(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】給電制御装置、給電制御方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
H02H 7/20 20060101AFI20221018BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
H02H7/20 D
H02J7/00 Y
H02J7/00 S
(21)【出願番号】P 2018020401
(22)【出願日】2018-02-07
【審査請求日】2020-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】澤野 峻一
(72)【発明者】
【氏名】納田 真二
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雅幸
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-236297(JP,A)
【文献】特開2003-047148(JP,A)
【文献】特開2018-013456(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 7/20
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電器から流れる電流の第1電流経路に設けられた半導体スイッチと、
前記半導体スイッチのオフへの切替えを指示する指示部と、
前記指示部が前記半導体スイッチのオフへの切替えを指示している場合に、前記半導体スイッチを介して電流が流れているか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって電流が流れていると判定された場合、前記蓄電器から流れる電流の第2電流経路を介して前記蓄電器に放電させるか、又は、前記蓄電器に放電を停止させる放電制御部と
、
前記判定部によって電流が流れていると判定された場合、接続スイッチのオフへの切替えを指示するオフ信号を出力するオフ信号出力部と
を備え、
発電機は、前記接続スイッチを介して前記蓄電器を充電するとともに、前記接続スイッチ及び半導体スイッチを介して電力を供給する
給電制御装置。
【請求項2】
前記放電制御部は、前記蓄電器に一端が接続されている入出力スイッチのオフへの切替えを指示することによって、前記蓄電器に放電を停止させる
請求項1に記載の給電制御装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記指示部が前記半導体スイッチのオフへの切替えを指示している場合にて、前記半導体スイッチの下流側の一端の電圧が所定電圧以上であるとき、電流が流れていると判定する
請求項1
又は請求項2に記載の給電制御装置。
【請求項4】
前記第2電流経路に設けられた電流スイッチを備え、
前記放電制御部は、前記電流スイッチのオンへの切替えを指示することによって、前記第2電流経路を介して前記蓄電器に放電させる
請求項1から
請求項3のいずれか1つに記載の給電制御装置。
【請求項5】
蓄電器から流れる電流の第1電流経路に設けられた半導体スイッチのオフへの切替えを指示するステップと、
前記半導体スイッチのオフへの切替えを指示している場合に、前記半導体スイッチを介して電流が流れているか否かを判定するステップと、
電流が流れていると判定した場合、前記蓄電器から流れる電流の第2電流経路を介して前記蓄電器に放電させるか、又は、前記蓄電器に放電を停止させるステップと、
電流が流れていると判定した場合、接続スイッチのオフへの切替えを指示するオフ信号を出力するステップと
を含み、
発電機は、前記接続スイッチを介して前記蓄電器を充電するとともに、前記接続スイッチ及び半導体スイッチを介して電力を供給する
給電制御方法。
【請求項6】
コンピュータに、
蓄電器から流れる電流の第1電流経路に設けられた半導体スイッチのオフへの切替えを指示するステップと、
前記半導体スイッチのオフへの切替えを指示している場合に、前記半導体スイッチを介して電流が流れているか否かを判定するステップと、
電流が流れていると判定した場合、前記蓄電器から流れる電流の第2電流経路を介した前記蓄電器に放電させるか、又は、前記蓄電器に放電を停止させるステップと、
電流が流れていると判定した場合、接続スイッチのオフへの切替えを指示するオフ信号を出力するステップと
を実行させるために用いられ、
発電機は、前記接続スイッチを介して前記蓄電器を充電するとともに、前記接続スイッチ及び半導体スイッチを介して電力を供給する
