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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-14
(45)【発行日】2022-10-24
(54)【発明の名称】X線撮像構成部
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20221017BHJP
   A61B 6/10 20060101ALI20221017BHJP
   B25J 9/06 20060101ALI20221017BHJP
【FI】
A61B6/00 300D
A61B6/00 300X
A61B6/10 350
B25J9/06 B
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021523406
(86)(22)【出願日】2019-10-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(86)【国際出願番号】 EP2019079600
(87)【国際公開番号】W WO2020089272
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2022-02-16
(31)【優先権主張番号】18203289.6
(32)【優先日】2018-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ファン ローン ロベルトゥス ヨハネス アドリアヌス
(72)【発明者】
【氏名】ファン ピンクステレン ジェフリー アドリアヌス ウィルヘルムス
(72)【発明者】
【氏名】フェレメレン ヨハネス ペトルス マルティヌス ベルナルドゥス
【審査官】蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/029690(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0117603(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0069818(US,A1)
【文献】特開2000-185035(JP,A)
【文献】特開平09-276258(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 - 6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線撮像のための撮像構成部であって、前記撮像構成部は、
X線源を移動可能に保持する下側可動支持構成部と、
X線検知器を移動可能に保持する上側可動支持構成部と
を備え、
前記下側可動支持構成部は床に据え付けられるように構成され、前記上側可動支持構成部は天井に据え付けられるように構成され、
前記下側可動支持構成部は、下側ベースに回転可能に取り付けられた下側ブームを備え、前記下側ブームは、水平に配置された対応する回転軸を中心に垂直平面内を移動する、回転可能に接続された2つの下側アームを備え、前記下側ベースは、垂直軸の周りで回転可能であり、
前記上側可動支持構成部は、上側ベースに回転可能に取り付けられた上側ブームを備え、前記上側ブームは、垂直に配置された対応する回転軸を中心に水平平面内を移動する、回転可能に接続された2つの上側アームを備え、
前記上側可動支持構成部は、前記回転可能に接続された2つの上側アームのうちの1つの上側アームの自由端部に移動可能に取り付けられた伸縮部材を更に備え、前記伸縮部材は、前記X線検知器の垂直移動を可能とする、
撮像構成部。
【請求項2】
前記回転可能に接続された2つの下側アームにおいて、前記下側ブームは、前記下側ベースに第1の軸の周りで移動可能に取り付けられた第1のアームと、前記第1のアームの自由端部に第2の軸の周りで移動可能に取り付けられた第2のアームとを備え、
前記回転可能に接続された2つの上側アームにおいて、前記上側ブームは、前記上側ベースに第3の軸の周りで移動可能に取り付けられた第3のアームと、前記第3のアームの自由端部に第4の軸の周りで移動可能に取り付けられた第4のアームとを備え、
前記下側ブームの前記回転軸において、前記第1の軸及び前記第2の軸は互いに対して略平行に水平方向に配置され、前記上側ブームの前記回転軸において、前記第3の軸及び前記第4の軸は互いに対して略平行に垂直方向に配置される、
請求項1に記載の撮像構成部。
【請求項3】
前記下側可動支持構成部は、前記第1及び第2の軸に垂直な第5の軸の周りで回転可能な前記第2のアームの自由端部に移動可能に取り付けられた保持セグメントを更に備え、前記X線源は前記保持セグメントの自由端部に移動可能に取り付けられ、
前記上側可動支持構成部の垂直な前記伸縮部材は、前記第3及び第4の軸に事実上平行な第6の軸の周りで回転可能な前記第4のアームの自由端部に移動可能に取り付けられ、前記X線検知器は、垂直な前記伸縮部材の自由端部に移動可能に取り付けられる、
請求項2に記載の撮像構成部。
【請求項4】
前記第5の軸は、前記第2のアームの長手軸に対して下向き方向に傾斜している、請求項3に記載の撮像構成部。
【請求項5】
前記X線源は、前記第5の軸に垂直な第7の軸の周りで回転可能な前記保持セグメントに移動可能に装着された装着セグメントによって担持され、
前記X線検知器は、傾斜した第8の軸の周りで回転可能な前記伸縮部材に移動可能に装着された装着部材によって担持される、
請求項3又は4に記載の撮像構成部。
【請求項6】
前記第8の軸は、前記第3の軸、第4の軸及び第6の軸に対して傾斜し、
好ましくは、前記第8の軸は、垂直方向に52.5°だけ傾斜している、
請求項5に記載の撮像構成部。
