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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-14
(45)【発行日】2022-10-24
(54)【発明の名称】カードリーダー
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/00 20060101AFI20221017BHJP
   G06F 3/02 20060101ALI20221017BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20221017BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20221017BHJP
【FI】
G06K7/00 008
G06F3/02 F
G06K7/10 264
E05B49/00 B
E05B49/00 J
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021003934
(22)【出願日】2021-01-14
(62)【分割の表示】P 2017034643の分割
【原出願日】2017-02-27
(65)【公開番号】P2021073570
(43)【公開日】2021-05-13
【審査請求日】2021-02-08
(31)【優先権主張番号】P 2016040679
(32)【優先日】2016-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
(72)【発明者】
【氏名】増田 誠良
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 太郎
(72)【発明者】
【氏名】品川 英之
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 大介
(72)【発明者】
【氏名】持田 賢二
(72)【発明者】
【氏名】小島 拓朗
【審査官】三橋 竜太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/028203(WO,A1)
【文献】特開2000-172793(JP,A)
【文献】特開2009-205166(JP,A)
【文献】特開2004-355580(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/00-7/14
G06K 17/00
G06F 3/02
E05B 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が携帯するカード媒体に記録された情報を読取って所定の機器を作動させるカードリーダーに於いて、
カード読取面上に視認できる発光部で囲まれた領域内にカード読取部及び操作部が配置されるか、又は前記カード読取部が配置され
前記発光部は、分離された第1の発光部と第2の発光部により構成され、前記第1の発光部と前記第2の発光部により前記領域の周囲を囲んだことを特徴とするカードリーダー。
【請求項2】
利用者が携帯するカード媒体に記録された情報を読取って所定の機器を作動させるカードリーダーに於いて、
カード読取面の発光部で囲まれた領域内にカード読取部及び操作部が配置され、
前記操作部は、所定のスイッチシンボルが表示された透明パネルと、前記透明パネルの内側に配置される複数のスイッチを配列したスイッチシートとを積層配置して構成され、
前記スイッチシートの内側に前記発光部が配置されたことを特徴とするカードリーダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者が携帯するカード媒体に記録された利用者識別情報を読取って電気錠を解錠させる入退出管理システムに設けたカードリーダーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オフィスビルや工場等の施設にあっては、入退出管理システムが設置されている。入退出管理システムは、例えば建物の階毎に設置したローカル制御盤からの信号線に部屋の入り口扉の外側に設置されたカードリーダーを接続すると共に扉に設けた電気錠を接続している。ローカル制御盤は、伝送路を介して警備室などに設置されたセンター装置や総務部等の管理部門に設置されたクライアント装置に接続されている。
【0003】
施設や部屋等に出入りする社員等の在籍者は利用者識別情報を登録した例えば非接触ICカードを携帯しており、カードリーダーに非接触ICカードをかざすことで利用者識別情報を読取ってローカル制御盤に送り、ローカル制御盤で事前登録している利用者識別情報との照合一致が得られた場合に電気錠を解錠し、扉を開いて出入りできるようにしている。
【0004】
