(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-14
(45)【発行日】2022-10-24
(54)【発明の名称】表面への力の入力の検出および特徴付けのためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20221017BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20221017BHJP
【FI】
G06F3/041 510
G06F3/041 602
G06F3/041 580
G06F3/044 120
G06F3/044 140
(21)【出願番号】P 2020177858
(22)【出願日】2020-10-23
(62)【分割の表示】P 2019500765の分割
【原出願日】2017-03-27
【審査請求日】2020-10-23
(32)【優先日】2016-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516091916
【氏名又は名称】センセル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SENSEL,INC.
【住所又は居所原語表記】321 Soquel Way,Sunnyvale,California 94085,U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンバーグ,イリア,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ザラガ,ジョン,アーロン
(72)【発明者】
【氏名】ワトソン,チャールズ
【審査官】酒井 優一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/048584(WO,A1)
【文献】特開2015-049848(JP,A)
【文献】特開2013-089072(JP,A)
【文献】国際公開第2015/120081(WO,A1)
【文献】特開2011-209785(JP,A)
【文献】国際公開第2012/176748(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0033450(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0062934(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0285970(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0160754(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0074961(US,A1)
【文献】特開2009-282825(JP,A)
【文献】特開2014-199496(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板にわたって配置され、検知電極と駆動電極対のセットを有する抵抗性タッチセンサと、
前記基板とは反対側の前記抵抗性タッチセンサの上に配置された力感知層と、
前記抵抗性タッチセンサに結合され、前記抵抗性タッチセンサの第1の領域に配置された第1のコンデンサ電極と、
コントローラであって、
第1のサンプリング期間中の第1の抵抗走査サイクルの間に:
前記第1のコンデンサ電極を仮想基準電位に駆動し;
前記抵抗性タッチセンサの検知電極と駆動電極対の間で抵抗値を読み取り、
前記第1のサンプリング期間中の第1の処理サイクル中に:
前記第1のコンデンサ電極を前記仮想基準電位から解放し;
前記第1のコンデンサ電極から第1の静電容量値を読み取り、
前記抵抗性タッチセンサの検知電極と駆動電極対から読み出された抵抗値、および前記第1のコンデンサ電極からの前記第1の静電容量値を、前記抵抗性タッチセンサの近くの物体の位置および力の大きさを表す力のタッチイメージに変換する、
よう構成されたコントローラとを具えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1のシステムにおいて、
さらに、前記コントローラは、前記第1サンプリング期間の第1の処理サイクルの間に、
前記抵抗性タッチセンサの前記検知電極および駆動電極対から読み取られた抵抗値から力の大きさを表す力画像を生成し、
表面の近くに検出される物体を表す静電容量画像を生成して、前記タッチイメージを生成するために当該静電容量画像を前記力画像と整列させ、
前記力画像および静電容量画像を、前記抵抗性タッチセンサの近くの物体に対応する位置および力の大きさを表す力のタッチイメージに変換する、
よう構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1のシステムにおいて、
前記第1のコンデンサ電極および前記コントローラが、前記基板に電気的に接続されており、
前記抵抗性タッチセンサが前記力感知層を具え、
前記力感知層が、加えられた力の局所的変化に応じて局部的な抵抗の変化を示す力感応材料を有する、ことを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項
3のシステムにおいて、
前記力感知層が弾性バッファ層を含み;
前記力感応材料が、前記弾性バッファ層の第1の側にわたって適用され、前記抵抗性タッチセンサに面しており;
前記第1のコンデンサ電極は、前記弾性バッファ層と前記力感応材料との間に挿入されており;
前記第1のコンデンサ電極から前記弾性バッファ層の周縁部まで延在し、前記基板上の電気パッドと接合して前記第1のコンデンサ電極を前記コントローラに電気的に結合するように構成された電気トレースをさらに具えることを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項
3のシステムにおいて、
前記力感知層が弾性バッファ層を含み;
前記力感応材料が、前記弾性バッファ層の第1の側にわたって適用され、前記抵抗性タッチセンサに面しており;
前記第1のコンデンサ電極は、前記力感応材料の反対側の前記弾性バッファ層の第2の側にわたって延在しており、
さらに、第1のコンデンサ電極上の前記弾性バッファ層の第2の側に接着されたカバー層と、
前記コンデンサ電極に電気的に結合されたプラグであって、前記力感知層の周縁部を越えて延在し、前記第1のコンデンサ電極を前記コントローラに電気的に結合するために前記基板に取り付けられたレセプタクルと係合するように構成されたプラグと、を具えることを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項1のシステムにおいて、
さらに、前記第1のコンデンサ電極の近くの前記抵抗性タッチセンサに結合され、前記抵抗性タッチセンサの第2の領域にわたって延在する第2のコンデンサ電極を具え、
前記コントローラが:
前記第1のサンプリング期間の処理サイクル中に前記第1のコンデンサ電極と第2のコンデンサ電極との間の容量値を読み出し;
前記容量値に基づいて前記第1のサンプリング期間中に前記第1のコンデンサ電極に近接する塊体の近接度を検出する、ように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項
6のシステムにおいて、
前記抵抗性タッチセンサにわたって、第1の平面内の行のセットと、当該第1の平面からオフセットした第2の平面内の列のセットとにパターン構成されたコンデンサ電極のグリッドアレイをさらに具え、当該コンデンサ電極のグリッドアレイは第1のコンデンサ電極と第2のコンデンサ電極とを含み、
前記コントローラが:
前記第1のサンプリング期間の処理サイクル中に前記コンデンサ電極のグリッドアレイ内のコンデンサ電極から容量値を順次読み出し;
前記力感知層に近接する物体の位置および大きさを表す静電容量イメージを生成し;
前記静電容量イメージを、前記第1のサンプリング期間における力のタッチイメージと対にする、ように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項1のシステムにおいて、前記コントローラは、
前記第1のサンプリング期間の第1の処理サイクル中に:
前記第1の抵抗走査サイクル中に検知電極と駆動電極対から読み出された抵抗値を、デフォルトの抵抗変化閾値に基づいて力のタッチイメージに変換し、
前記第1のサンプリング期間に続く第2のサンプリング期間における第2の抵抗走査サイクルの間に:
前記第1のコンデンサ電極を仮想基準電位に駆動し;
前記抵抗性タッチセンサ内の検知電極と駆動電極対にわたる抵抗値の第2のセットを読み取り、
前記第2のサンプリング期間における第2の処理サイクルの間に:
前記第1のサンプリング期間中に前記第1のコンデンサ電極に近接する塊体の接近を検出することに応答して、前記デフォルトの抵抗変化閾値よりも小さい第2の抵抗変化閾値を選択し;
前記第2の抵抗変化閾値に基づいて、前記検知電極と駆動電極対から読み出された抵抗値の第2のセットを第2の力タッチイメージに変換する、ように構成されていることを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体が組み込まれる2016年3月25日に出願された米国仮出願第62/313,536号の利益を主張する。
【0002】
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる2014年9月26日に出願された米国特許出願第14/499,001号に関連する。
【0003】
本発明は、一般にタッチセンサの分野に関し、より詳細には、タッチセンサの分野における面上の力の入力を検出し特徴付ける新規で有用なシステムおよび方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図2】
図2は、システムの1つの変形例の概略図である。
【
図3】
図3A、3B、3Cは、方法の変形例のフローチャートである。
【
図4】
図4は、システムおよび方法の1つの変形例のフローチャートである。
【
図5】
図5A、5Bは、システムの変形例の概略図である。
【
図6】
図6A、6Bは、システムの変形例の概略図である。
【
図7A】
図7Aは、方法の1つの変形例のフローチャートである。
【
図7B】
図7Bは、方法の1つの変形例のフローチャートである。
【
図8】
図8は、方法の1つの変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0005】
以下の本発明の実施形態の説明は、本発明をこれらの実施形態に限定することを意図するものではなく、当業者が本発明を実施し使用することを可能にするものである。本書に記載される変形例、構成、手段、実装例、および実施例は任意選択的であり、これらが説明する変形例、構成、手段、実装例、および実施例について排他的ではない。本書に記載される発明は、これらの変形例、構成、手段、実装例、および実施例の任意のおよびすべての変更例を含み得る。
【0006】
1.システムと方法
図1および
図2に示すように、面への力入力を検出および特徴付けるためのシステム100は、基板110と、当該基板110にわたって配置され、検知電極および駆動電極対121のアレイを具える抵抗性タッチセンサ120と、抵抗性タッチセンサ120の基板110の反対側に配置され、印加された力の局所的変化に応じて局所的なバルク抵抗の変化を示す力感応材料131を具える力感知層130と、当該力感知層130に結合され、力感知層130の第1領域にわたって延在し、基板110に電気的に結合された第1のシールド電極151と、基板110に結合されたコントローラ160とを具える。コントローラ160は、第1のシールド電極151を仮想基準電位に駆動し、第1のサンプリング期間の第1の抵抗走査サイクル中に抵抗性タッチセンサ120内の検知電極および駆動電極対121にわたる抵抗値を読み取り、第1のシールド電極151を仮想基準電位から解放し、第1のサンプリング期間内で第1の抵抗走査サイクルに続く第1の処理サイクル中に、力感知層130内の感知電極および駆動電極対121から読み出された抵抗値を力タッチイメージへと変換し、ここで力タッチイメージは、力感知層130上に適用される物体の位置および力の大きさを表す。
【0007】
