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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】車両用空調装置
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/00 20060101AFI20221018BHJP
   B60H 3/00 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
B60H1/00 102P
B60H3/00 F
B60H3/00 J
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019120764
(22)【出願日】2019-06-28
(65)【公開番号】P2021006416
(43)【公開日】2021-01-21
【審査請求日】2021-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】500309126
【氏名又は名称】株式会社ヴァレオジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】110000545
【氏名又は名称】弁理士法人小竹アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 優作
(72)【発明者】
【氏名】長野 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 祐也
(72)【発明者】
【氏名】中村 沙希
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102008049278(DE,A1)
【文献】特開2008-189246(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0124286(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0043280(KR,A)
【文献】特開2008-292081(JP,A)
【文献】特開2011-038747(JP,A)
【文献】特開2006-010220(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/00-3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能が付加された空気を車室内に放出する車両用空調装置(1)であって、
内部に空気流路(3)が形成され、導入された空気を車室内に供給することが可能な複数の吹出開口部(10,20a,20b,30a,30b)を備えた空調ケース(2)と、
前記空調ケース(2)内に配置され、導入された空気を熱交換させる熱交換器(4,5)と、を備え、
前記空気流路(3)の少なくとも前記熱交換器(4)より下流側が仕切壁(7)によって複数の分割流路(3a,3b)に分けられている車両用空調装置(1)において、
前記空調ケース(2)の壁部であって前記熱交換器(4,5)を通過した空気の流方向を変更させる壁部(2a)に、該壁部との間に前記仕切壁(7)によって分割されない機能付加空間(41)を画成する空間画成壁体(40)を設け、
前記壁部(2a)又は前記空間画成壁体(40)に、前記機能付加空間(41)を通過する空気に対して所定の機能を付加する機能付加装置(43)を設け、
前記機能付加空間(41)は、それぞれの前記分割流路(3a,3b)に対して、少なくともそれぞれ2箇所の連通部(401a,402a,401b,402b)を介して連通し、
前記連通部(401a,402a,401b,402b)は、それぞれの前記分割流路(3a,3b)において、所定の吹出モードのときに、少なくとも1個所の連通部(401a,401b)の圧力が他の連通部(402a,402b)の圧力よりも低くなるように、前記少なくとも1箇所の連通部(401a,401b)が前記複数の吹出開口部(10,20a,20b,30a,30b)のいずれかに向けて開口されていることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
複数の吹出開口部は、車室上方へ吹き出す空気を供給するベント吹出開口部(20a,20b)と、車室下方へ吹き出す空気を供給するフット吹出開口部(30a,30b)とを備え、
前記空間画成壁体(40)は、前記ベント吹出開口部(20a,20b)と前記フット吹出開口部(30a,30b)との間の前記壁部(2a)に設けられ、
前記仕切壁(7)により、前記空気流路(3)の少なくとも前記熱交換器(4)より下流側は、運転席用分割流路(3a)と助手席用分割流路(3b)とに分割され、前記ベント吹出開口部は、運転席用ベント吹出開口部(20a)と助手席用ベント吹出開口部(20b)とに分割され、前記フット吹出開口部は、運転席用フット吹出開口部(30a)と助手席用フット吹出開口部(30b)とに分割され、
前記機能付加空間(41)は、前記運転席用分割流路(3a)に対して、前記運転席用ベント吹出開口部(20a)寄りに設けられた第1の運転席用連通部(401a)と前記運転席用フット吹出開口部(30a)寄りに設けられた第2の運転席用連通部(402a)とを介して連通し、また、前記助手席用分割流路(3b)に対して、前記助手席用ベント吹出開口部(20b)寄りに設けられた第1の助手席用連通部(401b)と前記助手席用フット吹出開口部(30b)寄りに設けられた第2の助手席用連通部(402b)とを介して連通し、
前記第1の運転席用連通部(401a)は、前記運転席用ベント吹出開口部(20a)を開とする吹出モード時に、前記第2の運転席用連通部(402a)よりも低圧となるように前記運転席用ベント吹出開口部(20a)に向けて開口され、前記第1の助手席用連通部(401b)は、前記助手席用ベント吹出開口部(20b)を開とする吹出モード時に、前記第2の助手席用連通部(402b)よりも低圧となるように前記助手席用ベント吹出開口部(20b)に向けて開口されていることを特徴とする請求項1記載の車両用空調装置。
【請求項3】
複数の吹出開口部は、車室上方へ吹き出す空気を供給するベント吹出開口部(20a,20b)と、車室下方へ吹き出す空気を供給するフット吹出開口部(30a,30b)とを備え、
前記空間画成壁体(40)は、前記ベント吹出開口部(20a,20b)と前記フット吹出開口部(30a,30b)との間の前記壁部(2a)に設けられ、
前記仕切壁(7)により、前記空気流路(3)の少なくとも前記熱交換器(4)より下流側は、運転席用分割流路(3a)と助手席用分割流路(3b)とに分割され、前記ベント吹出開口部は、運転席用ベント吹出開口部(20a)と助手席用ベント吹出開口部(20b)とに分割され、前記フット吹出開口部は、運転席用フット吹出開口部(30a)と助手席用フット吹出開口部(30b)とに分割され、
前記機能付加空間(41)は、前記運転席用分割流路(3a)に対して、前記運転席用ベント吹出開口部(20a)寄りに設けられた第1の運転席用連通部(401a)と前記運転席用フット吹出開口部(30a)寄りに設けられた第2の運転席用連通部(402a)とを介して連通し、また、前記助手席用分割流路(3b)に対して、前記助手席用ベント吹出開口部(20b)寄りに設けられた第1の助手席用連通部(401b)と前記助手席用フット吹出開口部(30b)寄りに設けられた第2の助手席用連通部(402b)とを介して連通し、
