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特許7159513アイコン配置システム、アイコン配置方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-14
(45)【発行日】2022-10-24
(54)【発明の名称】アイコン配置システム、アイコン配置方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/13 20200101AFI20221017BHJP
【FI】
G06F30/13
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022549285
(86)(22)【出願日】2022-05-09
(86)【国際出願番号】 JP2022019663
【審査請求日】2022-08-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514311678
【氏名又は名称】スパイダープラス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【弁理士】
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】駒井 隆也
【審査官】伊知地 和之
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-518038(JP,A)
【文献】特開平11-259547(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0121571(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00 - 30/398
G06T 7/00 - 7/90
G16H 30/00 - 30/40
CSDB(日本国特許庁)
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物構造図の伏図にアイコンを配置するアイコン配置システムであって、
前記伏図に付された符号に対応付けられた第1アイコンが予め配置されたアノテーションデータを取得する取得部と、
取得した前記アノテーションデータを教師データとして、前記伏図と前記第1アイコンとを対応付けて学習する学習部と、
学習結果に基づいて、学習済モデルを生成するモデル生成部と、
新たな伏図に対して、生成した前記学習済モデルに基づいた第2アイコンを配置する配置部と、
を備えるアイコン配置システム。
【請求項2】
前記符号は、所定の文字列である、
請求項1に記載のアイコン配置システム。
【請求項3】
前記符号は、建物の構造部材を示すものである、
請求項1に記載のアイコン配置システム。
【請求項4】
前記学習部は、前記第2アイコンが配置された新たな伏図を新たな教師データとして、前記新たな伏図と、前記第2アイコンとを対応付けて再学習する、
請求項1に記載のアイコン配置システム。
【請求項5】
前記配置部は、前記第2アイコンの注目度を変更して配置する、
請求項1に記載のアイコン配置システム。
【請求項6】
前記第2アイコンに、メタデータを付与する付与部と、
を更に備える請求項1に記載のアイコン配置システム。
【請求項7】
前記配置部は、配置した前記第2アイコンを、前記伏図上の該当部位がわかるように引出線を伸ばしながら移動可能に配置する、
請求項1に記載のアイコン配置システム。
【請求項8】
建物構造図の伏図にアイコンを配置するコンピュータが実行するアイコン配置方法であって、
前記伏図に付された符号に対応付けられた第1アイコンが予め配置されたアノテーションデータを取得するステップと、
取得した前記アノテーションデータを教師データとして、前記伏図と前記第1アイコンとを対応付けて学習するステップと、
学習結果に基づいて、学習済モデルを生成するステップと、
新たな伏図に対して、生成した前記学習済モデルに基づいた第2アイコンを配置するステップと、
を備えるアイコン配置方法。
【請求項9】
建物構造図の伏図にアイコンを配置するコンピュータに、
前記伏図に付された符号に対応付けられた第1アイコンが予め配置されたアノテーションデータを取得するステップ、
取得した前記アノテーションデータを教師データとして、前記伏図と前記第1アイコンとを対応付けて学習するステップ、
学習結果に基づいて、学習済モデルを生成するステップ、
新たな伏図に対して、生成した前記学習済モデルに基づいた第2アイコンを配置するステップ、