図3A、
図3B、
図3Cおよび
図4に示すように、システム100は、第1の期間中に、ブロックS110で抵抗性タッチセンサ120上に配置されたシールド電極を仮想基準電位に保持するステップと、ブロックS112で抵抗性タッチセンサ120内の検知電極および駆動電極対121をまたがる抵抗値を読み取るステップと、前記第1の期間に続く第2の期間中に、ブロックS120で前記第1の期間中に抵抗性タッチセンサ120内の検知電極および駆動電極対121から読み出された抵抗値を、シールド電極151上の表面に印加される力の位置と大きさに変換するステップと、ブロックS122でシールド電極151から容量値を読み込むステップと、ブロックS124で当該容量値と表面への塊体(mass)の近接度とを相関づけるステップと、ブロックS140で前記第1の期間と第2の期間を含むサンプリング期間における表面上の力の位置、表面上の力の大きさ、表面への塊体の近接度、およびシールド電極151の位置のを規定するタッチイメージを生成するステップとを含む方法S100を実行することができる
【0008】
図3Aに示すように、方法S100の1つの変形例は、第1のサンプリング期間の第1の抵抗走査サイクル中に、ブロックS110で抵抗性タッチセンサ120上に配置された第1のシールド電極151を仮想基準電位に駆動するステップと、ブロックS112で抵抗性タッチセンサ120内の検知電極および駆動電極対121をまたがる第1の抵抗値のセットを読み取るステップとを含む。この変形例において、方法S100はまた、第1のサンプリング期間の第1の抵抗走査サイクルに続く第1の処理サイクル中に、ブロックS120で第1の抵抗値のセットを、シールド電極151上の面にかかる第1の力の第1の位置および第1の大きさに変換するステップと、ブロックS122で第1シールド電極151を仮想基準電位から解放するステップと、ブロックS122で第1のシールド電極151の第1の容量値を読み出すステップと、ブロックS124で第1の容量値に基づいて表面への第1の物体の近接度を検出するステップとを具える。さらに、この変形例では、方法S100は、ブロックS140において、第1の物体の表面への近接度に基づいて、第1のサンプリング期間における第1の力および第1の力の第1の位置および第1の大きさを表す第1のタッチイメージを生成する。
【0009】
図3Cに示すように、方法S100の別の変形例は、第1のサンプリング期間の第1の抵抗走査サイクル中に、ブロックS110で抵抗性タッチセンサ120上に配置された第1のシールド電極151を仮想基準電位に駆動するステップと、ブロックS112で抵抗性タッチセンサ120内の検知電極および駆動電極対121にまたがる第1の抵抗値のセットを読み取るステップとを含む。この変形例において、方法S100はまた、第1のサンプリング期間の第1の抵抗走査サイクルに続く第1の処理サイクル中に、ブロックS120で第1の抵抗値のセットを、シールド電極上の面に印加された力の第1の位置および第1の大きさに変換するステップと、ブロックS122で第1のシールド電極151を仮想基準電位から解放するステップと、ブロックS122で第1のシールド電極151の第1の容量値を読み出すステップと、ブロックS124で第1の容量値に基づいて、面に対する物体の第2の近接を検出するステップとを含む。さらに、この変形例では、方法S100は、第2のサンプリング期間の第2の抵抗走査サイクル中に、ブロックS110で第1のシールド電極151を仮想基準電位に駆動するステップと、ブロックS112で抵抗性タッチセンサ120内の検知電極および駆動電極対121をまたがる第2の抵抗値のセットを読み取るステップを含む。最後に、この方法S100の変形例は、第2のサンプリング周期の第2の抵抗走査サイクルに続く第2の処理サイクル中に、ブロックS120で第2の抵抗値のセットを面に印加された力の第2の位置および第2の大きさに変換するステップと、ブロックS140で表面への物体の第1の近接度に基づいて、前記第2のサンプリング期間における表面上の力の第2の位置および第2の大きさを表す第2のタッチイメージを生成するステップとを含む。
【0010】
2.応用例
システム100は、抵抗性タッチセンサ120と、当該抵抗性タッチセンサ120の上の感圧式力感知層130と、抵抗性タッチセンサ120内の駆動電極および検知電極間の抵抗値(または電圧、電流の流れ)を読み取り、これらの抵抗値を力感知層130上のタッチ入力の大きさと相関づけるコントローラ160と、力感知層130の上に配置され、コントローラ160によって間欠的に仮想基準電位に駆動されて抵抗性タッチセンサ120を外部電界から遮蔽するシールド電極とを具える。一般に、システムは、カバー層141にわたる入力の位置、接触面積、および力の大きさ(または「圧力」)を検出するために協働する抵抗性タッチセンサ120および力検出層130と、抵抗性タッチセンサ120内へのノイズの注入を排除または低減するように作用するシールド電極とを具える。例えば、システム100は、ラップトップコンピュータ、モバイル演算デバイス(例えば、スマートフォン、タブレット)、周辺キーボード、または周辺トラックパッド装置に統合することができる。この例では、デバイスに接続あるいは統合されたバッテリ充電器、電源、無線ラジオ、および/またはディスプレイが、抵抗性タッチセンサ120が収集した抵抗データに干渉するノイズを放射または放出する場合がある。
【0011】
したがって、システム100は、抵抗性タッチセンサ120にまたがる一組の(すなわち、一つ以上の)シールド電極を含むことができ、コントローラ160は、これらの他の構成要素から抵抗性タッチセンサ120に向けて放射されたエネルギーを拒絶または低減するために、サンプリング期間の抵抗走査サイクル中にシールド電極150を仮想基準電位(例えば、「接地」)にアクティブに駆動することができ、そうでなければ動作中に抵抗性タッチセンサ120から収集された抵抗データにノイズを生成する可能性がある。具体的には、システム100を組み込んだデバイスの動作中、コントローラ160は、ブロックS110でシールド電極151を仮想基準電位に駆動し、ブロックS112で抵抗走査サイクル中に抵抗性タッチセンサ120内の駆動電極と検出電極間の抵抗値を記録し、ブロックS120で次の処理サイクル中にこれらの抵抗値を抵抗性タッチセンサ120上のカバー層141に印加される1以上の入力の位置、面積、力の大きさ、および/または圧力に変換し、ブロックS140でこのサンプリング期間中にこれらの入力を表す「タッチイメージ」を出力し、デバイスの動作中に続く各サンプリング期間ごとにこのプロセスを繰り返す。
【0012】
コントローラ160が抵抗データをカバー層141に加えられる力の位置および大きさに変換し、抵抗性タッチセンサ120が非アクティブである処理サイクルの間、コントローラ160は、表面または投影型静電容量検知技術を実装して、シールド電極150のセットを充電または放電させ、ブロックS122でシールド電極150のセットにわたって容量値(電流漏れ、充電時間、放電時間、または総充電/放電時間)を記録し、ブロックS124で、この処理サイクルの間に記録された容量値に基づいて、カバー層141に近接しているが必ずしも接触していない1以上の外部塊体の存在を検出する。例えば、抵抗性タッチセンサ120は、シールド電極150のセットによって規定された多数の容量性センサの位置を(大きく)超える、それぞれが駆動電極と検知電極間の接合によって規定される多数の抵抗性センサ位置を含むことができ、したがって、サンプリング期間の処理サイクル中に比較的大きなセットの(例えば、数千の)抵抗値を処理する間に、コントローラ160は、比較的小さな数の(例えば、1、32の)容量値をシールド電極150のセットから読み出し、これらの容量値を、同じサンプリング期間中にカバー層141上を動く、またはカバー層141に接触している複数の個別の物体の位置、サイズおよび/または種類の推定値に変換する。
【0013】
したがって、コントローラ160は、このサンプリング期間中に抵抗性タッチセンサ120から収集される抵抗データのノイズを排除または低減するために、サンプリング期間内の抵抗走査サイクル中に1つのシールド電極を仮想接地電位(たとえば、仮想接地電位または「0V」)に駆動することができる。これらの抵抗データは、後続の処理サイクルの間、および後続のサンプリング期間における次の抵抗走査サイクルの前に、処理されるが、コントローラ160は、シールド電極151を仮想基準電位から解放し、代わりにシールド電極から容量値をサンプリングすることができる。次に、コントローラ160は、サンプリング期間中に抵抗性タッチセンサ120によってカバー層141上で検出された1以上の別個の力の入力を特徴付けるために入力方式を選択し、抵抗走査サイクルのほぼ直後に記録され、抵抗性タッチ・センサ120の走査中にアクティブな静電シールド(またはガード)としてのシールド電極151の有効性を実質的に犠牲にすることなく、この容量値に基づいて、抵抗性タッチセンサ120で検出された離散的な力の入力のクラスタをグループ化し、および/または抵抗性タッチセンサ120で検出された力の入力の選択を破棄する(例えば、システム100上に静止している掌であるがスタイラスの先端ではない)。コントローラ160はまた、抵抗値をカバー層141上の力に変換する感度を調整し、抵抗性タッチセンサの走査解像度を調整し、および/またはこの容量値に基づいて後続の抵抗走査サイクルにおいて抵抗性タッチセンサ120を選択的にアクティベートおよび非アクティベートすることができる。
【0014】
システム100はまた、抵抗性タッチセンサ120の上に配置された複数のシールド電極を含むことができる。コントローラ160は、抵抗性タッチセンサ120を走査しながらシールド電極を仮想基準電位に一括して結び付け、その後に(例えば、「静電容量走査期間」に)シールド電極を連続的に走査しながら抵抗データが処理されて、必ずしも接触する必要はないがシステム100の上にある外部塊体の位置および/またはサイズに関するより高分解能のデータが収集される。
【0015】
シールド電極150は、本明細書では、抵抗走査サイクル中にシールド電極151が仮想基準電位(例えば、システム100内のLO電圧端子)に駆動される共通のシールド構成で説明される。しかし、これらのシールド電極150は代わりに、抵抗走査サイクル中にシールド電極151がバッファされるか測定回路電圧に駆動される(例えば、システム100内のHI電圧端子を計測するために)駆動保護構成で実施されてもよい。
【0016】
さらに、システム100は、ラップトップコンピュータ、モバイル演算デバイス(例えば、タブレット、スマートフォン、スマートウォッチ)、周辺キーボード、周辺トラックパッド、ゲームコントローラ160、またはユーザによって入力された入力を検出する任意の他の電子装置または演算装置であってもよい。例えば、基板110と、抵抗性タッチセンサ120と、力感知層130とは協働して、ラップトップコンピュータのC面(すなわち、ラップトップコンピュータを閉じたときにディスプレイに面し、ラップトップコンピュータを開いたときにディスプレイの下に配置されるラップトップコンピュータの面)に統合された不透明なタッチパッドを規定してもよい。別の例では、システム100をディスプレイの下に配置して圧力感知タッチスクリーンを形成することができ、この圧力感知タッチスクリーンはタブレット、スマートフォン、またはスマートウォッチに統合することができる。しかしながら、システム100は、任意の他の形態または形式を規定することができ、隣接する物体を検出し、その上に加えられる力の位置および大きさを記録し、これらのデータを装置の動作中にタッチイメージにパッケージングするために、任意の他のデバイス内に統合することができ、そのデバイスは、これらのタッチイメージに基づいてその機能を制御することができる。
【0017】
3.抵抗性タッチセンサと力感知層