前記第2の運転席用連通部(402a)は、前記運転席用フット吹出開口部(30a)を開とする吹出モード時に、前記第1の運転席用連通部(401a)よりも低圧となるように前記運転席用フット吹出開口部(30a)に向けて開口され、前記第2の助手席用連通部(402b)は、前記助手席用フット吹出開口部(30b)を開とする吹出モード時に、前記第1の助手席用連通部(401b)よりも低圧となるように前記助手席用フット吹出開口部(30b)に向けて開口されていることを特徴とする請求項1記載の車両用空調装置。
【請求項4】
それぞれの前記分割流路(3a.3b)において、相対的に低圧となる連通部(401a,401b)は、前記他の連通部(402a,402b)よりも吹出開口部の近い位置に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の車両用空調装置。
【請求項5】
それぞれの前記分割流路(3a,3b)において、前記空間画成壁体(40)は、前記壁部(2a)より内側に配置され、上流から流れる空気が衝突する面の中間部を、上流側へ突出させたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載に車両用空調装置。
【請求項6】
それぞれの前記分割流路(3a,3b)において、前記空間画成壁体(40)の前記他の連通部(402a,402b)が形成される部分又はその近傍には、空気を前記他の連通部(402a,402b)へ導入しやすくするガイド部(45,40c)が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の車両用空調装置。
【請求項7】
前記空間画成壁体(40)によって画成される前記機能付加空間(41)は、中間部の通路断面積が前記連通部の通路断面積よりも小さく形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の車両用空調装置。
【請求項8】
前記空間画成壁体(40)は、前記空調ケース(2)の前記壁部(2a)より外側に設けられていることを特徴とすることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の車両用空調装置。
【請求項9】
前記熱交換器は、通過する空気を冷却する冷却用熱交換器(4)と、この冷却用熱交換器(4)の下流側に配置され、通過する空気を加熱する加熱用熱交換器(5)と、を有し、前記加熱用熱交換器(5)は、該加熱用熱交換器(5)の上側及び下側にバイパス通路(301a,301b,302a,302b)を形成するように前記空気流路(3)に配置されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の車両用空調装置。
【請求項10】
前記熱交換器は、通過する空気を冷却する冷却用熱交換器(4)と、この冷却用熱交換器(4)の下流側に配置され、通過する空気を加熱する加熱用熱交換器(5)と、を有し、前記加熱用熱交換器(5)は、該加熱用熱交換器(5)の上側のみにバイパス通路(301a,301b)を形成するように前記空気流路(3)に配置されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の車両用空調装置。
【請求項11】
前記機能付加装置(43)により空気に付加する機能は、イオン付加機能、芳香機能、脱臭機能、湿度調整機能、除菌機能の少なくとも1つであることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の車両用空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオンや芳香などの機能を付加した空気を車室内に十分に供給することが可能な車両用空調装置に関し、特に空調ケース内が独立に温調可能な複数の流路に分割されている車両用空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1においては、降車時の乗員の帯電を緩和または除電するために、空調空気の送風経路にイオン発生装置を配置し、乗員の降車意思が検出された場合に、空調装置の吹出口を乗員に対して送風する吹出口に設定し、ファンによる送風を行うと共に、イオン発生装置から送風経路内にイオンを発生させるようにした車両用空調装置が開示されている。
【0003】
特にこの例では、空調装置のヒータコアとベントダクトとの間の送風経路、より具体的には、空調装置の空調ケースのエバポレータの下流側であって、デフダクトが接続する部位より上流側に、空調空気にイオンを供給するイオン発生器を設置し、乗員の降車意思が検出された場合に、ベント吹出口からの送風に切り替えると共にイオン発生器を作動させて、エバポレータに付着している凝縮水によって加湿された空気にイオン発生器からイオンを付加させ、このイオンが付加された空気をベント吹出口から車室へ供給するようにしている。
【0004】
しかしながら、車室の異なる領域に異なる温調空気を供給するために、空調ケース内を仕切壁で仕切って複数の流路に分割している車両用空調装置においては、イオン発生装置をどのように設置するかが問題となる。
例えば、特許文献2に示されるように、車室の運転席用と助手席側とを独立に温調する左右独立温調が可能な空調装置においては、空調ケース内の空気流路を仕切板によって左右の流路(分割流路)に区画し、それぞれの分割流路に配置されたエアミックスドアや吹出開口部の開閉ドアの開度を調節することで、運転席領域と助手席領域のそれぞれに別々に温度調和された空気を供給するようにしている(特許文献2参照)。
このような空調装置においては、イオン発生装置をいずれかの分割流路に設置すると、その分割流路から吹き出される空気のみにイオンが付加されることとなり、他の分割流路から吹き出される空気にはイオンを付加することができなくなる不都合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-254549号公報
【文献】特開平09-249017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように空調ケース内が独立温調可能な複数の流路に分割されている車両用空調装置においては、車室のいずれの領域にもイオンを付加した空気を供給しようとすると、分割流路毎にイオン発生装置を設けることが必要となり、コストが高くなる不都合のみならず、空調装置の限られた設置スペースの中で、複数のイオン発生装置の設置が困難になる不都合が懸念される。
【0007】
そこで、仕切板が設けられる熱交換器よりも下流側に、イオン発生装置を配置せず、仕切板よりも上流側となる熱交換器よりも上流側にイオン発生装置を配置することも考えられるが、熱交換器よりも上流側にイオン発生装置を配置すると、イオン発生装置によって発生したイオンが、熱交換器や他の部品と接触して消滅してしまい、車室に供給できるイオン量が不足するという不都合がある。
【0008】
このような問題は、イオンを空気に付加するイオン発生装置を設置する場合だけでなく、例えば芳香などのその他の機能を空気に付加する機能付加装置を空調装置に設置する場合においても同様に生じ得る。
【0009】
本発明は、係る事情に鑑みてなされたものであり、空調ケース内に仕切壁によって分割された独立温調可能な複数の分割流路を備えた車両用空調装置において、機能付加装置を1つしか設置しない場合でも、機能を付加した空気をどの分割流路からも十分に車室に供給することが可能な車両用空調装置を提供することを主たる課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を達成するために、本発明にかかる車両用空調装置は、機能が付加された空気を車室内に放出する車両用空調装置であって、内部に空気流路が形成され、導入された空気を車室内に供給することが可能な複数の吹出開口部を備えた空調ケースと、前記空調ケース内に配置され、導入された空気を熱交換させる熱交換器と、を備え、
