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特許7159380健康資産管理装置、健康資産管理方法、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-14
(45)【発行日】2022-10-24
(54)【発明の名称】健康資産管理装置、健康資産管理方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/30 20180101AFI20221017BHJP
【FI】
G16H50/30
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021048704
(22)【出願日】2021-03-23
(65)【公開番号】P2022147460
(43)【公開日】2022-10-06
【審査請求日】2021-04-23
(73)【特許権者】
【識別番号】597077414
【氏名又は名称】三井住友信託銀行株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】519051757
【氏名又は名称】株式会社MILIZE
(73)【特許権者】
【識別番号】503015178
【氏名又は名称】北岡 有喜
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】田中 充
(72)【発明者】
【氏名】森川 大輔
(72)【発明者】
【氏名】喜如嘉 秀人
(72)【発明者】
【氏名】近藤 直義
(72)【発明者】
【氏名】小山 浩祐
(72)【発明者】
【氏名】田中 徹
(72)【発明者】
【氏名】塩入 篤
(72)【発明者】
【氏名】北岡 有喜
【審査官】森田 充功
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-005726(JP,A)
【文献】特開2002-073968(JP,A)
【文献】特開2005-050210(JP,A)
【文献】特開2017-117393(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0318007(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0173398(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 50/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの健康診断情報の取得し、当該健康診断情報に応じた将来の疾病ごとの発症確率と、前記疾病にかかる治療費用と、ディスカウントファクタとを用いて、前記ユーザの現時点において予測する将来医療費の現在価値を少なくとも示す健康負債金額を算出する健康負債金額算出手段と、
前記ユーザの行動情報の取得に基づいて前記将来医療費を削減させる医療費削減度合を算出する削減度合算出手段と、
前記健康負債金額と前記医療費削減度合とに基づいて健康資産を算出する健康資産算出手段と、
を備える健康資産管理装置。
【請求項2】
前記ユーザの現時点において予想する将来金融資産を算出する金融資産算出手段と、を備え、
前記健康資産算出手段は、前記健康負債金額と前記医療費削減度合と前記将来金融資産とに基づいて前記健康資産を算出する
請求項1に記載の健康資産管理装置。
【請求項3】
前記削減度合算出手段は、前記行動情報に含まれる複数の行動項目の度合と削減度合算出式とに基づいて前記医療費削減度合を算出する
請求項1または請求項2に記載の健康資産管理装置。
【請求項4】
組織に含まれる複数の前記ユーザの前記健康資産を合計した組織健康資産を算出する組織健康資産算出手段と、
を備える請求項1から請求項の何れか一項に記載の健康資産管理装置。
【請求項5】
ユーザの健康診断情報の取得し、当該健康診断情報に応じた将来の疾病ごとの発症確率と、前記疾病にかかる治療費用と、ディスカウントファクタとを用いて、前記ユーザの現時点において予測する将来医療費の現在価値を少なくとも示す健康負債金額を算出し、
前記ユーザの行動情報の取得に基づいて前記将来医療費を削減させる医療費削減度合を算出し、
前記健康負債金額と前記医療費削減度合とに基づいて健康資産を算出する
健康資産管理方法。
【請求項6】
健康資産管理装置のコンピュータを、
ユーザの健康診断情報の取得し、当該健康診断情報に応じた将来の疾病ごとの発症確率と、前記疾病にかかる治療費用と、ディスカウントファクタとを用いて、前記ユーザの現時点において予測する将来医療費の現在価値を少なくとも示す健康負債金額を算出する健康負債金額算出手段、
