(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-14
(45)【発行日】2022-10-24
(54)【発明の名称】再生式蓄熱装置の動作方法及び蓄熱装置
(51)【国際特許分類】
F28D 19/04 20060101AFI20221017BHJP
【FI】
F28D19/04 Z
(21)【出願番号】P 2020558529
(86)(22)【出願日】2019-04-16
(86)【国際出願番号】 EP2019059804
(87)【国際公開番号】W WO2019201918
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-04-21
(31)【優先権主張番号】102018003162.5
(32)【優先日】2018-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520403200
【氏名又は名称】カーボン-クリーン テクノロジーズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100171675
【氏名又は名称】丹澤 一成
(72)【発明者】
【氏名】クノップ クラウス
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-537269(JP,A)
【文献】特開2005-257161(JP,A)
【文献】特開2000-179984(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0252232(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105928405(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 19/00 - 20/02
F02C 6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生式蓄熱装置(9)の動作方法であって、前記蓄熱装置(9)は、キャリアガス(3)を加熱するため
の少なくとも1つのガスヒータ(2)と、複数の熱ストレージモジュール(5)を含む熱ストレージ列(4)と、少なくとも1つの圧縮機(6)とを有し、負荷サイクル中に、前記ガスヒータ(2)において加熱されたキャリアガス(3)
が前記熱ストレージ列(4)の複数の後続の熱ストレージモジュール(5~8)を通過して、前記加熱されたキャリアガス(3)から前記熱ストレージモジュール(5~8)の蓄熱材への熱伝達によって前記熱ストレージモジュール(5~8)に熱負荷が与えられて前記キャリアガス(3)が負荷中に冷却され、熱ストレージモジュール(5~7)に負荷を与えた後の前記キャリアガスの温度が前記熱ストレージ列(4)内の後続の熱ストレージモジュール(6~8)の最低負荷温度に到達し又はこれを上回る場合、前記キャリアガス(3)が負荷のために前記後続の熱ストレージモジュール(6~8)に供給され、前記キャリアガスの温度が前記後続の熱ストレージモジュール(6~8)の最低負荷温度を下回る場合、前記キャリアガス(3)の循環が行われて、前記再循環中に前記キャリアガス(3)が前記圧縮機(6)に供給され、圧縮後に前記キャリアガス(3)が前記ガスヒータ(2)に戻されて新たに加熱され、前記圧縮機入口における許容設定点温度を上回る最低負荷温度が選択され、前記キャリアガスの温度が前記圧縮機入口における前記許容設定点温度を上回る場合、前記キャリアガス(3)は、前記再循環中に前記圧縮機(6)に入る前に冷却される、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記最低負荷温度は、250℃を
上回る、
請求項1に記載の
方法。
【請求項3】
前記循環中に
、前記キャリアガス(3)を冷却するために、前記キャリアガス(3)の前記流路内の前記熱ストレージ列からの前記出口の後であって前記圧縮機(6)の上流に少なくとも1つの伝熱装置(10)が設けられる、
請求項1又は2に記載の
方法。
【請求項4】
前記キャリアガス(3)は
、前記ガスヒータ(2)に戻った圧縮キャリアガス(3)への熱伝達によって、60℃以上
の温度に冷却される、
請求項1から3の1項に記載の
方法。
【請求項5】
前記キャリアガス(3)を前記圧縮機入口における前記所望の温度に冷却するために、前記キャリアガス(3)の前記流路内の前記伝熱装置(10)の後であって前記圧縮機(6)の手前に少なくとも1つのクーラー(13)が設けられる、
請求項1から4の1項に記載の
方法。
【請求項6】
前記圧縮機入口における前記設定点温度は70℃未満で
ある、
請求項1から5の1項に記載の
方法。
【請求項7】
前記キャリアガス(3)は、前記キャリアガス温度を制御
するために、前記循環中に熱ストレージモジュール(5~8)からの前記出口の後であって前記圧縮機(6)への前記入口の手前で前記ガスヒータ(2)からの高温キャリアガス(3)と混合される、
請求項1から6の1項に記載の
方法。
【請求項8】
蓄熱装置(9)であって、キャリアガス(3)
を加熱するための少なくとも1つのガスヒータ(2)と、複数の熱ストレージモジュール(5~8)を含む少なくとも1つの熱ストレージ列(4)と、少なくとも1つの圧縮機(6)とを備え、負荷サイクル中に、前記ガスヒータ(2)において加熱されたキャリアガス(3)