前記空気流路の少なくとも前記熱交換器より下流側が仕切壁によって複数の分割流路に分けられている車両用空調装置において、
前記空調ケースの壁部であって前記熱交換器を通過した空気の流方向を変更させる壁部に、該壁部との間に前記仕切壁によって分割されない機能付加空間を画成する空間画成壁体を設け、
また、前記壁部又は前記空間画成壁体に、前記機能付加空間を通過する空気に対して所定の機能を付加する機能付加装置を設け、
前記機能付加空間は、それぞれの前記分割流路に対して、少なくともそれぞれ2箇所の連通部を介して連通し、
前記連通部は、それぞれの前記分割流路において、所定の吹出モードのときに、少なくとも1個所の連通部の圧力が他の連通部の圧力よりも低くなるように、前記少なくとも1箇所の連通部が前記複数の吹出開口部のいずれかに向けて開口されていることを特徴としている。
ここで、連通部は、空間画成壁体や壁部に形成された開口部によって形成されるものであっても、空間画成壁体と壁部との間に形成される間隙であってもよい。
【0011】
したがって、空気流路の少なくとも熱交換器より下流側が仕切壁によって複数の分割流路に分けられている車両用空調装置において、熱交換器を通過した空気の流方向を変更させる空調ケースの壁部に、この壁部との間に仕切壁によって分割されない機能付加空間を画成する空間画成壁体を設けると共に、壁部又は空間画成壁体に機能付加空間を通過する空気に対して所定の機能を付加する機能付加装置を設け、機能付加空間を、それぞれの分割流路に対して、少なくともそれぞれ2箇所の連通部を介して連通し、それぞれの分割流路において、少なくとも1箇所の連通部を、所定の吹出モードにおいて他の連通部よりも低圧となるように複数の吹出開口部のいずれかに向けて開口させたので、機能付加空間をそれぞれの分割流路で共用することが可能となり、それぞれの分割流路において、所定の吹出モードで機能付加空間に他の連通部から空気が吸引され、この吸引された空気は、機能付加空間で機能付加装置から機能が付加された後に、相対的に低圧となる連通部から分割流路に戻される(それぞれの分割流路で少なくとも1つの連通部に機能付加空間を通過した空気を牽引する効果を持たせることが可能となる)。このため、どの分割流路から調和空気を車室内に供給する場合においても、機能付加空間で機能が付加された空気を供給することが可能となる。したがって、機能付加空間で機能を付加する機能付加装置を共用することができるので、分割流路毎に機能付加装置を設置する必要がなくなる。
【0012】
以上の構成において、複数の吹出開口部を、車室上方へ吹き出す空気を供給するベント吹出開口部と、車室下方へ吹き出す空気を供給するフット吹出開口部とし、特にベント吹出開口部から機能を付加した空気を十分に供給したい場合には、空間画成壁体を、前記ベント吹出開口部と前記フット吹出開口部との間の前記壁部に設け、前記仕切壁により、前記空気流路の少なくとも前記熱交換器より下流側を、運転席用分割流路と助手席用分割流路とに分割し、前記ベント吹出開口部を、運転席用ベント吹出開口部と助手席用ベント吹出開口部とに分割し、前記フット吹出開口部を、運転席用フット吹出開口部と助手席用フット吹出開口部とに分割し、
前記機能付加空間を、前記運転席用分割流路に対して、前記運転席用ベント吹出開口部寄りに設けられた第1の運転席用連通部と前記運転席用フット吹出開口部寄りに設けられた第2の運転席用連通部とを介して連通し、また、前記助手席用分割流路に対して、前記助手席用ベント吹出開口部寄りに設けられた第1の助手席用連通部と前記助手席用フット吹出開口部寄りに設けられた第2の助手席用連通部とを介して連通し、
前記第1の運転席用連通部を、前記運転席用ベント吹出開口部を開とする吹出モード時に、前記第2の運転席用連通部よりも低圧となるように前記運転席用ベント吹出開口部に向けて開口し、前記第1の助手席用連通部を、前記助手席用ベント吹出開口部を開とする吹出モード時に、前記第2の助手席用連通部よりも低圧となるように前記助手席用ベント吹出開口部に向けて開口するとよい。
【0013】
このような構成においては、空間画成壁体を、ベント吹出開口部とフット吹出開口部との間の壁部に設け、運転席用分割流路に対して、運転席用ベント吹出開口部寄りに設けられた第1の運転席用連通部を、運転席用ベント吹出開口部が開となる吹出モード時(ベント吹出モード時又はバイレベル吹出モード時)に運転席用フット吹出開口部寄りに設けられた第2の運転席用連通部よりも低圧となるように運転席用ベント吹出開口部に向けて開口し、また、助手席用分割流路に対して、助手席用ベント吹出開口部寄りに設けられた第1の助手席用連通部を、助手席用ベント吹出開口部が開となる吹出モード時(ベント吹出モード時又はバイレベル吹出モード時)に助手席用フット吹出開口部寄りに設けられた第2の助手席用連通部よりも低圧となるように助手席用ベント吹出開口部に向けて開口しているので、運転席用と助手席側の一方又は両方でベント吹出開口部を開とする吹出モード(ベント吹出モード又はバイレベル吹出モード)が設定された場合には、それぞれの分割流路から第2の連通部を介して機能付加空間に空気が吸引される。そして、この吸引された空気は、機能付加空間で機能付加装置から機能が付加された後に、前記吹出モードに設定されている分割流路(運転席用分割流路 and/or 助手席用分割流路)に第1の連通部(第1の運転席用連通部 and/or 第1の助手席用連通部)を介して戻されるので(第1の連通部に機能付加空間内の空気を牽引する効果を持たせているので)、機能付加空間内で機能が付加された空気を前記吹出モードに設定されている分割流路のベント吹出開口部へ効果的に導くことが可能となる。
【0014】
また、複数の吹出開口部を、車室上方へ吹き出す空気を供給するベント吹出開口部と、車室下方へ吹き出す空気を供給するフット吹出開口部とし、特にフット吹出開口部から機能を付加した空気を十分に供給したい場合には、前記空間画成壁体を、前記ベント吹出開口部と前記フット吹出開口部との間の前記壁部に設け、前記仕切壁により、前記空気流路の少なくとも前記熱交換器より下流側を、運転席用分割流路と助手席用分割流路とに分割し、前記ベント吹出開口部を、運転席用ベント吹出開口部と助手席用ベント吹出開口部とに分割し、前記フット吹出開口部を、運転席用フット吹出開口部と助手席用フット吹出開口部とに分割し、
前記機能付加空間を、前記運転席用分割流路に対して、前記運転席用ベント吹出開口部寄りに設けられた第1の運転席用連通部と前記運転席用フット吹出開口部寄りに設けられた第2の運転席用連通部とを介して連通し、また、前記助手席用分割流路に対して、前記助手席用ベント吹出開口部寄りに設けられた第1の助手席用連通部と前記助手席用フット吹出開口部寄りに設けられた第2の助手席用連通部とを介して連通し、
前記第2の運転席用連通部を、前記運転席用フット吹出開口部を開とする吹出モード時に、前記第1の運転席用連通部よりも低圧となるように前記運転席用フット吹出開口部に向けて開口し、前記第2の助手席用連通部を、前記助手席用フット吹出開口部を開とする吹出モード時に、前記第1の助手席用連通部よりも低圧となるように前記助手席用フット吹出開口部に向けて開口するとよい。
【0015】
