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  • 特許-二元複合発酵剤及びその使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-14
(45)【発行日】2022-10-24
(54)【発明の名称】二元複合発酵剤及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C12J 1/04 20060101AFI20221017BHJP
   C12N 1/20 20060101ALI20221017BHJP
   C12N 9/26 20060101ALI20221017BHJP
   C12N 9/44 20060101ALI20221017BHJP
   C12N 9/34 20060101ALI20221017BHJP
   C12N 9/42 20060101ALI20221017BHJP
   C12N 9/50 20060101ALI20221017BHJP
【FI】
C12J1/04 103B
C12N1/20 A ZNA
C12N9/26 A
C12N9/44
C12N9/34
C12N9/42
C12N9/50
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021570889
(86)(22)【出願日】2020-07-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-24
(86)【国際出願番号】 CN2020103450
(87)【国際公開番号】W WO2021120618
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2021-11-26
(31)【優先権主張番号】201911291967.9
(32)【優先日】2019-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【微生物の受託番号】CGMCC  12225
【微生物の受託番号】CGMCC  12226
【微生物の受託番号】CGMCC  16938
【微生物の受託番号】CGMCC  15824
【微生物の受託番号】CGMCC  17801
【微生物の受託番号】CGMCC  17802
【微生物の受託番号】CGMCC  16345
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521518932
【氏名又は名称】江蘇恒順醋業股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU HENGSHUN VINEGAR-INDUSTRY CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】No.66,Hengshun Road,Dantu New City,Zhenjiang,Jiangsu 212028,China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 信
(72)【発明者】
【氏名】張 俊紅
(72)【発明者】
【氏名】崔 鵬景
(72)【発明者】
【氏名】朱 勝虎
(72)【発明者】
【氏名】呉 玲玲
(72)【発明者】
【氏名】熊 鋒
(72)【発明者】
【氏名】陳 ▲ウェン▼
(72)【発明者】
【氏名】王 芸
(72)【発明者】
【氏名】陸 栄松
(72)【発明者】
【氏名】蔡 ▲パン▼▲パン▼
【審査官】戸来 幸男
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106119166(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106190893(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108913628(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109234207(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110184227(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110408571(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107034087(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12J 1/00-1/10
C12N 1/00-1/38
FSTA/CAplus/AGRICOLA/BIOSIS/
MEDLINE/EMBASE(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Google
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合菌剤Iと複合菌剤IIとを含む二元複合発酵剤であって、
複合菌剤Iは、ラクトバチルス・ヘルヴェティクスCGMCC12225、ラクトバチルス・ファーメンタムCGMCC12226、ラクトバチルス・アセトトレランスCGMCC16938、バチルス・ソノレンシCGMCC15824、バチルス・コアグランスCGMCC17801、耐酸性中温α-アミラーゼ、プルラナーゼ、グルコアミラーゼ、セルラーゼ、及び酸性プロテアーゼを含み、
複合菌剤IIは、アセトバクター・パスツリアヌスCGMCC17802、グルコナセトバクター・ユーロペウスCGMCC16345、及びグルコースを含む、を含むことを特徴とする二元複合発酵剤。
【請求項2】
前記複合菌剤Iは、ラクトバチルス・ヘルヴェティクスCGMCC12225 10~25重量部、ラクトバチルス・ファーメンタムCGMCC12226 5~15重量部、ラクトバチルス・アセトトレランスCGMCC16938 5~20重量部、バチルス・ソノレンシCGMCC15824 3~15重量部、バチルス・コアグランスCGMCC17801 2~10重量部、耐酸性中温α-アミラーゼ5~13重量部、プルラナーゼ1~3重量部、グルコアミラーゼ2~5重量部、セルラーゼ3~9重量部、及び酸性プロテアーゼ1~5重量部を含み、
