(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】パターヘッド及びパター
(51)【国際特許分類】
A63B 53/04 20150101AFI20221018BHJP
A63B 53/06 20150101ALI20221018BHJP
A63B 102/32 20150101ALN20221018BHJP
【FI】
A63B53/04 H
A63B53/06 D
A63B102:32
(21)【出願番号】P 2021120039
(22)【出願日】2021-06-11
【審査請求日】2022-03-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520172694
【氏名又は名称】笠島 卓
(72)【発明者】
【氏名】笠島 卓
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-108483(JP,A)
【文献】特開2001-353239(JP,A)
【文献】特開2012-045188(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0014590(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0144075(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0293513(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0161121(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/04-53/06
A63B 102/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボールを打球するフェース面と、該フェース面に対して略直交するとともに前記フェース面の略中心を通過する仮想直交線を軸に線対称であり、
前記フェース面の背面側に連接されたヘッド部と、を備えるパターヘッドにおいて、前記ヘッド部のトップ面には、所定半径からなる円の円弧が施されており、前記円の中心が打球方向側の前記仮想直交線上
にあり、また、前記円の円弧は、前記フェース面のトゥ側端部とヒール側端部を通過する第1の円弧と、該第1の円弧と同心円状であり、かつ該第1の円弧よりも半径が長い第2の円弧と、から構成され、前記ヘッド部と前記フェース面を含まないバックヘッド部は、一体型である、又は、前記第2の円弧を境界面として、前記フェース面を含むフロントヘッド部と、前記フェース面を含まないバックヘッド部に分離も可能であるように構成も可能であり、前記フロントヘッド部と前記バックヘッド部は、トゥ側の側面の上端線及びヒール側の側面の上端線が平面視において直線となるように連設されており、前記トゥ側の側面の上端線及び前記ヒール側の側面の上端線の打球方向側の各々の延長線は、平面視した場合の前記仮想直交線上において、各スパットへ交差することを特徴とするパターヘッド。
【請求項3】
シャフト部と、該シャフト部が接続されるホーゼル部を含み、ボールを打球するフェース面と、該フェース面に対して略直交するとともに前記フェース面の略中心を通過する仮想直交線を軸に線対称であり、前記フェース面の背面側に連接されたヘッド部と、を備えるパターヘッドにおいて、前記ヘッド部のトップ面には、所定半径からなる円の円弧が施されており、前記円の中心が打球方向側の前記仮想直交線上にあり、また、前記円の円弧は、前記フェース面のトゥ側端部とヒール側端部を通過する第1の円弧と、該第1の円弧と同心円状であり、かつ該第1の円弧よりも半径が長い第2の円弧と、から構成され