図10は従来のカードリーダーを示した説明図であり、図10(A)は正面を示し、図10(B)は埋込設置した側面を示す。
【0005】
図10に示すように、従来のカードリーダー100aは、内カバー102と本体104で構成され、本体104の表側となる操作表示面106の左下側にカード読取部108が配置され、それ以外の場所に、表示部と操作部が設けられている。表示部には、読取表示灯110、解錠表示灯112、警戒・発報表示灯114、戸締表示灯116及び電源灯118が設けられ、操作部には押釦スイッチを配列した警戒設定スイッチ120及び警戒解除スイッチ122が設けられている。
【0006】
カードリーダー100aは例えば埋込ボックス126により、電気錠を備えた扉を設けた出入口の外側の壁面に埋込み設置され、コネクタ128に対し信号線ケーブルを接続している。
【0007】
カードリーダー100aにより警戒モードを設定する場合は、警戒設定スイッチ120を操作し、続いて非接触ICカードをカード読取部108にかざして読取らせる。また、警戒解除モードを設定する場合は、警戒解除スイッチ122を操作し、続いて非接触ICカードをカード読取部108にかざして読取らせる。
【0008】
図11は従来のテンキーを備えたカードリーダーを示した説明図であり、図11(A)は正面を示し、図11(B)は埋込設置した側面を示す。
【0009】
図11に示すように、カードリーダー100bは、図10のカードリーダー100aに対し、更にテンキー124を追加しており、それ以外の操作部及び表示部の構成は、図10の場合と基本的に同じになる。カードリーダー100bも埋込ボックス126により電気錠を備えた扉を設けた出入口の外側の壁面に埋込み設置され、端子台130に対し図示しない信号線ケーブルを接続している。
【0010】
図11に示した従来のカードリーダー100bにあっては、警戒モード及び警戒解除モードの設定に加え、ファンクションキーの操作によりの所定のファンクションモードの設定をローカル制御盤に指示することができる。カードリーダー100bにより追加設定できるファンクションモードには、電気錠の連続解錠や連続施錠、部屋照明のオン、オフ、読取り鳴動音のオン、オフなどがある。
【0011】
カードリーダー100bにより追加されたファンクションモードを設定する場合には、テンキー124の中の設定しようとするファンクションモードに対応して予め定めた番号の数字キースイッチを長押し操作し、続いて非接触ICカードをカード読取部108にかざして読取らせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特開2002-298183号公報
【文献】特開2001-020574号公報
【文献】特開2012-089032号公報
【文献】特開平04-007476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、カードリーダーは利用者の目に触れる廊下壁面に取り付けられているため、基本的には小型であることが求められており、小型化を実現するために、図11に示したテンキーを設けたカードリーダー100bにあっては、複数の静電容量スイッチを配列したスイッチシートとカード読取り用のアンテナコイルを配置した回路基板を積層配置して一体化した構造の操作部を利用することが考えられる。
【0014】
しかしながら、小型化が実現された場合、カードリーダーの正面には、例えば図11で示したようにカード読取部、操作部、及びカード読取操作や操作部の操作に対応した表示部と、相当数配置されることになり、利用者は状況に応じて操作する箇所を直感的に理解できず、状況に応じたカードリーダーの操作性に問題がある。
【0015】
本発明は、利用者がカードリーダーのどこにカードを読み取らせればよいか、どこを操作すればよいか、直感的に理解することが可能となり、操作性に優れたカードリーダーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(カードリーダー)
本発明は、利用者が携帯するカード媒体に記録された情報を読取って所定の機器を作動させるカードリーダーに於いて、
カード読取面上に視認できる発光部で囲まれた領域内にカード読取部及び操作部が配置されるか、又はカード読取部が配置され
発光部は、分離された第1の発光部と第2の発光部により構成され、第1の発光部と第2の発光部により領域の周囲を囲んだことを特徴とする。
【0018】
(操作部の構造と発光部の配置)
カード読取面の発光部で囲まれた領域内にカード読取部及び操作部が配置され、
操作部は、所定のスイッチシンボルが表示された透明パネルと、透明パネルの内側に配置される複数のスイッチを配列したスイッチシートとを積層配置して構成され、
スイッチシートの内側に発光部が配置される。
【発明の効果】
【0019】
(基本的な効果)