を実行させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物構造図の伏図に対するアイコンの配置に有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建物構造のデータ化を中心としたICT(Information and Communication Technology)化が注目されている。
例えば、特許文献1では、一の建築物に対して作成される建物構造図をパーツとして構成し、作図に不慣れな者でも平面図、基礎伏図、土台伏図、床伏図等を矛盾なく作成することができる建物構造図作成システムが開示されている。
また、他には、特許文献2では、施主が住宅の建物構造図を閲覧する端末に、3次元仮想空間で内部を表示し、視点位置や視線方向を施主の端末で切り替えて表示することが可能な住宅設計システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-206017号公報
【文献】特開2020-086809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
建物構造図は、多くの伏図とその詳細図(豆図等)を必要とするが、この伏図と詳細図とにアイコン等を配置する対応付けが必要となる。この対応付けは、手動で、伏図のデータと詳細図のデータとを対応付けることにより行われており、非効率的であった。
そのため、自動で建物構造図における伏図のデータと詳細図のデータとの対応付けを行う技術が求められている。
しかしながら、特許文献1及び2に記載されたシステムでは、自動で建物構造図における伏図のデータと詳細図のデータとの対応付けを行うことが出来なかった。
そこで、本発明者は、自動で建物構造図における伏図のデータと詳細図のデータとの対応付けを行う仕組みに着目した。
【0005】
本発明は、自動で建物構造図における伏図のデータにアイコンを配置する対応付けを行うことにより、作業効率の向上を図ることを可能にするアイコン配置システム、アイコン配置方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、建物構造図の伏図にアイコンを配置するアイコン配置システムであって、
前記伏図に付された符号に対応付けられた第1アイコンが予め配置されたアノテーションデータを取得する取得部と、
取得した前記アノテーションデータを教師データとして、前記伏図と前記第1アイコンとを対応付けて学習する学習部と、
学習結果に基づいて、学習済モデルを生成するモデル生成部と、
新たな伏図に対して、生成した前記学習済モデルに基づいた第2アイコンを配置する配置部と、
を備えるアイコン配置システムを提供する。
【0007】
本発明によれば、建物構造図の伏図にアイコンを配置するアイコン配置システムは、前記伏図に付された符号に対応付けられた第1アイコンが予め配置されたアノテーションデータを取得し、取得した前記アノテーションデータを教師データとして、前記伏図と前記第1アイコンとを対応付けて学習し、学習結果に基づいて、学習済モデルを生成し、新たな伏図に対して、生成した前記学習済モデルに基づいた第2アイコンを配置する。
【0008】
本発明は、システムのカテゴリであるが、方法及びプログラムであっても同様の作用、効果を奏する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、作業効率の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】アイコン配置システム1の概要を説明する図である。
図2】アイコン配置システム1の機能構成を示す図である。
図3】アイコン配置システム1が実行する学習処理のフローチャートを示す図である。
図4】学習用端末20が第1アイコンを配置した伏図の一例を模式的に示した図である。
図5】アイコン配置システム1が実行する配置処理のフローチャートを示す図である。
図6】コンピュータ10が第2アイコンを配置した伏図の一例を模式的に示した図である。
図7】アイコン配置システム1が実行する再学習処理のフローチャートを示す図である。
図8】アイコン配置システム1が実行する変更処理のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。以降の図においては、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号又は符号を付している。
【0012】
[アイコン配置システム1の概要]
図1は、アイコン配置システム1の概要を説明するための模式図である。
アイコン配置システム1は、サーバ機能を有するコンピュータ10が、建物構造図の伏図にアイコンを配置する処理を実現する。
【0013】
アイコン配置システム1を構成する端末及び装置について説明する。
