(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-14
(45)【発行日】2022-10-24
(54)【発明の名称】レンズ制御装置およびレンズ制御方法
(51)【国際特許分類】
G02B 7/08 20210101AFI20221017BHJP
G02B 7/04 20210101ALI20221017BHJP
【FI】
G02B7/08 C
G02B7/04 E
(21)【出願番号】P 2021536449
(86)(22)【出願日】2019-07-26
(86)【国際出願番号】 JP2019029417
(87)【国際公開番号】W WO2021019600
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2021-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109209
【氏名又は名称】小林 一任
(72)【発明者】
【氏名】工藤 泰則
【審査官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-164417(JP,A)
【文献】特開2008-191479(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ズームとフォーカスが可能な撮影レンズを有するレンズ制御装置において、
上記撮影レンズに含まれるズームレンズを駆動する第1のステッピングモータと、
上記撮影レンズに含まれるフォーカスレンズを駆動する第2のステッピングモータと、
上記第1のステッピングモータと第2のステッピングモータの駆動パルス1個毎にそれぞれ所定の制御単位時間に応じて駆動時間を設定可能であり、上記第1のステッピングモータと第2のステッピングモータを制御する制御部と、
を具備し、
上記ズームレンズおよびフォーカスレンズが所定区間を駆動する期間内に、上記第1のステッピングモータと第2のステッピングモータの少なくともいずれか一方を一定速度で駆動する期間を有し、
上記制御部は、上記所定区間を所定パルス数で移動するに要する時間を所定時間とするために、上記一定速度で駆動する期間の全ての駆動パルスの駆動時間をその期間のパルス数で除算した駆動時間を平均駆動時間とする時に、上記一定速度で駆動する期間を複数の期間に分割し、上記平均駆動時間を挟む複数の上記駆動時間を上記複数の期間の上記駆動パルスに設定することを特徴とするレンズ制御装置。
【請求項2】
上記制御部は、上記ズームレンズのズーム位置の可変範囲を複数の区間に分割し、上記複数の区間の少なくともいずれか一つについて、上記ズームレンズとフォーカスレンズが上記区間内を移動可能な最短時間をそれぞれ算出し、上記最短時間の少なくともいずれか一方が所定基準時間を越える場合は、上記所定時間を延長することを特徴とする請求項1に記載のレンズ制御装置。
【請求項3】
上記制御部は、上記所定基準時間を越える最短時間を、上記所定時間とすることを特徴とする請求項2に記載のレンズ制御装置。
【請求項4】
上記撮影レンズに含まれる第2のズームレンズを駆動する第3のステッピングモータを有し、
上記制御部は、上記第1のステッピングモータ、第2のステッピングモータ、第3のステッピングモータの少なくともいずれか一つを一定速度で駆動する期間を有し、上記ズームレンズ、上記フォーカスレンズ、および第2のズームレンズが所定区間を所定パルス数で移動するに要する時間を、所定時間とするために、上記一定速度で駆動する期間を複数の期間に分割し、上記平均
駆動時間を挟む複数の上記駆動時間を上記複数の期間の駆動パルスに設定することを特徴とする請求項1に記載のレンズ制御装置。
【請求項5】
ズームとフォーカスが可能な撮影レンズと、上記撮影レンズに含まれるズームレンズを駆動する第1のステッピングモータと、上記撮影レンズに含まれるフォーカスレンズを駆動する第2のステッピングモータと、を有する撮像装置におけるレンズ制御方法において、
上記第1のステッピングモータと第2のステッピングモータの駆動パルス1個毎にそれぞれ所定の制御単位時間に応じて駆動時間を設定可能であり、上記第1のステッピングモータと第2のステッピングモータを制御するにあたって、
上記第1のステッピングモータと第2のステッピングモータの少なくともいずれか一方を一定速度で駆動する期間を有し、上記ズームレンズおよび上記フォーカスレンズが所定区間を所定パルス数で移動するに要する時間を所定時間とするために、上記一定速度で駆動する期間の全ての駆動パルスの駆動時間をその期間のパルス数で除算した駆動時間を平均駆動時間とする時に、上記一定速度で駆動する期間を複数の期間に分割し、上記平均駆動時間を挟む複数の上記駆動時間を上記複数の期間の上記駆動パルスに設定することを特徴とするレンズ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のレンズをそれぞれ独立した状態で制御可能であり、ズーミング中にライブビュー画像や動画画像を表示および/または記録することが可能なレンズ制御装置およびレンズ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数のレンズ群を個々のモータで同時に駆動するようにした撮像装置が知られている。例えば、特許文献1に開示の撮像装置は、ズームレンズAの駆動用DCモータA(DCMA)、ズームレンズBの駆動用ステッピングモータB(STMB)、フォーカスレンズCの駆動用STMCを有している。DCMAの位置検出パルスに同期してSTMBが駆動され、レンズBの位置は位置検出パルスごとに確認される。STMBは通常同期駆動量は1パルスで駆動され、レンズBの位置が所定距離よりも近距離となり、レンズAとの間の距離が広がった場合は、STMBの同期駆動量を通常同期駆動量(1パルス駆動)から高速同期駆動量(3パルス駆動)に変更することによって駆動速度を加速させている。このような駆動制御を行うことによって、各レンズ群が干渉し、乖離することを防止することができ、また脱調することを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の撮像装置は、ズーム駆動中に、所定区間内で各レンズ位置を所定位置に近づけるように制御している。しかし、特許文献1には、レンズ間の干渉を防止することが開示されているだけであって、ズーム駆動中に各レンズ位置の精度を確保することによって、ライブビュー画像や動画画像の見栄えを改善することについては記載されていない。
【0005】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、レンズの駆動中にレンズ位置の精度を確保し、ライブビュー画像および/または動画画像の見栄えを改善するようにしたレンズ制御装置およびレンズ制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため第1の発明に係るレンズ制御装置は、ズームとフォーカスが可能な撮影レンズを有するレンズ制御装置において、上記撮影レンズに含まれるズームレンズを駆動する第1のステッピングモータと、上記撮影レンズに含まれるフォーカスレンズを駆動する第2のステッピングモータと、上記第1のステッピングモータと第2のステッピングモータの駆動パルス1個毎にそれぞれ所定の制御単位時間に応じて駆動時間を設定可能であり、上記第1のステッピングモータと第2のステッピングモータを制御する制御部と、を具備し、上記ズームレンズおよびフォーカスレンズが所定区間を駆動する期間内に、上記第1のステッピングモータと第2のステッピングモータの少なくともいずれか一方を一定速度で駆動する期間を有し、上記制御部は、上記所定区間を所定パルス数で移動するに要する時間を所定時間とするために、上記一定速度で駆動する期間の全ての駆動パルスの駆動時間をその期間のパルス数で除算した駆動時間を平均駆動時間とする時に、上記一定速度で駆動する期間を複数の期間に分割し、上記平均駆動時間を挟む複数の上記駆動時間を上記複数の期間の上記駆動パルスに設定することを特徴とするレンズ制御装置。
【0007】
第2の発明に係るレンズ制御装置は、上記第1の発明において、上記制御部は、上記ズームレンズのズーム位置の可変範囲を複数の区間に分割し、上記複数の区間の少なくともいずれか一つについて、上記ズームレンズとフォーカスレンズが上記区間内を移動可能な最短時間をそれぞれ算出し、上記最短時間の少なくともいずれか一方が所定基準時間を越える場合は、上記所定時間を延長する。
第3の発明に係るレンズ制御装置は、上記第2の発明において、上記制御部は、上記所定基準時間を越える最短時間を、上記所定時間とする。
第4の発明に係るレンズ制御装置は、上記第1の発明において、上記撮影レンズに含まれる第2のズームレンズを駆動する第3のステッピングモータを有し、上記制御部は、上記第1のステッピングモータ、第2のステッピングモータ、第3のステッピングモータの少なくともいずれか一つを一定速度で駆動する期間を有し、上記ズームレンズ、上記フォーカスレンズ、および第2のズームレンズが所定区間を所定パルス数で移動するに要する時間を、所定時間とするために、上記一定速度で駆動する期間を複数の期間に分割し、上記平均駆動時間を挟む複数の上記駆動時間を上記複数の期間の駆動パルスに設定する。
【0008】