本発明は、利用者が携帯するカード媒体に記録された情報を読取って所定の機器を作動させるカードリーダーに於いて、カード読取面上に視認できる発光部で囲まれた領域内にカード読取部及び操作部が配置されるか、又はカード読取部が配置され、発光部は、分離された第1の発光部と第2の発光部により構成され、第1の発光部と第2の発光部により領域の周囲を囲んだため、利用者はカードリーダーのどこにカードを読み取らせればよいか、どこを操作すればよいかが、カード読取面上の発光部によりカード読取部や操作部が囲まれていることで、直感的に理解することが可能となり、操作性に優れたカードリーダーが実現できる。

【0020】
(発光部の形状による効果)
また、発光部は、カード読取面の一部を枠取る形状であり、分離された第1の発光部と第2の発光部により構成され、独立した発光を行うようにしたため、発光部をカード読取面の一部を枠取る形状としたことで、発光部で囲まれた領域の面積を大きくしてカード読取部や操作部の配置スペースを十分に確保でき、また平面パターンより視認性の高い表示をすることができ、操作性を高めることができる。また、発光部が第1の発光部と第2の発光部に分離されたことで、異なる事象を個別に表示したり、表示色を変えたりした表示が可能となり、発光部による各種の表示機能を高めることができる。
【0021】
(操作部の構造と発光部の配置による効果)
また、操作部は、所定のスイッチシンボルが表示された透明パネルと、透明パネルの内側に配置される複数のスイッチを配列したスイッチシートとを積層配置して構成され、スイッチシートの内側に発光部が配置されたため、操作部を構成する部材及び発光部の積層配置という簡単な構造により実現されることでコンパクトな構造となり、カードリーダーが薄型化することで、廊下壁面等に設置した場合の飛び出しを少なくし、建物内装の意匠性を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】カードリーダーの実施形態を正面及び右側面から示した説明図
図2】カードリーダーの実施形態を正面及び背面から示した斜視図
図3】カードリーダーの組立分解構造を示した説明図
図4】操作部に互換配置可能な2種の透明パネルを示した説明図
図5】テンキーを持たないカードリーダーの実施形態を正面から示した説明図
図6】入退出管理システムの概略を示した説明図
図7】カードリーダーの機能構成を示したブロック図
図8】ファンクションモードを選択するスイッチとローカル制御盤の設定モードを一覧で示した説明図
図9】カードリーダーの他の実施形態の構成を組立分解構造により示した説明図
図10】従来のカードリーダーを示した説明図
図11】テンキーを設けた従来のカードリーダーを示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0023】
[カードリーダー]
図1はカードリーダーの実施形態を正面及び右側面から示した説明図、図2はカードリーダーの実施形態を正面及び背面から示した斜視図、図3はカードリーダーの組立分解構造を示した説明図、図4は操作部に互換配置可能な2種の透明パネルを示した説明図、図5はテンキーを持たないカードリーダーの実施形態を正面から示した説明図である。
【0024】
(カードリーダーの概要)
図1及び図2に示すように、本実施形態のカードリーダー10は、内カバー12と外枠カバー14によりカードリーダー筐体を構成している。外枠カバー14の正面には表示操作パネル16が設けられ、操作部として、上部に警戒設定スイッチ20と警戒解除スイッチ22を配置し、その下側にテンキー30を配置している。
【0025】
テンキー30は「1,2,3,4,5,6,7,8,9,*,0,#」で示す12個のキースイッチを4行3列に配列している。なお、図2(A)にあっては、表示操作パネル16のキースイッチの表示は省略している。また、テンキー30に設けた各キースイッチは、以下の説明では、1キースイッチ,2キースイッチ,・・・9キースイッチ,*キースイッチ,0キースイッチ.#キースイッチとする。
【0026】
警戒設定スイッチ20、警戒解除スイッチ22及びテンキー30は、指先を触れるか近接させるだけで作動するタッチスイッチであり、静電容量スイッチを使用している。
【0027】
また、カードリーダー10の表示部として、外枠カバー14の側面両側に警戒・発報表示灯24を設けている。警戒・発報表示灯24は、正面、側面方向及び斜め方向から視認可能としている。
【0028】
側面配置された警戒・発報表示灯24は、本実施形態にあっては、赤LED、緑LED及び青LEDの3色LEDを発光源として図3の回路基板36に配置しており、その3色の光度の組合せにより、いかなる色でも表示可能としている。
【0029】
また、カードリーダー10には、警戒・発報表示灯24に加え、正面の表示操作パネル16に、警戒設定スイッチ20、警戒解除スイッチ22及びテンキー30を配置した操作部を囲む枠形を上下に分割した表示形態をもつ読取表示灯26と解錠表示灯28を上下に分けて配置している。読取表示灯26と解錠表示灯28は、本実施形態にあっては、青LEDと赤LEDを発光源とし、青と赤の2色発光を可能としている。