このような構成においては、空間画成壁体を、ベント吹出開口部とフット吹出開口部との間の壁部に設け、運転席用分割流路に対して、運転席用フット吹出開口部寄りに設けられた第2の運転席用連通部を、運転席用フット吹出開口部が開となる吹出モード時(フットモード時)に運転席用ベント吹出開口部寄りに設けられた第1の運転席用連通部よりも低圧となるように運転席用フット吹出開口部に向けて開口し、また、助手席用分割流路に対して、助手席用フット吹出開口部寄りに設けられた第2の助手席用連通部を、助手席用フット吹出開口部が開となる吹出モード時(フット吹出モード時)に助手席用ベント吹出開口部寄りに設けられた第1の助手席用連通部よりも低圧となるように助手席用フット吹出開口部に向けて開口しているので、運転席用と助手席側の一方又は両方でフット吹出開口部を開とする吹出モード(フット吹出モード)が設定された場合には、それぞれの分割流路から第1の連通部を介して機能付加空間に空気が吸引される。そして、この吸引された空気は、機能付加空間で機能付加装置から機能が付加された後に、前記吹出モードに設定されている分割流路(運転席用分割流路 and/or 助手席用分割流路)に第2の連通部(第2の運転席用連通部 and/or 第2の助手席用連通部)を介して戻されるので(第2の連通部に機能付加空間内の空気を牽引する効果を持たせているので)、機能付加空間内で機能が付加された空気を前記吹出モードに設定されている分割流路のフット吹出開口部へ効果的に導くことが可能となる。
【0016】
ここで、それぞれの分割流路において、相対的に低圧となる連通部は、前記他の連通部よりも吹出開口部の近い位置に形成されるとよい。
このように、空間画成壁体の相対的に低圧となる連通部を他の連粒部よりも吹出開口部により近づけることで、機能付加空間内の空気の牽引効果を大きくすることが可能となる。
【0017】
また、それぞれの分割流路において、前記空間画成壁体を、前記壁部よりも内側に配置し(空調ケース内に配置し)、上流から流れる空気が衝突する面の中間部を、上流側へ突出させるようにしてもよい。
このような構成においては、空間画成壁体の上流から流れる空気が衝突する面(上流側壁面)の中間部を上流側に突出させることで、上流から流れてくる空気を空間画成壁体の上流側壁面でスムーズに連通部に向かって分離させることが可能となり、機能付与空間内の空気の牽引効果を得やすいものとなる。
【0018】
さらに、それぞれの前記分割流路において、前記空間画成壁体の前記他の連通部が形成される部分又はその近傍に、空気を前記他の連通部へ導入しやすくするガイド部を設けるようにしてもよい。
このようなガイド部としては、他の連通部の通路断面積を開口端に向かって大きくするように空間画成壁体を混合エリア側に膨出させたり、他の連通部の近傍に機能付加空間から遠ざかろうとする空気をブロックするガイド壁を設けたりするようにしてもよい。
【0019】
さらにまた、前記空間画成壁体によって画成される前記機能付加空間は、中間部の通路断面積を前記連通部の通路断面積よりも小さく形成してもよい。
このような構成においては、機能付加空間に吸引された空気は、機能付加装置から機能が付加されると共に中間部で流速が早められ、その後、通路断面積が相対的に大きくなっている連通部から放出されるので、機能が付加された空気が空間画成壁体に衝突することなく吹出開口部へ速やかに供給される。このため、機能が付加された空気が空間画成壁体に衝突して機能を低減する不都合を回避することが可能となる。
【0020】
なお、前記空間画成壁体は、空調ケースの前記壁部より外側に設けるようにしてもよい。このような構成においては、空調ケースに対して、外側から空間画成壁体を後付けすることが可能となるので、空調装置の製造が容易となる。
【0021】
以上の車両用空調装置としては、前記熱交換器として、通過する空気を冷却する冷却用熱交換器と、この冷却用熱交換器の下流側に配置され、通過する空気を加熱する加熱用熱交換器と、を有する場合に、前記加熱用熱交換器を、該加熱用熱交換器の上側及び下側にバイパス通路を形成するように前記空気流路に配置するものであっても、該加熱用熱交換器の上側のみにバイパス通路を形成するように前記空気流路に配置するものであってもよい。
【0022】
なお、前記機能付加装置により空気に付加する機能は、イオン付加機能、芳香機能、脱臭機能、湿度調整機能、除菌機能の少なくとも1つを有するものが考えられる。
【発明の効果】
【0023】
以上述べたように、本発明によれば、空気流路の少なくとも熱交換器より下流側が仕切壁によって複数の分割流路に分けられている車両用空調装置において、熱交換器を通過した空気の流方向を変更させる空調ケースの壁部に、この壁部との間に仕切壁によって分割されない機能付加空間を画成する空間画成壁体を設ける共に、壁部又は空間画成壁体に機能付加空間を通過する空気に対して所定の機能を付加する機能付加装置を設け、機能付加空間を、それぞれの分割流路に対して、少なくともそれぞれ2箇所の連通部を介して連通し、それぞれの分割流路において、少なくとも1箇所の連通部を、所定の吹出モードにおいて他の連通部よりも低圧となるように複数の吹出開口部のいずれかに向けて開口させたので、機能付加空間をそれぞれの分割流路で共用することが可能となり、機能付加装置を1つしか設置しない場合でも、機能を付加した空気をどの分割流路からも十分に車室に供給することが可能となる。


【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1(a)は、本発明に係る車両用空調装置の熱交換器から下流側の構成例を示した側断面図であり、図1(b)は、空調装置の吹出開口部の部分を上方から見た図である。
図2図2は、本発明に係る車両用空調装置の熱交換器から下流側の構成例を示した平断面図であり、図1(a)のA-A線から見た図である。
図3図3は、空間画成壁体とイオン発生装置の取付状態を示す図であり、(a)は、その側断面図、(b)は、その斜視図である。
図4図4は、ベント吹出モード時の空気の流れを説明する図である。
図5図5は、バイレベル吹出モード時の空気の流れを説明する図である。
図6図6は、運転席用および助手席側へイオンが付加された空気を供給するモード(All seats mode)を示す図であり、(a)は、機能付加空間での空気の流れを説明する正面から見た図、(b)は、運転席用分割流路での空気の流れを説明する側断面図、(c)は、助手席用分割流路での空気の流れを説明する側断面図である。
図7図7は、運転席用のみにイオンが付加された空気を供給するモード(運転席Prior mode)を示す図であり、(a)は、機能付加空間での空気の流れを説明する正面から見た図、(b)は、運転席用分割流路での空気の流れを説明する側断面図、(c)は、助手席用分割流路での空気の流れを説明する側断面図である。
図8図8は、助手席側のみにイオンが付加された空気を供給するモード(助手席Prior mode)を示す図であり、(a)は、機能付加空間での空気の流れを説明する正面から見た図、(b)は、運転席用分割流路での空気の流れを説明する側断面図、(c)は、助手席用分割流路での空気の流れを説明する側断面図である。
図9図9は、フット吹出モード時の空気の流れを説明する図である。
図10図10は、空間画成壁体をベント吹出開口部へ延ばした例を示す図である。
図11図11は、空間画成壁体のベント吹出開口部寄りの部分をベント吹出開口部の空気の流れに沿うように屈曲させた例を示す図である。
図12図12は、空間画成壁体の中間部を上流側へ突出させた例を示す図である。
図13図13は、空間画成壁体の直下にガイド壁を設けた場合の例を示す図である。
図14図14は、空間画成壁体のフット吹出開口部寄りの開口端の通路面積を大きくするように上流側へ膨出させた例を示す図である。
図15図15は、空間画成壁体の他の例を示す図であり、(a)は正面上方から見た斜視図、(b)は、斜め上方から見た斜視図である。
図16図16は、ヒータコアの上側にのみバイパス通路を形成した空調装置に適用した例を示す図である。
図17図17は、空間画成壁体を空調ケースの壁部の外側に設けた例を示す図であり、(a)はその側断面図、(b)はその斜視図である。
図18図18は、フット吹出開口へイオンが付加された空気を供給する構成例を示す図であり、(a)は、デフフット吹出モードの場合を示す図、(b)は、フット吹出モードの場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、この発明の実施の形態を図面により説明する。
