IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社アモーレパシフィックの特許一覧

特許7159306乳酸菌由来の細胞外ベシクルを含む免疫調節用組成物
<>
  • 特許-乳酸菌由来の細胞外ベシクルを含む免疫調節用組成物 図1
  • 特許-乳酸菌由来の細胞外ベシクルを含む免疫調節用組成物 図2a
  • 特許-乳酸菌由来の細胞外ベシクルを含む免疫調節用組成物 図2b
  • 特許-乳酸菌由来の細胞外ベシクルを含む免疫調節用組成物 図3
  • 特許-乳酸菌由来の細胞外ベシクルを含む免疫調節用組成物 図4
  • 特許-乳酸菌由来の細胞外ベシクルを含む免疫調節用組成物 図5
  • 特許-乳酸菌由来の細胞外ベシクルを含む免疫調節用組成物 図6
  • 特許-乳酸菌由来の細胞外ベシクルを含む免疫調節用組成物 図7
  • 特許-乳酸菌由来の細胞外ベシクルを含む免疫調節用組成物 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-14
(45)【発行日】2022-10-24
(54)【発明の名称】乳酸菌由来の細胞外ベシクルを含む免疫調節用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/747 20150101AFI20221017BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20221017BHJP
   A61K 8/99 20170101ALI20221017BHJP
   A61K 35/74 20150101ALI20221017BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20221017BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20221017BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20221017BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20221017BHJP
   C12N 1/20 20060101ALN20221017BHJP
【FI】
A61K35/747
A23L33/135
A61K8/99
A61K35/74 G
A61P17/02
A61P29/00
A61P37/06
A61Q19/00
C12N1/20 E
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020521584
(86)(22)【出願日】2018-10-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-14
(86)【国際出願番号】 KR2018011787
(87)【国際公開番号】W WO2019088478
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2021-08-04
(31)【優先権主張番号】10-2017-0143640
(32)【優先日】2017-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【微生物の受託番号】KCCM  KCCM11179P
(73)【特許権者】
【識別番号】506213681
【氏名又は名称】アモーレパシフィック コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】AMOREPACIFIC CORPORATION
【住所又は居所原語表記】100, Hangang-daero, Yongsan-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョ, ウン ギョン
(72)【発明者】
【氏名】キム, ワン イル
(72)【発明者】
【氏名】イ, テ リョン
【審査官】原口 美和
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/144139(WO,A2)
【文献】特表2014-516567(JP,A)
【文献】BMC Microbiology,2017年,Vol. 17, No. 66,pp. 1-8
【文献】The FASEB Journal,2015年,Vol. 29,pp. 684-695
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 35/747
A23L 33/135
A61K 8/99
A61K 35/74
A61P 17/02
A61P 29/00
A61P 37/06
A61Q 19/00
C12N 1/20
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳酸菌由来の細胞外ベシクルを有効成分として含み、
M2型大食細胞への分化を誘導し、
M1型大食細胞への分化を抑制し、
前記乳酸菌は、寄託番号がKCCM11179Pであるラクトバチルス・プランタルムAPsulloc 331261である、
免疫調節用組成物。
【請求項2】
前記細胞外ベシクルは、エクソソームである、請求項1に記載の免疫調節用組成物。