前記ヘッド部と前記フェース面を含まないバックヘッド部は、一体型である、又は、前記第2の円弧を境界面として、前記フェース面を含むフロントヘッド部と、前記フェース面を含まないバックヘッド部に分離も可能であるように構成も可能であり、前記フロントヘッド部と前記バックヘッド部は、トゥ側の側面の上端線及びヒール側の側面の上端線が平面視において直線となるように連設されており、前記トゥ側の側面の上端線及び前記ヒール側の側面の上端線の打球方向側の各々の延長線は、平面視した場合の前記仮想直交線上において、各スパットへ交差することを特徴とするパター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフのパッティングに使用するパターヘッド及びパターに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフのパッティングとは、プレーヤーがグリーン及びグリーン近辺に載ったボールをパターによってカップ(ホール)に入れるプレーであり、各ゴルフ場のグリーンには色々な種類の芝、傾斜、速さ等が設定されており、パター時に精度の高い方向性、距離感等の安定したパッティングが重要とされる。
【0003】
ゴルフのパッティングにおいては、パターは横向きで打つルールであり、パターを上部から見下ろさなければならない。ボールを打ち出す際には、フェース面をカップに対して直角に合わせてカップを直線的に狙うのではなく、グリーンの高低差・傾斜等を考慮して、ボールとカップの間にスパット(ボールの打ち出し方向目標地点)を設定し、フェース面をスパットの方向に対して直角に合わせて打ち出す必要がある。
【0004】
しかし、従来のパターにおいては、特許文献1のように、パターヘッド部のトップ面にフェース面に直角なラインが描かれているだけで、フェース面をスパットに対して直角に合わせることが安易ではなく、方向誤差が生じ易かった。
【0005】
また、ゴルフのパッティングにおいては、パターヘッド部の重心位置や慣性モーメント等の形状要因も重要であり、従来のパターはピン型、マレット型、ネオマレット型に分類され、グリーンの状況(芝の種類、傾斜、速さ等の設定)に応じてプレーヤーが適切なパターを選択していた。
【0006】
このような要求に対応するため、特許文献2のように、一つのパターにおいてパターヘッド部を複数のパーツで組み合わせて、必要に応じてパーツの組み合わせを変えて形状を変更することで、パターヘッドの重心位置や慣性モーメント等を調整できるものも提案されているが、構造が複雑なためグリーンの状況に応じた形状の変更に難易度があり、調整できる範囲も狭く限られていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】実用新案登録第3169560号
【文献】実用新案登録第3144242号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は以上の点に鑑みて、ゴルフのパッティング時に、スパットに正確に焦点を合わすことができるとともに、パターヘッド部の重量と重心位置をグリーンの状況に応じて柔軟に変更できる機能を持たせたパターヘッド及びパターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1によるパターヘッドは、ボールを打球するフェース面と、該フェース面に対して略直交するとともに前記フェース面の略中心を通過する仮想直交線を軸に線対称であり、前記フェース面の背面側に連接されたフロントヘッド部と、を備えるパターヘッド部において、前記フロントヘッド部のトップ面には、所定半径からなる円の円弧が施されており、前記円の中心が打球方向側の前記仮想直交線上にあることを特徴とするパターヘッド。
【0010】
このような構成にすることによって、前記円弧を一部とする所定半径からなる円と前記仮想直交線との交点を想定し、この交点をスパットの方向に合わせることで、パッティング時に前記フェース面をボールとスパットを結ぶ直線に対して直角に合わせやすくすることができる。
【0011】
本発明の請求項2によるパターヘッドは、請求項1に記載のパターヘッドにおいて、前記円弧は、前記フェース面のトゥ側端部とヒール側端部を通過する第1の円弧と、該第1の円弧と同心円状であり、かつ該第1の円弧よりも半径が長い第2の円弧と、から構成されたことを特徴とするものである。
【0012】
このような構成にすることによって、前記第1の円弧と前記第2の円弧を一部とする所定半径からなる同心円状の2つの円と前記仮想直交線との2つの交点を想定し、これらの交点をスパットの方向に合わせることで、パッティング時に前記フェース面をボールとスパットを結ぶ直線に対して直角により合わせやすくすることができる。