前記ユーザの行動情報の取得に基づいて前記将来医療費を削減させる医療費削減度合を算出する削減度合算出手段、
前記健康負債金額と前記医療費削減度合とに基づいて健康資産を算出する健康資産算出手段、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康資産管理装置、健康資産管理方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢化による医療費の増加が認められる。このような医療費の増加が現在の社会課題となっている。医療費を適正化するために、国民各々が健康を維持することに高い意識を持つことが重要となっている。なお関連する技術として将来発生する医療費の額を予測する技術が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-77896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで健康を維持することに高い注意を払い続けることができるよう支援する技術が望まれている。
【0005】
そこでこの発明は、上述の課題を解決する健康資産管理装置、健康資産管理方法、プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、健康資産管理装置は、ユーザの健康診断情報の取得に基づいて前記ユーザの現時点において予測する将来医療費の現在価値を少なくとも示す健康負債金額を算出する健康負債金額算出手段と、前記ユーザの行動情報の取得に基づいて前記将来医療費を削減させる医療費削減度合を算出する削減度合算出手段と、前記健康負債金額と前記医療費削減度合とに基づいて健康資産を算出する健康資産算出手段と、を備える。
【0007】
本発明の第2の態様によれば、健康資産管理方法は、ユーザの健康診断情報の取得に基づいて前記ユーザの現時点において予測する将来医療費の現在価値を少なくとも示す健康負債金額を算出し、前記ユーザの行動情報の取得に基づいて前記将来医療費を削減させる医療費削減度合を算出し、前記健康負債金額と前記医療費削減度合とに基づいて健康資産を算出する。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、プログラムは、健康資産管理装置のコンピュータを、ユーザの健康診断情報の取得に基づいて前記ユーザの現時点において予測する将来医療費の現在価値を少なくとも示す健康負債金額を算出する健康負債金額算出手段、前記ユーザの行動情報の取得に基づいて前記将来医療費を削減させる医療費削減度合を算出する削減度合算出手段、前記健康負債金額と前記医療費削減度合とに基づいて健康資産を算出する健康資産算出手段、として機能させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、現時点での健康資産を提示することで、ユーザに健康を維持することに高い注意を払い続けることができるよう支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態による健康資産管理システムの概略を示す図である。
図2】本実施形態による健康資産管理装置のハードウェア構成図である。
図3】本実施形態による健康資産管理装置の機能ブロック図である。
図4】本実施形態による健康資産管理画面の例を示す第一の図である。
図5】本実施形態による健康資産管理画面の例を示す第二の図である。
図6】本実施形態による健康資産管理画面の例を示す第三の図である。
図7】本実施形態による健康資産管理画面の例を示す第四の図である。
図8】本実施形態による健康資産管理画面の例を示す第五の図である。
図9】本実施形態による健康資産管理画面の例を示す第六の図である。
図10】本実施形態による健康資産管理装置の処理フローを示す第一の図である。
図11】本実施形態による健康資産管理装置の最小構成を示す図である。
図12】最小構成の健康資産管理装置の処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態による健康資産管理装置を図面を参照して説明する。
図1は本実施形態による健康資産管理装置を含む健康資産管理システムの概略を示す図である。