【請求項3】
前記細胞外ベシクルは、20~200nmの直径を有する、請求項1又は2に記載の免疫調節用組成物。
【請求項4】
当該組成物は、M2型大食細胞分化マーカーであるCCL19、CCL20、及びVEGFAからなる群より選択される1以上の発現を増加させる、請求項1~のいずれか一項に記載の免疫調節用組成物。
【請求項5】
当該組成物は、M1型大食細胞分化マーカーであるCCR2、SOCS3、及びHLA-DRαからなる群より選択される1以上の発現を低減させる、請求項1~のいずれか一項に記載の免疫調節用組成物。
【請求項6】
当該組成物は、化粧料組成物である、請求項1~のいずれか一項に記載の免疫調節用組成物。
【請求項7】
当該組成物は、食品組成物である、請求項1~のいずれか一項に記載の免疫調節用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では乳酸菌由来の細胞外ベシクルを有効成分として含む免疫調節用組成物が開示される。
【背景技術】
【0002】
ほとんどの動物細胞は、多様な大きさと成分を有する細胞内起源の細胞外ベシクル(extracellular vesicle)を分泌できる能力を持っており、このような細胞外ベシクルは、血液、小便、唾液、及び細胞培養液を含むすべての生物学的流体(biological fluids)から発見される。原核細胞または真核細胞も細胞外ベシクルを分泌するものと知られている。
【0003】
細胞外ベシクルは、小さくは直径約20nmから大きくは直径約5μmの大きさを有する膜構造小胞体であって、その大きさと構成において異質性があり、エクソソーム(exosome、約20~100nm)、エクトソーム(ectosome)、マイクロ小胞(microvesicle、約100~1,000nm)、マイクロ粒子(microparticle)、アポトーシス小体(apoptotic body、約1~5μm)などの多数の相違する種を含む。
【0004】
前記細胞外ベシクルの相違する類型は、その起源、直径、スクロース(sucrose)での密度、形状、沈降速度、脂質組成物、タンパク質マーカー又は分泌方式(すなわち、シグナル(誘導性)によるものか、自発的(構成的)なものであるのか)などに基づいて区別される。例えば、マイクロ小胞は、約100~1,000nmの不規則な形状を有する膜小胞であって円形質膜の外方に向けて出芽(円形質膜から起源)され、インテグリン、セレクチン、CD40リガンドなどを含むマーカー、ホスファチジルセリンを含むリン脂質を有するものと知られている。一方、エクソソームは、約20~100nm(<200nm)のカップ形状を有する最も小さい膜小胞であって、後期エンドソームの内方から出芽(エンドソームから起源)され、一般的に、CD63、CD9のテトラスパニン、TSG101、ESCRTを含むマーカー、コレステロール、スフィンゴミエリン、セラマイド、ホスファチジルセリンを含む脂質を有するものと知られている。
【0005】
このような細胞外ベシクルは、分泌する起源細胞(ドナー細胞)の状態を反映し、どのような細胞から分泌したものであるかに応じて種々の生物学的活性を示し、細胞間で遺伝物質やタンパク質を移しながら細胞間コミュニケーション(cell-to-cell communication)に重要な役割を果たす。
【0006】
一方、人体に有益な代表的な微生物である乳酸菌は、ブドウ糖又は乳糖のような糖を分解して乳酸や酢酸のような有機酸を生成する菌である。乳酸菌は、糖から有機酸を作り出す発酵過程を経て発酵乳、チーズ、バターのような発酵食品を製造するのに用いられているが、乳酸菌由来の複合生理活性物質である細胞外ベシクルの免疫調節効能については開示されたことがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国公開特許第10-2017-0109822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一側面において、本明細書は、乳酸菌由来の複合生理活性物質である細胞外ベシクルを有効成分として含む免疫調節用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一側面において、本明細書は、乳酸菌由来の細胞外ベシクルを有効成分として含む免疫調節用組成物を提供する。
【0010】
例示的な一具現例において、前記乳酸菌は、ラクトバチルス(Latobacillus)属の菌株であってよい。
【0011】
例示的な一具現例において、前記ラクトバチルス属の菌株は、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)であってよい。
【0012】
例示的な一具現例において、前記ラクトバチルス・プランタルムは、寄託番号がKCCM11179Pであるラクトバチルス・プランタルムAPsulloc 331261であってよい。
【0013】
例示的な一具現例において、前記細胞外ベシクルは、エクソソームであってよい。
【0014】
例示的な一具現例において、前記細胞外ベシクルは、20~200nmの直径を有するものであってよい。
【0015】
例示的な一具現例において、当該組成物は、M2類型大食細胞への分化を誘導するものであってよい。
【0016】