アイコン配置システム1は、少なくともサーバ機能を有するコンピュータ10を備えるシステムであれば良い。このコンピュータ10は、例えば、1台のコンピュータで実現されても良いし、クラウドコンピュータのように、複数のコンピュータで実現されても良い。
本明細書におけるクラウドコンピュータとは、ある特定の機能を果たす際に、任意のコンピュータをスケーラブルに用いるものや、あるシステムを実現するために複数の機能モジュールを含み、その機能を自由に組み合わせて用いるものの何れであっても良い。
本明細書において、アイコン配置システム1は、コンピュータ10に加え、学習用のアノテーションデータを設定する学習用端末20、建設現場において作業を行う作業者が管理する作業者端末30により構成される。
アイコン配置システム1を構成する端末や装置類等は、あくまでも一例であり、コンピュータ10を除く各端末については、その数、種類及び機能については、適宜変更可能である。
【0014】
アイコン配置システム1が、建物構造図の伏図にアイコンを配置する際の処理ステップの概要について説明する。
【0015】
コンピュータ10は、伏図に付された符号に対応付けられた第1アイコンが予め配置されたアノテーションデータを取得する(ステップS1)。
コンピュータ10は、アノテーションデータを、学習用端末20から取得する。
学習用端末20は、自身を管理する管理者等からの入力を受け付け、伏図に対して、この伏図に付された符号に対応付けられた第1アイコンを配置する。学習用端末20は、第1アイコンを配置した伏図をアノテーションデータとして、コンピュータ10に送信する。
コンピュータ10は、このアノテーションデータを受信し、伏図に付された符号に対応付けられた第1アイコンが予め配置されたアノテーションデータを取得する。
【0016】
コンピュータ10は、取得したアノテーションデータを教師データとして、伏図と、第1アイコンとを対応付けて学習する(ステップS2)。
学習方法は、例えば、教師あり学習、教師なし学習、強化学習等による機械学習や、畳み込みニューラルネットワーク、再起型ニューラルネットワーク、長・短期記憶等によるディープラーニング等であり、コンピュータ10は、アノテーションデータを教師データとする教師あり学習を行い、伏図と、第1アイコンとを対応付けて学習する。
【0017】
コンピュータ10は、学習結果に基づいて、学習済モデルを生成する(ステップS3)。
コンピュータ10は、線形回帰、ランダムフォレスト、決定木、k近傍法の機械学習に用いられる一般的なアルゴリズムを用いて、学習済モデルを生成する。
【0018】
コンピュータ10は、新たな伏図に対して、生成した学習済モデルに基づいた第2アイコンを配置する(ステップS4)。
コンピュータ10は、作業者端末30等から、新たな伏図を取得し、この新たな伏図に対して、生成した学習済モデルに基づいた第2アイコンを配置する。
【0019】
以上が、アイコン配置システム1の概要である。
本アイコン配置システム1によれば、作業効率の向上を図ることが可能となる。
【0020】
[装置構成]
図2は、アイコン配置システム1の構成を示すブロック図である。アイコン配置システム1は、建物構造図の伏図にアイコンを配置するシステムであり、少なくともコンピュータ10から構成される。本実施形態では、アイコン配置システム1は、更に、学習用のアノテーションデータを設定する学習用端末20、建設現場において作業を行う作業者が管理する作業者端末30を備える。
アイコン配置システム1は、コンピュータ10と、学習用端末20及び作業者端末30とが、公衆回線網等のネットワーク5等を介して、データ通信可能に接続されたシステムである。
なお、アイコン配置システム1を構成する端末や装置類等は、あくまでも一例であり、コンピュータ10を除く各端末については、その数、種類及び機能については、適宜変更可能である。
【0021】
コンピュータ10は、サーバ機能を有し、例えば、1台のコンピュータで実現されても良いし、クラウドコンピュータのように、複数のコンピュータで実現されても良い。
コンピュータ10は、制御部として、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備え、通信部として、他の端末や装置等と通信可能にするためのデバイス、伏図に付された符号に対応付けられた第1アイコンが予め配置されたアノテーションデータを取得する取得部11等を備える。
コンピュータ10は、記憶部として、ハードディスクや半導体メモリ、記憶媒体、メモリカード等によるデータのストレージ部等を備える。
コンピュータ10は、処理部として、各種処理を実行する各種デバイス、アノテーションデータを教師データとして、伏図と、第1アイコンとを対応付けて学習する学習部12、学習結果に基づいて、学習済モデルを生成するモデル生成部13、新たな伏図に対して、生成した学習済モデルに基づいた第2アイコンを配置する配置部14等を備える。
