(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-14
(45)【発行日】2022-10-24
(54)【発明の名称】送信機及びその作動方法
(51)【国際特許分類】
H04B 1/04 20060101AFI20221017BHJP
【FI】
H04B1/04 A
(21)【出願番号】P 2020534942
(86)(22)【出願日】2018-03-21
(86)【国際出願番号】 US2018023446
(87)【国際公開番号】W WO2019182574
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2021-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】593096712
【氏名又は名称】インテル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ベリッツァー,アレクサンダー
【審査官】後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0181995(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/04
H03F 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信機であって:
少なくとも2つのバス・ラインを備えるバス・システム;
前記少なくとも2つのバス・ラインに結合される包絡線追跡回路;及び
複数の電力増幅器;
を備え、
前記バス・ラインの数は前記複数の電力増幅器の数より少なく、前記複数の電力増幅器のうちの少なくとも第1のものは、アクティブ状態にある間に、前記複数の電力増幅器のうちの前記第1のものにより受信された第1無線周波数信号に関連する第1ベースバンド信号の包絡線に基づくものである電源電圧又はバイアス信号が前記包絡線追跡回路により供給される前記少なくとも2つのバス・ラインのうちの1つに、入力を選択的に結合するように構成されている、送信機。
【請求項2】
前記複数の電力増幅器のうちの前記第1のものは、前記複数の電力増幅器のうちの前記第1のものがインアクティブ状態にある場合に、前記少なくとも2つのバス・ラインから入力を分離するように構成されている、請求項1に記載の送信機。
【請求項3】
前記複数の電力増幅器のうちの前記第1のものはスイッチ回路を備え、前記スイッチ回路は、前記複数の電力増幅器のうちの前記第1のものが前記アクティブ状態にある場合には、前記少なくとも2つのバス・ラインのうちの1つに前記入力を結合し、前記複数の電力増幅器のうちの前記第1のものが前記インアクティブ状態にある場合には、前記少なくとも2つのバス・ラインのうちの1つに、前記複数の電力増幅器のうちの前記第1のものの高インピーダンス端子を結合するように構成されている、請求項2に記載の送信機。
【請求項4】
前記スイッチ回路は、前記少なくとも2つのバス・ラインのうちの1つに関する情報を受信するように構成されている、請求項3に記載の送信機。
【請求項5】
前記包絡線追跡回路と前記少なくとも2つのバス・ラインの各々との間にフィルタが結合されている、請求項1に記載の送信機。
【請求項6】
前記包絡線追跡回路は:
複数の所定の電源電圧を生成するように構成されたDC-DC変換回路;
前記第1ベースバンド信号の包絡線に基づいて、前記複数の電源電圧のうちの第1のものを選択し、前記複数の電源電圧のうちの選択された前記第1のものを、前記少なくとも2つのバス・ラインのうちの1つに供給するように構成された第1選択回路;及び
増幅のために前記複数の電力増幅器のうちの第2のものにより受信された第2無線周波数信号に関連する第2ベースバンド信号の包絡線に基づいて、前記複数の電源電圧のうちの第2のものを選択し、前記複数の電源電圧のうちの選択された前記第2のものを、前記少なくとも2つのバス・ラインのうちの他のものに供給するように構成された第2選択回路;
を備える、請求項1に記載の送信機。
【請求項7】
前記包絡線追跡回路は:
前記第1ベースバンド信号の包絡線に基づいて第1バイアス信号を生成し、前記第1バイアス信号を、前記少なくとも2つのバス・ラインのうちの1つに供給するように構成された第1デジタル・アナログ変換器;及び
増幅のために前記複数の電力増幅器のうちの第2のものにより受信された第2無線周波数信号に関連する第2ベースバンド信号の包絡線に基づいて、第2バイアス信号を生成し、前記第2バイアス信号を、前記少なくとも2つのバス・ラインのうちの別のものに供給するように構成された第2デジタル・アナログ変換器;
を備える請求項1に記載の送信機。
【請求項8】
前記複数の電力増幅器のうちの少なくとも2つの電力増幅器は、同時にアクティブ状態にある、請求項1~7のうちの何れか1項に記載の送信機。
【請求項9】
前記バス・システムは3つ以上のバス・ラインを含む、請求項1~8のうちの何れか1項に記載の送信機。
【請求項10】
バス・ラインの数は、アクティブ状態で同時に動作する電力増幅器の最大サポート数に等しい、請求項1~
9のうちの何れか1項に記載の送信機。
【請求項11】
送信機であって:
少なくとも第1バス・ラインと第2バス・ラインとを備えるバス・システム;
第1電源電圧及び第1バイアス信号のうちの1つを前記第1バス・ラインに、第2電源電圧及び第2バイアス信号のうちの1つを前記第2バス・ラインに同時に供給するように構成された包絡線追跡回路;及び
複数の電力増幅器;
を備え、前記複数の電力増幅器のうちの第1電力増幅器が、増幅のための第1無線周波数信号を受信した場合に、前記第1電力増幅器は:
前記第1電源電圧及び前記第1バイアス信号のうちの1つが、前記第1無線周波数信号に関連する第1ベースバンド信号の包絡線に基づいている場合に、入力を前記第1バス・ラインに選択的に結合し;及び
前記第2電源電圧及び前記第2バイアス信号のうちの1つが、前記第1ベースバンド信号の包絡線に基づいている場合に、入力を前記第2バス・ラインに選択的に結合
し;
及び
前記第1電力増幅器が前記第1無線周波数信号を受信しない場合に、高インピーダンス端子を前記バス・ラインのうちの1つに結合する;
ように構成されている、送信機。
【請求項12】
前記複数の電力増幅器のうちの第2電力増幅器が、増幅のための第2無線周波数信号を受信した場合に、前記第2電力増幅器は:
前記第1電源電圧及び前記第1バイアス信号のうちの1つが、前記第2無線周波数信号に関連する第2ベースバンド信号の包絡線に基づいている場合に、入力を前記第1バス・ラインに選択的に結合し;及び
前記第2電源電圧及び前記第2バイアス信号のうちの1つが、前記第2ベースバンド信号の包絡線に基づいている場合に、入力を前記第2バス・ラインに選択的に結合する;
ように構成されている、請求項
11に記載の送信機。
【請求項13】
前記包絡線追跡回路は:
複数の所定の電源電圧を生成するように構成されたDC-DC変換回路;
前記第1ベースバンド信号の包絡線、及び前記第2ベースバンド信号の包絡線のうちの一方に基づいて、前記複数の電源電圧のうちの1つを第1電源電圧として選択するように構成された第1選択回路;及び
前記第1ベースバンド信号の包絡線、及び前記第2ベースバンド信号の包絡線のうちの他方に基づいて、前記複数の電源電圧のうちの1つを第2電源電圧として選択するように構成された第2選択回路;
を備える、請求項
12に記載の送信機。
【請求項14】
前記包絡線追跡回路は:
前記第1ベースバンド信号の包絡線、及び前記第2ベースバンド信号の包絡線のうちの一方に基づいて第1バイアス信号を生成するように構成された第1デジタル・アナログ変換器;及び
前記第1ベースバンド信号の包絡線、及び前記第2ベースバンド信号の包絡線のうちの他方に基づいて第2バイアス信号を生成するように構成された第2デジタル・アナログ変換器;
を備える、請求項
12に記載の送信機。
【請求項15】
前記第1電力増幅器及び前記第2電力増幅器はそれぞれ前記第1無線周波数信号及び前記第2無線周波数信号を同時に受信するように構成されている、請求項
12~14のうちの何れか1項に記載の送信機。
【請求項16】
前記第1電力増幅器が前記第1無線周波数信号を受信しない場合に、前記第1電力増幅器はその入力を前記バス・ラインから分離するように構成されている、請求項
11~15のうちの何れか1項に記載の送信機。
【請求項17】
前記包絡線追跡回路と前記第1バス・ラインとの間に第1フィルタが結合され、前記包絡線追跡回路と前記第2バス・ラインとの間に第2フィルタが結合されている、請求項
11~16のうちの何れか1項に記載の送信機。
【請求項18】
