(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-14
(45)【発行日】2022-10-24
(54)【発明の名称】衣類処理装置用の制御方法
(51)【国際特許分類】
D06F 73/02 20060101AFI20221017BHJP
D06F 33/10 20060101ALI20221017BHJP
【FI】
D06F73/02
D06F33/10
(21)【出願番号】P 2021524966
(86)(22)【出願日】2019-10-30
(86)【国際出願番号】 CN2019114290
(87)【国際公開番号】W WO2020093917
(87)【国際公開日】2020-05-14
【審査請求日】2021-05-07
(31)【優先権主張番号】201811331393.9
(32)【優先日】2018-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517417854
【氏名又は名称】青島海爾▲滾▼筒洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER DRUM WASHING MACHINE CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Haier Industrial Park,No.1 Haier Road,Laoshan District,Qingdao,Shandong 266101,China
(73)【特許権者】
【識別番号】521161200
【氏名又は名称】ハイアール スマート ホーム カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】シェン シュー
(72)【発明者】
【氏名】チーチャン ザオ
(72)【発明者】
【氏名】カイ リウ
(72)【発明者】
【氏名】シーチアン シャン
【審査官】程塚 悠
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-521077(JP,A)
【文献】特開2017-196299(JP,A)
【文献】特開2006-257604(JP,A)
【文献】特開2004-057649(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107034630(CN,A)
【文献】特表2002-537920(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 73/02
D06F 58/10
D06F 33/10
D06F 33/52
D06F 34/14
A47B 61/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類処理装置用の制御方法であって、前記衣類処理装置は、衣類を空気洗浄できる空気洗浄装置を含み、前記制御方法は、
衣類の材質
に対応する温度範囲および/または湿度範囲を取得するステップと、
衣類洗剤のタイプ
に対応する温度範囲および/または湿度範囲を取得するステップと、
衣類汚れのタイプ
に対応する温度範囲および/または湿度範囲を取得するステップと、
前記衣類の材質
に対応する温度範囲、前記衣類洗剤のタイプ
に対応する温度範囲及び前記衣類汚れのタイプ
に対応する温度範囲に基づいて、
および/または前記衣類の材質に対応する湿度範囲、前記衣類洗剤のタイプに対応する湿度範囲及び前記衣類汚れのタイプに対応する湿度範囲に基づいて、空気洗浄のパラメータ範囲を確定するステップと
を含むことを特徴とする衣類処理装置用の制御方法。
【請求項2】
前記空気洗浄のパラメータ範囲は、空気洗浄の温度範囲であり、
「前記衣類の材質
に対応する温度範囲、前記衣類洗剤のタイプ
に対応する温度範囲及び前記衣
類汚れのタイプ
に対応する温度範囲に基づいて、
および/または前記衣類の材質に対応する湿度範囲、前記衣類洗剤のタイプに対応する湿度範囲及び前記衣類汚れのタイプに対応する湿度範囲に基づいて、空気洗浄のパラメータ範囲を確定する」ステップは、具体的に、
前記衣類の材質に基づいて現在の衣類の材質に対応する最適温度処理範囲を取得するステップと、
前記衣類洗剤のタイプに基づいて現在の洗剤タイプに対応する最適温度処理範囲を取得するステップと、