【0030】
ここで、読取表示灯26と解錠表示灯28は、カードリーダー10の本体前面の発光部として機能し、読取表示灯26と解錠表示灯28で囲まれた領域内にカード読取部及び操作部が配置されている。また、発光部を構成する読取表示灯26と解錠表示灯28は略矩形の枠形状であり、後の説明で明らかにするように独立した発光表示を行う。
【0031】
(本体アッセンブリィと内カバー)
図3に示すように、外枠カバー14には、透明パネル32、静電容量スイッチシート34、ライトガイド26a,28a、RF基板36aとCPU基板36bをスペーサにより2段に配置した回路基板36のうちのRF基板36a側を積層状態で固定することで本体アッセンブリィ11を構成している。
【0032】
静電容量スイッチシート34には、図1の表示操作パネル16に設けた警戒設定スイッチ20、警戒解除スイッチ22及び下側にテンキー30に対応して14個の静電容量スイッチ35が点線で示すように配置されている。静電容量スイッチ35は相対する透明パネル32の部位に指先を触れることで、直接接触しなくとも静電容量が変化し、これを電気的に検出してスイッチオン信号を出力する。
【0033】
透明パネル32は、互換可能であり、図4(A)(B)に示すように、例えば2種類の透明パネル32a,32bが準備される。図4(A)に示す透明パネル32aは、図1に示したカードリーダー10に使用しており、表面に、図1に示した警戒設定スイッチ20のスイッチシンボル20a、警戒解除スイッチ22のスイッチシンボル22a及びテンキー30に設けた1キースイッチ,2キースイッチ,・・・9キースイッチ,*キースイッチ,0キースイッチ,#キースイッチのスイッチシンボル30aが印刷により表示されている。
【0034】
また、図4(B)に示す透明パネル32bは、警戒設定スイッチ20のスイッチシンボル20aと警戒解除スイッチ22のスイッチシンボル22aのみが印刷により表示され、テンキーのスイッチシンボルは表示されておらず、その変わりに、カード読取シンボル70が表示されている。
【0035】
図5図4(B)の透明パネル32bを操作部に使用したカードリーダー10を示しており、透明パネル32bを設けたことで、表示操作パネル16には、警戒設定スイッチ20と警戒解除スイッチ22が配置されており、テンキーが設けられていない点を除き、それ以外の構成は、図1のカードリーダーと同じになる。
【0036】
再び図3を参照するに、ライトガイド26a,28aは上下に分離した矩形枠取り形状をもち、図1及び図4の表示操作パネル16に設けた読取表示灯26と解錠表示灯28に対応して設けられ、静電容量スイッチシート34とRF基板36aの間に配置され、ライトガイド26a,28aに対して本実施形態にあっては、青LEDと赤LEDをRF基板36aに配置している。
【0037】
RF基板36aの表側にはアンテナコイル33が配置され、アンテナコイル33と基板に実装した読取回路によりカード読取部を構成している。これにより図1に示した警戒設定スイッチ20、警戒解除スイッチ22及びテンキー30を配置した表示操作パネル16の面、及び、図5に示した警戒設定スイッチ20及び警戒解除スイッチ22を配置した表示操作パネル16の面は、同時に、非接触ICカードの読取面を構成しており、本実施形態にあっては、操作部とカード読取部が一体化されている。また、CPU基板36bの裏側にはコネクタ38が配置される。
【0038】
内カバー12は、前面に開口された箱形収納部12aとその開口周囲に一体に形成されたフランジ部12bで構成され、フランジ部12bに設けたねじ通し穴37を介してねじ39を嵌め入れることで、図示しない取付ボックス側に固定される。
【0039】
[入退出管理システム]
図6は入退出管理システムの概略を示した説明図である。図6に示すように、オフィスビルや工場等の施設に設置された入退出管理システムは、センター装置40、クライアント42、ローカル制御盤46、入退室用カードリーダー10a、出勤用カードリーダー10b、退勤用カードリーダー10c及び電気錠48で構成される。
【0040】
入退室用カードリーダー10a、出勤用カードリーダー10b及び退勤用カードリーダー10cは、図1又は図5に示したカードリーダー10が用いられる。なお、入退室用カードリーダー10a、出勤用カードリーダー10b及び退勤用カードリーダー10cを区別する必要がない場合は、単にカードリーダー10という場合がある。
【0041】
センター装置40は警備室等に設置され、またクライアント42は入退出管理業務を行う総務部門等に設置される。ローカル制御盤46は例えば施設の階毎に分けて設置している。ローカル制御盤46はセンター装置40及びクライアント42と伝送路44により接続されている。また、センター装置40には、図示しない防犯センサを備えた防犯システムからの防犯移報信号や火災感知器を備えた火災報知システムからの火災移報信号が伝送路44又は移報信号線を介して入力される。