が前記熱ストレージ列(4)の複数の後続の熱ストレージモジュール(5~8)を流れて、前記加熱されたキャリアガス(3)から前記熱ストレージモジュール(5~8)の蓄熱材への熱伝達によって前記熱ストレージモジュール(5~8)に熱負荷を与えることができ、前記負荷サイクル中に、前記キャリアガス(3)の循環が行われて、負荷中
に前記熱ストレージ列(4)の複数の後続の熱ストレージモジュール(5~8)を流れた後に冷却されたキャリアガス(3)を前記圧縮機(6)に供給し、前記圧縮機(6)を介して前記ガスヒータ(2)に戻すことができ、前記キャリアガス(3)の前記流路内に、前記循環中に前記圧縮機(6)に入る前に前記キャリアガス(3)を冷却するための、前記熱ストレージ列(4)と前記圧縮機(6)との間に配置された少なくとも1つの伝熱装置(10、13)が設けられる、
ことを特徴とする蓄熱装置(9)。
【請求項9】
加熱されたキャリアガス(3)
の熱を利用して熱電貯蔵発電所において発電を行うことによって
電気エネルギーの生成における負荷ピークのバランスを保つ方法であって、前記
熱電貯蔵発電所は、少なくとも1つのガスヒータ(2)と、複数の熱ストレージモジュール(5~8)を含む熱ストレージ列(4)と、少なくとも1つの圧縮機(6)とを含む再生式蓄熱装置(9)を有し、前記再生式蓄熱装置(9)は、
請求項1から7の1項に記載の方法に
従って動作し、前記方法は、
少なくとも1つのガスヒータ(2)においてキャリアガス
(3)を加熱するステップと、
前記ガスヒータ(2)において加熱された前記キャリアガス(3)から前記熱ストレージモジュール(5~8)の蓄熱材への放熱によって、前記
熱電貯蔵発電所の複数の熱ストレージモジュール(5~8)のうちの少なくとも1つの熱ストレージモジュール(5~8)に熱負荷を与えるステップと、
複数の熱ストレージモジュール(5~8)の遅延放熱を行い、少なくとも1つの熱ストレージモジュール(5~8)に低温キャリアガス
(3)を流し、前記蓄熱材から前記低温キャリアガス(3)に熱を伝えて前記キャリアガス(3)を加熱するステップと、
前記少なくとも1つの熱ストレージモジュール(5~8)の前記放出中に加熱された前記キャリアガス(3)を利用
して、蒸気動力プロセスにおいて発電を
行うステップと、
を含む特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生式蓄熱装置の動作方法であって、蓄熱装置が、キャリアガスを加熱するための、特に空気を加熱するための少なくとも1つのガスヒータと、複数の熱ストレージモジュールを含む熱ストレージ列と、少なくとも1つの圧縮機とを含み、負荷サイクル中に、ガスヒータにおいて加熱されたキャリアガスが少なくとも1つの熱ストレージモジュール、好ましくは熱ストレージ列の複数の後続の熱ストレージモジュールを通過して、加熱されたキャリアガスから熱ストレージモジュールの蓄熱材への熱伝達によってこれらの熱ストレージモジュールに熱負荷が与えられてこのキャリアガスが負荷中に冷却され、熱ストレージモジュールに負荷を与えた後のキャリアガスの温度が熱ストレージ列内の後続の熱ストレージモジュールの最低負荷温度に到達し又はこれを上回る場合、低温キャリアガスが負荷のために後続の熱ストレージモジュールに供給され、キャリアガスの温度が後続の熱ストレージモジュールの最低負荷温度を下回る場合、キャリアガスの循環が行われて、循環中にキャリアガスが圧縮機に供給され、圧縮後にキャリアガスがガスヒータに戻されて新たに加熱される、方法に関する。
【0002】
さらに、本発明は、上述したタイプの方法に従って動作するように設計及び/又は構成された蓄熱装置であって、キャリアガスを、特に空気を加熱するための少なくとも1つのガスヒータと、複数の熱ストレージモジュールを含む少なくとも1つの熱ストレージ列と、少なくとも1つの圧縮機とを備え、負荷サイクル中に、ガスヒータにおいて加熱されたキャリアガスが少なくとも1つの熱ストレージモジュール、好ましくは熱ストレージ列の複数の後続の熱ストレージモジュールを流れて、加熱されたキャリアガスから熱ストレージモジュールの蓄熱材への熱伝達によってこれらの熱ストレージモジュールに熱負荷を与えることができ、負荷サイクル中に、キャリアガスの再循環が行われて、負荷中に少なくとも1つの熱ストレージモジュールを流れた後に、好ましくは熱ストレージ列の複数の後続の熱ストレージモジュールを流れた後に冷却されたキャリアガスを圧縮機に供給し、圧縮機を介してガスヒータに戻すことができる、蓄熱装置にも関する。
【0003】
最後に、本発明は、電気エネルギーの生成における負荷ピークのバランスを保ち、及び/又は特に加熱されたキャリアガスの熱を利用して熱電貯蔵発電所において発電を行うことによって電気エネルギーを分散生成し、及び/又は加熱されたキャリアガスの熱を利用してプロセス蒸気を生成し、及び/又は地域暖房を生成し、及び/又は予熱プロセスに熱を注入する方法であって、貯蔵発電所が再生式蓄熱装置を有し、再生式蓄熱装置が上述した通りに動作する方法に関する。この文脈では、負荷ピークのバランスを保ち、及び/又電気エネルギーを分散生成し、及び/又は加熱されたキャリアガスの熱を利用する方法が、
少なくとも1つのガスヒータにおいてキャリアガス、特に熱風を加熱するステップと、