第5の発明に係るレンズ制御方法は、ズームとフォーカスが可能な撮影レンズと、上記撮影レンズに含まれるズームレンズを駆動する第1のステッピングモータと、上記撮影レンズに含まれるフォーカスレンズを駆動する第2のステッピングモータと、を有する撮像装置におけるレンズ制御方法において、上記第1のステッピングモータと第2のステッピングモータの駆動パルス1個毎にそれぞれ所定の制御単位時間に応じて駆動時間を設定可能であり、上記第1のステッピングモータと第2のステッピングモータを制御するにあたって、上記第1のステッピングモータと第2のステッピングモータの少なくともいずれか一方を一定速度で駆動する期間を有し、上記ズームレンズおよび上記フォーカスレンズが所定区間を所定パルス数で移動するに要する時間を所定時間とするために、上記一定速度で駆動する期間の全ての駆動パルスの駆動時間をその期間のパルス数で除算した駆動時間を平均駆動時間とする時に、上記一定速度で駆動する期間を複数の期間に分割し、上記平均駆動時間を挟む複数の上記駆動時間を上記複数の期間の上記駆動パルスに設定する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、レンズの駆動中にレンズ位置の精度を確保し、ライブビュー画像および/または動画画像の見栄えを改善するようにしたレンズ制御装置およびレンズ制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係るカメラの主として電気的構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るカメラのレンズ駆動機構の構成を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るカメラのレンズ位置の検出のための構成を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るカメラにおいて、レンズ駆動動作を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の一実施形態に係るカメラにおいて、各ズームポジションにおけるレンズ位置を示す図表である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るカメラにおいて、ズームポジションと区間の関係を示す図表である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るカメラにおいて、各ズームポジションにおける区間パルス数を示す図表である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るカメラにおいて、各ズームポジションにおける各レンズの位置を模式的に示す図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係るカメラにおいて、ステッピングモータの加減速段が1パルスの例を示す図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係るカメラにおいて、ステッピングモータの加減速段が2パルスの例を示す図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係るカメラにおいて、区間速度の詳細計算を示すフローチャートである。
【
図12】本発明の一実施形態に係るカメラにおいて、レンズ毎の区間時間の延長を説明する図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係るカメラにおいて、各ズームポジションにおける最高速リミットを示す図表である。
【
図14】本発明の一実施形態に係るカメラにおいて、各ズームポジションにおける区間時間を示す図表である。
【
図15】本発明の一実施形態に係るカメラにおいて、加減速段から最速段までの最短時間の計算を説明するための図である。
【
図16】本発明の一実施形態に係るカメラにおいて、加減速段を設け、最短で停止することを説明するための図である。
【
図17】本発明の一実施形態に係るカメラにおいて、加速段の数に応じて要する時間を説明する図である。
【
図18】本発明の一実施形態に係るカメラにおいて、一定速期間の速度分割計算を示すフローチャートである。
【
図19】本発明の一実施形態に係るカメラにおいて、1パルス毎の平均時間を説明する図である。
【
図20】本発明の一実施形態に係るカメラにおいて、一定速期間によって発生する誤差を説明する図である。
【
図21】本発明の一実施形態に係るカメラにおいて、従来の一定速期間の駆動時間と対比して説明する図である。
【
図22】本発明の一実施形態に係るカメラにおいて、一定速期間の速度分割を行うことによって誤差を縮小させることを説明する図である。
【
図23】本発明の一実施形態に係るカメラにおいて、一定速期間の速度分割の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態としてデジタルカメラ(以下、「カメラ」と称す)に適用した例について説明する。このカメラは、撮像部を有し、この撮像部によって被写体像を画像データに変換し、この変換された画像データに基づいて、被写体像を本体の背面に配置した表示部にライブビュー表示する。撮影者はライブビュー表示を観察することによって、構図やシャッタタイミングを決定する。レリーズ操作時には、画像データが記録媒体に記録される。記録媒体に記録された画像データは、再生モードを選択すると、表示部に再生表示することができる。
【0013】
また、このカメラは、ズームレンズ、フォーカスレンズ、補正レンズ(例えば、像面湾曲補正用)を、それぞれ個別のステッピングモータで駆動し位置制御を行う。ズームレンズのワイド端からテレ端の間は、所定の「区間」に細かく分割されている(
図6参照)。各レンズを駆動する際に、各区間を予め決められた「基準区間時間」で駆動できないレンズがある場合は、一番遅いレンズに合わせて区間の駆動時間を延長し、区間の駆動時間を確定する(例えば、後述する
図11のS31、S33、
図12参照)。
【0014】
各ステッピングモータは、各区間を、上述の確定した駆動時間(「確定駆動時間」)で駆動するために、ステッピングモータに印加するパルスを制御することによって時間調整を行う。ステッピングモータの加速期間と減速期間は、負荷とモータ特性制約があり時間調整に使えないので、一定速期間において時間調整する。理想的な駆動時間である「平均駆動時間」を挟む制御分解能で決まる「2つの駆動時間」のパルス分配で時間調整し、「確定駆動生時間」対する実動作の誤差を抑えるようにしている(例えば、後述する
図18ないし
図22参照)。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係るカメラ1の主として電気的構成を示すブロック図である。このカメラ1は、メインユニット100と鏡枠ユニット200とからなる。鏡枠ユニット200とメインユニット100を別体に構成してもよいが、ここでは一体に構成されているとして説明する。
【0016】
鏡枠ユニット200内には、撮影レンズとして、ズームレンズ250、フォーカスレンズ253、補正レンズ254が備えられている。ズームレンズ250はレンズ駆動機構A205によって光軸方向に移動され、焦点距離が調節される。フォーカスレンズ253はレンズ駆動機構B230によって光軸方向に移動され、ピントが調節される。補正レンズ254はレンズ駆動機構C240によって光軸方向に移動され、光学収差(例えば、像面湾曲収差)が補正される。レンズ駆動機構A205、レンズ駆動機構B230、およびレンズ駆動機構C240は、各レンズを移動させるための機構および駆動源としてステッピングモータを有する。これらの駆動機構の詳細については
図2を用いて後述する。
【0017】
ズームレンズ250、フォーカスレンズ253、および補正レンズ254の光軸上には、絞り251およびシャッタ252が配列されている。絞り251は、絞り駆動機構210によって、撮影レンズを通過した光束の光量を調節するために開口径が変化する。絞り251は、電源投入直後など、絞り状態が不明な時は、一旦、最大絞り込み状態から開放状態まで1ステップずつステッピングモータを駆動させる。この駆動によって、絞り込み状態がいかなる状態であっても、絞りを開放位置にさせることができる。この動作を「絞りリセット駆動」と称する。一度開放にした後は、開放位置を基準として、駆動したステップ数をカウントすることによって絞り状態を管理する。
【0018】
シャッタ252は、シャッタ駆動機構220によって、撮影レンズを通過する光束の時間を調節する。シャッタ252は、シャッタ駆動機構220内に設けられているムービングマグネットコイル(不図示)によって駆動される。シャッタ252は、モータドライバIC120に設けられたHブリッジ回路によって制御され、一方向に通電するとシャッタ252は開放となり、逆方向に通電すると遮光が行われる。
【0019】
レンズ駆動機構A205、絞り駆動機構210、シャッタ駆動機構220、レンズ駆動機構B230、およびレンズ駆動機構240は、メインユニット100内に配置されたモータドライバIC120と接続している。モータドライバIC120は、レンズ駆動機構A205、レンズ駆動機構B230、およびレンズ駆動機構C240から、レンズ位置情報等の信号を受信し、これらの情報を制御用マイクロコンピュータ101に出力する。また、モータドライバIC120は、レンズ駆動機構A205、絞り駆動機構210、シャッタ駆動機構220、レンズ駆動機構B230、およびレンズ駆動機構C240内に配置されたステッピングモータ等のアクチュエータを駆動するための駆動回路(例えば、Hブリッジ回路等)を有しており、制御マイクロコンピュータ101からの制御信号に応じて、各ステッピングモータ等のアクチュエータの駆動を制御する。ステッピングモータの駆動方法は、クロック1エッジ(または1パルス)毎に励磁状態を遷移させ、ステッピングモータをクロックに応じた量によって駆動する。本実施形態では、モータドライバICに1パルス与えると、ステッピングモータの励磁状態が1ステップ遷移し、モータ軸が1ステップ分、回転駆動するものとして説明する。以降は、レンズの移動量を示す単位を「パルス」と表記して説明する。
【0020】
レンズ駆動機構A205内に設けられたステッピングモータは、撮影レンズに含まれるズームレンズ250を駆動する第1のステッピングモータとして機能する。また、レンズ駆動機構B230内に設けられたステッピングモータは、撮影レンズに含まれるフォーカスレンズ253を駆動する第2のステッピングモータとして機能する。第1のステッピングモータと第2のステッピングモータの駆動パルス1個毎にそれぞれ所定の制御時間単位に応じて駆動時間が設定可能である。レンズ駆動機構C240は、撮影レンズに含まれる補正レンズ254を駆動する第3のステッピングモータとして機能する。第1および第2のズームレンズを含む撮影レンズの場合に、第3のステッピングモータが第2のズームレンズを駆動するようにしてもよい。撮影レンズが第2のズームレンズおよび補正レンズを含んでいる場合には、それぞれのレンズを駆動する第3、第4のステッピングモータを配置すればよい。
【0021】
撮像素子111は、メインユニット100内であって、撮影レンズの光軸上で被写体像が結像する位置付近に配置される。撮像素子111は、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等のイメージセンサである。イメージセンサは、フォトダイオードが二次元状に配列され、各フォトダイオードは、被写体像を光電変換し、光電変換信号(アナログ信号)を出力する。撮像素子111は、撮像素子駆動IC110に接続されており、この撮像素子IC110は、撮像素子111の露光時間の制御および光電変換信号(アナログ信号)の読み出しを行う。撮像素子IC110は、読み出した光電変換信号に対してAD変換等の処理を行い、画像処理IC102に出力する。
