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  • 特許-還元水生成方法および還元水生成装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-14
(45)【発行日】2022-10-24
(54)【発明の名称】還元水生成方法および還元水生成装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/68 20060101AFI20221017BHJP
【FI】
C02F1/68 520U
C02F1/68 510B
C02F1/68 530B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020211170
(22)【出願日】2020-12-21
(65)【公開番号】P2022097914
(43)【公開日】2022-07-01
【審査請求日】2021-04-01
(73)【特許権者】
【識別番号】520503522
【氏名又は名称】日本アガリクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081260
【弁理士】
【氏名又は名称】染川 利吉
(72)【発明者】
【氏名】杉原 淳
(72)【発明者】
【氏名】服部 公
(72)【発明者】
【氏名】松原 智司
【審査官】山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】特許第6666528(JP,B2)
【文献】特開2004-322020(JP,A)
【文献】韓国登録実用新案第20-0406309(KR,Y1)
【文献】国際公開第2017/051479(WO,A1)
【文献】特開平07-328418(JP,A)
【文献】特公平04-074074(JP,B2)
【文献】登録実用新案第3168343(JP,U)
【文献】特開2012-201570(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/20- 1/26
1/30- 1/38
1/66- 1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を147メガパスカルで加圧して仮想粒子を発生させた水中に還元水の被処理媒体を投入して前記被処理媒体に前記仮想粒子を転写し、前記被処理媒体を還元水生成対象水に浸漬することで還元水を生成する方法において、
前記被処理媒体をクリスタル球で構成し、前記仮想粒子が転写された前記クリスタル球を外周部に複数個の通孔を有する容積285立方cmのステンレス製筒体に充填し、前記クリスタル球を充填した前記ステンレス製筒体を還元水生成対象水の収容容器に浸漬し、前記収容容器の還元水生成対象水の容量が3リットルであるときの浸漬時間を1.5~3日、前記収容容器の還元水生成対象水の容量が6リットルであるときの浸漬時間を3~6日とすることを特徴とする還元水生成方法。
【請求項2】
周側面に複数個の通孔が形状され、かつ、上下面が閉塞されたステンレス製筒体と、前記ステンレス製筒体に充填された複数個のクリスタル球とを有し、前記クリスタル球は、水を147メガパスカルで加圧することで発生する仮想粒子が転写されており、容積が285立方cmの前記ステンレス製筒体内に、外径略10.5mmの前記クリスタル球が略220個充填されており、前記クリスタル球を充填した前記ステンレス製筒体を還元水生成対象水の収容容器に浸漬するようにしたことを特徴とする還元水生成装置。
【請求項3】
外径が50mm、高さが145mmの前記ステンレス製筒体の周側面に形成された通孔の孔径は略3mmであり、かつ該通孔の配列ピッチは横方向に略7mm、横列どうしの上下配列ピッチが概ね8mmであることを特徴とする請求項2に記載した還元水生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は還元水生成方法およびこの還元水生成方法を実施するのに有用な還元水生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常の飲み水を化学的に処理してアルカリ水と酸性水に分離し、アルカリ水を飲用するようにしたイオン水生成器が従来から知られている。この装置は、電解作用によって容器の陰極室内にアルカリイオン濃度の高い飲料水を生成し、陽極室内にはその反対作用として酸性水を得るようにしたものであって、酸性水の方は例えば美容効果を利用した用途、殺菌効果を利用した用途などに用いている。容器内は浸透性の隔膜によって陰極室と陽極室の2つの領域に区画し、各領域内の水にそれぞれ電極を挿入して通電し、容器内の水に電離作用を与えるように構成している。このようなイオン水生成器としては、特許文献1に示すように、容器内への水の供給および生成水の取り出しの際に自動的に電極への通電が遮断され、また、浸透性隔膜の完全な装着を容易に確認できるように安全機能を付加したものなどが既に存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭55-28774号特許公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