複合菌剤IIは、アセトバクター・パスツリアヌスCGMCC17802 35~55重量部、グルコナセトバクター・ユーロペウスCGMCC16345 2~10重量部、及びグルコース40~60重量部を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の二元複合発酵剤。
【請求項3】
前記複合菌剤Iにおけるラクトバチルス・ヘルヴェティクスCGMCC12225、ラクトバチルス・ファーメンタムCGMCC12226、ラクトバチルス・アセトトレランスCGMCC16938、バチルス・ソノレンシCGMCC15824、及びバチルス・コアグランスCGMCC17801の生菌数がいずれも1.0×10~1.0×1010CFU/gであり、耐酸性中温α-アミラーゼ、プルラナーゼ、グルコアミラーゼ、セルラーゼ、及び酸性プロテアーゼの酵素活性がいずれも2~10万U/gである、ことを特徴とする請求項1に記載の二元複合発酵剤。
【請求項4】
前記複合菌剤IIにおけるアセトバクター・パスツリアヌスCGMCC17802及びグルコナセトバクター・ユーロペウスCGMCC16345の生菌数が1.0×10~1.0×10CFU/gである、ことを特徴とする請求項1に記載の二元複合発酵剤。
【請求項5】
食酢の醸造における請求項1~4のいずれかに記載の二元複合発酵剤の使用。
【請求項6】
前記複合菌剤Iは酢酸発酵前に添加され、前記複合菌剤IIは酢酸発酵段階で添加される、ことを特徴とする請求項5に記載の使用。
【請求項7】
前記二元複合発酵剤は種醪と併用される、ことを特徴とする請求項5に記載の使用。
【請求項8】
前記食酢の醸造は、固体食酢発酵又は液体食酢発酵である、ことを特徴とする請求項5に記載の使用。
【請求項9】
前記二元複合発酵剤は、直投方式で添加される、ことを特徴とする請求項5に記載の使用。
【請求項10】
前記食酢は、鎮江香酢、山西老陳酢、米酢又はリンゴ酢である、ことを特徴とする請求項5に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二元複合発酵剤に関し、さらに食酢の醸造における前記二元複合発酵剤の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
食酢は、デンプンや糖を含有する各種材料、食用アルコールを単独又は混合して、微生物で発酵させた液体酸性調味料である。欧米諸国では、一般的に単一菌種発酵技術を用いて食酢を製造しており、中国や東南アジア諸国では、主に多菌発酵技術を用いて食酢を製造している。単一菌種発酵は主に純粋なアセトバクターを主とし、風味が単一で口当たりが悪い。伝統的な多菌種発酵プロセスは天然多菌種開放発酵を採用することが多く、発酵菌種の由来は前世代から種醪(又は種子液)の形で混入することが多く、すなわち、前世代の酢醪又は酢酸発酵液を一定量で次世代に接種し、このように世代ずつ持続する。伝統的な接種方式は、コア菌種の衰退、微生物叢構造の変化が現れやすく、変化後の菌叢構造の制御と回復が難しく、製品の品質と安定性に巨大な挑戦をもたらす。また、種の量が多く、貯蔵や輸送が容易ではなく、使用条件では多方面の制限があり、それにより、食酢の醸造技術の発展が大きく制限されている。
【0003】
従来技術には、直投式発酵剤及びその使用があり、例えば、直投式発酵剤は、ヨーグルト、生地、キムチなどの発酵食品の製造においてすでに工業化の応用段階に入っているが、伝統的な食酢の醸造に固有の環境及び要件(高酸、高アルコール、低栄養、好気性微生物と嫌気性微生物の共存、上下層の協同発酵など)に適する発酵剤の研究は極めて少ない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、使用量が少なく、発酵効率が高く、製品の収率が高く、製品の品質が安定している二元複合発酵剤を提供することを目的とし、食酢の醸造における前記二元複合発酵剤の使用を提供することを別の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の二元複合発酵剤は、複合菌剤Iと複合菌剤IIとを含み、
複合菌剤Iは、ラクトバチルス・ヘルヴェティクスCGMCC12225、ラクトバチルス・ファーメンタムCGMCC12226、ラクトバチルス・アセトトレランスCGMCC16938、バチルス・ソノレンシCGMCC15824、バチルス・コアグランスCGMCC17801、耐酸性中温α-アミラーゼ、プルラナーゼ、グルコアミラーゼ、セルラーゼ、及び酸性プロテアーゼを含み、
複合菌剤IIは、アセトバクター・パスツリアヌスCGMCC17802、グルコナセトバクター・ユーロペウスCGMCC16345、及びグルコースを含む、を含むことを特徴とする。
【0006】
前記ラクトバチルス・ヘルヴェティクス(Lactobacillus helveticus)CGMCC12225、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)CGMCC12226、ラクトバチルス・アセトトレランス(Lactobacillus acetotolerans)CGMCC16938、バチルス・ソノレンシ(Bacillus sonorensis)CGMCC15824、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)CGMCC17801、アセトバクター・パスツリアヌス(Acetobacter pasteurianus)CGMCC17802、グルコナセトバクター・ユーロペウス(Komagataeibacter europaeus)CGMCC16345は、中国微生物菌種寄託管理委員会普通微生物センターにブタペスト条約に基づく国際寄託がなされ、、寄託場所は北京市朝陽区北辰西路1号中国科学院微生物研究所であり、寄託登録番号はそれぞれCGMCC No.12225、CGMCC No.12226、CGMCC No.16938、CGMCC No.15824、CGMCC No.17801、CGMCC No.17802、CGMCC No.16345であり、寄託日はそれぞれ2016年03月18日、2016年03月18日、2018年12月13日、2018年05月30日、2019年05月13日、2019年05月13日、2018年05月13日、2018年08月27日である。