【0022】
画像処理IC102は、撮像素子駆動ICから出力された画像信号から画像データを生成し、この生成された画像データをSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)103に保存する。画像データの生成にあたっては、露出補正やノイズ処理、WB(White Balance)ゲイン補正、輪郭強調、偽色補正等の様々な画像処理を施す。さらに、画像処理IC102は、上述の画像処理を施した画像データに対して、記録データ形式に変換する処理(現像処理)も行う。
【0023】
画像処理IC102によって記録用に処理された画像データは、通信コネクタ130を通じて記録メディア131に記録される。記録メディア131は、メインユニット100に挿脱することができる記録媒体であり、通信コネクタ130は記録メディアに画像データを記録し、また画像データを読み出することができる。
【0024】
画像処理IC102によってライブビュー表示用または再生表示用に処理された画像データは、液晶モニタ140に出力され、液晶モニタ140が画像を表示する。また、液晶モニタ140には、メニュー画像等の画像も表示される。なお、液晶モニタ140としては、液晶に限らず有機EL等、他の表示用モニタであってもよい。
【0025】
操作部材150は、ユーザがカメラ1に指示するためのユーザインタフェースであり、スイッチ、ダイヤル、タッチパネル等とその検出回路を有する。操作部材150としては、例えば、電源オンオフスイッチ、レリーズ釦、ズーム操作スイッチ、液晶モニタ140の前面に配置されたタッチパネル等がある。ズーム操作スイッチは、中立位置と、ワイド側位置、およびテレ側位置があり、ユーザがズーム操作スイッチをワイド側位置またはテレ側位置をオンとすることによって、ズーム操作がなされる。
【0026】
制御用マイクロコンピュータ101は、CPU(Central Processing Unit)とその周辺回路およびメモリ等を有するプロセッサである。CPUはメモリに記憶されたプログラムに従って、カメラ1内の各部を制御することによってカメラの全体を実行する。例えば、操作部材150からの電源オン信号に基づいて、制御用マイクロコンピュータ101は、カメラ1の動作を開始させ、ライブビュー画像を液晶モニタ140に表示させる。また、レリーズ釦の半押し操作信号に基づいて、制御用マイクロコンピュータ101はピント合わせ動作や適正露出のための演算等を実行する。また、ズーム操作スイッチが操作されると、制御マイクロコンピュータ101は、操作されたスイッチのズーム方向(ワイド側位置またはテレ側位置)に、ズームレンズ250をレンズ駆動機構A205によって駆動する。また、ズームレンズ250の移動に合わせて、制御用マイクロコンピュータ101は、フォーカスレンズ253をピントが合う被写体距離(カメラからピントが合う位置までの距離)を維持する位置に、補正レンズ254を、収差を適切に補正できる位置に移動させる。
【0027】
制御用マイクロコンピュータ101内には、カメラの全体の動作を制御する制御部の他、計数部、モード設定部、検出部、判定部、演算部等の機能を有している。なお、制御用マイクロコンピュータ101は、モータドライバIC120と、カメラ操作スイッチ(SW)150と、図示されていない電源が接続されている。
【0028】
制御用マイクロコンピュータ101は、ズームレンズを駆動する第1のステッピングモータと、フォーカスレンズを駆動する第2のステッピングモータを制御する制御部として機能する。ステッピングモータの制御にあたって、ズームレンズおよびフォーカスレンズが所定区間を駆動する期間内に(
図12の確定区間時間td、
図22の狙いの駆動時間Tmov_tar参照)、第1のステッピングモータと第2のステッピングモータの少なくともいずれか一方を一定速度で駆動する期間を有している(例えば、
図19、
図22等の一定速期間Tc参照)。この制御部は、所定区間を所定パルス数で移動するに要する時間を所定時間とするために(例えば、
図12の確定区間時間td参照)、一定速度で駆動する期間の全ての駆動パルスの駆動時間をその期間のパルス数で除算した駆動時間を平均駆動時間とする時に、一定速度で駆動する期間を複数の期間に分割し、平均駆動時間を挟む複数の駆動時間を複数の期間の駆動パルスに設定する(例えば、
図19、
図22参照)。
【0029】
また、制御部は、ズームレンズのズーム位置の可変範囲を複数の区間に分割し、複数の区間の少なくともいずれか一つについて、ズームレンズとフォーカスレンズが区間内を移動可能な最短時間をそれぞれ算出し、最短時間の少なくともいずれか一方が所定基準時間を越える場合は、所定時間を延長する(例えば、
図11のS33、
図12(b)参照)。制御部は、所定基準時間を越える最短時間を、上記所定時間とする(例えば、
図11のS33、
図12(b)参照)。
【0030】
また、制御部は、第1のステッピングモータ、第2のステッピングモータ、第3のステッピングモータの少なくともいずれか一つを一定速度で駆動する期間を有し、上記ズームレンズ、上記フォーカスレンズ、および第2のズームレンズ(または補正レンズ)が所定区間を所定パルス数で移動するに要する時間を、所定時間とするために、一定速度で駆動する期間を複数の期間に分割し、平均時間を挟む複数の駆動時間を複数の期間の駆動パルスに設定する(例えば、
図19、
図22参照)。本実施形態においては、第3のステッピングモータが補正レンズ254を駆動しているが、これに限らず、第3のステッピングモータが第2のズームレンズを駆動し、制御部が第3のステッピングモータを制御してもよい。また、制御部は、ズームレンズおよびフォーカスレンズが、それぞれの所定位置の間の所定区間で並行して駆動する駆動時間を、同一とするように駆動パルスの駆動時間を設定する(例えば、
図22参照)。
【0031】
このカメラによる撮影動作及びライブビュー動作について説明する。まず、制御用マイクロコンピュータ101が、撮像素子駆動IC110から画像データを画像処理IC102に入力させる。画像処理IC102は、入力した画像データを、一時保存用メモリであるSDRAM104に保存する。なお、SDRAM104は、画像処理IC102による画像処理のためにワークエリアとしても使用される。また、画像処理IC102は、画像データをJPEGデータに変換する画像処理を行い、変換後の画像データを記録メディア131に保存させることができる。
【0032】
続いて、ライブビュー動作について説明する。撮像素子111は、例えば、1秒当たり30枚程度の割合で、被写体像を連続的に露光する。撮像素子駆動IC110は、撮像素子111によって光電変換された画像データを画像処理IC102に出力し、画像処理IC102は、画像データをビデオ信号に変換し、液晶モニタ140に出力する。液晶モニタ140は、被写体の動画像を表示する。このような表示は「ライブビュー」と呼ばれており、周知である。なお、画像データに基づく「ライブビュー表示」をカメラに行わせるには、ユーザが操作部材150の中のモード変更スイッチを操作することによって、ライブビューモードを選択すればよい。なお、ライブビューを「LV」と略すこともある。
【0033】
また、ライブビュー(LV)動作時には、鏡枠ユニット200内のズームレンズ250、フォーカスレンズ253、および補正レンズ254を透過した光束は常に撮像素子111に導かれる。撮像素子111の光電変換出力は撮像素子駆動IC110に出力されるので、被写体の明るさに応じた測光処理や、被写体の距離に応じた測距処理を、撮像素子駆動IC110から出力される画像データに基づいて、画像処理IC102が行うようにしてもよい。撮像素子111によって光電変換され、撮像素子駆動IC110から出力される画像データに基づいて、画像処理IC102及び制御用マイクロコンピュータ101によって行われる測光処理、及び測距・自動合焦処理を、それぞれ「LV測光」及び「LVAF」と称する。
【0034】
次に、
図2を用いて、レンズ駆動機構A205、B230、C240について説明する。
図2には、フォーカスレンズ253を駆動する駆動機構を示すが、ズームレンズ250を駆動するためのレンズ駆動機構A205、補正レンズ254を駆動するためのレンズ駆動機構C240も同様の構成を有する。
【0035】
フォーカスレンズ253は、枠236に保持され、この枠236の下部には孔が設けてあり、この孔にはネジ232が貫通している。ネジ232は、フォーカスレンズ253の光軸方向に沿って配置されている。枠236の下部の撮像側はバネ235によって撮像側に付勢され、ネジ232にはナット231が螺合している。このため、フォーカスレンズ253を保持する枠236は、バネ235の付勢力によってナット231と係接する位置にある。
【0036】
ネジ232の物体側の端部には、ステッピングモータ233の回転軸に固定されている。このため、ステッピングモータ233が回転するとネジ232が回転し、ナット231の位置も移動する。ナット231の位置が移動すると、フォーカスレンズ253を保持する枠236も一緒に光軸方向に移動する。
【0037】
前述の枠236の底面は、反射面238となっている。また、枠236の移動範囲内には、位置センサ237が配置されている。位置センサ237とステッピングモータ233は、モータドライバIC120に接続されている。位置センサ237は、発光部と受光部を有し、発光部からの投射光が、反射面238によって反射されると、受光部によって検出することができる。
【0038】
図3を用いて、フォーカスレンズの位置の検出について説明する。
図3において、枠236aは、基準位置にある枠236を示す。枠236が基準位置に達すると、位置センサ237が反射面238からの反射光を受光する。反射面238は一定の面積を持つことから、反射光に基づく信号にはエッジが発生する。本実施形態においては、右側エッジを基準とする。位置センサ237が信号の右側エッジを検出した時点を基準位置とし、フォーカスレンズ253の位置を基準位置からのパルス数で管理する。例えば、
図3に示す例において、基準位置から50パルス駆動すると、フォーカスレンズ253を保持する枠236は、236bの位置に移動する。このとき制御用マイクロコンピュータ101は、フォーカスレンズ位置が「50パルス」の位置にあるものとして位置管理を行い、基準位置からの駆動した「パルスの数」を「絶対パルス値(単位はplsと表記)」と呼ぶ。
【0039】