前記衣類汚れのタイプに基づいて現在の汚れのタイプに対応する最適温度処理範囲を取得するステップと、
前記現在の衣類の材質に対応する最適温度処理範囲、前記現在の洗剤のタイプに対応する最適温度処理範囲、および前記現在の汚れのタイプに対応する最適温度処理範囲を交差集合演算し、前記交差集合演算の結果
である積集合に基づいて前記空気洗浄の温度範囲を得るステップと
を含むことを特徴とする請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記制御方法は、「前記交差集合演算の結果
である積集合に基づいて前記空気洗浄の温度範囲を得る」ステップの後、予め設定された温度で衣類を空気洗浄するステップをさらに含み、前記予め設定された温度は前記空気洗浄の温度範囲内の最低温度であることを特徴とする請求項2に記載の制御方法。
【請求項4】
前記空気洗浄のパラメータ範囲は空気洗浄の湿度範囲であり、
「前記衣類の材質
に対応する温度範囲、前記衣類洗剤のタイプ
に対応する温度範囲及び前記衣類汚れのタイプ
に対応する温度範囲に基づいて、
および/または前記衣類の材質に対応する湿度範囲、前記衣類洗剤のタイプに対応する湿度範囲及び前記衣類汚れのタイプに対応する湿度範囲に基づいて、空気洗浄のパラメータ範囲を確定する」ステップは、具体的に、
前記衣類の材質に基づいて現在の衣類材質に対応する最適湿度処理範囲を取得するステップと、
前記衣類洗剤のタイプに基づいて現在の洗剤に対応する最適湿度処理範囲を取得するステップと、
前記衣類汚れのタイプに基づいて現在の汚れのタイプに対応する最適湿度処理範囲を取得するステップと、
前記現在の衣類の材質に対応する最適湿度処理範囲、前記現在の洗剤のタイプに対応する最適湿度処理範囲および前記現在の汚れのタイプに対応する最適湿度処理範囲を交差集合演算し、前記交差集合演算の結果
である積集合に基づいて空気洗浄の湿度範囲を得るステップと
を含むことを特徴とする請求項1に記載の制御方法。
【請求項5】
前記制御方法は、「前記交差集合演算の結果
である積集合に基づいて前記空気洗浄の湿度範囲を得る」ステップの後、予め設定された湿度で衣類を空気洗浄するステップをさらに含み、前記予め設定された湿度は空気洗浄の湿度範囲内の最低湿度であることを特徴とする請求項4に記載の制御方法。
【請求項6】
前記空気洗浄のパラメータ範囲は空気洗浄の温度範囲及び湿度範囲を含み、「前記衣類の材質
に対応する温度範囲、前記衣類洗剤のタイプ
に対応する温度範囲及び前記衣類汚れのタイプ
に対応する温度範囲に基づいて、
および/または前記衣類の材質に対応する湿度範囲、前記衣類洗剤のタイプに対応する湿度範囲及び前記衣類汚れのタイプに対応する湿度範囲に基づいて、空気洗浄のパラメータ範囲を確定する」ステップは、具体的に、
前記衣類の材質に基づいて現在の衣類材質に対応する最適温度処理範囲を取得するステップと、
前記衣類の材質に基づいて現在の衣類材質に対応する最適湿度処理範囲を取得するステップと、
前記衣類洗剤のタイプに基づいて現在の洗剤に対応する最適温度処理範囲を取得するステップと、
前記衣類洗剤のタイプに基づいて現在の洗剤に対応する最適湿度処理範囲を取得するステップと、
前記衣類汚れのタイプに基づいて現在の汚れのタイプに対応する最適温度処理範囲を取得するステップと、
前記衣類汚れのタイプに基づいて現在の汚れのタイプに対応する最適湿度処理範囲を取得するステップと、
前記現在の衣類の材質に対応する最適温度処理範囲、前記現在の洗剤のタイプに対応する最適温度処理範囲および前記現在の汚れのタイプに対応する最適温度処理範囲を交差集合演算し、かつ、前記現在の衣類の材質に対応する前記最適湿度処理範囲、前記現在の洗剤のタイプに対応する最適湿度処理範囲および前記現在の汚れのタイプに対応する最適湿度処理範囲を交差集合演算し、前記交差集合演算の結果
である積集合に基づいて前記空気洗浄の温度範囲および湿度範囲を得るステップと
を含むことを特徴とする請求項1に記載の制御方法。
【請求項7】
前記制御方法は、「前記交差集合演算の結果
である積集合に基づいて前記空気洗浄の温度範囲と湿度範囲を得る」ステップの後、予め設定された温度と予め設定された湿度で衣類を空気洗浄するステップをさらに含み、前記予め設定された温度は前記空気洗浄の温度範囲内の最低温度であり、前記予め設定された湿度は前記空気洗浄の湿度範囲内の最低湿度であることを特徴とする請求項6に記載の制御方法。