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給電制御装置、給電制御方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、バッテリから負荷への給電を制御する給電制御装置(例えば、特許文献1を参照)が搭載されている。特許文献1に記載の給電制御装置では、バッテリから負荷に流れる電流の電流経路に半導体スイッチが設けられ、半導体スイッチをオン又はオフに切替えることによって、バッテリから負荷への給電を制御する。
【0003】
半導体スイッチは制御端を有する。例えば、半導体スイッチがFET(Field Effect Transistor)である場合、制御端はゲートである。半導体スイッチの両端間の抵抗値は、制御端の電圧に応じて変化する。制御端の電圧を調整することによって、半導体スイッチの両端間の抵抗値を十分に小さい値に調整し、半導体スイッチをオンに切替える。制御端の電圧を調整することによって、半導体スイッチの両端間の抵抗値を十分に大きい値に調整し、半導体スイッチをオフに切替える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体スイッチの故障としてハーフオン故障がある。ハーフオン故障は、制御端の電圧の調整によって、半導体スイッチの両端間の抵抗値を、十分に大きい値、又は、十分に小さい値に調整することができない現象である。ハーフオン故障が発生している場合、半導体スイッチの両端間の抵抗値は十分に大きくないので、半導体スイッチを介して電流が流れ、半導体スイッチは発熱する。
【0006】
半導体スイッチの発熱量は、半導体スイッチの両端間の抵抗値と、半導体スイッチを介して流れる電流の電流値の2乗値との積が大きい程、大きい。ハーフオン故障が発生している場合、半導体スイッチの両端間の抵抗値は十分に小さくないので、半導体スイッチの発熱量は大きい。このため、半導体スイッチにおいてハーフオン故障が発生している場合、半導体スイッチの温度が想定温度以上となる可能性がある。従って、ハーフオン故障が発生した場合、半導体スイッチを介して流れる電流の電流値を調整することによって、半導体スイッチの温度上昇を抑制する必要がある。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ハーフオン故障が発生した場合に半導体スイッチの温度上昇を抑制することができる給電制御装置、給電制御方法及びコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る給電制御装置は、蓄電器から流れる電流の第1電流経路に設けられた半導体スイッチと、前記半導体スイッチのオフへの切替えを指示する指示部と、前記指示部が前記半導体スイッチのオフへの切替えを指示している場合に、前記半導体スイッチを介して電流が流れているか否かを判定する判定部と、前記判定部によって電流が流れていると判定された場合、前記蓄電器から流れる電流の第2電流経路を介して前記蓄電器に放電させるか、又は、前記蓄電器に放電を停止させる放電制御部と、前記判定部によって電流が流れていると判定された場合、接続スイッチのオフへの切替えを指示するオフ信号を出力するオフ信号出力部とを備え、発電機は、前記接続スイッチを介して前記蓄電器を充電するとともに、前記接続スイッチ及び半導体スイッチを介して電力を供給する。
【0009】
本発明の一態様に係る給電制御方法は、蓄電器から流れる電流の第1電流経路に設けられた半導体スイッチのオフへの切替えを指示するステップと、前記半導体スイッチのオフへの切替えを指示している場合に、前記半導体スイッチを介して電流が流れているか否かを判定するステップと、電流が流れていると判定した場合、前記蓄電器から流れる電流の第2電流経路を介して前記蓄電器に放電させるか、又は、前記蓄電器に放電を停止させるステップと、電流が流れていると判定した場合、接続スイッチのオフへの切替えを指示するオフ信号を出力するステップとを含み、発電機は、前記接続スイッチを介して前記蓄電器を充電するとともに、前記接続スイッチ及び半導体スイッチを介して電力を供給する。
【0010】
本発明の一態様に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、蓄電器から流れる電流の第1電流経路に設けられた半導体スイッチのオフへの切替えを指示するステップと、前記半導体スイッチのオフへの切替えを指示している場合に、前記半導体スイッチを介して電流が流れているか否かを判定するステップと、電流が流れていると判定した場合、前記蓄電器から流れる電流の第2電流経路を介した前記蓄電器に放電させるか、又は、前記蓄電器に放電を停止させるステップと、電流が流れていると判定した場合、接続スイッチのオフへの切替えを指示するオフ信号を出力するステップとを実行させるために用いられ、発電機は、前記接続スイッチを介して前記蓄電器を充電するとともに、前記接続スイッチ及び半導体スイッチを介して電力を供給する。
