰電力量が所定値以下である)場合の、制御対象に含める電気機器3の識別子(番号等)である。
【0051】
なお、本実施形態に第二制御部21は、第二記憶部23に記憶されているテーブルの内容(推定余剰電力量の閾値、通知する消費方法、時間帯等)を設定(変更)することが可能となっていてもよい。
【0052】
(電力管理機能)
また、第二制御部21は、図3に示すような電力管理処理を実行する機能を有している。
本実施形態に係る第二制御部21は、この電力管理処理を所定時間(例えば、1時間)経過する度(例えば各時の00分)に繰り返し実行するようになっている。
【0053】
この電力管理処理において、第二制御部21は、まず、取得処理を実行する(ステップS1)。
この取得処理において、第二制御部21は、建物Bに備えられた中継装置5から、各種測定値を取得する。
本実施形態に係る取得処理において、第二制御部21は、発電量、消費電力量を取得するようになっている。
また、本実施形態に係る取得処理において、第二制御部21は、気象情報を扱う機関Aから気象情報を取得する。
「気象情報」は、過去の所定期間(例えば、1時間30分前から30分前までの間)における日照時間である。
なお、第二制御部21は、気象情報として、日照時間の他に天気情報(例えば、快晴、曇り等)を取得するようになっていてもよい。
【0054】
各種測定値を取得した後、第二制御部21は、算出処理を実行する(ステップS2)。
この算出処理において、第二制御部21は、予測余剰電力量を算出する。
この「予測余剰電力量」は、発電手段1が発電することにより、所定時間経過後(例えば、現在から1時間後までの間)に余剰となっていることが予想される電力量である。
【0055】
本実施形態に係る算出処理において、第二制御部21は、例えば図4に示すように、まず、予測発電量を算出する(ステップS21)。
この「予測発電量」は、発電手段1が所定時間(例えば、1時間)経過後に発電していると予想される電力量である。
上述したように、本実施形態に係る発電手段1は、ソーラーパネルである。このため、本実施形態に係る算出処理において、第二制御部21は、気象情報に基づいて予測発電量を算出するようになっている。
【0056】
本実施形態に係る算出処理において、第二制御部21は、下記のMPI持続モデル(式(1))を用いて、この後の所定時間(例えば30分間又は1時間)の予測発電量を算出するようになっている。
E(t+Δt)=Emax(t+Δt)×E(t)/Emax(t)=Emax(t+Δt)×MPI・・式(1)
t:現時刻(予測(計算)を開始する時刻)
t+Δt:予測対象時刻(Δt=30分又は1時間)
E(t+Δt):時刻t+Δtにおける予測発電量[Wh]
max(t):時刻tにおける過去30日間の発電量の最大値[Wh]
MPI:Max Power Index
【0057】
なお、参考文献(海崎光宏(2018)、太陽光発電の発電予測における時刻毎の最大発電電力量を用いた持続モデルの開発、太陽エネルギー44号、67~72頁)によると、上記モデルを用いた予測発電量の算出精度は、予測対象日が快晴である場合に高いとされている。一方、予測対象日の天気が曇りの場合の算出精度は低下する可能性がある。
そこで、取得処理において気象情報を取得する際に、日照時間の他に天気予報情報を取得し、算出した予測発電量の扱いを、予測対象日の天気に応じて変えるようにしてもよい。
例えば、予測対象日の天気が「晴れ」の場合には算出した予測発電量を有効なものとして扱い、「曇り」の場合には算出した予測発電量を無効なものとして扱う。
そして、算出した予測発電量を無効なものとして扱う場合には、過去に算出した値や所定値を代わりの予測発電量として用いるようにしてもよい。
このようにすることで、予測発電量の算出精度を高めることができる可能性がある。
【0058】
予測発電量を算出した後、第二制御部21は、予測消費電力量を算出する(ステップS22)。
この「予測消費電力量」は、所定時間経過後に消費していると予想される電力量である。
本実施形態に係る予測消費電力量算出処理において、第二制御部21は、測定処理において測定した消費電力量と等しい値を、予測消費電力量とするようになっている。
なお、予測消費電力量の算出は、予測発電量の算出の前、又は予測発電量の算出と並行して実行されるようになっていてもよい。
【0059】
予測消費電力量及び予測発電量を算出した後、第二制御部21は、算出した予測発電量から予測消費電力量を差し引くことにより、予測余剰電力量を算出する(ステップS23)。
所定時間ごとの消費電力量は連続的に変化するため、ある時刻における消費電力量と当該時刻から所定時間経過後における消費電力量とは、比較的近い値を示す可能性が高い。このため、上述したようにすれば、簡単な演算で比較的正確な予想余剰電力量を算出することができる。