【0022】
コンピュータ10において、制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、通信部と協働して、アノテーションデータ取得モジュール、伏図取得モジュール、伏図出力モジュール、変更受付モジュールを実現する。
また、コンピュータ10において、制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、記憶部と協働して、学習済モデル記憶モジュールを実現する。
また、コンピュータ10において、制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、処理部と協働して、第1識別モジュール、学習モジュール、学習済モデル生成モジュール、第2識別モジュール、配置モジュール、付与モジュールを実現する。
【0023】
学習用端末20及び作業者端末30の各々は、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末等の携帯端末やパーソナルコンピュータ等の端末である。
学習用端末20及び作業者端末30の各々は、端末制御部として、CPU、GPU、RAM、ROM等を備え、通信部として、他の端末や装置等と通信可能にするためのデバイス等を備え、入出力部として、各種情報の入出力を実行するためのデバイス等を備える。
【0024】
以下、アイコン配置システム1が実行する各処理について、上述した各モジュールが実行する処理と併せて説明する。
本明細書において、各モジュールは、その処理内容を、自身が有する機能として実行するものであっても良いし、所定のアプリケーションを介して実行するものであっても良い。
【0025】
[コンピュータ10が実行する学習処理]
図3に基づいて、コンピュータ10が実行する学習処理について説明する。同図は、コンピュータ10が実行する学習処理のフローチャートを示す図である。本学習処理は、上述した伏図に付された符号に対応付けられた第1アイコンが予め配置されたアノテーションデータを取得する取得処理(ステップS1)、取得したアノテーションデータを教師データとして、伏図と第1アイコンとを対応付けて学習する学習処理(ステップS2)、学習結果に基づいて、学習済モデルを生成するモデル生成処理(ステップS3)の詳細である。
【0026】
アノテーションデータ取得モジュールは、伏図に付された符号に対応付けられた第1アイコンが配置されたアノテーションデータを取得する(ステップS10)。
伏図に付された符号は、例えば、数字、文字、記号等の何れか又は複数を組み合わせた所定の文字列である。また、この符号は、梁、柱、壁、基礎、床等の建物の構造部材を示すものである。第1アイコンは、例えば、ピン、マーク、文字列、記号である。
学習用端末20は、自身を管理する管理者等からの入力を受け付け、伏図に対して、第1アイコンを配置する。学習用端末20は、伏図に付された符号に対して、管理者が所望する第1アイコンの配置の入力を、管理者等から受け付ける。学習用端末20は、入力を受け付けた場所に、この第1アイコンを配置する(図4参照)。
図4に基づいて、第1アイコンが配置された伏図について説明する。同図は、学習用端末20が第1アイコンを配置した伏図の一例を模式的に示した図である。
学習用端末20は、複数の第1アイコン41をまとめた一覧42の中から、管理者が所望する第1アイコン41の選択の入力を受け付ける。本図において、第1アイコン41は、構造部材の名称の一部の文字列(柱、梁、床、壁、基、杭等)を四角で囲んだものである。学習用端末20は、伏図40に付された符号43に対する入力を受け付ける。学習用端末20は、この符号43の近傍(例えば、符号43から所定範囲内、符号43の周囲)に選択を受け付けた第1アイコン41を配置する。ここで、学習用端末20は、この符号43と、第1アイコン41とを対応付ける。
学習用端末20は、この第1アイコン41が配置された伏図40を、アノテーションデータとして、コンピュータ10に送信する。
アノテーションデータ取得モジュールは、この第1アイコン41が配置された伏図40を受信し、伏図に付された符号に対応付けられた第1アイコンが配置されたアノテーションデータを取得する。
【0027】
なお、学習用端末20が第1アイコンを配置する伏図は、学習用端末20が、他のコンピュータ等から取得するものであっても良いし、自身が有する撮影装置等により撮影したものであっても良いし、予め自身が記憶したものを用いても良いし、それ以外の方法により取得するものであっても良い。
また、学習用端末20が配置する第1アイコンは、一つの伏図に対して一つのみであっても良いし、複数であっても良い。