前記バス・システムは第3バス・ラインを備え、前記包絡線追跡回路は、第3電源電圧及び第3バイアス信号のうちの1つを前記第3バス・ラインに同時に供給するように構成され、前記複数の電力増幅器のうちの第3電力増幅器が、増幅のための第3無線周波数信号を受信した場合に、前記第3電力増幅器は:
前記第1電源電圧及び前記第1バイアス信号のうちの1つが、前記第3無線周波数信号に関連する第3ベースバンド信号の包絡線に基づいている場合に、入力を前記第1バス・ラインに選択的に結合し;
前記第2電源電圧及び前記第2バイアス信号のうちの1つが、前記第3ベースバンド信号の包絡線に基づいている場合に、入力を前記第2バス・ラインに選択的に結合し;及び
前記第3電源電圧及び前記第3バイアス信号のうちの1つが、前記第3ベースバンド信号の包絡線に基づいている場合に、入力を前記第3バス・ラインに選択的に結合する;
ように構成されている、請求項
11~17のうちの何れか1項に記載の送信機。
【請求項19】
送信機の作動方法であって:
前記送信機は、少なくとも2つのバス・ラインを備えるバス・システムと、前記少なくとも2つのバス・ラインに結合される包絡線追跡回路と、複数の電力増幅器とを備え、
前記バス・ラインの数は前記複数の電力増幅器の数より少なく、前記作動方法は:
前記複数の電力増幅器のうちの少なくとも第1のものに関し、アクティブ状態において、増幅のために前記複数の電力増幅器のうちの前記第1のものにより受信された第1無線周波数信号に関連する第1ベースバンド信号の包絡線に基づくものである電源電圧又はバイアス信号が前記包絡線追跡回路により供給される前記少なくとも2つのバス・ラインのうちの1つに、入力を選択的に結合するステップを含む、方法。
【請求項20】
前記複数の電力増幅器のうちの第1のものがインアクティブ状態にある場合に、前記少なくとも2つのバス・ラインから入力を分離するステップを更に含む請求項
19に記載の方法。
【請求項21】
前記複数の電力増幅器のうちの第1のものがインアクティブ状態にある場合に、前記複数の電力増幅器のうちの第1のものの高インピーダンス端子を、前記少なくとも2つのバス・ラインのうちの1つに結合するステップを更に含む請求項
19又は
20に記載の方法。
【請求項22】
送信機の作動方法であって:
前記送信機は、包絡線追跡回路と、複数の電力増幅器と、少なくとも第1バス・ラインと第2バス・ラインとを含むバス・システムとを備え、
前記バス・システムに含まれるバス・ラインの数は前記複数の電力増幅器の数より少なく、前記作動方法は:
前記包絡線追跡回路を利用して、第1電源電圧及び第1バイアス信号のうちの1つを前記第1バス・ラインに、第2電源電圧及び第2バイアス信号のうちの1つを前記第2バス・ラインに同時に供給するステップ;
前記複数の電力増幅器のうちの第1電力増幅器が、増幅のための第1無線周波数信号を受信した場合に:
前記第1電源電圧及び前記第1バイアス信号のうちの1つが、前記第1無線周波数信号に関連する第1ベースバンド信号の包絡線に基づいている場合に、前記第1電力増幅器の入力を前記第1バス・ラインに選択的に結合し;及び
前記第2電源電圧及び前記第2バイアス信号のうちの1つが、前記第1ベースバンド信号の包絡線に基づいている場合に、前記第1電力増幅器の入力を前記第2バス・ラインに選択的に結合するステップ;
を含む方法。
【請求項23】
前記複数の電力増幅器のうちの第2電力増幅器が、増幅のための第2無線周波数信号を受信した場合に、本方法は:
前記第1電源電圧及び前記第1バイアス信号のうちの1つが、前記第2無線周波数信号に関連する第2ベースバンド信号の包絡線に基づいている場合に、前記第2電力増幅器の入力を前記第1バス・ラインに選択的に結合するステップ;及び
前記第2電源電圧及び前記第2バイアス信号のうちの1つが、前記第2ベースバンド信号の包絡線に基づいている場合に、前記第2電力増幅器の入力を前記第2バス・ラインに選択的に結合するステップ;
を更に含む請求項
22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は送信機内の電力供給及びバイアス分配に関する。特に、実施例はETを使用する送信機及び送信機を作動させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信において結び付けられるべき周波数帯域の数は新しい世代ごとに増加している。従って、アクティブ電力増幅器(PA)コアの数は増加している。更に、新しい無線アクセス技術(RAT)が出現しつつあり、既存のRATと協働しなければならない。これはキャリア・アグリゲーション・シナリオの数を更に増加させる。各アクティブ・コアに包絡線追跡信号を供給することは課題となる。
【0003】
従来のアーキテクチャは、ハードウェアの中身の大幅な増加によってしか、キャリア・アグリゲーション・シナリオの増加数をサポートすることができず、モバイル・アプリケーション内での面積の限界にぶつかってしまう。
【0004】
従って、改良された信号配分アーキテクチャに対する要望が存在する可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0005】
装置及び/又は方法の幾つかの例は、単なる例示として、添付の図面を参照しながら以下に説明される。
【
図4】送信機を含むモバイル・デバイスの例を示す。
【
図5】送信機の作動方法のフローチャート例を示す。
【
図6】送信機の別の作動方法のフローチャート例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、幾つかの具体例が示される添付の図面を参照して、種々の実施例がより完全に説明される。図中、線、層及び/又は領域の厚さは、明瞭にするために誇張されているかもしれない。
【0007】
従って、更なる実施例は種々の変形及び代替の形態を可能とするが、それらの幾つかの特定の実施例が図面に示され、次いで詳細に説明される。しかしながら、この詳細な説明は、更なる実施例を、記載された特定の形態に限定するものではない。更なる実施例は、本開示の範囲内にある全ての修正、均等物、及び代替物をカバーすることが可能である。同様の数字は、図面の説明全体を通して、同一又は類似の要素を指し、それらは、同一又は類似の機能性を提供しつつ、互いに比較される場合に同一又は修正された形式で実装される可能性がある。
【0008】
ある要素が別の要素に「接続されている」又は「結合されている」と言及される場合、その要素は、直接的に接続されているか、又は1つ以上の介在する要素を介して結合されていてもよいことが理解されるであろう。2つの要素A及びBが「又は」を用いて結合される場合、これは、全ての可能な組み合わせ、即ち、Aのみ、Bのみ、並びにA及びBを明らかにしていると理解されるべきである。同じ組み合わせに関する代替的な言葉は「A及びBのうちの少なくとも1つ」である。同じことが2つより多い要素の組み合わせに適用される。
【0009】
特定の実施例を記載する目的で本明細書中で使用される用語は、更なる実施例を限定するようには意図されていない。「ある」(“a”,“an”)及び「その」(“the”)のような単独の形式が使用される場合は常に、単一の要素のみを使用することは、明示的にも暗黙的にも必須であると定めてはおらず、別の例はまた、同じ機能を実施するために複数の要素を使用する可能性がある。同様に、機能性が複数の要素を使用して実施されるものとして以後に説明される場合に、別の例は、単一の要素又は処理エンティティを使用して同じ機能を実施する可能性がある。用語「備える」、「備えている」、「含む」及び/又は「含んでいる」という用語は、それらが使用される場合には、記載された特徴、整数、ステップ、オペレーション、プロセス、動作、要素及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、オペレーション、プロセス、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらの任意のグループの存在又は追加を排除しないことが更に理解されるであろう。
【0010】
別段の定めがない限り、全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本明細書において、それらの例が属する技術分野の通常の意味において使用される。
【0011】