図1、2に示すように、タッチセンサは、基板110(例えば、ガラス繊維PCB)にわたってパターン化された検知電極および駆動電極対121のアレイと、検知および駆動電極対(または「センサ素子」)と接触するように基板110上に配置され、上のカバー層141に加えられる力の摂動に応じて局所バルク抵抗および/または局所接触抵抗の変化を示す力感応材料131を規定する力感知層130とを含む。米国特許出願第14/499,001号に記載されているように、抵抗性タッチセンサ120は、相互デジタイニングされた駆動電極のグリッドと、基板110にわたってパターン化された検知電極とを含むことができる。力感知層130は、局所的な力がカバー層141に印加されたときに、隣接する駆動電極および検知電極対にわたる抵抗が、加えられた力に比例して(例えば、線形的、逆数的、二次的、その他)変化するように、基板110にわたって各駆動電極および検知電極対の間のギャップにまたがることができる。以下に説明するように、コントローラ160は、タッチセンサ内の各駆動電極および検知電極対にわたる抵抗値を読み取ることができ、これらの抵抗値を、カバー層141に印加される1以上の個別の力の入力の位置および大きさに変換することができる。
【0018】
一実施形態では、システムは、剛性PCB(例えば、ガラス繊維PCB)または剛性バッキング(例えば、アルミニウムバッキングプレート)上のPCBのような剛性基板110を含み、駆動電極および検知電極の行および列は、センサ素子のアレイを形成するように基板110の上部を横切ってパターン化される。力感知層130は、センサ素子のアレイ上に設置され、その周囲で基板110に接続されている。
【0019】
4.コントローラ
一般に、コントローラ160は、抵抗性タッチセンサ120を駆動し、駆動電極と検知電極間の抵抗値を読み取り、抵抗走査サイクル中にシールド電極151を仮想基準電位に拘束し、抵抗性タッチセンサ120からの抵抗データを抵抗性タッチセンサ120上に入力される力の位置および大きさに変換する(あるいは、コントローラ160は、シールド電極151を仮想基準電位に対して任意の他の既知の電圧電位に駆動してもよい)。
【0020】
一実装例では、米国特許出願第14/499,001号に記載のように、コントローラ160は、アレイ列ドライバ(ACD)と、列切り替えレジスタ(CSR)と、列駆動源(CDS)と、行列センサ(ARS)と、行切り替えレジスタ(RSR)と、アナログ-デジタル変換器(ADC)とを具える。この実装例では、抵抗性タッチセンサ120は、ACDに結合された相互接続インピーダンス行(IIC)と、ARSに結合された相互接続インピーダンス行(IIR)とを定義する可変インピーダンスアレイ(VIA)を具えてもよい。抵抗走査サイクル中、ACDはCSRを介してIICを選択し、IICをCDSで電気的に駆動することができ、VIAは、駆動されたIICからARSによって感知されたIICに電流を伝達することができ、ARSは、抵抗性タッチセンサ120内のIIRを選択し、RSRを介してIIR状態を電気的に感知することができ、コントローラ160は、ARSからの検知された電流/電圧信号を補間して、同じサンプリング期間内の処理サイクル中の抵抗走査サイクルに対して抵抗性タッチセンサ120上の個別の力の入力の近接度、接触、圧力、および/または空間位置を実質的に正確に検出することができる。
【0021】
例えば、抵抗性タッチセンサの駆動電極の列を直列に接続することができ、同様に抵抗性タッチセンサ120内の1つの検知電極の列を直列に接続することができる。サンプリング期間の抵抗走査サイクル中にシールド電極150を仮想基準電位に駆動している間、コントローラ160は、他のすべての行の駆動電極をフローティングさせながら駆動電極の第1の列を基準電圧に駆動し、他のすべての行の検知電極をフローティングさせながら検知電極の第1の行の電圧を記録し、他のすべての列の検知電極をフローティングさせながら検知電極の第2の行の電圧を記録し、・・・検知電極の他のすべての列をフローティングさせながら検知電極の最後の列の電圧を記録し、他のすべての行の駆動電極をフローティングさせながら第2の行の駆動電極を基準電圧に駆動し、他のすべての列の検知電極をフローティングさせながら検知電極の第1の列の電圧を記録し、他のすべての列の検知電極をフローティングさせながら検知電極の第2の列の電圧を記録し、・・・検知電極の他のすべての列をフローティングさせながら検知電極の最後の列の電圧を記録し、・・・最後に、駆動電極の他のすべての行をフローティングさせながら駆動電極の最後の行を基準電圧に駆動し、他のすべての列の検知電極をフローティングさせながら検知電極の第1の列の電圧を記録し、他のすべての列の検知電極をフローティングさせながら検知電極の第2の列の電圧を記録し、・・・検知電極の他のすべての列をフローティングさせながら検知電極の最後の列の電圧を記録する。このように、コントローラ160は、抵抗性タッチセンサ120内の駆動電極の行を順次駆動し、抵抗性タッチセンサ120内の検知電極の行から抵抗値(例えば、電圧)を順次読み取ることができる。
【0022】
コントローラ160はまた、抵抗データの処理サイクルの前、後、またはそれと並行して、容量走査期間中にシールド電極151を駆動し、シールド電極から容量値をサンプリングすることもできる。例えば、コントローラ160は、シールド電極150に電気的に結合され、シールド電極150を目標電圧に駆動し、サンプリング時間の処理サイクル中におけるシールド電極150の充電時間、放電時間、および/または総充放電時間を追跡し、抵抗走査サイクル中にシールド電極150を仮想基準電位に駆動するように構成された単一または複数チャネルの容量性タッチセンサドライバを具えることができる。
【0023】
したがって、コントローラ160は、抵抗走査期間中に何千もの駆動および検知電極対(または「センサ素子」)を走査し、これらの抵抗データが処理サイクルの間に処理される間に、単一または比較的少数のシールド電極(例えば、32個またはそれ以下のシールド電極)を走査し、サンプリング期間に、抵抗および容量データを単一のタッチイメージ(または、一組の整列した力および静電容量タッチイメージ)にマージすることができる。
【0024】
5.シールド電極
シールド電極151は、感圧材料の上に配置され、基板110と電気的に接続されている。一般に、シールド電極151は、仮想基準電位に駆動されたとき(または、機器HI電圧に駆動されたとき)に抵抗型タッチセンサ120の静電シールド(または電磁ガード)として機能する。
【0025】
一実施形態では、基板110は、剛性の平面構造(例えば、ガラス繊維PCB)を規定する。抵抗性タッチセンサ120は、
図2に示すように、基板110にわたってパターン化された駆動電極および検出電極のアレイ(例えば駆動電極の複数の行および複数の検知電極の複数の列)を具える。力感知層130は、抵抗性タッチセンサ120上に配置され、その周囲の抵抗性タッチセンサ120に(または基板110に直接)固定される。非導電性のバッファ層140(例えば、PET、ポリイミド、またはシリコーンなどの非導電性材料のフィルム)が、抵抗性タッチセンサ120に対向する力感知層130を横切って適用されている。シールド電極151は、バッファ層140を横切って適用または形成されている。非導電性のカバー層142(例えば、非導電性材料の第2のフィルム)がシールド電極151および力感知層130の上に適用され、「スタック」を囲み、外側カバー層141を画定している。この実装例では、コントローラ160は、抵抗性タッチセンサ120の1以上の側面に沿ってなど、基板110上に直接設置されて、感圧面を画定し、カバー層141に加えられる力の位置や大きさを表すタッチイメージを出力するように構成された完全内蔵型のシステムを構成することができる。
【0026】
前述の実装例では、QWERTYキーボードオーバーレイ、ピアノキーオーバーレイ、MIDIオーバーレイ、またはカラーパレットオーバーレイのような触覚オーバレイを一時的に設置するか、カバー層141上に配置して、
図4に示すように、接続または統合された演算デバイスへ入力するために、システム100とインターフェースするユーザに触覚的位置案内を提供することができる。
【0027】
前述の実装例では、力感知層130を変形できるように、また変形に近いバルク抵抗の変化を示すために、バッファ層140およびカバー層142は同様に弾性を有することができる。例えば、バッファ層およびカバー層はそれぞれ、薄いシリコーン、ポリウレタン、またはポリカーボネートフィルムを含むことができる。シールド電極151も、実質的に弾性であってもよい。例えば、シールド電極151は、バッファ層とカバー層との間に結合され、それらの間に挿入された銅、銀、またはアルミニウム箔またはフィルムを含むことができる。別の例では、シールド電極151は、化学蒸着またはスパッタリングなどを介して、バッファ層140上に堆積された金属(例えば、銅、銀またはアルミニウム)膜を含むことができる。同様の例では、シールド電極151は、カバー層142がバッファ層140上に接合される前に、バッファ層140の上またはカバー層142の内側面に堆積(または「印刷」)された金属化インクを含むことができる。
【0028】
さらに別の例では、シールド電極151は、バッファ層140を横切って堆積された導電性炭素膜(例えば、カーボンナノチューブ)と、
図5A、9Aに示すように、導電性炭素膜の1以上の側に沿って延びる、膜、箔、ペースト、インクまたは他の形態の中間金属(例えば、銅、銀)電極とを具える。この例では、シールド電極151は、長方形の周縁を画定する導電性炭素膜と、カーボンナノチューブ膜の両短辺に沿って伸び、制御器160に電気的に結合され、対向する中間金属電極と協働して、カーボンナノチューブ膜を横切って実質的に均一な電界を誘導する中間金属電極とを含む。同様に、シールド電極151は、第1のシールド電極151の周縁を画定する導電性金属膜と、導電性金属膜によって境界が定められた力感知層130の領域にまたがる導電性炭素膜とを具える。他の例では、シールド電極151は、導電性インク、導電性ポリマー、グラファイトシート、またはバッファ層140および/またはカバー層142の上に堆積され、印刷され、および/または間に挿入された他の導電性材料を含むことができる。
【0029】
図6Aに示す別の実施形態では、シールド電極151は、抵抗性タッチセンサ120とは反対の力感応材料131に直接取り付けられ、塗布され、または形成される。弾性バッファ層140が、シールド電極151および力感応材料131の上に結合されて、カバー層141を画定し、力感知層130を完成させる。しかしながら、シールド電極151は他の任意の材料であってもよく、他の様々な方法でバッファ層140およびカバー層142の間に組み込むことができる。
【0030】
シールド電極151は、
図2に示すように、力感知層130の力感応材料131上に連続構造(例えば、フィルム、シート、または層など)を規定することができる。あるいは、シールド電極151は、
図6Bに示すように、穿孔構造を規定してもよい。例えば、シールド電極151は、システム100内の回路および/またはシステム100の近くで共通に用いられる他の装置の電機部品によって出力される電磁放射の最小目標波長よりも最大幅が(著しく)小さい正方形または円形開口のグリッドアレイを規定することができる。別の例では、システム100は、力感知層130の幅および長さにわたるが、力感知層130の総面積より小さい範囲(例えば、全体の50%)を覆う、複数のより小さいオフセットされたシールド電極のグリッドアレイを含むことができる。
【0031】
シールド電極151は、基板110を介してコントローラ160に電気的に接続されている。
図5A、
図5B、および
図6Bに示される一実施例では、力感知層130は、バッファ層140の周縁から延び、基板110上の端子と接触するように構成された可撓性PCBといった形態のタブ155を具え、シールド電極151は、シールド電極151からタブ155の端部まで延びるトレース154(例えば、金属箔)を含む。例えば、基板110は、コントローラ160に電気的に結合されたレセプタクル112を具え、
図1に示すように、システム100が組み立てられたときにタブ155をレセプタクル112に挿入して、シールド電極151をコントローラ160に電気的に接続することができる。同様に、バッファ層140は、力感知材料の周縁を越えて延在し、基板110上のレセプタクル112に係合するように構成された弾性タブ155を含むことができる。このシールド電極151は、弾性タブ155に沿って延び、レセプタ内の電気コネクタと結合して、シールド電極151をコントローラ160に電気的に結合するように構成された電気トレース154を含むことができる。さらに、後述するシステム100が複数のシールド電極を含む変形例では、タブ155は、