ガスヒータにおいて加熱されたキャリアガスから熱ストレージモジュールの蓄熱材への放熱によって、貯蔵発電所の複数の熱ストレージモジュールのうちの少なくとも1つの熱ストレージモジュールに熱負荷を与えるステップと、
少なくとも1つの熱ストレージモジュール、好ましくは複数の熱ストレージモジュールの遅延放熱を行い、少なくとも1つの熱ストレージモジュールに低温キャリアガス、特に冷気を流し、蓄熱材から低温キャリアガスに熱を伝えてキャリアガスを加熱するステップと、
少なくとも1つの熱ストレージモジュールの放出中に加熱されたキャリアガスを利用して発電を行い、及び/又はプロセス蒸気を生成し、及び/又は地域暖房を行い、及び/又は熱を結合させるステップと、
を含む。
【背景技術】
【0004】
再生可能エネルギーの拡充は、電力市場における発電構造の変化をもたらす。今後は、風力、バイオマス及び光起電力技術などの再生可能エネルギー源からの供給依存型電気エネルギーが電力供給の大部分を占めるようになる。しかしながら、再生可能エネルギー源からの発電に利用できる技術では正確な発電量の予測が限られているため、異なる時間スケールでの、すなわち一日の間の季節的変動から短期変動までの変動が発生する。これらの変動は、電力需要において発生する変動を増幅し、負荷ピークを補償する必要性を高める。現在では、一般に異なる発電及び蓄電技術のオペレータによって取引が行われる異なる電力市場を介してピーク負荷のバランスが保たれている。また、エネルギーシステムは、化石及び再生可能エネルギー源からの電気エネルギーの集中型生成から分散型生成への移行に直面している。この結果、ネットワーク安定化のタスクが送電網レベルから配電網レベルにますますシフトしているため、ネットワークインフラに対する新たな需要が生じている。しかしながら、これまでのところ、ネットワークを能動的に制御するインフラはほとんど又は全く存在しない。
【0005】
独国特許出願公開第102014017346(A1)号からは、再生式蓄熱装置システムの一般的な動作手順が知られている。この既知のプロセスでは、熱電貯蔵発電所における発電に加熱キャリアガス、特に熱風からの熱を使用し、最初に貯蔵発電所の少なくとも1つのガスヒータにおいて空気などのキャリアガスを特定の目標負荷温度に加熱する。このキャリアガスを熱電貯蔵発電所の複数の熱ストレージモジュールの熱負荷に使用して、高温キャリアガスから熱ストレージモジュールの蓄熱材に熱を伝える(負荷サイクル)。熱ストレージモジュールに負荷を与えるのに十分な量の及び/又は十分に高い目標負荷温度の高温ガスを発生させるために、複数のガスヒータを使用することができる。ガスヒータにおいてキャリアガスを加熱する際の最大目標負荷温度は、1000℃~1300℃、好ましくは1100℃~1200℃とすることができる。
【0006】
熱ストレージ列の少なくとも1つの熱ストレージモジュールの時間遅延された最終放熱については、蓄えられた使用可能な熱又は熱ストレージモジュールの使用可能な熱含量が、低温キャリアガス、特に冷気の加熱に一般的方法で使用される。この目的のために、低温キャリアガスを少なくとも1つの熱ストレージモジュールに流して、蓄熱材からキャリアガスに熱を伝える(放出サイクル)。キャリアガスは、熱ストレージモジュールを流れる際に特定の放出温度に加熱される。熱伝達に必要な目標放出温度は、500℃~900℃、好ましくは600℃~800℃とすることができる。その後、放出サイクル中に発生した高温キャリアガスの熱を作動流体に伝え、これを例えば蒸気動力プロセスにおいて使用して発電を行うことができる。
【0007】
電気エネルギーを熱エネルギーに変換することによってガスヒータ内でキャリアガスを加熱し、この目的のためにガスヒータが少なくとも1つの電気加熱抵抗器を有することができる場合、本発明によるプロセス及び本発明による貯蔵発電所は、送電網における負荷管理に寄与することができ、これによって高発電かつ低電力需要時の負荷サイクル中には電気エネルギーが熱の形で蓄えられる。その後、ピーク負荷時には、少なくとも1つの熱ストレージモジュールを放出サイクルで放出し、このように生成された高温キャリアガスを使用して発電を行い、例えば蒸気動力プロセスのために水を蒸発させる。生成された電気エネルギーは、送電網にフィードバックすることができる。本発明による貯蔵発電所のオペレータは、システムサービスを提供して制御エネルギー市場に参加することができる。使用する熱ストレージモジュールは、電気エネルギーを熱の形で単純かつ安価に貯蔵可能にすることにより、電力を柔軟にかつ非常に短期間で、また短期間の高消費ピーク中に安価に利用可能にすることができる。
【0008】
さらに、独国特許出願公開第102014017346(A1)号の開示内容は、本発明の本明細書の開示内容に完全に含まれる。この開示内容は、特に独国特許出願公開第102014017346(A1)号に記載される蓄熱装置及び記載される蓄熱発電所の構造的なプラント関連の設計に関連する。
【0009】
熱ストレージモジュールを列状に設計して熱ストレージ列を形成し、ガスヒータ内で目標負荷温度に加熱されたキャリアガスを負荷サイクル中に熱ストレージ列の熱ストレージモジュールに流して熱ストレージモジュールを加熱する場合、負荷サイクルの開始時には、キャリアガスが熱ストレージ列の最初の熱ストレージモジュールを最初に低温状態のままにしておく。この熱ストレージモジュールの蓄積量の吸熱が高まるにつれ、熱ストレージモジュールから流出するキャリアガスの温度が上昇する。