【0011】
なお、本発明を、このような特徴的な処理部を備える給電制御装置として実現することができるだけでなく、かかる特徴的な処理をステップとする給電制御方法として実現したり、かかるステップをコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムとして実現したりすることができる。また、本発明を、給電制御装置の一部又は全部を実現する半導体集積回路として実現したり、給電制御装置を含む給電制御システムとして実現したりすることができる。
【発明の効果】
【0012】
上記の態様によれば、ハーフオン故障が発生した場合に半導体スイッチの温度上昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態1における電源システムの要部構成を示すブロック図である。
【
図2】給電制御装置の要部構成を示すブロック図である。
【
図3】給電制御処理の手順を示すフローチャートである。
【
図4】第1抑制処理の手順を示すフローチャートである。
【
図5】給電制御装置の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【
図6】実施形態2における電源システムの要部構成を示すブロック図である。
【
図7】給電制御装置の要部構成を示すブロック図である。
【
図8】給電制御処理の手順を示すフローチャートである。
【
図9】実施形態3における電源システムの要部構成を示すブロック図である。
【
図10】給電制御装置の要部構成を示すブロック図である。
【
図11】第1抑制処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列挙して説明する。以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0015】
(1)本発明の一態様に係る給電制御装置は、蓄電器から流れる電流の第1電流経路に設けられた半導体スイッチと、前記半導体スイッチのオフへの切替えを指示する指示部と、前記指示部が前記半導体スイッチのオフへの切替えを指示している場合に、前記半導体スイッチを介して電流が流れているか否かを判定する判定部と、前記判定部によって電流が流れていると判定された場合、前記蓄電器から流れる電流の第2電流経路を介して前記蓄電器に放電させるか、又は、前記蓄電器に放電を停止させる放電制御部とを備える。
【0016】
(2)本発明の一態様に係る給電制御装置では、前記判定部は、前記指示部が前記半導体スイッチのオフへの切替えを指示している場合にて、前記半導体スイッチの下流側の一端の電圧が所定電圧以上であるとき、電流が流れていると判定する。
【0017】
(3)本発明の一態様に係る給電制御装置では、発電機は、接続スイッチを介して前記蓄電器を充電するとともに、前記接続スイッチ及び半導体スイッチを介して電力を供給し、前記判定部によって電流が流れていると判定された場合、前記接続スイッチのオフへの切替えを指示するオフ信号を出力するオフ信号出力部を備える。
【0018】
(4)本発明の一態様に係る給電制御装置は、前記第2電流経路に設けられた電流スイッチを備え、前記放電制御部は、前記電流スイッチのオンへの切替えを指示することによって、前記第2電流経路を介して前記蓄電器に放電させる。
【0019】
(5)本発明の一態様に係る給電制御装置では、前記蓄電器は前記第2電流経路を介して負荷に電力を供給し、前記判定部によって電流が流れていると判定された場合、前記負荷による所定動作の実行を指示する動作信号を出力する動作信号出力部を備える。
【0020】
(6)本発明の一態様に係る給電制御装置では、前記放電制御部は、前記蓄電器に一端が接続されている入出力スイッチのオフへの切替えを指示することによって、前記蓄電器に放電を停止させる。
【0021】
(7)本発明の一態様に係る給電制御方法は、蓄電器から流れる電流の第1電流経路に設けられた半導体スイッチのオフへの切替えを指示するステップと、前記半導体スイッチのオフへの切替えを指示している場合に、前記半導体スイッチを介して電流が流れているか否かを判定するステップと、電流が流れていると判定した場合、前記蓄電器から流れる電流の第2電流経路を介して前記蓄電器に放電させるか、又は、前記蓄電器に放電を停止させるステップとを含む。
【0022】
(8)本発明の一態様に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、蓄電器から流れる電流の第1電流経路に設けられた半導体スイッチのオフへの切替えを指示するステップと、前記半導体スイッチのオフへの切替えを指示している場合に、前記半導体スイッチを介して電流が流れているか否かを判定するステップと、電流が流れていると判定した場合、前記蓄電器から流れる電流の第2電流経路を介した前記蓄電器に放電させるか、又は、前記蓄電器に放電を停止させるステップとを実行させる。
