(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-14
(45)【発行日】2022-10-24
(54)【発明の名称】プレス用金型
(51)【国際特許分類】
B21D 37/00 20060101AFI20221017BHJP
【FI】
B21D37/00 Z
(21)【出願番号】P 2022050435
(22)【出願日】2022-03-25
【審査請求日】2022-03-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591214527
【氏名又は名称】株式会社ジーテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 宗
(72)【発明者】
【氏名】高橋 良裕
(72)【発明者】
【氏名】小柳 宗一郎
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-023960(JP,A)
【文献】実公昭58-053143(JP,Y2)
【文献】特開2002-224764(JP,A)
【文献】特開2009-285697(JP,A)
【文献】特開2009-279613(JP,A)
【文献】特開2017-228376(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 37/00 - 37/01
B21D 22/20 - 24/00
B21D 37/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形荷重が作用する成形面を形成する成形部と、この成形部の背側に連続して
設けられた前記成形部を支持する支持部と
を有し、
前記支持部は、周囲の枠部と、前記成形部の領域内方にあって前記成形部の成形面と直交するリブとを有し、
前記成形部と前記枠部と前記リブとで囲まれる複数の凹部が形成され、
前記凹部の形状に対応した形状に加工した袋状の可撓性の内枠材が前記凹部内に挿入されており、
前記内枠材には注入口が形成され、この注入口を通して注入される液体が前記内枠材内に充填されており、
前記注入口は栓体によって封止され、前記凹部が液体の密閉室として構成されている、
ことを特徴とするプレス用金型。
【請求項2】
前記収容室における、隣接する収容室間のリブに連通孔が形成され、隣接する
凹部が連通して
おり、
前記凹部全体に行き渡って前記内枠材が挿入されている請求項1記載のプレス用金型。
【請求項3】
前記複数の凹部を共通に覆う裏面側蓋体が設けられている請求項1記載のプレス用金型。
【請求項4】
前記液体はダイラタント流体である請求項1~4のいずれか1項に記載のプレス用金型。
【請求項5】
前記成形部と前記枠部と前記リブとで囲まれる複数の凹部を構成する隔壁の平面視形状がハニカム形状のセグメントを有する請求項1~5のいずれか1項に記載のプレス用金型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレス用金型に関する。
【背景技術】
【0002】
金属板材のプレス成型は、生産性が高く、寸法精度に優れ、製品間の強度ばらつきが少なく品質が安定していることから、自動車、機械、電気機器、輸送用機器等の製造に広く用いられている最も一般的な加工方法である。
【0003】
しかるに、特に自動車部品には軽量化等の観点から高強度化が求められており、その高強度化の要請による被難加工材、例えば高張力鋼板の使用のためにプレス加工性が難しくなる傾向にある。
【0004】
プレス成型機は、固定の下金型と、これに対向する、プレス機により上下動する上金型とを有する。
上金型にはプレス加工性の観点から特に高い剛性が求められるために、従来は、成形部のみならず、背面に至る全体が無垢のブロック状のものであった(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、無垢の上金型であると、重量的に重いので、プレス機の上下動機構などに負担がかかり、高速での成型が困難となり、生産性を阻害するばかりでなく、環境負荷が大きくなる要因となる。
【0007】
したがって、本出願人は軽量化と剛性の担保との両立、並びに経済的なものとするために、成形部の背後はリブ構造とすることが望ましいと判断し、種々、検討及び実験を繰り返してきた。