例示的な一具現例において、当該組成物は、M2型大食細胞分化マーカーであるCCL19、CCL20、及びVEGFAからなる群より選択される1以上の発現を増加させるものであってよい。
【0017】
例示的な一具現例において、当該組成物は、M1型大食細胞分化マーカーであるCCR2、SOCS3、及びHLA-DRαからなる群より選択される1以上の発現を低減させるものであってよい。
【0018】
例示的な一具現例において、当該組成物は、化粧料組成物であってよい。
【0019】
例示的な一具現例において、当該組成物は、食品組成物であってよい。
【発明の効果】
【0020】
一側面において、本明細書に開示された技術は、乳酸菌由来の複合生理活性物質である細胞外ベシクルを有効成分として含む免疫調節用組成物を提供する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本明細書の一実施例で乳酸菌から細胞外ベシクルを分離する過程を段階毎に示した図である。
図2a】本明細書の一試験例による乳酸菌由来の細胞外ベシクルの透過電子顕微鏡の撮像結果を示した図である。
図2b】本明細書の一試験例による乳酸菌由来の細胞外ベシクルの大きさの測定結果を示した図である。
図3】本明細書の一試験例による乳酸菌由来の細胞外ベシクルを皮膚線維芽細胞に処理した後に細胞増殖及び細胞毒性に及ぼす影響を測定した結果を示した図である(**;p<0.01)。
図4】本明細書の一試験例による乳酸菌由来の細胞外ベシクルが未分化大食細胞に及ぼす影響を確認した結果を示した図である。
図5】本明細書の一試験例による乳酸菌由来の細胞外ベシクルが未分化大食細胞に及ぼす影響を確認した結果を示した図である。
図6】本明細書の一試験例による乳酸菌由来の細胞外ベシクルがM1型大食細胞マーカーの発現量に及ぼす影響を確認した結果を示した図である。
図7】本明細書の一試験例による乳酸菌由来の細胞外ベシクルと乳酸菌細胞が兔疫細胞に及ぼす影響を比較した結果を示した図である。
図8】本明細書の一試験例による乳酸菌由来の細胞外ベシクルと乳酸菌細胞が細胞毒性に及ぼす影響を比較した結果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明について詳しく説明する。
【0023】
一側面において、本明細書は、乳酸菌由来の細胞外ベシクルを有効成分として含む免疫調節用組成物を提供する。
【0024】
他の側面において、本明細書は、免疫調節に有効な量の乳酸菌由来の細胞外ベシクルを、これを必要とする対象に適用することを含む免疫調節方法を提供する。
【0025】
他の側面において、本明細書は、対象の免疫調節のための乳酸菌由来の細胞外ベシクルを提供する。
【0026】
他の側面において、本明細書は、対象の免疫調節のための乳酸菌由来の細胞外ベシクルの非治療的用途を提供する。
【0027】
他の側面において、本明細書は、免疫調節用組成物を製造するための乳酸菌由来の細胞外ベシクルの用途を提供する。
【0028】
例示的な一具現例において、前記乳酸菌由来の細胞外ベシクルは、組成物、例えば、化粧料組成物、薬学組成物又は食品組成物の形態で対象に適用し、又は投与し、又は塗布するものであってよい。
【0029】
例示的な一具現例において、前記乳酸菌由来の細胞外ベシクルは、対象の皮膚に適用するものであってよい。
【0030】
例示的な一具現例において、前記免疫調節は、M2型大食細胞の数を増加させ、且つM1型大食細胞の数を低減させることであってよい。
【0031】
本明細書において「有効成分」とは、単独で目的とする活性を示す、又はそれ自体は活性のない担体などと共に用いられて目的とする活性を示し得る、成分のことを意味する。
【0032】
例示的な一具現例において、前記乳酸菌は、ラクトバチルス(Latobacillus)属の菌株であってよい。
【0033】
例示的な一具現例において、前記ラクトバチルス属の菌株は、免疫調節効能及びエクソソームを含む細胞外ベシクルの収率増加の面から、好ましくは、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)であってよい。ラクトバチルス・プランタルムは、優れた免疫調節効能及びエクソソーム収得効率を提供する効果がある。
【0034】
例示的な一具現例において、前記ラクトバチルス・プランタルムは、寄託番号がKCCM11179Pであるラクトバチルス・プランタルムAPsulloc 331261であってよい。
【0035】
本明細書において「細胞外ベシクル」とは、細胞から分泌して細胞外の空間に放出されたベジクルのことを意味し、脂質二重膜によって内部と外部とが仕切られた膜構造小胞体を意味する。細胞外ベシクルは、細胞膜脂質(plasma membrane lipid)と細胞膜タンパク質(plasma membrane protein)、核酸(nucleic acid)、細胞質成分などを有していて細胞の性質や状態を間接的に把握できるようにし、他の細胞又は組織に結合して膜構成要素、mRNAs、miRNAs、タンパク質(成長ホルモン、サイトカインなど)などを伝達し、これらの伝達物質を受容細胞に伝達することで細胞間コミュニケーションを媒介する細胞外伝達体として作用する。
【0036】
例示的な一具現例において、前記細胞外ベシクルは、乳酸菌培養液から分離したものであってよい。
【0037】