【0013】
本発明の請求項3によるパターヘッドは、請求項2に記載のパターヘッドにおいて、前記ヘッド部は、前記第2の円弧を分離面として、前記フェース面を含むフロントヘッド部と、前記フロントヘッド部を含まないバックヘッド部に分離可能となるように構成されたことを特徴とするものである。
【0014】
このような構成にすることによって、バックヘッド部を分離するかしないかの選択が可能となり、前記パターヘッドの重心位置と慣性モーメントをグリーンの状況に応じて調整することができる。
【0015】
本発明の請求項4によるパターヘッドは、請求項3に記載のパターヘッド部において、前記フロントヘッド部と前記バックヘッド部は、トゥ側の側面の上端線及びヒール側の側面の上端線が各々平面視において直線となるように連設されており、前記トゥ側の側面の上端線及び前記ヒール側の側面の上端線の打球方向側の各々の延長線は、平面視において前記仮想直交線上において交差する傾斜角を有することを特徴とするものである。
【0016】
このような構成にすることによって、トゥ側の側面の上端線と前記ヒール側の側面の上端線は、打球方向側の各々の延長線の交点を想定し、この交点をスパットに合わせることで、パッティング時にスパットに精度よく焦点を合わせることができる。
【0017】
本発明の請求項5によるパターヘッドは、請求項1から請求項4に記載のパターヘッドにおいて、前記ヘッド部は、前記仮想直交線を軸に線対象となる位置に、トップ面からソール面を貫通する所定の形状の空洞であって、トゥ側の第1の空洞及びヒール側の第2の空洞からなる少なくとも1対形成され、前記第1の空洞の内周面の上端線は、前記トゥ側の側面の上端線に略平行であり、前記第2の空洞の内周面の上端線は、前記ヒール側の側面の上端線に略平行であることを特徴とするものである。
【0018】
このような構成にすることによって、トゥ側の前記第1の空洞部内周面の上端線を通る側線と前記ヒール側の第2の空洞部内周面の上端線を通る側線の延長線の交点を想定することで、スパットに合わせやすくなるとともに、前記空洞による視覚残像効果によって、スパットに向けて正確なストロークで打つ(ヘッドを真っすぐにテークバックし、真っすぐにインパクトする)ことができる。
【0019】
本発明の請求項6によるパターは、シャフト部と、該シャフト部が接続されるホーゼル部を含み、ボールを打球するフェース面、該フェース面に対して略直交するとともに前記フェース面の略中心を通過する仮想直交線を軸に線対称であり、前記フェース面の背面側に連設されたヘッド部を有するパターヘッドと、を備えるパターにおいて、前記ヘッド部のトップ面には、所定半径からなる円の円弧が施されており、前記円の中心が打球方向側の前記仮想直交線上にあることを特徴とするものである。
【0020】
このような構成にすることによって、パッティング時にスパットに精度よく焦点を合わせることができるとともに、パターヘッド部の重心位置と慣性モーメントをグリーンの状況に応じて調整することで、より正確にスパットへ合わせることができる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように本発明に係るパターヘッド及びパターは、パッティング時においてスパットへの焦点を正確に合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図4】本発明のパターヘッドにおいて、フロントヘッド部とバックヘッド部が分離された状態を示した斜視図である。
【
図5】本発明のパターヘッドにおいて、フロントヘッド部とバックヘッド部の固定手段を示した斜視図である。
【
図6】本発明のパターヘッドにおいて、各アライメントラインの交点をスパットとする場合の概念図である。
【
図7A】本発明のパターヘッドにおいて、グリーンへの距離、傾斜と高低差がある場合のスパットの設定の仕方を説明するAパターン概念図である。
【
図7B】本発明のパターヘッドにおいて、グリーンへの距離、傾斜と高低差がある場合のスパットの設定の仕方を説明するBパターン概念図である。
【
図7C】本発明のパターヘッドにおいて、グリーンへの距離、傾斜と高低差がある場合のスパットの設定の仕方を説明するCパターン概念図である。
【