【請求項7】
前記X線源は、前記第7の軸に垂直な第9の軸の周りで回転可能な前記装着セグメントに取り付けられ、ここで、
前記第9の軸は、前記X線源のX線束方向の中心線と同一直線上にあるか、
前記第7の軸と前記第9の軸との間に第1のオフセットが設けられるか、及び/又は、
前記第7の軸と前記X線源の焦点との間に第2のオフセットが設けられる、
請求項5又は6に記載の撮像構成部。
【請求項8】
前記X線検知器は、前記X線検知器の撮像平面に垂直な第10の軸の周りで回転可能な前記装着部材に取り付けられ、
前記第9の軸は前記X線源の焦点スポットを通り、
前記第10の軸は前記X線検知器の前記撮像平面の中央を通る、
請求項7に記載の撮像構成部。
【請求項9】
前記第6の軸、前記第8の軸及び前記第10の軸の仮想交点ポイントが提供され、
前記仮想交点ポイントと前記伸縮部材への前記装着部材の接続部との間にオフセットが設けられる、
請求項8に記載の撮像構成部。
【請求項10】
前記第2のアームは前記第1のアームよりも長く、及び/又は、
前記第4のアームは前記第3のアームよりも長い、
請求項2から9のいずれか一項に記載の撮像構成部。
【請求項11】
前記下側ベースは、垂直軸の周りで回転可能に前記床に据え付けられ、
前記下側ベースは、床レールに沿って滑動可能に移動可能に装着され、
前記床レールは、患者テーブルの長さに沿った移動を可能とし、
下側システムの合計で7自由度の、冗長性を有する運動学的レイアウトが提供されて、前記下側ブームが前記患者テーブルの幅の範囲内で動作するようにシステムの移動がプログラムされることを可能とする、
請求項1から10のいずれか一項に記載の撮像構成部。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載のX線撮像のための撮像構成部と、
対象者支持テーブルと
を備え、
前記下側可動支持構成部は前記対象者支持テーブルの下方に配置される、
X線撮像システム。
【請求項13】
前記X線源が前記対象者支持テーブルの下方に配置されたとき、前記下側ブームは前記対象者支持テーブルの下方に留まる、請求項12に記載のX線撮像システム。
【請求項14】
前記上側可動支持構成部は、その上側ベースが、下方に投影されたとき、前記対象者支持テーブルに対して横方向に及び/又は長手方向に変位された状態で配置される、請求項12又は13に記載のX線撮像システム。
【請求項15】
対象者のX線画像を取得するための方法であって、前記方法は、
a)対象者支持テーブル上に対象者を提供するステップと、
b1)前記対象者支持テーブルの下方で床に据え付けられた下側可動支持構成部によってX線源を位置決めするステップであって、i)下側ブームの回転可能に接続された2つの下側アームを、水平に配置された対応する回転軸を中心に垂直平面内で移動させるステップ、及び、ii)前記下側アームが取り付けられた下側ベースを垂直軸の周りで回転させるステップを有する、前記X線源を位置決めするステップと、
b2)天井に据え付けられた上側可動支持構成部によってX線検知器を位置決めするステップであって、i)上側ブームの回転可能に接続された2つの上側アームを、垂直に配置された対応する回転軸を中心に水平平面内で移動させるステップ、及び、ii)前記回転可能に接続された2つの上側アームのうちの1つの自由端部に移動可能に取り付けられた伸縮部材によって前記X線検知器を垂直に移動させるステップを有する、前記X線検知器を位置決めするステップと、
c)前記X線源によってX線放射を生成し、生成された前記X線放射を前記X線検知器によって検知するステップと
を有する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線撮像に関し、特には、X線撮像のための撮像構成部、X線撮像システム、及びX線撮像のための撮像構成部を移動するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
介入性のX線撮像システムは、例えば心血管系の解剖学的構造の画像を取得するために使用される。これらの画像は、医療処置中に、臨床医にフィードバックを提供するために使用される。更に、これは、先進の最小侵襲治療を可能とする。例えば、Cアーム構造が、治療中心の周りで球状に移動するX線源及びX線検知器を提供する。これは、コンピュータ断層撮影のために使用される。しかしながら、Cアームは比較的かさばる。従って、線源及び検知器のために個々の支持体を有するX線システムが提供される。
【0003】
例えば、米国特許第4807273A号は、線源及び検知器を保持する2つのロボットアームを有するシステムを説明している。更なる例として、米国特許出願公開第2018/0242938A1号は、7軸垂直複数関節ロボットによって支持されたX線源及びX線検知器を有するX線撮像システムを説明している。ロボットの動作は、X線源及び検知器が、治療中心Cを中心とする球状のシェル上で、患者を中心に移動するように制御される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、機器の量の増加の面から見ると、X線診察デバイスによって必要とされる空間の更なる低減に対する需要が増大していることが分かる。
【0005】
故に、容易化された、省スペースの医療用X線撮像を提供する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、独立請求項の主題によって解決され、更なる実施形態が従属請求項に組み込まれる。以下に説明される本発明の態様は、X線撮像のための撮像構成部、X線撮像システム、及びX線撮像のための撮像構成部を移動するための方法にも適用されることに留意されたい。
【0007】