図1で示すように健康資産管理システム100は、健康資産管理装置1と端末とが、無線通信ネットワークや有線通信ネットワークを介して接続されることにより構成される。ユーザは端末2を利用して健康資産管理装置1に通信接続する。健康資産管理装置1はウェブサーバの機能を備え、端末2に健康資産管理画面データを送信する。端末2は、健康資産管理画面データをディスプレイに表示する。ユーザは端末2に表示された健康資産管理画面において、健康診断情報や、行動情報を入力する。端末2は健康資産管理画面において入力された情報を健康資産管理装置1へ送信する。健康資産管理装置1は、端末2から受信した情報を用いて、ユーザの健康資産を算出する。健康資産管理装置1は、他のサーバ装置や記憶装置から取得した情報(健康診断情報や行動情報)を用いて、ユーザの健康資産を算出してもよい。健康資産管理装置1は端末2へ健康資産の金額などを含む健康資産管理画面データを送信する。端末2は健康資産の金額などを表示する。
【0012】
図2は本実施形態による健康資産管理装置のハードウェア構成図である。
この図が示すように健康資産管理装置1は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、HDD(Hard Disk Drive)104、通信モジュール105、データベース106等の各ハードウェアを備えたコンピュータである。端末2も同様のハードウェア構成を備える。
【0013】
図3は本実施形態による健康資産管理装置の機能ブロック図である。
健康資産管理装置1は予め記憶する健康資産管理プログラムを実行する。これにより健康資産管理装置1には、制御部11、健康負債算出部12、削減度合算出部13、金融資産算出部14、健康資産算出部15、組織健康資産算出部16、インタフェース部17の機能を発揮する。
【0014】
制御部11は各機能部を制御する。
健康負債算出部12は、ユーザの健康診断情報の取得に基づいてユーザの現時点において予測する将来医療費の現在価値を少なくとも示す健康負債金額を算出する。
削減度合算出部13は、ユーザの行動情報の取得に基づいて将来医療費を削減させる医療費削減度合を算出する。医療費削減度合は、医療費を削減するための金額でもよいし、何等かのポイントなどの情報であってもよい。
金融資産算出部14は、ユーザの現時点において予想する将来金融資産を算出する。
健康資産算出部15は、健康負債金額と医療費削減度合とに基づいて、または健康負債金額と医療費削減度合と将来金融資産とに基づいて、健康資産を算出する。
組織健康資産算出部16は、企業や団体などの組織に含まれる複数のユーザの健康資産を合計した組織健康資産を算出する。
インタフェース部17は、ウェブサーバ機能などを用いて端末2と情報を送受信する。
モデル生成部18は、疾病の発生する確率(疾病確率)の確率算出モデルを生成する。
【0015】
図4は本実施形態による健康資産管理画面の例を示す第一の図である。
図4で示す健康資産管理画面のウェブページは、ユーザのプロフィールを入力するためのプロフィール入力ページである。ユーザは、プロフィール入力ページにおいて、生年月日、性別、自身の病歴、家族の病歴などの情報を入力することができる。健康資産管理装置1はプロフィール入力ページにおいて入力された情報を端末2から取得する。または健康資産管理装置1は、他のデータベース等からプロフィール入力ページにおいて入力される情報と同様の情報を自動的に取得することも可能である。
【0016】
図5は本実施形態による健康資産管理画面の例を示す第二の図である。
図4で示す健康資産管理画面のウェブページは、ユーザの診断記録を入力するための診断記録ページである。ユーザは、診断記録ページにおいて自身の健康診断の各項目(受診日、身長、体重、胸囲、血圧、血液検査結果・・・)の情報を入力することができる。健康資産管理装置1は診断記録ページにおいて入力された情報を端末2から取得する。または健康資産管理装置1は、他のデータベース等から診断記録ページにおいて入力される情報と同様の情報を自動的に取得することも可能である。
【0017】
図6は本実施形態による健康資産管理画面の例を示す第三の図である。
図6で示す健康資産管理画面のウェブページは、診断記録ページの入力の結果、健康資産管理装置1が算出した健康資産などを含む診断記録結果の情報を表示する診断記録結果ページである。診断記録結果としては、各項目に応じた異常あり、異常なしなどの情報を含む。
【0018】
図7は本実施形態による健康資産管理画面の例を示す第四の図である。
図7で示す健康資産管理画面のウェブページは、健康資産の算出の結果、健康資産管理装置1が算出した医療費や介護費の予測推移を示すグラフを表示する健康資産詳細ページを示す。
【0019】
図8は本実施形態による健康資産管理画面の例を示す第五の図である。
図8で示す健康資産管理画面のウェブページは、行動情報の取得に基づいて、健康資産管理装置1が算出したユーザの行動に対して付与するポイント情報を表示する健康改善ページを示す。
【0020】
図9は本実施形態による健康資産管理画面の例を示す第六の図である。
図9で示す健康資産管理画面のウェブページは、健康負債と、行動に対して付与されたポイントに基づく医療費削減度合に基づいて健康資産管理装置1が算出した健康資産を表示する。