図7D】本発明のパターヘッドにおいて、グリーンへの距離、傾斜と高低差がある場合のスパットの設定の仕方を説明するDパターン概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態にかかるパターを図面に基づいて説明する。
【0024】
本発明の実施形態にかかるパターを
図1について説明する。
【0025】
図1に示されるパター1は、パターヘッド部2、シャフト部3、グリップ部4、ホーゼル部5で構成されている。次にパターヘッド部2の詳細な構造について
図2乃至
図3を用いて説明する。
【0026】
パターヘッド部2は、フェース面7を含むフロントヘッド部18とバックヘッド部19から構成されており、バックヘッド部19は着脱自在の分離構造になっている。以下個別に詳細を説明する。
【0027】
なおパターヘッド部2は、フロントヘッド部18とバックヘッド部19の分離構造である必要はなくフロントヘッド部18とバックヘッド部19が一体化された構成であっても良い。あるいはフロントヘッド部18からなる単体の構成であっても良い。
【0028】
パターヘッド部2の形状は、フェース面7の略中央においてフェース面7に略直交する仮想直交線Eを軸に線対称に構成されており、平面視においてヒールA、トゥBを起点として、バックヘッド部19側へ行く方向に徐々に幅広くなる台形状の構造になっている。フロントヘッド部18のトップ面21には、打球方向側の仮想直交線Eの線上に中心を持つ所定半径の円からなる第1の円弧9と第2の円弧10が施されており、第1の円弧9及び第2の円弧10の円は同心円の関係にある。
【0029】
以上のような構成により、プレーヤーにとって構えやすく、
図3に示すようにヒールAとトゥBの側面に沿ったアライメントラインaとアライメントラインa´がカップとパターヘッド部の線上にスパットへ交わるため焦点を合わせすることができる。
【0030】
また、アライメント時にフェース面7をターゲットに正確に合わす機能として、フェース面7を正確にアライメントするように第1の円弧9、第2の円弧10が焦点機能を持ち、この円弧がアドレス時の方向性を安定させることができる。
【0031】
フロントヘッド部18とバックヘッド部19は、ヒールA側の側面の上端線及びトゥB側の側面の上端線が各々平面視において直線となるように連設されており、前記ヒールA側の側面の上端線及び前記トゥB側の側面の上端線の打球方向側の各々の延長線は、平面視において前記仮想直交線E上において交差する。
【0032】
フロントヘッド部18には、仮想直交線Eを軸にして線対称となる位置に、第1空洞部11aと第2空洞部11b、第3空洞部12aと第4空洞部12bがそれぞれ形成されている。またバックヘッド部19には、同じように仮想直交線Eを軸にして線対称となる位置に、第5空洞部13aと第6空洞部13b、第7空洞部14aと第8空洞部14bがそれぞれ形成されている。
【0033】
パターヘッド部2にて仮想直線として施されているヒールA側のアライメントラインa乃至アライメントラインg及びトゥB側のアライメントラインa´乃至アライメントラインg´を
図3にて説明する。
【0034】
図3に示されるパターヘッド部2のヒールA側の側面の上端線を通る仮想直線をアライメントラインa、トゥB側の側面の上端線を通る仮想直線をアライメントラインa´と定義する。
【0035】
パターヘッド部2の第1空洞部11aと第5空洞部13aのヒールA側の内周面の上端線を通る仮想直線をアライメントラインb、第2空洞部11bと第6空洞部13bのトゥB側の内周面の上端線を通る仮想直線をアライメントラインb´と定義する。
【0036】
パターヘッド部2の第1空洞部11aと第5空洞部13aのトゥB側の内周面の上端線を通る仮想直線をアライメントラインc、第2空洞部11bと第6空洞部13bのヒールA側の内周面の上端線を通る仮想直線をアライメントラインc´と定義する。
【0037】
フロントヘッド部18のフロントヘッド第1溝部15aを通る仮想直線をアライメントラインd、フロントヘッド第2溝部15bを通る仮想直線をアライメントラインd´と定義する。
【0038】
パターヘッド部2の第3空洞12aと第7空洞部14aのヒールA側の内周面の上端線を通る仮想直線をアライメントラインe、第4空洞部12bと第8空洞部14bのトゥB側の内周面の上端線を通る仮想直線をアライメントラインe´と定義する。