提案された技術又は説明される1つ以上の実施例による信号配分又は送信機を使用する以下の無線通信回路又は、第3世代パートナーシップ・プロジェクト(3GPP)で標準化された移動通信ネットワーク又はシステムのうちの1つに従って動作するように構成される可能性がある。モバイル又はワイヤレス通信システムは、例えば、第5世代ニュー・ラジオ(5G NR)、ロング・ターム・エボリューション(LTE)、LTEアドバンスト(LTE-A)、高速パケット・アクセス(HSPA)、ユニバーサル・モバイル通信システム(UMTS)又はUMTS地上無線アクセス・ネットワーク(UTRAN)、エボルブドUTRAN(e-UTRAN)、移動通信のためのグローバル・システム(GSM(登録商標))、GSMエボリューションのためのエンハンスト・データ・レート(EDGE)ネットワーク、又はGSM/EDGE無線アクセス・ネットワーク(GERAN)に対応する可能性がある。あるいは、無線通信回路は、様々な規格の移動通信ネットワーク、例えば、マイクロ波アクセス(WIMAX)ネットワークIEEE802.16又は無線ローカル・エリア・ネットワーク(WLAN)IEEE802.11、一般的な直交周波数分割多重アクセス(OFDMA)ネットワーク、時分割多重アクセス(TDMA)ネットワーク、符号分割多重アクセス(CDMA)ネットワーク、ワイドバンドCDMA(WCDMA(登録商標))ネットワーク、周波数分割多重アクセス(FDMA)ネットワーク、空間分割多重アクセス(SDMA)ネットワークなどに従って動作するように構成される可能性がある。
【0012】
図1は送信機100を示す。送信機100は複数のPA130-1、130-2、...、130-nを備える。10個のPAが
図1に示されているが、送信機100は任意の複数のPA(即ち、少なくとも2個のPA)を含む可能性があることに留意されたい。アクティブ状態において、複数のPA130-1、130-2、...、130-nの各々は、入力無線周波数(RF)信号を増幅するように構成されている。PAのための供給電圧が、増幅のためのRF信号の包絡線に従う場合、PAは所与の瞬間的な出力電力要求に対して最適な効率で動作する。従って、送信機100は包絡線追跡(Envelope Tracking:ET)回路120を備える。ET回路120は、複数のPA130-1、130-2、...、130-nのうちの少なくとも幾つか(一部)に対して(個々の)電源電圧を生成する。
【0013】
更に、送信機100は、少なくとも第1バス・ライン(供給ライン、信号ライン)111及び第2バス・ライン(供給ライン、信号ライン)112、即ち少なくとも2つのバス・ラインを含むバス・システム110を備える。ET回路120は、少なくとも2つのバス・ライン(供給ライン、信号ライン)111、112に結合される。
【0014】
第1(供給)フィルタ141はET回路120と第1バス・ライン111との間に結合され、第2(供給)フィルタ142はET回路120と第2のバス・ライン112との間に結合される。即ち、ET回路120と少なくとも2つのバス・ライン111、112の各々との間にそれぞれのフィルタが結合される。
【0015】
ET回路120は、第1電源電圧を第1バス・ライン111に、第2電源電圧を第2バス・ライン112に同時に供給するように構成されている。
【0016】
複数のPA 130-1、130-2、...、130-nのうちの第1PA130-1が増幅のための第1RF信号を受信する場合において、第1電源電圧が第1RF信号に関連する第1ベースバンド信号の包絡線に基づいている場合、第1PA130-1は、その(電源)入力151を第1バス・ライン111に選択的に結合するように構成されている。第2電源電圧が第1ベースバンド信号の包絡線に基づいている場合、第1PA130-1は、その入力151を第2バス・ライン112に選択的に結合するように構成されている。
【0017】
換言すれば、複数のPA130-1、130-2、...、130-nのうちの少なくとも第1PA130-1は、アクティブ状態にある間に、第1ベースバンド信号の包絡線に基づくものである、即ち増幅のために第1PA130-1によって受信されたRF信号に関連するベースバンド信号の包絡線に基づくものである電源電圧がET回路120によって供給される少なくとも2つのバス・ライン111、112のうちの1つに、PAの入力151を選択的に結合するように構成されている。
【0018】
複数のPAのうちの第2PA130-2が増幅のために第2RF信号を受信する場合において、第1電源電圧が第2RF信号に関連する第2ベースバンド信号の包絡線に基づいている場合、第2PA130-2は、その(電源)入力161を第1バス・ライン111に選択的に結合するように構成されている。第2電源電圧が第2ベースバンド信号の包絡線に基づいている場合、第2PA130-2は、その入力161を第2バス・ライン112に選択的に結合するように構成されている。
【0019】
同様に、複数のPA130-1、130-2、...、130-nのうちの別のものが、増幅のために各自のRF信号を受信する場合において、第1電源電圧が、PAによって受信されるそれぞれのRF信号に関連するベースバンド信号の包絡線に基づいている場合、その別のPAは、第1バス・ライン111にその入力(電源)を選択的に結合するように構成されている。第2電源電圧がこのベースバンド信号の包絡線に基づいている場合、別のPAは、その入力を第2バス・ライン112に選択的に結合するように構成されている。
【0020】
換言すれば、複数のPA130-1、130-2、...、130-nの各々は、アクティブ状態にある間に、増幅のために複数のPA130-1、130-2、...、130-nのそれぞれによって受信されるRF信号に関連するベースバンド信号の包絡線に基づくものである電源電圧がET回路120によって供給される少なくとも2つのバス・ライン111、112のうちの1つに、その入力(電源)を結合するように構成される可能性がある。
【0021】
複数のPA130-1、130-2、...、130-nの個々のPAは、従って、バス・システム110に柔軟な方法で選択的に接続される可能性がある。従って、複数のPA130-1、130-2、...、130-nのうちの複数のペアが、アクティブ状態で同時に作動する可能性があり、増幅のための各自のRF信号の包絡線に基づく各自の電源電圧を提供される可能性がある。
図1の例では、バス・システム110は少なくとも2つのバス・ライン111、112を備え、そのため、複数のPA130-1、130-2、...、130-nのうちの少なくとも2つのPAが同時にアクティブ状態である可能性がある。例えば、第1PA130-1及び第2PA130-2はそれぞれ第1RF信号及び第2RF信号を同時に受信するように構成されていてもよい。しかしながら、複数のPA130-1、130-2、...、130-nのうちの他の任意のペアが、同時にアクティブ状態(即ち、入力RF信号を増幅する状態)にあってもよい。
【0022】
複数のPA130-1、130-2、...、130-nをバス・システム110のバス・ライン110に選択的に結合することに起因して、バス・ラインの数は、複数のPA130-1、130-2、...、130-nの数よりも少なく選択されてよい。従って、バス・システム110を介するアクティブPAのET回路120への結合は、エリア効果的である。バス・ラインの数は、例えばアクティブ状態で同時に動作するPAの最大サポート数に等しくてもよい。アクティブ状態では、複数のPA130-1、130-2、...、130-nの各PAは、バス・システム110のバス・ラインに選択的に結合される可能性があるので、バス・ラインの数は、アクティブ状態で同時に動作するPAの最大サポート数と同程度に少なくてよい。
【0023】
第1PA130-1は、第1PA130-1が増幅のための第1RF信号を受信しない場合、即ち、第1PA130-1がインアクティブ状態にある場合、少なくとも2つのバス・ライン111、112からその入力151を切り離すように更に構成されている。
【0024】
更に、第1PA130-1が増幅のための第1RF信号を受信しない場合、第1PA130-1は、その高インピーダンス端子152を、少なくとも2つのバス・ライン111、112のうちの1つに結合するように構成されていてもよい。高インピーダンス端子は、任意の結合されたデバイス又はエレメントに高インピーダンスを与えるように構成される。例えば、複数のPA130-1、130-2、...、130-nのうちの第1PA130-1は、複数のPA130-1、130-2、...、130-nのうちの第1PA130-1がアクティブ状態にある場合に、少なくとも2つのバス・ライン111、112のうちの1つに入力151を結合するように構成されたスイッチ回路150を含んでもよい。複数のPA130-1、130-2、...、130-nのうちの第1のPA130-1がインアクティブ状態にある場合、第1PA130-1は、その高インピーダンス端子152を、少なくとも2つのバス・ライン111、112のうちの1つに結合することができる。