図1及び図2において、車両のダッシュボード内の略中央に搭載されるセンター置きタイプの車両用空調装置1(フルセンター置きタイプやセミセンター置きタイプの空調装置)が示されている。この空調装置1は、エンジンルームと車室とを区画する仕切板よりも車室側に配置されているもので、図示しないインテーク装置を介して、外気(車室外空気)および/または内気(車室内空気)を空調ケース2内に導入するようにしている。
【0026】
空調ケース2は、車室へ向かって流れる空気流路3を形成するもので、この空気流路3の上流側には、導入された空気を冷却可能とする冷却用熱交換器であるエバポレータ4が配置され、このエバポレータ4の下流側には加熱用熱交換器であるヒータコア5が配置されている。
【0027】
エバポレータ4は、冷凍サイクルの一部を構成するもので、空調ケース2内に導入された全ての空気が通過するように空気流路3内に立設され、必要に応じて通過する空気を冷却可能としている。
【0028】
ヒータコア5は、エンジンの冷却水を熱源として通過空気を加熱するもので、この例では、空調ケース2の上面および下面との間に間隙が形成されるように立設されている。
【0029】
空気流路3は、この例では、エバポレータ4より下流側が仕切壁7によって左右2つの分割流路(運転席用分割流路3a、助手席用分割流路3b)に分けられ、エバポレータ4やヒータコア5は、仕切壁7を跨ぐように設置されて各分割流路3a.3bで共用されている。
したがって、それぞれの分割流路3a,3bには、ヒータコア5よりも上側に、エバポレータ4を通過した空気を、ヒータコア5を通過させずにバイパスさせる上側バイパス通路(運転席用上側バイパス通路301a,助手席用上側バイパス通路301b)が形成され、また、ヒータコア5の下側に、エバポレータ4を通過した空気を、ヒータコア5を通過させずにバイパスさせる下側バイパス通路(運転席用下側バイパス通路302a,助手席用下側バイパス通路302b)が形成されている。
【0030】
なお、バイパス通路301a,301b,302a,302bは、ヒータコア5の空調ケース2内の設置高さを調節することによって、又は、ヒータコア5と対峙する空調ケース2の上面や下面をヒータコア5から遠ざける方向に窪ませることによって形成するとよい。
【0031】
また、それぞれの分割流路3a.3bにおいて、バイパス通路301a,301b,302a,302bを通過する空気と、ヒータコア5を通過する空気との割合は、ヒータコア5の上流側に設けられたエアミックスドア61a,61b,62a,62bによって調整可能となっている。
この例では、運転席用分割流路3aにおいて、運転席用上側バイパス通路301aの開度は、ヒータコア5の端面に沿ってスライド可能な運転席用上側エアミックスドア61aによって調節され、運転席用下側バイパス通路302aの開度は、ヒータコア5の端面に沿ってスライド可能な運転席用下側エアミックスドア62aによって調節される。また、助手席用分割流路3bにおいて、助手席用上側バイパス通路301bの開度は、ヒータコア5の端面に沿ってスライド可能な助手席用上側エアミックスドア61bによって調節され、助手席用下側バイパス通路302bの開度は、ヒータコア5の端面に沿ってスライド可能な助手席用下側エアミックスドア62bによって調節される。
【0032】
したがって、エバポレータ4、ヒータコア5、運転席用上側エアミックスドア61a及び運転席用下側エアミックスドア62aによって運転席用分割流路3aに導入された空気の温度を調節する運転席用温度調節手段が形成され、また、エバポレータ4、ヒータコア5、助手席用上側エアミックスドア61b及び助手席用下側エアミックスドア62bによって助手席用分割流路3bに導入された空気の温度を調節する助手席用温度調節手段が形成されており、それぞれの分割流路3a,3bで通過空気を独立に温調可能となっている。
【0033】
運転席用分割流路3aのエバポレータ4の下流側には、ヒータコア5、バイパス通路(運転席用上側バイパス通路301a、運転席用下側バイパス通路302a)、およびヒータコア5を通過した空気を混合可能とする運転席用混合エリア303aが形成され、この運転席用混合エリア303aに臨む空調ケース2には、車室の運転席空間に向かって送出される空気を供給する複数の運転席用吹出開口部が形成されている。
また、助手席用分割流路3bのエバポレータ4の下流側には、ヒータコア5、バイパス通路(助手席用上側バイパス通路301b、助手席用下側バイパス通路302b)、およびヒータコア5を通過した空気を混合可能とする助手席用混合エリア303bが形成され、この助手席用混合エリア303bに臨む空調ケース2には、車室の助手席空間に向かって送出される空気を供給する複数の助手席用吹出開口部が形成されている。
【0034】
空調ケース2の運転席用混合エリア303aに臨む上部前方側と助手席用混合エリア303bに臨む上部前方側には、車両のフロントガラスに向けて送出される空気を供給する共通のデフロスト吹出開口部10が形成されている。
また、空調ケース2の運転席用混合エリア303aに臨む上部後方側には、運転席上方へ向けて送出される空気を供給する運転席用ベント吹出開口部20aが形成され、空調ケース2の助手席用混合エリア303bに臨む上部後方側には、助手席上方へ向けて送出される空気を供給する助手席用ベント吹出開口部20bが形成されている。
【0035】
ここで、ベント吹出開口部(運転席用ベント吹出開口部20a,助手席用ベント吹出開口部20b)は、横幅方向(車幅方向)の中央寄りに設けられたセンタベント吹出開口部21(運転席用センタベント吹出開口部21a、助手席用センタベント吹出開口部21b)と、このセンタベント吹出開口部21に隣接し、横幅方向(車幅方向)の側方寄りに設けられたサイドベント吹出開口部22(運転席用サイドベント吹出開口部22a、助手席用サイドベント吹出開口部22b)とを備えている。
【0036】
また、空調ケース2の運転席用混合エリア303aに臨む下部には、運転席下方に向けて送出される空気を供給する運転席用フット吹出開口部30aが形成され、空調ケース2の助手席用混合エリア303bに臨む下部には、助手席下方に向けて送出される空気を供給する助手席用フット吹出開口部30bが形成されている。この例においては、空調ケース2の運転席側側面の下部に運転席用フット吹出開口部30aが設けられ、空調ケース2の助手席側側面の下部に助手席用フット吹出開口部30bが設けられている。
【0037】
したがって、空調ケース2の車室側には、運転席用ベント吹出開口部20a及び助手席用ベント吹出開口部20bと、運転席用フット吹出開口部30a及び助手席用フット吹出開口部30bとの間の領域に設けられ、それぞれの分割流路で熱交換器(エバポレータ4、ヒータコア5)を通過した空気が衝突して流方向を変更する壁部2aが形成されている。
【0038】
なお、デフロスト吹出開口部10の開度は、このデフロスト吹出開口部内に設けられた運転席用デフロストドア11aと助手席用デフロストドア11bによって調節される。また、運転席用ベント吹出開口部20a(運転席用センタベント吹出開口部21a、及び、運転席用サイドベント吹出開口部22a)の開度は、運転席用ベント吹出開口部20a(運転席用センタベント吹出開口部21a、及び、運転席用サイドベント吹出開口部22a)に臨むように設けられた運転席用ベントドア23aによって調節され、助手席用ベント吹出開口部20b(助手席用センタベント吹出開口部21b、及び、助手席用サイドベント吹出開口部22b)の開度は、助手席用ベント吹出開口部20b(助手席用センタベント吹出開口部21b、及び、助手席用サイドベント吹出開口部22b)に臨むように設けられた助手席用ベントドア23bによって調節される。
ここで、運転席用サイドベント吹出開口部22a及び助手席用サイドベント吹出開口部22bは、吹出モードに拘わらず、常時送風量が確保されるように開度が調節されている。