【請求項8】
前記制御方法は、「衣類洗剤のタイプ
に対応する温度範囲および/または湿度範囲を取得する」ステップの前に、衣類に衣類洗剤を塗布するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の制御方法。
【請求項9】
前記制御方法は、衣類に対して空気洗浄操作を行った後、衣類に衣類ケア剤を塗布するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の制御方法。
【請求項10】
前記制御方法は、衣類に対して空気洗浄操作を行う過程において、衣類を反転させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は衣類処理技術の分野に属し、特に衣類処理装置用の制御方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
衣類処理装置は衣類を洗濯したり、乾燥したり、殺菌したり、消臭したりすることができる装置であり、製造レベルの向上やユーザニーズの高まりに伴い、高級材質の衣類に対して、空気洗浄方式で衣類を処理することができる。空気洗浄とは、湿度場、温度場、気流場の相互作用及び異なる紡織服装材料の物理化学性能、汚れ界面の性能の影響メカニズムに合わせて、多次元データ関係と制御方法を構築することを指す。CFD(Computational Fluid Dynamics)空気動力学分析に基づき、均一風構造、微液相気化、内筒圧型などの技術を採用し、微蒸気分子による衣類繊維の無損失ケアを実現し、空気洗浄による高級衣類への除菌、ダニの除去、色の保護、平さ、膨らみ、加護などのケアを実現し、世界をリードする新型技術である。
【0003】
従来技術では、衣類の材質によってのみ異なる空気洗浄操作を行うのが一般的であるが、既に汚れたものに対しては、衣類に洗剤を塗布してから、空気洗浄と合わせて衣類を処理するのが一番よい方式である。このような洗浄方法では、異なる洗剤に対応する最適温度、湿度等のパラメータの処理範囲が異なり、かつ汚れによって、洗浄された最適温度、湿度などのパラメータの処理範囲も異なるため、衣類の材質だけで対応する空気洗浄プログラムを実行しても洗剤の最適な作用を発揮することができず、また、汚れも不適切なパラメータの範囲内で処理される可能性があるため、空気洗浄処理済みの衣類は汚れが完全に除去されず、衣類への処理効果に大きな影響を与え、ユーザの使用体験が悪くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このため、当分野では、上記問題を解決するために、衣類処理装置用の新しい制御方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従来技術における上記問題点を解決するために、すなわち、従来の空気洗浄機能を有する衣類処理装置による衣類の処理効果が低いという問題を解決するために、本発明は、衣類処理装置用の制御方法を提供し、この衣類処理装置は、衣類を空気洗浄できる空気洗浄装置を含み、この制御方法は、衣類の材質を取得するステップと、衣類洗剤のタイプを取得するステップと、衣類汚れのタイプを取得するステップと、衣類の材質、衣類洗剤のタイプ及び衣類汚れのタイプに基づいて、空気洗浄のパラメータ範囲を確定するステップとを含む。
【0006】
上記制御方法の好ましい技術的態様では、空気洗浄のパラメータ範囲は、空気洗浄の温度範囲であり、「衣類の材質、衣類洗剤のタイプ及び衣類洗剤の汚れのタイプに基づいて、空気洗浄のパラメータ範囲を確定する」ステップは、具体的に、衣類の材質に基づいて現在の衣類の材質に対応する最適温度処理範囲を取得するステップと、衣類洗剤のタイプに基づいて現在の洗剤タイプに対応する最適温度処理範囲を取得するステップと、衣類汚れのタイプに基づいて現在の汚れのタイプに対応する最適温度処理範囲を取得するステップと、現在の衣類の材質に対応する最適温度処理範囲、現在の洗剤のタイプに対応する最適温度処理範囲、および現在の汚れのタイプに対応する最適温度処理範囲を交差集合演算し、交差集合演算の結果に基づいて空気洗浄の温度範囲を得るステップとを含む。
【0007】
上記制御方法の好ましい技術的態様では、制御方法は、「交差集合演算の結果に基づいて空気洗浄の温度範囲を得る」ステップの後、予め設定された温度で衣類を空気洗浄するステップをさらに含み、ここでは、予め設定された温度は空気洗浄の温度範囲内の最低温度である。