ズームレンズ250および補正レンズ254についても、同様の手法を用いることによって、レンズの位置を決定することができる。
【0040】
次に、
図4に示すフローチャートを用いて、レンズ駆動の動作について説明する。このフローチャート(
図11、
図18に示すフローチャートも同様)は、制御用マイクロコンピュータ101内のCPUがメモリに記憶されたプログラムに基づいて、カメラ1内の各部を制御することによって実現する。
【0041】
図4に示すフローチャートが、電源をオンとすることによって動作を開始すると、まず、セットアップを行う(S1)。電源がオンとなると、制御用マイクロプロセッサ101は、ライブビュー動作が可能な状態になるように、鏡枠ユニット200を制御する。まず、レンズ位置を管理するために。ズームレンズ250、フォーカスレンズ253、補正レンズ254を基準レンズ位置へ駆動する。具体的には、位置センサ237(
図2、
図3参照)が反射面238からの反射光を検出するまで、撮像側へ全レンズを駆動させる。その後、あらかじめ決められたズーム位置へ駆動する。本実施形態においては、ズーム位置(ズームポジション)として100段階に分けており、セットアップ時には、100段階あるズーム位置のうち、3番目の位置とする(
図5参照)。また、シャッタ252は開口状態にし、絞り251は前述した「リセット駆動」を行い、開放状態にする。
【0042】
セットアップすると、次に、前述した「ライブビュー表示」を開始する(S3)。次に、前述した「LV測光」と、ライブビュー露出の更新を行う(S5)。「LV測光」の結果に基づいて、ライブビューのための露光が適正となるように、画像処理IC102は撮像素子駆動IC110に対して、増幅率(ISO感度)を変更させ、また、制御用マイクロコンピュータ101は、絞り251の絞り値(AV値)を変更させる。ここで、前述した「LVAV」を行い、被写体にピントが合うように、フォーカスレンズ253を移動する。
【0043】
次に、ズーム操作スイッチがオンとなったか否かを判定する(S7)。ここでは、制御用マイクロコンピュータ101は、操作部材150の内のズーム操作スイッチがテレ側またはワイド側のいずれか一方にオンになったか否かを判定する。
【0044】
ステップS7における判定の結果、ズーム操作スイッチがオンの場合には、次に、各ズームポジション(Zp)におけるレンズ位置を計算する(S9)。このステップでは、制御用マイクロコンピュータ101は、現在位置からテレ端(またはワイド端)までの各ズームポジションにおける、各レンズの位置を算出する。このレンズ位置の算出の詳細については、
図5ないし
図7を用いて後述する。
【0045】
各Zpにおけるレンズ位置を計算すると、次に、区間速度の詳細計算を行う(S11)。前述したように、ステップS9において、各Zpにおけるレンズ位置を算出している。このステップでは、各Zpと次のZpの間、すなわち各区間のレンズ駆動速度を算出する。レンズの駆動速度は、ステッピングモータに印加するパルスの時間によって決まる。1パル毎の駆動時間が長い程、低速となる。各区間の速度を算出するにあたっては、ズームレンズ250、フォーカスレンズ253、および補正レンズ254が、各Zpに略同じタイミングで到達するように、区間速度を調整する(
図8参照)。このステップでは、全区間(本実施形態では、100区間)について区間速度の詳細を計算する。区間速度の詳細計算については、
図8ないし
図11を用いて後述する。
【0046】
区間速度の詳細計算を行うと、次に、レンズ駆動を行う(S13)。ここでは、ステップS11において計算された区間速度に基づいて、制御用マイクロコンピュータ101はモータドライバIC120によって、ズームレンズ250、フォーカスレンズ253、および補正レンズ254を駆動する。前述したように、ステップS11では、全区間について区間速度が計算されているので、ズームレンズ250の属する区間に応じて、予め計算された区間速度に基づいて、制御用マイクロコンピュータ101は、ズームレンズ250、フォーカスレンズ253、および補正レンズ254の駆動を制御する。
【0047】
レンズ駆動を行うと、ズーム操作スイッチがオフされたか否かを判定する(S15)。ここでは、制御用マイクロコンピュータ101は、操作部材150の内のズーム操作スイッチがオフになったか否かを判定する。この判定の結果、ズーム操作スイッチがオンの場合には、ステップS13に戻り、制御用マイクロコンピュータ101は、ズームレンズ250、フォーカスレンズ253、および補正レンズ254の駆動を続行する。
【0048】
ステップS15における判定の結果、ズーム操作スイッチがオフとなった場合には、停止ズーム位置を決定する(S17)。制御用マイクロコンピュータ101は、現在位置に近い、停止可能なズーム位置 を決定する 。カメラの使い勝手を考慮して予め決められた、ズーム停止可能なZpの中から、ズーム駆動方向にあり、現在の位置に一番近いZpに決める。例えば、停止可能なZpをテレ端以外、3の倍数であると予め決めておく。つまり、Zp0,3,6,9,12,15,18,21,24・・・・・93,96,100を停止位置にすることを決めたとき、Zp3からテレ方向にズーム中、ズーム操作がオフされた時点のZpがZp16だった場合は、 停止位置は、Zp18と決定する。また、Zp96に到達してもズーム操作がオフにならない場合は、その時点でZp100を停止位置と決定する。
【0049】
停止ズーム位置を決定すると、区間速度の詳細計算を行う(S19)。ここでは、ステップS17において決定した停止ズーム位置に停止させるために、停止するズームポジション直前の区間について区間速度の詳細計算を再計算する。ここで再計算した区間を、「停止区間」と呼ぶことにする。区間速度の詳細計算については、
図8ないし
図11を用いて後述する。
【0050】
次に、停止区間に到達するまでレンズ駆動を行う(S21)。ここでは、ステップS19において計算された区間速度に基づいて、制御用マイクロコンピュータ101はモータドライバIC120によって、ズームレンズ250、フォーカスレンズ253、および補正レンズ254を駆動する。
【0051】
次に停止区間か否かを判定する(S23)。ステップS23における判定の結果、停止区間に達した場合には、レンズ駆動停止処理を行う(S25)。ここでは、制御用マイクロコンピュータ101はモータドライバIC120によって、ズームレンズ250、フォーカスレンズ253、および補正レンズ254の駆動を停止するための処理を実行する。ステップS19で決定した前述の「停止区間」に到達した場合、停止区間最後の1パルス駆動後、ステッピングモータの励磁をオフにする。一般的にステッピングモータは駆動前後に、予め決められた所定時間励磁をかける必要があるが、本実施形態では説明を割愛する。全撮影レンズを停止状態してレンズ駆動停止処理を完了する。
【0052】
ステップS25においてレンズ停止処理を実行すると、またはステップS7における判定の結果、ズーム操作スイッチがオフの場合には、電源スイッチがオフか否かを判定する(S27)。ここでは、制御用マイクロコンピュータ101は、操作部材150の内の電源スイッチがオフか否かを判定する。この判定の結果、電源スイッチがオンの場合には、ステップS5に戻り、前述の動作を実行する。一方、電源スイッチがオフの場合には、このフローの動作を終了する。
【0053】
このように、
図4に示すフローチャートにおいては、ズーム操作スイッチがオンとなると、レンズ毎に各ズームポジション(各Zp)における位置を演算する(S9)。そして、ズームレンズ250、フォーカスレンズ253、および補正レンズ254のそれぞれについて、ズームポジションとズームポジションの間(区間)毎に、駆動速度を演算している(S11)。それぞれの駆動速度を演算すると、この演算結果に基づいて、各レンズの駆動を制御している(S13)。
【0054】
次に、
図5ないし
図7を用いて、ステップS9(
図4参照)に記載の各ズームポジション(Zp)におけるレンズ位置と、ステップS11に記載の区間について説明する。ズームレンズ250の位置は、Zpに対応しており、レンズの絶対位置と各Zpの関係テーブルは予め用意しておき、制御用マイクロコンピュータ101内のメモリに記憶させておく。本実施形態においては、
図5に示すように、ワイド端からテレ端の間において、ズームポジションZp0~Zp100が設けられている。ズームレンズの位置は、絶対パルス値で表すと、a000~a100である。
【0055】
フォーカスレンズ253の位置は、Zpと、被写体位置にピントが合う位置によって決まる。Zp(焦点距離に対応している)と、現在のフォーカスレンズ位置と撮像位置から光学的に被写体距離(レンズから被写体位置までの距離)を、算出する。被写体距離の算出方法は公知なので割愛する。実施形態では算出された被写体距離を60cm例で説明をする。このときのレンズ位置はb0003である。補正レンズ254の位置は、現在位置c003である。
【0056】
ステップS9における各Zpにおけるレンズ位置の計算は、ズームレンズ250については、制御用マイクロコンピュータ101内のメモリに記憶された現在のズーム位置(Zp3)を読み出し、使用する。またフォーカスレンズ253と補正レンズ254のZp3における位置も、同様に、メモリから読み出し、使用する。他のレンズ位置b000~b002、b004~b100、およびc000~c002、c004~c100は、制御用マイクロコンピュータ101によって計算される。
【0057】
他の各Zpにおける、前述の被写体距離(60cmにピントがあう)フォーカスレンズ位置を計算する。被写体距離から、フォーカスレンズ位置を計算する方法も公知なので詳しい説明は割愛する。
図5では、絶対パルス値で表すと、b000~b002、b004~b100となる。他の各焦点位置(ズームポジションZp)に対応する補正レンズ254の位置は、Zpごとに「予め決められた位置(絶対パルス値)」に、被写体距離に応じて「予め決められた所定量」を加減算した値とする。例えば被写体距離が30cm未満であれば+1パルス、30cm以上なら加算無しにする。絶対パルス値で表すと、c000~c002、c004~c100となる。ステップS9において、各Zpにおけるすべてのレンズ位置が確定する。
【0058】
図6は、ズームポジションZpと区間の関係を示す。前述したように、ワイド端とテレ端の間に、ズームポジションZp0~Zp100の合計101のズームポジションZpが設けてあり、これらのズームポジションZpの間に、区間0~区間99が配置されている。
【0059】