【0039】
また、運転席用フット吹出開口部30aの開度は、この運転席用フット吹出開口部30aに臨むように設けられた運転席用フットドア31aによって調節され、助手席用フット吹出開口部30bの開度は、この助手席用フット吹出開口部30bに臨むように設けられた助手席用フットドア31bによって調節される。
【0040】
このような空調装置1において、熱交換(エバポレータ4、ヒータコア5)を通過した空気の流方向を変更させる空調ケース2の前記壁部2aには、空間画成壁体40が設けられている。
【0041】
この空間画成壁体40は、図3にも示されるように、仕切壁7に設けられた切り欠き部7aに取り付けられて、運転席用分割流路3aと助手席用分割流路3bとの両流路に突出するように設けられているもので、空調ケース2の壁部2aとの間に所定の間隔を空けて対峙し、仕切壁7を跨ぐように設置された矩形状の正面壁40aと、この正面壁40aの各分割流路に突出したそれぞれの側縁から空調ケース2の壁部2aにかけて延設された側壁40bとを備えるように形成されており、上端部と下端部が開放された形状となっている。
【0042】
したがって、空調ケース2の壁部2aと空間画成壁体40との間には、空間画成壁体40によって覆われると共に仕切壁7によって分割されない空間(機能付加空間41)が画成され、この機能付加空間41は、運転席用分割流路3aと助手席用分割流路3bとに常時連通している。
【0043】
具体的には、機能付加空間41は、空間画成壁体40と壁部2aとの間の間隙によって運転席用ベント吹出開口部20a寄りに形成されると共にこの運転席用ベント吹出開口部20aに向けて開口する第1の運転席用連通部401aを介して運転席用分割流路3a(運転席用混合エリア303a)に連通し、また、空間画成壁体40と壁部2aとの間の間隙によって運転席用フット吹出開口部30a寄りに設けられた第2の運転席用連通部402aを介して運転席用分割流路3a(運転席用混合エリア303a)に連通している。
また、機能付加空間41は、空間画成壁体40と壁部2aとの間の間隙によって助手席用ベント吹出開口部20b寄りに形成されると共にこの助手席用ベント吹出開口部20bに向けて開口する第1の助手席用連通部401bを介して助手席用分割流路3b(助手席用混合エリア303b)に連通し、また、空間画成壁体40と壁部2aとの間の間隙によって助手席用フット吹出開口部30b寄りに設けられた第2の助手席用連通部402bを介して助手席用分割流路3b(助手席用混合エリア303b)に連通している。
なお、この例において、機能付加空間41は、上端から下端にかけて断面積が等しく形成されている。
【0044】
そして、このような空間画成壁体40で覆われた空調ケース2の壁部2aには、前記機能付加空間41を通過する空気に対して所定の機能を付加する機能付加装置43が設けられている。
この例では、機能付加装置43は、機能付加空間41を通過する空気に対してイオンを付加するイオン発生装置44として構成され、空調ケース2の壁部2aの外側に取り付けられ、この壁部2aに形成された通孔2bを介してイオンを発生させる陰極44a及び陽極44bを機能付加空間41に臨ませるようにしている。
【0045】
また、この例では、第1の連通部(第1の運転席用連通部401a及び第1の助手席用連通部401b)と第2の連通部(第2の運転席用連通部402a及び第2の助手席用連通部402b)は、イオン発生装置44に対して上下に対称的に形成されているが、空間画成壁体40は、車室側の壁部2aのうち、フット吹出開口部30よりもベント吹出開口部20寄りの位置に設置されており、ベント吹出開口部20a,20bを開とする吹出モード時に、空間画成壁体40の周囲の空気の流れで第1の連通部401a,401bでの静圧が第2の連通部402a,402bでの静圧よりも低くなるように第1の連通部401a,401bがベント吹出開口部20a,20bに向けて開口されている。
【0046】
以上の構成において、例えば、運転席用分割流路3aと助手席用分割流路3bのそれぞれにおいて、図4に示されるように、エアミックスドア61a,61b,62a,62bをフルクール位置(エバポレータ4を通過した空気の全てをヒータコア5をバイパスさせてバイパス通路301a,301b,302a,302bを通過させる位置)とし、ベント吹出開口部20a,20bのみを開とするベント吹出モードに設定する場合について説明する。
【0047】
このような吹出モードにおいては、それぞれの分割流路(運転席用分割流路3a,助手席用分割流路3b)において、空調ケース2内の熱交換器4,5よりも上流側から供給された空気は、エバポレータ4を通過した後に上側バイパス通路(運転席用上側バイパス通路301a,助手席用上側バイパス通路301b)と下側バイパス通路(運転席用下側バイパス通路302a,助手席用下側バイパス通路302b)を通って混合エリア(運転席用混合エリア303a,助手席用混合エリア303b)に至る。
【0048】
この混合エリア303a,303bに導かれた空気は、空間画成壁体40の正面壁40a及び空調ケース2の壁部2aに衝突して流方向が上方に変更され、空間画成壁体40の表面及び空調ケース2の壁部2aに沿ってベント吹出開口部20a,20bへ導かれると共に、機能付加空間41に各分割流路(運転席用分割流路3a,助手席用分割流路3b)から第2の連通部(第2の運転席用連通部402a,第2の助手席用連通部402b)を介して入り、イオン発生装置44で発生されたイオンが付加された後に第1の連通部(第1の運転席用連通部401a,第1の助手席用連通部401b)から空気流路3(混合エリア303a,303b)に戻され、ベント吹出開口部(運転席用ベント吹出開口部20a,助手席用ベント吹出開口部20b)へ導かれる。
【0049】
この際、それぞれの分割流路3a,3bにおいては、空間画成壁体40の表面に沿ってベント吹出開口部(運転席用ベント吹出開口部20a,助手席用ベント吹出開口部20b)へ流れる空気によって第1の連通部(第1の運転席用連通部401a、第1の助手席用連通部401b)でアスピレーション効果が発生し、第1の運転席用連通部401aと第1の助手席用連通部401bの静圧が第2の運転席用連通部402aと第2の助手席用連通部402bの静圧よりも低くなる。このため、機能付加空間41内の空気は,第1の運転席用連通部401aを介して運転席用ベント吹出開口部20aに牽引(吸引)されると共に、第1の助手席用連通部401bを介して助手席用ベント吹出開口部20bに牽引(吸引)され、また、第2の運転席用連通部402aを介して運転席用混合エリア303aの空気が機能付加空間41に吸引されると共に第2の助手席用連通部402bを介して助手席用混合エリア303bの空気が機能付加空間41に吸引される。
【0050】
したがって、それぞれの分割流路3a,3bに対して、機能付加空間41でイオンが付加された空気が供給されるので、1つのイオン発生装置44を用いてそれぞれの分割流路からイオンを付加した空気を車室へ供給することが可能となる。このため、イオン発生装置を分割流路毎に配置する必要がなくなり、限られた設置スペースに空調装置を設置する場合でも支障をきたす不都合がなくなる。
【0051】
次に、例えば、図5に示されるように、運転席用と助手席側のそれぞれにおいて、エアミックスドア6a,6bを中間位置(エバポレータ4を通過した空気をヒータコア5を通過させると共にバイパス通路(上側バイパス通路301a、301b及び下側バイパス通路302a、302b)を通過させる位置)とし、ベント吹出開口部20a,20bとフット吹出開口部30a,30bを開とするバイレベル吹出モードに設定した場合について説明する。
【0052】