【0008】
しかしながら、金型を鋳物で形成すると、実稼働時に、過大な荷重、例えばプレス曲げ度合いが大きい加工の場合には、結果的に剛性が不足することがある。このために、リブの肉厚を増す、リブの配置を変更するなどのために金型を作り替える必要が生じる。かかる事態となると、金型コストが増大し、不稼働時間を招くことになる問題を生じる。
【0009】
そこで本発明の主たる課題は、軽量化を図ることができるとともに、十分な剛性を有するプレス用金型を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決した金型の態様を次のとおりである。
成形荷重が作用する成形面を形成する成形部と、この成形部の背側に連続して設けられた前記成形部を支持する支持部とを有し、
前記支持部は、周囲の枠部と、前記成形部の領域内方にあって前記成形部の成形面と直交するリブとを有し、
前記成形部と前記枠部と前記リブとで囲まれる複数の凹部が形成され、
前記凹部の形状に対応した形状に加工した袋状の可撓性の内枠材が前記凹部内に挿入されており、
前記内枠材には注入口が形成され、この注入口を通して注入される液体が前記内枠材内に充填されており、
前記注入口は栓体によって封止され、前記凹部が液体の密閉室として構成されている、
ことを特徴とするプレス用金型。
【0011】
この態様によれば、成形部に作用する成形荷重の反力を、成形部の背側のリブ、あるいはリブ及び枠部を含む支持部によって支持できる。また、成形方向と交差する方向に作用する変形荷重を前記リブ及び枠部で支持できる。よって、無垢のブロック状のものでなくとも、必要十分な耐荷重剛性を担保できる。
また、リブを形成したので、軽量化を図ることができる。
要すれば、リブと枠部を含む支持部により。軽量でありながら剛性を有する金型を提供することができる。
【0012】
しかしながら例えば高張力に対しては剛性が十分でない。そこで具体的な態様として、成形部と枠部とリブとで囲まれる複数の凹部は液体の密閉室を構成するようにした。凹部内に液体を収容又は(加圧)充填して液体の密閉室を構成すると、成形荷重の反力がリブに作用したとき、そのリブの変形を液体が支えるようになり、液体をリブの(例えばその座屈に対する)補強材料として利用できる。その結果、リブの厚みの選択範囲が広いものとなる。
そして、例えば実稼働時に当該リブの厚みでは剛性が足りない場合には、凹部内に液体を収容又は充填し、剛性が足りる場合には、液体の収容又は充填を行うことなくその当該リブの厚みのままで金型を使用することができる。
よって、例えば実稼働時に当該リブの厚みでは剛性が足りないことが判明した場合であっても、リブの肉厚を増して金型を作り替える必要がなくなる。その結果、金型コストの増大、不稼働時間を招く問題を解消できる。
他方で、鉄の比重は7.1~7.85であるところ、液体の比重は鉄の比重よりはるかに小さいものであるから、軽量化の要請には十分に対応できることになる。
【0013】
【0014】
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、軽量化を図ることができるとともに、十分な剛性を有する金型を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】プレス用金型の上金型例の横断面(
図4の1-1線矢視図)であり、(a)は液体未充填状態、(b)は液体充填状態を示す。
【
図6】他の平面視形状のセグメントを有する金型例の平面図である。
【
図7】ハニカム形状のセグメントを有する金型例の斜視図である。
【
図9】組み合わせセグメントを有する金型例の平面図である。
【
図10】
図1の例の変形例を示す上金型例の横断面である。
【
図11】さらに他の例を示す上金型例の横断面である。
【
図12】別の変形例を示す上金型例の横断面である。
【
図13】プレス機への上金型の固定態様例を示ものであり、(a)は部分的な立面図であり、(b)は金型の概要平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながらプレス用金型についての実施の態様を説明する。
【0018】
プレス用金型は、高さ方向下方に設けられた下金型と、上方に設けられた上金型と、この上金型を上下動させるプレス機構とを備えるプレス機に使用する金型である。