【0042】
入退室用カードリーダー10aは各部屋の出入口となる扉の外側に配置されており、また、扉には電気錠48が設けられている。入退室用カードリーダー10a及び電気錠48は同じ階に設置しているローカル制御盤46からの信号線に接続されている。
【0043】
出勤用カードリーダー10bと退勤用カードリーダー10cは施設の出入口等に設置され、出入口に対応したローカル制御盤46からの信号線に接続されている。
【0044】
入退室用カードリーダー10a、出勤用カードリーダー10b及び退勤用カードリーダー10cは、利用者の携帯する非接触ICカード等に記録された所定の利用者識別情報を読取って事前登録した利用者識別情報と照合し、照合一致により認証成功を判別した場合に認証信号をローカル制御盤46へ送信する。
【0045】
ローカル制御盤46は出勤用カードリーダー10b及び退勤用カードリーダー10cから認証信号を受信した場合は、伝送路44を介してセンター装置40に認証信号を送信し、センター装置40で管理している入退出情報に出勤時刻又は退勤時刻を記録させる。また、ローカル制御盤46は入退室用カードリーダー10aから認証信号を受信した場合は、対応する出入口に設けた電気錠48へ制御信号を出力して解錠制御し、入退室を可能とする。
【0046】
入退出管理システムは、平日の勤務時間帯は警戒解除モードを設定して動作しており、平日の勤務時間帯以外の時間帯、休日、祭日については、警戒モードを設定して動作している。
【0047】
入退出管理システムの警戒解除モードは、利用者の携帯する非接触ICカードのカードリーダー10による読取りで電気錠48を解錠する制御を可能とするモードであり、一方、警戒モードは、カードリーダー10により利用者の携帯する非接触ICカードを読取りにより電気錠48を解錠する制御を禁止するモードであり、併せて、防犯システムの防犯センサが監視状態となる。
【0048】
入退出管理システムの管理者などは、管理者識別情報を記憶した管理用の非接触ICカードを保有しており、管理者用の非接触ICカードを使用して、カードリーダー10の操作によりローカル制御盤46に対し各種のファンクションモードを設定することができる。
【0049】
図1に示したカードリーダー10の操作で設定できるローカル制御盤46のファンクションモードには、警戒モード、警戒解除モード、部屋の照明のオンとオフ、電気錠の連続施錠と連続解錠、カード読取りに対するブザー音等の鳴動音のオンとオフ等がある。
【0050】
また、図5に示したカードリーダー10の操作で設定できるローカル制御盤46のファンクションモードは、警戒モードと警戒解除モードのみとなる。
【0051】
なお、カードリーダー10でファンクションモードを設定操作できる権限を管理者にのみ与える場合は、カード読取りで予め登録した管理者識別情報との照合一致でファンクションモードを設定することになるが、特別な権限を与える必要がない場合は、利用者識別情報の照合一致でファンクションモードを設定することが可能となる。
【0052】
[カードリーダーの機能構成]
図7はカードリーダーの機能構成を示したブロック図である。図7に示すように、カードリーダー10は、制御部50、伝送部52、操作部54、表示部56、音響出力部58、マグネット62と組合せ配置したホールIC60で構成されるタンパースイッチ64、非接触ICカード68を読取るカード読取部66を備える。
【0053】
制御部50はCPU、メモリ、各種の入出力ポートを備えたコンピュータ回路で構成しており、プログラムの実行により所定の制御を行う。伝送部52は所定の通信プロトコルに従って図6に示したローカル制御盤46との間で各種コマンドを含む信号の送受信を行う。
【0054】
操作部54には、警戒設定スイッチ20、警戒解除スイッチ22及びテンキー30が設けられており、図3に示した静電容量スイッチシート34の静電容量スイッチ35で実現される。表示部56には、一対の警戒・発報表示灯24、読取表示灯26及び解錠表示灯28が設けられる。
【0055】
音響出力部58はスピーカと駆動回路を備え、カード読取音等を出力する。タンパースイッチ64は、ホールIC60が図3のCPU基板36bに設けられ、マグネット62はホールIC60に相対した内カバー12に配置され、正常な状態では、マグネット62の磁界をホールIC60に内蔵したホール素子により検出してタンパースイッチ64をオフとしており、不審者等により、外枠カバー14に一体化している本体アッセンブリィ11を内カバー12からこじ開けられると、ホールIC60によるマグネット62の磁界検出が断たれ、タンパースイッチ64がオンしてタンパー異常が検出される。
【0056】
カード読取部66は図3の回路基板36に設けたアンテナコイル33とその送受信回路を備えており、アンテナコイル33には例えば13.56MHzの発信信号を増幅して加えることで交流磁界を発生し、非接触ICカード68が近接すると電磁誘導により電力を供給して動作させることで、非接触ICカード68から固有の利用者情報が読取られる。