この吹出モードにおいては、空調ケース2内の供給された空気は、エバポレータ4を通過した後に上側バイパス通路301a,301b及び下側バイパス通路302a,302bを通る空気とヒータコア5を通過する空気とに分けられ、ヒータコア5の後方で合流すると共に空調ケース2の壁部2aや空間画成壁体40の正面壁40aに衝突して流方向が変更される。
【0053】
このうち、空間画成壁体40の正面壁40aに衝突した空気は、一部が流方向を上側に向けられてベント吹出開口部20a,20bに向かって流れ、また残りが下側に向けられてフット吹出開口部30a,30bに向かって流れるが、空間画成壁体40の表面に沿ってベント吹出開口部20a,20bへ向けて流れる空気によって第1の運転席用連通部401a及び第1の助手席用連通部401bで生じるアスピレーション効果により、第1の運転席用連通部401a及び第1の助手席用連通部401bは、第2の運転席用連通部402aや第2の助手席用連通部402bよりも相対的に低圧となり、機能付加空間41内の空気が第1の連通部401a、401bに牽引されると共に、各分割流路3a,3b内(混合エリア303a,303b内)の空気が第2の連通部402a,402bから機能付加空間41に吸引され、機能付加空間41でイオン発生装置44によってイオンが付加された空気を運転席用ベント吹出開口部20aと助手席用ベント吹出開口部20bへ供給することが可能となる。
【0054】
このように、運転席側および助手席側でベント吹出開口部を開とする吹出モード(all seats mode)においては、機能付加空間41を運転席用分割流路3aと助手席用分割流路3bで共用しているので、図6に示されるように、第2の運転席用連通部402aと第2の助手席用連通部402bを介して機能付加空間41に吸引された空気は、機能付加空間41で部分的に混合するが、機能付加空間41内でイオンが付加された後にここに淀むことなく第1の運転席用連通部401aを介して運転席用ベント吹出開口部20aに供給されると共に、第1の助手席用連通部401bを介して助手席用ベント吹出開口部20bへ供給される。
【0055】
また、運転席のみに空調空気を供給する運転席優先モード(助手席の開口部を全て閉とするモード)とした場合でも、第1の運転席用連通部401aでのアスピレーション効果によって,第1の運転席用連通部401aが相対的に低圧となるので、図7に示されるように、第2の運転席用連通部402a及び第2の助手席用連通部402bを介して運転席用混合エリア303a及び助手席用混合エリア303bの空気が機能付加空間41に吸引され、第1の運転席用連通部401aに牽引されるので、運転席用ベント吹出開口部20aへイオンが付加された空気を十分に供給することが可能となる。
【0056】
同様に、助手席のみに空調空気を供給する助手席優先モード(運転席の開口部を全て閉とするモード)とした場合でも、第1の助手席用連通部401bでのアスピレーション効果によって,第1の助手席用連通部401bが相対的に低圧となるので、図8に示されるように、第2の運転席用連通部402a及び第2の助手席用連通部402bを介して運転席用混合エリア303a及び助手席用混合エリア303bの空気が機能付加空間41に吸引され、第2の運転席用連通部401bに牽引されるので、助手席用ベント吹出開口部20bへイオンが付加された空気を十分に供給することが可能となる。
このように、いずれの分割流路から車室に空気を供給する場合でも、機能付加空間41をそれぞれの分割流路3a,3bで共用しているので、1つのイオン発生装置44によってイオンが付加された空気をどの分割流路からも車室へ十分に供給することが可能なる。
【0057】
また、図9に示されるように、エアミックスドア6a,6bをフルホット位置(エバポレータ4を通過した空気をヒータコア5のみを通過させる位置)とし、デフロスト吹出開口部10を閉、センタベント吹出開口部21を閉、サイドベント吹出開口部22とフット吹出開口部30を開とするフット吹出モードにおいて、空間画成壁体をサイドベント吹出開口部の近傍に設けたりすることで、第1の連通部(第1の運転席用連通部401a,第1の助手席用連通部401b)に、機能付加空間41の空気を牽引するアスピレーション効果を発生させ、イオンを付加した空気をサイドベント吹出開口部から車室に供給することも可能となる。
【0058】
以上においては、ベント吹出開口部20へイオンを付加した空気を供給する構成について説明したが、それぞれの分割流路3a、3bにおいて、より効果的にイオンを付加した空気をベント吹出開口部20a,20bへ供給する方法としては、図10図15に示す変形例を採用してもよい。
【0059】
このうち、図10の例は、第1の連通部401a,401bとベント吹出開口部20a,20bとの距離を、第2の連通部402a,402bとフット吹出開口部30a,30bとの距離よりも短くすると共に、第1の連通部401a,401bをベント吹出開口部20a,20bに直接開放することで、イオンが付加させた空気を直接ベント吹出開口部20a,20bへ供給するようにしている。
このような構成においては、ベント吹出開口部20a,20bに第1の連通部401a,401bが直接連通するので、アスピレーション効果を得やすいものとなり、機能付加空間41でイオンが付加された空気をより効果的にベント吹出開口部20a,20bに供給することが可能となる。
【0060】
上述した図10で示す構成において、アスピレーション効果をさらに高めるために、図11に示されるように、第1の連通部41aをベント吹出開口部20に入り込むように,空間画成壁体40の上端部をベント吹出開口部20a,20bの内壁面に沿って開口端へ向けて延設させてもよい。
【0061】
また、空間画成壁体40は、図12に示されるように、上流から流れる空気が衝突する正面壁40aの中間部を、上流側(混合エリア303a,303b)へ突出させるように構成してもよい。
このような構成においては、上流から流れてくる空気が空間画成壁体40の正面壁40aでスムーズに上側と下側へ分かれるので、空間画成壁体40の前面で空気が停留する領域を形成しにくくすると共に、空気の流れを確実に上下に方向付けすることができ、連通部でのアスピレーション効果を高めることが可能となる。
この場合においても、ベント吹出開口部に向けて開口する第1の連通部401a,401bでのアスピレーション効果を高めるために、正面壁40aに衝突した空気の多くをベント吹出開口部に向けて(上方に向けて)流れるように、空気を分岐させる位置を正面壁40aの下部寄りにするとよい。
【0062】
図13の例では、空間画成壁体40の第2の連通部402a,402bの下方に空調ケース2の壁部2aから内側に突設した板状のガイド部45を設け、このガイド部45よりも上方から下方に向かって流れる空気を受け止めて第2の連通部402a,402bへ導きやすくしている。
このような構成においては、フット吹出開口部30が開口されている場合でも、空間画成壁体の直下の空気がフット吹出開口部へ導かれるのを阻止して第2の連通部402a,402bの付近で空気が下方に牽引される不都合を抑えることができ、第1の連通部401a,401bでのアスピレーション効果による機能付加空間41への空気の吸引を促進することが可能となる。
【0063】
また、機能付加空間41に空気を導入しやすくするための手段は、図14に示されるように、空間画成壁体40に設けるようにしてもよい。例えば、空間画成壁体40の下端部を混合エリア303a,303b側に膨出させることで空間画成壁体40の下端部に開口面積を大きくしたガイド部40cを形成し、機能付加空間41へ入り込む空気の流れを形成しやすくしてもよい。
【0064】
また、上述の空間画成壁体40は、機能付加空間41を空気流路3に連通させる第1の連通部41aから第2の連通部41bにかけて流路断面積をほぼ等しくした例を示したが、例えば、図15に示されるように、中間部において、流路断面積を絞る(両端の連通部401a,401b,402a,402bよりも流路断面積を小さくする)ようにしてもよい。この図15の例においては、機能付加空間41を断面半円状とし、空間画成壁体40の中間部で流路断面積が最も小さくなるようになだらかに中間部を窪ませた形状としている。