【0019】
図1に第1態様に係るプレス用(上)金型1を示した。この金型1は、成形面を形成する成形部10と、この成形部10の背側に設けられ、成形部10を支持する支持部20とを有している。
支持部20は、周囲の枠部21と、成形部10の領域内方にあって成形部10と交差するリブ22とを有している。
【0020】
さらにリブ22を隔壁として、又はリブ22と枠部21とを壁として囲まれた、収容室30が形成され、この収容室30はこれに収容される液体31の密閉室を構成することが可能である。
【0021】
収容室30は、鋳造品と適宜形状に形成した内枠材23の組み合わせにより、密閉室を構成するようにしてある。また、
図1の第1態様においては、リブ22を横切る連通孔22aが形成され、注入口23aから注入した液体31が隣室まで行き渡るようにしてある。
図1の態様では、連通孔22aの部分にも内枠材23を設けてあるが、内枠材23を使用しなくてもよい。
【0022】
金型1は、例えば好適には成形部10と枠部11及びリブ22を含む支持部20とを連続した一体物として鋳造により製造する。
その後に、成形部10と枠部11及びリブ22とで囲まれる凹部内に、あるいは成形部10とリブ22とで囲まれる凹部内に、収容室30の形状に対応した形状に加工しておいた内枠材23を挿入する。
凹部の開口は栓体32により封止できる。
【0023】
成形部10には、例えば大きな変形荷重が作用する部位に、必要により別体の高強度のダイインサートブロック11A、11Bを設けることができる。
そして、例えば大きな変形荷重が作用する部位に、あるいはダイインサートブロック11Bを設けた位置とリブ22の位置とをほぼ同じとして形成することは特に好ましい態様である。
【0024】
かかる金型1においては、収容室30内に、例えば内枠材23の注入口23aから液体31を注入する。注入した液体31は連通孔22aを通して他の収容室30内にも充填されるようになる。
液体31の充填が完了したならば、例えば頭部の下面にシール材(符号を省略)を有する栓体32によって注入口23aを封止できる。
【0025】
この態様によれば、成形部10に作用する成形荷重の反力を、成形部の背側のリブ22、あるいはリブ22及び枠部21を含む支持部20によって支持できる。また、成形方向と交差する方向に作用する変形荷重を前記リブ22及び枠部21で支持できる。よって、無垢のブロック状のものでなくとも、必要十分な耐荷重剛性を担保できる。
さらに、リブ22を形成したので、軽量化した金型1を得ることができる。
要すれば、リブ22と枠部21を含む支持部により軽量でありながら剛性を有する金型1を提供することができる。
【0026】
実施の形態では、リブ22を隔壁とする収容室30は液体の密閉室となるように構成した。収容室30内に液体31を収容又は充填し(
図2参照)、液体31の密閉室を構成すると、成形荷重の反力がリブ22に作用したとき、そのリブ22の変形を液体31が、リブ22の両壁面側から支えるようになり、液体31をリブの(例えばその座屈に対する)補強材料として利用できる。その結果、リブ22の厚みの選択範囲が広いものとなり、軽量化できる。
そして、例えば実稼働時に当該リブの厚みでは剛性が足りない場合には、収容室30内を液体31で収容又は充填し、剛性が足りる場合には、液体31の収容又は充填を行うことなくその当該リブの厚みのままで金型1を使用することができる。
よって、例えば実稼働時に当該リブの厚みでは剛性が足りないことが判明した場合であっても、リブの肉厚を増す、リブの配置を変更するなどのために金型1を作り替える必要がなくなる。金型コストの増大、不稼働時間を招く問題を解消できる。
他方で、液体の比重は鉄の比重よりはるかに小さいものであるから、軽量化の要請には十分に対応できることになる。
【0027】
ここで使用する液体31は、気体とは異なり、圧縮性が小さく、ほぼ一定の密度を保つ。常温常圧で流動性を示すものが望ましい。
液体の形態としては、水、油類、有機材料などの純物質のほか、各種物質の水溶液 、複数の物質の混合物、ソースやマヨネーズのようなエマルジョン、懸濁液、塗料や乳のようなコロイドなどの形態であってもよい。