【0039】
パターヘッド部2の第3空洞部12aと第7空洞部14aのトゥB側の内周面の上端線を通る仮想直線をアライメントラインf、第4空洞部12bと第8空洞部14bのヒールA側の内周面の上端線を通る仮想直線をアライメントラインf´と定義する。
【0040】
フロントヘッド部18のセンター第1溝部8aとセンター第3溝部8cを通る仮想直線をアライメントラインg、センター第2溝部8bとセンター第4溝部8dを通る仮想直線をアライメントラインg´と定義する。
【0041】
上記のように定義することにより、アライメントラインaとアライメントラインa´はボールを打ち出す方向において仮想直交線Eの線上で交わる。同様に、アライメントラインbとアライメントラインb´、アライメントラインcとアライメントラインc´、アライメントラインdとアライメントラインd´、アライメントラインeとアライメントラインe´、アライメントラインfとアライメントラインf´、アライメントラインgとアライメントラインg´はそれぞれ仮想直交線Eの線上で交わる。したがって、スパットまでの距離に応じて適切なアライメントラインの組み合わせを選択することで、スパットへ正確に焦点を合わせることができる。
【0042】
フロントヘッド部18は、バックヘッド部19を分離した状態でも、アライメントラインaとアライメントラインa´、アライメントラインcとアライメントラインc´、アライメントラインdとアライメントラインd´、アライメントラインeとアライメントラインe´、アライメントラインfとアライメントラインf´及びアライメントラインgとアライメントラインg´の組み合わせを想定することができるので、スパットへある程度正確に焦点を合わせることができる。
【0043】
バックヘッド部19の湾曲部20はゴルフ規則で制定されているボールの径と略同一である43mmに設計されており、ボールと湾曲部20がほぼ同一サイズであることにより、スパットとボールを結ぶ直線にパターヘッドの仮想直交線Eを合わせる際の正確性を向上させることがでる。
【0044】
図4、5に示されるフロントヘッド部18、バックヘッド部19に分離可能であり、ゴルフ場グリーン状態に応じて、ラウンド前に芝の速さ、傾斜、高低差などの諸条件によりフロントヘッド部18単体、フロントヘッド部18、バックヘッド部19の複合のパターヘッド部2として使用可能である。
【0045】
フロントヘッド部18とバックヘッド部19の固定はセットスクリュー22を用いて行い、プレー中に簡単に外れないような構造となっている。
【0046】
フロントヘッド部18とバックヘッド部19は異なる材質で構成することができる。例えば、フロントヘッド部18をステンレス材、バックヘッド部19をアルミニウム材とし、バックヘッド部19に比重の軽いアルミニウム材を使用することで、ヘッド全体の軽量化と、重心位置及び慣性モーメントの適正化が可能となる。
【0047】
次に、
図6を用いて、本発明のパターヘッドの構成とスパットの関係について説明する。
【0048】
図6に示すアライメントラインa、アライメントラインa´はフェース面7に対して傾斜角の延長線がスパットへ焦点として交わるラインとなっており、アライメント時にフェース面7を正確にアライメントできることが特徴である。
【0049】
また、アライメントラインa、アライメントラインa´と平行に線対象となるアライメントラインd、アライメントラインd´及びアライメントラインg、アライメントラインg´はアライメントラインa、アライメントラインa´と平行に線対称となっており、距離に応じたスパットの焦点を合わすことができる。
【0050】
以上において、本発明のパター及びパターヘッドの構成について記述したが、以下においては、本発明のパター及びパターヘッドを実際にグリーン上で使用する際の使用例について
図7A乃至
図7Dを用いて説明する。
【0051】
ゴルファーがグリーンでパッティングする際のアライメントの手順を説明する。
【0052】
まず、ゴルフボールがある位置からカップまでの距離、傾斜、芝目等を確認する。その後ボールとカップの間にスパットを設定する。次に、パターヘッド部2のフェース面7をスパット方向にセットする。その際に、スパットまでの距離に応じて最も適切なアライメントラインを選択してスパットへ焦点を合わせ、最終的に第1の円弧9の焦点機能を用いてフェース面7をスパットの方向に対して直交するように調整する。