【0023】
上記の一態様に係る給電制御装置、給電制御方法及びコンピュータプログラムにあっては、半導体スイッチにおいてハーフオン故障が発生している場合、半導体スイッチのオフへの切替えを指示している状態でも、半導体スイッチを介して電流が流れる。半導体スイッチのオフへの切替えを指示している場合に半導体スイッチを介して電流が流れていると判定したとき、第1電流経路とは異なる第2電流経路を介して蓄電器に放電させるか、又は、蓄電器の放電を停止させる。第2電流経路を介して蓄電器が放電した場合、時間の経過とともに蓄電器の出力電圧は低下する。第2電流経路を介した放電、又は、放電の停止により、ハーフオン故障が発生している半導体スイッチを介して流れる電流の電流値が低下し、半導体スイッチの温度上昇が抑制される。
【0024】
上記の一態様に係る給電制御装置にあっては、例えば、蓄電器が半導体スイッチを介して負荷に電力を供給する。この場合において、半導体スイッチを介して電流が流れているとき、半導体スイッチの下流側の一端の電圧はゼロVを超えている。同様の場合において、半導体スイッチを介して電流が流れていないとき、負荷に電流が流れていないので、半導体スイッチの下流側の一端の電圧はゼロVである。半導体スイッチのオフへの切替えを指示している場合において、半導体スイッチの下流側の電圧が所定電圧以上であるとき、半導体スイッチを介して電流が流れていると判定する。
【0025】
上記の一態様に係る給電制御装置にあっては、半導体スイッチを介して電流が流れていると判定した場合、接続スイッチをオフに切替え、発電機から蓄電器への充電と、半導体スイッチを介した発電機の給電とを禁止する。接続スイッチがオフである状態で、第2電流経路を介して蓄電器に放電させるか、又は、蓄電器に放電を停止させる。
【0026】
上記の一態様に係る給電制御装置にあっては、半導体スイッチを介して電流が流れていると判定した場合、電流スイッチをオンに切替える。これにより、蓄電器は第2電流経路を介して放電し、蓄電器の出力電圧は低下する。
【0027】
上記の一態様に係る給電制御装置にあっては、半導体スイッチを介して電流が流れていると判定した場合、動作信号を出力する。これにより、第2電流経路を介して蓄電器が電力を供給している負荷は所定動作を行い、故障の発生が報知される。
【0028】
上記の一態様に係る給電制御装置にあっては、半導体スイッチを介して電流が流れていると判定した場合、入出力スイッチをオフに切替える。これにより、蓄電器は放電を停止する。
【0029】
[本発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係る電源システムの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0030】
(実施形態1)
図1は、実施形態1における電源システム1の要部構成を示すブロック図である。電源システム1は、好適に車両に搭載されており、第1蓄電器10、第2蓄電器11、給電制御装置12、第1負荷13a、第2負荷13b、第3負荷14、ECU(Electronic Control Unit)15、接続スイッチ16、給電スイッチ17、発電機18及びスタータ19を備える。第1蓄電器10及び第2蓄電器11夫々は、直流電源であり、例えば、バッテリである。
【0031】
第1蓄電器10の正極は、接続スイッチ16の一端に接続されている。第1蓄電器10及び接続スイッチ16間の接続ノードは、給電制御装置12に接続されている。給電制御装置12は、更に、第1負荷13a、第2負荷13b及びECU15に接続されている。第1蓄電器10の負極と、第1負荷13a及び第2負荷13bの他端とは接地されている。
【0032】
接続スイッチ16の他端は、第2蓄電器11の正極と、給電スイッチ17、発電機18及びスタータ19の一端とに接続されている。給電スイッチ17の他端は第3負荷14の一端に接続されている。第2蓄電器11の負極と、第3負荷14、発電機18及びスタータ19の他端とは接地されている。
【0033】
発電機18は、車両のエンジンに連動して交流の電力を発生させる。発電機18は、発生させた交流の電力を直流の電力に整流し、整流した直流の電力を供給する。発電機18は、エンジンが作動している場合において、適切なタイミングで発電する。発電機18は、エンジンが動作を停止している場合、発電することはない。
スタータ19は、エンジンを作動させるためのモータである。スタータ19が作動している間、発電機18が発電することはない。
【0034】