イオン水生成器は一般家庭において日常使用し得るものであるが、稼働するには電源を必要とし、また得られた生成水も、飲用としてはアルカリイオン濃度を高めたアルカリ水として飲用するだけであり、医学的な効果はそれ以上のものではない。また、容器内を区画する浸透性の隔膜は容器に一体に固着したものではなく、使用者側で清掃し得るように容器に脱着するようになっており、隔膜側縁と容器内壁とをきつく密着させなければならず、かなり力のいる厄介な操作を強いられる。隔膜の装填が不確実の場合は、電解によって分離したアルカリ水と酸性水が容器内で再び混合してしまうなどの危険がある。
【0005】
本発明の目的は、イオン水生成器のように使用に際して電源などは一切不要であり、また隔膜の装填、清掃なども不要であり、生成された還元水も多くの医学的効果、味覚的効果が得られる還元水の生成方法およびこの生成方法を実施するのに有用な還元水生成装置を提供することにある。
【0006】
本発明はまた、水の分子が細かく分散し、「細かい水」となることにより、飲用した時まろやかで、かつ人体の細胞膜への吸収性がよく、血液中の酸素量の増大、血液粘度の低下をもたらす還元水の生成方法およびこの生成方法を実施するのに有用な還元水生成装置を提供することを目的する。
【0007】
本発明はさらに、飲用した後の血管の脈動が大きくなり、かつ血流の速さが増大する還元水生成方法および還元水生成装置を提供することを目的とする。
【0008】
本発明はさらに、処理水の還元作用により、水の防腐、防酸化作用にすぐれ、また防錆の用途にも利用できる還元水の生成方法および還元水生成装置を提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、水を147メガパスカルで加圧して仮想粒子を発生させた水中に還元水の被処理媒体を投入して前記被処理媒体に前記仮想粒子を転写し、前記被処理媒体を還元水生成対象水に浸漬することで還元水を生成する方法において、前記被処理媒体をクリスタル球で構成し、前記仮想粒子が転写された前記クリスタル球を外周部に複数個の通孔を有する容積285立方cmのステンレス製筒体に充填し、前記クリスタル球を充填した前記ステンレス製筒体を還元水生成対象水の収容容器に浸漬し、前記収容容器の還元水生成対象水の容量が3リットルであるときの浸漬時間を1.5~3日、前記収容容器の還元水生成対象水の容量が6リットルであるときの浸漬時間を3~6日とすることを特徴とする還元水生成方法が提供される。
【0010】
また本発明によれば、周側面に複数個の通孔が形状され、かつ、上下面が閉塞されたステンレス製筒体と、前記ステンレス製筒体に充填された複数個のクリスタル球とを有し、前記クリスタル球は、水を147メガパスカルで加圧することで発生する仮想粒子が転写されており、容積が285立方cmの前記ステンレス製筒体内に、外径略10.5mmの前記クリスタル球が略220個充填されており、前記クリスタル球を充填した前記ステンレス製筒体を還元水生成対象水の収容容器に浸漬するようにしたことを特徴とする還元水生成装置が提供される。
【0011】
本発明のひとつの形態によれば、外径が50mm、高さが145mmの前記ステンレス製筒体の周側面に形成された通孔の孔径は略3mmであり、かつ該通孔の配列ピッチは横方向に略7mm、横列どうしの上下配列ピッチが概ね8mmであることを特徴とする。
【0012】
本発明の他の形態によれば、前記筒体はステンレス製の部材であり、前記筒体の周側面に形成される通孔の縦、横方向の配列ピッチは3~6mmである。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る還元水は、水を所定の高圧で加熱することにより発生した仮想粒子を含む水分子の細かい水とすることにより、生体内に存在するアクアポリンたんぱく質に作用し、飲水したときのすっきりしたまろやかな感じが得られ、かつ細胞膜への吸収性を高めた還元水とすることができる。また、血液中の酸素量の増大、血液粘度の減少をもたらすことができる。
【0014】
本発明に係る還元水を飲用した後、血流モニターによる人体の毛細血管の直接顕微鏡観察により、血管の脈動が大きくなり、かつ血流の速さが増大することが確かめられている。