例示的な一具現例において、前記細胞外ベシクルは、乳酸菌培養液の100,000xg以上、具体的に、100,000~200,000xg、又は100,000~150,000xg、又は150,000~200,000xgの超遠心分離で沈降するものであってよい。
【0038】
例示的な一具現例において、前記細胞外ベシクルは、20~500nmの直径を有するものであってよい。他の側面において、前記細胞外ベシクルは、20nm以上、30nm以上、40nm以上、50nm以上、60nm以上、70nm以上、80nm以上、90nm以上、又は100nm以上、且つ、500nm以下、450nm以下、400nm以下、350nm以下、300nm以下、250nm以下、200nm以下、150nm以下、又は100nm以下の直径を有するものであってよい。
【0039】
例示的な一具現例において、前記細胞外ベシクルは、20~200nmの直径を有するものであってよい。
【0040】
例示的な一具現例において、前記直径は平均直径を意味することであってよい。
【0041】
例示的な一具現例において、前記細胞外ベシクルは、エクソソームであってよい。
【0042】
例示的な一具現例において、前記細胞外ベシクルは、例えば、標的細胞で所望の機能を効率的に遂行できるように膜成分が化学的又は物理的に変形されたものであってよい。例えば、細胞外ベシクルの膜成分がチオール基(-SH)又はアミン基(-NH)を用いて化学的な方法にて変形され、又は細胞外ベシクルに標的誘導物質、細胞膜融合物質、ポリエチレングリコールを化学的に結合させて膜成分が化学的に変形されたものであってよい。
【0043】
例示的な一具現例において、前記細胞外ベシクルは、遠心分離(centrifugation)、超遠心分離(ultracentrifugation)、分画遠心分離(Differential Centrifugation)、等密度遠心分離(Equilibrium Density Centrifugation)、密度勾配(density gradient)、ろ過(filtration)、透析(dialysis)、及びフリーフロー電気泳動(free-flow electrophoresis)からなる群より選択される一つ以上の方法を用いて分離することができるが、細胞外ベシクルの分離方法がこれらに制限されるものではない。
【0044】
密度勾配は、密度の異なる物質を分離するときに最も多用される方法であって、該方法の具体的な例としては、フィコール(ficoll)、グリセロール(glycerol)、スクロース(sucrose)、塩化セシウム(cesium chloride)、イオジキサノール(iodixanol)などの密度勾配分離材料を用いて実施することができるが、これらに制限されるものではない。一側面において、密度勾配は、超遠心分離などとともに用いられてよい。他の側面において、細胞外ベシクルを選別するためにゲルろ過(gel filtration)又は限外ろ過(ultrafiltration)を用いることができる。また他の側面において、サイズの小さい分子を除去するために、ろ過に代えて透析を用いることができる。また他の側面において、フリーフロー電気泳動を用いることができる。
【0045】
例示的な一具現例において、(1)乳酸菌培養液を遠心分離して上澄液を収得する段階;(2)前記収得された上澄液をろ過する段階;及び(3)前記収得されたろ過物を超遠心分離して沈殿物を収得する段階;を含んで有効な活性を示す前記乳酸菌由来の細胞外ベシクルを製造することができる。
【0046】
例示的な一具現例において、前記段階(1)における遠心分離は、1,000~20,000xg、又は1,500~20,000xg、又は1,500~15,000xg、又は1,500~10,000xgで30~60分間実施してよい。このとき、前記遠心分離は、速度又は時間を変化させて段階的に実施してもよい。例えば、1,500~2,000xgで低速にて遠心分離して培養液から乳酸菌の菌株を分離及び除去し、細胞と上澄培養液とを分離した後、10,000~20,000xgで高速にて遠心分離して、さらに細胞又は細胞関連残骸及び残余物などを除去してよい。
【0047】
例示的な一具現例において、前記段階(2)におけるろ過は、0.3~0.5μmの大きさのフィルタで行なってよい。前記ろ過工程を通じて遠心分離された培養液の純度を高めることができる。
【0048】
例示的な一具現例において、前記段階(3)における超遠心分離は、100,000xg以上、具体的に、100,000~200,000xg、又は100,000~150,000xg、又は150,000~200,000xgで1~5時間実施してよい。
【0049】
例示的な一具現例において、前記段階(3)の後、(4)前記収得された沈殿物を懸濁する段階をさらに含んでよい。
【0050】
例示的な一具現例において、前記乳酸菌由来の細胞外ベシクル、又はこれを含む組成物は、M2型大食細胞への分化を誘導するものであってよい。M2型大食細胞は、新しい血管を作って傷を復旧し且つ組織を再構成する役割を果たす。よって、本明細書に係る乳酸菌由来の細胞外ベシクルを有効成分として含む組成物は、皮膚再生効果を有するものであってよい。
【0051】
例示的な一具現例において、前記乳酸菌由来の細胞外ベシクル、又はこれを含む組成物は、対象体においてM2型大食細胞の数を増加させるものであってよい。
【0052】