本発明によると、X線撮像のための撮像構成部が提供される。撮像構成部は、X線源を移動可能に保持する下側可動支持構成部を備える。撮像構成部は、X線検知器を移動可能に保持する上側可動支持構成部も備える。下側可動支持構成部は床に据え付けられるように構成され、上側可動支持構成部は天井に据え付けられるように構成される。下側可動支持構成部は、下側ベースに回転可能に取り付けられた下側ブームを備える。下側ブームは、水平に、すなわち天井又は床に平行に配置された対応する回転軸を中心に、垂直平面内、すなわち天井又は床に垂直な平面内を移動するように構成された、回転可能に接続された2つの下側アームを備える。下側ベースは、垂直軸の周りで回転可能である。
【0008】
上側可動支持構成部は、上側ベースに回転可能に取り付けられた上側ブームを備える。更に、上側ブームは、垂直に、すなわち天井又は床に垂直に配置された対応する回転軸を中心に、水平平面内、すなわち天井又は床に平行な平面内を移動するように構成された、回転可能に接続された2つの上側アームを備える。なおも更に、上側可動支持構成部は、回転可能に接続された2つの上側アームのうちの1つの自由端部に移動可能に取り付けられた伸縮部材を備え、伸縮部材は、X線検知器の垂直移動を可能とするように構成される。
【0009】
結果として、撮像システムのために使用される室内の空間が最小限まで低減され、室内の構成が容易化される。このことは、臨床的ワークフローを最適化し、患者へのアクセスを向上させることも意味する。更に、運動学的レイアウトが、支持システムの運動性能の向上を可能とし、このことは、より少ないX線量での画像品質の向上を可能とする。
【0010】
実施例によると、回転可能に接続された2つの下側アームにおいて、下側ブームは、下側ベースに第1の軸の周りで移動可能に取り付けられた第1のアームと、第1のアームの自由端部に第2の軸の周りで移動可能に取り付けられた第2のアームとを備える。更に、回転可能に接続された2つの上側アームにおいて、上側ブームは、上側ベースに第3の軸の周りで移動可能に取り付けられた第3のアームと、第3のアームの自由端部に第4の軸の周りで移動可能に取り付けられた第4のアームとを備える。なおも更に、下側ブームの回転軸では、第1の軸及び第2の軸は互いに対して略平行に水平方向に配置され;上側ブームの回転軸では、第3の軸及び第4の軸は互いに対して略平行に垂直方向に配置される。
【0011】
実施例によると、下側可動支持構成部は、第1及び第2の軸に垂直な第5の軸の周りで回転可能な第2のアームの自由端部に移動可能に取り付けられた保持セグメントを更に備え、X線源は保持セグメントの自由端部に移動可能に取り付けられる。上側可動支持構成部は、第3及び第4の軸に平行な第6の軸の周りで回転可能な第4のアームの自由端部に移動可能に取り付けられた垂直な伸縮部材を更に備え、X線検知器は、垂直な伸縮部材の自由端部に移動可能に取り付けられる。
【0012】
実施例によると、第5の軸は、第2のアームの長手軸に対して下向き方向に傾斜している。
【0013】
こうして、更なる空間的構成オプションが提供される。
【0014】
実施例によると、X線源は、第5の軸に垂直な第7の軸の周りで回転可能な保持セグメントに移動可能に装着された装着セグメントによって担持される。X線検知器は、傾斜した第8の軸の周りで回転可能な伸縮部材に移動可能に装着された装着部材によって担持される。
【0015】
実施例によると、第8の軸は、第3、第4及び第6の軸に対して傾斜している。
【0016】
オプションによると、第8の軸は、垂直方向に52.5°だけ傾斜している。実施例において、傾斜角度は、45°から60°の範囲内で提供される。
【0017】
実施例によると、X線源は、第7の軸に垂直な第9の軸の周りで回転可能な装着セグメントに取り付けられる。第9の軸は、X線源のX線束方向の中心線と同一直線上にある。第7の軸と第9の軸との間に第1のオフセットが設けられる。更に、第7の軸とX線源の焦点との間に第2のオフセットが設けられる。
【0018】
実施例によると、第2のアームは第1のアームよりも長い。追加的に又は代替的に、第4のアームは第3のアームよりも長い。
【0019】
実施例によると、下側ベースは、垂直軸の周りで回転可能に床に据え付けられる。下側ベースは、床レールに沿って滑動可能に移動可能に装着され、床レールは、患者テーブルの長さに沿った移動を可能とする。更に、オプションとして提供されるものであるが、下側システムの合計で7自由度の、冗長性を有する運動学的レイアウトが提供され、これは、下側ブームが対象者支持テーブルの幅の範囲内で動作するようにシステムの移動がプログラムされることを可能とする。
【0020】
本発明によると、X線撮像システムも提供される。X線撮像システムは、上述の実施例のいずれかによる、X線撮像のための撮像構成部と、対象者支持テーブルとを備える。下側可動支持構成部は対象者支持テーブルの下方に配置される。
【0021】
「対象者」という語は、個人としても言及される。「対象者」は更に、患者としても言及されるが、この語は、なんらかの病気又は疾病が対象者に実際に存在するか否かを示すものではないことに留意されたい。
【0022】
実施例によると、X線源が対象者支持テーブルの下方に配置されたとき、下側ブームは対象者支持テーブルの下方に留まる。
【0023】
別の実施例によると、上側可動支持構成部は、その上側ベースが、対象者支持テーブルに対して長手方向に及び/又は横方向に変位された状態で配置される。この変位は、対象者支持体の長さ方向において、例えば、患者テーブルの長手方向の延長上に提供される。横方向の変位は、対象者支持体の幅方向において提供される。
【0024】
本発明によると、対象者のX線画像を取得するための方法も提供される。方法は以下の、
a)対象者支持テーブル上に対象者を提供するステップと;