【0057】
[テンキーを備えたカードリーダーの制御機能]
図4(A)に示した透明パネル32aを使用した図1に示したカードリーダー10の制御部50は、ローカル制御盤46と連携して非接触ICカード68の読取りによる電気錠の制御を含む各種の入退出管理制御を行う。
【0058】
(カードリーダーのファンクションモード設定制御)
カードリーダー10の制御部50は、操作部54に設けた警戒設定スイッチ20、警戒解除スイッチ22、及びテンキー30の操作と非接触ICカード68の読取りに基づきローカル制御盤46に選択されたファンクションモードの設定を指示する制御を行う。
【0059】
カードリーダー10におけるファンクションモードの設定操作は、
(ファンクションモード種別選択操作)+(ファンクションモード識別操作)+(カード読取り)
の組合せ操作となる。
【0060】
ファンクションモードの種別選択操作は、警戒設定スイッチ20、警戒解除スイッチ22、及びテンキー30に設けた1,2,3,4,5,6,7,8,9,0の数字キースイッチの操作で行い、最大で12種類のモードが選択できる。
【0061】
ファンクションモードの識別操作は、テンキー30の中の数字キースイッチ以外のキースイッチ、即ち*キースイッチ又は#キースイッチの操作で行う。本実施形態にあっては、ファンクションモードの識別操作を#キースイッチで行っている。
【0062】
このため制御部50は、警戒設定スイッチ20、警戒解除スイッチ22又はテンキー30の中の所定の数字キースイッチの何れかによるファンクションモード種別選択操作を検出し、テンキー30の中の数字キースイッチ以外の例えば#キースイッチによるファンクションモード識別操作を検出し、更に、カード読取部66により非接触ICカード68から読取られた利用者識別情報の照合一致を検出した場合に、種別選択操作で検出された所定のファンクションモードの設定を指示するコマンド信号をローカル制御盤46に送信して設定させる制御を行う。
【0063】
ここで、ファンクションモード識別操作を行うスイッチとして#キースイッチを使用している理由は、入退出管理システムで平日の勤務日に行なわれる頻度の高い警戒モードと警戒解除モードの設定操作における操作性を高めることを意図している。
【0064】
図1に示したように、警戒設定スイッチ20と警戒解除スイッチ22は、表示操作パネル16の上部左右のコーナー位置に配置され、テンキー30の中の#キースイッチは、警戒設定スイッチ20から最も離れた最遠の右下のコーナー位置にあり、また、警戒解除スイッチ22からも十分に離れた遠いコーナー位置にある。
【0065】
そこでファンクションモードの設定操作において、上部左右のコーナー位置にある警戒設定スイッチ20又は警戒解除スイッチ22と、これに対し十分に離れた下部右のコーナー位置にある#キースイッチとの2つのスイッチ操作を行わせることで、操作スイッチの位置が十分に離れた異なるコーナー位置となることで、スイッチ位置の判別が容易となり、使用頻度の高い警戒モード又は警戒解除モードを設定する場合の操作性が向上し、誤操作を抑制可能とする。
【0066】
また、テンキー30の中の数字キースイッチによるファンクションモードの種別選択操作も、ファンクションモードの設定頻度が高いほど#キースイッチからの距離が遠くなるように数字キースイッチを割り当てることが望ましい。
【0067】
図8はファンクションモードの種別選択に使用するスイッチとローカル制御盤に設定されるファンクションモードの内容を一覧で示した説明図である。図8に示すように、警戒設定スイッチ20は警戒モードを選択してローカル制御盤46に設定し、防犯の警戒を開始させる。また、警戒解除スイッチ22は警戒解除モードを選択してローカル制御盤46に設定し、防犯の警戒を解除させる。なお、ローカル制御盤46の警戒モードには、タイマー設定による時刻到達で警戒モードを自動的に解除するモードがあり、この場合には、警戒解除モードの設定操作は不要となる。
【0068】
1キースイッチは照明オンモードを選択してローカル制御盤46に設定し、部屋の照明をオン制御させる。また、2キースイッチは照明オフモードを選択してローカル制御盤46に設定し、部屋の照明をオフ制御させる。
【0069】
3キースイッチは連続解錠モードを選択してローカル制御盤46に設定し、電気錠48を連続解錠状態に制御させる。また、4キースイッチは連続施錠モードを選択してローカル制御盤46に設定し、電気錠48を連続施錠状態に制御させる。
【0070】
5キースイッチは読取音オンモードを選択してローカル制御盤46に設定し、カード読取りの鳴動音を出力するように制御させる。また、6キースイッチは読取音オフモードを選択してローカル制御盤46に設定し、カード読取りの鳴動音を停止するように制御させる。
【0071】
なお、カードリーダー10の操作でローカル制御盤46に設定可能なファンクションモードは、図8の一覧に限定されず、ローカル制御盤46で設定可能な適宜のファンクションモードが含まれる。