第二制御部21は、このような算出処理を実行することにより算出手段をなす。
【0060】
予測余剰電力量を算出した後、第二制御部21は、図3に示したように、機器制御処理を実行する(ステップS3)。
この機器制御処理において、第二制御部21は、算出した予測余剰電力量に基づいて、所定時間経過後に、電気機器3を制御する。
【0061】
具体的には、例えば図5に示すように、第二制御部21は、まず、今の時期が夏季であるか否かを判断する(ステップS31)。
このステップS31の処理において、今の時期が夏季であると判断した場合(ステップS31:Yes)、第二制御部21は、夏季の制御開始条件が成立しているか否かを判断する(ステップS32)。
【0062】
本実施形態に係る第二制御部21は、以下の各判断項目が全てYesである場合に、夏季の制御開始条件が成立していると判断するようになっている。
・室温が基準値以上である
・制御対象時間内である
・予測時点の日射量が一定値以上であること。
・予測余剰電力量が設定値以上である
なお、これらの判断項目のうちの少なくとも一つがYesの場合に制御開始条件の成立としてもよい。
【0063】
このステップS32の処理において、夏季の制御開始条件が成立してないと判断した場合(ステップS32:No)、第二制御部21は、機器制御処理を終了する。
一方、ステップS32の処理において、夏季の制御開始条件が成立していると判断した場合(ステップS32:Yes)、第二制御部21は、電気機器3を起動させる(ステップS33)。
本実施形態に係るステップS33の処理において、第二制御部21は、エアコン(冷房)を起動させる。
このステップS33の処理では、電気機器3が複数ある場合、各電気機器3の消費電力量の合計が予測余剰電力量を超えない範囲で、優先順位の高い電気機器3から順に起動させる。
また、ステップS33の処理を実行する前から電気機器3が起動しており、かつ電気機器3に設定されている設定室温が制御装置2に設定されている設定室温と異なる場合、本実施形態に係る第二制御部21は、制御装置2に設定されている設定室温となるように電気機器3を制御する。
このようにすれば、余剰電力を用いて、熱くなっている室内を冷やすことができる。
【0064】
電気機器3を起動させた後、第二制御部21は、設定されている制御方法が「起動のみ」であるか否かを判断する(ステップS34)。
このステップS34の処理において、制御方法が「起動のみ」であると判断した場合(ステップS34:Yes)、第二制御部21は、機器制御処理を終了する。これにより、電気機器3は、制御対象時間を過ぎた後も起動した状態を継続する。
なお、電気機器3に設定されていた設定室温が、制御装置2に設定されている設定室温と異なっていた場合、電気機器3は、制御対象時間を過ぎた後、自身に予め設定されていた設定室温で駆動するようになる。
一方、ステップS34の処理において、制御方法が「起動のみ」ではない(「起動及び停止」である)と判断した場合(ステップS34:No)、第二制御部21は、終了条件が成立したか否かの判断(ステップS35)を、成立したと判断するまで繰り返す。
【0065】
本実施形態に係る「終了条件」は、電気機器3の消費電力量の合計が予測余剰電力量を超えたことである。
なお、この他に、室温が設定室温に達したこと、制御対象時間が終了したこと等を終了条件としてもよい。
このステップS35の処理において、終了条件が成立したと判断した場合(ステップS35:Yes)、第二制御部21は、電気機器3を停止させる(ステップS36)。
このステップS36の処理では、電気機器3が複数ある場合、各電気機器3の消費電力量の合計が予測余剰電力量を超えなくなるまで、優先順位の低い電気機器3から順に停止させる。
【0066】
一方、上記ステップS31の処理において、今の時期が夏季ではない(冬季である)と判断した場合(ステップS31:No)、第二制御部21は、冬季の制御開始条件が成立しているか否かを判断する(ステップS32A)。
【0067】
本実施形態に係る第二制御部21は、以下の各判断項目が全てYesである場合に、冬季の制御開始条件が成立していると判断するようになっている。
・室温が基準値以下である
・制御対象時間内である
・予測時点の日射量が一定値以上であること。
・予測余剰電力量が設定値以上である
なお、これらの判断項目のうちの少なくとも一つがYesの場合に制御開始条件の成立としてもよい。
【0068】
このステップS32Aの処理において、冬季の制御開始条件が成立してないと判断した場合(ステップS32A:No)、第二制御部21は、機器制御処理を終了する。