例示的な一具現例において、前記乳酸菌由来の細胞外ベシクル、又はこれを含む組成物は、対象体においてM1型大食細胞の数を低減させるものであってよい。
【0053】
例示的な一具現例において、前記乳酸菌由来の細胞外ベシクル、又はこれを含む組成物は、M2型大食細胞分化マーカーであるCCL19、CCL20、及びVEGFAからなる群より選択される1以上の発現を増加させるものであってよい。
【0054】
例示的な一具現例において、前記乳酸菌由来の細胞外ベシクル、又はこれを含む組成物は、M1型大食細胞分化マーカーであるCCR2、SOCS3、及びHLA-DRαからなる群より選択される1以上の発現を低減させるものであってよい。
【0055】
例示的な一具現例において、当該組成物は、凍結乾燥された剤形であってよい。前記組成物は、すぐに使える(ready-to-use)ように封止された包装材又は包装容器に入れられた凍結乾燥された剤形であってよい。
【0056】
他の側面において、本明細書は、乳酸菌由来の細胞外ベシクルを有効成分として含み、凍結乾燥された剤形を有する組成物;及び滅菌水又は精製水を含む免疫調節用キットを提供する。前記キットは、すぐに使える(ready-to-use)ように封止された包装材又は包装容器に入れられたものであってよい。
【0057】
例示的な一具現例において、当該組成物は、化粧料組成物であってよい。
【0058】
前記化粧料組成物には、有効成分の他、機能性添加物及び一般的な化粧料組成物に含まれる成分がさらに含まれていてよい。前記機能性添加物としては、水溶性ビタミン、油溶性ビタミン、高分子ペプチド、高分子多糖、スフィンゴ脂質及び海草エキスからなる群より選択された成分を含んでいてよい。その他含まれる配合成分としては、油脂成分、保湿剤、エモリエント剤、界面活性剤、有機及び無機顔料、有機粉体、紫外線吸収剤、防腐剤、殺菌剤、酸化防止剤、植物抽出物、pH調整剤、アルコール、色素、香料、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、精製水などが挙げられる。
【0059】
前記化粧料組成物は、その剤形が特に限定されず、目的とするところに応じて適宜選択すればよい。例えば、粉体、スキンローション、スキンソフナー、スキントナー、アストリンゼント、ローション、ミルクローション、モイスチャーローション、栄養ローション、マッサージクリーム、栄養クリーム、モイスチャークリーム、ハンドクリーム、ファウンデーション、エッセンス、栄養エッセンス、パック、シャンプ、石鹸、クレンジングフォーム、クレンジングローション、クレンジングクリーム、ボディーローション、及びボディークレンザーからなる群より選択されたいずれか一つ以上の剤形で製造されてよいが、これらに制限されるものではない。
【0060】
本発明の剤形がペースト、クリーム、又はゲルの場合は、担体成分として、動物繊維、植物繊維、ワックス、パラフィン、澱粉、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、シリカ、タルク、又は酸化亜鉛などが用いられてよい。
【0061】
本発明の剤形がパウダー又はスプレーの場合は、担体成分として、ラクトース、タルク、シリカ、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、又はポリアミドパウダーが用いられてよく、特にスプレーである場合は、さらに、クロロフルオロハイドロカーボン、プロパン/ブタン、又はジメチルエーテルのような推進剤を含んでいてよい。
【0062】
本発明の剤形が溶液又は乳濁液の場合は、担体成分として、溶媒、溶媒和剤、又は乳濁化剤が用いられ、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、エチルカーボネート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチルグリコールオイル、グリセロール脂肪族エステル、ポリエチレングリコール、又はソルビタンの脂肪酸エステルがある。
【0063】
本発明の剤形が懸濁液の場合は、担体成分として、水、エタノール、又はプロピレングリコールのような液状希釈剤、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステル、及びポリオキシエチレンソルビタンエステルのような懸濁剤、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天、又はトラガカントなどが用いられてよい。
【0064】
本発明の剤形が界面活性剤含有クレンジングの場合は、担体成分として、脂肪族アルコールスルフェート、脂肪族アルコールエーテルスルフェート、スルホサクシネートモノエステル、イセチオン酸、イミダゾリウム誘導体、メチルタウレート、サルコシネート、脂肪酸アミドエーテルスルフェート、アルキルアミドベタイン、脂肪族アルコール、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ジエタノールアミド、植物性油、ラノリン誘導体、又はエトキシル化グリセロール脂肪酸エステルなどが用いられてよい。
【0065】
本発明の剤形が石鹸の場合は、担体成分として、脂肪酸のアルカリ金属塩、脂肪酸ヘミエステル塩、脂肪酸タンパク質加水分解物、イセチオネート、ラノリン誘導体、脂肪族アルコール、植物性油、グリセロール、糖などが用いられてよい。