【0072】
[テンキーを持たないカードリーダーの制御機能]
図4(B)に示した透明パネル32bを使用した図5に示したカードリーダー10の制御部50は、図7に示したカードリーダー10の機能構成において、操作部54に設けたテンキー30の機能を持たず、これに対応して制御部50はテンキー30を用いたファンクションモードを設定する制御機能を持たないことになる。
【0073】
その代わりに、図5に示したカードリーダー10の制御部50は、操作部54に設けた警戒設定スイッチ20の操作を検出し、更に、カード読取部66により非接触ICカード68から読取られた利用者識別情報の照合一致を検出した場合に、警戒モードの設定を指示するコマンド信号をローカル制御盤46に送信して設定させる制御を行う。
【0074】
また、図5に示したカードリーダー10の制御部50は、 操作部54に設けた警戒設定スイッチ20の操作を検出し、更に、カード読取部66により非接触ICカード68から読取られた利用者識別情報の照合一致を検出した場合に、警戒モードの設定を指示するコマンド信号をローカル制御盤46に送信して設定させる制御を行う。
【0075】
一方、図5のカードリーダー10にあっては、警戒設定スイッチ20と警戒解除スイッチ22が設けられていない表示操作パネル16の空き位置に誤ってタッチすると、タッチした位置にある図3に示した静電容量スイッチシート34の静電容量スイッチ35が作動するが、例えば、制御部50により使用していない静電容量スイッチ35の入力ポートに対し、これを無効化するマスク処理を行っておくことで、不必要な静電容量スイッチの作動による誤動作を防止させている。
【0076】
[カードリーダーの制御動作の概要]
カードリーダーを設けた入退出管理システムは、平日の勤務時間帯は警戒解除モードを設定して動作しており、平日の勤務時間帯以外の時間帯、休日、祭日については、警戒モードを設定して動作している。
【0077】
入退出管理システムが警戒解除モードを設定して動作している平日の勤務時間帯には、カードリーダー10の読取表示灯26が青色に常時点灯して、カード読取枠の上側を表示しており、このとき電気錠は施錠中あることから解錠表示灯28が青色に常時点灯し、カード読取枠の下側を表示している。
【0078】
この状態で利用者が非接触ICカードをカードリーダー10にかざして正常にカード読取りが行われると、読取表示灯26が消灯して再び青点灯に戻り、カード読取りが正常に行われたことを表示する。また、カードリーダー10にかざして正常にカード読取りが行われると、ローカル制御盤による電気錠の解錠制御が行われ、カードリーダー10はローカル制御盤からトグル解錠のコマンド信号を受信することから、これを検出して予め設定している解錠時間のあいだ解錠表示灯28を青点滅して電気錠が解錠していることを表示する。
【0079】
一方、カードリーダー10によるカード読取りがエラーとなった場合には、読取表示灯26が赤点滅して再び青点灯に戻り、カード読取エラーとなったことを表示し、利用者は再度、カード読取操作を行うことになる。
【0080】
入退出管理システムが警戒モードを設定して動作している平日の勤務時間帯以外の時間帯、休日、祭日には、カードリーダー10の警戒・発報表示灯24は緑点灯し、警戒モードにあることを識別表示させる。
【0081】
また警戒モードの設定中に警備担当者が巡回する場合には、例えばセンター装置で巡回モードを設定すると、カードリーダー10の警戒・発報表示灯24は黄点灯し、巡回中であることを識別表示する。
【0082】
警備担当者による巡回中、建物の廊下に沿って配置されている部屋の扉外側に配置しているカードリーダー10の警戒・発報表示灯24は黄点灯しており、警備担当者は廊下の見渡せる位置に設置している複数のカードリーダー10について、その場所に行かなくとも遠方から黄点灯にあることを確認できる。このため何れかのカードリーダー10で例えば不審者がカードリーダー10をこじ開けてタンパー異常が検出された場合には、その警戒・発報表示灯24が赤点滅となり、警備担当者は、赤点滅による表示を遠方から確認してタンパー異常を知り、必要な対応を迅速且つ適切にとることが可能となる。
【0083】
また、警備担当者の巡回中に、火災が発生した場合には、火災報知システムからの火災移報信号がセンター装置などで受信され、ローカル制御盤からの制御で全ての電気錠を一斉解錠させると共に、カードリーダー10にローカル制御盤を介して火災移報コマンド信号が送られ、これにより警戒・発報表示灯24が赤橙点滅(赤と橙を交互に点滅)により火災発生を識別表示し、警備担当者は、見渡せる範囲にある複数のカードリーダー10の側面に配置した警戒・発報表示灯24が一斉に赤橙点滅することで火災発生を知り、必要な対応を迅速且つ適切にとることが可能となる。
【0084】
[カードリーダーの他の実施形態]