【0010】
熱ストレージモジュールの出口のキャリアガスの温度が指定最低負荷温度に到達し又はこれを上回る場合、熱ストレージ列内の後続の熱ストレージモジュールにキャリアガスを供給し、これを使用してその熱ストレージモジュールに負荷を与える。このプロセスを、その後に負荷が与えられる熱ストレージ列の全ての熱ストレージモジュールについて繰り返す。その後、熱ストレージ列の最後に負荷を受けた熱ストレージモジュールからキャリアガスが放出され、例えば最低負荷温度の温度レベルまで冷却される。
【0011】
熱ストレージモジュールの負荷中にキャリアガスの温度が最低負荷温度未満に低下した場合、独国特許出願公開第102014017346(A1)号から知られている動作手順では、負荷サイクル中にキャリアガスを再循環させる。低温のキャリアガスは、圧縮機又は送風機に供給されて圧縮され、圧縮後にガスヒータに戻される。キャリアガスは、そこで再び加熱された後に、熱ストレージ列のさらなる負荷に使用される。
【0012】
再循環中に圧縮機にキャリアガスを供給できる最大温度には、材料及び体積に関連する圧縮機への入口温度の制限が伴い、通常は250℃未満、とりわけ約200℃である。また、キャリアガス温度が高くなると圧縮機の電力消費量も増加する。
【0013】
再循環中に圧縮機にキャリアガスが供給される最大温度は、熱ストレージモジュールに負荷を与えるために依然としてキャリアガスが使用される最低負荷温度をほんのわずかしか下回らない。この結果、許容最低負荷温度レベルにも許容圧縮機入口温度レベルが伴う。
【0014】
本出願人によるシミュレーション計算では、再生式蓄熱装置システムの既知の動作方法を使用して(熱ストレージモジュールの数に応じて)40%~60%の最大熱ストレージモジュール利用率を達成できることが確認された。このことは、蓄熱装置の循環動作(負荷/無負荷)を意味する。本発明によれば、「貯蔵タンク装置の利用率」は、例えば1,200℃での理論的最大可能エネルギー含量に基づく、貯蔵タンクの放出中に熱風の生成に積極的に利用できる貯蔵タンクのエネルギー含量を意味するものと理解される。再生式蓄熱装置システムの既知の動作方法ではこの利用率が低く、蓄積材料の大部分が熱エネルギーの能動的貯蔵に使用されないため、エネルギー貯蔵のコストが増加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】独国特許出願公開第102014017346号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、再生式蓄熱装置の動作方法、蓄熱装置、及び負荷ピークのバランスを保ち、及び/又は特に電気エネルギーを分散生成し、及び/又は加熱キャリアガスの熱を利用する方法を提供することであり、上述したタイプのいずれの場合にも、これらは蓄熱装置の動作モードの改善、特に蓄熱装置のシステムコンポーネントの機械的熱負荷が低い循環動作における蓄熱装置の利用率の高さを特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述した目的は、請求項1の特徴を有する再生式蓄熱装置の動作方法、請求項9の特徴を有する蓄熱装置、及び請求項10の特徴を有する、電気エネルギーの生成において負荷ピークのバランスを保ち、及び/又は特に電気エネルギーを分散生成し、及び/又は加熱キャリアガスからの熱を利用する方法によって達成される。本発明の有利な実施形態は、下位請求項の主題である。
【0018】
本発明による再生式蓄熱装置システムの動作方法では、圧縮機入口における許容目標温度を上回る、熱ストレージモジュールに負荷を与えるための最低キャリアガス負荷温度を決定又は指定する。キャリアガスは、熱ストレージモジュールに負荷を与えて熱ストレージモジュールから離れた後に少なくとも最低負荷温度を有する場合、独国特許出願公開第102014017346(A1)号から知られている熱ストレージ列の後続の熱ストレージモジュールに負荷を与えるためのプロセスと同様に使用される。しかしながら、キャリアガス温度が最低負荷温度を下回る場合、キャリアガスは圧縮機を介してガスヒータに循環され、再び加熱された後に熱ストレージ列の(別の)少なくとも1つの熱ストレージモジュールの負荷(チャージ)に使用される。本発明による動作手順を実行するために、測定装置、制御装置及び/又は調整装置が設けられる。この場合、負荷サイクル中に熱ストレージモジュールから出た後にキャリアガスの温度が測定され、指定最低負荷温度(設定点)と比較される。この結果、キャリアガスの温度に応じて、キャリアガスの体積流量及び流れ制御が好適な制御弁及び/又は調整弁によって制御及び/又は調整される。
【0019】
圧縮機への入口温度は、材料及び体積に起因する許容設定点温度に制限されるので、本発明では、再循環されるキャリアガスのキャリアガス温度が圧縮機入口における許容設定点温度を上回る場合、負荷サイクル中の循環中に再循環するキャリアガスを冷却する。
【0020】
発明の動作方法は、多くの利点を伴う。一方で、最低負荷温度が高ければ、説明する蓄積装置の最大利用率も高くなる。本発明に関連して行ったシミュレーション計算では、例えば5つの熱ストレージモジュール及び760℃の放出温度の場合に、蓄熱装置の最大利用率が最大85%に到達できることが証明された。さらなる熱ストレージモジュールは、この利用率を90%超にまで高めることができる。本発明によれば、蓄積材料の大部分を熱エネルギーの能動的貯蔵に使用できるので、蓄積装置の利用率が高まれば蓄熱コストも削減される。再循環するキャリアガスを圧縮機に入る前に冷却すると、より安価な機械を使用できるようになるとともに圧縮機の低い電力消費量も保証される。