【0053】
第1の円弧9に加えて、同心円状に形成した第2の円弧10の二重の焦点機能を用いることで、フェース面7をスパットの方向に対してより正確に直交するように調整することができる。
【0054】
スパットへのアライメントをパターヘッド部2にて行った後、打球する際のテークバックからインパクト時に、ヘッド部2の第1空洞部11a乃至第8空洞部14bを直視することにより、パターヘッド部2を正しく真っすぐにテークバックし、フェース面7をスパットへ真っすぐに正確にインパクトできるデザインである。
【0055】
アドレス時にフェース面7をスパットに合わせる時に、これらの空洞を見つめることにより、視覚から脳にこれらの空洞がインプットされ、残像効果としてテークバック及びインパクトが正確に行えないと、これらの空洞形状が視覚的にバラツキを生る。そのバラツキを低減する為に、テークバックからインパクトまでにこれらの空洞を直視することにより安定したストローク及びスパットへ正確にゴルフボールをライン出しすることが可能となる。
【0056】
図7A乃至
図7Dはパターヘッド部2を上から見た際に、スパットまでの距離、グリーンの傾斜及び芝目等の各種の状況において、スパットを合わす各アライメントラインの交差距離を示しており、ゴルファーはフェース面7を各距離に応じたスパットへ正確にかつ正しくアライメントすることにより、ボールがカップインする確率を向上させることができる。
【0057】
使用例として、
図7のAパターンの場合、カップが右方向へスライスするラインであるが、スパットへは、ゴルフボールとカップ1を結んだスパット5に焦点を合わせ、アライメントラインe、アライメントラインe´の交点をスパットへ焦点を合わせる事が必要である。
【0058】
Bパターンの場合、カップ1が左方向へフックするラインであるが、スパットはスパット6に焦点を合わせ、アライメントラインf、アライメントラインf´の交点をスパットへ焦点を合わせることが必要である。
【0059】
Cパターンの場合、距離の長い、フックラインであり、スパットはスパット1に焦点を合わせ、アライメントラインa、アライメントラインa´の交点をスパットへ焦点を合わすことが必要である。
【0060】
Dパターンの場合、カップ1まではストレートのラインであるが、距離が長いため、スパットはスパット4に合わせ、アライメントラインd、アライメントラインd´の交点をスパットへ焦点を合わせることが必要である。
【0061】
このように、7つのアライメントラインの組み合わせが想定できることで、パッティングの際に方向、距離、傾斜、芝目等の状況に対応して、スパットへの焦点を合わせやすくできる機能を有するパター及びパターヘッドといえる。
【符号の説明】
【0062】
1 パター
2 パターヘッド部
3 シャフト部
4 グリップ部
5 ホーゼル部
7 フェース面
8a センター第1溝部
8b センター第2溝部
8c センター第3溝部
8d センター第4溝部
9 第1の円弧
10 第2の円弧
11a 第1空洞部
11b 第2空洞部
12a 第3空洞部
12b 第4空洞部
13a 第5空洞部
13b 第6空洞部
14a 第7空洞部
14b 第8空洞部
15a フロントヘッド第1溝部
15b フロントヘッド第2溝部
16 シャフト挿入口
18 フロントヘッド部
19 バックヘッド部
20 湾曲部
21 トップ面
22 セットスクリュー
23 セットスクリュー挿入部
24 ヒール側連結ピン
25 トゥ側連結ピン
A ヒール
B トゥ
C ヒール側下
D トゥ側下
E 仮想直交線
【要約】
【課題】より安定した方向性を高めたゴルフ用パターを提供するために、グリーンの状況に的確な各スパットへのアライメントを容易に行える形状、構造、デザインを総合的に構造に取り入れる。
【解決手段】アライメント時に正確なフェース面をスパットへ合わせ、インパクトできるように円弧、アライメントライン、空洞を構成し、スパットへの焦点精度を高め、かつあらゆるグリーン状況に応じたヘッド部の分離にて重量、重心位置、慣性モーメントの調整を容易にする機能を備える。
【選択図】
図3