【0008】
上記制御方法の好ましい技術的態様では、空気洗浄のパラメータ範囲は空気洗浄の湿度範囲であり、「衣類の材質、衣類洗剤のタイプ及び衣類汚れのタイプに基づいて、空気洗浄のパラメータ範囲を確定する」ステップは、具体的に、衣類の材質に基づいて現在の衣類材質に対応する最適湿度処理範囲を取得するステップと、衣類洗剤のタイプに基づいて現在の洗剤に対応する最適湿度処理範囲を取得するステップと、衣類汚れのタイプに基づいて現在の汚れのタイプに対応する最適湿度処理範囲を取得するステップと、現在の衣類の材質に対応する最適湿度処理範囲、現在の洗剤のタイプに対応する最適湿度処理範囲および現在の汚れのタイプに対応する最適湿度処理範囲を交差集合演算し、交差集合演算の結果に基づいて空気洗浄の湿度範囲を得るステップとを含む。
【0009】
上記制御方法の好ましい技術的態様では、「交差集合演算の結果に基づいて空気洗浄の湿度範囲を得る」ステップの後、予め設定された湿度で衣類を空気洗浄するステップをさらに含み、ここでは、予め設定された湿度は空気洗浄の湿度範囲内の最低湿度である。
【0010】
上記制御方法の好ましい技術的態様では、空気洗浄のパラメータ範囲は空気洗浄の温度範囲及び湿度範囲を含み、「衣類の材質、衣類洗剤のタイプ及び衣類汚れのタイプに基づいて、空気洗浄のパラメータ範囲を確定する」ステップは、具体的に、衣類の材質に基づいて現在の衣類材質に対応する最適温度処理範囲を取得するステップと、衣類の材質に基づいて現在の衣類材質に対応する最適湿度処理範囲を取得するステップと、衣類洗剤のタイプに基づいて現在の洗剤に対応する最適温度処理範囲を取得するステップと、衣類洗剤のタイプに基づいて現在の洗剤に対応する最適湿度処理範囲を取得するステップと、衣類汚れのタイプに基づいて現在の汚れのタイプに対応する最適温度処理範囲を取得するステップと、衣類汚れのタイプに基づいて現在の汚れのタイプに対応する最適湿度処理範囲を取得するステップと、現在の衣類の材質に対応する最適温度処理範囲、現在の洗剤のタイプに対応する最適温度処理範囲および現在の汚れのタイプに対応する最適温度処理範囲を交差集合演算し、かつ、現在の衣類の材質に対応する最適湿度処理範囲、現在の洗剤のタイプに対応する最適湿度処理範囲および現在の汚れのタイプに対応する最適湿度処理範囲を交差集合演算し、交差集合演算の結果に基づいて空気洗浄の温度範囲および湿度範囲を得るステップとを含む。
【0011】
上記制御方法の好ましい技術的態様では、制御方法は、「交差集合演算の結果に基づいて空気洗浄の温度範囲と湿度範囲を得る」ステップの後、予め設定された温度と湿度で衣類を空気洗浄するステップをさらに含み、ここでは、予め設定された温度は空気洗浄の温度範囲内の最低温度であり、予め設定された湿度は空気洗浄の湿度範囲内の最低湿度である。
【0012】
上記制御方法の好ましい技術的態様では、制御方法は、「衣類洗剤のタイプを取得する」ステップの前に、衣類に衣類洗剤を塗布するステップをさらに含む。
【0013】
上記制御方法の好ましい技術的態様では、制御方法は、衣類に対して空気洗浄操作を行った後、衣類に衣類ケア剤を塗布するステップをさらに含む。
【0014】
上記制御方法の好ましい技術的態様では、制御方法は、衣類に対して空気洗浄操作を行う過程において、衣類を反転させるステップをさらに含む。
【発明の効果】
【0015】
当業者であれば理解できるように、本発明の好ましい技術的態様では、衣類の材質、衣類洗剤のタイプ、及び衣類汚れのタイプを取得してから、空気洗浄のパラメータ範囲を確定することにより、衣類に最適なパラメータ範囲内で空気洗浄処理を行うことができ、すなわち、洗剤が最大の活性作用を発揮すると同時に、汚れも最適なパラメータ範囲内で清浄に除去され、また、衣類への汚れ除去能力を高め、従って、衣類への処理効果を高め、ユーザ体験を向上させる。
【0016】
さらに、現在の衣類材質に対応する最適温度処理範囲と、現在の洗剤タイプに対応する最適温度処理範囲と、現在の汚れのタイプに対応する最適温度処理範囲とを交差集合演算して、最適な空気洗浄温度範囲を得ることにより、衣類を最適温度範囲内で洗浄することができ、衣類を損傷しないだけでなく、洗剤の最大の役割も果たすことができる。それと同時に、衣類汚れを完全に清浄に除去し、衣類の処理効果を高め、ユーザ体験を向上させることができる。