【0021】
熱ストレージ列の最後の熱ストレージモジュールの出口におけるキャリアガス温度は、最低負荷温度に対応できることが好ましい。この温度は、負荷のために最後の熱ストレージモジュールに供給されるキャリアガスの体積流量を適切に制御及び/又は調整することによって設定することができる。
【0022】
放出サイクルでは、具体的には冷気である低温キャリアガスが熱ストレージ列の少なくとも1つの熱負荷を受けた熱ストレージモジュール、好ましくは熱ストレージ列の複数の後続の熱ストレージモジュールを通過し、低温キャリアガスへの熱伝達によってこれらの熱ストレージモジュールが放熱され、熱ストレージモジュールの放熱中に低温キャリアガスが加熱され、その後にさらなる使用、特に電気エネルギーの生成及び/又は熱利用のために使用することができる。
【0023】
本発明によれば、最低負荷温度は250℃を上回り、好ましくは350℃を上回り、さらに好ましくは350℃~600℃であり、特に好ましくは約400℃~500℃であることができる。圧縮機入口における最低負荷温度と設定点温度との間の温度差は、好ましくは100℃を上回り、さらに好ましくは150℃を上回ることができる。これにより、貯蔵タンク装置の放出時にもさらに高温に達することができ、従って高利用率を達成することができる。
【0024】
本発明による蓄熱装置では、キャリアガスの流路内に、循環中にキャリアガスを冷却するための、熱ストレージ列と圧縮機との間に配置された少なくとも1つの伝熱装置が設けられる。キャリアガスは、圧縮キャリアガスがガスヒータに入る前に予熱されるように、ガスヒータに戻った圧縮キャリアガスへの熱伝達によって再循環プロセス中に冷却されることが好ましい。復熱装置による間接的熱伝達を行うことにより、圧縮機入口の手前及び圧縮機出口後の冷却ループを介して、再循環されるキャリアガス間の熱伝達を行うこともできる。冷却剤として熱媒油を使用することができる。また、熱伝達は、好ましくは短い切り替え時間を可能にするユングストローム再生器などの回転式熱交換器である再生器を使用して行うこともできる。直接的な熱交換及び再生器を介した熱交換では、さらに高い最低負荷温度が可能になり、これによってさらに利用率が高まるとともに、貯蔵システムの放出時の温度も高くなる。
【0025】
復熱装置及び/又は再生器を使用する際には、400℃を上回る最低負荷温度を指定することができる。一方で、熱媒油を冷却剤として使用する冷却回路を介した熱交換は、400℃未満の最低負荷温度を可能にすることができる。
【0026】
キャリアガスが圧縮機に入る前に、再循環するキャリアガスの多段冷却を行うこともできる。この文脈では、ガスヒータに戻った圧縮キャリアガスへの熱伝達によって、例えば60℃を上回る、好ましくは80℃~100℃の温度などの、圧縮機入口における設定点温度を上回る温度までしかキャリアガスを冷却することができない。圧縮機の上流の上述したタイプの第1の伝熱装置の後の冷却キャリアガスの流路内に少なくとも1つのさらなる熱交換装置を設けて、ガスヒータに戻った圧縮キャリアガスへの熱伝達後にキャリアガスがこのさらなる伝熱装置において圧縮機入口における設定温度まで冷却されるようにすることができる。従って、圧縮機入口における所定の設定温度を安全に維持することができる。このさらなる伝熱装置は、例えば間接的熱伝達の場合にキャリアガスからの熱が冷却剤、特に水に伝達される復熱装置とすることができる。
【0027】
圧縮機入口における目標温度は、70℃未満、好ましくは60℃未満、さらに好ましくは50℃以下とすることができる。
【0028】
また、本発明のさらなる好ましい実施形態では、キャリアガスの温度を制御するために、再循環されるキャリアガスが、再循環システムでの負荷サイクル中に圧縮機に入る前に、ガスヒータからの高温キャリアガスと組み合わせられる。特に、再循環サイクル中に圧縮機に供給されるキャリアガスの温度を基本的に一定に保つことができ、これによって圧縮機の制御が単純化される。また、キャリアガスが実質的に一定の温度レベルでガスヒータに供給され、このことも有利である。
【0029】
以下の図面に基づく設計例の説明及び図面自体からは、本発明のさらなる特徴、利点及び可能な用途が明らかになる。説明する及び/又は図形で表す全ての特徴は、特許請求の範囲におけるこれらの要約又はこれらの逆の関係にかかわらず、単独で又はいずれかの組み合わせで本発明の主題を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】再生式蓄熱装置の既知の動作プロセスの概略的プロセスフローチャートである。
【
図2】本発明による再生式蓄熱装置の動作プロセスの概略的プロセスフローチャートである。
【
図3】本発明の第1の実施形態によるプロセスにおいて循環キャリアガスを冷却する伝熱装置の概略的プロセスフローチャートである。
【
図4】本発明の第2の実施形態によるプロセスにおいて循環キャリアガスを冷却する伝熱装置の概略的プロセスフローチャートである。
【