一方、ステップS32Aの処理において、冬季の制御開始条件が成立していると判断した場合(ステップS32A:Yes)、第二制御部21は、電気機器3を起動させる(ステップS33A)。
本実施形態に係るステップS33Aの処理において、第二制御部21は、エアコン(暖房)及び床暖房のうちの少なくとも一方を起動させる。
このステップS33Aの処理では、電気機器3が複数ある場合、各電気機器3の消費電力量の合計が予測余剰電力量を超えない範囲で、優先順位の高い電気機器3から順に起動させる。
このようにすれば、余剰電力を用いて、冷えている室内を温めることができる。
【0069】
電気機器3を起動させた後、第二制御部21は、設定されている制御方法が「起動のみ」であるか否かを判断する(ステップS34A)。
このステップS34Aの処理において、制御方法が「起動のみ」であると判断した場合(ステップS37:Yes)、第二制御部21は、機器制御処理を終了する。
一方、ステップS34Aの処理において、制御方法が「起動のみ」ではない(「起動及び停止」である)と判断した場合(ステップS34A:No)、第二制御部21は、終了条件(夏季の場合と同様)が成立したか否かの判断(ステップS35A)を、成立したと判断するまで繰り返す。
このステップS35Aの処理において、終了条件が成立したと判断した場合(ステップS35A:Yes)、第二制御部21は、電気機器3を停止させる(ステップS36A)。
このステップS36Aの処理では、電気機器3が複数ある場合、各電気機器3の消費電力量の合計が予測余剰電力量を超えなくなるまで、優先順位の低い電気機器3から順に停止させる。
【0070】
以上説明してきた本実施形態に係る機器制御処理を実行することにより、第二制御部21は、算出した予測余剰電力量が所定値以上である場合に、予め設定した制御対象時間内において、電気機器3を制御することになる。
このようにすれば、建物Bの利用者が所望する時間(例えば、建物の利用者の不在時、建物に戻ってくる直前等)に電気機器3を作動させることができる。
第二制御部21は、このような機器制御処理を実行することにより機器制御手段をなす。
【0071】
また、本実施形態に係る電力管理処理において、第二制御部21は、図3に示したように、予測余剰電力量を算出した後(ここでは、電気機器3を制御した後)、選択処理を実行する(ステップS4)。
この選択処理において、第二制御部21は、算出した予測余剰電力量に基づいて、建物Bの利用者(建物Bに居住する人、建物Bに通う人等)へ推奨する、余剰電力の消費方法を選択する。
本実施形態に係る選択処理において、第二制御部21は、例えば図6に示したテーブルを参照し、算出した予測余剰電力量の値に対応する電気機器(の使用)を、消費方法として選択する。
第二制御部21は、このような選択処理を実行することにより選択手段をなす。
【0072】
また、本実施形態に係る電力管理処理において、第二制御部21は、図3に示したように、予測余剰電力量を算出した後(ここでは、選択処理の後)、保存処理を実行する(ステップS5)。
この保存処理において、第二制御部21は、取得した各種測定値(発電量、日照時間、消費電力量、実績余剰電力量)、算出した各種予測値(予測余剰電力量、予測消費電力量、予測発電量)及び予測値を算出した日時をデータベースに蓄積させる。
【0073】
また、本実施形態に係る電力管理処理において、第二制御部21は、選択処理の後(ここでは、保存処理の後)、通知処理を実行する(ステップS6)。
この通知処理において、第二制御部21は、取得した各種測定値及び算出した各種予測値のうちの少なくともいずれかの値をデータベースから取得し、それを端末装置6へ送信する。
また、本実施形態に係る通知処理において、第二制御部21は、選択処理において選択した余剰電力の消費方法(使用を推奨する電気機器3)を端末装置6へ送信する。
また、本実施形態に係る通知処理において、第二制御部21は、機器制御処理において制御した電気機器3及び制御を開始した時刻を端末装置6へ送信する。
送信するデータの形式は、例えば、端末装置6にインストールされているアプリケーション(建物のメーカーが配信しているものや、SNS)で表示する為の形式であってもよいし、電子メールの形式であってもよい。
【0074】
<4.端末装置>
次に、上記システム100が備える端末装置6について具体的に説明する。
図7は端末装置6を示すブロック図、図8~10は端末装置6が表示する画面を示す図である。
【0075】
〔端末装置の構成〕
端末装置6は、図7に示すように、第三制御部61と、第三通信部62と、第三記憶部63と、表示部64と、を備えている。
また、本実施形態に係る端末装置6は、操作部65を更に備えている。
【0076】
第三制御部61は、CPU、RAM等により構成されている。