【0015】
さらに本発明によれば、得られた水の還元作用により、水の防腐、防酸化が達成され、また、各種防錆の用途にも利用できるなど種々の効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施例に係る還元水生成方法を説明するための模式図であって、水の2分子(同図(a))に対してその水素結合を切った後の仮想粒子の生成(同図(b))およびアクアポリンたんぱく質を通過する状態(同図(c))を模型的に示した図である。
図2】本発明の実施例に係る還元水生成装置の一部裁断した拡大縦断面図である。
図3】本発明に係る実際の還元水生成装置の一例を示す側面図である。
図4図3に示す還元水生成装置の上面図である。
図5】本発明の実施例に係る還元水生成装置の横断面を示す図であって、図3のV-V線に沿った断面図である。
図6】本発明を適用しない通常の水道水に対して測定した酸化還元電位の時間経過(日数)による推移を示した図である。
図7】本発明を適用して得られた還元水に対して測定した酸化還元電位の時間経過(日数)による推移を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明を、各種の実施例について、図面を参照して説明する。
まず、本発明で指摘した仮想粒子について、その概要を説明する。この粒子は1個の陽子(+)と電子(-)とから成るが、水素原子は構成されていない。また、その特性としては還元性の性質をもっている。通常の水(H2 O)は何分子かの集合体の形態で存在していると考えられているが、この水を147メガパスカルの高圧にさらすことにより、水の分子の水素結合が切れてH(+)とe(-)から成る仮想粒子が形成され、分子配列が粗となった「細かい水」が生成される。この細かい水を本発明では還元水あるいは活性水と称している。この還元水は水素原子を有せず、陽子(+)と電子(-)から成り、粒子としての機能を有し、またテラヘルツ等の電磁波を放射している。この点で「粒子波水」と称することもできる。
【0018】
図1(a)は水の2分子を模型的に示したものであり、この2分子の水素結合を切った状態で同図(b)のようにH(+)の陽子とe(-)の電子から成る仮想粒子(インフォトン、登録商標)が生成される。仮想粒子が生成された水は、生体の細胞膜を形成するアクアポリンたんぱく質(直径10億分の1mmのオーダ)を通過することができるとされている(図1(c))。
なお、上述した(+)、(-)の記号は本明細書文書の記載入力上、図1(b)に示す如く、一般に上肩付きの小形記号で表されるものである。
【0019】
本発明は水の高圧処理で得られたこの仮想粒子を、還元水の被処理媒体であるクリスタル球に伝達~転写し、この仮想粒子で処理されたクリスタル球を還元水生成対象水に浸漬させることにより「細かい水」である本発明に係る還元水を生成するものである。

【0020】
上述した「細かい水」は生体の各細胞に入りやすく、これによって種々の効果が発揮される。例えばこの水を飲用することにより、美容上の効果、みずみずしい肌となり、また血液中の酸素量が増加(10%up)することが判明している。そのほか、実際の経験でも飲用してまろやかな感じが得られ、水の吸収がよくなることが判明している。このようにして本発明においては、水を147メガパスカルで加圧して仮想粒子を発生させた水中にクリスタル球を投入して該クリスタル球に前記仮想粒子を転写し、このクリスタル球を還元水生成対象水に浸漬することで本発明に係る還元水を得ることとしている。
【0021】
次に、本発明の実施例に係る還元水生成装置について説明する。図2は本発明の実施例に係る還元水生成装置10の一部裁断した拡大縦断面図であり、図3は本発明に係る実際の還元水生成装置10の一例を示す側面図である。この実施例では、ステンレス製の筒体1および上下の端板2,3で全体の外殻が構成されている。筒体1の外周面にはその全周にわたって複数個の通孔5が形成されている。筒体1の上下面はそれぞれ上側端板2および下側端板3によって閉塞されている。具体的には、図2に示すように、これらの端板2,3は、筒体1の外径よりやや大径のフランジ状で、かつ筒体1に対しインローの形態で嵌合する形状を有し、また、その上側および下側の端板2、3の中心には後述する長尺雄ねじ部材6を挿通するための貫通孔7、15を有している。後述するように、長尺雄ねじ部材6は筒体1を貫通して上側および下側の端板2、3を連結する機能を有する。
【0022】