図5Aに示すように、1行のトレースを具え、各トレース154が1のシールド電極に、1列のシールド電極に、あるいは1行のシールド電極に結合されてもよい。コントローラ160に電気的に結合されたマルチチャネルレセプタクル112を基板110上に構成し、上述したようにタブ155を受け入れるように構成することにより、各シールド電極をコントローラ160に接続することができる。
【0032】
図6Aに示される別の実施形態では、基板110は、力感知層130の周縁近くに配置され、導電性トレースを介してコントローラ160上のポートに電気的に結合された電気パッドを具える。バッファ層140は、力感知材料の周囲を超えて延在する。シールド電極151は、バッファ層140の内側面を横切って延在し、バッファ層140の周囲に延在する電気トレース154を含む。この実施形態では、バッファ層140は、電気トレース154が基板110上の電気パッドと整列して対向する状態で、基板110に機械的に固定され(例えばクランプされ)、あるいは接合(例えば接着)される。このように、シールド電極151からバッファ層140の裏面に沿って延びる電気トレース154は、基板110上の電気パッドと接合して、シールド電極151をコントローラ160に電気的に結合する。例えば、バッファ層140の内側面は、導電性(例えば、銀および/またはカーボンナノチューブ)材料に結合するように活性化されてもよく、この導電性材料はバッファ層140の内面に印刷、堆積、または他の方法で適用されて、1以上のシールド電極と各シールド電極からバッファ総140の周縁の近くへと延在する1以上の電気トレースを形成する。これらの電気トレースはその後にマスクされ、接着剤がシールド電極およびバッファ層140の内側面の露出した領域を横切って塗布され、力検知材料が接着剤に結合されて、力感知層130/シールド電極のアセンブリが完成する。次いで、アセンブリを基板110の上に直接設置して、バッファ層140の背面のトレースおよび基板110上の対応する導電性パッドを介してシールド電極をコントローラ160に電気的に結合することができる。
【0033】
5.1ディスプレイ
一変形例では、システム100は、基板110とは反対の力感知層130の上に配置されたディスプレイをさらに具え、シールド電極151はこのディスプレイに一体化されている。例えば、ディスプレイは、カバー層141を規定するガラスまたはポリマーの外側面を有するRGB LCDディスプレイを含むことができる。力感知層130および抵抗性タッチセンサ120の上に配置される場合、ディスプレイは、その外側面に力がかかると内側に変形し、それにより抵抗感知層130が局所的に変形し、抵抗性タッチセンサ120が検出可能な力感応材料131の局所的なバルク抵抗の変化をもたらす。この変形例では、システム100は、タブレット、スマートフォン、スマートウォッチ、または他の演算デバイスに統合され、視覚データをユーザに出力し、ディスプレイ上の手入力を検出することができる圧力感知式タッチスクリーンを規定することができる。
【0034】
この変形例では、シールド電極151は、ディスプレイと力感知層との間に挿入され、ディスプレイの背面側に適用された連続的な導電性の不透明フィルム(または他の構造)を規定することができ、ディスプレイ背面から光が出るのを遮断し、仮想基準電位に能動的に駆動されたときに、ディスプレイから抵抗性タッチセンサ120の方へ放射されるノイズを遮蔽するように構成される。また、制御部160は、後述するように、シールド電極151の静電容量値を記録し、静電容量値に基づいてカバー層141に接触または近接する物体を検出することもできる。
【0035】
6.永久シールドとしてのシールド電極
運用時、コントローラ160は、例えば抵抗性タッチセンサ120におけるノイズを拒絶するために、シールド電極151を仮想基準電位に持続的に駆動する(例えば、結びつける、引き下げる)ことができる。コントローラ160はまた、サンプリング期間当たりの総消費電力を低減するために、シールド電極151を抵抗走査サイクルの外にフローティングすることができる。
【0036】
7.間欠シールドと容量性検出電極としてのシールド電極
あるいは、コントローラ160は、方法ブロックS100を実行して、抵抗走査サイクル中にシールド電極151を仮想基準電位に駆動し、処理サイクル中(またはその前後)にシールド電極151から静電容量値を読み取ることができる。
【0037】
7.1表面の静電容量
1つの変形例では、コントローラ160は表面容量技術を実施して、シールド電極151から容量値を読み取り、この容量値に基づいてカバー層141の上またはその近くの物体の近接度および/または位置を検出する。例えば、処理サイクル内のキャパシタンス走査期間中、コントローラ160は、ブロックS122において、(例えば、それぞれシールド電極の1つのコーナーから延びる4本の電気トレースを介して)シールド電極151の各コーナーに電圧を印加することができ、これがシールド電極にわたる実質的に均一な静電界をもたらし得る。カバー層141に接近または接触する物体(例えば、人間の指)により、シールド電極から電荷が流れることができる。カバー層141に接近または接触しているこの物体の位置により、シールド電極の各コーナーから出る電流が異なることとなる。したがって、コントローラ160はブロックS122およびS124において、シールド電極151の各コーナーにおけるこれらの電流引き込みレベルを測定し、これらの電流値をカバー層141に接近または接触している物体の位置に変換することができる。あるいは、コントローラ160は、シールド電極の1つのコーナーに電圧を印加し、シールド電極からの電流リークを測定し、このリーク電流に基づいてカバー層141の上または近くに導電性物体が存在するかどうかを決定することができる。
【0038】
この変形例では、システム100は複数のシールド電極を含むことができ、コントローラ160は同様の表面容量技術を実施して、各シールド電極から容量値を収集し、これらの容量値に基づいて、例えばセット内の特定のシールド電極に隣接する場合など、導電性物体がカバー層141上または近くにあるかを判定することができる。例えば、セット内の第1のシールド電極151をテストしながら、コントローラ160は、ブロックS122でセット内の他のすべてのシールド電極を電気的に切り離し(または「フローティング」させ)、ブロックS122で第1のシールド電極151から容量値を読み出し、その後にシステム100内の他の各シールド電極についてこのプロセスを繰り返す。
【0039】
しかしながら、コントローラ160は、カバー層141の上または近くの1または複数の物体の存在および/または位置を表す容量データを収集するために、他の表面容量技術を実施することができる。
【0040】
7.2投影型自己容量:二次電極
図4および
図9Bに示す一変形例では、システム100は、基板110上に配置され、シールド電極に容量結合するように構成された二次電極をさらに含む。コントローラ160は投影型静電容量技術を実施して、シールド電極151から静電容量値を読み取り、この静電容量値に基づいてカバー層141の上またはその近くの物体の近接度および/または位置を検出する。特に、この変形例では、コントローラ160は、ブロックS110で抵抗走査サイクル中にシールド電極151をシールド構成の仮想基準電位(またはガード構成の機器HI電圧)に駆動し、その後、ブロックS122で次の容量走査期間にシールド電極151(または二次電極)を充放電することにより、シールド電極151(または2次電極)からの電圧値を取得する。例えば、二次電極は、力感知層130に面し、シールド電極の1以上の側の周縁部に沿って延びるように、シールド電極から横方向にオフセットされた、基板110に接合された導電性膜を含むことができる。
【0041】
静電容量走査期間中、コントローラ160は、シールド電極151を目標電圧電位に駆動することができる。二次電極はシールド電極151に容量結合することができ、シールド電極から電荷をリークさせることができる。コントローラ160は、ブロックS122で、シールド電極を放電させる前に、シールド電極151の充電時間(または放電時間あるいは総充放電時間)をトラックすることができる。特に、シールド電極151(または二次電極)が駆動されたときに、接地電極と二次電極との間に形成された電界に向かって、離れて、あるいは通って移動する物体は、この電界を乱し、それによって充電時間(または放電時間、または総充放電時間)に影響を及ぼす。したがって、コントローラ160は、現在の静電容量走査期間における充電時間(または放電時間、総充放電時間)を、前の静電容量走査期間の充電時間、先行する静電容量走査期間のセットの平均充電時間、またはシールド電極のベースライン充電時間と比較することによって、カバー層141上の(導電性)物体および/またはカバー層141上の存在および/または(導電性)物体のサイズを検出することができる。
【0042】
一実施態様では、コントローラ160は、シールド電極151の目標電圧HIから目標電圧LOへのベースライン放電時間を記憶し、静電容量走査期間ごとにシールド電極151の目標電圧HIから目標電圧LOへの放電時間を記録する。この実施形態では、コントローラ160は、ブロックS124において、現在の静電容量走査期間に記録された放電時間がベースライン放電時間よりもわずかに小さい場合、カバー層141の上に小さな塊体が存在すると判断し、現在の静電容量走査期間に記録された放電時間がのベースライン放電時間よりも著しく小さい場合には、より大きな塊体がカバー層141の上にあると判断することができる。
【0043】
あるいは、コントローラ160は、1つの処理サイクル中に複数の静電容量走査期間を実行することができる。ステップS122で各静電容量走査期間中にシールド電極151(または2次電極)から静電容量値を記録する。ブロックS124で、処理サイクル中に記録されたこれらの容量値を比較して、外部物体がカバー層141の上またはこれに沿って移動しているかどうかを判断する。例えば、この処理サイクルの間に記録された静電容量値の変化率が閾値レートを超える場合、コントローラ160は、物体がカバー層141の近くまたはカバー層141を横切って移動していると判断することができる。この処理サイクルの間に記録された静電容量値の変化率が閾値レートを下回ったままである場合、コントローラ160は、物体がカバー層141の近くまたはカバー層141を横切って動いていないと判断することができる。
【0044】
この実施形態では、システム100は、
図9Cに示すように、力感知層130の単一面を横切ってパターニングされた(例えば、一体化された)複数のシールド電極を含むことができ、コントローラ160は同様の投影型自己容量技術を実施して、各シールド電極を走査し、各シールド電極に隣接するカバー層141の上または近くに物体が存在するかどうかを判断し、および/またはカバー層141上のこの物体の位置を特定することができる。例えば、上述したように、バッファ層140から延び、基板110上に構成されたレセプタクル112と係合するように構成された単一のタブ155に沿って走る別個のトレースを介して、コントローラ160に個別に結合されてもよい。この例では、コントローラ160は投影型自己容量技術を実施して、ブロックS122の容量走査期間中に各シールド電極から(1回または複数回)容量値を読み取ることができる。特に、コントローラ160は、ブロックS110で抵抗スキャン中にすべてのシールド電極を仮想基準電位に結び付け、ブロックS122で他のすべてのシールド電極をフローティングしながら各シールド電極を順次に充放電させて、各シールド電極からの静電容量値(例えば充電時間、放電時間、または総充放電時間)を記録する。その後、コントローラ160は、これらの静電容量値を、ブロックS124において、カバー層141上またはその近くの1つまたは複数の物体の存在および位置に変換することができる。
【0045】
しかしながら、コントローラ160は他の任意の自己容量技術を実施して、1つまたは複数のシールド電極(および/または基板110上に配置された2次電極)から静電容量値を読み取り、これらの静電容量値をカバー層141上またはカバー層141の上の物体の検出に変換することができる。
【0046】
7.3投影型自己容量:2つのシールド電極