【0007】
好ましくは、前記複合菌剤Iは、ラクトバチルス・ヘルヴェティクスCGMCC12225 10~25重量部、ラクトバチルス・ファーメンタムCGMCC12226 5~15重量部、ラクトバチルス・アセトトレランスCGMCC16938 5~20重量部、バチルス・ソノレンシCGMCC15824 3~15重量部、バチルス・コアグランスCGMCC17801 2~10重量部、耐酸性中温α-アミラーゼ5~13重量部、プルラナーゼ1~3重量部、グルコアミラーゼ2~5重量部、セルラーゼ3~9重量部、及び酸性プロテアーゼ1~5重量部を含み、
複合菌剤IIは、アセトバクター・パスツリアヌスCGMCC17802 35~55重量部、グルコナセトバクター・ユーロペウスCGMCC16345 2~10重量部、グルコース40~60重量部を含む。
【0008】
好ましくは、前記複合菌剤I中、ラクトバチルス・ヘルヴェティクスCGMCC12225、ラクトバチルス・ファーメンタムCGMCC12226、ラクトバチルス・アセトトレランスCGMCC16938、バチルス・ソノレンシCGMCC15824、及びバチルス・コアグランスCGMCC17801の生菌数がいずれも1.0×10~1.0×1010CFU/gであり、耐酸性中温α-アミラーゼ、プルラナーゼ、グルコアミラーゼ、セルラーゼ、酸性プロテアーゼの酵素活性がいずれも2~10万U/gである。
【0009】
好ましくは、前記複合菌剤IIにおけるアセトバクター・パスツリアヌスCGMCC17802及びグルコナセトバクター・ユーロペウスCGMCC16345の生菌数が1.0×10~1.0×10CFU/gである。
【0010】
食酢の醸造における本発明の二元複合発酵剤の使用。
【0011】
好ましくは、前記複合菌剤Iは酢酸発酵前に添加され、前記複合菌剤IIは酢酸発酵段階で添加される。
【0012】
好ましくは、前記二元複合発酵剤は種醪と併用されてもよい。
【0013】
好ましくは、前記食酢の醸造は、固体食酢発酵又は液体食酢発酵である。
【0014】
好ましくは、前記二元複合発酵剤は、直投方式で添加される。
【0015】
好ましくは、前記食酢は、鎮江香酢、山西老陳酢、米酢又はリンゴ酢である。
【0016】
研究によると、微生物の多様性は、醸造食酢の風味が豊富で、口当たりがリッチで柔らかいことを実現する重要な基礎となっている。本発明の二元複合発酵剤は、風味の豊富さ、口当たりのリッチさや柔らかさを維持、向上しながら、単一発酵剤で製造された食酢製品の風味の単一性、口当たりの刺激、リッチさや柔らかさの欠如、及び低収率の問題を解決し、菌種混入過程で出現しやすいコア菌種の衰退、微生物叢構造の変化、変化後の菌叢構造の調整と回復が難しく、製品の品質と安定性に悪影響をもたらすなどの従来の問題を回避し、さらに、種の量が多く、貯蔵と輸送が容易ではないという従来の問題を解決する。
【0017】
本発明の二元複合発酵剤は、食酢の醸造の特殊な環境に適しており、効果が高く、応用場面が広く、従来の種子に混入せずに使用することも、従来の種子に混入して強化発酵剤として使用することもできる。
【0018】
本発明の二元発酵剤は、従来のシートに混入せずに使用された、又は従来のように種子に混入して強化発酵剤として使用された場合、発酵効率が速く、収率が高く、品質が安定しており、不揮発性酸、アミノ酸態窒素、エステル類などの風味物質の含有量を著しく高めることができ、製品は、風味が豊富で、口当たりがリッチで柔らかく、香りが際立っており、単一や普通の配合発酵剤は比べ物にならない。
【発明の効果】
【0019】
従来技術と比較して、本発明には次の顕著な利点がある。
(1)本発明の二元複合発酵剤は、固体食酢発酵剤又は液体食酢発酵剤として、単独で又は種醪と組み合わせて使用することができる。
(2)本発明の二元複合発酵剤は、固体食酢発酵に適用すると、不揮発性酸、アミノ酸態窒素、エステル類などの風味物質の含有量を著しく高めることができ、液体食酢発酵に適用すると、不揮発性酸やエステル類風味物質の含有量を著しく高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明のアセトバクター・パスツリアヌスのコロニー形態である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、実施例を参照して本発明の技術案をさらに説明する。
【0022】
本発明の複合菌剤I及び複合菌剤IIの製造方法は、以下の通りである。各菌をそれぞれ対応する培地で三段階に拡張培養し、発酵させ、発酵終了後、中空繊維膜を用いて発酵液を元の発酵液量の1/5まで濃縮し、その後、無菌脱脂粉乳20g/100ml、グルタミン酸ナトリウム12g/100ml、ソルビトール4g/100mlを濃縮発酵液と均一に混合し、-80℃の超低温冷蔵庫に入れて2~5h予備凍結し、最後にサンプルディスクを凍結乾燥機にセットして24~48hの凍結乾燥処理を行い、平板計数法を用いて生菌数が要件(生菌数はいずれも1.0×10~1.0×1010CFU/g)を満たすと検出すると、使用に備えた。活性単位が要件(酵素活性2~10万U/g)を満たす市販の関連酵素製剤と食品級グルコースを購入し、クリーンルームで本発明の二元複合発酵剤の配合比で均一に混合し、最後に、真空包装袋に分包し、分包後の製品を4℃で保管した。
【0023】
実施例では、各指標の測定方法は次の通りである。総酸と不揮発酸は「GB18187-2000」の方法を参照して測定し、総酸は酢酸として、不揮発酸は乳酸として測定し、アミノ酸態窒素は「GB18186-2000」方法を参照して測定し、総エステルは「GB/T19777-2013」の方法を参照して測定した。
【0024】
本発明の二元複合発酵剤は、下記の食酢の醸造だけでなく、他の固体及び液体発酵食酢の醸造にも適用することができる。