また、学習用端末20は、伏図の種類や所定の条件(例えば、建設現場の内容、発注者、受注者、作業者、構造物)等に応じて、注目度を変更した第1アイコンを配置しても良い。注目度の変更とは、例えば、大きさの変更、色分け、強調表示を行うことを意図するものである。
また、第1アイコンの種類は、上述した例に限定されるものではない。
【0028】
図3に戻り、学習処理の続きを説明する。
第1識別モジュールは、取得したアノテーションデータに含まれる各構造物を識別する(ステップS11)。
第1識別モジュールは、取得したアノテーションデータをデータ解析し、伏図に含まれる各構造物を識別する。第1識別モジュールは、伏図に付された符号を識別し、この伏図に含まれる各構造物の種類(例えば、柱、梁、床、壁、基、杭)を識別する。第1識別モジュールは、予め符号と、構造物の種類とを対応付けたデータベース等を参照し、この識別を行えば良い。上述した図4における伏図40において、第1識別モジュールは、符号43を識別し、この符号43に相当する構造物の種類を識別する。第1識別モジュールは、符号43として、C1を識別し、このC1に相当する構造物の種類として、柱を識別する。
第1識別モジュールは、この構造物の符号及びその種類を識別し、取得したアノテーションデータに含まれる各構造物を識別する。
【0029】
学習モジュールは、取得したアノテーションデータを教師データとして、伏図と、第1アイコンとを対応付けて学習する(ステップS12)。
学習モジュールは、上述した通り、学習方法として、教師あり学習、教師なし学習、強化学習等による機械学習や、畳み込みニューラルネットワーク、再起型ニューラルネットワーク、長・短期記憶等によるディープラーニング等を実行する。本実施形態では、学習モジュールが実行する学習方法が、上述した通り、教師あり学習による機械学習を例として説明する。
学習モジュールは、識別した伏図に含まれる構造物の符号及びその種類と、第1アイコンとを教師データとして、このアノテーションデータにおける伏図と、第1アイコンとを対応付けて学習する。
【0030】
学習済モデル生成モジュールは、学習結果に基づいて、学習済モデルを生成する(ステップS13)。
学習済モデル生成モジュールは、線形回帰、ランダムフォレスト、決定木、k近傍法等の機械学習に用いられる一般的なアルゴリズムを用いて、この学習済モデルを生成する。学習済モデル生成モジュールが用いるアルゴリズムは、特に限定されるものではなく、適宜、適当なものを用いればよい。
【0031】
学習済モデル記憶モジュールは、生成した学習済モデルを記憶する(ステップS14)。
【0032】
以上が、学習処理である。
コンピュータ10は、学習処理により作成した学習済モデルを用いて、後述する処理を実行する。
【0033】
[コンピュータ10が実行する配置処理]
図5に基づいて、コンピュータ10が実行する配置処理について説明する。同図は、コンピュータ10が実行する配置処理のフローチャートを示す図である。本配置処理は、上述した新たな伏図に対して、生成した学習済モデルに基づいた第2アイコン配置する配置処理(ステップS4)の詳細である。
本配置処理は、上述した学習処理により作成した学習済モデルを用いる処理である。
【0034】
伏図取得モジュールは、新たな伏図を取得する(ステップS20)。
伏図取得モジュールは、作業者端末30から、アイコンを配置するための新たな伏図を取得する。
作業者端末30は、予め自身が記憶する伏図、自身が有する撮影装置等により撮影した伏図、又は、他のコンピュータ等から取得した伏図等の伏図を、コンピュータ10に送信する。
伏図取得モジュールは、この伏図を受信することにより、新たな伏図を取得する。
なお、伏図取得モジュールは、作業者端末30以外の端末等から、この伏図を取得するものであっても良いし、予め自身が記憶した伏図を用いても良いし、それ以外の方法により伏図を取得しても良い。
【0035】
第2識別モジュールは、取得した新たな伏図に含まれる各構造物を識別する(ステップS21)。
第2識別モジュールは、取得した新たな伏図をデータ解析し、伏図に含まれる各構造物を識別する。第2識別モジュールは、伏図に付された符号を識別し、この伏図に含まれる各構造物の種類(例えば、柱、梁、床、壁、基、杭)を識別する。第2識別モジュールは、予め符号と、構造物の種類とを対応付けたデータベース等を参照し、この識別を行えば良い。第2識別モジュールは、取得した伏図に含まれる全ての構造物の詳細を識別する。
第2識別モジュールは、この各構造物を識別し、取得した新たな伏図に含まれる各構造物を識別する。
【0036】
配置モジュールは、新たな伏図に対して、生成した学習済モデルに基づいた第2アイコンを配置する(ステップS22)。
第2アイコンは、例えば、ピン、マーク、文字列、記号である。