【0065】
このような構成においては、機能付加空間41へ空気が導入しやすくなり、また機能付加空間41に吸引された空気は、イオン発生装置44でイオンが付加されると共に中間部において流速が早められ、その後、通路断面積が大きい連通部(第1の連通部401a,401b)から放出されるので、イオンが付加された空気が空間画成壁体40に衝突することなくベント吹出開口部20a,20bへ速やかに供給される。このため、イオンが付加された空気が空間画成壁体40に衝突することで機能が低減する(イオンが消滅する)不都合を回避することが可能となり、また、イオンが付加された空気を、流速を早めることでベント吹出開口部20a,20bへ確実に供給することが可能となる。
【0066】
以上の構成においては、ヒータコア5の上側に上側バイパス通路301a,301bを形成し、また、ヒータコア5の下側に下側バイパス通路302a,302bを形成し、それぞれのバイパス通路301a,301b,302a,302bの開度を別々のエアミックスドア61a,61b,62a,62bで調節する場合について説明したが、図16に示されるように、それぞれの分割流路3a,3bでヒータコア5の上方にのみバイパス通路301a,301bを形成し、このバイパス通路301a,301bを通過する空気とヒータコア5を通過する空気との割合を1つのエアミックスドア61a,61bで調節する空調装置においても、同様の構成を採用することで、同様の作用効果を得ることが可能である。
【0067】
以上の例では、イオン発生装置44を空調ケース2の壁部2aの外側に設置した例を示したが、壁部2aの内側に設置するようにしても、空間画成壁体40に設けるようにしてもよい。
【0068】
また、上述までの例では、空間画成壁体40を空調ケース2の内側(壁部2aの内面)に設けた例を示したが、図17に示すように、空調ケース2の外側(壁部2aの外面)に空間画成壁体40を設け、この空間画成壁体40で覆われた空調ケース2の壁部2a、又は、空間画成壁体40に機能付加装置43(イオン発生装置44)を設けるようにしてもよい。
【0069】
この図17に示す例では、空間画成壁体40を、空調ケース2の壁部2aと対峙する部分が開放された箱体状に形成し、空調ケース2の壁部2aに対して仕切壁7を跨ぐように外側から取り付け、空間画成壁体40の内側に壁部2aとの間で機能付加空間41を形成している。そして、空調ケース2の壁部2aと対峙する空間画成壁体40の内面に、イオン発生装置44を固定し、機能付加空間41内の空気に対してイオンを付加できるようにしている。
【0070】
空間画成壁体40で覆われた空調ケース2の壁部2aには、機能付加空間41の上端部と下端部に臨むと共に仕切壁7を跨ぐように開口部2c,2dが設けられている。この機能付加空間41の上端部に臨む開口部2cのうち、運転席用分割流路3aに開口している部分によって、機能付加空間41を運転席用分割流路3aに連通すると共に運転席用ベント吹出開口部寄りに開口する第1の運転席用連通部401aが形成され、助手席用分割流路3bに開口している部分によって、機能付加空間41を助手席用分割流路3bに連通すると共に助手席用ベント吹出開口部寄りに開口する第1の助手席用連通部401bが形成されている。
【0071】
また、機能付加空間41の下端部に臨む開口部2dのうち、運転席用分割流路3aに開口している部分によって、機能付加空間41を運転席用分割流路3aに連通すると共に運転席用フット吹出開口部寄りに開口する第2の運転席用連通部402aが形成され、助手席用分割流路3bに開口している部分によって、機能付加空間41を助手席用分割流路3bに連通すると共に助手席用フット吹出開口部寄りに開口する第2の助手席用連通部402bが形成されている。
【0072】
このような構成においては、空調ケース2の壁部2aに衝突してベント吹出開口部20a,20bへ流方向が変更された空気が第1の連通部401a,401bの手前を通過する際に、第1の連通部401a,401bにアスピレーション効果が発生し、この第1の連通部401a,401bの静圧が第2の連通部402a,402bの静圧よりも相対的に低くなる。このため、それぞれの分割流路3a,3bで、混合エリア303a,303bの空気の一部は、第2の連通部402a,402bから機能付加空間41に吸引され、この機能付加空間41でイオン発生装置44からイオンを付加された後に、第1の連通部401a,401bから混合エリア303a,303bに戻され、ベント吹出開口部20a,20bへ向かって流れるので、各分割流路3a,3bでベント吹出開口部20a,20bにイオンを付加した空気を十分に供給することが可能となる。
【0073】
以上の例では、機能付加空間41でイオンが付加された空気をベント吹出開口部20a,20bを介して供給する例について述べたが、フット吹出開口部30a,30bを介してイオンを付加した空気を供給する要請がある場合には、フット吹出開口部30a,30bに近接する第2の連通部402a,402bを、フット吹出開口部30a,30bを開とする吹出モード(デフフット吹出モード、フット吹出モード)で、第1の連通部401a,401bよりも低圧となるように空間画成壁体40の設置位置や形状を調整するとよい。
【0074】
例えば、図18に示されるように、フット吹出開口部30に向けて開口する空間画成壁体40の第2の連通部41aを、フット吹出開口部30a,30bに近づけように下方へ延ばし、第2の連通部402a,402bでのアスピレーション効果が大きくなるようにするとよい。
【0075】
また、図18の変形例としては、ベント吹出開口部へイオンを供給するために例示した各種態様を、図18の態様に合せて同様に採用することが可能である。例えば、ガイド部を第1の連通部401a、401bの直上に設けたり、空間画成壁体40の正面でフット吹出開口部へ分流する空気を多くするように正面壁40aの中間部を上流側へ突出させたり、空間画成壁体の上端部を混合エリア側へ膨出させたり、してもよい。
【0076】
なお、以上の例では、機能付加空間を通過した空気に機能を付加する機能付加装置として、イオンを空気に付加するイオン発生装置44の例を挙げたが、芳香機能を付加する芳香発生装置、脱臭機能を付加する脱臭装置、湿度調整機能を付加する湿度調整装置、除菌機能を付加する除菌装置のいずれかに置き換えても、また、適宜組み合わせて設けるようにしてもよい。
【0077】
なお、以上においては、空気流路が仕切壁により左右の分割流路に分けられ、左右独立温調が可能な車両用空調装置の例を示したが、仕切壁により上下に分割流路を形成する場合や3つ以上の分割流路を形成する場合においても、仕切壁7を跨ぐように空間画成壁体40を設け、機能付加空間41を複数の分割流路で共用する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 車両用空調装置
2 空調ケース
2a 壁部
3 空気流路
3a 運転席用分割流路
3b 助手席用分割流路
4 エバポレータ
5 ヒータコア
61a,61b,62a,62b ミックスドア
20a 運転席用ベント吹出開口部
20b 助手席用ベント吹出開口部
30a 運転席用フット吹出開口部
30b 助手席用フット吹出開口部
40 空間画成壁体
41 機能付加空間
401a 第1の運転席用連通部
401b 第1の助手席用連通部
402a 第2の運転席用連通部
402b 第2の助手席用連通部
43 機能付加装置
44 イオン発生装置
図1
図2
図3
図4
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