発電機18が発電している場合、発電機18は第2蓄電器11を充電する。同様の場合において、給電スイッチ17がオンであるとき、発電機18は給電スイッチ17を介して第3負荷14に電力を供給する。同様の場合において、接続スイッチ16がオンであるとき、発電機18は、接続スイッチ16を介して第1蓄電器10を充電するとともに、接続スイッチ16及び給電制御装置12を介して第1負荷13a及び第2負荷13bに電力を供給する。
【0035】
第2蓄電器11はスタータ19に電力を供給する。発電機18が動作を停止している場合において、接続スイッチ16及び給電スイッチ17がオンであると仮定する。この状態において、第1蓄電器10の出力電圧が第2蓄電器11の出力電圧よりも高い場合、第1蓄電器10は、第2蓄電器11を充電し、給電制御装置12を介して第1負荷13a及び第2負荷13bに電力を供給し、第3負荷14に電力を供給する。同様の状態において、第2蓄電器11の出力電圧が第1蓄電器10の出力電圧よりも高い場合、第2蓄電器11は、第1蓄電器10を充電し、給電制御装置12を介して第1負荷13a及び第2負荷13bに電力を供給し、第3負荷14に電力を供給する。
【0036】
発電機18が動作を停止している場合において、接続スイッチ16がオフであるとき、第1蓄電器10は給電制御装置12を介して第1負荷13a及び第2負荷13bに電力を供給する。同様の場合において、接続スイッチ16がオフであり、かつ、給電スイッチ17がオンであるとき、第2蓄電器11は第3負荷14に電力を供給する。給電スイッチ17がオフである場合、第3負荷14に電力が供給されることはない。
【0037】
第1負荷13a、第2負荷13b及び第3負荷14夫々は、車両に搭載されている電気機器である。第1負荷13a、第2負荷13b及び第3負荷14夫々は、電力が供給されている場合、作動し、電力が供給されていない場合、動作を停止する。
【0038】
前述したように、第1蓄電器10、第2蓄電器11又は発電機18が、給電制御装置12を介して、第1負荷13a及び第2負荷13bに各別に電力を供給する。給電制御装置12は、第1負荷13a及び第2負荷13bへの給電を制御する。給電制御装置12は、第1蓄電器10及び接続スイッチ16間の接続ノードと、第1負荷13aの一端とを電気的に接続する。これにより、第1蓄電器10、第2蓄電器11又は発電機18から第1負荷13aに電力が供給される。給電制御装置12は、第1蓄電器10及び接続スイッチ16間の接続ノードと、第1負荷13aの一端間との電気的な接続を遮断する。これにより、第1負荷13aへの給電は停止する。
【0039】
同様に、給電制御装置12は、第1蓄電器10及び接続スイッチ16間の接続ノードと、第2負荷13bの一端とを電気的に接続する。これにより、第1蓄電器10、第2蓄電器11又は発電機18から第2負荷13bに電力が供給される。給電制御装置12は、第1蓄電器10及び接続スイッチ16間の接続ノードと、第2負荷13bの一端との間の電気的な接続を遮断する。これにより、第2負荷13bへの給電は停止する。
【0040】
給電制御装置12には、第1負荷13a及び第2負荷13bの中で作動させるべき負荷を示す作動信号と、第1負荷13a及び第2負荷13bの中で動作を停止させるべき負荷を示す停止信号とが入力される。給電制御装置12は、作動信号が入力された場合、第1蓄電器10及び接続スイッチ16間の接続ノードと、作動信号が示す負荷とを電気的に接続する。これにより、作動信号が示す負荷に電力が供給され、作動信号が示す負荷が作動する。給電制御装置12は、停止信号が入力された場合、第1蓄電器10及び接続スイッチ16間の接続ノードと、停止信号が示す負荷との間の電気的な接続を遮断する。これにより、停止信号が示す負荷への給電が停止し、停止信号が示す負荷が動作を停止する。
【0041】
給電制御装置12内では、後述するようにハーフオン故障が発生する可能性がある。給電制御装置12は、ハーフオン故障が発生した場合、入力される作動信号及び停止信号に無関係に第1負荷13a及び第2負荷13bへの給電を制御し、接続スイッチ16のオフへの切替えを指示するオフ信号をECU15に出力する。
【0042】
給電スイッチ17がオンに切替わった場合、第1蓄電器10、第2蓄電器11又は発電機18は、第3負荷14に電力を供給し、第3負荷14は作動する。給電スイッチ17がオフに切替わった場合、第3負荷14への給電が停止し、第3負荷14は動作を停止する。
第3負荷14は、例えば、車両の運転に不可欠な電気機器であり、エンジンが作動している間に作動する。
【0043】
ECU15には、更に、スタータ19の作動を事前に通知する事前信号が入力される。ECU15は、事前信号が入力された場合、接続スイッチ16をオフに切替える。ECU15は、接続スイッチ16をオフに切替えてから、一定時間が経過した後、接続スイッチ16をオンに戻す。
【0044】