【0021】
図10は本実施形態による健康資産管理装置の処理フローを示す第一の図である。
健康資産管理装置1のモデル生成部18は、予め、疾病の発生する確率(疾病確率)の確率算出モデルを生成する。確率算出モデルの生成において、モデル生成部18は、過去に記録されたカルテデータ、検査結果データ、患者属性データ、患者環境データ、統計データなどの要因データをデータベースから取得する。またモデル生成部18は過去に記録された患者の診察項目それぞれの情報が含まれるレセプトデータを結果データとしてデータベースから取得する。レセプトデータには、実際に疾病を発症した患者の診察項目(病名、症状、検査結果)、患者属性(年齢、性別など)、患者の日々の環境に関する情報などが記録されている。モデル生成部18は、入力データと結果データとを機械学習して、疾病ごとの発症確率の算出モデルを生成する。
【0022】
そして健康資産管理装置1は、実際のユーザの健康資産の算出を以下のように行う。
まずユーザは端末2を健康資産管理装置1へ通信接続させる。これにより健康資産管理装置1のウェブサーバ機能を備えたインタフェース部17が健康資産管理画面データのユーザプロフィールの入力ページを端末2へ送信する。端末2はユーザプロフィールの入力ページ(図4)をディスプレイに表示する。ユーザは、端末に表示された健康資産管理画面のユーザプロフィールの入力ページにおいて、生年月日、性別、自身の病歴、家族の病歴などの情報を入力する。端末2は登録指示に基づいて、ユーザプロフィールの入力ページに入力された各情報を含むプロフィール登録要求を健康資産管理装置1へ送信する。健康資産管理装置1のインタフェース部17は、プロフィール登録要求に含まれる各情報を紐づけて、データベース106のユーザ管理テーブルに記録する(ステップS101)。
【0023】
健康資産管理装置1は、ユーザプロフィールの登録後、端末2に対して健康資産管理画面の診断記録ページ(図5)を送信する。ユーザは、端末2が表示した診断記録ページにおいて自身の健康診断の各項目(受診日、身長、体重、胸囲、血圧、血液検査結果、行動情報が示す行動項目ごとの情報(単位期間あたりの運動量、単位期間あたりの食事量、1日の睡眠量、単位期間あたりの飲酒量、単位期間あたりの喫煙量)・・・)を入力することができる。単位期間は1日などであってよい。端末2は登録指示に基づいて、診断記録ページに入力された各情報を含む診断記録登録要求を健康資産管理装置1へ送信する。健康資産管理装置1のインタフェース部17は、診断記録登録要求に含まれる各情報とユーザ情報とを紐づけて、データベース106の診断記録テーブルに記録する(ステップS102)。
【0024】
制御部11は、ユーザのプロフィールと診断記録の登録を検知すると、健康負債算出部12への健康負債の算出、削減度合算出部13への将来医療費を削減させる医療費削減度合の算出、健康資産算出部15への健康資産の算出を指示する。
【0025】
すると健康負債算出部12は、ユーザの健康診断情報の入力に基づいて前記ユーザの現時点において予測する将来医療費の現在価値を少なくとも示す健康負債金額を算出する(ステップS103)。健康負債算出部12は、算出した健康負債金額をインタフェース部17へ出力する。削減度合算出部13は、ユーザの行動情報の入力に基づいて将来医療費を削減させる医療費削減度合を算出する(ステップS104)。削減度合算出部13は、算出した医療費削減度合をインタフェース部17へ出力する。
【0026】
インタフェース部17は、健康負債金額と削減度合算出部13とを取得すると、その健康負債金額をユーザに通知する診断記録結果ページ(図6)を生成する(ステップS105)。インタフェース部17は、診断記録結果ページを端末2へ送信する。診断記録結果ページには、健康負債金額の他、診断記録の各項目に対する異常のあり、なしをユーザに通知するための情報が含まれてよい。
【0027】
ユーザが診断記録結果ページにおいて詳細を表示するためのボタンアイコンを押下すると、端末2は詳細表示要求を健康資産管理装置1へ送信する。健康資産管理装置1のインタフェース部17は、健康資産詳細ページ(図7)を生成する。健康資産詳細ページは、健康負債金額(医療費や介護費など)の予測推移などの情報を含む。インタフェース部17は、ユーザの健康負債金額や疾病の発生確率に基づいて、将来の複数のタイミング(10年毎など)の健康負債の金額の推移を統計情報等に基づいて算出してよい。
【0028】