【0066】
例示的な一具現例によると、当該組成物は、薬学組成物であってよい。
【0067】
前記薬学組成物は、有効成分の他、防腐剤、安定化剤、水和剤又は乳化促進剤、浸透圧調節のための塩及び/又は緩衝剤などの薬剤学的補助剤、並びにその他治療的に有用な物質をさらに含有していてよく、通常的な方法に従い多様な経口投与剤又は非経口投与剤の形態で剤形化してよい。
【0068】
前記経口投与剤は、例えば、錠剤、丸剤、硬質及び軟質カプセル剤、液剤、懸濁剤、乳化剤、シロップ剤、粉剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、ペレット剤などがあり、これらの剤形は、有効成分の他、界面活性剤、希釈剤(例:ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロース及びグリシン)、滑沢剤(例:シリカ、タルク、ステアリン酸及びそのマグネシウム又はカルシウム塩、並びにポリエチレングリコール)を含有していてよい。錠剤は、さらに、マグネシウムアルミニウムシリケート、澱粉ペースト、ゼラチン、トラガカンス、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース及びポリビニルピロリジンといった結合剤を含有していてよく、場合に応じて、澱粉、寒天、アルギン酸又はそのナトリウム塩といった崩解剤、吸収剤、着色剤、香味剤、及び甘味剤などの薬剤学的添加剤を含有していてよい。前記錠剤は、通常の混合、顆粒化又はコーティング方法によって製造されてよい。
【0069】
また、前記非経口投与の形態としては、経皮投与型剤形であってよく、例えば、注射剤、点滴剤、軟膏、ローション、ゲル、クリーム、スプレー、懸濁剤、乳剤、坐剤、パッチなどの剤形であってよいが、これらに制限されるものではない。
【0070】
前記有効成分の投与量の決定は、通常の技術者の水準内にあり、薬物の1日投与量は、投与しようとする対象の進行程度、発病時期、年齢、健康状態、合併症などの多様な要因に応じて異なり得るが、成人を基準としたとき、一側面において、前記組成物1μg/kg~200mg/kg、他の一側面において、50μg/kg~50mg/kgを1日に1回~3回分けて投与してよく、前記投与量は、如何なる方法であっても本発明の範囲を限定するものではない。
【0071】
前記薬学組成物は皮膚外用剤であってよく、前記皮膚外用剤は、外皮に塗布されるものであればいずれも含み得る組成物の総称であって、多様な剤形の医薬品がこれに含まれ得る。
【0072】
例示的な一具現例によると、当該組成物は、食品組成物であってよい。
【0073】
前記食品組成物は、液状又は固体状態の剤形であってよく、例えば、各種の食品類、飲料、ガム、茶、ビタミン複合剤、健康補助食品類などがあり、粉末、顆粒、錠剤、カプセル、又は飲料の形態で用いられてよい。各剤形の食品組成物は、有効成分の他、当該分野において通常的に用いられる成分を剤形又は使用目的に応じて当業者が困難なく適宜選定して配合してよく、他の原料と同時に適用した場合に相乗効果が奏されることがある。
【0074】
本明細書に開示された有効成分の他に含有し得る液体成分には特に制限点がなく、通常の飲料と同様、種々の香味剤又は天然炭水化物などを追加成分として含んでいてよい。前記天然炭水化物の例としては、ブドウ糖、果糖などの単糖類、マルトース、スクロースなどの二糖類及びデキストリン、シクロデキストリンなどの通常的な糖及びキシリトール、ソルビトール、エリスリトールなどの糖アルコールなどがある。前記香味剤としては、天然香味剤(例えば、ソーマチン、ステビア抽出物、レバウディオサイドA、グリチルリチンなど)及び合成香味剤(例えば、サッカリン、アスパルテームなど)を有利に使用してよい。前記天然炭水化物の割合は、本明細書に開示された組成物100ml当たり一般的に約1~20g、一側面において、約5~12gであってよい。
【0075】
前記食品組成物は、一側面において、種々の栄養剤、ビタミン、鉱物(電解質)、合成風味剤及び天然風味剤などの風味剤、着色剤及び増進剤(チーズ、チョコレートなど)、ペクト酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に用いられる炭酸化剤などを含んでいてよい。他の側面において、天然果物ジュース及び野菜飲料の製造のための果肉を含んでいてよい。これらの成分は、独立して又は組み合わせて用いられてよい。前記添加剤の割合は種々であってよいが、本明細書に開示された組成物100重量部当たり0.001~約20重量部の範囲で選択されるのが一般的である。
【0076】
以下、実施例を通じて見た発明をより詳しく説明することにする。なお、これらの実施例は単に本発明を例示するためのものであるに過ぎず、本発明の範囲がこれらの実施例によって制限されると解釈されないことは当業界における通常の知識を有する者にとって自明であろう。
【0077】
実施例1.乳酸菌由来の細胞外ベシクルの分離
本実施例では、乳酸菌としてラクトバチルス属の菌株を用い、これよりエクソソームを含む細胞外ベシクルを分離した。より具体的に、Lactobacillus plantarum APsulloc 331261(Accession No.:KCCM11179P)strainを用いて乳酸菌由来の細胞外ベシクルを製造した。