【0017】
さらに、空気洗浄の最適温度範囲内の最低温度を選択して衣類を空気洗浄することで、衣類への処理効果を保証するだけでなく、衣類処理装置をより省エネにし、エネルギ消費を削減し、ユーザ体験をさらに向上させることもできる。
【0018】
さらに、現在の衣類材質に対応する最適湿度処理範囲と、現在の洗剤タイプに対応する最適湿度処理範囲と、現在の汚れタイプに対応する最適湿度処理範囲とを交差集合演算して、最適な空気洗浄温度範囲を得ることにより、衣類を最適湿度範囲内で洗浄することができ、衣類を損傷しないだけでなく、洗剤の最大の役割も果たすことができる。それと同時に、衣類汚れを完全に清浄に除去し、衣類の処理効果を高め、ユーザ体験を向上させることができる。
【0019】
さらに、空気洗浄の最適湿度範囲内の最低湿度を選択して衣類を空気洗浄することで、衣類への処理効果を保証するだけでなく、衣類処理装置をより省エネにし、エネルギ消費を削減し、ユーザ体験をさらに向上させることもできる。
【0020】
さらに、現在の衣類材質に対応する最適温度処理範囲と、現在の洗剤タイプに対応する最適温度処理範囲と、現在の汚れのタイプに対応する最適温度処理範囲とを交差集合演算し、かつ、現在の衣類材質に対応する最適湿度処理範囲と、現在の洗剤タイプに対応する最適湿度処理範囲と、現在の汚れのタイプに対応する最適湿度処理範囲とを交差集合演算して、最適な空気洗浄温度範囲と湿度範囲を得ることにより、衣類を最適温度範囲内と湿度範囲内で洗浄することができ、衣類を損傷しないだけでなく、洗剤の最大の役割も果たすことができる。それと同時に、衣類汚れを完全に清浄に除去し、衣類の処理効果を高め、ユーザ体験を向上させることができる。
【0021】
さらに、空気洗浄の最適温度範囲内の最低温度及び最適湿度範囲内の最低湿度を選択して衣類を空気洗浄することで、衣類への処理効果を保証するだけでなく、衣類処理装置をより省エネにし、エネルギ消費を削減し、ユーザ体験をさらに向上させることもできる。
【0022】
さらに、衣類を空気洗浄した後、衣類に衣類ケア剤を塗布することで、衣類への二次汚染を避けることができ、衣類が長時間清潔な状態を保つことができ、汚れからの汚染を避けることができる。
【0023】
さらに、衣類を空気洗浄する過程において、衣類を反転させ、十分に空気と接触させることにより、衣類が死角なく洗浄され、即ち摩擦作用により衣類上のほこり等の不純物が除去され、衣類への処理効果と処理効率が向上し、空気洗浄の時間が短縮され、衣類処理装置をより省エネにし、さらにユーザ体験を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図2】本発明の制御方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。これらの実施形態が本発明の技術的原理を説明するためのものに過ぎず、本発明の保護範囲を限定するものではないことを、当業者は理解するであろう。
【0026】
なお、本発明の説明においては、特に明確な規定や限定がない限り、用語「設置」、「接続」、「連結」は広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続であってもよく、取り外し可能接続であってもよく、一体接続であってもよく、機械接続であってもよく、電気接続であってもよく、直接接続であってもよく、中間媒体によって間接的に接続されてもよく、2つの要素内部の連通であってもよい当業者であれば、具体的な状況によって上述した用語の本発明における具体的な意味を理解することができる。
【0027】
背景技術によって指摘された空気洗浄機能を有する衣類処理装置の衣類に対する処理効果が良くないという問題に基づき、本発明は衣類処理装置用の制御方法を提供し、衣類に対する汚れ除去能力を高め、それにより衣類に対する処理効果を高め、ユーザ体験を向上させることを目的とする。
【0028】