【0025】
実施例1:アセトバクター・パスツリアヌス菌株の分離及び同定
本実施例において、炭酸カルシウム、グルコース、寒天粉、無水エタノール、酢酸及び水酸化ナトリウムはいずれも国薬集団化学試薬有限公司から購入し、酵母エキスは英国OXOID社から購入した。
【0026】
1、菌株分離
鎮江香酢の醪サンプル10gを採取し、滅菌された生理食塩水90mlに加え、シェーカーで均一に振った後、100μlのサンプルを採取し、900μlの生理食塩水に加え、ボルテック振とう器で均一に混合し、その後、勾配希釈を行った。均一に混合して、炭酸カルシウム20gを添加した固体培地(1L当たりグルコース20g、酵母エキス10g、寒天粉末15gを含有、121℃で20min殺菌後冷却し、3%エタノールを添加)に順次塗布し、30℃で3日間培養した。平板上に透明ループがあるかどうかを観察し、該当する菌株を選別した。
【0027】
2、菌株の二次スクリーニング
一次スクリーニングした菌株を、二次スクリーニング用固体平板(グルコース20g、酵母エキス10g、酢酸30ml、及びエタノール30ml、寒天粉末15g/L添加)に接種し、30℃で3日間培養した後、透明ループが最大となる菌株を選別した。
【0028】
スクリーニングした菌株を、二次スクリーニング用液体培地(グルコース20g、酵母エキス10g、酢酸30ml、エタノール50ml、及び蒸留水1L)に接種し、30℃、200rpmの回転数で20h培養し、水酸化ナトリウムにより総酸(酢酸換算)量を滴定し、24hおきに測定し、酸産生の変化を記録した。
【0029】
2回の二次スクリーニングを経たところ、最終的に酸産生性の優れたアセトバクター・パスツリアヌスHSCY1085菌株が得られ、そのコロニーの形態は図1に示される。
【0030】
3、菌株の同定
測定された16SrDNA配列をNCBIデータベースで比較分析し、生理学的・生化学的特徴を組み合わせて、本発明の菌株をアセトバクター・パスツリアヌスHSCY1085(Acetobacter pasteurianus)と命名し、16SrDNA配列をSEQ IDNo.1に示す。
【0031】
この菌株は中国微生物菌種寄託管理委員会普通微生物センターに寄託され、寄託場所は北京市朝陽区北辰西路1号院3号中国科学院微生物研究所であり、寄託日は2019年5月13日であり、寄託番号はCGMCC No.17802であり、その分類命名はAcetobacter pasteurianusである。
【0032】
実施例2:鎮江香酢の醸造における使用
本実施例は、従来の種醪及び接種方式を用いずに、本発明の二元複合発酵剤のみを鎮江香酢の醸造に適用することを提供する。
【0033】
1、試験群
(1)400kgのかめを9個準備し、もち米50kgに水を加えて一晩浸した。もち米を蒸気で蒸し、約40℃の温度になるまで冷水をかけて酒薬0.3kgを加え、よく混ぜた後、かめに入れてラッパ状の穴を作った。
【0034】
(2)穴の中に一定の酒液が出てきたら、かめごとに麦麹2.5kgを加え、次に水150kgを加えてよく混ぜた。
【0035】
(3)アルコール発酵過程において、定期的に撹拌し、温度を30℃程度に制御し、約5~7d程度発酵させると終了した。
【0036】
(4)上記ステップ(3)の400kgのかめのうち3個のそれぞれに酒もろみ200kgを加え、本発明の複合菌剤I(ラクトバチルス・ヘルヴェティクスCGMCC12225 25部、ラクトバチルス・ファーメンタムCGMCC12226 15部、ラクトバチルス・アセトトレランスCGMCC16938 20部、バチルス・ソノレンシCGMCC15824 15部、バチルス・コアグランスCGMCC17801 10部、耐酸性中温α-アミラーゼ13部、プルラナーゼ3部、グルコアミラーゼ5部、セルラーゼ9部、及び酸性プロテアーゼ5部)を、酒もろみの質量の0.15‰(w/w)の添加量で加え、よく混ぜた後、ふすま80kg、米ぬか45kgを加え、酒もろみと穀物を均一に混合した(酢醪)。本発明の複合菌剤II(アセトバクター・パスツリアヌスCGMCC17802 55部、グルコナセトバクター・ユーロペウスCGMCC16345 10部、及びグルコース60部)を、酒もろみの質量の0.1‰(w/w)の添加量で加え、30℃の酒もろみ約1000gを小桶に加えてよく混ぜた後、それぞれのかめ内の酢醪の上部に散布し、手を表面から約10cm深く入れてよく混ぜ、最後に上部に米ぬかを被せて保温した。
【0037】
(5)鎮江香酢の醸造プロセスに従って層ごとに醪を切り返し、総酸がこれ以上増加しなくなるまで酢醪を発酵させると、発酵を終了した。塩を加えて醪を15d密閉し、次に、炒めた米を加えて酢を抽出した。酢を煎じ、熟成し、殺菌して充填すれば、完成品が得られた。
【0038】
2、比較試験
(1)対照群1
上記ステップ(3)の400kgのかめのうち3個のそれぞれに酒もろみ200kg、ふすま80kg、米ぬか45kgを加え、酒もろみと穀物を均一に混合した(酢醪)。かめごとに市販の光明牌醸造酢酢酸菌剤を、酒もろみの質量の0.5‰(w/w)の添加量で加え、30℃の酒もろみ約1000gを小桶に加えてよく混ぜた後、酢醪の上部に散布し、手を表面から約10cm深く入れてよく混ぜ、最後に上部に米ぬかを被せて保温し、次のステップは上記のステップ(5)と同じであった。
【0039】
(2)対照群2
上記ステップ(3)の400kgのかめのうち3個のそれぞれに酒もろみ200kg、ふすま80kg、米ぬか45kgを加え、酒もろみと穀物を均一に混合した(酢醪)。伝統的な種醪26kgを酢醪の上部に取り、米ぬかを被せて保温し、次のステップは上記のステップ(5)と同じであった。
【0040】
【表1】
【0041】
対照群1と比較して、本発明の二元複合発酵剤を使用した試験群は、昇温速度が速く(初回温度が40℃以上に達するための時間が38hから20hに18h短縮された)、発酵時間は22dから15dに7d短縮され、醪密閉が終了した後、基材醪中、総酸含有量は14.73%、不揮発酸含有量は82.84%、アミノ酸態窒素含有量は105.56%、総エステル含有量は126.05%向上し、製品の収率は17.01%向上し、得られた製品は、香りがはっきりし、風味が豊かで、口当たりが柔らかくリッチであり、官能スコアが高かった。