b1)対象者支持テーブルの下方で床に据え付けられた下側可動支持構成部によってX線源を位置決めするステップであって;i)下側ブームの回転可能に接続された2つの下側アームを、水平に配置された対応する回転軸を中心に垂直平面内で移動させるステップ、及び、ii)下側アームが取り付けられた下側ベースを垂直軸の周りで回転させるステップを有する、X線源を位置決めするステップと;
b2)天井に据え付けられた上側可動支持構成部によってX線検知器を位置決めするステップであって;i)上側ブームの回転可能に接続された2つの上側アームを、垂直に配置された対応する回転軸を中心に水平平面内で移動させるステップ、及び、ii)回転可能に接続された2つの上側アームのうちの1つの自由端部に移動可能に取り付けられた伸縮部材によってX線検知器を垂直に移動させるステップを有する、X線検知器を位置決めするステップと;
c)X線源によってX線放射を生成し、生成されたX線放射をX線検知器によって検知するステップと
を有する。
【0025】
本発明の実施形態によると、撮像構成部は、X線源及びX線検知器それぞれのための移動の6自由度を提供するための運動学的作業スキームが互いに異なる2つの同一でないメカトロニックシステムを備える。どちらのシステムも、手術室において使用可能な空間の最適に使用する。故に、上に示されたように、臨床医及び他の医療機器に対する障害物がより少なくなり、患者へのアクセスが向上される。
【0026】
撮像構成部の上側部、すなわち検知器支持体では、水平平面内で移動するように各々が構成された2つの部分を有し、天井に据え付けられた2リンク上側アームが提供される。例えば、上側アーム部分の移動は、水平平面内での移動に制限される。伸縮部材が一方の上側アーム部分の自由端部に取り付けられ、垂直移動のために使用される。この設定は、全ての移動コンポーネントが、頭部の高さ(2.10m)よりも上で、又は検知器の真上で、動作することを保証する。
【0027】
撮像構成部の下側部、すなわち、線源支持体では、6つの回転自由度と、これ加えて、任意選択的に、レールに沿った追加的な冗長並進移動とを有する運動学的レイアウトが患者テーブルの下方に提供される。2リンクアームが、垂直平面内での移動のために提供される。例えば、上側アーム部分の移動は、水平平面内での移動に制限される。これらの水平移動は、放射されるべき対象者に対する異なる位置をカバーするために垂直軸の周りでの下側ベースの回転と組み合わされる。2リンクアームと垂直軸の周りでの回転との組み合わせは、ロボットアームが比較的限られた空間内で動作するようにシステムの移動がプログラムされることを可能とする。
【0028】
実施例において、レールに沿った任意選択的な並進移動が実現され、ロボットアームは患者テーブルの幅の範囲内で動作し、すなわち、撮像構成部の下側部の移動は、患者テーブルの輪郭内に制限される。
【0029】
撮像構成部が使用されないとき、すなわちニュートラル位置にあるとき、構成部の一部は、患者支持体、例えば患者テーブルの下方に収容され得、他の部分は、患者テーブルの周りの作業フィールドの上方の天井エリアに配置される。撮像構成部は、X線源及び検知器を、患者テーブルに対して長手方向及び横方向において、又は仮想的治療中心の周りで球状に位置決めし得る。構成部の両部分は、X線源及びX線検知器を6自由度で自由に移動させることができる。
【0030】
2つの専用のメカトロニックシステムがX線源及びX線検知器を支持する。これらの支持システムの運動学的レイアウトは、これらのコンポーネントが広い運動範囲にわたって正確に位置決めされることを可能とする一方、臨床医及び他の医療機器に対する障害物を最小化する。X線源を床に、検知器を天井に接続することによって、両支持システムのペイロードは、建築物構造、すなわちいわゆる固定世界、の最も近い部分に結合される。更に、ペイロードと固定世界との間の力の経路を短く維持しつつ、例えば210°などの広いスキャン範囲が提供される。構造的コンポーネントの長さを更に減少させる特別な運動学的レイアウトが提案される。従って、軽量で強固なメカトロニック設計が作成され得、これは、撮像機器を、向上された整列と運動再現性とを有しつつ十分に広い範囲にわたって移動させることができる。このことは、より良好な3D画像の品質につながり、必要とされる放射の過剰な使用を減少させ、放射線は、患者を通過して、完全な検知器のカバー範囲を保証するように放射される。
【0031】
本発明のこれらの及び他の態様は、以下において説明される実施形態から明らかになり、これらを参照することで解明されるであろう。
【0032】
以下において、本発明の例示的な実施形態が以下の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】X線撮像のための撮像構成部の実施例の横側図を図示する。オプションとして、構成部は、X線撮像システムの実施例のコンテキストで図示される。
図2図1の実施例の前端側図を図示する。
図3図1及び図2の実施例の上面図を図示する。
図4a】第1の撮像位置にあるX線撮像のための撮像構成部の別の実施例の前端側図を図示する。
図4b】第2の撮像位置にある図4aの撮像構成部を図示する。
図5】撮像位置にある図1の実施例の斜視図を図示する。
図6図4aの実施例の斜視図を図示する。
図7】パーキング位置にある撮像構成部の横側図を図示する。
図8図7の撮像構成部を上面図において図示する。