図5】本発明の第3の実施形態によるプロセスにおいて循環キャリアガスを冷却する伝熱装置の概略的プロセスフローチャートである。
【
図6】蓄熱装置の蓄積列の第1の熱ストレージモジュールの負荷中の、
図2に示す再生式蓄熱装置の動作プロセスの概略的部分プロセスフロー図である。
【
図7】蓄熱装置の蓄積列の第1の熱ストレージモジュール及び後続の第2の熱ストレージモジュールの負荷中の、
図2に示す再生式蓄熱装置の動作方法の概略的部分プロセスフロー図である。
【
図8】熱ストレージ列において後続する蓄熱装置の蓄積列の第2の熱ストレージモジュール及び第3の熱ストレージモジュールの負荷中の、
図2に示す再生式蓄熱装置の動作方法の概略的部分プロセスフロー図である。
【
図9】熱ストレージ列において後続する蓄熱装置の蓄積列の第3の熱ストレージモジュール及び第4の熱ストレージモジュールの負荷中の、
図2に示す再生式蓄熱装置の動作方法の概略的部分プロセスフロー図である。
【
図10】熱ストレージ列の最後の熱ストレージモジュールの最終負荷のための、
図2に示す本発明に関連するプロセスの概略的部分プロセスフローチャートである。
【
図11】熱ストレージ列の少なくとも2つの熱ストレージモジュールの最終負荷のための、
図2に示す本発明に関連するプロセスの概略的部分プロセスフローチャートである。
【
図12】熱ストレージモジュールの最低負荷温度を高め、キャリアガスが熱ストレージ列から離れた後に圧縮機の手前でキャリアガスを冷却することによって、熱ストレージ列の利用率が高まることを示す温度プロファイルである。
【
図13】熱ストレージモジュールの最低負荷温度を高め、キャリアガスが熱ストレージ列から離れた後に圧縮機の手前でキャリアガスを冷却することによって、熱ストレージ列の利用率が高まることを示す温度プロファイルである。
【
図14】熱ストレージモジュールの最低負荷温度を高め、キャリアガスが熱ストレージ列から離れた後に圧縮機の手前でキャリアガスを冷却することによって、熱ストレージ列の利用率が高まることを示す温度プロファイルである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1に、具体的には空気であるキャリアガス3を加熱するための少なくとも1つのガスヒータ2と、一例として直列に接続された4つのさらなる熱ストレージモジュール5~8を有する熱ストレージ列4とを含む既知の蓄熱装置1を示す。言うまでもなく、4つの熱ストレージモジュール5~8よりも多くの又は少ない熱ストレージモジュールで熱ストレージ列4を形成することもできる。
【0032】
送風機又は圧縮機6も設けられる。
【0033】
蓄熱装置1は、開示書類である独国特許出願公開第102014017346(A1)号に記載される蓄熱装置に対応することができ、この開示書類に記載される手順に従って動作することができる。独国特許出願公開第102014017346(A1)号の開示内容は、蓄熱装置1のタイプ及び設計、並びに既知の動作手順の両方に関して本明細書の開示内容に完全に含まれる。
【0034】
熱ストレージモジュール5~8の負荷サイクル中又は負荷プロセス中には、1,000℃を上回る、具体的には1,200℃の高温加熱空気が、例えば電気的に加熱されたガスヒータ2からのキャリアガス3として最初に熱ストレージ列4の第1の蓄熱熱ストレージモジュール5に入る。キャリアガス3からの熱は、熱ストレージモジュール5を流れるにつれて蓄積材料に伝わる。キャリアガス3は、最初に第1の熱ストレージモジュール5を低温のままにしておくことができる。
【0035】
第1の熱ストレージモジュール5が満たされるにつれて、熱ストレージモジュール5の出口におけるキャリアガス3の温度が上昇し、すなわち熱ストレージモジュール5から離れる空気は、第1の熱ストレージモジュール5の負荷が高まるにつれて温度を変化させる。第1の熱ストレージモジュール5の負荷後にキャリアガス温度Tが熱ストレージ列4内の後続の熱ストレージモジュール6の指定最低負荷温度TMを上回る場合、或いは少なくとも最低負荷温度TMに達している場合、キャリアガス3は、負荷のために後続の熱ストレージモジュール6に供給される。一方で、キャリアガス温度Tが最低負荷温度TMを下回る場合にはキャリアガス3の再循環が行われ、これによってキャリアガス3が圧縮機6に供給され、圧縮後にガスヒータ2に戻されて新たに加熱され、その後に熱ストレージモジュール5~8の(さらなる)負荷に使用される。
【0036】
既知のプロセスでは、圧縮機6の入口における材料及び体積に関連する目標温度の制限によって最低負荷温度が決定され、例えばこの温度は200℃~250℃とすることができる。
【0037】
上述した後続の熱ストレージモジュール6~8の負荷は、説明した熱ストレージモジュール5の負荷手順に対応する。最後の熱ストレージモジュール8の出口におけるキャリアガス3の温度Tは、最低負荷温度TMに対応することができる。
【0038】
図2に、再生式蓄熱装置9の新たな動作方法を示しており、ここでは
図1及び
図2に示す蓄熱装置1、9と構造的及び/又は機能的に同一のユニット、装置又はアセンブリを同じ参照記号で識別する。
【0039】
図1に示す既知の蓄熱装置1とは異なり、