また、収容室への収容又は充填段階では流動性を示し、収容室内への収容又は充填後は流動性が低下する、あるいは固体のような挙動を示す液体であってもよい。この例として、溶融して流動化させた熱可塑性樹脂、発泡性樹脂の未発泡の流動性樹脂などを挙げることができ、これらは収容室内に充填させた後に、室温に温度降下して固体のような挙動を示す、発泡によって固体のような挙動を示す。
他方、特に好ましいは、ダイラタント流体である。ダイラタント流体は、遅いせん断刺激には液体のように振る舞い、より速いせん断刺激に対してはあたかも固体のような抵抗力を発揮する性質である。ある種の粉粒体と液体の混合物であり、身近な具体例としては、片栗粉やコーンスターチ澱粉を水で溶いた液体である。
【0028】
速いせん断刺激に対してはあたかも固体のような抵抗力を発揮する性質を示すダイラタント流体が、収容室30に充填されていると、特にプレス成形の下死点の近くの時点において、リブ22を変形させようとする作用する力に対して抵抗するようになる。その結果、リブ22の変形が生じることはない又は抑制できる。
なお、ダイラタント流体でなくとも、液体の充填によってリブ22の変形防止効果は十分にあることは確認している。
【0029】
上記態様に対して、必要により、
図2に示すように、注入口23aを形成し、液体31が全収容室30内に容易に充填する。隅の収容室30を含む全収容室30内に対して液体の加圧充填を容易に行うことができる。
【0030】
必要により、
図2に示すように、排出口23cを形成し、液体31が全収容室30内に容易に充填できるようになる態様を提供することができる。
【0031】
上記例においては、一個所から注入した液体を全収容室30内に充填する、望ましくは加圧充填するものであるが、
図3に示すように、収容室30ごと、あるいは複数の収容室30単位で液体を充填することができる。
【0032】
一方、金型1を鋳造により、さらに好適には成形部10と枠部11及びリブ22を含む支持部20とを一体で鋳造により製造することができることは既述のとおりである。
この鋳造により、成形部10と枠部11及びリブ22とで囲まれる凹部に対して、内枠材23を介して、例えば鋼製の裏面側蓋板24を設け、これを例えば支持部20と連結すれば、金型1全体の剛性がより高まる利点がある。
【0033】
上記例においては、支持部20に対して内枠材23を設けて、内枠材23の内部を収容室30として形成した。この場合の内枠材23の材料としては可撓性を有するものとすることができる。
可撓性の内枠材23を設け、枠部21に開口を有する場合には、
図11に示すように、内枠材23の変形を防止するために、開口を塞ぐ例えば金属製の剛性のある保持プレート25を設けることができる。
一方、内枠材23を設けることなく、支持部20内に収容室30を形成することもできる。例えば
図10に示すものは、
図1に示す例の変形例であり、内枠材23を設けることなく、支持部20内に複数の収容室30を形成し、裏面側には裏面側蓋板24を設け、これを支持部20と連結し、液体の収容(充填)に際しては裏面側蓋板24に予め形成した開口を通して行い、液体の収容(充填)後には栓体32により封止できる。
裏面側蓋板24は剛性があるのが必要であるので、その厚みは15~25mm程度が望ましい。
【0034】
前記成形部10は、ほぼ同一の肉厚とすることにより、鋳造成形が容易となる。そして先に述べたように、例えば大きな変形荷重が作用する部位には、必要により別体の高強度のダイインサートブロック11A、11Bを設けて肉厚を高める態様によれば、耐成形加重が高まる。ダイインサートブロック11A、11Bが脱着自在であると、メンテナンス性が向上する。
【0035】
収容室30の形状としては適宜選択できる。また、
図5に示すように、内枠材23X単位で収容室30を構成することができる。この場合、形状又は大きさの異なる内枠材23Xを標準化して予め用意しておけば、異なる金型に、例えば鋳造金型の凹部に内枠材23Xを挿入することにより、容易かつ速やかに収容室をもった金型を製造できる。
ここで、仮に少なくとも一つの内枠材が標準化されておらず他の標準化された容積よりも小さい場合には。対応する収容室内で隙間が生じてしまうことがあるが、鋼材やプラスチック等の適宜の素材で隙間を充填することができる。
【0036】
また、