【0042】
対照群2と比較して、本発明の二元複合発酵剤を使用した試験群は、発酵時間が19dから15dに4d短縮され、醪密閉が終了した後、基材醪中、総酸含有量は10.22%、不揮発性酸含有量は21.89%、アミノ酸態窒素含有量は76.19%、総エステル含有量は84.79%向上し、製品の収率は11.95%向上し、得られた製品は、全体として風味や口当たりについて鎮江香酢の特徴を有し、香りがよりはっきりし、口当たりがより柔らかく、より豊かで、よりリッチであった。
【0043】
実施例3:鎮江香酢の醸造における強化使用
本実施例は、伝統的な種醪及び接種方式を保持しながら、本発明の二元複合発酵剤を強化のために鎮江香酢の醸造に使用することを提供する。
【0044】
1、試験群
(1)400kgのかめを9個準備し、もち米50kgに水を加えて一晩浸した。もち米を蒸気で蒸し、約40℃の温度になるまで冷水をかけて酒薬0.3kgを加え、よく混ぜた後、かめに入れてラッパ状の穴を作った。
【0045】
(2)穴の中に一定の酒液が出てきたら、かめごとに麦麹2.5kgを加え、次に水150kgを加えてよく混ぜた。
【0046】
(3)アルコール発酵過程において、定期的に撹拌し、温度を30℃程度に制御し、約5~7d発酵させると終了した。
【0047】
(4)上記ステップ(3)の400kgのかめのうち3個のそれぞれに酒もろみ200kgを加え、本発明の複合菌剤I(ラクトバチルス・ヘルヴェティクスCGMCC12225 10部、ラクトバチルス・ファーメンタムCGMCC12226 5部、ラクトバチルス・アセトトレランス菌CGMCC16938 5部、バチルス・ソノレンシ菌CGMCC15824 3部、バチルス・コアグランスCGMCC17801 2部、耐酸性中温α-アミラーゼ5部、プルラナーゼ1部、グルコアミラーゼ2部、セルラーゼ3部、及び酸性プロテアーゼ1部)を、酒もろみの質量の0.1‰(w/w)の添加量で加え、よく混ぜた後、ふすま80kg、米ぬか45kgを加え、酒もろみと穀物を均一に混合した(酢醪)。種醪26kgを酢醪の上部に取り、本発明の複合菌剤II(アセトバクター・パスツリアヌス CGMCC17802 35部、かめごとにグルコナセトバクター・ユーロペウスCGMCC16345 2部、及びグルコース40部)を、酒もろみの質量の0.05‰(w/w)の添加量で加え、種醪に均一に混ぜて米ぬかをかけて保温した。
【0048】
(5)鎮江香酢の醸造プロセスに従って層ごとに切り返し、総酸がこれ以上増加しなくなるまで発酵させると、発酵を終了した。塩を加えて醪を15d密閉し、炒めた米を加えて酢を抽出した。酢を煎じ、熟成し、殺菌して充填すれば、完成品が得られた。
【0049】
2、比較試験
(1)対照群1
上記ステップ(3)の400kgのかめのうち3個のそれぞれに酒もろみ200kg、ふすま80kg、米ぬか45kgを加え、酒もろみと穀物を均一に混合した(酢醪)。種醪26kgを酢醪の上部に取り、米ぬかを被せて保温し、次のステップは上記のステップ(5)と同じであった。
【0050】
(2)対照群2
上記ステップ(3)の400kgのかめのうち3個のそれぞれに酒もろみ200kg、ふすま80kg、米ぬか45kgを加え、酒もろみと穀物を均一に混合した(酢醪)。種醪26kgを酢醪の上部に取り、かめごとに市販の光明牌醸造酢酢酸菌剤を種醪に均一に混ぜた後、米ぬかを被せて保温し、添加量は酒もろみの質量の0.3‰(w/w)とし、次のステップは上記のステップ(5)と同じであった。
【0051】
【表2】
【0052】
対照群1と比較して、本発明の二元複合発酵剤を用いて強化した試験群は、発酵時間が19dから13dに6d短縮され、醪密閉が終了した後、基材醪中、総酸含有量は11.80%、不揮発性酸含有量は27.36%、アミノ酸態窒素含有量は85.71%、総エステル含有量は91.25%向上し、製品の収率は14.15%向上し、得られた製品は、香りがよりはっきりし、口当たりの柔らかさがより強く、感官スコアがより高かった。
【0053】
対照群2と比較して、本発明の二元複合発酵剤を用いて強化した試験群は、発酵時間が18dから13dに5d短縮され、醪密閉が終了した後、基材醪中、総酸含有量は8.52%、不揮発性酸含有量は18.52%、アミノ酸態窒素含有量は69.57%、総エステル含有量は84.25%向上し、製品の収率は10.03%向上し、得られた製品は、香りがはっきりし、口当たりが柔らかで、感官スコアが高かった。
【0054】
実施例4:山西老陳酢の醸造における使用
本実施例は、従来の種子醪及び播種方式を用いずに、本発明の複合発酵剤のみを山西老陳酢の醸造に適用することを提供する。
【0055】
1、試験群
(1)コウリャンを5~10部分に粉砕した後、ぬるま湯を加え、1~2h煮込んだ後、コウリャン100kg当たり62.5kgの大麹粉を加えて均一に混合した。
【0056】
(2)上記原料を6つのかめに入れてアルコール発酵を行い、かめに入れた初期温度を約25℃とし、後期では18~25℃に保持した。最初の4日間は開放発酵し、後の8日間は密閉発酵し、約12~15日間で終了した。
【0057】
(3)上記ステップ(2)の400kgのかめのうち3個のそれぞれに酒もろみ200kgを加え、本発明の複合菌剤I(ラクトバチルス・ヘルヴェティクスCGMCC12225 20部、ラクトバチルス・ファーメンタムCGMCC12226 8部、ラクトバチルス・ファーメンタムCGMCC16938 15部、ラクトバチルス・ソノレンシCGMCC15824 7部、ラクトバチルス・コアグランスCGMCC17801 6部、耐酸性中温α-アミラーゼ10部、プルラナーゼ1.5部、グルコアミラーゼ3部、セルラーゼ6部、及び酸性プロテアーゼ2部)を、酒もろみの質量の0.15‰(w/w)の添加量で加え、よく混ぜた後、ふすま90kg、穀糠100kgを加え、酒もろみと穀物を均一に混合した。本発明の複合菌剤II(アセトバクター・パスツリアヌスCGMCC17802 40部、グルコナセトバクター・ユーロペウスCGMCC16345 8部、及びグルコース45部)を、酒もろみの質量の0.1‰(w/w)の添加量で加え、30℃の酒もろみ約2000gを小桶に加えてよく混ぜた後、それぞれのかめ内の酢醪の上部に散布してよく混ぜ、山西老陳酢のプロセスに従って醪を切り返した。