図2の蓄熱装置9は、熱ストレージ列4と圧縮機6との間のキャリアガス3の流路内に、概略的に示す伝熱装置10を有する。これにより、再循環するキャリアガス3を圧縮機6に入る前に冷却し、従って熱ストレージ列4内の第1の熱ストレージモジュール5の後にさらなる熱ストレージモジュール6、7、8に負荷を与える際に例えば400℃以上のさらに高い最低負荷温度TMを提供することができ、これによって最低負荷温度が圧縮機入口における許容目標温度を上回るようになる。圧縮機の入口温度は、例えばわずか50℃~60℃とすることができる。
【0040】
図2に示す蓄熱装置9でも、キャリアガス温度Tが後続の熱ストレージモジュール6、7、8の最低負荷温度TMを下回る場合、負荷サイクル中にキャリアガス3の循環が行われ、循環中にキャリアガス3が圧縮機6に供給され、圧縮後にガスヒータ2に戻されて新たに加熱される。材料及び/又は体積に関連する圧縮機6への入口温度の制限を満たして低い圧縮機入口温度を達成するために、キャリアガス温度Tが圧縮機入口における特定の設定点温度を上回る場合、キャリアガス3は、再循環プロセス中に圧縮機6に入る前に伝熱装置10内で冷却される。
図1で説明した既知の動作方法と比べて最低負荷温度TMを高めることによってさらに高い蓄熱装置9の利用率を達成することができ、すなわちガスヒータ2からの出口における一定の加熱キャリアガス3の温度での理論的に可能なエネルギー含量又は最大可能エネルギー含量に対する貯蔵ユニットの実際に利用可能なエネルギー含量の割合を高めることができる。従って、新たな動作方法での蓄熱装置9の利用率は80%を上回り、好ましくは85%を上回り、とりわけ90%を上回ることができる。
【0041】
また、
図2から分かるように、キャリアガス3は、ガスヒータ2に戻る圧縮キャリアガス3への熱伝達によって伝熱装置10内で冷却される。熱ストレージ列4からの(圧縮機6に供給される前の)暖かいキャリアガス3と(圧縮機6から離れた後の)冷たいキャリアガス3との間の熱伝達は、熱透過壁(
図3)によってキャリアガス流を空間的に分離し、又は冷却剤ループ11をもたらし(
図4)、熱媒油を冷却剤として使用できる(単複の)復熱装置によって間接的に実行することができる。
図5によれば、この熱伝達は、時間遅延を伴って2つのキャリアガス流を蓄熱器に接触させる半間接的なものとすることもできる。このクラスの熱交換器は再生器である。
図2~
図5には、伝熱装置10内で伝えられる熱流を矢印12によって概略的に示す。
【0042】
キャリアガス3をさらに冷却して、圧縮機6に入る前のキャリアガス3が圧縮機入口の設定温度を超えないことを確実にするために、圧縮機6の手前のキャリアガス3の流路内に少なくとも1つのクーラー13を設けることもできる。
【0043】
図2にさらに示すように、ガスヒータ2からの高温キャリアガス3、及び後続の熱ストレージモジュール6、7、8に負荷を与えるための最低負荷温度を下回るキャリアガス温度を有する、熱ストレージモジュール5~8から再循環するキャリアガス3は、制御弁14を介して混合される。キャリアガスの体積流量は、例えば最低負荷温度の範囲内の、さらに例えば約400℃~500℃の範囲内の一定温度が混合点において達成されるように互いに整合される。キャリアガス3が伝熱装置10に入る手前には、キャリアガス3の温度の測定と、混合点における制御弁14によるキャリアガス温度の制御とを行う温度測定装置15を設けることができる。この結果、キャリアガス3は、圧縮機入口の設定点温度を上回る一定の温度レベルで伝熱装置10に供給され、例えば圧縮機6からのさらに冷たいキャリアガス3との対向流で冷却することができる。その後、このようにして予熱された圧縮キャリアガス3を、ガスヒータ2を介して再び熱ストレージ列に結合して(さらなる)負荷に使用することができる。
【0044】
キャリアガス温度を一定に保つことにより、圧縮機6のプロセス工学的要件及び制御労力が軽減される。また、ガスヒータ2の上流の一定のキャリアガス温度3は、ガスヒータ2の動作モード及びコストに好影響を与える。
【0045】
図6~
図10に、
図2に示す蓄熱装置9の熱ストレージ列4の負荷を概略的に示しており、
図6は、熱ストレージ列4の第1の熱ストレージモジュール5の負荷を表し、
図7は、最初の2つの熱ストレージモジュール5、6の負荷を表し、
図8は、第2の熱ストレージモジュール6及び第3の熱ストレージモジュール7の負荷を表す。
図8に示す負荷状態では、第1の熱ストレージモジュール5は既に完全に負荷を受けており、600~1,000℃の、好ましくは800℃の蓄積温度を有することができる。
図8には、第1の熱ストレージモジュール5が既に完全に負荷を受けている時の、第1の熱ストレージモジュール5を通過したキャリアガス3の迂回路を示す。その後、熱ストレージモジュール5は停止する。原則として、迂回路ガイドを設けずに、たとえ既に完全に負荷を受けている場合でも、依然として高温キャリアガス3が熱ストレージモジュール5~7を流れることも可能である。これにより、負荷を受けた熱ストレージモジュール5~7の蓄積温度を指定目標温度に保つことができる。
【0046】
図9には、最初の2つの熱ストレージモジュール5、6が既に完全に負荷を受けた第3の熱ストレージモジュール7及び第4の熱ストレージモジュール8の負荷プロセスを示す。ここでも、完全に負荷を受けた2つの熱ストレージモジュール5、6を通過したキャリアガス3のルートを必ずしも迂回路ガイドによって設定する必要はない。キャリアガス流は、特に伝熱装置10に入る前に測定されたキャリアガス温度に応じて、好ましくは制御可能である好適な弁によって導かれる。