そして、第三制御部61のCPUは、第三記憶部63に記憶されている各種プログラムを読出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って各種処理を実行し、端末装置6各部の動作を集中制御するようになっている。
【0077】
第三通信部62は、通信モジュール等で構成されている。
そして、第三通信部62は、通信ネットワークNを介して接続された他の装置(例えば、制御装置2等)との間で各種信号や各種データを送受信するようになっている。
【0078】
第三記憶部63は、不揮発性の半動態メモリーやハードディスク等により構成されている。
また、第三記憶部63は、第三制御部61が実行する各種プログラム等を記憶している。
【0079】
表示部64は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)等の画像を表示するモニターで構成されている。
そして、表示部64は、第三制御部61から入力される制御信号に基づいて、各種画像等を表示するようになっている。
【0080】
本実施形態に係る操作部65は、カーソルキーや、数字入力キー、各種機能キー等を備えたキーボードや、マウス等のポインティングデバイス、表示部64の表面に積層されるタッチパネル等によって構成されている。
そして、操作部65は、ユーザーによってなされた操作に応じた制御信号を第三制御部61へ出力するようになっている。
【0081】
〔端末装置の動作〕
このように構成された端末装置6の第三制御部61は、以下のような機能を有している。
【0082】
(入力機能)
例えば、第三制御部61は、操作部65になされた操作に基づいて、制御対象時間を含む各種設定内容の入力を受け付ける機能を有している。
具体的には、本実施形態に係る第三制御部61は、例えば図8に示すような設定画面S1を表示部64に表示させるようになっている。
この設定画面S1は、自動制御機能設定欄C1と、制御方法設定欄C2と、電気機器設定欄C3と、基準室温設定欄C4と、制御対象時間設定欄C5と、設定室温設定欄C6と、を有している。
自動制御機能設定欄C1は、クリックやタッチ等による、「オン」又は「オフ」の選択を受け付け可能となっている。
【0083】
制御方法設定欄C2は、クリックやタッチ等による、「起動のみ」又は「起動及び停止」の選択を受け付け可能となっている。
【0084】
電気機器設定欄C3は、クリックやタッチ等による、自動制御する電気機器3の選択を受け付け可能となっている。
また、電気機器設定欄C3は、クリックやタッチ等による、各電気機器3への自動制御の優先順位の付与を受け付け可能となっている。
また、電気機器設定欄C3は、建物Bに新たに設置された電気機器3の追加登録を受け付け可能となっている。
【0085】
基準室温設定欄C4は、クリックやタッチ、スクロールホイールの回転、キーボードの打ち込み等による、数値の入力を受け付け可能となっている。
また、基準室温設定欄C4は、夏季の基準室温と、冬季の基準室温を別々に受け付け可能となっている。
入力できる数値は1℃単位となっている。
【0086】
制御対象時間設定欄C5は、クリックやタッチ、スクロールホイールの回転、キーボードの打ち込み等による、数値(開始時刻及び終了時刻)の入力を受け付け可能となっている。
これにより、制御装置2の第二制御部21は、任意の制御対象時間を設定することになる。
また、制御対象時間設定欄C5は、夏季の制御対象時間と、冬季の制御対象時間を別々に受け付け可能となっている。
入力できる数値は1時間単位となっている。
【0087】
設定室温設定欄C6は、クリックやタッチ、スクロールホイールの回転、キーボードの打ち込み等による、数値の入力を受け付け可能となっている。
また、設定室温設定欄C6は、夏季の設定室温と、冬季の設定室温を別々に受け付け可能となっている。
入力できる数値は1℃単位となっている。
【0088】
また、第三制御部61は、上記各種設定内容の入力を受け付けると、その設定内容を、設定情報として、第三通信部62を介して制御装置2へ送信するようになっている。
制御装置2の第二制御部21は、この設定情報に基づいて設定を行う。
端末装置6及び第二制御部21は、このようにして制御対象時間をはじめとする各種情報を設定することにより設定手段をなす。
【0089】
(表示機能)
また、第三制御部61は、制御装置2から受信した(制御装置2が算出した)予測余剰電力量と共に、制御装置2が測定した実績余剰電力量を表示部64に表示させる機能を有している。
また、第三制御部61は、制御装置2から受信した(制御装置2が選択した)余剰電力の消費方法を表示部64に表示させる機能を有している。
具体的には、本実施形態に係る第三制御部61は、例えば図9に示すような情報表示画面S2を表示部64に表示させるようになっている。