図9】X線撮像のための撮像構成部を移動させるための方法の実施例の基本的ステップを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、X線撮像のための撮像構成部10の実施例の横側図を図示する。X線撮像のための撮像構成部10は、X線源14を移動可能に保持する下側可動支持構成部12を備える。X線撮像のための撮像構成部10は、X線検知器18を移動可能に保持する上側可動支持構成部16を更に備える。下側可動支持構成部12は床20に据え付けられるように構成され、上側可動支持構成部16は天井22に据え付けられるように構成される。下側可動支持構成部12は、下側ベース26に回転可能に取り付けられた下側ブーム24を備える。下側ブーム24は、回転可能に接続された2つの下側アーム28を備える。下側ベース26は、垂直軸30の周りで回転可能である。上側可動支持構成部16は、上側ベース34に回転可能に取り付けられた上側ブーム32を備える。上側ブーム32は、回転可能に接続された2つの上側アーム36を備える。下側ブームの回転軸は水平に配置され、上側ブームの回転軸は垂直に配置される。
【0035】
オプションとして、構成部は、X線撮像システム100の実施例のコンテキストで図示される。X線撮像システム100は、上述の及び以下の実施例の1つによる、X線撮像のための撮像構成部10を備える。更に、対象者支持テーブル102が提供される。下側可動支持構成部は対象者支持テーブル102の下方に配置される。
【0036】
対象者支持テーブル102は調節可能スタンド104を備え、これはテーブルの高さを調節するために下降又は上昇され得る。
【0037】
下側可動支持構成部12は第1の可動支持構成部とも称され得、上側可動支持構成部16は第2の可動支持構成部とも称され得る。下側ブーム24は第1のブームとも称され得、上側ブーム32は第2のブームとも称され得る。下側ベース26は床ベースとも称され得る。下側可動支持構成部12は、可動ベース支持構成部とも称され得る。上側ベース34は天井ベースとも称され得る。上側可動支持構成部16は天井支持構成部とも称され得る。2つのアームを有するブームは2アームブームとも称され得る。2アームブームは更に、2セグメント片持ち式アームとも称され得る。
【0038】
実施例において、上側ベース34は固定的なベースである。
【0039】
図示される実施例において、上側ベース34は天井22のような天井構造に据え付けられ、下側ベース26は床20などの床構造に据え付けられる。
【0040】
故に、X線源14及びX線検知器18は、X線源14及びX線検知器18が互いに対向するようなやり方で、オブジェクトに対する多くの位置に配置され得る。
【0041】
X線撮像システム100の使用中にユーザに対する構成部10による障害物が最小限となることを保証する同期制御が提供される。
【0042】
更なる実施例において、図1にオプションとして図示されるように、回転可能に接続された2つの下側アーム28では、下側ブームは、下側ベース26に第1の軸38の周りで移動可能に取り付けられた第1のアーム28aと、第1のアーム28aの自由端部に第2の軸40の周りで移動可能に取り付けられた第2のアーム28bとを備える。更に、回転可能に接続された2つの上側アーム36では、上側ブームは、上側ベース34に第3の軸42の周りで移動可能に取り付けられた第3のアーム36aと、第3のアーム36aの自由端部に第4の軸44の周りで移動可能に取り付けられた第4のアーム36bとを備える。
【0043】
下側ブーム24の回転軸では、第1の軸38及び第2の軸40は互いに対して略平行に水平方向に配置される。例えば、動作中に、第1の軸38及び第2の軸40はそれらの水平配置を維持し、下側ブーム24のアームは、事実上、垂直平面内でのみ移動する。換言すれば、この実施例において、下側ブーム24のアームの移動は、垂直平面内に制限される。
【0044】
上側ブーム32の回転軸では、第3の軸42及び第4の軸44は互いに対して略平行に垂直方向に配置される。例えば、動作中に、第3の軸42及び第4の軸44はそれらの垂直配置を維持し、上側ブーム32のアームは、事実上、水平平面内でのみ移動する。換言すれば、この実施例において、上側ブーム32のアームの移動は、水平平面内に制限される。
【0045】
本出願全体を通じて、軸の種々の向きは、僅かな偏位又は許容差の範囲を有して言及されることが留意される。例えば、10°未満の偏位、例えば5°未満又は1°未満の偏位が提供される。
【0046】
「略」平行という語は理論的な平行整列からの小さな偏位が提供される配置を指す。例えば、10°未満の偏位、例えば5°未満又は1°未満の偏位が提供される。「略平行」という語は、「事実上平行」又は「名目上平行」とも称され得る。
【0047】
アームは、それらのそれぞれの端部において接続される。「自由端部」という語は、他端部が接続されていると既に説明されたことを考慮にいれた遠位端部を指し、従って、他端部は近位端部である。「遠位」及び「近位」という語は、ベースから出発してX線源14及びX線検知器18の形態の移動端部に向かう構造上の見る方向に関する。
【0048】
下側部24の第1のアーム28aは第1の下側アームとも称され得、下側ブーム24の第2のアーム28bは第2の下側アームとも称され得る。上側部32の第3のアーム36aは第1の上側アームとも称され得、上側ブーム32第4のアーム36bは第2の上側アームとも称され得る。
【0049】
第1の軸38及び第2の軸40は、使用中にずっと事実上水平な向きを維持する。更に、第3の軸42及び第4の軸44は、使用中にずっと事実上垂直な向きを維持する。
【0050】
更なる実施例において、図1における別のオプションとして図示されるように、下側可動支持構成部12は、第1の軸38及び第2の軸40に垂直な第5の軸48の周りで回転可能な第2のアームの自由端部に移動可能に取り付けられた保持セグメント46を更に備え、X線源14は保持セグメント46の自由端部に移動可能に取り付けられる。
【0051】
オプションにおいて、更に図示されてはいないが、第5の軸48は第2のアーム28bの長手軸に対して下向き方向に傾斜している。例えば、第2のアーム28bが水平に配置されたとき、下に向かったおよそ45°の傾斜が提供される。