図9はカードリーダーの他の実施形態の構成を組立分解構造により示した説明図である。
【0085】
図9に示すように、本実施形態のカードリーダーの操作部は、枠形状を持つ外枠本体14aに透明カバーを複合成形することで透明窓14bが形成された外枠カバー14を有し、外枠カバー14の透明窓14bの外側に例えば図5に示したと同じ警戒設定スイッチ20と警戒解除スイッチ22のシンボルとカード読取シンボル70が表示された透明パネル32を裏面に形成された粘着層により貼り付け、外枠カバー14の内側には複数の静電容量スイッチ35が配列された透光性の静電容量スイッチシート34を積層配置し、更に、静電容量スイッチシート34の下側に、分離された略矩形の発光部の光源を構成するライトガイド26a,28aが積層配置され、その下にRF基板36aとCPU基板36bをスペーサにより2段に配置した回路基板36のうちのRF基板36a側を積層状態で固定することで本体アッセンブリィ11を構成している。
【0086】
静電容量スイッチシート34には、図1の表示操作パネル16に設けた警戒設定スイッチ20、警戒解除スイッチ22及び下側にテンキー30に対応して14個の静電容量スイッチ35が点線で示すように配置され、またシート側面からは先端にコネクタ34aを設けたフレキシブル基板が引き出されている。
【0087】
本実施形態にあっては、静電容量スイッチ35は相対する透明パネル32の部位に指先を触れることで、直接接触しなくとも静電容量が変化し、これを電気的に検出してスイッチオン信号を出力することができる。それ以外の構成及び機能は前述したカードリーダーの実施形態と同じになることから、その説明は省略する。
【0088】
また、本実施形態は、スイッチシンボルや読取シンボル等の異なるシンボルが表示された透明パネル32を複数種類準備し、粘着層により外枠カバー14の透明窓14bに張り付けるだけで、例えば、テンキーを持ったカードリーダーとテンキーを持たないカードリーダーに簡単に作り変えることができる。即ち、スイッチシンボルの表示の異なる透明パネル32を交換するだけで、カードリーダー10のスイッチ操作による制御機能、例えばファンクションモードの設定機能が変更可能となる。
【0089】
[本発明の変形例]
(操作部を持たないカードリーダー)
入退出管理システムに使用されるカードリーダーには、操作部を持たないカード読取専用のカードリーダーがあり、この場合には、透明パネルにはスイッチシンボルは印刷表示されず、図4(B)に示したカード読取シンボル70のみが印刷表示される。また、図3に示した静電容量スイッチシート34も不要となり、その代わりにダミーシートを配置することで、図1及び図5のカードリーダー10と実質的に同じ操作部の構造を実現し、可能な範囲で共通化することで、生産性の向上とコストの低減が可能になる。
【0090】
(透明パネルのスイッチシンボル表示)
上記の実施形態にあっては、2種類のスイッチシンボルを表示した透明パネルを準備して互換的に使用可能としているが、これに限られない。例えば、必要に応じて任意の種類のスイッチシンボルを表示した透明パネルを準備して互換的に使用可能としても良い。
【0091】
(ファンクションモード識別スイッチ)
上記の実施形態にあっては、ファンクションモード識別操作に使用するスイッチとして、テンキー30の中の#キースイッチを使用しているが、これに限られない。例えば、ファンクションモード識別操作に使用するスイッチとして、*キースイッチを使用しても良い。
【0092】
(2つのスイッチの操作順)
上記の実施形態は、ファンクションモード種別選択操作とファンクションモード識別操作の順に2つのスイッチ操作を検出しているが、これに限られない。例えば、順番を入れ替えてファンクションモード識別操作とファンクションモード種別選択操作の順に2つのスイッチ操作を検出しても良い。
【0093】
(その他)
また,本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0094】
10:カードリーダー
11:本体アッセンブリィ
12:内カバー
14:外枠カバー
16:表示操作パネル
20:警戒設定スイッチ
22:警戒解除スイッチ
24:警戒・発報表示灯
26:読取表示灯
26a,28a:ライトガイド
28:解錠表示灯
30:テンキー
32,32a,32b:透明パネル
33:アンテナコイル
34:静電容量スイッチシート
35:静電容量スイッチ
36:回路基板
36a:RF基板
36b:CPU基板
37:アンテナコイル
38:コネクタ
40:センター装置
42:クライアント
44:伝送路
46:ローカル制御盤
48:電気錠
50:制御部
52:伝送部
54:操作部
56:表示部
58:音響出力部
60:ホールIC
62:マグネット
64:タンパースイッチ
66:カード読取部
68:非接触ICカード
70:カード読取シンボル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11