ユーザが端末2に表示されている健康資産管理画面の各ページの下部などに表示されるアイコンボタンのうち、健康改善を示すアイコンボタンを押下したとする。この場合、端末2はポイント表示要求を健康資産管理装置1へ送信する。健康資産管理装置1のインタフェース部17は、ポイント表示要求の受信に基づいて健康改善ページ(図8)を生成する(ステップS106)。健康改善ページは、行動情報が示すユーザが行った行動に基づいて削減度合算出部13の算出した、医療費削減度合を示すポイントの付与履歴などの推移やそのポイントの合計の情報などを含む。
【0029】
ユーザが端末2に表示されている健康資産管理画面の各ページの下部などに表示されるアイコンボタンのうち、健康資産を示すアイコンボタンを押下したとする。この場合、端末2は健康資産表示要求を健康資産管理装置1へ送信する。健康資産管理装置1のインタフェース部17は、健康資産表示要求の受信に基づいて健康資産ページ(図9)を生成する。この時、インタフェース部17は、金融資産算出部14に金融資産の算出を指示してよい。インタフェース部17は、将来の複数のタイミング(10年毎など)の健康負債と医療費削減度合とに基づいて(さらに金融資産を加えてもよい)、そのタイミング毎の健康資産の金額の推移を、統計情報等に基づいて算出してよい。
【0030】
金融資産算出部14はユーザの識別情報に紐づいてデータベース106に記録されている金融資産テーブルからユーザの各金融資産の金額を取得し、それらを合計して金融資産の金額を算出する(ステップS107)。金融資産算出部14は、健康資産管理画面に含まれる一つの金融資産入力ページにおいて新たにユーザから入力された情報を用いて、当該ユーザの金融資産を算出してもよい。金融資産算出部14は、ユーザの現時点において予想する将来の金融資産を算出してもよい。将来の金融資産は、ユーザの年金額や保険金額などの情報を用いて算出してよい。
【0031】
健康資産算出部15は、健康負債算出部12の算出した健康負債の金額と、削減度合算出部13の算出した医療費削減度合と、金融資産算出部14の算出した金融資産の金額と、を取得する。健康資産算出部15は、医療費削減度合の情報がポイントなどの金額でない情報である場合には、当該医療費削減度合を換算式に入力して医療費削減金額を算出する。健康資産算出部15は、健康負債の金額から、医療費削減金額を減じ、さらに金融資産を加算して、健康資産を算出する(ステップS108)。健康資産算出部15は、金融資産を考慮せずに、健康負債の金額から、医療費削減金額を減じて健康資産を算出してもよい。健康資産算出部15は、算出した健康資産をインタフェース部17へ出力する。インタフェース部17は、健康資産を含む健康資産ページを生成する(ステップS109)。
【0032】
そして健康資産管理装置1のインタフェース部17は、端末2からのページ要求に基づいて、そのページ要求で指定されたウェブページを端末2へ送信する。つまり健康資産管理装置1は、端末2からの指示に基づいて、ユーザプロフィールの入力ページ(図4)、診断記録ページ(図5)、診断記録結果ページ(図6)、健康資産詳細ページ(図7)、健康改善ページ(図8)、健康資産ページ(図9)、などを端末2へ送信する(ステップS110)。
【0033】
ここで上述の健康負債の算出の詳細について説明する。
健康負債算出部12は、例えば、式(1)で示すような健康負債算出式を用いて健康負債を算出する。式(1)は健康負債を、疾病ごとの健康負債の合計により算出することを示す。
【0034】
健康負債=Σ(疾病確率*治療費用*DF) ・・・(1)
【0035】
1つの疾病Aに対する健康負債の算出は、疾病Aの発症確率と、疾病Aの治療費用と、DF(ディスカウントファクタ)とを用いて以下の式(2)ように算出する。
【0036】
疾病Aの健康負債=疾病Aの発症確率*疾病Aの治療費用*DF ・・・(2)
【0037】
健康負債算出部12は、各疾病の治療費用を、レセプトデータに基づいて算出してもよいし、過去の膨大な該当疾病の統計値を用いてもよい。またある疾病の確率は、モデル生成部18が生成した疾病ごとの発症確率の算出モデルを用いる。健康負債算出部12は、現在のユーザのカルテデータ、検査結果データ、患者属性データ、患者環境データ、統計データなどの情報を健康資産管理画面の各ページを用いて入力し、それらの情報のうち発症確率の算出に必要な定められた情報を発症確率の算出モデルに入力して、発症確率を算出する。
【0038】
また上述の医療費削減度合の算出の詳細について説明する。
削減度合算出部13は、例えば式(3)で示すような医療費削減度合算出式を用いて医療費削減度合を算出する。この例において医療費削減度合はポイントで表される。
【0039】
医療費削減度合=Σ(改善行動ごとのポイント*改善行動の回数・期間*DF)
・・・(3)
【0040】
DFは上述の式(2)で示したDFと同様の定義であってよく、将来の医療費削減の効果を示す度合の金銭換算額の現在価値を算出するための係数である。