【0052】
上側可動支持構成部16は、第3の軸42及び第4の軸44に略平行な第6の軸52の周りで回転可能な第4のアーム36bの自由端部に移動可能に取り付けられた垂直な伸縮部材50を更に備え、X線検知器18は、垂直な伸縮部材50の自由端部に移動可能に取り付けられる。伸縮部材は、第1の両矢印51によって示されるように、垂直移動を可能とする。実施例において、図示されるように、伸縮部材50は、互いに対して移動する2つの部品又は要素と;支持体に固定された1つの部品又は要素とを有する1つのステージを備える。
【0053】
別の実施例において、伸縮部材50は、互いに対して移動する3つの部品又は要素と;支持体に固定された1つの部品又は要素とを有する2つのステージを備える。
【0054】
更なる実施例において、図1における別のオプションとして図示されるように、X線源14は、第5の軸48に垂直な第7の軸56の周りで回転可能な保持セグメントに移動可能に装着された装着セグメント54によって担持される。X線検知器18は、傾斜した第8の軸60の周りで回転可能な伸縮部材に移動可能に装着された装着部材58によって担持される。実施例において、図示されるように、伸縮部材50は、装着部材58が回転可能に装着された、L字形状の端部又は延長部63を有する下側部61を備える。
【0055】
実施例において、第8の軸60は、第3、第4及び第6の軸に対して傾斜している。例えば、オプションとして提供されるものであるが、第8の軸60は垂直方向に52.5°の角度だけ傾斜している。
【0056】
更なる実施例において、図1における別のオプションとして図示されるように、X線源14は、第7の軸56に垂直な第9の軸62の周りで回転可能な装着セグメント54に取り付けられる。第9の軸62は、X線源14のX線束方向の中心線64、すなわち、輪郭66によって示されるX線ビームの中心線64と同一直線上にある。中心線は主放射方向とも称され得る。第7の軸56と第9の軸62との間に第1のオフセット(B、図4bを参照)が設けられる。更に、第7の軸56とX線源14の焦点68との間に第2のオフセット(A、やはり図4bを参照)が設けられる。第1のオフセット及び第2のオフセットは、個別に又は一緒に提供され得る2つのオプションとして提供されることが留意される。
【0057】
更なる実施例において、図1における別のオプションとして図示されるように、X線検知器18は、X線検知器18の撮像平面に垂直な第10の軸70の周りで回転可能な装着部材58に取り付けられる。第9の軸62は焦点68、すなわちX線源14の焦点スポットを通る。第10の軸70は、検知器18の撮像平面の中央を通る。
【0058】
第9及び第10の軸が焦点68及び撮像平面の中央をそれぞれ通ることは、オプションとして提供されることが留意される。
【0059】
オプションとして、X線源14及びX線検知器18が整列されたとき、第10の軸70も焦点68を通るが、システムがパーキング位置にあるときはこれを通らないことが提供される。
【0060】
別のオプションとして、第6の軸52、第8の軸60及び第10の軸70の仮想交点ポイントが提供される。交点ポイントと伸縮部材への装着部材の接続部との間にオフセット(C、図4bを参照)が設けられる。実施例において、交点ポイントは、X線検知器の画像平面内に配置される。
【0061】
更なる実施例において、図1における別のオプションとして図示されるように、下側ベース26は、垂直軸30の周りで回転可能に床20に据え付けられ、下側ベース26は、床レール72に沿って滑動可能に移動可能に装着される。床レール72は、第2の両矢印74によって示されるように、患者テーブル102の長さに沿った移動を可能とする。下側ベースの垂直な回転軸は、第11の軸とも称される。
【0062】
床レール72が図1から図9の全体を通して図示されているが、床レールはオプションとして提供されることが留意される。下側ベースがレールなしに床に据え付けられる実施例も提供される。
【0063】
更なる実施例において、詳細には図示されないが、床に据え付けられた第1の部品と、水平方向に滑動するように第1の部品に装着された第2の部品とを有する2部品ベースが提供される。下側ブームは第2の部品に回転可能に取り付けられる。ベースの第1及び第2の部品の間のシフトは、水平方向における一定の調節を可能とする。
【0064】
伸縮部材50の垂直移動51は、更なる運動のライン、すなわち並進移動を提供する。これは、運動の第12のライン又は軸とも称され得る。
【0065】
実施例において、下側ベース26は、床レール72に沿って滑動可能な台車27(詳細には図示されない)に装着される。レール72に沿った滑動移動74は、更なる運動のライン、すなわち並進移動を提供する。これは、運動の第13のライン又は軸とも称され得る。
【0066】
床レールによって提供される追加的な自由度は、運動の自由における冗長性を提供する。
【0067】
下側ベースが装着されたレールの場合、レールは対象者支持体の長手軸と整列され、又は少なくともこれと平行である。
【0068】
第1の軸38はA、第2の軸40はA、第3の軸42はA、第4の軸44はA、第5の軸48はA、第6の軸52はA、第7の軸56はA、第8の軸60はA、第9の軸62はA、第10の軸70はA10、第11の軸30はA11、運動の第12のライン又は軸51はA12、運動の第13のライン又は軸74はA13とも称される。
【0069】
図2は、対象者支持テーブル102の前端側図を図示する。X線源14はテーブルの下方に配置され、X線放射66が検知器18に向かって放射される。テーブルの脇の空間は撮像構成部によって邪魔されない。
【0070】