【0058】
(4)総酸がこれ以上増加しなくなるまで酢醪を発酵させると、発酵を終了した。塩を加えて醪を10d密閉し、その後、燻製、酢抽出をして、最後に酢を煎じ、熟成し、殺菌して充填すれば、完成品が得られた。
【0059】
2、比較試験
(1)対照群
上記ステップ(2)の400kgのかめのうち3個のそれぞれに酒もろみ200kg、ふすま90kg、穀糠100kgを加え、酒もろみと穀粒を均一に混合した。市販の光明牌醸造酢酢酸菌剤40gを、酒もろみの質量の0.5‰(w/w)の添加量で加え、30℃の酒もろみ約2000gを小桶に加えてよく混ぜた後、それぞれのかめ内の酢醪の上部に散布してよく混ぜ、山西老陳酢のプロセスに従って切り返しを行い、次のステップは上記のステップ(4)と同じであった。
【0060】
【表3】
【0061】
対照群と比較して、本発明の二元複合発酵剤を用いて強化した試験群は、発酵時間が9dから7dに2d短縮され、燻製終了後、酢醪中、総酸含有量は18.26%、不揮発酸含有量は59.18%、アミノ酸態窒素含有量は94.44%、総エステル含有量は45.48%向上し、製品の収率は19.35%向上し、得られた製品は、風味が豊富で、口当たりが柔らかでリッチであり、官能スコアが高かった。
【0062】
実施例5:米酢の醸造における使用
本実施例は、米酢の醸造における本発明の二元複合発酵剤の使用を提供する。
【0063】
1、試験群
(1)粒がリッチでいて、かびのないもち米を選んで、ほこりを除去した後、粉砕機でもち米を粉砕して70~80メッシュの微粉末にした。粉砕したもち米粉と水とを、もち米粉:水=1:5(w/w)の割合で糊化槽に入れた。高温α-アミラーゼ2.5万U/mlをもち米1トン当たり0.4~0.5L加えた。同時に90~95℃に昇温し、30~40min保温した。
【0064】
(2)もろみをスクリュー冷却器で55~60℃に降温しながら糖化槽に移した。グルコアミラーゼ10万U/gを、もち米1トン当たり40~50gで加えた。温度を55~60℃に制御し、30~60min保温した。保温終了後、スクリュー式冷却器を用いて25~35℃に降温しながら、アルコール発酵槽に移した。
【0065】
(3)サッカロミセス・セレビシエ(CICCから購入、菌株番号CICC1001)を5%(v/v)接種量で添加した。温度を25~35℃に制御し、アルコール度数5%vol程度に発酵させた。次に、本発明の複合菌剤I(ラクトバチルス・ヘルヴェティクスCGMCC12225 20部、ラクトバチルス・ファーメンタムCGMCC12226 10部、ラクトバチルス・アセトトレランスCGMCC16938 9部、ラクトバチルス・ソノレンシCGMCC15824 5部、ラクトバチルス・コアグランスCGMCC17801 6部、耐酸性中温α-アミラーゼ8部、プルラナーゼ3部、グルコアミラーゼ5部、セルラーゼ6部、及び酸性プロテアーゼ2部)を、酒もろみ量の0.2‰(w/w)の添加量で加え、アルコール度8%volまで発酵を続けた。
【0066】
(4)上記ステップ(3)の500L発酵槽を1つ選び、フィルタープレスで濾過した清澄酒液200Lを加え、本発明の複合菌剤II(アセトバクター・パスツリアヌスPGMCC17802 35部、グルコナセトバクター・ユーロペウスCGMCC16345 10部、及びグルコース55部)を、酒もろみの質量の0.15‰(w/w)の添加量で加え、通気量0.3~0.4vvm、撹拌速度250r/minに調整して酢酸発酵を行った。
【0067】
(5)発酵が終了した酢液を0.01μmセラミック膜でろ過した後、酸度を調整し、充填すれば、完成品が得られた。
【0068】
2、比較試験
(1)対照群
上記ステップ(3)の500L発酵槽を1つ選び、フィルタープレスで濾過した清澄酒液200Lを加え、市販の光明板醸造酢酢酸菌剤を、酒もろみの質量の0.7‰(w/w)の添加量で加え、通気量0.3~0.4vvm、撹拌速度250r/minに調整して酢酸発酵を行い、次のステップは上記ステップ(5)と同じであった。
【0069】
【表4】
【0070】
対照群と比較して、試験群は、開始速度が速く、発酵周期が23.75%短縮され、総酸含有量は11.52%、不揮発酸含有量は12.5倍以上、総エステル含有量は14倍以上向上した。試験群で製造したリンゴ酢は、刺激性が著しく低下し、口当たりが柔らかく、顕著な総合的な香りがあり、品質が著しく向上した。
【0071】
実施例6:リンゴ酢の醸造における使用
本実施例は、リンゴ酢の醸造における本発明の複合発酵剤の使用を提供する。
【0072】
1、試験群
(1)2つの500L発酵槽に、糖含有量16~18%(w/w)、pH4.5~5.0に調整したリンゴジュースをそれぞれ200L添加し、酵母菌(CICCから購入、菌株寄託番号CICC1001)を5%(v/v)で接種し、28~30℃でアルコール度約4%volまで発酵させた。
【0073】
(2)上記ステップ(1)の発酵槽を1つ選び、本発明の複合菌剤I(ラクトバチルス・ヘルヴェティクスCGMCC12225 15部、ラクトバチルス・ファーメンタムCGMCC12226 15部、ラクトバチルス・アセトトレランスCGMCC16938 10部、ラクトバチルス・ソノレンシCGMCC15824 3部、ラクトバチルス・コアグランスCGMCC17801 2部、耐酸性中温α-アミラーゼ5部、プルラナーゼ1部、グルコアミラーゼ2部、セルラーゼ8部、及び酸性プロテアーゼ5部)を、酒もろみの質量の0.15‰(w/w)の添加量で加え、発酵槽温度を30℃、圧力を0.05MPa、撹拌速度を60r/minとし、アルコール度約7%volまで発酵させた。
【0074】
(3)発酵槽に本発明の複合菌剤II(アセトバクター・パスツリアヌスCGMCC17802 50部、グルコナセトバクター・ユーロペウスCGMCC16345 8部、及びグルコース45部)を、酒もろみの質量の0.1‰(w/w)の添加量で加えた。
【0075】
(4)発酵が終了した酢液をセラミック膜でろ過した後、酸度を調整し、充填すれば、完成品が得られた。
【0076】