【0078】
(段階1)培養したラクトバチルス属の菌株の培養液を、4℃、1,800xgで20分間遠心分離して、培養液からラクトバチルス属の菌株を分離及び除去した。すなわち、低速の遠心分離工程を通じて細胞と培養上澄液とを分離した。
【0079】
(段階2)前記段階1で遠心分離された培養液を、高速遠心分離機を用いて4℃、10,000xgで20分間遠心分離して、更に細胞又は細胞関連の残骸及び残余物などを除去した。
【0080】
(段階3)前記段階2で遠心分離された培養液を、0.45μmのボトルトップフィルタに通してろ過することで、培養液の純度を増加させた。
【0081】
(段階4)前記段階3でろ過した培養液を、4℃、150,000xgで3時間超高速遠心分離して、エクソソームを含む細胞外ベシクルを分離した。
【0082】
(段階5)前記段階4で超高速遠心分離にて上澄液を除去して残ったエクソソームを含む細胞外ベシクルペレット(pellet)を、緩衝溶液(HEPESバッファ)に再懸濁させた。
【0083】
(段階6)前記段階5で緩衝溶液に再懸濁させたエクソソームを含む細胞外ベシクル(EVs)を-70℃で保存し、それを下記の試験に用いた(図1参照)。
【0084】
比較例1.乳酸菌細胞の準備
前記実施例1で用いたLactobacillus plantarum APsulloc 331261(Accession No.:KCCM11179P)strainを用いて乳酸菌細胞を準備し、下記の試験に用いた。すなわち、本比較例に係る乳酸菌細胞は、細胞外ベシクルの分離工程を経らない本来のままの細胞全体を意味する。
【0085】
試験例1.乳酸菌由来の細胞外ベシクル(LEVs)の確認
前記実施例1で分離した乳酸菌由来の細胞外ベシクルを、透過電子顕微鏡(transmission electron microscope)とDLS(Dynamic light scattering)でその形態や大きさを分析した結果、略球形をなし、直径が約20~200nmであることを確認した(図2a及び2b参照)。PDI(polydispersity index)値は異質性指数を示すものであって、分離された細胞外ベシクルは比較的に安定しており且つ同質の分散状態を有することを確認した。分離された細胞外ベシクルの平均直径は、約50~60nm、より具体的に、55.46nmであると示された。
【0086】
試験例2.細胞増殖及び細胞毒性に及ぼす影響
前記実施例1で分離した乳酸菌由来の細胞外ベシクル(0.1~10μg/ml)をヒト線維芽細胞(Hs68)に処理して、細胞増殖及び細胞毒性に及ぼす影響を確認した。
【0087】
具体的に、ヒト線維芽細胞Hs68をCO培養器で培養し、前記実施例1で乳酸菌から分離された細胞外ベシクル0.1μg/ml、1μg/ml、10μg/mlを処理した後、48時間serum-free条件で培養した。陽性対照群には、5ng/mlのTGF-βを処理した。次いで、5% CCK-8溶液が入っている培地に取り替えた後、2時間更に培養し、最終的に450nm波長における吸光度を測定し、細胞増殖及び細胞毒性を対照群と比較して算定した。
【0088】
その結果、図3に示すように、乳酸菌由来の細胞外ベシクルは、細胞増殖に影響を及ぼさず且つ細胞毒性がなくて安全であることを確認した。
【0089】
試験例3.未分化大食細胞に及ぼす影響1
前記実施例1で分離した乳酸菌由来の細胞外ベシクルを、未分化ヒト大食細胞(monocytic THP1)に処理し、また、PMA(phorbol 12-myristate 13-acetate)で分化を誘導して、大食細胞分化マーカーの発現を確認した。
【0090】
具体的に、THP1細胞に48時間にかけて10μg/ml EVと20nM PMAとを同時に或いは個別処理した後、細胞を回収してRNAを精製しcDNAを合成した。100ngのRNAから由来のcDNAをqRT-PCR分析に用い、GAPDH遺伝子で結果値を補正した。
【0091】
その結果、図4に示すように、分離した乳酸菌由来の細胞外ベシクルは、強力な分化誘導剤であるPMAのない状態でも大食細胞分化マーカーであるCD14、ICAM-1の発現をPMA処理条件と類似の程度に誘導し、且つM1のマーカーであるCCR2の発現を低減させ、PMAとの同時処理時にシナジー効果を奏した。すなわち、分離した乳酸菌由来の細胞外ベシクルは、PMAを代替し得る程度に効果的に大食細胞の分化を誘導した。
【0092】
試験例4.未分化大食細胞に及ぼす影響2
前記実施例1で分離した乳酸菌由来の細胞外ベシクルを、未分化ヒト大食細胞(monocytic THP1)に処理して、大食細胞の分化様相を確認した。
【0093】
具体的に、先ず、未分化ヒト大食細胞(monocytic THP1)に20nM PMAを48時間にかけて前処理した。10μg/ml EV或いはM1、M2のそれぞれの分化誘導のためのサイトカイン類を更に48時間にかけて処理した後、M1とM2のそれぞれの代表的な遺伝子発現を比較した。M1分化誘導のためには、20ng/ml IFN-gammaと10pg/ml LPSを処理し、M2分化誘導のためには、20ng/ml interleukin 4(R&D Systems、#204-IL)と20ng/ml interleukin 13(R&D Systems、#213-ILB)を用いた。次いで、各細胞を回収してRNAを精製した後、cDNAを合成した。100ngのRNAから由来のcDNAがqRT-PCR分析に用いられ、GAPDH遺伝子で結果値を補正した。