図3は、図1及び図2の実施例の上面図を図示する。X線検知器18は対象者支持テーブル102の上方に配置され、X線源14は対象者支持テーブル102の下方に配置される。対象者支持テーブル102の長さ方向における下側可動支持構成部12の下側ベース26の移動性(図1における矢印74を参照)に加えて、上側可動支持構成部16の一部としてのX線検知器18も、両矢印75によって示されるように、対象者支持テーブル102の長さ方向など、広い運動範囲にわたって移動され得る。
【0071】
図4aは、第1の撮像位置にあるX線撮像のための撮像構成部10の別の実施例の前端側図を図示する。下側可動支持構成部12は、X線源14のためのメカトロニック支持システムを提供する。上側可動支持構成部16は、X線検知器18のためのメカトロニック支持システムを提供する。図4a及び図4bにおいて示されるように、2つのメカトロニック支持システムは、X線源14及びX線検知器18を、患者テーブル102に対して長手方向及び横方向において、又は仮想的治療中心76の周りで球状に位置決めするために使用される。両メカトロニック支持システムは、X線源14及びX線検知器18を6自由度で自由に移動させることができる。
【0072】
図4bは、第2の撮像位置にある図4aの撮像構成部10を図示する。下側部において、6自由度は、X線源14を仮想的治療中心76の周りで球状に移動させるために、レールに沿った直線移動と組み合わされ得る。±105°までの斜め方向の投影が達成され得る。このことは、例えば210°の3Dスキャン範囲を可能とし、これは正確な再構成アルゴリズムの使用のために十分である。
【0073】
実施例において、第1のアーム28a及び第2のアーム28bの長さは任意的に選ばれてよい。
【0074】
オプションにおいて、第2のアーム28bは第1のアーム28よりも長い。このことは、移動中に対象者支持テーブル102の下方に第1のアーム28aと第2のアーム28bとの間の接合部を保つことをより容易にする。組み合わされた長さは、アームを完全に伸ばすことなく(運動ベロシティの調節の困難さをもたらす運動学における特異点を回避するため)、±105°のスキャン範囲を可能とするように選ばれる。更に、これは、第1のアーム28aの全ての位置について、この接合部と患者テーブルとの間の隙間を保証する。図4aにおいて、この隙間はTCによって示される。この隙間は、患者テーブルが人間工学的な作業高さに、例えば100mmの範囲において、調節されることを可能とする。
【0075】
次いで、上部及び底部の両システムの6自由度運動能力は、適宜に仮想治療中心76の高さを変化させるためにも使用され得る。
【0076】
上部システムにおいて、軸42、44、及び52の周りでの第3及び第4のアーム36a、36b並びに垂直な伸縮部材50の回転は、検知器18が水平平面内で3自由度にわたって移動されることを可能とする。伸縮部材は検知器18の垂直移動を可能とする。この実施形態において、第6の軸52と垂直移動51とは一直線である。
【0077】
これら全ての組み合わされた要因は、上部システムのコンポーネントが、頭部の高さ(2.10m)よりも上で、又は検知器の真上(図2を参照)で、移動することを保証する。このことも、撮像構成部が臨床医又は他の医療機器の障害物になることを制限する。
【0078】
図4bにおいて図示される実施例において、X線源14は一定のオフセット(A、B)を有するように装着される。これらのオフセットは、±105°のスキャン範囲を達成するために必要とされる第1及び第2のアームの長さを低減する。更に、上部システムにおいて、第6の軸、第8の軸及び第10の軸は、単一のポイント77において交差する。このことは、球状の運動ステージを作り出す。装着オフセット(C)とともに、このことは、必要とされる伸縮部材50のストロークを低減する。
【0079】
オプションとして提供される下側システムの冗長性を有する運動学的レイアウト(合計で7自由度)は、全ての投影角度及び3Dスキャン軌道(図4a及び図4b)について、下側ブームが対象者支持テーブル102の幅の範囲内で動作するようにシステムの移動がプログラムされることを可能とする。このことは、X線源14に接続する部分のみを患者テーブルの下から突出させる。更に、X線源14は、患者の長手軸及び検知器18に対して一定の向きに保持され得る。このことは、更に障害物を制限し、線源のヒール効果の視覚化を最小化する。
【0080】
図5は、図1の実施例の斜視図を図示する。実施例において、例えば図5において示されるように、X線源14が対象者支持テーブル102の下方に配置されたとき、下側ブーム28は対象者支持テーブル102の下方に留まる。対象者106は対象者支持テーブル102上に載っているところが図示されている。更に、スタッフメンバ108、例えば外科医師が対象者支持テーブル102の隣に立っているところが図示されている。図5において示されるように、運動学的レイアウトは、人間工学的な作業姿勢、容易なパーキング(図7を参照)、向上された患者へのアクセスを可能とし、臨床医又は他の医療機器への障害物を最小限にする。別の実施例において、上側可動支持構成部16は、その上側ベース34が、対象者支持テーブル102に対して長手方向に及び/又は横方向に変位された状態で配置される。この変位の結果として、(上側)ベースは患者テーブルの上にはなく、故に、層状の空気流フィールドの外側にある。
【0081】
図6は、図4aの実施例の斜視図を図示する。
【0082】
リンクの長さ及び伸縮ストロークを低減することで、重力負荷及び慣性負荷に起因する力及びトルクがより小さくなる。従って、構成部をより軽量化することが可能となり、より強固な設計に寄与する。結果としてもたらされる質量比へのより大きな強固さは、動的運動性能の向上につながり、故に、画像品質の向上につながる。運動性能の向上は、6自由度運動能力と組み合わされて、撮像機器の間の整列の能動的な制御も可能とする。システムの自由度を使用して、機械的構造における準静的撓みが定量化され得、補償され得る。これによって、検知器上でのX線ビームの誤整列が最小化され、従って、不必要な放射線量も最小化され得る。性能の向上の他に、システムのより小さい質量は、製造、輸送及び設置のコストの低減をもたらす。