図12に示すように、内枠材として栓体23y付きの可撓性のある袋状の内枠材23Yを使用することもできる。この内枠材23Yの使用に際しては、内枠材23Y内に液体を充填しておき、これを収容室30内に装入し、望ましくは鋼製の裏面側蓋板24で覆い、その蓋板24を金型1の本体に例えばボルト固定することができる。このとき、栓体23y周辺部が変形するので、収容室30内全体に適確に装入できる。そして、蓋板24を金型1の本体に例えばボルト固定することなどにより、収容室30内を密閉室とすることができる。
【0037】
上記
図1~
図3、及び
図10例の液体充填用の栓体32は、金型の背面側に突出する。この突出量が19~29mm程度であれば、プレス機のいわゆるTスロット溝に挿入することができ、背面側への突出が問題となることはない。
例えば
図2の金型1であれば、
図13に示すように、栓体32の頭部をプレス機40のTスロット溝41内に挿入できる。
そして、金型1のプレス機40への固定に際しては、裏面側蓋板24の周囲部分に予め形成しておいたU字状切欠部24uに、Tスロットボルト42を挿通し、その先端を、予めTスロット溝41内に挿入しておいたTスロットナット43に螺合し、他端部をワッシャ付きナット(図示せず)で締結することにより、プレス機40に固定できる。
【0038】
他方で、成形部10に作用する成形荷重の反力を支持する、成形部10に交差して連続して形成されるリブ22は、特に成形荷重が高く作用する部位に対応して形成するのが望ましい。このリブについて、金型の平面視で種々の形状に組み上げることができる。
好適な例は、成形部10を共通の壁とし、リブ22によって囲まれた空間、あるいはリブ22と枠部21とによって囲まれた空間、を画成する隔壁の組み合わせによるセグメントが、複数(又は多数)形成されている例である。
【0039】
かかるセグメントが形成された例として示した、
図1及び
図4の例は平面視で四角形の例である。ここでその他の例示を行っておく。
【0040】
図6の例では、平面視で三角形の例である。このように平面視形状に限定はなく例えば収容室が円又は楕円などでもよい(図示せず)。この場合、円状の収容室が形成されるように分散配置し、隣接する収容室間は隔壁のリブとすることができる。
【0041】
特に好適な、すなわち縦荷重に対する剛性がきわめて高いセグメントの平面視形状はハニカム(六角形)である。この例を
図7に示した。
【0042】
図1を参照しながら先に、プレス成型時の曲げ荷重が集中的に作用する位置(
図1の右側の収容室30、30を仕切る隔壁として)にリブ22を形成することが望ましいことを説明した。
セグメントの平面視形状がハニカムである場合においても、例えば
図8に示すように、プレス成型時の曲げ荷重が集中的に作用するインサートブロック11Bの配置位置に対応して通しのリブ22Xを形成することが金型の強度を高めるために望ましい。
【0043】
他方、セグメントの平面視形状が異なる、複数のセグメントを組み合わせで形成したものでもよい。例えば
図9は、四角形とハニカムセグメントとの組み合わせによるものである。
上記説明において上金型に対応する下金型については説明を省略したが、かかる下金型についても上金型と同様の構造を採ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、冷間加工用のプレスのほか、ホットスタンプ用のプレス機における金型についても適用できる。本発明が対象とする金型としては、特に耐荷重性が要求される上金型が望ましいが、下金型であってもよい。
【符号の説明】
【0045】
1…金型、10…成形部、20…支持部、21…枠部、22…リブ、22a…連通孔、22X…通しリブ、23…内枠体、23a…注入口、23c…排出口、24…蓋板、30…収容室、31…液体、32…栓体。
【要約】
【課題】軽量化を図ることができるとともに、十分な剛性を有する金型を提供する
【解決手段】上記課題は、成形荷重が作用する成形面を形成する成形部10と、この成形部10の背側に連続して設けられ、前記成形部10を支持する支持部20と、複数の収容室30、30とを有し、前記支持部20は、周囲の枠部21と、前記成形部10の領域内方にあって前記成形部の成形面と直交するリブ22とを有し、前記収容室の隣接する収容室30、30は前記リブ22を隔壁として区分され、前記収容室30は、これに収容される液体の密閉室を構成する、ことで解決できる。
【選択図】
図1