2、比較試験
(1)対照群
上記ステップ(1)の発酵槽を1つ選び、発酵槽の温度を30℃、圧力を0.05Mpa、撹拌速度を60r/minに維持し、アルコール度約7%volまで発酵させ、次に、市販の光明牌醸造酢酢酸菌剤を、酒もろみの質量の0.5‰(w/w)の添加量で加え、通気量を0.3~0.4vvm、撹拌速度を250r/minに調整して酢酸発酵を行い、次のステップは上記ステップ(4)と同じであった。
【0077】
【表5】
【0078】
対照群と比較して、試験群は、開始速度が速く、発酵周期が18.89%短縮され、総酸含有量は14.82%、不揮発酸含有量は10.5倍以上、総エステル含有量は19倍以上向上した。試験群で製造されたリンゴ酢は、刺激性が著しく低下し、口当たりがより柔らかく、顕著な総合的な香りがあり、品質が著しく向上した。
【0079】
実施例7:二元複合発酵剤の処方及び添加方法の比較
本実施例は、本発明の二元複合発酵剤の処方及び添加方法の比較を提供し、さらに、本発明の二元複合発酵剤の処方組成及びその添加方法の使用効果の重要性を説明する。
【0080】
1、試験群
(1)400kgのかめを24個準備し、もち米50kgに水を加えて一晩浸した。もち米を蒸気で蒸し、約40℃になるまで冷水で冷却し、酒薬0.3kgを加え、よく混ぜた後、かめに入れてラッパ状の穴を作った。
【0081】
(2)穴の中に一定の酒液が出たら、かめごとに麦麹2.5kgを加え、次に水150kgを加え、よく混ぜた。
【0082】
(3)アルコール発酵過程において、定期的に撹拌し、温度を30℃程度に制御し、5~7d程度発酵させると終了した。
【0083】
(4)上記ステップ(3)の400kgのかめのうち3個のそれぞれに酒もろみ200kgを加え、本発明の複合菌剤I(ラクトバチルス・ヘルヴェティクスCGMCC12225 25部、ラクトバチルス・ファーメンタムCGMCC12226 15部、ラクトバチルス・アセトトレランスCGMCC16938 20部、バチルス・ソノレンシCGMCC15824 15部、バチルス・コアグランスCGMCC17801 10部、耐酸性中温α-アミラーゼ13部、プルラナーゼ3部、グルコアミラーゼ5部、セルラーゼ9部、及び酸性プロテアーゼ5部)を、酒もろみの質量の0.15‰(w/w)の添加量で加え、よく混ぜた後、ふすま80kg、米ぬか45kgを加え、酒もろみと穀物を均一に混合した(酢醪)。本発明の複合菌剤II(アセトバクター・パスツリアヌスCGMCC17802 55部、グルコナセトバクター・ユーロペウスCGMCC16345 10部、及びグルコースを60部)を、酒もろみの質量の0.1‰(w/w)の添加量で加え、30℃の酒もろみを約1000gを小桶に加えてよく混ぜた後、それぞれのかめ内の酢醪の上部に散布し、手を表面から約10cm深く入れてよく混ぜ、最後に上部に米ぬかを被せて保温した。
【0084】
(5)鎮江香酢の醸造プロセスに従って層ごとに醪を切り返し、総酸がこれ以上増加しなくなるまで酢醪を発酵させると、発酵が終了した。塩を加えて醪を15d密閉し、次に炒めた米を加えて酢を抽出した。酢を煎じ、熟成し、殺菌して充填すれば、完成品が得られた。
【0085】
2、比較試験
(1)対照群A
上記ステップ(3)の400kgのかめのうち3個のそれぞれに酒もろみ200kgを加え、本発明の複合菌剤I(ラクトバチルス・ファーメンタムCGMCC12226 15部、ラクトバチルス・アセトトレランスCGMCC16938 20部、、ラクトバチルス・コアグランスCGMCC17801 10部、耐酸性中温α-アミラーゼ13部、プルラナーゼ3部、グルコアミラーゼ5部、セルラーゼ9部、及び酸性プロテアーゼ5部)を、酒もろみの質量の0.15‰(w/w)の添加量で加え、よく混ぜた後、ふすま80kg、米ぬか45kgを加え、酒もろみと穀物を均一に混合した(酢醪)。本発明の複合菌剤II(アセトバクター・パスツリアヌスCGMCC17802 55部、グルコナセトバクター・ユーロペウスCGMCC16345 10部、及びグルコース60部)を、酒もろみの質量の0.1‰(w/w)の添加量で加え、30℃の酒もろみ約1000gを小桶に加えてよく混ぜた後、それぞれのかめ内の酢醪の上部に散布し、手を表面から約10cm深く入れてよく混ぜ、最後に上部に米ぬかを被せて保温し、次のステップは上記のステップ(5)と同じであった。
【0086】
(2)対照群B
上記ステップ(3)の400kgのかめのうち3個のそれぞれに酒もろみ200kgを加え、本発明の複合菌剤I(ラクトバチルス・ヘルヴェティクスCGMCC122 25部、ラクトバチルス・ファーメンタムCGMCC12226 15部、バチルス・ソノレンシCGMCC15824 15部、耐酸性中温α-アミラーゼ13部、プルラナーゼ3部、グルコアミラーゼ5部、セルラーゼ9部、及び酸性プロテアーゼ5部)を、酒もろみの質量の0.15‰(w/w)の添加量で加え、よく混ぜた後、ふすま80kg、米ぬか45kgを加え、酒もろみと穀物を均一に混合した(酢醪)。本発明の複合菌剤II(アセトバクター・パスツリアヌスCGMCC17802 55部、グルコナセトバクター・ユーロペウスCGMCC16345 10部、及びグルコース60部)を、酒もろみの質量の0.1‰(w/w)の添加量で加え、30℃の酒もろみ約1000gを小桶に加えてよく混ぜた後、それぞれのかめ内の酢醪の上部に散布し、手を表面から約10cm深く入れてよく混ぜ、最後に上部に米ぬかを被せて保温した。
【0087】
(3)対照群C
上記ステップ(3)の400kgのかめのうち3個のそれぞれに酒もろみ200kgを加え、本発明の複合菌剤I(ラクトバチルス・ヘルヴェティクスCGMCC12225 25部、ラクトバチルス・ファーメンタムCGMCC12226 15部、ラクトバチルス・アセトトレランスCGMCC16938 20部、ラクトバチルス・ソノレンシCGMCC15824 15部、ラクトバチルス・コアグランスCGMCC17801 10部、耐酸性中温α-アミラーゼ13部、プルラナーゼ3部、グルコアミラーゼ5部、セルラーゼ9部、及び酸性プロテアーゼ5部)を、酒もろみの質量の0.15‰(w/w)の添加量で加え、よく混ぜた後、ふすま80kg、米ぬか45kgを加え、酒もろみと穀物を均一に混合した(酢醪)。本発明の複合菌剤II(アセトバクター・パスツリアヌスPGMCC17802 55部、及びグルコース60部)を、酒もろみの質量の0.1‰(w/w)の添加量で加え、30℃の酒もろみ約1000gを小桶に加えてよく混ぜた後、それぞれのかめ内の酢醪の上部に散布し、手を表面から約10cm深く入れてよく混ぜ、最後に米ぬかを被せて保温した。次のステップは上記のステップ(5)と同じであった。