図7は、各レンズの区間パルス値([pls])を示す。それぞれの区間パルス値は、隣接するズームポジションZpの絶対パルス位置([pls])の差分である。例えば、ズームレンズ250の区間0における区間パルス値は、ズームポジションZp0の絶対パルス位置a000と、ズームポジションZp1の絶対パルス値a001の差分値ad000である。他の区間について差分値を求めることによって、区間0~区間99までの区間パルス値ad000~ad099を求めることができる。フォーカスレンズ253についても、同様に、区間0~区間99までの区間パルス値bd000~bd099を求めることができる。フォーカスレンズ253は、被写体距離によって、区間パルス値は大きく変わる。補正レンズ254についても、同様に、区間0~区間99までの区間パルス値cd000~cd099を求めることができる
【0060】
次に、
図8を用いて、各レンズの連携駆動について説明する。
図8は、ズームポジションZp=Xにあり、ズーム開始直前のフォーカス位置が、被写体距離が60cmにピントが合う状態あるときを例にしており、ズーミング(画角変更)を行った場合の各レンズの位置の時間的変化を示す。
図8において、縦軸はズームレンズ250、フォーカスレンズ253、および補正レンズ254の位置を示し、横軸は、時間の流れを示す。
【0061】
図8において、時刻T1において、ズームレンズ250のズームポジションZpは位置Xにあり、そのときのフォーカスレンズ253は被写体距離60cmにピントの合う位置であったとする。また、補正レンズ254も光学収差が除去される位置に駆動される。時刻T2になると、ズームレンズ250のズームポジションZpは位置X+1にあり、そのときもフォーカスレンズ253は被写体距離60cmにピントの合う位置にあるように駆動される。時刻T3になると、ズームレンズ250のズームポジションZpは位置X+2にあり、そのときもフォーカスレンズ253は被写体距離60cmにピントの合う位置へ駆動する。
【0062】
また、補正レンズ254は、ズームレンズ250およびフォーカスレンズ253の位置の変化に合わせて、光学収差を除去できる位置へ駆動される。
図8では、時刻T2において、補正レンズ254の駆動方向が逆転している例を図示している。ステッピングモータは逆転させる際の急激な負荷変動を抑制するため、逆転させる前に所定時間停止させる。また、所定時間停止させている間に、制御用マイクロコンピュータ101が、モータドライバIC120へ逆転方向に駆動するよう指示をする。
図8では、補正レンズ254の駆動方向を逆転させる際に時間t2cの間だけ停止してから、逆転方向へ駆動している。本実施形態では後述するように、複数の各レンズの待ち合わせ時間を生じさせないために逆転時の停止時間も考慮に入れている。
【0063】
各レンズは、ズームポジションZpX、ZpX+1、ZpX+2等について、所定の同一時刻において、それぞれ予め計算されたレンズ位置(目標位置)にあるように、駆動制御される。このように駆動制御することを連携駆動という。一方、連携駆動がなされない場合の問題点を説明する。
図8において、時刻T3における拡大図が示すように、ズームポジション位置Zp等において、それぞれの目標位置に到達する時刻にずれがあると、時刻T3に対して、他のレンズの到達を待つために、待ち合わせ時間が発生する。
図8の拡大図に示す例では、ズームレンズ250では待ち合わせ時間t3a、フォーカスレンズ253では待ち合わせ時間t3b=0、補正レンズ254では待ち合わせ時間t3cが発生している。
図8の拡大図のような待ち合わせ時間が発生する場合には、t3aの期間は、フォーカスレンズ253の位置または補正レンズ254の位置が目標位置に達していないことから、期間t3aに撮像される画像(ライブビュー画像/動画画像)の画質が劣化してしまう。したがって、画質を良好とするために、それぞれのズームポジションZpにおいて、
図8の拡大図に示す待ち合わせ時間t3a、t3cが生じないように、所定の同一時刻に各レンズが各目標位置に到達する連携駆動を行うことが好ましい。本実施形態においては、ステップS11(
図4参照)において、待ち合わせ時間が発生しないように、各レンズの駆動速度が調整され連携駆動を行う。
【0064】
ステッピングモータを加速、または減速するとき、脱調や駆動音の発生を抑制するための、速度変更における設計ルールがある。例えば、ステッピングモータにおいては自起動領域と、スルー領域を無視すると脱調する可能性が高いことは公知である。予め決められたルールに基づいて加減速時にモータ駆動速度を変更する方法として、本実施形態では「加減速段」と呼ぶ速度(1パルス毎の駆動時間)を設けている。速度変更のルールは、「加減速段」を跨いだ速度変更を行う場合、「加減速段」の速度(1パルス毎の駆動時間)で「加減速に要するパルス数」を駆動することである。「加減速段」と「加減速に要するパルス数」は、ステッピングモータ特性とステッピングモータにかかる負荷と用途(静音優先か、速度優先か)などから、予め機構設計的に決められる。
【0065】
次に、
図9および
図10を用いて、加減速段を有する場合について「加減速に要するパルス数」による制御の違いを説明する。
図9および
図10に示す例は、1パルス毎の駆動時間を設定する制御において、加減速段1と加減速段2の複数の加減速段を有する。
【0066】
図9は、速度切り替え時に「加減速に要するパルス数」が1パルスの場合の制御を示す。
図9に示す例では、区間n内には、ステッピングモータを駆動するパルスが何番目であるかを示すpls番号は1~6が含まれ、区間n+1内にはpls番号は7~12が含まれる(pls13~25も同様の意味であるので、説明を省略する)。
【0067】
図9の区間n+1は、pls番号7~12の平均速度が、区間nのpls番号6の速度より高速であり、加減速段1を跨いでより高速で駆動させる場合を示す。区間nの最終パルス(pls番号6)から、区間n+1の最初のパルス(pls番号7)を印加してステッピングピングモータを駆動するときに、加減速段を跨ぎ、pls番号7の1パルスを「加減速段1」の「1パルス毎の駆動時間」で駆動する。残りのパルス(pls番号8~12)は「加減速段1」よりも速い速度の一定速で駆動する。
【0068】
区間n+2は、「加減速段2」よりも遅い速度で駆動するケースであり、加減速段1、加減速段2としてそれぞれpls番号13、14の1パルスずつで駆動している。区間n+3は、停止する直前の制御の場合を示す。一担、速度を速くするが、区間n+3の最終パルス(pls番号25)では、最も遅い加減速段である「加減速段2」の速度とする。pls番号25の後(加減速段2~停止までに跨ぐ加減速段がないので、そのまま)に停止することができる制御例である。
【0069】
このように、加減速段1または2を跨ぐたびに1パルスだけ、加減速段1または2の速度(1パルス毎の駆動時間)で制御していることを示す。
図9のpls番号14、19、20も同様である。
【0070】
図10は、速度切り替え時に「加減速に要するパルス」が2パルスの場合の制御を示す。
図10に示す例では、
図9の場合と比較し、10加減速段1、または、加減速段2で駆動するパルス数が2パルスと異なることを示す(pls番号7、8)。
図10のpls番号13、14と19、20も同様である。
【0071】
次に、
図11に示すフローチャートを用いて、ステップS11、S19(
図4参照)における区間速度の詳細計算の動作について説明する。このフローチャートは、全区間(区間0~区間99(
図6参照))のそれぞれの区間において、「1パルス毎の駆動時間」を、算出する。
【0072】
図11に示す区間速度の詳細計算のフローが開始すると、まず、制御可能な最短時間を計算する(S31)。ズームレンズ250、フォーカスレンズ253、および補正レンズ254が、各区間のパルス数を駆動できる最短時間は異なる。
図8を用いて説明したように、各区間のズームポジションZpにおいて、各レンズが所定位置に同時に到達することが、画質の確保の観点で望ましい。各レンズの1パルス毎の駆動時間を算出するために、このステップでは、制御可能な最短時間を計算する。最短時間の計算については、
図15ないし
図17を用いて後述する。
【0073】
制御可能な最短時間を計算すると、次に、最終の区間の時間を演算する(S33)。このステップでは、区間を駆動するために設定されている区間時間をテーブルから読み出し(後述する
図14の「区間時間_テーブル値」参照)、ステップS31で求められた全レンズの最短時間とこの区間時間に基づいて最終の区間時間を計算する。特に、あるレンズが逆転した場合に、逆転停止時間を加算した最短時間が全レンズで一番長い最短時間(逆転時加算含む)となり、「区間時間」より長い場合は、最終の区間時間を、「全レンズで一番長い最短時間(逆転時加算含む)」とする。
【0074】
最終の区間時間を演算すると、次に、最終の区間時間とパルス数から区間の速度設定パラメータを決定する(S35)。ここでは、制御用マイクロコンピュータ101は、ステップS33において演算した最終の区間時間(確定区間時間tdとする)と、パルス数を用いて、区間時間内において制御できる、最低限の加減速段数の組み合わせを決める。具体的には、加減速段を0から増やしていき、最終の区間時間内に収まる最小の加減速段の数を求める。加減速段の速度設定パラメータを確定させたあと、次に、一定速期間の速度設定パラメータを求める。詳しくは、
図17を用いて後述する。
【0075】
すなわち、このステップでは、速度設定パラメータとして、
(1)加減速期間のパルス数
(2)加減速期間の時間
(3)一定速期間のパルス数
(4)一定速期間の時間
を決定する。
【0076】
区間の速度設定パラメータを決定すると、次に、一定速期間速度の分割計算を行う(S37)。前述したように、ステップS35において、一定速期間の速度設定パラメータが演算されている。モータドライバIC120や制御用マイクロコンピュータ101で行うデジタル制御においては、原振周波数や、内部回路の制約により、生成できる信号には最小単位が存在する。一般的には、秒/LSB、秒/bitのように表記されるものであり、デジタル制御では、最小単位の整数倍でのみ制御が可能であることから、計算した時間に対して、実際に制御した時間に誤差が生じるということが発生する。このような誤差を量子化誤差と呼ぶことがある。この最小単位を「制御単位時間」と呼ぶことにする。「区間時間」の制御誤差を抑制するために、このステップS37では、後述するように、ステップS35において算出された一定速に最も近い2つの駆動時間(制御単位時間の整数倍)を選択し、それぞれの駆動時間で駆動する回数を算出し、誤差が最小になるようにしている。この一定速度期間速度の分割計算の詳細については、