具体的には、本発明の衣類処理装置は、ケーシングと、ケーシングに設けられた空気洗浄装置とを含み、空気洗浄装置は、衣類を空気洗浄することができる。ここでは、空気洗浄装置は凝縮式の構造を採用してもよいし、ヒートポンプ式の構造を採用してもよいし、その他の構造を採用してもよい。例えば空気洗浄装置が凝縮式構造を採用している場合、ケーシングに風路を設置し、風路に凝縮器と加熱器(例えば電気加熱管など)を設置し、凝縮と加熱によって空気洗浄温度を調節し、また、空気洗浄装置がヒートポンプ式の構造を採用している場合、ケーシング内に風路を設置し、風路内に凝縮器と蒸発器を設置し、凝縮器、蒸発器と圧縮機で冷媒循環システムを構成し、すなわち蒸発器と凝縮器により空気洗浄温度の調整を行い、また、ケーシング内に蒸気発生器を設置して、空気洗浄の湿度を調整することもでき、当業者であれば、実際の応用において空気洗浄装置の具体的な構造を柔軟に設置することができ、空気洗浄装置を介して衣類を空気洗浄することができればよい。
【0029】
図1に示すように、本発明の制御方法は、衣類の材質を取得するステップと、衣類洗剤のタイプを取得するステップと、衣類汚れのタイプを取得するステップと、衣類の材質、衣類洗剤のタイプ及び衣類汚れのタイプに基づいて、空気洗浄のパラメータ範囲を確定するステップとを含む。ここでは、空気洗浄のパラメータは温度であってもよい。すなわち衣類の材質、衣類洗剤のタイプと衣類汚れのタイプに基づいて空気洗浄の温度範囲を確定し、また、空気洗浄のパラメータは湿度であってもよく、すなわち衣類の材質、衣類洗剤のタイプと衣類汚れのタイプに基づいて空気洗浄の湿度範囲を確定し、あるいは、空気洗浄のパラメータは同時に温度と湿度を含んでもよく、すなわち衣類の材質、衣類洗剤のタイプと衣類汚れのタイプに基づいて、空気洗浄の温度範囲と湿度範囲を確定する。もちろん、空気洗浄のパラメータは風速、風量などの他のパラメータであってもよく、当業者であれば、実際の応用において空気洗浄の具体的なパラメータを柔軟に設定することができ、このような具体的なパラメータの調整と変更は本発明の原理と範囲から逸脱しない。ここでは、衣類の材質、衣類洗剤のタイプと衣類汚れのタイプの3つのパラメータ条件を設定することによって、非常に正確なマッピング関係を設定することができ、このような設定のマッピング関係によって、衣類処理装置のコントローラがそれに対応する空気洗浄のパラメータ範囲を呼び出すようにする。もちろん、衣類の材質、衣類洗剤のタイプと衣類汚れのタイプの種類が多いため、計算方式を導入することで空気洗浄のパラメータの範囲を確定することが好ましい。以下、3つの実施形態に関連して詳細に説明する。
【0030】
〔第1実施形態〕
【0031】
空気洗浄のパラメータ範囲は空気洗浄の温度範囲であり、「衣類の材質、衣類洗剤のタイプ及び衣類汚れのタイプに基づいて、空気洗浄のパラメータ範囲を確定する」ステップは、具体的に、衣類の材質に基づいて現在の衣類材質に対応する最適温度処理範囲を取得するステップと、衣類洗剤のタイプに基づいて現在の洗剤に対応する最適温度処理範囲を取得するステップと、衣類汚れのタイプに基づいて現在の汚れのタイプに対応する最適温度処理範囲を取得するステップと、現在の衣類の材質に対応する最適温度処理範囲、現在の洗剤のタイプに対応する最適温度処理範囲および現在の汚れのタイプに対応する最適温度処理範囲を交差集合演算し、交差集合演算の結果に基づいて空気洗浄の温度範囲を得るステップとを含む。一つの可能な状況において、例えば、現在の衣服の材質の最適な耐温温度範囲、あるいは処理温度範囲が50℃から60℃であり、現在の洗剤のタイプに対応する最適温度処理範囲(例えば、最適な活性温度範囲)が48℃から58℃であり、現在の汚れのタイプに対応する最適温度処理範囲は52℃から62℃である場合、3つの交差集合演算によって、空気洗浄の最適温度範囲が52℃から58℃であることが得られる。
【0032】
第1実施形態において、「交差集合演算の結果に基づいて空気洗浄の温度範囲を得る」ステップの後、制御方法は、予め設定された温度で衣類を空気洗浄するステップをさらに含み、ここでは、予め設定された温度は空気洗浄の温度範囲内の最低温度である。上記の例を例に挙げると、この場合、予め設定された52℃の温度で衣類の空気洗浄を行うべきである。なぜかというと、この温度では、衣類の最適な空気洗浄効果を保証できるだけでなく、加熱素子を最低温度で空気を加熱するようにし、過剰なエネルギ消費を避けることもでき、衣類処理装置をより省エネにすることができるからである。
【0033】
〔第2実施形態〕
【0034】