【0025】
同様に、複数のPA130-1、130-2、...、130-nのうちの他のPAは、各自のPAの入力を、少なくとも2つのバス・ライン111、112のうちの1つに結合又は分離するように、又はインアクティブ状態において、各自のPAの高インピーダンス端子を、少なくとも2つのバス・ライン111、112のうちの1つに結合するように構成された個々のスイッチ回路を含んでもよい。
【0026】
換言すれば、各PAコアは、バス110から適切な電源電圧を選択することが可能なセレクタ・スイッチを備えることが可能であり、PAコアがオフである場合には、バス110に高い抵抗(即ち、「high Z」)を提供する。
【0027】
例えば、スイッチ回路150は、第1ベースバンド信号の包絡線に基づくものである電源電圧がET回路120によって供給される少なくとも2つのバス・ライン111、112のうちの1つ、に関する情報を受信するように構成されてもよい。一例では、ET回路120によって提供される電源電圧は、増幅のために第1PA130-1によって受信されるRF信号に関連するベースバンド信号の包絡線に基づく可能性がある。複数のPA130-1、130-2、・・・、130-nの各自のPAに対する電源電圧が供給されるバス・ライン111、112のうちの1つに関する情報は、例えば、送信機100の制御回路(図示せず)によって提供されてもよい。制御回路は更にET回路120を制御して、複数のPA130-1、130-2、・・・、130-nのうちの1つに適した電源電圧を、少なくとも2つのバス・ライン111、112のうちの特定の1つに供給することができる。
【0028】
図1に示すように、ET回路120は、例えば複数の所定の電源電圧を生成するように構成されたDC-DCコンバータ回路121を備えることができる。更に、ET回路120は第1選択回路(電源調整器)122と第2選択回路123とを備え、これらは、複数のPA130-1、130-2、...、130-nのうちのペアによって同時に受信される各RF信号に関連するそれぞれのベースバンド信号の包絡線に基づいて、複数の電源電圧のうちの各自のものを(同時に)選択するように構成されている。
【0029】
第1選択回路122は、第1ベースバンド信号の包絡線及び第2ベースバンド信号の包絡線のうちの一方に基づいて、複数の電源電圧のうちの1つを第1電源電圧として選択し、それを第1バス・ライン111に供給するように構成される。同様に、第2選択回路123は、第1ベースバンド信号の包絡線及び第2ベースバンド信号の包絡線のうちの他方の包絡線に基づいて、複数の電源電圧のうちの1つを第2電源電圧として選択し、それを第2バス・ライン112に供給するように構成されている。従って、複数のPA130-1、130-2、...、130-nのうちの2つのPAに対する電源電圧が提供され得る。
【0030】
例えば、第1選択回路122は、第1ベースバンド信号の包絡線に基づいて、複数の電源電圧のうちの1つを第1電源電圧として選択するように構成されていてもよい。従って、第2選択回路123は、第2ベースバンド信号の包絡線に基づいて、複数の電源電圧のうちの1つを第2電源電圧として選択するように構成されていてもよい。第1PA130-1が第1ベースバンド信号に関連する第1RF信号を受信する場合、第1PA130-1は、その(電源)入力151を第1バス・ライン111に選択的に結合する。第2PA130-2が第2ベースバンド信号に関連する第2RF信号を受信する場合、第2PA130-1は、その(電源)入力161を第2バス・ライン112に選択的に結合する。
【0031】
あるいは、第1PA130-1が第2RF信号を受信する場合に、第1PA130-1は、その(電源)入力151を第2バス112に選択的に結合する。第2PA130-2が第1RF信号を受信する場合、第2PA130-1は、その(電源)入力161を第1バス・ライン111に選択的に結合する。
【0032】
幾つかの例において、代替的に第1選択回路122が第2バス・ライン112に結合されてもよく、第2選択回路123が第1バス・ライン111に結合されてもよい。他の例において、第1及び第2選択回路122及び123は、周期的に又はイベントの発生に基づいて、第1及び第2バス・ライン111及び112の間で交互に切り替えてもよい。
【0033】
換言すれば、ET回路120の第1選択回路は、増幅のために複数のPA130-1、130-2、...、130-nのうちの第1のものによって受信される第1RF信号に関連する第1ベースバンド信号の包絡線に基づいて、複数の電源電圧のうちの第1のものを選択し、複数の電源電圧のうちの選択された第1のものを、少なくとも2つのバス・ライン111、112のうちの1つに供給するように構成されていてもよい。更に、ET回路120の第2選択回路は、増幅のために複数のPA130-1、130-2、...、130-nのうちの第2のものによって受信される第2RF信号に関連する第2ベースバンド信号の包絡線に基づいて、複数の電源電圧のうちの第2のものを選択し、複数の電源電圧のうちの選択された第2のものを、少なくとも2つのバス・ライン111、112のうちの別のものに供給するように構成されていてもよい。
【0034】
図1は、2つの供給モジュレータ122及び123からの2つの電源電圧を有するバス・システム110を使用して、PAコア130-1、130-2、・・・、130-nのうちの任意のペアに、ET電源電圧がどのようにして供給され得るかを示す。PAコア130-1、130-2、...、130-nのどのペアも、選択されたレールから(バス・システム110から)各自の電源電圧を同時に得てアクティブとなる可能性がある。2つの供給フィルタ141及び142のみを有する2つの供給モジュレータ122及び123しか必要とされないので、提案されるアーキテクチャは、小さなサイズ及び高い柔軟性を可能にし得る。
【0035】
例えば、PA130-1は低周波数バンド(Low Band,LB)でRF信号を増幅することが可能であり、PA130-5は高周波数バンド(High Band,HB)でRF信号を増幅することが可能である。何れのPAも、キャリア・アグリゲーション・シナリオで同時に動作させられることが可能である。従って、PA130-1は、第1供給モジュレータ122からの第1ETベースの電源電圧を使用する可能性があり、PA130-5は、第2供給モジュレータ123からの第2ETベースの電源電圧を使用する可能性がある。オフ(即ち、インアクティブ状態)であるの他の全てのPAコアは、バス・システム110に高インピーダンスを提供する可能性がある。
【0036】
また、2つの異なるRATが組み合わせられてもよい。例えば、PA 130-1は、第1供給モジュレータ122からの第1ETベースの電源電圧を使用して「LTE RF信号」を増幅してもよいし、PA130-7は、第2供給モジュレータ123からの第2ETベースの電源電圧を使用して「5G NR RF信号」を増幅してもよい。
【0037】
以上の説明では、アクティブ状態で同時に動作するPAの最大サポート数は2であると仮定した。従って、バス・システム110は2つのバス・ライン111、112を備え、ET回路120は2つの選択回路122、123を備える。しかしながら、上述したように、アクティブ状態で同時に動作するPAの最大サポート数は何個でもよい。従って、バス・システムは、例えば3つ以上のバス・ラインを備えていてもよい。
【0038】
図2は、最大3つのPAの同時作動をサポートする送信機200を示す。バス・システム210が、バス・システム110のような2つのバス・ラインではなく、3つのバス・ライン211、212、及び213を含む点を除いて、送信機200は送信機100に一致している。更に、ET回路220は、第1及び第2選択回路222及び223に加えて、第3選択回路224を備える。
【0039】
図示の複数のPA230-1、230-2、...、230-nは、8つのPAを含む。しかしながら、送信機100と同様に、送信機200は任意の他の複数のPAも含むことができる。
【0040】
ET回路220は、第1電源電圧を第1バス・ライン211に、第2電源電圧を第2バス・ライン212に、第3電源電圧を第3バス・ライン213に同時に供給するように構成されている。
【0041】