図18に示すフローチャートを用いて後述する。
【0077】
一定速期間の速度分割を計算すると、次に、駆動する速度の順番を決定する(S39)。加減速段を跨ぐときは、加減速段の速度で駆動する制約に基づき、前区間の最終パルスより速く駆動する場合は、速度の遅いパルスから先に駆動する。前区間の最終パルスより低速で駆動する場合は、速度の速いパルスから先に駆動する。一定速期間において速度を分割している場合には、1パルス毎の駆動時間を第1時間および第2時間に分割しているので、この順番も決定する(
図23参照)。
【0078】
次に、前区間の最終の「1パルス毎の駆動時間」を更新する(S41)。ここでは、制御用マイクロコンピュータ101は、例えば、
図10において、区間nについて、区間速度の詳細を計算すると、前区間の最終速度として、区間nの6番目のplsにおける「1パルス毎の駆動時間」を、メモリに記憶する。次に、区間n+1の区間速度の詳細を計算する際に、前区間の最終パルスの「1パルス毎の駆動時間」から、加減速段を跨いで速度変更するかどうかを判断する。
【0079】
次に、全区間の演算が完了したか否かを判定する(S43)。区間速度の詳細計算のフローでは、各区間(
図6参照)について、それぞれ1pls毎の駆動時間(駆動速度)を算出する。このステップでは、テレ端からワイド端までの全ての区間について、詳細計算が完了したか否かを判定する。
【0080】
ステップS43における判定の結果、全区間について演算が完了していない場合には、次の区間を設定し(S45)、ステップS31に戻る。ステップS31に戻ると、ステップS45において設定された区間について、前述したような演算によって、区間速度等を計算する。一方、ステップS43における判定の結果、全区間について区間速度等の演算が完了した場合には、元のフローに戻り、レンズ駆動を実行する。
【0081】
このように、区間速度の詳細計算のフローにおいては、レンズ毎に制御可能な最短時間を計算し(S31)、各区間について最終的な区間時間(確定区間時間td)を計算している(S33)。そして、計算された最終の区間時間(確定区間時間td)と、区間を駆動するためのパルス数に基づいて、区間毎の速度設定パラメータを計算している(S35)。さらに、各ズームポジションに各レンズが略同時に到達できるように、一定速期間の速度制御について計算している(S37)。
【0082】
次に、
図12ないし
図16を用いて、ステップS31の制御可能な最短時間の計算と、ステップS33の最終区間の時間の演算について説明する。各区間では、
図13に示すように、区間ごとに、ステッピングモータ特性とステッピングモータにかかる負荷により決まる最高速(最高速リミット)が決められている。この最高速は、制御用マイクロコンピュータ101内のメモリに記憶されている。
【0083】
図13(a)は、区間0~区間99の各区間に対応する、ズームレンズの最高速リミットLa0~La99、フォーカスレンズの最高速リミットLb0~Lb99、および補正レンズの最高速リミットLc0~Lc99が記憶されている。この最高速リミットを示すテーブルは、前述したように、制御用マイクロコンピュータ101内のメモリに記憶されている。
【0084】
図13(b)は、低温用の最高速リミットを示す。ステッピングモータの最高速は、周囲の環境温度によっても変化する。
図13(b)に示す例では、ズームレンズの最高速リミットLat0~Lat99、フォーカスレンズの最高速リミットLbt0~Lbt99、および補正レンズの最高速リミットLct0~Lct99を示す。カメラに温度センサを設け、温度を測定し、所定の温度より低温の場合には、
図13(b)に示すテーブルに切り替えて読み出すようにしてもよい。なお、温度に限らず、他のパラメータによって、テーブルを異ならせてもよい。例えば、フォーカスレンズ253では、被写体距離ごとにテーブルを持たせてもよい。
【0085】
「加減速段に必要なパルス数」を、「加減速段の単位パルス」と呼ぶことにする。
図13(c)は、加減速段の単位パルスを示す。
図9、
図10に示したように、本実施形態においては、加減速段1、加減速段2を用いて、ステッピングモータの速度制御を行っている。
図13(c)に示す例は、この加減速段1、加減速段2における単位パルスLas,Lbs,Lcsである。前述した
図9に示す例では単位パルスは1パルスであり、
図10に示した例では単位パルスは2パルスである。
【0086】
図14は、区間時間_テーブルの例を示す。ズーム速度A~Gに応じて、各区間0~99における、予め決められた区間時間ttがテーブルとして、制御用マイクロコンピュータ101内のメモリに記憶される。
図14は、1つのテーブルのみ示しているが、用途、環境等によって、これ以外のズーム速度を変更してもよく、その場合には、複数のテーブルを用意する。また、静音モード設定の有無、また温度等に応じて、複数のテーブルを用意してもよい。
【0087】
次に、
図11のステップS31で行う制御可能な最短時間計算について、
図15と
図16を用いて説明する。まず、
図15を用いて、区間内で最高速に加速して最短時間とする場合の最短時間の計算について説明する。なお、
図15は、「加減速段の単位パルス」が1パルスの例である。
【0088】
図15は、区間nの6番目のplsが加減速段2よりも低速(1パルス当たりの駆動時間)に設定されており、この状態から区間n+1にて最高速まで加速する場合を示している。区間n+1の最初のplsである7番目のplsは加減速段2に、8番目のplsは加減速段1に、9番目のpls以降において、最高速に設定する場合を想定している。
図15に示すグラフにおいて、網掛した部分の面積が区間n+1の駆動時間に相当する。区間内に加減速段を含む場合は、全ての「加減速段」の速度で「加減速段の単位パルス」を駆動するための加減速段での駆動時間を求める。次に、全ての加減速段で使用するパルス数を求め「区間のパルス数」から「全加減速段で使用したパルス数合計」を除いた、区間n+1の残りの「パルス数」を求める。そして、残りの「パルス数」を最高速とする一定速度分の駆動時間を求める。そして加減速段の駆動時間と一定速度分の駆動時間の和が、区間n+1の最短時間である。パルス数が少なく、すべての加減速段を跨がない場合は、跨ぐ分だけの加減速段とその必要パルス数で計算すればよい。
【0089】
図16は、
図11のステップS31において、ステッピングモータの停止時の停止時間を含む場合の最短時間の算出に対応する制御例を示す。一旦加速し最高速に達してから減速して停止させる。
図16に示すように、区間n+2の18番目のplsにおいては、加減速段1と加減速段2の間の駆動速度であり、区間n+3の19番目のplsでは加減速段1に加速し、20番目のplsにおいて、最高速に加速する。さらに、21番目のplsから23番目のplsまで、最高速を維持し、24番目のplsにおいて加減速段1に減速し、25番目のplsにおいて加減速段2に減速し停止させる。
【0090】
次に、
図12に基づき、
図11のステップS33にて実行される最終の区間時間を演算する処理について説明する。制御用マイクロコンピュータ101は、各区間の駆動に要する時間が、区間ごとの区間時間を超えないか否かを判定し区間時間を延長するか否かを決定する。例えば、
図12(a)に示すように、ズームレンズ(ZM)250の駆動時間、フォーカスレンズ(FCS)253、補正レンズ(CORR)254の駆動に要する時間が、区間時間_テーブルに記憶された区間時間ttを超えない場合には、区間時間を延長しない。すなわち、最終の区間時間として区間時間ttを採用する。
【0091】
一方、いずれかのレンズの駆動時間が、区間時間_テーブルに記憶された区間時間ttを超える場合は、区間時間を延長する。例えば、
図12(b)に示す例では、フォーカスレンズ(FCS)253の駆動時間(最短時間)が、区間時間_テーブルに記憶された区間時間ttを超える。この場合には、区間時間ttからフォーカスレンズ(FCS)253を駆動するために要する時間(最短時間)に延長し、他のレンズ(ズームレンズ(ZM)250および補正レンズ(CORR)254も、延長した区間時間(確定区間時間td)に合わせる制御を行う。なお、各レンズの最短時間を算出するにあたり、レンズの反転を含む場合にはレンズを反転するための逆転停止時間(
図12(b)の逆転時停止時間、
図8の方向反転停止時間t2c参照)を加えて算出する。
図12(b)に示す確定区間時間tdは、ステップS33(
図11参照)の最終の区間時間に相当する。
【0092】
次に、
図17を用いて、各区間の速度設定パラメータの決定(
図11のS35参照)の処理のうちで、まず「最終の区間時間(確定区間時間td(
図12参照)以内」に制御できる必要最小限の「加減速段数」を求める。加速方向に加減速段数を跨ぐ数が多いほど短い時間で制御できる。そこで「跨いだ加減速段数」に応じた「制御可能な最短時間」をそれぞれ求め、確定区間時間tdと比較することで「必要最小限の加減速段数」を求める説明をする。
図17(a)~(c)では、区間nの最後のplsである6番目のplsは、加減速段2よりも低速側の速度(駆動時間)に設定されている。そして、
図17(a)~(c)は、区間n+1の最初のplsである7番目のplsの次の8番目のpls以降のplsの駆動時間の設定がそれぞれ異なっている。
【0093】
図17(a)は、加減速段を跨がないで速度設定パラメータを決定する場合を示す。
図17(a)に示す例では、区間n+1の7番目のplsは、加減速段2の速度と設定し、以後、8番目のplsから12番目のplsまで加減速段2の速度と設定する。この場合、区間n+1の速度設定パラメータは、(1)加減速期間のパルス数は0、(2)加減速期間の時間は0、(3)一定速期間のパルス数は6、(4)一定速期間の時間は、確定区間時間td(レンズの反転を含む場合には、確定区間時間td‐t2c)となる。
【0094】
図17(b)は、加減速段を1つ跨ぐことによって速度設定パラメータを決定する例である。この例では、区間n+1の7番目のplsは加減速段2の速度に設定し、8番目のplsは加減速段1の速度に設定する。以後、8番目のplsから12番目のplsまで加減速段1と設定する。この例では区間nでの加減速段2よりも低速側の速度の設定から、区間n+1で加減速段2の速度の設定、加減速段1の速度の設定とし、加減速段2を跨いでおり、加減速段を1つ(1回)跨いでいる。この場合、区間n+1の速度設定パラメータは、(1)加減速期間のパルス数は1、(2)加減速期間の時間はta、(3)一定速期間のパルス数は5、(4)一定速期間の時間は、確定区間時間td‐ta(レンズの反転を含む場合には、確定区間時間td‐t2c‐ta)となる。なお、加減速期間の時間taは、