配置モジュールは、学習済モデルを参照し、識別した伏図に含まれる構造物の符号及び種類に基づいて、伏図に配置する第2アイコンを特定し、特定した第2アイコンを、伏図に配置する(図6参照)。
図6に基づいて、配置モジュールが第2アイコンを配置した伏図について説明する。同図は、配置モジュールが第2アイコンを配置した伏図の一例を模式的に示した図である。
配置モジュールは、伏図50に含まれる構造物の符号及び種類と学習済モデルとに基づいて、この伏図に配置する第2アイコン51を特定し、特定した第2アイコン51を、この符号の近傍に配置する。本図において、第2アイコン51は、符号の上に重ねて配置されている。また、第2アイコン51は、上述した第1アイコン41と同様に、構造部材の名称の一部の文字列(柱、梁、床、壁、基、杭等)を四角で囲んだものである。配置モジュールは、伏図50に、第2アイコン51を配置することにより、この第2アイコン51が配置された構造物の符号及び種類と、第2アイコン51とを対応付ける。
【0037】
なお、配置モジュールが配置する第2アイコンは、一つの伏図に対して一つのみであっても良いし、複数であっても良い。
また、配置モジュールは、伏図の種類や所定の条件(例えば、建設現場の内容、発注者、受注者、作業者、構造物)等に応じて、注目度を変更した第2アイコンを配置しても良い。注目度の変更とは、上述した例と同様に、例えば、大きさの変更、色分け、強調表示を行うことを意図するものである。
また、配置モジュールは、第2アイコンを配置した伏図を作業者端末30に出力した際、作業者からの入力に応じて、この第2アイコンを自由に移動可能な形式で配置しても良い。この場合、配置モジュールは、配置した第2アイコンの位置を、伏図上の該当部位がわかるように、元々の第2アイコンの位置から引出線を伸ばしながら移動可能な形式に配置しても良い。
また、第2アイコンの種類は、上述した例に限定されるものではない。
【0038】
図5に戻り、配置処理の続きを説明する。
付与モジュールは、第2アイコンに、メタデータを付与する(ステップS23)。
付与モジュールは、配置した第2アイコンに、識別した構造物の符号に対応する詳細図(豆図)、進捗管理情報等を、メタデータとして付与する。
なお、付与モジュールは、メタデータとして、上述した例以外のデータ(例えば、作成日時、作業者名)を含んだものを付与しても良い。
【0039】
伏図出力モジュールは、第2アイコンを配置した伏図を出力する(ステップS24)。
伏図出力モジュールは、第2アイコンを配置した伏図を、作業者端末30に送信する。
作業者端末30は、この伏図を受信し、自身の表示部等に表示する。
伏図出力モジュールは、第2アイコンを配置した伏図を、作業者端末30に表示させることにより、第2アイコンを配置した伏図を出力する。
なお、作業者端末30は、表示した伏図における第2アイコンに対する入力を受け付けることにより、この第2アイコンに付与されたメタデータを併せて表示するものであっても良い。
また、作業者端末30は、表示した伏図における第2アイコンに対する入力を受け付けることにより、この第2アイコンの伏図上の位置を、移動可能であっても良い。この場合、作業者端末30は、この第2アイコンの位置を、伏図上の該当部位がわかるように、元々の第2アイコンの位置から引出線を伸ばしながら移動させればよい。
【0040】
以上が、配置処理である。
【0041】
[コンピュータ10が実行する再学習処理]
図7に基づいて、コンピュータ10が実行する再学習処理について説明する。同図は、コンピュータ10が実行する再学習処理のフローチャートを示す図である。
本再学習処理は、上述した学習処理により作成した学習済モデルと、配置処理により第2アイコンが配置された伏図とを用いる処理である。
なお、上述した処理と同様の処理については、その詳細な説明は省略する。
【0042】
学習モジュールは、第2アイコンを配置した伏図を教師データとして、伏図と、第2アイコンとを対応付けて学習する(ステップS30)。
本処理における学習の方法は、上述した学習処理における学習の方法と同様であれば良い。
学習モジュールは、識別した伏図に含まれる構造物の符号及びその種類と、第2アイコンとを教師データとして、この伏図と、第2アイコンとを対応付けて学習する。
【0043】
学習済モデル生成モジュールは、学習結果に基づいて、生成した学習済モデルを更新する(ステップS31)。
学習済モデル生成モジュールは、上述した学習処理により生成し記憶した学習済モデルを、今回の学習結果を用いて更新する。
【0044】
学習済モデル記憶モジュールは、更新した学習済モデルを記憶する(ステップS32)。
【0045】
以上が、再学習処理である。
コンピュータ10は、次回以降、配置処理を実行する場合、再学習処理により更新した学習済モデルを用いて、その処理を実行する。