長尺雄ねじ部材6は、この実施例では外径が略3mmで、先端部分にねじ部11が形成され、下端部にはドライバ係合溝(十字溝または直径溝)をもつ頭部8が形成されている。長尺雄ねじ部材6は下側端板3から筒体の中心を貫通し、そのねじ部先端は上側端板2から上方へ突出し、突出したねじ部先端に吊りボルト9の下端部が螺着されている。吊りボルト9の下端部はねじ孔が形成され、かつ上側端板2に接当している。下側端板3から筒体1を貫通して上側端板2から突出した長尺雄ねじ部材6に対して吊りボルト9を螺合させて締め付けることにより、上側端板2および下側端板3は筒体1の上下端部に圧接され、これによって筒体1の上下部は閉塞される。
【0023】
筒体1を後述するように水槽容器内に設置した時に長尺雄ねじ部材6の下端の頭部8が下側の端板3から突出して筒体1が不安定にならないように下側端板3の中心孔は座ぐり孔13となっており、長尺雄ねじ部材6の頭部8が下側端板3の座ぐり孔に収容されて端板下面から突出しないようになっている。
【0024】
筒体1に対して上下の端板2,3を組み付けするに先立ち、筒体内には多数のクリスタル球12が収納、充填される。クリスタル球12は筒体周面の通孔5よりも大径であり、筒体1の通孔5から転出しないようになっている。クリスタル球12は予め水を147メガパスカルの圧力で加圧して仮想粒子(図1参照)を発生させた水槽の水に浸漬することにより、クリスタル球12の表面に前記仮想粒子が転写されている。
【0025】
クリスタル球12の大きさは、収容する容器(筒体1)の容量にも依るが、実施例の筒体の場合、筒体1の外径Dが50mmで、筒体1の高さ(軸線方向長さ)Hが145mmのとき、外径が略10.5mmの球体となっている。なお、筒体1を構成する鋼板の厚みは約1mmである。筒体1に充填されるクリスタル球12の個数は上述の筒体容積によって、また収容するクリスタル球12の大きさ、個数によっても変わるが、上述の筒体形状のとき、即ち筒体1の容積が285立方cmの場合、クリスタル球の個数は略220個である。筒体1の外周面に形成される通孔5の孔径および配列ピッチも、筒体1の大きさおよび収容するクリスタル球の外径にも依存するが、実施例の筒体1の場合、通孔5の孔径は略3mm程度、配列ピッチPは横方向に略7mmとし、横列どおしの上下配列ピッチLは概ね8mmとするのが適切である。なお、実施例の場合は、通孔5は底面に対し略60°の角度方向に略7mmの配列ピッチで形成されている。
【0026】
本発明において、筒体の構造は上述した形態に限るものでなく、有底の容器で外側面に多数の通孔が形成され、かつ上面が蓋体で閉塞された構造のものであってもよい。このような容器形態の構造で内部に仮想粒子が転写された小形塊状部材が収容された構成のものとすることもできる。この小形塊状部材は上述した実施例ではクリスタル球としている。
【0027】
上述した仮想粒子を転写した球体を収容した通孔をもつ還元水生成器は還元水生成対象水を収容した容器や水槽に投入し、還元水生成対象水に還元水生成器全体を浸漬する。浸漬時間は前記容器の生成対象水の容量が3リットルであるときには1.5日~3日、前記容器の生成対象水の容量が6リットルであるときは浸漬時間を3~6日とするのが良い。
【0028】
図6図7は非還元水である一般の水道水と、本発明に係る還元水について酸化還元電位の時間経過による推移を示したものである。酸化還元電位は酸化還元電位計のプローブを、容器に収容した測定対象水に投入して測定した。実験では対象水に浸した状態で4~5日継続的に測定し、その経過時間の電位変化を記録した。これらの図で、横軸は測定経過時間(日数)を示し、縦軸には酸化還元電位の測定値(mV)を示している。これらのデータからも明らかに、非還元水の水道水では電位は図6のように経過日数とともにやや下がりぎみではあるものの、全体としては殆ど変化がないが、本発明により得られた還元水では、当初急激に電位が上昇した後、測定開始30分後から酸化還元電位が下がり始め、測定開始から2日後に大きく電位が低下し、その後継続的に電位が下がっていくのが見てとれる。この実施例では、測定日数全体で本発明の還元水は酸化還元電位は820mVから約380mV程度まで低下している。
【0029】
上記の実測データから本発明に係る還元水は生成した後、時間の経過とともに何らかの化学変化が生じていることが想定される。また、用いた水に対して仮想粒子の転写がなされて、還元水の生成が実現されていることが確認できる。
以上説明したように本発明においては、「細かい水」の還元水を得るのに電極の通電や触媒の投与などは不要であり、還元水生成器のメンテナンスも極めて簡単であるなど、大きな利点がある。
【符号の説明】
【0030】
1 筒体
2 上側端板
3 下側端板
5 通孔
長尺雄ねじ部材(連結軸)
8 長尺雄ねじ部材の頭部
9 吊りボルト
10 還元水生成装置
11 長尺雄ねじ部材の頭部
12 クリスタル球



図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7