図17(b)に示す区間n+1の最初のplsである7番目のplsに対応する加減速段2の駆動時間(速度)である。
【0095】
図17(c)は、加減速段を2つ跨ぐことによって速度設定パラメータを決定する例である。この例では、区間n+1の7番目のplsでは加減速段2の速度に設定し、8番目のplsで加減速段1の速度に設定し、9番目のplsで最高速に設定する。以後、9番目のplsから12番目のplsまで、最高速に設定する。この例では、区間nで加減速段2よりも低速側の速度の設定から、区間n+1で加減速段2の速度の設定、加減速段1の速度の設定、さらに最高速に設定し、加減速段1と加速段2を跨いでおり、加減速段を2つ(2回)跨いでいる。この場合、区間n+1の速度設定パラメータは、(1)加減速期間のパルス数は2、(2)加減速期間の時間はta、(3)一定速期間のパルス数は4、(4)一定速期間の時間は、確定区間時間td‐ta(レンズの反転を含む場合には、確定区間時間td-t2c-ta)となる。なお、加減速期間の時間taは、
図17(c)に示す区間n+1の最初のplsである7番目のplsに対応する加減速段2の駆動時間(速度)と8番目のplsに対応する加減速段1の駆動時間(速度)の和である。
【0096】
図17(a)~(c)における区間n+1の区間時間は、それぞれ区間n+1内の棒グラフの面積の和となる(ハッチング部分で示す)。
図17(a)(b)(c)の区間n+1における区間時間を、それぞれ、時間A、時間B、時間Cとすると、
図17から明らかなように、時間A>時間B>時間Cの関係が成り立つ。時間が短ければ短い程、速く駆動することができることを意味する。ステップS35における区間の速度設定パラメータの決定にあたっては、ステップS33において算出された最終の区間時間(確定区間時間td)と、時間A~時間Cを順次比較する。ここで
図8に示すように方向反転停止のための停止時間t2cがある場合は、「確定区間時間td」と、「時間A+t2c」、「時間B+t2c」、「時間C+t2c」を順次比較する。時間A~時間Cが最終の区間時間と同じか、それよりも短い時間の条件では「最終の区間時間」内で制御可能である。制御可能かつ、加減速段の使用数が最も少ない条件となる制御に決定する。例えば、時間A>時間B>「最終の区間時間」>時間Cの関係にあれば、時間Cが該当する。
図8に示すように方向反転停止のための停止時間t2cがある場合は、時間A+t2c>時間B+t2c>「最終の区間時間」>時間C+t2cの関係にあるときに時間Cが該当する。時間Cとなるケースでは、加減速段を2つ使用するケースである。この場合には、加減速段を2つ使用し、その後を一定速(
図17(c)の場合、Pls番号9~12)にする。
【0097】
このように「区間で使用する加減速段数」が決まると、「加減速段の単位パルス(
図13(c)参照)」から、「加減速段のパルス数」、「加減速期間の時間」「一定速期間のパルス数」を算出する。
(A)「加減速段のパルス数」=「区間で使用する加減速段数」×「加減速段の単位パルス」
(B)「加減速期間の時間」は、「使用した加減速段の1パルス毎駆動時間の合計」に、加減速の単位パルスを乗算する。
【0098】
図17(c)の場合は、加減速段1、加減速段2を使用していることから、次の式で求められる。
「加減速期間の時間」=(「加減速段1の1パルス毎駆動時間」+「加減速段2の1パルス毎駆動時間」)×「加減速段の単位パルス」
(C)「一定速期間のパルス数」=「区間の全パルス数」-(A)
【0099】
次に「一定速期間の時間」を計算する。一定速期間の時間は、例えば、
図9から分かるように、区間の時間から加減速を行っている時間を減算し、さらに、
図8に示す方向反転停止のための停止時間t2cを更に減算すればよい。したがって、tcを一定速期間の時間、tdを区間時間(確定区間時間)とし、taを加減速期間の時間とし、R(
図8のt2cに相当)を方向反転のための停止時間とすると、下記(1)式よって算出することができる。
tc=td-ta-R ・・・(1)
【0100】
次に、
図18に示すフローチャートを用いて、ステップS37の一定速期間の速度の分割の計算について説明する。
【0101】
一定速期間のパルス数を判定する(S53)。例えば、
図15に示した例において、区間n+1では、pls7~12までの全パルス数は6パルスであり、この間の加減速期間のパルス数はpls7とpls8の2パルスである。一定速期間は9番目のplsから12番目のplsまでの4パルスとなる。また、
図16に示す例においては、一定速の期間は20番目のplsから23番目のplsまでであり、全部で4パルスである。
【0102】
ステップS53における判定の結果、一定速期間のパルス数が0の場合には、ケース1に設定する(S55)。また、ステップS53における判定の結果、一定速期間のパルス数が1の場合には、ケース2に設定する(S57)。また、一定速期間のパルス数が2以上の場合には、ケース3に設定する(S59)。
【0103】
ケース1~3に分類すると、この分類結果に基づいて、一定速期間速度分割計算を行う(S61)。ステップS35において算出された一定速に最も近い2つの駆動時間(制御単位時間の整数倍)を選択し、それぞれの駆動時間で駆動するパルス数を算出し、誤差が最小になるようにしている。
【0104】
図19を用いて、一定速期間の速度分割について説明する。
図19は、一定速期間だけを示し、加減速期間を省略している。
図19において、横軸は印加パルスplsを示す。縦軸は、1パルス毎の駆動時間を示し、1パルス毎の駆動時間が大きい程、駆動速度が低い。前述したように、1パルスの駆動時間は、制御分解能Tres単位(制御単位時間)でしか制御できない。なお、平均時間Taveは、一定速期間のパルス数Tnを一定速期間の時間で除算した値で、制御分解能(制御単位時間)の制限で実現できない場合がある。一定速期間のパルス数TnはステップS35の(3)において決定され、また一定速期間の時間は、ステップS35の(4)において決定される。なお、前述したように、ステッピングモータの駆動パルス1個毎にそれぞれ制御単位時間に応じて駆動時間が設定可能である。
【0105】
図19において、第1の時間Tfast_tと、第2の時間Tslow_tは、平均時間Taveに最も近い制御可能な1パルスの駆動時間である。一定速期間の時間は、
図19の各棒グラフの面積の和となる。ステップS61においては、パルス数Tnを、第1の時間Tfast_tと第2の時間Tslow_tの最適なパルス数に配分(分割)することによって、その場合のトータルの一定速期間の時間が、全てのパルスの駆動時間を仮想的な平均時間Taveとする時の一定速期間の時間にほぼ等しくなるようにする。
【0106】
そこで、ステップS61では、次の、パラメータ(a)~(d)を求める。
(a)第1の時間Tfast_t(期間Fastの「1パルス毎の駆動時間」)
(b)第1の時間Tfast_tの「パルス数」(期間Fastのパルス数)
(c)第2の時間Tslow_t(期間Slowの「1パルス毎の駆動時間」)
(d)第2の時間Tslow_tの「パルス数」(期間Slowのパルス数)
【0107】
ステップS55において、ケース1が設定されている場合、すなわち、一定速期間のパルス数が0の場合には、(a)~(d)において求めるパラメータは全て0とする。(パルス数=0なので、速度を示す「1パルス毎の駆動時間」の格納値は、制御上意味を持たない)
【0108】
ステップS57において、ケース2が設定されている場合、すなわち、一定速期間Tcのパルス数Tnが1の場合には、次のように、パラメータを求める。すなわち、一定速期間のうちFastの1パルス毎の駆動時間Tfast_tは、一定速期間Tc、一定速期間のパルス数Tn、制御単位時間(制御分解能)Tresとすると、下記(2)式に基づいて算出する。
Tfast_t=(Tc÷T_n÷Tres)×Tres ・・・(2)
【0109】
また、ケース2の場合、一定速期間Tcのうちの期間Fastのパルス数は、1であるので、一定速期間Tcのうちの期間Slowにおけるパルス数は0である。パルス数が0なので、制御上意味は無いが、「1パルス毎の駆動時間」も0とする。
【0110】
次に、ステップS59において、ケース3が設定されている場合、一定速期間Tcのパルス数Tnが2の場合には、時間÷パルス数(小数点切り捨て)で計算した「1パルス毎の駆動時間」と、制御単位時間の分長い、「1パルス毎の駆動時間」の2種類の速度を求め、一定速期間Tcを分配する。
【0111】
まず、一定速期間のうちの期間Fastの「1パルス毎の駆動時間」Tfast_tを、一定速期間の時間Tc、一定速期間のパルス数Tn、制御単位時間Tresを用いて、下記(3)式によって算出する。この算出にあたって、(3)式のカッコ内は、小数点以下を切り捨てる。
Tfast_t=(Tc÷Tn÷Tres)×Tres ・・・(3)
【0112】
上記(3)式を算出すると、一定速期間のうちの期間Slowの「1パルス毎の駆動時間」Tslow_tを、下記(4)式から算出する。
Tslow_t=Tfast_t+Tres ・・・(4)
【0113】
次に、一定速期間のうちの期間Slowのパルス数Tn_slowを、下記(5)式から算出する。なお、この算出にあたって、(4)式のカッコ内は、小数点以下を切り捨てる。
Tn_slow=(Tc-Tn×Tfast_t)÷Tres ・・・(5)
【0114】
上記(4)(5)式を算出すると、次に、一定速期間の内の期間Fastのパルス数Tn_fastを下記(6)から算出する。
Tn_fast=Tn-Tn_slow ・・・(6)
以上の(3)~(6)式によって、上述のパラメータ(a)~(d)を求めることができる。
【0115】
次に、
図19ないし
図22を用いて、本実施形態における一定速期間の速度の分割によって、各レンズがズームポジションに到達するまでの時間誤差を小さくできることについて説明する。
【0116】
図20は、一定速期間の速度の分割を行わない場合を示す。
図20は、一定速期間と加減速期間の両方を含めている。この例では、一定速期間Tcにおける1パルス毎の駆動時間の計算値(
図19の併記時間Taveに相当)に制御分解能(制御単位時間)に関して最も近い実制御値Treaで、一定速期間Tcの全パルスが駆動される。この場合には、一定速期間Tc内の計算値Taveと実制御値Treaの差分(