空気洗浄のパラメータ範囲は空気洗浄の湿度範囲であり、「衣類の材質、衣類洗剤のタイプ及び衣類汚れのタイプに基づいて、空気洗浄のパラメータ範囲を確定する」ステップは、具体的に、衣類の材質に基づいて現在の衣類材質に対応する最適湿度処理範囲を取得するステップと、衣類洗剤のタイプに基づいて現在の洗剤に対応する最適湿度処理範囲を取得するステップと、衣類汚れのタイプに基づいて現在の汚れのタイプに対応する最適湿度処理範囲を取得するステップと、現在の衣類の材質に対応する最適湿度処理範囲、現在の洗剤のタイプに対応する最適湿度処理範囲および現在の汚れのタイプに対応する最適湿度処理範囲を交差集合演算し、交差集合演算の結果に基づいて空気洗浄の湿度範囲を得るステップとを含む。一つの可能な状況において、例えば、現在の衣服の材質の最適な耐湿湿度範囲、あるいは処理湿度範囲が30%から40%であり、現在の洗剤のタイプに対応する最適湿度処理範囲(例えば、最適な活性湿度範囲)が28%から38%であり、現在の汚れのタイプに対応する最適湿度処理範囲は32%から42%である場合、3つの交差集合演算によって、空気洗浄の最適湿度範囲が32%から38%であることが得られる。
【0035】
第2実施形態において、「交差集合演算の結果に基づいて空気洗浄の湿度範囲を得る」ステップの後、制御方法は、予め設定された湿度で衣類を空気洗浄するステップをさらに含み、ここでは、予め設定された湿度は空気洗浄の湿度範囲内の最低湿度である。上記の例を例に挙げると、この場合、予め設定された32%の湿度で衣類の空気洗浄を行うべきである。なぜかというと、この湿度では、衣類の最適な空気洗浄効果を保証できるだけでなく、加湿素子を最低湿度で空気を加湿するようにし、過剰なエネルギ消費を避けることもでき、衣類処理装置をより省エネにすることができるからである。
【0036】
〔第3実施形態〕
【0037】
空気洗浄のパラメータ範囲は空気洗浄の温度範囲と湿度範囲を含み、「衣類の材質、衣類洗剤のタイプ及び衣類汚れのタイプに基づいて、空気洗浄のパラメータ範囲を確定する」ステップは、具体的に、衣類の材質に基づいて現在の衣類材質に対応する最適温度処理範囲を取得するステップと、衣類の材質に基づいて現在の衣類材質に対応する最適湿度処理範囲を取得するステップと、衣類洗剤のタイプに基づいて現在の洗剤に対応する最適温度処理範囲を取得するステップと、衣類洗剤のタイプに基づいて現在の洗剤に対応する最適湿度処理範囲を取得するステップと、衣類汚れのタイプに基づいて現在の汚れのタイプに対応する最適温度処理範囲を取得するステップと、衣類汚れのタイプに基づいて現在の汚れのタイプに対応する最適湿度処理範囲を取得するステップと、現在の衣類の材質に対応する最適温度処理範囲、現在の洗剤のタイプに対応する最適温度処理範囲および現在の汚れのタイプに対応する最適温度処理範囲を交差集合演算し、かつ、現在の衣類の材質に対応する最適湿度処理範囲、現在の洗剤のタイプに対応する最適湿度処理範囲および現在の汚れのタイプに対応する最適湿度処理範囲を交差集合演算し、交差集合演算の結果に基づいて空気洗浄の温度範囲および湿度範囲を得るステップとを含む。1つの可能な状況では、例えば、現在の衣服の材質の最適な耐温温度範囲、あるいは処理温度範囲が50℃から60℃であり、現在の洗剤のタイプに対応する最適温度処理範囲(例えば、最適な活性温度範囲)が48℃から58℃であり、現在の汚れのタイプに対応する最適温度処理範囲は52℃から62℃である場合、3つの交差集合演算によって、空気洗浄の最適温度範囲が52℃から58℃であることが得られる。また、現在の衣服の材質の最適な耐湿湿度範囲、あるいは処理湿度範囲が30%から40%であり、現在の洗剤のタイプに対応する最適湿度処理範囲(例えば、最適な活性湿度範囲)が28%から38%であり、現在の汚れのタイプに対応する最適湿度処理範囲は32%から42%である場合、3つの交差集合演算によって、空気洗浄の最適湿度範囲が32%から38%であることが得られる。
【0038】
「交差集合演算の結果に基づいて空気洗浄の温度範囲と湿度範囲を得る」ステップの後、制御方法は、予め設定された温度と湿度で衣類を空気洗浄するステップをさらに含み、ここでは、予め設定された温度は空気洗浄の温度範囲内の最低温度であり、予め設定された湿度は空気洗浄の湿度範囲内の最低湿度である。上記の例を例に挙げると、この場合、予め設定された52℃の温度と32%の湿度で衣類の空気洗浄を行うべきである。なぜかというと、この温度と湿度では、衣類の最適な空気洗浄効果を保証できるだけでなく、加熱素子を最低温度で空気を加熱し、そして加湿素子を最低湿度で空気を加湿するようにし、過剰なエネルギ消費を避けることもでき、衣類処理装置をより省エネにすることができるからである。