ET回路220のDC-DC変換回路221は、複数の所定の電源電圧を生成するように構成される。ET回路220の第1選択回路222は、第1ベースバンド信号の包絡線、第2ベースバンド信号の包絡線、及び第3ベースバンド信号の包絡線のうちの1つに基づいて、複数の電源電圧のうちの1つを第1電源電圧として選択するように構成される。ET回路220の第2選択回路222は、第1ベースバンド信号の包絡線、第2ベースバンド信号の包絡線、及び第3ベースバンド信号の包絡線のうちの1つに基づいて、複数の電源電圧のうちの1つを第2電源電圧として選択するように構成される。ET回路220の第3選択回路223は、第1ベースバンド信号の包絡線、第2ベースバンド信号の包絡線、及び第3ベースバンド信号の包絡線のうちの1つに基づいて、複数の電源電圧のうちの1つを第3電源電圧として選択するように構成される。
【0042】
複数のPA230-1、230-2、...、230-nのうちの第1PA230-1が、第1ベースバンド信号に関連する増幅のための第1RF信号を受信する場合、第1PA230-1は、第1電源電圧が第1ベースバンド信号の包絡線に基づく場合には、その入力を第1バス・ライン211に選択的に結合するか、あるいは第2電源電圧が第1ベースバンド信号の包絡線に基づく場合には、その入力を第2バス・ライン212に選択的に結合するように構成される。
【0043】
複数のPA230-1、230-2、...、230-nのうちの第2PA230-2が、第2ベースバンド信号に関連する増幅のための第2RF信号を受信する場合、第2PA230-2は、第1電源電圧が第2ベースバンド信号の包絡線に基づく場合には、その入力を第1バス・ライン211に選択的に結合するか、あるいは第2電源電圧が第2ベースバンド信号の包絡線に基づく場合には、その入力を第2バス・ライン212に選択的に結合するように構成される。
【0044】
複数のPA230-1、230-2、...、230-nのうちの第3PA230-5が、第3ベースバンド信号に関連する増幅のための第3RF信号を受信する場合、第3PA230-5は、第1電源電圧が第3ベースバンド信号の包絡線に基づく場合には、その入力を第1バス・ライン211に選択的に結合するか、あるいは第2電源電圧が第3ベースバンド信号の包絡線に基づく場合には、その入力を第2バス・ライン212に選択的に結合するか、あるいは第3電源電圧が第3ベースバンド信号の包絡線に基づく場合には、その入力を第3バス・ラインに選択的に結合するように構成されている。
【0045】
図2に示すように、提案されるアーキテクチャは、同時に2つより多いバンドの間でキャリア・アグリゲーションをサポートするように拡張される可能性がある。第3PA230-5は、複数のPA230-1、230-2、...、230-nのうちの任意の他のペア(例えば、PA230-1及び230-2)と組み合わせることができる。
【0046】
図2には、3つ全てのバス・ライン211、212、及び213への選択的な結合をサポートするために、PA230-5だけしか示されていないが、複数のPA230-1、230-2、...、230-nのうちの他のPAもまた、少なくとも部分的に、3つ全てのバス・ライン211、212、及び213への選択的な結合を可能にする各自のスイッチ回路を含む可能性がある。
【0047】
以上、ETに基づいて調整された電源電圧を用いるPAを含む送信機が説明された。しかしながら、提案されるバス・アーキテクチャは、ET(即ち、ETが、RF包絡線に比例するPAバイアスを調整すること)に基づいて調整されたバイアスを使用するPAを含む送信機にも使用される可能性がある。これは例示的に
図3に示されている。
図3は複数のPA330-1、330-2、...、330-nを備える送信機300を示す。
図3には9つのPAが示されているが、送信機300は任意の複数個のPAを含んでもよいことに留意されたい。上述のように、複数のPA330-1、330-2、...、330-nは、バイアスを制御される。送信機100及び200のPAとは異なり、送信機300の複数のPA330-1、330-2、...、330-nは、電圧供給ライン390によって、一定の電源電圧に結合される(電源電圧は、増幅のための各自の入力RF信号の包絡線に依存しない)。
【0048】
ここでも、送信機300は、少なくとも第1バス・ライン311及び第2バス・ライン312、即ち少なくとも2つのバス・ラインを含むバス・システム310を備える。ET回路320は、少なくとも2つのバス・ライン311、312に結合される。第1(供給)フィルタ341は、ET回路320と第1バス・ライン311との間に結合され、第2(供給)フィルタ342は、ET回路320と第2バス・ライン312との間に結合される。即ち、それぞれのフィルタは、ET回路320と少なくとも2つのバス・ライン311、312の各々との間に結合される。
図3には2つの供給ラインが示されているが、他の任意の複数のバス・ラインが、送信機100及び200に関連して上述したものと同様に使用されてよい。
【0049】
ET回路320は、第1バイアス信号を第1バス・ライン311に供給し、第2バイアス信号を第2バス・ライン312に同時に供給するように構成される。バイアス信号は、例えば、複数のPA330-1、330-2、...、330-nの各々のためにバイアス電流又はバイアス電圧を届けることができる。
【0050】
複数のPA330-1、330-2、...、330-nのうち第1PA330-1が増幅のための第1RF信号を受信する場合において、第1バイアス信号が第1RF信号に関連する第1ベースバンド信号の包絡線に基づいている場合、第1PA330-1は、その(バイアス)入力351を第1バス・ライン311に選択的に結合するように構成されている。第2バイアス信号が第1ベースバンド信号の包絡線に基づいている場合、第1PA130-1は、その入力351を第2バス・ライン312に選択的に結合するように構成されている。
【0051】
換言すれば、複数のPA330-1、330-2、...、330-nのうちの少なくとも第1のPA330-1は、アクティブ状態である間、第1ベースバンド信号の包絡線に基づくものである、即ち増幅のために第1PA330-1によって受信されたRF信号に関連するベースバンド信号の包絡線に基づくものであるバイアス信号がET回路320によって供給される少なくとも2つのバス・ライン311、312のうちの1つに、PAの(バイアス)入力351を選択的に結合するように構成されている。
【0052】
複数のPAのうちの第2PA330-2が増幅のために第2RF信号を受信する場合において、第1バイアス信号が第2RF信号に関連する第2ベースバンド信号の包絡線に基づいている場合、第2PA330-2は、その(バイアス)入力361を第1バス・ライン311に選択的に結合するように構成されている。第2バイアス信号が第2ベースバンド信号の包絡線に基づいている場合、第2PA330-2は、その入力361を第2バス・ライン312に選択的に結合するように構成されている。
【0053】
同様に、複数のPA330-1、330-2、...、330-nのうちの別の1つが増幅のために各自のRF信号を受信した場合において、第1バイアス信号が、PAによって受信された各自のRF信号に関連するベースバンド信号の包絡線に基づいている場合、その別のPAは、その入力(バイアス)を第1バス・ライン311に選択的に結合するように構成されている。第2バイアス信号がこのベースバンド信号の包絡線に基づいている場合、その別のPAは、その入力を第2バス・ライン312に選択的に結合するように構成されている。
【0054】
換言すれば、複数のPA330-1、330-2、...、330-nの各々は、アクティブ状態にある間に、増幅のために複数のPA330-1、330-2、...、330-nのそれぞれによって受信されたRF信号に関連するベースバンド信号の包絡線に基づくバイアス信号がET回路320によって供給される少なくとも2つのバス・ライン311、312のうちの1つに、その(バイアス)を結合するように構成されてもよい。
【0055】
従って、複数のPA330-1、330-2、...、330-nのうちの個々のPAは、柔軟な方法でバス・システム310に選択的に接続されることが可能である。従って、複数のPA330-1、330-2、...、330-nのうちの複数のペアは、アクティブ状態で同時に作動させられる可能性があり、増幅のための各自のRF信号の包絡線に基づく各自のバイアス信号を提供されることが可能である。
【0056】
図3に示すように、ET回路320は、例えば、複数のPA330-1、330-2、・・・、330-nのうちのペアによって同時に受信された各自のRF信号に関連する各自のベースバンド信号の包絡線に基づいて各自のバイアス信号を(同時に)生成するように構成された第1デジタル・アナログ変換器(DAC)321と第2DAC322とを含んでもよい。
【0057】