一変形例では、システム100は、第1のシールド電極151に隣接して力感知層130に結合された(例えば、上に配置された)第2のシールド電極152をさらに含み、これは力感知層130の第2の領域を横切って延在し、基板110を介してコントローラ160に電気的に結合されている。この変形例では、第1および第2のシールド電極は、抵抗走査サイクル中に仮想基準電位に駆動された場合、協働して抵抗性タッチセンサ120および力感知層130を横切るアクティブシールドを形成し、これによって抵抗性タッチセンサ120に向かって放射されるノイズを遮蔽または低減し、抵抗性タッチセンサ120から読み出される抵抗データの精度を向上させる。この変形例では、コントローラ160は、投影型自己容量技術を実施して、処理サイクル中の第1の電極と第2の電極との間の容量値(例えば、充電時間、放電時間など)を読み取り、この容量値に基づいて第1のサンプリング期間中に第1のシールド電極151の近くの物体の近接度を検出することができる。
【0047】
1つの構成では、抵抗性タッチセンサ120は直線的なタッチ領域を画定し、システム100は、
図9Bに示されているように、抵抗性タッチセンサ120の右側領域に配置された右側シールド電極と、抵抗性タッチセンサ120の左側領域に配置された左側シールド電極との2つの直線的シールド電極を具える。この構成において、コントローラ160は、左シールド電極を接地し、右シールド電極を目標シールド電位に駆動して、右シールド電極が左シールド電極に容量結合するようにする。左右のシールド電極から容量値を読み出し、処理サイクル中に投影型自己容量技術に従ってこの容量値に基づいてカバー層141の近くに(導電性の)物体があるかどうかを判断することができる。
【0048】
7.4投影型自己容量:複数のシールド電極
図4および
図9Cに示す別の構成では、システム100は、それぞれコントローラ160の1つのチャネルに個別に結合された、8つの矩形シールド電極の2×4グリッドアレイ、18の六角形シールド電極の3×6グリッドアレイ、または32の円形シールド電極の4×8グリッドアレイといったシールド電極のグリッドアレイを含む。この構成において、シールド電極のグリッドアレイを力感知層130の上(または中)に単一の平面内に構成することができ、コントローラ160は上述した投影型自己容量技術を実施して、静電容量走査期間中に各シールド電極から静電容量値を読み出し、各シールド電極に割り当てられた、または計算された静電容量値のベースラインに基づいてグリッドアレイ内の1以上のシールド電極上の塊体とこれらの静電容量値とを相関させることができる。
【0049】
例えば、隣接するシールド電極は、検知電極およびセンサ接地電極対としてグループ化することができる。ブロックS110において、静電容量走査期間中、コントローラ160は、第1のセンサ接地電極を接地に結びつけ、第1のセンサ接地電極に隣接する第1の検知電極を第1のセンサ接地電極上の目標電位に駆動し、すべての他のシールド電極をフロートさせる。第1検知電極と第1のセンサ接地電極との間の寄生容量を表す容量値を検知電極から読み取る。次に、コントローラ160は、ブロックS122で、第1の検知電極および第1のセンサ接地電極をフロートさせ、このプロセスを他の検知電極とセンサ接地電極の対ごとに繰り返すことができる。この例では、コントローラ160は、4つの円形の検出電極のクラスタ内に中心を合わせた単一の円形センサ接地電極のように、単一のセンサ接地電極を複数の検出電極と対にすることもできる。コントローラ160はまた、抵抗性タッチセンサ120上の対応する検知電極の既知の位置とともに各容量値を記憶し、次に、上述のように各容量値を処理して、物体がそれぞれのシールド電極の既知の位置に配置されているかを判断する。したがって、この構成では、コントローラ160は、ブロックS122において、高解像度の静電容量データを収集し、ブロックS124において、これらのシールド電極の既知の位置に基づいて、処理サイクル中に、これらのデータを、カバー層141の近くに物体が存在するかどうか、およびカバー層141上のこの物体のおおよその位置へと変換する。
【0050】
しかしながら、抵抗走査サイクルの間、コントローラ160は、すべての検知電極およびセンサ接地電極を含むすべてのシールド電極を仮想基準電位に駆動することができる。シールド電極はこのように協働して、外部電子回路によって抵抗性タッチセンサ120の方へ放射されるノイズを遮蔽または低減するために、抵抗性タッチセンサ120を横切るアクティブシールドを形成する。
【0051】
7.5投影型相互キャパシタンス:シールド電極のグリッドアレイ
図9Dに示す別の変形例では、システム100は、第1の平面内の複数の行のシールド電極と、第1の平面から(例えば上に)垂直にオフセットした第2の平面内の複数の列のシールド電極とを具え、各行と列のシールド電極はコントローラ160に電気的に結合されている。ブロックS124において、静電容量走査期間の間、コントローラ160は、シールド電極の各列を順次フロートさせて駆動するとともに、シールド電極の各行を順次フロートさせて接地し(またはその逆)、投影型相互キャパシタンス検知技術に従って、カバー層141の近くの1以上の物体の存在、サイズ、および/または相対的位置を検出する。ブロックS140において、例えば、処理サイクル内の容量走査期間中に、コントローラ160は、隣接する列内および行内のシールド電極の対から容量値を順次読み出し、これらのシールド電極対から読み出された静電容量値と、同じまたは前の処理サイクル中にこれらのシールド電極対から読み取られたベースライン静電容量値および/または前の静電容量値に基づいて、力感知層130に近接する物体の位置およびサイズを表す静電容量イメージを生成し、次いでこの容量イメージを、同じサンプリング期間中に生成された力のタッチイメージとペアにする。
【0052】
しかしながら、抵抗走査サイクルの間、コントローラ160は、ブロックS110においてシールド電極のすべての行および列を仮想基準電位(例えば、機器LO電位または機器HI電位)に駆動することができる。これによりシールド電極は協働して、外部電子回路により抵抗性タッチセンサ120に向かって放射されるノイズを遮蔽または低減するために、抵抗性タッチセンサ120を横切るアクティブシールドを形成することができる。
【0053】
7.6複数のシールド電極層
さらに別の変形例では、システム100は、シールド電極の複数の層を含む。例えば、システム100は、シールド電極の第1層およびシールド電極の第2層を含むことができ、コントローラは、抵抗および処理期間の両方の間、第1層の電極を仮想接地電位に駆動することができる。しかしながら、この例では、コントローラは、抵抗走査サイクル中に第2層の検知電極を仮想接地電位に選択的に駆動することにより、シールド電極の第1層と協働して抵抗性タッチセンサ120のノイズを除去し、上述したように、処理サイクル中に第2層の検知電極から静電容量値を選択的に読み取って、タッチセンサ表面付近の塊体の存在を検出してもよい。
【0054】
しかしながら、システム100は、任意の他の数、形状、および/または構成のシールド電極を含むことができ、コントローラ160は、システム100の動作中の静電容量走査期間中にこれらのシールド電極から容量値を読み取る任意の他の方法または技術を実施することができる。
【0055】
8.タッチイメージ
ブロックS140において(例えば、処理サイクルの間)、コントローラ160は、先行する抵抗走査サイクルの間に抵抗性タッチセンサ120から収集された抵抗データと、同時または先行する静電容量走査期間にシールド電極150から収集されたキャパシタンス値を、
図4に示すように、現在のサンプリング期間中にカバー層141の近くの物体および/またはカバー層141に加えられる力を表すタッチイメージに変換する。通常、コントローラ160は、対応するサンプリング期間の時間(例えば、サンプリング期間の開始時間または終了時間)と、力が検出された抵抗性タッチセンサ120上の各検知電極および駆動電極対のアドレス(例えば、位置)およびこの力の大きさと、カバー層141上で検出された1つまたは複数の物体(すなわち、塊体)のおおよその位置および/またはサイズとを含むタッチイメージを生成する。例えば、コントローラ160は、抵抗性タッチセンサ120内の各検知電極および駆動電極対上のカバー層141に印加される(ベースライン力の大きさを上回る)力の大きさを表す第1のマトリックスと、力感知層130の上の各シールド電極の近くで検出された塊体の近接度および/またはサイズを表す第2のマトリックスとを含み得タッチイメージを生成することができる。特に、この例では、コントローラ160は、抵抗性走査サイクル中に読み取られる抵抗値のセットと抵抗性タッチセンサ120用のベースライン抵抗値との間の差に比例する、カバー層141を横切って印加される力の大きさを表す力画像を生成し、後続の静電容量走査期間中に記録された静電容量値のセットとシールド電極150のセット用のベースライン(または前の)静電容量値との間の差の大きさに基づいて表面の近くに検出される物体を表す静電容量画像を生成し、この静電容量画像を力画像に整列させ、静電容量画像と力画像とを現在のサンプリング期間のタッチイメージへとパッケージングする。
【0056】
コントローラ160は、このタッチイメージを、ラップトップコンピュータやタブレットのような接続されたデバイスに有線または無線接続を介して実質的にリアルタイムで渡すことができる。この例では、接続されたデバイスは、グラフィカルモデルの位置を変えることによって、または位置、サイズ、力の大きさ、および/または第1のマトリクス内に表された1つまたは複数の力の入力の種類などに基づいて、および/または第2のマトリクスに表された隣接する塊体のサイズおよび/または位置に基づいて、グラフィカルユーザインターフェース内の仮想制御面を操作することによって、タッチイメージに従って接続または統合されたグラフィカルユーザインターフェースを更新することができる。
【0057】
コントローラ160は、システム100の動作中に、後続のサンプリング期間ごとにこのプロセスを繰り返すことができる。
【0058】
8.1抵抗データと静電容量データのマージ
図3Aに示す1つの実施形態では、第1のサンプリング期間中、コントローラ160は、ブロックS112で第1の抵抗走査サイクル中に抵抗性タッチセンサ120をスキャンし、第1の抵抗走査サイクルが終了すると、ブロックS120で第1の抵抗走査サイクルからの抵抗データに対して初期処理を行いながら、ブロックS122で第1の容量走査期間中にシールド電極を走査し、ブロックS140で第1の抵抗走査サイクルの抵抗データと第1の容量走査期間からの静電容量データとから第1のサンプリング期間の第の1タッチイメージを生成する。コントローラ160は、このプロセスを第2のサンプリング期間にわたって繰り返す。
【0059】
図3Bに示される同様の実施形態では、第1のサンプリング期間中、コントローラ160は、ブロックS112で第1の抵抗走査サイクル中に抵抗性タッチセンサ120を走査し、第1の抵抗走査サイクルが完了したらブロックS122で第1の容量走査期間中にシールド電極を走査する。そして、第1の処理サイクル中に、ブロックS140で第1の抵抗走査サイクルからの抵抗データおよび第1の容量走査期間からの容量データから、第1のサンプリング期間の第1のタッチイメージを生成する。コントローラ160は、このプロセスを第2のサンプリング期間にわたって繰り返す。
【0060】
図3Cに示す別の実施例では、第1のサンプリング期間中、コントローラ160は、ブロックS112で第1の抵抗走査サイクル中に抵抗性タッチセンサ120を走査し、第1抵抗走査サイクルが完了すると、ブロックS122で第1の静電容量走査期間にシールド電極を走査し、ブロックS140で第1の抵抗走査サイクルの抵抗データから第1のサンプリング期間の第1のタッチイメージを生成する。この実施例では、第2のサンプリング期間中、コントローラ160は、ブロックS112で第2の抵抗走査サイクル中に抵抗性タッチセンサ120を走査し、第2の抵抗走査サイクルが完了すると、ブロックS122で第2の容量走査期間中にシールド電極を走査し、ブロックS140で第2の抵抗走査サイクルからの抵抗データと第1の容量走査期間からの容量データから第1のサンプリング期間の第2のタッチイメージを生成する。第1の静電容量走査期間から開始する。第3のサンプリング期間中、コントローラ160は、同様に、ブロックS140で第3の抵抗走査サイクルからの抵抗データと第2の容量走査期間からの容量データとを第3のサンプリング期間の第3のタッチイメージへとマージする。
【0061】
8.2処理サイクルごとの複数の静電容量走査期間