この情報表示画面S2は、日付表示領域R1と、グラフ表示領域R2と、消費方法表示領域R3と、表示切替ボタン(「日」ボタンB1、「月」ボタンB2、「年」ボタンB3)と、を有している。
【0090】
日付表示領域R1は、クリックやタッチ、スクロールホイールの回転、キーボードの打ち込み等による、日付の選択を受け付け可能となっている。
【0091】
グラフ表示領域R2は、日付表示領域R1に表示された日付に対応する、予測余剰電力量を、縦軸又は横軸の一方を時刻、他方を電力量として、所定時間ごとの棒グラフG1で表示するようになっている。
また、グラフ表示領域R2は、日付表示領域R1に表示された日付に対応する、実績余剰電力量を、縦軸又は横軸の一方を時刻、他方を電力量として、所定時間ごとの棒グラフG2で表示するようになっている。
このようにすれば、予測余剰電力量と実績余剰電力量とを容易に比較することができる。
また、第三制御部61は、グラフ表示領域R2における、設定した時間に対応する部分Pの色を変更するようになっている。
このようにすれば、電気機器3を制御することになる時間帯の予測余剰電力量を容易に把握することができる。
上述したように、本実施形態に係る制御装置2は、所定時間(1時間)経過する度に、上述した電力管理処理を行い、予測余剰電力量及び実績余剰電力量を端末装置6に送信してくる。このため、本実施形態に係るグラフ表示領域R2は、所定時間経過する度に、棒グラフG1,G2の表示が新たに増えていく。
【0092】
消費方法表示領域R3は、余剰電力の消費方法を、使用を推奨する電気機器3の形で、予測消費電力量(数値)と共に表示するようになっている。
このようにすれば、表示された消費方法に従って電力を消費する(電気機器を作動させる)ことにより、効率よく余剰電力を利用することができる。
【0093】
また、本実施形態に駆る第三制御部61は、表示切替ボタンB1~B3が操作されると、走査された表示切替ボタンに応じて、表示する情報表示画面を切り替える機能を有している。
例えば、図9に示した日単位の情報表示画面S2が表示されている状態で、「月」ボタンB2や「年」ボタンB3が操作されると、第三制御部61は、図10に示すような月単位の情報表示画面S3や年単位の情報表示画面を表示部64に表示させる。
月単位の情報表示画面S3や年単位の情報表示画面のグラフ表示領域R4は、予測余剰電力量及び実績余剰電力量を、より大きな単位(例えば月、年)ごとの棒グラフG3で表示するようになっている。
【0094】
<5.効果>
以上説明してきたシステム100は、予測余剰電力量が比較的十分ある場合(余剰電力だけで電気機器3の消費電力を賄える場合)に電気機器3を制御するため、建物の利用者が気づかないところで商用電力を併用することが無い。
このため、システム100によれば、電気機器3を自動制御することにより余剰電力を活用する際に、意図しない買電費用が生じてしまうのを防ぐことができる。
【0095】
また、システム100は、例えば、夏場の場合、建物の利用者が不在予定の時間であって、室内に強い日差しが差し込む14~16時が制御対象時間として設定されていれば、利用者が不在の間、制御装置2が余剰電力を利用してエアコンを制御し、室内を設定温度まで冷やす。
一方、冬場の場合、建物の利用者が不在予定の時間であって、外気温が低下する15時~日没が制御対象時間として設定されていれば、利用者が不在の間、制御装置2が余剰電力を利用してエアコンや床暖房を制御し、室内を設定温度温める。
このため、システム100によれば、利用者が戻ってきたときに室内が快適な状態としておくことができる。
【符号の説明】
【0096】
100 余剰電力活用システム
1 発電手段
1a 発電量測定部
2 制御装置
21 第二制御部(算出手段、機器制御手段、設定手段、選択手段)
22 第二通信部
23 第二記憶部
3 電気機器
3a 室温測定部
3b 消費電力量測定部(測定手段)
4 蓄電池
5 中継装置
51 第一制御部
52 第一通信部
53 第一記憶部
6 端末装置(表示手段、設定手段)
61 第三制御部
62 第三通信部
63 第三記憶部
64 表示部
65 操作部
7 管理装置
A 気象情報を扱う機関
B 建物
N 通信ネットワーク
1~B3 表示切替ボタン
1 設定画面
1 自動制御機能設定欄
2 制御方法設定欄
3 電気機器設定欄
4 基準室温設定欄
5 制御対象時間設定欄
6 設定室温設定欄
1~G3 棒グラフ
N 通信ネットワーク
P 色を変えた部分
2,S3 情報表示画面
1 日付表示領域
2,4 グラフ表示領域
3 消費方法表示領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10