第1DAC321は、第1ベースバンド信号の包絡線、及び第2ベースバンド信号の包絡線のうちの一方に基づいて第1バイアス信号を生成し、それを第1バス・ライン311に供給するように構成される。同様に、ET回路320は、第1ベースバンド信号の包絡線、及び第2ベースバンド信号の包絡線のうちの他方の包絡線に基づいて第2バイアス信号を生成し、それを第2バス・ライン312に供給するように構成された第2DAC322を含んでもよい。従って、複数のPA330-1、330-2、...、330-nのうちの2つのPAに対するバイアス信号が提供される可能性がある。
【0058】
例えば、第1DAC321は、第1ベースバンド信号の包絡線に基づいて第1バイアス信号を生成するように構成される可能性がある。従って、第2DAC 322は、第2のベースバンド信号の包絡線に基づいて第2バイアス信号を生成するように構成される。第1PA330-1が、第1ベースバンド信号に関連する第1RF信号を受信した場合、第1PA330-1は、その入力(バイアス)を第1バス・ライン311に選択的に結合する。第2PA330-2が第2ベースバンド信号に関連する第2RF信号を受信した場合、第2のPA330-1は、その入力(バイアス)を第2バス・ライン312に選択的に結合する。
【0059】
あるいは、第1PA330-1が第2RF信号を受信した場合、第1PA330-1は、その入力(バイアス)を第2バス312に選択的に結合する。第2PA 330-2が第1RF信号を受信した場合、第2PA330-1は、その入力(バイアス)を第1バス・ライン311に選択的に結合する。
【0060】
幾つかの例において、第1DAC321は代替的に第2バス・ライン112に結合されてもよく、第2DAC322は第1バス・ライン111に結合されてもよい。
【0061】
換言すれば、ET回路320の第1DACは、増幅のために複数のPA330-1、330-2、...、330-nのうちの第1のものによって受信された第1RF信号に関連する第1ベースバンド信号の包絡線に基づいて第1バイアス信号を生成し、第1バイアス信号を、少なくとも2つのバス・ライン311、312のうちの1つに供給するように構成される可能性がある。ET回路320の第2DACは、増幅のために複数のPA330-1、330-2、...、330-nのうちの第2のものによって受信された第2RF信号に関連する第2ベースバンド信号の包絡線に基づいて第2バイアス信号を生成し、第2バイアス信号を、少なくとも2つのバス・ライン311、312のうちの別のものに供給するように構成される可能性がある。
【0062】
送信機100及び200に関連して上述したバス・ラインへの個々のPAの結合/バス・ラインからの個々のPAの分離、バス・ラインの数などに関する更なる態様は、(電源電圧の代わりにバイアス信号がET回路によって供給されることを考慮して)相応して送信機300に適用される。従ってここでは冗長な繰り返しを回避するために送信機100及び200の上述の説明を参照されたい。
【0063】
提案される技術の1つ以上の態様又は上述の1つ以上の実施例による信号配分を利用する実装の例が
図4に示されている。
図4は、本明細書に記載される実施例によるRF信号生成のための少なくとも1つの送信機410を備えるモバイル・デバイス400(例えば、移動電話、スマートフォン、タブレット・コンピュータ、又はラップトップ)の一例を概略的に示す。例えば送信機410はRFトランシーバ(図示せず)の一部であってもよい。送信機410は、RF信号を環境に放射するために少なくとも1つのアンテナ素子420に結合される。
【0064】
モバイル・デバイス400は、例えば、アプリケーション・プロセッサ、ベースバンド・プロセッサ、メモリ、オーディオ・ドライバ、カメラ・ドライバ、タッチスクリーン、ディスプレイ・ドライバ、センサ、取り外し可能メモリ、電力管理集積回路、又はスマート・バッテリなどのような更なる要素を含む可能性がある。
【0065】
このため、電力効率の良いETモードで動作する、益々多くのキャリア・アグリゲーション・バンドを可能にするモバイル・デバイスが提供される可能性がある。
【0066】
送信機を作動させるための方法500の一例が
図5のフローチャートによって示されている。送信機は、少なくとも2つのバス・ラインと、少なくとも2つのバス・ラインに結合されたET回路と、複数のPAとを含むバス・システムを備える。方法500は、複数のPAのうちの少なくとも第1のものに対して、増幅のために複数のPAのうちの第1のものによって受信された第1RF信号に関連する第1ベースバンド信号の包絡線に基づく電源電圧又はバイアス信号がET回路によって供給される少なくとも2つのバス・ラインのうちの1つに、その入力502をアクティブ状態で選択的に結合することを含む(502)。
【0067】
本方法の更なる詳細及び態様は、提案される技術又は上記の1つ以上の実施例(例えば、
図1~4)に関連して言及されている。本方法は、提案された技術の1つ以上の態様、又は上記の1つ以上の実施例に対応する1つ以上の追加のオプション的な特徴を含む可能性がある。
【0068】
送信機を作動させるための別の方法600の例が
図6のフローチャートによって示されている。送信機は、ET回路と、複数のPAと、少なくとも第1バス・ライン及び第2バス・ラインを含むバス・システムとを備える。方法600は、包絡線追跡回路を使用して、第1電源電圧及び第1バイアス信号のうちの1つを第1バス・ラインに、第2電源電圧及び第2バイアス信号のうちの1つを第2バス・ラインに同時に供給することを含む(602)。複数のPAのうちの第1PAが増幅のために第1RF信号を受信する場合、方法600は、第1電源電圧及び第1バイアス信号のうちの1つが、第1RF信号に関連する第1ベースバンド信号の包絡線に基づいている場合に、第1PAの入力を第1バス・ラインに選択的に結合することを更に含む(604)。第2電源電圧及び第2バイアス信号のうちの1つが第1ベースバンド信号の包絡線に基づいている場合に、方法600は、第1PAの入力を第2バス・ラインに選択的に結合することを含む(606)。
【0069】
本方法の更なる詳細及び態様は、提案される技術又は上記の1つ以上の実施例(例えば、
図1~4)に関連して言及されている。本方法は、提案された技術の1つ以上の態様、又は上記の1つ以上の実施例に対応する1つ以上の追加のオプション的な特徴を含む可能性がある。
【0070】
上記の記述から、提案されるアーキテクチャは、最適化されたソリューション・サイズ及び柔軟性とともに、周波数バンドの限定されないペアのためのET技術をサポートする可能性があることは明らかである。それは3、4又はN個のバンドが同時に動作することをサポートする可能性がある。更に、ETとのデュアル接続性(即ち、異なるバンドでの2つの異なるRATの動作)をサポートする可能性がある。
本明細書で説明される具体例は次のように要約することが可能である:
【0071】
具体例1は送信機であり、送信機は:少なくとも2つのバス・ラインを備えるバス・システム;前記少なくとも2つのバス・ラインに結合される包絡線追跡回路;及び複数の電力増幅器;を備え、前記複数の電力増幅器のうちの少なくとも第1のものは、アクティブ状態にある間に、前記複数の電力増幅器のうちの前記第1のものにより受信された第1無線周波数信号に関連する第1ベースバンド信号の包絡線に基づくものである電源電圧又はバイアス信号が前記包絡線追跡回路により供給される前記少なくとも2つのバス・ラインのうちの1つに、入力を選択的に結合するように構成されている。
【0072】
具体例2は具体例1の送信機であって、次の特徴を含む:前記複数の電力増幅器のうちの前記第1のものは、前記複数の電力増幅器のうちの前記第1のものがインアクティブ状態にある場合に、前記少なくとも2つのバス・ラインから入力を分離するように構成されている。
【0073】
具体例3は具体例2の送信機であって、次の特徴を含む:前記複数の電力増幅器のうちの前記第1のものはスイッチ回路を備え、前記スイッチ回路は、前記複数の電力増幅器のうちの前記第1のものが前記アクティブ状態にある場合には、前記少なくとも2つのバス・ラインのうちの1つに前記入力を結合し、前記複数の電力増幅器のうちの前記第1のものが前記インアクティブ状態にある場合には、前記少なくとも2つのバス・ラインのうちの1つに、前記複数の電力増幅器のうちの前記第1のものの高インピーダンス端子を結合するように構成されている。
【0074】
具体例4は具体例3の送信機であって、次の特徴を含む:前記スイッチ回路は、前記少なくとも2つのバス・ラインのうちの1つに関する情報を受信するように構成されている。
【0075】
具体例5は具体例1~4のうちの何れかの送信機であって、次の特徴を含む:前記包絡線追跡回路と前記少なくとも2つのバス・ラインの各々との間にフィルタが結合されている。