【0083】
もしもデバイスが(一時的に)必要とされないなら、その柔軟な設定は、デバイスが容易にパーキングされることを可能とする。ここで、底部システムは患者テーブルの下でそのニュートラル位置に折り畳まれる。上部システムでは、検知器、伸縮部材及びアームを患者テーブルから離間するように移動させるためにアームが使用され得る。
【0084】
図7は、パーキング位置にある撮像構成部10の横側図を図示する。実施例において、例えば図7において示されるように、上側可動支持構成部14は、その上側ベース34が対象者支持テーブル102の上方で長手方向に変位された状態で配置される。故に、滅菌用の層状の下降流は、対象者支持テーブル102をカバーするように配置され得、上側ベース34は、層状の下降流の外側に配置される。例えば、上側ベース34は、テーブルの長さ方向の延長上に置かれる。オプションとして、横向きの変位、すなわち、テーブルの幅方向の変位も提供される。
【0085】
図8は、図7の撮像構成部10を上面図において図示する。X線検知器18を有する上側可動支持構成部16は、(垂直に投影されたときに)対象者支持テーブル102の脇に位置する。X線源14を有する下側可動支持構成部12は対象者支持テーブル102の下方に配置される。
【0086】
オプションとして、第4のアーム36bは第3のアーム36aよりも長い。このことは、伸縮部材50及び取り付けられたコンポーネントが、伸縮部材の一部が第4のアーム36bの上方に突出しているにもかかわらず、ベース34に横付けに、テーブルから離間するように移動されることを可能とする。
【0087】
図9は、X線撮像のための撮像構成部を移動させるための方法200の実施例の基本的ステップを図示する。方法200は以下のステップを有する。
【0088】
ステップa)とも称される第1のステップ202において、対象者支持テーブル上に対象者が提供される。
【0089】
ステップb1)とも称される第2のステップ204において、対象者支持テーブルの下方で床に据え付けられた下側可動支持構成部を使用してX線源が位置決めされる。下側ブームは、回転可能に接続された2つの下側アームを備え、これらは、水平に配置された対応する回転軸を中心に垂直平面内で回転する。下側ブームは、床に据え付けられた下側ベースに取り付けられ、下側ベースは、垂直軸の周りで回転可能である。
【0090】
ステップb2)とも称される第3のステップ206において、天井に据え付けられた上側可動支持構成部を使用してX線検知器が位置決めされる。上側ブームは、回転可能に接続された2つの上側アームを備え、これらは、垂直に配置された対応する回転軸を中心に水平平面内で回転する。上側ブームは、天井に据え付けられた上側ベースに取り付けられ、上側ベースは、更なる垂直軸の周りで回転可能である。なおも更に、回転アームのうちの1つの自由端部、例えば、上側ベースまで最も大きな距離を有する回転アームの自由端部に、X線検知器を垂直に移動させるように、すなわちX線検知器の高さ調節を実施するように、伸縮部材が移動可能に取り付けられる。
【0091】
ステップc)とも称される第4のステップ208において、X線源によってX線放射が生成され、生成されたX線放射がX線検知器によって検知される。オプションにおいて、第2のステップ、第3のステップ及び第4のステップは同期して実行されることが留意される。
【0092】
構成部は、広い運動範囲にわたって撮像機器が移動されることを可能とする。その運動学的レイアウトは、人間工学的な作業姿勢、容易なパーキング、向上された患者へのアクセスを可能とし、臨床医又は他の医療機器への障害物を最小限にする。
【0093】
本発明の実施形態は、異なる主題に関して説明されていることに留意されたい。特には、いくつかの実施形態は方法タイプの請求項に関して説明されている一方、他の実施形態はデバイスタイプの請求項に関して説明されている。しかしながら、当業者は、上記及び下記の説明から、そうでないことが通告されていない限り、1つのタイプの主題に属する特徴の任意の組み合わせに加えて、異なる主題に関する特徴の間の任意の組み合わせも、本出願によって開示されると見なされることを推測されよう。しかしながら、全ての特徴は組み合わされて、特徴を単に合わせたものよりも大きい相乗効果を提供し得る。
【0094】
本発明が、図面及び前述の説明において詳細に図示及び説明されたが、このような図示及び説明は、説明的又は例示的なものと見なされるべきであり、制限的なものと見なされるべきではない。本発明は、開示された実施形態に限定されるものではない。開示された実施形態に対する他の変形が、特許請求された本発明を実践するにあたって当業者によって、図面、本開示、及び従属請求項を検討することにより、理解され、実行され得る。
【0095】
特許請求の範囲において、「備える、有する」という語は、他の要素又はステップを排除するものではなく、単数形は複数性を排除するものではない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、請求項に記載されたいくつかのアイテムの機能を完遂し得る。特定の手段が、相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用され得ないことを示すものではない。特許請求の範囲におけるいかなる参照符号も、その範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9