【0094】
その結果、図5に示すように、分離した乳酸菌由来の細胞外ベシクルを未分化ヒト大食細胞に処理すると、組織損傷回復及び再構成能力のあるM2型のマーカーであるCCL19、CCL20、VEGFAの発現を誘導する反面、M1のマーカーであるSOCS3、HLA-DRαの発現は低減させた。このことから、分離した乳酸菌由来の細胞外ベシクルはM2分化誘導効果を奏することが分かった。
【0095】
試験例5.M1型大食細胞に及ぼす影響
PMA(phorbol 12-myristate 13-acetate)を用いてM1型に分化させた大食細胞に、前記実施例1で分離した乳酸菌由来の細胞外ベシクルを処理して、M1型大食細胞マーカーの発現量を確認した。
【0096】
具体的に、先ず、未分化ヒト大食細胞に20nM PMAを48時間にかけて前処里した後、PMAがある条件(図6の左側グラフ)とない条件(図6の右側グラフ)で次の実験を行った。10μg/ml EV或いはM1誘導性サイトカイン(20ng/ml IFN-gamma、10pg/ml LPS)を選択的に48時間にかけて先に処理した後、次いで、それぞれM1分化誘導性サイトカイン或いはEVを48時間にかけて処理してからサンプルを確保した。細胞を回収してRNAを精製した後にcDNAを合成し、100ngのRNAから由来のcDNAがqRT-PCR分析に用いられ、GAPDH遺伝子で結果値を補正した。EVそれ自体の効果、M1分化誘導抑制効果、M1に分化された細胞の逆方向分化効果を分析した。図6の右側グラフは最初に処理したPMAを除去し同じ実験を行った結果である。
【0097】
その結果、図6に示すように、二つの条件ともM1大食細胞のマーカーであるHLA-DR alphaの発現がEVの事前/事後処理によって低減することが確認できた。このことから、乳酸菌由来の細胞外ベシクルは、単球(monocyte)を大食細胞に分化させることができ、それらのうち組織再生に寄与するM2型への分化を誘導し、分化済みのM1型も脱分化(dedifferentiation)させ得ることを確認した。
【0098】
試験例6.兔疫細胞に及ぼす影響の比較
前記実施例1で分離した乳酸菌由来の細胞外ベシクルと比較例1で準備した乳酸菌細胞とが兔疫細胞に及ぼす影響を比較した。
【0099】
具体的に、THP1細胞の活性に及ぼす影響を分析するために、同じ量の乳酸菌由来の細胞外ベシクルと乳酸菌を処理した。細胞を回収してRNAを精製した後にcDNAを合成した。100ngのRNAから由来のcDNAがqRT-PCR分析に用いられ、GAPDH遺伝子で結果値を補正した。
【0100】
その結果、図7に示すように、同じ量の乳酸菌由来の細胞外ベシクルが、乳酸菌細胞自体に比べ、兔疫細胞の分化関連遺伝子の発現を誘導し又は抑制する能力に優れ又は類似した結果を示した。
【0101】
試験例7.細胞毒性の比較
前記実施例1で分離した乳酸菌由来の細胞外ベシクルと比較例1で準備した乳酸菌細胞とが細胞毒性に及ぼす影響を比較した。
【0102】
具体的に、ヒト線維芽細胞Hs68を5% CO培養器で37℃で培養し、実施例1で分離した乳酸菌由来の細胞外ベシクルと比較例1で準備した乳酸菌細胞とをそれぞれ1~20μg/mlで72時間処理した。次いで、上澄液を回収してLDH活性を測定した。細胞毒性はPierce TM LDH Cytotoxicity Assay Kitを用いてメーカの指示に従い測定した。
【0103】
その結果、図8に示すように、乳酸菌由来の細胞外ベシクルは、高い濃度で処理したときに、乳酸菌細胞だけを用いる場合に比べて細胞毒性を顕著に緩和させており、所定の濃度以上で処理したときに細胞毒性から細胞を保護する効果に優れることを確認した。
【0104】
以下、本明細書の一側面に係る組成物の剤形例について説明するが、他の種々の剤形への応用も可能であり、これは、本発明を限定するためのものではなく単に具体的に説明するためのものである。
【0105】
[剤形例1]軟膏
下記の表1に記載の組成に従い通常の方法にて軟膏を製造した。
【0106】
【表1】
【0107】
[剤形例2]美容液型製剤
下記の表2に記載の組成に従い通常の方法にて美容液型製剤を製造した。
【0108】
【表2】
【0109】
[剤形例3]ローション
下記の表3に記載の組成に従い通常の方法にてローションを製造した。
【0110】
【表3】
【0111】
[剤形例4]クリーム
下記の表4に記載の組成に従い通常の方法にてクリームを製造した。
【0112】
【表4】
【0113】
[剤形例5]パック
下記の表5に記載の組成に従い通常の方法にてパックを製造した。
【0114】
【表5】
【0115】
以上、本発明内容の特定の部分を詳しく記述したがが、当業界における通常の知識を有する者にとって、このような具体的な技術は単に好ましい実施態様であるに過ぎず、これらによって本発明の範囲が制限されるものではない点は明白であろう。したがって、本発明の実質的な範囲は添付の請求項とそれらの等価物によって定義されるといえよう。
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6
図7
図8