【0076】
具体例6は具体例1~5のうちの何れかの送信機であって、次の特徴を含む:前記包絡線追跡回路は、複数の所定の電源電圧を生成するように構成されたDC-DC変換回路;前記第1ベースバンド信号の包絡線に基づいて、前記複数の電源電圧のうちの第1のものを選択し、前記複数の電源電圧のうちの選択された前記第1のものを、前記少なくとも2つのバス・ラインのうちの1つに供給するように構成された第1選択回路;及び増幅のために前記複数の電力増幅器のうちの第2のものにより受信された第2無線周波数信号に関連する第2ベースバンド信号の包絡線に基づいて、前記複数の電源電圧のうちの第2のものを選択し、前記複数の電源電圧のうちの選択された前記第2のものを、前記少なくとも2つのバス・ラインのうちの他のものに供給するように構成された第2選択回路を備える。
【0077】
具体例7は具体例1~5のうちの何れかの送信機であって、次の特徴を含む:前記包絡線追跡回路は、前記第1ベースバンド信号の包絡線に基づいて第1バイアス信号を生成し、前記第1バイアス信号を、前記少なくとも2つのバス・ラインのうちの1つに供給するように構成された第1デジタル・アナログ変換器;及び増幅のために前記複数の電力増幅器のうちの第2のものにより受信された第2無線周波数信号に関連する第2ベースバンド信号の包絡線に基づいて、第2バイアス信号を生成し、前記第2バイアス信号を、前記少なくとも2つのバス・ラインのうちの別のものに供給するように構成された第2デジタル・アナログ変換器を備える。
【0078】
具体例8は具体例1~7のうちの何れかの送信機であって、次の特徴を含む:前記複数の電力増幅器のうちの少なくとも2つの電力増幅器は、同時にアクティブ状態にある。
【0079】
具体例9は具体例1~8のうちの何れかの送信機であって、次の特徴を含む:前記バス・システムは3つ以上のバス・ラインを含む。
【0080】
具体例10は具体例1~9のうちの何れかの送信機であって、次の特徴を含む:バス・ラインの数は、前記複数の電力増幅器の数より少ない。
【0081】
具体例11は具体例1~10のうちの何れかの送信機であって、次の特徴を含む:バス・ラインの数は、アクティブ状態で同時に動作する電力増幅器の最大サポート数に等しい。
【0082】
具体例12は送信機であり、送信機は:少なくとも第1バス・ラインと第2バス・ラインとを備えるバス・システム;第1電源電圧及び第1バイアス信号のうちの1つを前記第1バス・ラインに、第2電源電圧及び第2バイアス信号のうちの1つを前記第2バス・ラインに同時に供給するように構成された包絡線追跡回路;及び複数の電力増幅器を備え、前記複数の電力増幅器のうちの第1電力増幅器が、増幅のための第1無線周波数信号を受信した場合に、前記第1電力増幅器は:前記第1電源電圧及び前記第1バイアス信号のうちの1つが、前記第1無線周波数信号に関連する第1ベースバンド信号の包絡線に基づいている場合に、入力を前記第1バス・ラインに選択的に結合し;及び前記第2電源電圧及び前記第2バイアス信号のうちの1つが、前記第1ベースバンド信号の包絡線に基づいている場合に、入力を前記第2バス・ラインに選択的に結合するように構成されている。
【0083】
具体例13は具体例12の送信機であって、次の特徴を含む:前記複数の電力増幅器のうちの第2電力増幅器が、増幅のための第2無線周波数信号を受信した場合に、前記第2電力増幅器は:前記第1電源電圧及び前記第1バイアス信号のうちの1つが、前記第2無線周波数信号に関連する第2ベースバンド信号の包絡線に基づいている場合に、入力を前記第1バス・ラインに選択的に結合し;及び前記第2電源電圧及び前記第2バイアス信号のうちの1つが、前記第2ベースバンド信号の包絡線に基づいている場合に、入力を前記第2バス・ラインに選択的に結合するように構成されている。
【0084】
具体例14は具体例13の送信機であって、次の特徴を含む:前記包絡線追跡回路は、複数の所定の電源電圧を生成するように構成されたDC-DC変換回路;前記第1ベースバンド信号の包絡線、及び前記第2ベースバンド信号の包絡線のうちの一方に基づいて、前記複数の電源電圧のうちの1つを第1電源電圧として選択するように構成された第1選択回路;及び前記第1ベースバンド信号の包絡線、及び前記第2ベースバンド信号の包絡線のうちの他方に基づいて、前記複数の電源電圧のうちの1つを第2電源電圧として選択するように構成された第2選択回路を備える。
【0085】
具体例15は具体例13の送信機であって、次の特徴を含む:前記包絡線追跡回路は、前記第1ベースバンド信号の包絡線、及び前記第2ベースバンド信号の包絡線のうちの一方に基づいて第1バイアス信号を生成するように構成された第1デジタル・アナログ変換器;及び前記第1ベースバンド信号の包絡線、及び前記第2ベースバンド信号の包絡線のうちの他方に基づいて第2バイアス信号を生成するように構成された第2デジタル・アナログ変換器を備える。
【0086】
具体例16は具体例13~15のうちの何れかの送信機であって、次の特徴を含む:前記第1電力増幅器及び前記第2電力増幅器はそれぞれ前記第1無線周波数信号及び前記第2無線周波数信号を同時に受信するように構成されている。
【0087】
具体例17は具体例12~16のうちの何れかの送信機であって、次の特徴を含む:前記第1電力増幅器が前記第1無線周波数信号を受信しない場合に、前記第1電力増幅器はその入力を前記バス・ラインから分離するように構成されている。
【0088】
具体例18は具体例12~17のうちの何れかの送信機であって、次の特徴を含む:前記第1電力増幅器が前記第1無線周波数信号を受信しない場合に、前記第1電力増幅器は、高インピーダンス端子を前記バス・ラインのうちの1つに結合するように構成されている。
【0089】
具体例19は具体例12~18のうちの何れかの送信機であって、次の特徴を含む:前記包絡線追跡回路と前記第1バス・ラインとの間に第1フィルタが結合され、前記包絡線追跡回路と前記第2バス・ラインとの間に第2フィルタが結合されている。
【0090】
具体例20は具体例12~19のうちの何れかの送信機であって、次の特徴を含む:前記バス・システムは第3バス・ラインを備え、前記包絡線追跡回路は、第3電源電圧及び第3バイアス信号のうちの1つを前記第3バス・ラインに同時に供給するように構成され、前記複数の電力増幅器のうちの第3電力増幅器が、増幅のための第3無線周波数信号を受信した場合に、前記第3電力増幅器は:前記第1電源電圧及び前記第1バイアス信号のうちの1つが、前記第3無線周波数信号に関連する第3ベースバンド信号の包絡線に基づいている場合に、入力を前記第1バス・ラインに選択的に結合し;前記第2電源電圧及び前記第2バイアス信号のうちの1つが、前記第3ベースバンド信号の包絡線に基づいている場合に、入力を前記第2バス・ラインに選択的に結合し;及び前記第3電源電圧及び前記第3バイアス信号のうちの1つが、前記第3ベースバンド信号の包絡線に基づいている場合に、入力を前記第3バス・ラインに選択的に結合するように構成されている。
【0091】
具体例21は具体例1~20のうちの何れかによる送信機を含むモバイル・デバイスである。
【0092】
具体例22は具体例21のモバイル・デバイスであり、送信機に結合される少なくとも1つのアンテナ素子を更に含んでいる。
【0093】
具体例23は送信機の作動方法であり、前記送信機は、少なくとも2つのバス・ラインを備えるバス・システムと、前記少なくとも2つのバス・ラインに結合される包絡線追跡回路と、複数の電力増幅器とを備え、前記作動方法は:前記複数の電力増幅器のうちの少なくとも第1のものに関し、アクティブ状態において、増幅のために前記複数の電力増幅器のうちの前記第1のものにより受信された第1無線周波数信号に関連する第1ベースバンド信号の包絡線に基づくものである電源電圧又はバイアス信号が前記包絡線追跡回路により供給される前記少なくとも2つのバス・ラインのうちの1つに、入力を選択的に結合するステップを含む。
【0094】
具体例24は具体例23の方法であり、前記複数の電力増幅器のうちの第1のものがインアクティブ状態にある場合に、前記少なくとも2つのバス・ラインから入力を分離するステップを更に含む。
【0095】
具体例25は方法の具体例23又は具体例24であり、前記複数の電力増幅器のうちの第1のものがインアクティブ状態にある場合に、前記複数の電力増幅器のうちの第1のものの高インピーダンス端子を、前記少なくとも2つのバス・ラインのうちの1つに結合するステップを更に含む。
【0096】