図20における網掛の面積)が、一定速期間Tcの時間に関する誤差合計となる。このため、一定速期間Tcにおいて、狙いの駆動時間Tmov_tarに対し、実際の駆動時間Tmov_reaにより制御すると、次のズームポジション位置Zpに到達する時間が誤差分だけ早くなってしまい、他のレンズが所定位置へ達するまで待つ時間(待ち時間)が増加してしまう。または、次のズームポジションで、レンズが停止したとみなされ、再計算が発生してしまう。
【0117】
図21は、一定速期間速度の分割を行わない場合を示し、
図19の一定速期間の速度の分割を行う場合と対比して示す。
図21は、
図19と同様に、一定速期間だけを示し加減速期間を省略している。
図21に示すように、平均時間Taveと実際の時間Treaの差分にパルス数を乗算した値が一定速期間Tcの時間誤差となってしまう。
図19に示すように、一定速期間Tcを第1期間Fastと、第2期間Slowに2分割してそれぞれ異なる駆動時間(第1時間Tfast_t、第2時間Tslow_t)を割り当てることにより、狙いとする一定速期間Tcの時間とすることができる(時間は、棒グラフの面積の和)。すなわち、制御可能な2つの速度とパルス数の分配によって、一定速期間内で発生する時間誤差を制御分解能(制御単位時間)以下に抑えることができる。
【0118】
図22は、一定速期間の速度の分割を行った場合を示す。
図20と同様に、一定速期間と加減速期間を含めている。
図20の場合と比較し、一定速期間Tcにおいて、1パルス毎の駆動時間が第1時間Tfast_tと第2時間Tslow_tの2つの速度の期間Fastと期間Slowに分割している。このため、一定速期間Tcにおいて、実際の駆動時間Tmov_reaが、
図20の場合よりも狙いの駆動時間Tmov_tarに近くなっている。その結果、2つの駆動時間の差分、すなわち誤差合計が
図20の場合に比較し、縮小している。
【0119】
このように、ズームレンズ250、フォーカスレンズ253、補正レンズ254をそれぞれ、一定速期間の速度を、2つの駆動時間のパルスを組み合わせることによって(速度分割と称す)、計算された速度に近づけている。このため、各ズームポジションZpにおいて、各レンズが略同時に所定の位置に到達することができる。ズームポジションZpをテレ端からワイド端の間で密に設定すれば、レンズの駆動中における各レンズ位置の精度が向上し、ライブビュー画像および/または動画画像の画質をさらに向上させることができる。
【0120】
次に、
図23を用いて、一定速期間における第1時間Tfast_tと第2時間Tslow_tのパルスの配列の順番の変形例について説明する。一実施形態においては、最初に連続する複数のパルス駆動時間を第1時間とし、次に連続する複数のパルスの駆動時間を第2時間としていた。これに対して、本変形においては、最初の1パルスの駆動時間を第1時間とし、次の1パルスの駆動時間を第2時間とし、その次の2パルスをそれぞれ第1時間と第2時間としている。その後、1パルスの第1時間と2パルスの第2時間を交互に3回繰り返すようにしている。このように、ズームレンズ250、フォーカスレンズ253、補正レンズ254をそれぞれ、一定速期間の速度を、2つの駆動時間のパルスの順番を変更して組み合わせることによって、計算された速度に近づけている。
【0121】
なお、変形例としては、
図23に示した例に限らず、例えば、最初に連続する複数のパルスの駆動時間を第2時間とし、その後、連続する複数のパルスの駆動時間を第1時間としてもよい。また、
図23に示した例に限らず、2パルスずつ交互に駆動してもよく、さらに3パルス以上で交互に駆動してもよい。
【0122】
以上説明したように、本発明の一実施形態や変形例においては、ズームトラッキングにおいて、複数レンズの位置を揃えるズーム位置の間を「区間」とし、「区間」が「所定時間」となるように複数のレンズの移動速度を制御する。予め決めた「区間」を移動する時間を「所定時間」と設定し、レンズごとに、「区間」で制御可能な最短時間を算出し(
図11のS31参照)、最短時間が「所定時間」を越えるレンズがある場合は「所定時間」を延長する(
図11のS33、
図12(b)参照)。この越えるレンズの最短時間を「所定時間」とする。「区間」が「所定時間(確定区間時間td(
図12参照))」となる1パルスの駆動時間を「平均時間(所定時間/駆動パルス数)」とする時、「平均時間」を挟む「2つの駆動時間」を制御分解能(制御単位時間)に応じて設け、それぞれの駆動時間で動かすパルス数を、「区間」が「所定時間」となるように分配している(
図11のS37、
図18、
図19等参照)。
【0123】
また、本発明の一実施形態や変形例においては、ズームレンズを駆動する第1のステッピングモータと、フォーカスレンズを駆動する第2のステッピングモータを制御するにあたって、第1のステッピングモータと第2のステッピングモータの少なくともいずれか一方を一定速度で駆動する期間を有している(例えば、
図22の一定速期間Tc参照)。ズームレンズおよびフォーカスレンズが所定区間を所定パルス数で移動するに要する時間を所定時間とするために(例えば、
図12の確定区間時間td参照)、一定速度で駆動する期間の全ての駆動パルスの駆動時間をその期間のパルス数で除算した駆動時間を平均駆動時間とする時に(例えば、
図21(b)の平均時間Tave参照)、一定速度で駆動する期間を複数の期間に分割し、平均駆動時間を挟む複数の駆動時間を複数の期間の駆動パルスに設定する(例えば、
図11のS37、
図18のS61、
図22の一定速期間Tc内の1パルス毎の駆動時間参照)。このため、レンズの駆動中にレンズ位置の精度を確保し、ライブビュー画像および/または動画画像の見栄えを改善することができる。
【0124】
なお、本発明の一実施形態や変形例においては、補正レンズ254を有し、補正レンズ254を駆動するためのステッピングモータも、ズームレンズ250やフォーカスレンズ253を駆動するステッピングモータと同様に、一定速期間において、この期間を複数の機関に分割して、平均駆動時間を挟む複数の駆動時間を複数の機関の駆動パルスに設定していた。しかし、これに限らず、補正レンズ254を含まない撮影レンズの場合には、この駆動制御は行わなくてもよく、また補正レンズ254を含んでいても、この駆動制御を省略してもよい。
【0125】
また、本発明の一実施形態においては、撮像素子駆動IC110、画像処理IC102、モータドライバ120、SDRAM103等のチップは、制御用マイクロコンピュータ101と別体のチップとしていたが、これらの一部を同一のチップが兼用してもよく、別のチップに分割してもよい。また、上述のチップに設けられたハードウエア回路に代えて、CPUとプログラムによってソフトウエア的に構成してもよく、ヴェリログ(Verilog)によって記述されたプログラム言語に基づいて生成されたゲート回路等のハードウエア構成でもよく、またDSP(Digital Signal Processor)を利用して構成してもよい。これらは適宜組み合わせてもよいことは勿論である。
【0126】
また、CPUに限らず、コントローラとしての機能を果たす素子であればよく、各機能を実現するための処理は、ハードウエアとして構成された1つ以上のプロセッサが行うようにしてもよい。例えば、各部は、それぞれが電子回路として構成されたプロセッサであっても構わないし、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路で構成されたプロセッサにおける各回路部であってもよい。または、1つ以上のCPUで構成されるプロセッサが、記録媒体に記録されたコンピュータプログラムを読み込んで実行することによって、各部としての機能を実行するようにしても構わない。
【0127】
また、本実施形態においては、撮影のための機器として、デジタルカメラを用いて説明したが、カメラとしては、デジタル一眼レフカメラでもミラーレスカメラでもコンパクトデジタルカメラでもよく、ビデオカメラ、ムービーカメラのような動画用のカメラでもよく、さらに、携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレット型コンピュータ、ゲーム機器等に内蔵されるカメラ、医療用カメラ(例えば、医療用内視鏡)、顕微鏡等の科学機器用のカメラ、工業用内視鏡、自動車搭載用カメラ、監視用カメラでも構わない。いずれにしても、焦点距離を可変することが可能な撮影レンズを有する機器であれば、本発明を適用することができる。
【0128】
また、本明細書において説明した技術のうち、主にフローチャートで説明した制御に関しては、プログラムで設定可能であることが多く、記録媒体や記録部に収められる場合もある。この記録媒体、記録部への記録の仕方は、製品出荷時に記録してもよく、配布された記録媒体を利用してもよく、インターネットを通じてダウンロードしたものでもよい。
【0129】
また、本発明の一実施形態においては、フローチャートを用いて、本実施形態における動作を説明したが、処理手順は、順番を変えてもよく、また、いずれかのステップを省略してもよく、ステップを追加してもよく、さらに各ステップ内における具体的な処理内容を変更してもよい。
【0130】
また、特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず」、「次に」等の順番を表現する言葉を用いて説明したとしても、特に説明していない箇所では、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【0131】
本発明は、上記実施形態にそのまま限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせによって、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素の幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0132】
1・・・カメラ、100・・・メインユニット、101・・・制御用マイクロコンピュータ、102・・・画像処理IC、103・・・SDRAM、110・・・撮像素子駆動IC、111・・・撮像素子、120・・・モータドライバIC、130・・・通信コネクタ、131・・・記録メディア、140・・・液晶モニタ、150・・・操作部材、200・・・鏡枠ユニット、205・・・レンズ駆動機構A、210・・・絞り駆動機構、220・・・シャッタ駆動機構、230・・・レンズ駆動機構B、231・・・ナット、232・・・ネジ、233・・・ステッピングモータ、235・・・バネ、236・・・枠、237・・・位置センサ、238・・・反射面、240・・・レンズ駆動機構C、250・・・ズームレンズ、251・・・絞り、252・・・シャッタ、253・・・フォーカスレンズ、254・・・補正レンズ