上述したように、コントローラ160は、ブロックS122において、1のサンプリング期間内に処理サイクルごとに複数の静電容量走査期間を実行することもできる。例えば、先行する抵抗走査サイクルの間に記録された抵抗値を処理する間に、コントローラ160は、ブロックS122で第1の静電容量走査期間中にシステム100内のシールド電極間の静電容量値(例えば充電時間)の第1のセットを読み出し、ブロックS124で第1の静電容量値のセットと第2の静電容量値のセットとの差に基づいて、カバー層141の特定の領域に対する物体の近接度を検出することができる。具体的には、コントローラ160は、抵抗走査サイクル中に抵抗性タッチセンサ120内の比較的多数の検知電極および駆動電極対121を介して高分解能の抵抗データ(例えば、抵抗値)を収集し、比較的少数のシールド電極を介してカバー層141の上または近くの物体を表す低解像度の容量データを収集し、一方で処理サイクル中に抵抗データを力(または圧力)の入力値へと処理する。比較的少数のシールド電極が走査される静電容量走査期間は、多数の抵抗値を処理するよりも(かなり)短い時間で済むため、コントローラ160は、1回の処理サイクル中に複数の静電容量走査期間を実行し、得られた容量値を静電容量画像へと処理することができる。
【0062】
8.3タッチイメージの力領域のラベリング
ステップS140において、コントローラ160は、シールド電極151から読み出された静電容量値を抵抗性タッチセンサ120から収集された抵抗値とマージすることによって、カバー層141の入力の種類または接触する入力物体を特徴付けることもできる。
【0063】
例えば、コントローラ160は、カバー層141の上で抵抗走査サイクル中に抵抗性タッチセンサ120を介して検出された小さな力の接触領域と、後続または先行する静電容量走査期間中に電極を介して検出された比較的小さい塊体を、システム100と接触するペン、スタイラス、または小さなペイントブラシと相関させることができる。この例では、コントローラ160は、カバー層141上の広い力の接触面積および比較的小さな塊体を、カバー層141に接触する幅広のペイントブラシと相関させることもでき、コントローラ160は、カバー層141上の広い力接触領域および比較的大きな塊体を、システム100と接触している手のひらまたは拳と相関させることができる。
【0064】
同様に、ユーザがカバー層141の上に実質的に非導電性のスタイラスで描く場合、抵抗性のタッチセンサ120は、カバー層141と接触する第1の物体の存在および位置を検出することができる。しかしながら、スタイラスは実質的に非導電性であるため、コントローラ160は、第1の物体の検出された位置に近接する第1のシールド電極151の静電容量値において(有意の)変化(または「摂動」)を検出しない。したがって、コントローラ160は、抵抗性タッチセンサ120によって検出される第1物体の力入力領域と第1のシールド電極151における静電容量変化の欠如とを、非導電性物体(例えばスタイラス)による入力と相関させることができる。この実施形態では、抵抗性タッチセンサ120は、第1の物体の近くのカバー層141と接触する第2の物体の存在および位置を検出することもでき、コントローラ160は、検出された第2の物体の位置に近接している第2のシールド電極152の静電容量値の変化(または「摂動」)を検出することができる。コントローラ160は、抵抗性タッチセンサ120によって検出された第2の物体の力入力領域のサイズおよび位置と、第2のシールド電極152における静電容量の変化に基づいて、第2の物体を、導電性の物体(例えば、ユーザの手のひら)と相関させて、第2の物体を除外して第1の物体を優先し、第2の物体の力の入力領域における力の大きさおよび位置を除いた、第1の物体の力入力領域における力の大きさおよび位置を含むタッチイメージ(後述する)を出力することができる。代替的に、システム100は、物体の種類(それぞれ、スタイラス、手のひらなど)、導電率、または導電クラス(それぞれ、非導電性、導電性など)でラベル付け(またはタグ付け)された、第1の物体および第2の物体の力の大きさと力の入力領域の位置とを含むタッチイメージを出力可能である。
【0065】
例えば、処理サイクルの間、コントローラ160は、抵抗走査サイクル中に記録された抵抗値のセットを、カバー層141上の第1の接触領域にわたって印加された第1の力の第1の大きさ、カバー層141上の第2の接触領域にわたって印加された第2の力の第2の大きさへと変換し、ここで第2の接触領域は第1の接触領域とは異なり、かつ第1の接触領域より小さく;第1の接触領域に近接する静電容量値のセットで表される第1の摂動が、第2の接触領域に近接する静電容量値のセットにおける第2の摂動を越えることに応答して、第2の接触領域に近接する第2の物体をスタイラスと認識し;第1の接触領域はスタイラス入力ではないと定義して第1の大きさでラベリングし、第2の接触領域をスタイラス入力であると定義して第2の大きさでラベリングしたタッチイメージを生成することができる。
【0066】
9.入力スキーマ
ブロックS140において、コントローラ160はまた、シールド電極150から読み出された静電容量値に基づいて、カバー層141に加えられる力の特徴付けのための入力スキーマを選択することができる。システム100が左シールド電極と右シールド電極とを具える上記実施例では、コントローラ160(またはシステム100に有線または無線で接続された演算デバイス)は、一次入力スキーム従って、抵抗性タッチセンサ120を介して検知された、単一の力の入力を処理する。しかし、この実施例において、コントローラ160が、抵抗性タッチセンサ120の右側に入力される第1の力と、抵抗性タッチセンサ120の左側に入力される別個の第2の力とを検出した場合、コントローラ160は、第1および第2の力の入力のそれぞれについて、左右のシールド電極から読み出された静電容量値に基づいて、入力スキームを選択することができる。具体的には、コントローラ160は、(例えば、前の抵抗走査からの抵抗データが処理サイクル中に処理される間に)右左のシールド電極から容量値を読み出し、これらの容量値を、右シールド電極上の塊体のサイズの第1の近似値(approximation)と、左シールド電極上の塊体のサイズの第2の近似値とに変換する。そして、右シールド電極上の塊体のサイズの第1の近似値が、左シールド電極上の塊体のサイズの第2の近似値を超える(またはその逆の)場合に、第1の力の入力(例えば、右手)に第1の入力スキームを割り当て、第2の力の入力(例えば、左手の指)に第2の入力スキームを割り当てる。
【0067】
前述の実施形態の一例では、ユーザが右手でカバー層141の右側にペンで描きながら、カバー層141の左側の面を間欠的に左手の人差し指で払う(swipe)と、コントローラ160は、左右のシールド電極を介して、ペンおよびユーザの左手人差し指からの力の入力を抵抗性タッチセンサ120を介して追跡し、ユーザの右手および左手人差し指に対応する塊体の位置を追跡することができる。ユーザの右手は、ユーザの左手人差し指がもたらす左シールド電極の静電容量値よりも、右シールド電極の容量値に大きな起伏を生じさせるので、コントローラ160は、右電極上の塊体が、左電極上の塊体を越えると判断することができる。次に、コントローラ160は、抵抗性タッチセンサ120の左右の領域における力の接触領域のサイズに関係なく(ユーザの人差し指がペンの先端よりも大きくてもよい)、抵抗性タッチセンサ120の右側に検出された力の入力に第1の入力スキームを割り当て、抵抗性タッチセンサ120の左側に検出された力の入力に第2の入力スキームを割り当てる。例えば、システム100に接続された演算デバイスは、グラフィカルユーザインターフェースを更新して、第1の入力スキームに従って抵抗性タッチセンサ120の右側で力の入力の経路をたどる線を描くことができ、演算デバイスは第2の入力スキームに従って抵抗性タッチセンサ120の左側の入力に基づいてグラフィカルユーザインターフェースに描かれた線の幅および/または色を更新することができる。
【0068】
コントローラ160は、類似の方法および技術を実施して、隣接するシールド電極の近くの、これに向かう、あるいはその上の塊体の、近接度、接近速度、あるいはホバリング時間に基づいて、抵抗式タッチセンサ120上で検出された力の入力に入力スキームを割り当てることができる。
【0069】
さらに、この構成では、コントローラ160は、抵抗性タッチセンサ120にわたる複数の別個の力の入力を検出し、左右のシールド電極の一方または両方の上の塊体を検出し、その後に、
図4に示すように、各シールド電極の上の塊体の推定サイズに基づいて、検出された力の入力のクラスタをグループ化することができる。例えば、コントローラ160は、抵抗走査サイクル中の抵抗性タッチセンサ120の走査から、4つの別個の力の入力がカバー層141の右側に存在し、カバー層141の左側に2つの異なる力入力が存在することを特定することができる。この例では、コントローラ160は、次の処理サイクル中のシールド電極の走査から、1つの塊体がカバー層141の右側に存在し、1つの塊体がカバー層141の左側に存在し、右側のラフ電極の容量値の摂動は左側のラフ電極の容量値の摂動とは切り離されている(すなわち、同じ周波数で変化しない)ことを同定することができる。従って、コントローラ160は、カバー層141の右側の4つの力の入力をグループ化して、このグループをユーザの右手に割り当てることができ、コントローラ160は、カバー層141の左側の2つの力の入力をグループ化して、このグループをユーザの左手に割り当てることができる。
【0070】
この構成では、コントローラ160はまた、上述の方法および技術を実施して、シールド電極の容量値の摂動から特定される、カバー層141への塊体の接近およびカバー層141からの塊体の離隔に基づいて、抵抗性タッチセンサ120を間欠的に作動および非作動させることができる。例えば、コントローラ160は、右側のシールド電極の容量値の摂動から特定される、カバー層141の右側に向かう塊体の接近(および離隔)に基づいて、抵抗性タッチセンサ120の左側とは独立して、抵抗性タッチセンサ120の右側を選択的に活性化および非活性化することができ、その逆も可能である。
【0071】
10.ホバー検出と抵抗性タッチセンサの起動
1つの変形例では、ブロックS112において、コントローラ160は、シールド電極150から読み出される静電容量値の摂動から特定される、カバー層141の近くに検出された物体の存在に基づいて、抵抗タッチセンサ120を選択的に作動させる。例えば、コントローラ160が抵抗走査サイクル中に収集された抵抗データに基づいてカバー層141に何も力が存在せず、前後の静電容量走査中に収集された静電容量値に基づいてカバー層141の近くに何も物体がないと判断したら、コントローラ160は、ブロックS110で、抵抗型タッチセンサ120を非活性化することができる。しかしながら、コントローラ160は、ブロックS122で接近する物体について継続的にシールド電極を走査し、シールド電極から読み出された静電容量値に基づいて塊体の接近が検出されると抵抗性タッチセンサ120を再起動し、これによりシステム100の動作中にカバー層141上の入力に対する感度を犠牲にすることなく抵抗性タッチセンサ120を走査しデータを処理するために必要とされる電力消費を低減することができる。
【0072】
一例では、起動時に、コントローラ160は、抵抗性タッチセンサ120およびシールド電極の両方を走査する。抵抗性タッチセンサ120で局部的な力の入力が検出されなかったら、コントローラ160は、抵抗性タッチセンサ120を停止させ、1以上のシールド電極から読み出された静電容量値の変化に基づいて塊体の接近が検出されたら、抵抗性のタッチセンサ120を再起動する(すなわち、抵抗走査サイクル中に抵抗性タッチセンサ120を走査する)。この例では、第1のサンプリング期間の第1の抵抗走査サイクルの間、コントローラ160は、第1のシールド電極151を仮想基準電位に駆動し、抵抗性タッチセンサ120内の検知電極および駆動電極対121にまたがる抵抗値の第1のセットを読み取る。第1のサンプリング期間中の第1の抵抗走査サイクルに続く第1の処理サイクル中、コントローラ160は、抵抗値の第1のセットにおける抵抗値がデフォルトの閾値抵抗値より低いままである場合に表面に力が加わっていないことを検出し、第1のシールド電極151を仮想基準電位から解放し;第1のシールド電極151の第1の容量値を読み出し;第1の静電容量値に基づいて第1のサンプリング期間中にカバー層141に近接する物体がないことを検出する。第1のサンプリング期間に続く第2のサンプリング期間の第2の抵抗走査サイクルの間、コントローラ160は、カバー層141に加えられる力の不存在および第1の期間中の表面に近接する物体の不存在の検出に応答して、抵抗性タッチセンサ120を停止することができる。コントローラ160は、第2のサンプリング期間内の第2の抵抗走査サイクルに続く第2の処理サイクルの間に、第1のシールド電極151の第2の容量値を読み取り;第2の容量値に基づいて、第2のサンプリング期間中に表面に近接する第1の物体を検出する。コントローラ160は、第2のサンプリング期間に続く(直後の)第3のサンプリング期間に、第1のシールド電極151を仮想基準電位に駆動し、第2のサンプリング期間中に表面に近接した第1の物体の検出に応答して、第3のサンプリング期間の第3の抵抗走査サイクルの間に、抵抗値の第3のセットを読み取る。