具体例26は具体例23~25のうちの何れかの方法であって:複数の所定の電源電圧を、包絡線追跡回路により生成するステップ;第1ベースバンド信号の包絡線に基づいて、複数の電源電圧のうちの第1のものを、包絡線追跡回路により選択するステップ;複数の電源電圧のうちの選択された第1のものを、少なくとも2つのバス・ラインのうちの一方に、包絡線追跡回路により供給するステップ;増幅のために複数の電力増幅器のうちの少なくとも第2のものにより受信された第2無線周波数信号に関連する第2ベースバンド信号の包絡線に基づいて複数の電源電圧のうちの第2のものを、包絡線追跡回路により選択するステップ;及び複数の電力増幅器のうちの選択された第2のものを、少なくとも2つのバス・ラインのうちの他方に、包絡線追跡回路により供給するステップを更に含む。
【0097】
具体例27は具体例23~25のうちの何れかの方法であって:第1ベースバンド信号の包絡線に基づいて、第1バイアス信号を生成するステップ;選択した第1バイアス信号を、少なくとも2つのバス・ラインのうちの1つに供給するステップ;増幅のために複数の電力増幅器のうちの少なくとも第2のものにより受信された第2無線周波数信号に関連する第2ベースバンド信号の包絡線に基づいて第2バイアス信号を生成するステップ;及び第2バイアス信号を、少なくとも2つのバス・ラインのうちの他方に供給するステップを更に含む。
【0098】
具体例28は具体例23~27のうちの何れかの方法であって、次の特徴を含む:包絡線追跡回路と少なくとも2つのバス・ラインの各々との間に各自のフィルタが結合されている。
【0099】
具体例29は具体例23~28のうちの何れかの方法であって、次の特徴を含む:複数の電力増幅器のうちの少なくとも2つの電力増幅器は同時にアクティブ状態にある。
【0100】
具体例30は具体例23~29のうちの何れかの方法であって、次の特徴を含む:バス・システムは3つ以上のバス・ラインを含む。
【0101】
具体例31は具体例23~30のうちの何れかの方法であって、次の特徴を含む:バス・ラインの数は複数の電力増幅器の数より少ない。
【0102】
具体例32は具体例23~31のうちの何れかの方法であって、次の特徴を含む:バス・ラインの数は、アクティブ状態で同時に作動する電力増幅器の最大サポート数に等しい。
【0103】
具体例33は送信機の作動方法であり、前記送信機は、包絡線追跡回路と、複数の電力増幅器と、少なくとも第1バス・ラインと第2バス・ラインとを含むバス・システムとを備え、前記作動方法は:前記包絡線追跡回路を利用して、第1電源電圧及び第1バイアス信号のうちの1つを前記第1バス・ラインに、第2電源電圧及び第2バイアス信号のうちの1つを前記第2バス・ラインに同時に供給するステップ;前記複数の電力増幅器のうちの第1電力増幅器が、増幅のための第1無線周波数信号を受信した場合に:前記第1電源電圧及び前記第1バイアス信号のうちの1つが、前記第1無線周波数信号に関連する第1ベースバンド信号の包絡線に基づいている場合に、前記第1電力増幅器の入力を前記第1バス・ラインに選択的に結合し;及び前記第2電源電圧及び前記第2バイアス信号のうちの1つが、前記第1ベースバンド信号の包絡線に基づいている場合に、前記第1電力増幅器の入力を前記第2バス・ラインに選択的に結合するステップを含む。
【0104】
具体例34は具体例33の方法であって、次の特徴を含む:前記複数の電力増幅器のうちの第2電力増幅器が、増幅のための第2無線周波数信号を受信した場合に、本方法は:前記第1電源電圧及び前記第1バイアス信号のうちの1つが、前記第2無線周波数信号に関連する第2ベースバンド信号の包絡線に基づいている場合に、前記第2電力増幅器の入力を前記第1バス・ラインに選択的に結合するステップ;及び前記第2電源電圧及び前記第2バイアス信号のうちの1つが、前記第2ベースバンド信号の包絡線に基づいている場合に、前記第2電力増幅器の入力を前記第2バス・ラインに選択的に結合するステップを更に含む。
【0105】
具体例35は具体例33又は具体例34の方法であって、次の特徴を含む:第1電力増幅器及び第2電力増幅器はそれぞれ前記第1無線周波数信号及び第2無線周波数信号を同時に受信する。
【0106】
具体例36は具体例33~35のうちの何れかの方法であって、次の特徴を含む:第1電力増幅器が第1無線周波数信号を受信しない場合に、本方法は、第1電力増幅器の入力を少なくとも2つのバス・ラインから切り離すステップを更に含む。
【0107】
具体例37は具体例33~36のうちの何れかの方法であって、次の特徴を含む:第1電力増幅器が第1無線周波数信号を受信しない場合に、本方法は、第1電力増幅器の高インピーダンス端子を、少なくとも2つのバス・ラインのうちの1つに結合するステップを更に含む。
【0108】
具体例38は具体例33~37のうちの何れかの方法であって、次の特徴を含む:第1フィルタが包絡線追跡回路と第1バス・ラインとの間に結合され、第2フィルタが包絡線追跡回路と第2バス・ラインとの間に結合される。
【0109】
具体例39は具体例33~38のうちの何れかの方法であって、次の特徴を含む:バス・システムは第3バス・ラインを含み、本方法は、第3電源電圧及び第3バイアス信号のうちの一方を第3のバス・ラインに同時に供給するステップ;及び複数の電力増幅器の第3電力増幅器が増幅のための第3無線周波数信号を受信した場合において、第1電源電圧及び第1バイアス信号のうちの一方が第3無線周波数信号に関連する第3ベースバンド信号の包絡線に基づいている場合に、第3電力増幅器の入力を第1バス・ラインに選択的に結合し、第2電源電圧及び第2バイアス信号のうちの一方が第3ベースバンド信号の包絡線に基づいている場合に、第3電力増幅器の入力を第2バス・ラインに選択的に結合し、第3電源電圧及び第3バイアス信号のうちの一方が第3ベースバンド信号の包絡線に基づいている場合に、第3電力増幅器の入力を第3バス・ラインに選択的に結合するステップを更に含む。
【0110】
上述した詳細な実施例及び図面の1つ以上と共に言及及び説明された態様及び特徴は、他の実施例の同様の特徴と置き換えるために、又は特徴を他の実施例に追加的に導入するために、1つ以上の他の実施例と組み合わせられる可能性がある。
【0111】
明細書及び図面は、本開示の原理を単に示しているに過ぎない。更に、本明細書に記載されている全ての実施例は、本開示の原理及び発明者が技術進歩に貢献した概念を読者が理解することを支援するための教育的な目的のみのために原則として明示的に意図されている。本明細書において、開示の原理、態様、及び実施例、並びにそれらの特定の実施例を記述する全ての記載は、それらの均等物を包含するように意図されている。
【0112】
ブロック図は、例えば、本開示の原理を実装する上位レベル回路図を図示する可能性がある。同様に、フローチャート、流れ図、状態遷移図、疑似コードなどは、種々のプロセス、オペレーション又はステップを表すことができ、これらは、例えば、コンピュータ又はプロセッサが明示的に示されているか否かにかかわらず、コンピュータ読み取り可能な媒体において実質的に表現され、コンピュータ又はプロセッサによって実行される可能性がある。明細書又は特許請求の範囲に開示されている方法は、これらの方法の各自の動作の各々を実行するための手段を有する装置によって実現される可能性がある。
【0113】
明細書又は特許請求の範囲に開示された複数の動作、方法、オペレーション、ステップ又は機能の開示は、例えば、技術的な理由のために明示的又は暗示的に別段の言及がない限り、特定の順序の中に収まるべきであると解釈されてはならないことが理解されるべきである。従って、複数の動作又は機能の開示は、そのような動作又は機能が技術的な理由により互換性がない場合を除き、特定の順序に限定されるものではない。更に、幾つかの例では、単一の動作、機能、プロセス、オペレーション又はステップはそれぞれ複数のサブ動作、サブ機能、サブ・プロセス、サブ・オペレーション、又はサブ・ステップを含んでもよいし、あるいはそれらに分割されてもよい。明示的に除外されない限り、このようなサブ動作は、この単独の動作の開示の一部に包含される可能性がある。
【0114】
更に、以下の特許請求の範囲は詳細な説明に組み込まれており、ここで各請求項は別個の実施例としてそれ自体成立する可能性がある。各請求項は個々の実施例としてそれ自体成立し得るが、次のことに留意すべきである:特許請求の範囲において従属請求項は1つ以上の他の請求項との具体的な組み合わせを指す可能性があるが、他の実施例はまた、従属請求項と他の従属又は独立請求項各々の対象事項との組み合わせを包含する可能性がある。このような組み合わせは、特定の組み合わせが意図されていないと言及されていない限り、本明細書において明示的に提案される。更に、この請求項が独立請求項に直接的に従属していなかったとしても、他の任意の独立請求項に対する請求項の特徴も含むことが意図されている。