【0041】
健康資産管理装置1は、組織に含まれる複数のユーザの健康資産を合計した組織健康資産を算出してもよい。この場合、組織健康資産算出部16は、所定の組織の識別情報を入力すると、その組織の識別情報に紐づいてデータベース106の組織管理テーブルに記録されている各ユーザの識別情報を取得する。健康資産管理装置1は、各ユーザの識別情報に紐づいて算出された健康資産の情報をデータベース106のユーザ管理テーブルから取得する。組織健康資産算出部16は、組織に属するユーザの健康資産の合計を算出して、インタフェース部17へ出力する。インタフェース部17は、組織のユーザが利用する端末2へ組織に属するユーザの健康資産の合計を示す健康資産管理画面のウェブページを生成する。
【0042】
これにより組織の管理者などのユーザは、組織全体の健康資産を確認することができる。なお組織健康資産算出部16は、各ユーザの健康負債の合計を組織の健康負債として算出してもよい。また組織健康資産算出部16は、各ユーザの医療費削減度合の合計を組織の医療費削減度合として算出してもよい。そして組織健康資産算出部16は、組織全体の健康負債や、医療費削減度合を示すウェブページを生成する。
【0043】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上述の健康資産管理装置1の処理によれば、現時点での健康資産を提示することで、ユーザに健康資産を増やすよう意識付けることにより、ユーザに健康を維持することに高い注意を払い続けることができるよう支援することができる。
【0044】
また上述の処理によれば、健康負債を金融で用いられるディスカウントファクタを用いて算出しているため、将来にわたる健康負債の金額を、現時点での金額に換算してユーザに提示することができる。
【0045】
また上述の処理によれば、健康資産や健康負債をユーザに提示することで、ユーザ自身の健康の促進の行動を促すことができる。
【0046】
上述の処理によれば端末2と通信接続したコンピュータサーバが健康資産管理装置1の機能を発揮するが、その処理のうちの一部または全部を、スマートフォンなどの端末2が行うようにしてもよい。この場合、一部または全部の処理に必要なデータが、端末2またはコンピュータサーバに記録されていてよい。
【0047】
また上述の例によれば、健康資産管理装置1は、健康資産を、健康負債金額から医療費削減度合を減算し、さらに金融資産を加えて算出している、しかしながら健康資産には金融資産を加えなくてもよい。そして、健康資産管理装置1は、金融資産を含まない健康資産と金融資産とを別々に算出して、端末2にそれぞれを表示させる装置であってよい。また金融資産を含まない健康資産を、金融資産に加算することで、ユーザの健康を加味した総資産を算出して、端末2に表示させる装置であってよい。健康資産の定義には金融資産は含まれてもよいし、含まれなくてもよい。
【0048】
また上述の例によれば、健康資産管理装置1は、ユーザの健康診断情報の取得に基づいてユーザの現時点において予測する将来医療費の現在価値を少なくとも示す健康負債金額を算出している。しかしながら健康負債金額は現在価値に換算しない将来医療費を用いて算出してもよい。この場合、上述の健康負債の算出式においてDFを用いずに健康負債を算出する。
【0049】
図11は健康資産管理装置の最小構成を示す図である。
図12は最小構成の健康資産管理装置の処理フローを示す図である。
健康資産管理装置1は、少なくとも、健康負債金額算出手段201、削減度合算出手段202、健康資産算出手段203、を備える。
健康負債金額算出手段201は、ユーザの健康診断情報の取得に基づいてユーザの現時点において予測する将来医療費の現在価値を少なくとも示す健康負債金額を算出する(ステップS301)。
削減度合算出手段202は、ユーザの行動情報の取得に基づいて将来医療費を削減させる医療費削減度合を算出する(ステップS302)。
健康資産算出手段203は、健康負債金額と医療費削減度合とに基づいて健康資産を算出する(ステップS303)。
【0050】
上述の各装置は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0051】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0052】
1・・・健康資産管理装置
2・・・端末
11・・・制御部
12・・・健康負債算出部
13・・・削減度合算出部
14・・・金融資産算出部
15・・・健康資産算出部
16・・・組織健康資産算出部
17・・・インタフェース部
18・・・モデル生成部
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