【0073】
したがって、コントローラ160は、ブロックS124でカバー層141に近接するが接触しない塊体を検出し、ブロックS110でそれに応じて抵抗性タッチセンサ120を選択的に活性化および非活性化するために、シールド電極の静電容量値の経時変化を経時的に追跡することができる。コントローラ160は同様の方法と技術を実施して、カバー層141から取り去られたが、依然としてカバー層141の近くにある塊体を追跡することができる。例えば、コントローラ160は、カバー層141から最大1インチの近接する塊体についてのシールド電極151の静電容量値の変化を検出するように構成することができる。この例では、カバー層141の表面への力の印加およびその後の除去の後、コントローラ160は、シールド電極151の静電容量値の検出可能な変化がシールド電極151から読み取られなくなるまで、またはシールド電極151の静電容量値の変化率が閾値時間の間、閾値レート以下となるまで、抵抗性タッチセンサ120からの抵抗値を走査して処理し続けることができる。
【0074】
11.局所的感度調整
図7Aおよび
図7Bに示す別の変形例では、ブロックS120において、コントローラ160は、以前の(または同時の)静電容量走査中に収集された静電容量データに基づいて、抵抗走査サイクル中に収集された抵抗データに適用される、力の入力の感度を選択的に調整する。
【0075】
例えば、コントローラ160が、前の抵抗走査サイクル中に収集された抵抗値に基づいてカバー層141に局所的な力の印加を検出しないが、前の静電容量走査期間中に収集された静電容量値に基づいてカバー層141の特定のサブ領域に近接する(例えば接近する)物体を検出している場合、コントローラ160は、カバー層141の特定のサブ領域に隣接する(およびこれをわずかに超える範囲の)抵抗性タッチセンサ120の検知電極および駆動電極対121の第1のサブセットに高い入力感度を割り当て、一方で抵抗性タッチセンサ120内のすべての他の(すなわち、第2のサブセットの)検知電極および駆動電極対121を低い入力感度に留める。この例では、コントローラ160は、抵抗走査サイクル中に検知電極および駆動電極対121の第1のサブセットから記録された抵抗値と、比較的小さな抵抗変化閾値とを比較し、これにより第1のサブセット内の検知電極および駆動電極対121から読み取られた抵抗値が、1)ベースライン抵抗値、または2)前のサンプリング期間中の検知電極および駆動電極対121から記録された抵抗値から、この比較的小さな、高感度の抵抗の変化閾値よりも大きく隔たっている場合に、カバー層141の特定のサブ領域内またはその近傍に力がかけられていると検出する。しかしながら、コントローラ160は、第2のサブセット内の検知電極および駆動電極対121から読み取られた抵抗値が、1)ベースライン抵抗値、または2)前のサンプリング期間中の検知電極および駆動電極対121から記録された抵抗値が、比較的大きな、低感度の抵抗の変化閾値よりも大きく隔たっている場合にのみ、カバー層141の特定のサブ領域外への力の印加を検出することができる。
【0076】
一実施形態では、コントローラ160は、シールド電極150のセットを仮想基準電位に駆動し、第1のサンプリング期間の第1の抵抗走査サイクル中に抵抗性タッチセンサ120内の検知電極および駆動電極対121にわたる抵抗値の第1のセットを読み取ることができる。次に、コントローラ160は、抵抗値の第1のセットにおける抵抗値がデフォルトの閾値抵抗値を下回ったままである場合に応答して、表面に局所的な力の印加がないことを検出し;シールド電極150のセットを仮想基準電位から解放し;シールド電極150のセットの容量値の第1のセットを読み取り;第1のサンプリング期間中の第1の抵抗走査サイクルに続く第1の処理サイクル中に容量値の第1のセットに基づいて、第1のサンプリング期間中にカバー層141に近接する物体がないことを検出することができる。第1のサンプリング期間に続く第2のサンプリング期間の第2の抵抗走査サイクル中、コントローラ160は、シールド電極150のセットを仮想基準電位に駆動し;抵抗性タッチセンサ120内の検知電極および駆動電極対121にわたる抵抗値の第2のセットを読み取ることができる。第2のサンプリング期間内の第2の抵抗走査サイクルに続く第2の処理サイクル中、コントローラ160は、抵抗値の第2のセットの抵抗値がデフォルトの閾値抵抗値を下回ったままである場合に応答して、カバー層141に局所的な力の印加がないことを検出し;シールド電極150のセットを仮想基準電位から解放し;シールド電極150のセットの容量値の第2のセットを読み出し;静電容量値の第2のセットに基づいて第2のサンプリング期間中にカバー層141上の特定の位置に近接する第1の物体を検出することができる。第2のサンプリング期間に続く第3のサンプリング期間の第3の抵抗走査サイクル中、コントローラ160は、シールド電極150のセットを仮想基準電位に駆動し;抵抗性タッチセンサ120内の検知電極および駆動電極対121にわたる抵抗値の第3のセットを読み取る。第3のサンプリング期間中の第3の抵抗走査サイクルに続く第3の処理サイクル中に、第2のサンプリング期間中のカバー層141の特定の位置に近接する第1の物体の検出に応答して、コントローラ160は、デフォルトの抵抗変化閾値よりも小さい第2の(すなわち高感度の)抵抗変化閾値を選択し;第2の閾値抵抗値を超える、抵抗値の第3のセット内で第1の位置に対応する、特定の抵抗値に従って、第1の物体の特定の位置に近接する第1の位置で表面に印加される第1の力を検出することができる。
【0077】
したがって、コントローラ160は、システム100の動作中の処理サイクル中にシールド電極150から読み出された静電容量値に基づいて、カバー層141の近くに検出された物体の存在に基づいて、抵抗性タッチセンサ120内の検知電極および駆動電極対121の特定のサブセットのすべてまたは特定のものにわたって、カバー層141に印加される局所的な力の変化と相関している、抵抗性タッチセンサ120から読み取られた抵抗値の変化に対してより大きな感度を実現することができる。
【0078】
コントローラ160は、同様の方法および技術を実施して、カバー層141に近づく物体の検出されたサイズに比例して、カバー層141上の力の入力への感度を調節することができる。例えば、コントローラ160は、第1のシールド電極151での容量値における小さな摂動を検出し;この小さな摂動を第1のシールド電極151に隣接するカバー層141の第1の領域に向かう比較的小さな塊体の物体の接近に関連付け;スタイラスや指などの小さな物体がカバー層141に印加する力の入力に対する感度をより大きくするために、この第1の領域に隣接する検知電極および駆動電極対121の第1のサブセットから読み出された抵抗値に、より低い抵抗変化閾値を選択的に適用する。逆に、コントローラ160は、第2のシールド電極152における容量値の比較的大きな摂動を検出し;この大きな摂動を、第2のシールド電極152に隣接するカバー層141の第2の領域に向かう、比較的大きな塊体の物体の接近に関連付け;手のひらや前腕などのより大きな物体がカバー層141に印加する力の入力に対する感度を低減させるために、この第2の領域に隣接する検知電極および駆動電極対の第2のサブセットから読み出された抵抗値に、より高い抵抗変化閾値を選択的に適用する。
【0079】
コントローラ160は類似の方法および技術を実施して、物体がカバー層141に接近する速度に比例して、カバー層141上の力の入力に対する感度を調節することができる。例えば、コントローラ160は、一連のサンプリング期間にわたり隣接するシールド電極から読み出される静電容量値の変化率に基づいて、カバー層141の領域に近づく物体の速度を見積り;この領域に隣接する検知電極および駆動電極対121のサブセットから読み取られた抵抗値に対する抵抗変化閾値を、物体の接近速度に反比例して調整することができる。したがって、コントローラ160は、カバー層141にゆっくりと近づく力の入力に対する感度を高くし、カバー層141に素早く近づく力の入力に対する感度を低くすることができる。
【0080】
12.局所的な解像度調整
図7Aおよび
図7Bに示す別の変形例では、ブロックS110において、コントローラ160は、前の(または同時の)静電容量走査期間中に収集された静電容量データに基づいて、現在の抵抗走査サイクルの間に抵抗性タッチセンサ120内の検知電極および駆動電極対121をコントローラ160が走査する解像度を選択的に調整する。例えば、コントローラ160が、先行する抵抗走査サイクル中に収集された抵抗値に基づいてカバー層141に局所的な力の印加を検出しないが、先行する容量走査期間中に収集された容量値に基づいてカバー層141の特定のサブ領域に近接する(例えば接近する)物体を検出した場合、コントローラ160は、カバー層141のこの特定のサブ領域に隣接する抵抗性タッチセンサ120の検知電極および駆動電極対121の第1のサブセットに高い走査解像度を割り当て;一方で抵抗性タッチセンサ120の他のすべての(すなわち、第2のサブセットの)検知電極および駆動電極対121にわたって低い走査分解能を維持する。この例では、コントローラ160は、第1のサブセットに割り当てられた高い走査分解能に従って第1のサブセット内の各検知電極および駆動電極対121を走査できるが、第2のサブセットに割り当てられた低い走査分解能に従って、第2のサブセット内では4つおきの検知電極および駆動電極対121のみを走査する。
【0081】
したがって、コントローラ160は、このような外部塊体から実質的に離れた他の検知電極および駆動電極対121よりも、カバー層141に近接または接近する塊体に近い検知電極および駆動電極対121からより大きな密度の抵抗データを収集することができる。したがって、コントローラ160は、抵抗走査サイクル当たりの総データ量を少なくすることによって、これらのデータをより短時間で処理し、最も入力がありそうな抵抗性タッチセンサ120の領域にわたる分解能を(実質的に)犠牲にすることなく、より大きなリフレッシュレート(すなわち単位時間当たりのタッチイメージ出力レート)を達成することができる。さらに、抵抗走査サイクルの間に収集された抵抗データに基づいてカバー層141上に入力が検出されると、コントローラ160はこの方法を継続的に実施して、隣接する静電容量走査期間中にシールド電極150から読み取られる静電容量値に基づいて抵抗性タッチセンサ120の選択領域における走査解像度を選択的に増加または減少させる。
【0082】
コントローラ160はまた、カバー層141に接近する物体の検出されたサイズに比例して、抵抗性タッチセンサ120の選択領域における走査解像度を調整するために、上記と同様の方法および技術を実施することができる。例えば、コントローラ160は、カバー層141の隣接領域に接近する比較的小さな物体の検出に応答して、抵抗性タッチセンサ120の特定領域における走査解像度を高めることができ、その逆も可能である。したがって、コントローラ160は、抵抗性タッチセンサ120の領域の走査解像度を、抵抗性タッチセンサ120のこの領域に近づく物体のサイズに一致させることができ、走査サイクル中に収集される抵抗値の総量を制限し、物体とカバー層141との接触点の検出および位置特定を(実質的に)犠牲にすることなく、これらの抵抗データの処理時間を短縮することができる。
【0083】