アイコン配置システム1は、再学習処理により、配置処理を実行する度、学習済モデルを更新するため、回数を重ねる程、第2アイコンの配置の精度の向上を図ることが可能となる。
【0046】
[コンピュータ10が実行する変更処理]
図8に基づいて、コンピュータ10が実行する変更処理について説明する。同図は、コンピュータ10が実行する変更処理のフローチャートを示す図である。
本変更処理は、上述した配置処理により第2アイコンを配置した伏図と、作業者端末30に出力されたこの伏図とを用いる処理である。
なお、上述した処理と同様の処理については、その詳細な説明は省略する。
【0047】
変更受付モジュールは、第2アイコンに対する変更の入力を受け付ける(ステップS40)。
作業者端末30は、上述した配置処理により自身に表示した第2アイコンが配置された伏図に対する変更の入力を受け付ける。作業者端末30が入力を受け付ける変更の内容は、第2アイコンの変更及びメタデータの変更である。作業者端末30は、第2アイコンの種類、注目度、数等の変更の入力を受け付ける。また、作業者端末30は、第2アイコンに付与されたメタデータの変更の入力を受け付ける。
作業者端末30は、入力を受け付けた変更内容を、コンピュータ10に送信する。
変更受付モジュールは、この変更内容を受信し、第2アイコンに対する変更の入力を受け付ける。
変更受付モジュールは、変更の入力を所定期間(例えば、第2アイコンが配置された伏図の出力後所定時間経過後)受け付けなかった場合や、作業者端末30から変更が不要であるとの入力を受け付けた場合等の場合、以降の処理を実行せず、本変更処理を終了する。
【0048】
なお、作業者端末30は、第2アイコンを配置した伏図の元となった伏図に対して、この変更の入力を受け付けるものであっても良い。この場合、作業者端末30は、この伏図を自身が保有している場合、この保有する伏図に対して、第2アイコンの配置やメタデータの入力を受け付ける。作業者端末30は、この伏図を自身が保有していない場合、この伏図を他のコンピュータ等から取得し、取得した伏図に対して、第2アイコンの配置やメタデータの入力を受け付ける。作業者端末30は、第2アイコンの配置やメタデータの入力を受け付けた伏図を、コンピュータ10に送信する。変更受付モジュールは、この伏図を受信し、第2アイコンに対する変更の入力を受け付ければ良い。
【0049】
配置モジュールは、受け付けた変更内容に基づいた第2アイコンを再度配置する(ステップS41)。
配置モジュールは、受け付けた変更内容に基づいて、元々の伏図に配置された第2アイコンを変更し、新たな第2アイコンを配置する。
【0050】
なお、作業者端末30から、第2アイコンを配置した伏図の元となった伏図に対して、この変更の入力を受け付けた場合、配置モジュールは、この伏図に対して、第2アイコンを配置すれば良い。
【0051】
付与モジュールは、受け付けた変更内容に基づいて、メタデータを再度付与する(ステップS42)。
付与モジュールは、受け付けた変更内容に基づいて、元々の第2アイコンに付与されたメタデータを変更し、新たなメタデータとして付与する。
【0052】
伏図出力モジュールは、変更後の第2アイコンを配置した伏図を出力する(ステップS43)。
ステップS43の処理は、上述したステップS24の処理と同様である。
【0053】
以上が、変更処理である。
【0054】
上述した各処理は、別個の処理として記載しているが、コンピュータ10は、上述した各処理の一部又は全部を組み合わせて実行する構成も可能である。また、コンピュータ10は、各処理において、説明したタイミング以外のタイミングであっても、その処理を実行する構成も可能である。
【0055】
上述した手段、機能は、コンピュータ(CPU、情報処理装置、各種端末を含む)が、所定のプログラムを読み込んで、実行することによって実現される。プログラムは、例えば、コンピュータからネットワーク経由で提供される(SaaS:ソフトウェア・アズ・ア・サービス)形態やクラウドサービスで提供されて良い。また、プログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供されて良い。この場合、コンピュータはその記録媒体からプログラムを読み取って内部記録装置又は外部記録装置に転送し記録して実行する。また、そのプログラムを、記録装置(記録媒体)に予め記録しておき、その記録装置から通信回線を介してコンピュータに提供するようにしても良い。
【0056】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0057】
(1)建物構造図の伏図にアイコンを配置するアイコン配置システムであって、
前記伏図に付された符号に対応付けられた第1アイコン(例えば、ピン、マーク、文字列、記号)が予め配置されたアノテーションデータを取得する取得部(例えば、取得部11、アノテーションデータ取得モジュール)と、