【0047】
図10及び
図11には、熱ストレージ列4の放出の一例及び概略図を示しており、
図10には熱ストレージ列の最後の熱ストレージモジュール8の放出を示し、
図11には最後の2つの熱ストレージモジュール7、8の放出を示す。放出プロセス中には、最後の熱ストレージモジュール8から開始して低温キャリアガス3が熱ストレージ列4を流れ、図示の消費者18に加熱キャリアガス3が供給される。消費者18に供給される高温キャリアガス3の温度を測定するさらなる温度測定装置17が設けられる。高温キャリアガス3の温度の制御及び/又は調整は、個々の熱ストレージモジュール7、8からのキャリアガス3の体積流量を決定する制御弁16を介して行うことができる。放出プロセスは、基本的に独国特許出願公開第102014017346(A1)号に記載されるように行うことができる。
【0048】
放出中に加熱されたキャリアガス3は、発電のために蒸気動力プロセスにおいて、特にガス膨張プロセスと組み合わせて使用することができ、及び/又は放出プロセス中に取得された高温キャリアガス3は、プロセス蒸気及び/又は地域熱生成のために、及び/又は予熱プロセスに熱を注入するために使用することができる。
【0049】
図6~
図9に示すように、キャリアガス3は、後続の熱ストレージモジュール6、7、8の、及び後続の熱ストレージモジュール6(
図6)、7(
図7)、8(
図8)に負荷を与えるための指定最低負荷温度を下回り、代わりに回路内で伝熱装置10、13を介して圧縮機6に供給されて圧縮され、その後にガスヒータ2に戻される場合、ガスヒータ2からの高温キャリアガス3と混合される。
図9によれば、キャリアガス3は、好ましくは最低負荷温度に対応する、或いはこれよりも高い又は低い温度とすることができるキャリアガス温度で熱ストレージ列4の最後の熱ストレージモジュール8から排出される。いずれの場合にも、伝熱装置10、13は、キャリアガス3が設定温度まで冷却された後に圧縮機入口に存在することを確実にする。一方で、熱ストレージ列4の最後の熱ストレージモジュール8の出口におけるキャリアガス温度が最低負荷温度未満の温度レベルである場合、伝熱装置10に入る前に、ガスヒータ2からの高温キャリアガス3を供給することによって一定のさらに高いキャリアガス温度、とりわけ最低負荷温度を設定することができる。このことは、他の熱ストレージモジュール5、6、7にも適宜に当てはまる。
【0050】
キャリアガス温度が熱ストレージ列4のそれぞれの下流の熱ストレージモジュール6、7、8の最低負荷温度を下回り、再加熱のためにキャリアガス3の循環が必要である場合、上流の熱ストレージモジュール5、6、7のうちの1つからのキャリアガス3の混合にも同じことが当てはまる。熱交換モジュール5~8から排出されるキャリアガス3は、ガスヒータ2からの高温キャリアガス3と混合することによって加熱することができ、伝熱装置10に入る前に所定の、特に一定のキャリアガス温度を設定することができる。
【0051】
図12~
図14に、シミュレーション結果に基づいて、再循環プロセス中にキャリアガス3が熱ストレージ列4から離れた後、伝熱装置10内の圧縮機6に入る手前で上述したようにキャリアガス3を冷却することにより、特にガスヒータ2に戻った圧縮キャリアガス3への熱伝達によって熱ストレージ列のエネルギー利用率が大幅に増加し得ることを示しており、このことは対応する必要な蓄積量の減少に関連する。
【0052】
図12には、圧縮機に入る前にキャリアガスを冷却しない場合の、5つの蓄熱器を含む蓄熱装置の温度プロファイルを示す。負荷の最後又は熱ストレージ列からの出口及び圧縮機への入口に対するキャリアガスの最大温度差は150℃である。35%の利用率を特定することができる。蓄熱タンク列が最終的に消費目的で負荷を受けると、キャリアガスは760℃の温度に達する。
【0053】
図13には、サイクル中に圧縮機に入る前に伝熱装置内で圧縮キャリアガスへの熱伝達によって上述したようにキャリアガスを冷却した場合の、5つの蓄熱器を含む蓄熱装置の温度プロファイルを示す。熱ストレージアレイが負荷を受けると、キャリアガスは500℃の温度で排出され、この温度レベルで伝熱装置に供給される。圧縮機の入口温度は、例えば50℃の一定である。84%の利用率を特定することができる。無負荷中のキャリアガスの温度は760℃である。
【0054】
図14には、やはりサイクル中に圧縮機に入る前に伝熱装置内でガスヒータに戻った圧縮キャリアガスへの熱伝達によってキャリアガスを冷却した場合の、5つの蓄熱器を含む蓄熱装置の温度プロファイルを示す。熱ストレージ列からのキャリアガスの出口温度は500℃である。キャリアガスは、この温度レベルで伝熱装置に供給される。例えば、圧縮機に対する温度は一定の50℃である。76%の利用率を特定することができる。放出時のキャリアガスの温度は950℃であり、これにより消費者に対して長期にわたって高温レベルを維持することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 蓄熱装置
2 ガスヒータ
3 キャリアガス
4 熱ストレージ列
5 熱ストレージモジュール
6 熱ストレージモジュール
7 熱ストレージモジュール
8 熱ストレージモジュール
9 蓄熱装置
10 伝熱装置
11 冷却剤ループ
12 熱流
13 クーラー
14 弁
15 温度測定装置
16 弁
17 温度測定装置
18 消費者