【0088】
(4)対照群D
上記のステップ(3)の400kgのかめのうち3個のそれぞれに酒もろみ200kgを加え、本発明の複合菌剤I(ラクトバチルス・ヘルヴェティクスCGMCC12225 25部、ラクトバチルス・ファーメンタムCGMCC12226 15部、ラクトバチルス・アセトトレランスCGMCC16938 20部、バチルス・ソノレンシCGMCC15824 15部、バチルス・コアグランスCGMCC17801 10部、プルラナーゼ3部、セルラーゼ9部、及び酸性プロテアーゼ5部)を、酒もろみの質量の0.15‰(w/w)の添加量で加え、よく混ぜた後、ふすま80kg、米ぬか45kgを加え、酒もろみと穀物を均一に混合した(酢醪)。本発明の複合菌剤II(アセトバクター・パスツリアヌスCGMCC17802 55部、グルコナセトバクター・ユーロペウスCGMCC16345 10部、及びグルコース60部)を、酒もろみの質量の0.1‰(w/w)の添加量で加え、30℃の酒もろみ約1000gを小桶に加えてよく混ぜた後、それぞれのかめ内の酢醪の上部に散布し、手を表面から約10cm深く入れてよく混ぜ、最後に上部に米ぬかを被せて保温し、次のステップは上記ステップ(5)と同じであった。
【0089】
(5)対照群E
上記のステップ(3)の400kgのかめのうち3個のそれぞれに酒もろみ200kgを加え、本発明の複合菌剤I(ラクトバチルス・ヘルヴェティクスCGMCC12225 25部、ラクトバチルス・ファーメンタムCGMCC12226 15部、ラクトバチルス・アセトトレランスCGMCC16938 15部、バチルス・ソノレンシCGMCC15824 15部、バチルス・コアグランスCGMCC17801 10部、耐酸性中温α-アミラーゼ 13部、プルラナーゼ3部、グルコアミラーゼ5部、及び酸性プロテアーゼ5部)を、酒もろみの質量の0.15‰(w/w)の添加量で加え、よく混ぜた後、ふすま80kg、米ぬか45kgを加え、酒もろみと穀物を均一に混合した(酢醪)。本発明の複合菌剤II(アセトバクター・パスツリアヌスCGMCC17802 55部、グルコナセトバクター・ユーロペウスCGMCC16345 10部、及びグルコース60部)を、酒もろみの質量の0.1‰(w/w)の添加量で加え、30℃の酒もろみ約1000gを小桶に加えてよく混ぜた後、それぞれのかめ内の酢醪の上部に散布し、手を表面から約10cm深く入れて混ぜ、最後に上部に米ぬかを被せて保温し、次のステップは上記ステップ(5)と同じであった。
【0090】
(6)対照群1
上記のステップ(3)の400kgのかめのうち3個のそれぞれに酒もろみ200kgを加え、本発明の複合菌剤I(ラクトバチルス・ヘルヴェティクスCGMCC12225 25部、ラクトバチルス・ファーメンタムCGMCC12226 15部、ラクトバチルス・アセトトレランスCGMCC16938 20部、バチルス・ソノレンシCGMCC15824 15部、バチルス・コアグランスCGMCC17801 10部、耐酸性中温α-アミラーゼ13部、プルラナーゼ3部、グルコアミラーゼ5部、セルラーゼ9部、及び酸性プロテアーゼ5部)を、酒もろみの質量の0.15‰(w/w)の添加量で加え、本発明の複合菌剤II(アセトバクター・パスツリアヌスGMCC17802 55部、グルコナセトバクター・ユーロペウスCGMCC16345 10部、及びグルコース60部)を、酒もろみの質量の0.1‰(w/w)の添加量で加え、ふすま80kg、米ぬか45kgを加え、酒もろみと穀物を均一に混合し(酢醪)、最後に上部に米ぬかを被せて保温し、次のステップは上記ステップ(5)と同じであった。
【0091】
(7)対照群2
上記のステップ(3)の400kgのかめのうち3個のそれぞれに酒もろみ200kg、ふすま80kg、米ぬか45kgを加え、酒もろみと穀物を均一に混合した(酢醪)。本発明の複合菌剤I(ラクトバチルス・ヘルヴェティクスCGMCC12225 25部、ラクトバチルス・ファーメンタムCGMCC12226 15部、ラクトバチルス・アセトトレランスCGMCC16938 20部、バチルス・ソノレンシCGMCC15824 15部、バチルス・コアグランスCGMCC17801 10部、耐酸性中温α-アミラーゼ 13部、プルラナーゼ3部、グルコアミラーゼ5部、セルラーゼ9部、及び酸性プロテアーゼ5部)を、酒もろみの質量の0.15‰(w/w)の添加量で加え、また、本発明の複合菌剤II(アセトバクター・パスツリアヌスCGMCC17802 55部、グルコナセトバクター・ユーロペウスCGMCC16345 10部、及びグルコース60部)を、酒もろみの質量の0.1‰(w/w)の添加量で加え、30℃の酒もろみ約1000gを小桶に加えてよく混ぜた後、それぞれのかめ内の酢醪の上部に散布し、手を表面から約10cm深く入れてよく混ぜ、最後に上部に米ぬかを被せて保温した。次のステップは上記のステップ(5)と同じであった。
【0092】
【表6】
【0093】
試験群と比較して、対照群A~E中、総酸、不揮発酸、アミノ酸態窒素及び総エステル指標はいずれも対照群の効果に達しておらず、本発明の二元複合発酵剤処方は良好な効果を確保する上で重要な役割を果たしていることを示している。
【0094】
試験群と比較して、対照群1は、昇温速度が遅く、初めて温度が40℃以上に達する時間は20hから103hまで83h延長し、発酵時間は15dから21dに6d延長した。対照群2では、不揮発性酸含有量は著しく低下し、総エステル含有量は著しく低下した。
【0095】
本発明の二元複合発酵剤の配合組成及びその添加方法は、顕著な使用効果を達成させるのに重要な影響を与える。
図1
【配列表】
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