取得した前記アノテーションデータを教師データとして、前記伏図と前記第1アイコンとを対応付けて学習する学習部(例えば、学習部12、学習モジュール)と、
学習結果に基づいて、学習済モデルを生成するモデル生成部(例えば、モデル生成部13、学習済モデル生成モジュール)と、
新たな伏図に対して、生成した前記学習済モデルに基づいた第2アイコン(例えば、ピン、マーク、文字列、記号)を配置する配置部(例えば、配置部14、配置モジュール)と、
を備えるアイコン配置システム。
【0058】
(1)の発明によれば、作業効率の向上を図ることが可能となる。
【0059】
(2)前記符号は、所定の文字列(例えば、数字、文字、記号等の何れか又は複数を組み合わせた文字列)である、
(1)に記載のアイコン配置システム。
【0060】
(2)の発明によれば、作業効率の向上を図ることが可能となる。
【0061】
(3)前記符号は、建物の構造部材(例えば、梁、柱、壁、基礎、床)を示すものである、
(1)に記載のアイコン配置システム。
【0062】
(3)の発明によれば、作業効率の向上を図ることが可能となる。
【0063】
(4)前記学習部は、前記第2アイコンが配置された新たな伏図を新たな教師データとして、前記新たな伏図と、前記第2アイコンとを対応付けて再学習する、
(1)に記載のアイコン配置システム。
【0064】
(4)の発明によれば、学習の精度の向上を図ることが可能となる。
【0065】
(5)前記配置部は、前記第2アイコンの注目度を変更して配置する、
(1)に記載のアイコン配置システム。
【0066】
(5)の発明によれば、作業効率の向上を図ることが可能となる。
【0067】
(6)前記第2アイコンに、メタデータを付与する付与部(例えば、付与モジュール)と、
を更に備える(1)に記載のアイコン配置システム。
【0068】
(6)の発明によれば、作業効率の向上を図ることが可能となる。
【0069】
(7)前記配置部は、配置した前記第2アイコンを、前記伏図上の該当部位がわかるように引出線を伸ばしながら移動可能に配置する、
(1)に記載のアイコン配置システム。
【0070】
(7)の発明によれば、作業効率の向上を図ることが可能となる。
【0071】
(8)建物構造図の伏図にアイコンを配置するコンピュータが実行するアイコン配置方法であって、
前記伏図に付された符号に対応付けられた第1アイコンが予め配置されたアノテーションデータを取得するステップ(例えば、ステップS10)と、
取得した前記アノテーションデータを教師データとして、前記伏図と前記第1アイコンとを対応付けて学習するステップ(例えば、ステップS12)と、
学習結果に基づいて、学習済モデルを生成するステップ(例えば、ステップS13)と、
新たな伏図に対して、生成した前記学習済モデルに基づいた第2アイコンを配置するステップ(例えば、ステップS22)と、
を備えるアイコン配置方法。
【0072】
(9)建物構造図の伏図にアイコンを配置するコンピュータに、
前記伏図に付された符号に対応付けられた第1アイコンが予め配置されたアノテーションデータを取得するステップ(例えば、ステップS10)、
取得した前記アノテーションデータを教師データとして、前記伏図と前記第1アイコンとを対応付けて学習するステップ(例えば、ステップS13)、
学習結果に基づいて、学習済モデルを生成するステップ(例えば、ステップS13)、
新たな伏図に対して、生成した前記学習済モデルに基づいた第2アイコンを配置するステップ(例えば、ステップS22)、
を実行させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【符号の説明】
【0073】
1 アイコン配置システム
5 ネットワーク
10 コンピュータ
11 取得部
12 学習部
13 モデル生成部
14 配置部
20 学習用端末
30 作業者端末
40,50 伏図
41 第1アイコン
42 一覧
43 符号
51 第2アイコン

【要約】
【課題】建物構造図における伏図のデータと詳細図のデータとの対応付けを行うことにより、作業効率の向上を図る。
【解決手段】建物構造図の伏図にアイコンを配置するアイコン配置システムは、前記伏図に付された符号に対応付けられた第1アイコンが予め配置されたアノテーションデータを取得し、取得した前記アノテーションデータを教師データとして、前記伏図と前記第1アイコンとを対応付けて学習し、学習結果に基づいて、学習済モデルを生成し、新たな伏図に対して、生成した前記学習済モデルに基づいた第2アイコンを配置する。

【選択図】図1

図1
図2
図3
図4
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図8