【0039】
なお、本発明において、衣類の材質に基づいて現在の衣類材質に対応する最適温度処理範囲を取得し、衣類の材質に基づいて現在の衣類材質に対応する最適湿度処理範囲を取得し、衣類洗剤のタイプに基づいて現在の洗剤に対応する最適温度処理範囲を取得し、衣類洗剤のタイプに基づいて現在の洗剤に対応する最適湿度処理範囲を取得し、衣類汚れのタイプに基づいて現在の汚れのタイプに対応する最適温度処理範囲を取得し、衣類汚れのタイプに基づいて現在の汚れのタイプに対応する最適湿度処理範囲を取得することはいずれも試験によって得られることができ、すなわち、当業者は、衣類の処理装置を設計する際に、各衣類材質の最適な処理温度及び湿度、各衣類洗剤の最適な処理温度及び湿度、及び各衣類汚れの最適処理温度及び湿度を、試験することで対応するデータを得ることができる。あるいは、当業者は経験から上述のデータを取得する。
【0040】
なお、本発明においては、「衣類の材質を取得する」ステップ、「衣類洗剤のタイプを取得する」ステップ、及び「衣類汚れのタイプを取得する」ステップを柔軟に調整することができるが、このような調整は本発明に対する制限を構成しない。また、衣類の材質を取得する方式は、人手で入力する方式(つまり、ユーザが衣類処理装置のコントロールパネルを介して衣類処理装置のコントローラに衣類の材質情報を入力する方式)であってもよいし、RFIDによる識別方式であっても、画像識別の方式であってもよい。同様に、衣類洗剤のタイプの取得及び衣類汚れのタイプの取得方式は、人手で入力したり、RFIDによる識別をしたり、画像識別をしたりすることも可能である。当業者は、衣類の材質を取得する方法、衣類洗剤のタイプを取得する方法、衣類汚れのタイプを取得する方法を柔軟に設定することができ、この方式の調整及び変更は、本発明の原理や範囲から逸脱しない。
【0041】
好ましくは、「衣類洗剤のタイプを取得する」ステップの前に、本発明の制御方法は、衣類に衣類洗剤を塗布するステップをさらに含む。ここでは、衣類に衣類洗剤を塗布する方式としては、手塗りであってもよいし、衣類処理装置が噴射/スプレー塗布を自動的に行うようにしてもよいが、このような塗布方式の変更は、本発明への限定を構成しない。
【0042】
好ましくは、衣類に対して空気洗浄操作を行った後、本発明の制御方法は、衣類に衣類ケア剤を塗布するステップをさらに含む。以上の記載と同様に、衣類に衣類ケア剤を塗布する方式としては、手塗りであってもよいし、衣類処理装置が噴射/スプレー塗布を自動的に行うようにしてもよいが、このような塗布方式の変更は、本発明に限定されるものではない。
【0043】
好ましくは、衣類に対して空気洗浄操作を行う過程で、本発明は制御方法は、衣類を反転させるステップをさらに含む。たとえば、衣類処理装置のケーシング内に衣類反転装置(ドラムなど)を設置することで、衣類をドラムの回転作用で、往復回転させることができ、衣類をドラム内筒の内壁と十分に摩擦して接触させて、空気洗浄作用に加えて、衣類上のホコリや汚れなどの不純物を速やかに清浄に除去する。
【0044】
以下、本発明の好ましい実施形態について、空気洗浄機能を有する洗濯機と手動入力方式とを組み合わせてさらに詳細に説明する。
【0045】
図2に示すように、洗濯機を起動すると、洗濯機はまず衣服の材質と衣服の汚れのタイプを識別し、そして、衣類の材質に応じて空気洗浄プログラムを選択し、洗濯機上に、汚れを除去する洗剤の最適温度湿度範囲(最適温度範囲および最適湿度範囲)(T1~T2とRH1~RH2)を入力し、このタイプの汚れを除去する最適温度湿度範囲(T3~T4とRH3~RH4)を入力し、次に、空気洗剤を衣服の汚れがあるところに均一に塗布して、空気洗剤を塗布した衣類を洗濯機に入れ、空気洗浄プログラムをスタートすると、洗濯機は最適温度湿度値を算出し、その温度湿度値で衣類を空気洗浄し、空気洗浄完了後に衣類に衣類ケア剤を塗布する。
【0046】
以上、図面に示す好適な実施形態に関連して本発明の技術的解決策を説明したが、当業者であれば、本発明の保護範囲がこれらの具体的な実施形態に限定されないことは明らかである。本発明の原理から逸脱することなく、当業者は、関連する技術的特徴を同等に変更又は置換することができ、これらの変更又は置換後の技術的解決策は、本発明の保護範囲内に含まれるものである。