コントローラ160は、物体がカバー層141に接近する速度に比例して、抵抗性タッチセンサ120の選択領域における走査解像度を調整するために、同様の方法および技術を実施することができる。例えば、コントローラ160は、カバー層141の隣接領域に急速に接近する物体の検出に応答して、抵抗性タッチセンサ120の特定領域の走査解像度を高めることができ、その逆も可能である。したがって、コントローラ160は、抵抗性タッチセンサ120の領域のスキャン解像度を、オブジェクトが抵抗性タッチセンサ120のこの領域に近づく速度に一致させることができる。
【0084】
しかしながら、コントローラ160は、シールド電極150から読み出された静電容量値および/またはこれらの静電容量値に基づいて検出されたカバー層141近傍の物体に基づいて、抵抗性タッチセンサ120を作動させ、抵抗性タッチセンサ120の走査解像度を調整し、抵抗性タッチセンサ120で検出された入力に対する感度を調整する等の他の方法または技術を実施することができる。
【0085】
13.水分検出
一変形形態では、コントローラ160は、カバー層141上の水分を検出し、それに応じてその動作を変更するようにさらに構成されている。例えば、ブロックS140において、コントローラ160は、サンプリング期間内の容量走査期間中にシールド電極の容量値を読み出し;容量値に基づいてカバー層141上の水分を検出し;次いで、表面上の水分の検出に応答して、表面に加えられた力および表面近傍の物体を表した、サンプリング期間中に生成されたタッチイメージをクリアする。
【0086】
システム100が力感知層130の上にシールド電極のアレイを含む一実施態様では、コントローラ160は、漏れ電流の急激な増加、充電時間の急速な増加、および/また少ない数のサンプリング期間にわたる大部分の(例えば、すべての)シールド電極にわたる放電時間の急激な減少に基づいて、表面の流体流を検出する。別の実施形態では、コントローラ160は、一連のサンプリング期間にわたってカバー層141に複数の軽い瞬間的な衝撃を検出すると、次いで、パターンマッチング(または同様の)技術を実施して、これらの瞬間的な衝撃をカバー層141に雨が降っているとして特徴付ける。この実施例では、コントローラ160は、同じサンプリング期間にわたってシールド電極150から読み出された静電容量値の変化に応答して、カバー層141上の水の存在を降雨の結果として確認することもできる。そのような水分の存在が検出されると、コントローラ160は、抵抗性タッチセンサ120および/またはシールド電極150の走査を停止し、代わりに空のタッチイメージを出力することができる。別の例では、表面上の水分を検出することに応答して、コントローラ160は、予め設定された期間だけタッチイメージの出力を停止し、非アクティブ(または「スリープ」)モードに移行することができる。この例では、表面上の水分を検出することに応答して、コントローラ160はさらに、例えば予め設定された期間、およびカバー層141から水分が除去されるまで、。接続された演算デバイスに同様に非アクティブ状態へと移行するようにコマンドを出力することができる。
【0087】
しかしながら、コントローラ160は、システム100の動作中に収集された抵抗および/または静電容量値に基づいて、カバー層141上の水分を検出し反応する任意の他の方法または技術を実施することができる。
【0088】
14.較正
図8に示す1つの変形例では、コントローラ160は、ブロックS150で抵抗性タッチセンサ120から収集された抵抗データに基づいて、シールド電極150の容量センサモデルを較正する。例えば、コントローラ160は、ブロックS150で、起動時、新規または異なるオーバーレイがカバー層141上に設置されたとき、またはシステム100の動作中に時折(3分間隔で1回)、容量センサモデルを較正することができる。
【0089】
この変形例では、コントローラ160は、第1の時間において、抵抗性タッチセンサ120内の検知電極と駆動電極対121にわたる抵抗の第1の変化と、抵抗性タッチセンサ120の表面(例えば、カバー層141や、カバー層141上に設けられたオーバーレイ)への塊体の適用とを相関させ;第1の時間に続く第2の時間において、検知電極と駆動電極対121にわたる抵抗の第2の変化と、抵抗性タッチセンサ120の表面からの塊体の離隔とを相関させ;この第2の時間とほぼ同時に、検知電極と駆動電極対121に一致するシールド電極の容量値を読み出し;接地/検知電極における容量値を、カバー層141(またはオーバーレイ)には接触しないが抵抗性タッチセンサ120への塊体の近接に相関させることができる。例えば、コントローラ160は、閾値時間内に抵抗性タッチセンサ120内のすべての検知電極と駆動電極対121にわたって検出される力のほぼ均一な上昇に基づいて、カバー層141上にオーバーレイが適用されたことを検出することができ、これによりコントローラ160は、前述の方法を実施してシールド電極150のベースライン静電容量値(「容量センサモデル」)を再較正することができる。
【0090】
さらに、この変形例では、コントローラ160は、第1の時間と第2の時間との間の第1の期間にわたって、検知電極と駆動電極対121にわたる抵抗の変化率を計算し;検知電極と駆動電極対121にわたる抵抗の変化率に基づいて、抵抗性タッチセンサ120の表面からの塊体の離脱の速度を推定し;第2の時間に続く第2の期間にわたって、接触位置に一致するシールド電極151で一連の静電容量値を読み取り;一連の静電容量値内の各静電容量値と、表面からの塊体の推定離脱速度に基づく抵抗性タッチセンサの表面と塊体との間の推定距離と、を相関させる。したがって、コントローラ160は、抵抗性タッチセンサ120の表面(例えば、カバー層141、カバー層141上に設置されたオーバーレイ)からの塊体の離脱速度を、抵抗式タッチセンサ120によって検出された力の入力の大きさの変化率に基づいて推定することができ、コントローラ160は、表面から塊体が離れてからの推定離脱速度に基づいて(例えば、その位置で検出される力の、ベースラインの力の大きさへの戻りに基づいて)、力の入力位置の上における塊体の位置を推定することができる。次に、コントローラ160は、表面から離脱後の塊体の経時的な推定位置を、対応する時間に力の入力位置に近接する(すなわち、その下の)シールド電極から読み取られた静電容量値にマッピングして、シールド電極に対する静電容量値ベースの塊体の位置モデルを生成することができる。
【0091】
図8に示される一例では、第1のサンプリング期間中、コントローラ160は、ブロックS112で抵抗性タッチセンサ120から抵抗データを収集し;ブロックS120で抵抗性タッチセンサ120内の特定の検知電極と駆動電極対121間の抵抗の第1の変化を、カバー層141の上の第1の位置(特定の検知電極および駆動電極対に隣接する)に加えられた力の第1の大きさに変換する。第1のサンプリング期間に続く第2のサンプリング期間中に、コントローラ160は、ブロックS110においてシールド電極150のセットを仮想基準電位に駆動し;ブロックS112において、検知電極と駆動電極対121間の抵抗値の第2のセットを読み出し;ブロックS120において、特定の検知電極と駆動電極対121間の抵抗の第2の変化を、第1の位置の近くのカバー層141に加えられる力の第2の大きさに変換する。さらに、コントローラ160は、第2のサンプリング期間に続く第3のサンプリング期間中に、ブロックS110でシールド電極150のセットを仮想基準電位に駆動し、ブロックS112において、検知電極と駆動電極対121にわたる抵抗値の第3のセットを読み出し;ステップS120において、特定の検知電極と駆動電極対121間の抵抗値のセット内の抵抗の第3の変化に基づいて、カバー層141からの力の除去を検出し;その後にカバー層141上の第1の位置に隣接する(例えば、その下の)シールド電極の第3の容量値を読み取ることができる。コントローラ160は、このようにして、カバー層141からの第1の物体の離脱速度を、力の第1の大きさと第2の大きさの差に基づいて、および第1のサンプリング期間と第2のサンプリング期間の時間の差に基づいて計算することができる。第3のサンプリング期間で第1の位置の上のカバー層141上の物体の離脱が検出されると、コントローラ160は、カバー層141からの物体の離脱速度と、第2のサンプリング器間と第3のサンプリング期間の差とに基づいて、第3のサンプリング期間でカバー層141と物体との間の特定の距離を補間することもできる。最後に、コントローラ160は、第1の位置に隣接する第1のシールド電極151から読み取られた第3の容量値を、前記特定の距離に関連付け、それにより、カバー層141に近いが接触していない物体からの距離について第1のシールド電極を較正することができる。この例では、コントローラ160は、この特定の距離と第3の容量値(または、前のサンプリング期間から第3のサンプリング期間までの容量変化率または相対容量差)を静電容量センサモデルに格納することができる。コントローラ160はまた、ブロック150で、前のサンプリング期間(すなわち第1のサンプリング器間)中の第1の位置での力の接触範囲に基づいて物体のサイズを推定し;上述したように物体の種類を予想し;そして物体の推定サイズ、物体の予想された種類、および/または第3の静電容量値を、容量センサモデル内のこの特定の距離に関連付けることができる。
【0092】
代替的に、コントローラ160は、システム100の各シールド電極について、ベースライン静電容量値、静電容量変化率のベースラインまたは閾値、および/または静電容量値ベースの塊体の位置モデルなどを含む静電容量センサモデルを保存することができる。
【0093】
15.エラー削減
一変形例では、抵抗走査サイクルの間、コントローラ160は、抵抗性タッチセンサ120内の検知電極および駆動電極対121における機器LO電圧と機器HI電圧との間のアナログ電圧値を読み取ることができる。抵抗走査サイクル中のシールド電極150と抵抗性タッチセンサ120との間の容量結合による誤差を最小限に抑えるために、コントローラ160は、シールド電極150を機器LO電圧(例えば、仮想基準電位)に保持して、抵抗走査サイクルの第1セグメント中に抵抗性タッチセンサ120を走査し;抵抗走査サイクルの第2セグメント中にシールド電極150を機器HI電圧まで引き上げ、抵抗性タッチセンサ120を走査し;次に抵抗走査サイクルの第1および第2セグメント中に抵抗性タッチセンサ120から走査された抵抗値を平均した後、次の抵抗処理サイクル中にこれらの抵抗データを処理する。同様に、コントローラ160は、後続の抵抗走査サイクルについてシールド電極150を機器LO電圧まで下げてから機器HI電圧まで引き上げる間で往復させ、最後と現在の抵抗走査サイクルからの抵抗データを平均して、抵抗性タッチセンサ120とシールド電極150との間の容量性結合に起因するこれらの抵抗データのノイズを除去または低減することができる。
【0094】
本書で説明されるシステムおよび方法は、コンピュータ可読命令を格納するコンピュータ可読媒体を受け取るように構成された装置として少なくとも部分的に実施および/または実装することができる。命令は、アプリケーション、アプレット、ホスト、サーバ、ネットワーク、ウェブサイト、通信サービス、通信インタフェース、ユーザコンピュータまたはモバイルデバイスのハードウェア/ファームウェア/ソフトウェア要素、リストバンド、スマートフォン、またはそれらの任意の適切な組合せと統合されたコンピュータ実行可能要素により実行することができる。実施形態の他のシステムおよび方法も、コンピュータ可読命令を格納するコンピュータ可読媒体を受け取るように構成された装置として少なくとも部分的に実施および/または実装することができる。命令は、上述したタイプの装置およびネットワークと統合されたコンピュータ実行可能要素によって実行することができる。コンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EEPROM、光デバイス(CDまたはDVD)、ハードドライブ、フロッピードライブ、または任意の適切なデバイスなどの任意の適切なコンピュータ可読媒体に格納することができる。コンピュータ実行可能要素はプロセッサであってもよいが、任意の適切な専用ハードウェアデバイスが(代替的または追加的に)命令を実行することができる。
【0095】
当業者であれば、前述の詳細な説明、図面および特許請求の範囲から、添付の特許請求の範囲に規定された本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の実施形態を修正および変更することができるであろう。