接続スイッチ16がオフである間に、スタータ19は、エンジンを始動させる。スタータ19は、作動中、第2蓄電器11に蓄えられている電力を消費する。エンジンが始動した後、スタータ19は動作を停止する。接続スイッチ16がオフである間に、スタータ19は、作動と動作の停止とを行う。前述したように、接続スイッチ16がオフである場合、第1蓄電器10が第1負荷13a及び第2負荷13bに電力を供給する。
【0045】
第2蓄電器11では、図示しない内部抵抗を介して電流が流れる。スタータ19が作動している間、第2蓄電器11からスタータ19に流れる電流の電流値は大きい。このため、スタータ19が作動している間、第2蓄電器11の内部抵抗で大きな電圧降下が生じ、第2蓄電器11の出力電圧は大きく低下する。
【0046】
スタータ19が作動している間、接続スイッチ16はオフであり、第1蓄電器10が第1負荷13a及び第2負荷13bに電力を供給する。このため、スタータ19が作動して第2蓄電器11の出力電圧が低下した場合であっても、第1負荷13a及び第2負荷13bに印加されている電圧は殆ど低下することはない。
【0047】
前述したように、ECU15には、給電制御装置12からオフ信号が入力される。ECU15は、オフ信号が入力された場合、接続スイッチ16をオフに切替える。これにより、第2蓄電器11及び発電機18夫々から第1蓄電器10への充電と、給電制御装置12を介した第2蓄電器11及び発電機18の給電とが禁止される。給電制御装置12は、ハーフオン故障が発生した場合、接続スイッチ16をオフに維持した状態で第1蓄電器10の出力電圧を低下させる。
【0048】
給電制御装置12は、第1負荷13aが所定の第1動作を行うことを指示する第1動作信号を第1負荷13aに出力する。第1負荷13aは、第1動作信号が入力された場合、第1動作を実行する。
同様に、給電制御装置12は、第2負荷13bが所定の第2動作を行うことを指示する第2動作信号を第2負荷13bに出力する。第2負荷13bは、第2動作信号が入力された場合、第2動作を実行する。
【0049】
第1負荷13a又は第2負荷13bが、例えば、室内灯である場合、第1動作又は第2動作は、室内灯の点滅である。第1負荷13a又は第2負荷13bが、例えば、リアワイパーである場合、第1動作又は第2動作は、一方の端部を起点とした正逆方向の回転である。
【0050】
給電制御装置12は、ハーフオン故障が発生した場合、第1動作信号又は第2動作信号を出力し、第1負荷13a又は第2負荷13bに、第1動作又は第2動作を行わせる。これにより、故障の発生が報知される。
なお、第1動作は、第1動作信号が第1負荷13aに入力された場合のみに第1負荷13aが行う動作であることが好ましい。第2動作も、第2動作信号が第2負荷13bに入力された場合のみに第2負荷13bが行う動作であることが好ましい。
【0051】
図2は、給電制御装置12の要部構成を示すブロック図である。給電制御装置12は、第1スイッチ20a,20a、第2スイッチ20b、駆動回路21a,21b、コンパレータ22a,22b、直流電源23a,23b及びマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)24を有する。第1スイッチ20a,20a及び第2スイッチ20b夫々は、Nチャネル型のFETである。FETは半導体スイッチである。コンパレータ22a,22b夫々は、プラス端子、マイナス端子及び出力端子を有する。マイコン24は、出力部30a,30b,31a,31b,32、入力部33a,33b,34、記憶部35及び制御部36を有する。
【0052】
第1スイッチ20a,20a夫々のドレインは、第1蓄電器10及び接続スイッチ16間の接続ノードに接続されている。第1スイッチ20a,20aのソースは、第1負荷13aの一端に接続されている。第1スイッチ20a,20aのゲートは駆動回路21aに接続されている。駆動回路21aは、更に、マイコン24の出力部30aに接続されている。第1スイッチ20a,20aのソースは、更に、コンパレータ22aのプラス端子に接続されている。コンパレータ22aのマイナス端子には、直流電源23aの正極に接続されている。直流電源23aの負極は接地されている。コンパレータ22aの出力端子は、マイコン24の入力部33aに接続されている。
【0053】
第2スイッチ20bのドレインは、第1蓄電器10及び接続スイッチ16間の接続ノードに接続されている。第2スイッチ20bのソースは、第2負荷13bの一端に接続されている。第2スイッチ20bのゲートは駆動回路21bに接続されている。駆動回路21bは、更に、マイコン24の出力部30bに接続されている。第2スイッチ20bのソースは、更に、コンパレータ22bのプラス端子に接続されている。コンパレータ22bのマイナス端子には、直流電源23bの正極に接続されている。直流電源23bの負極は接地されている。コンパレータ22bの出力端子は、マイコン24の入力部33bに接続されている。
【0054】
マイコン24内では、出力部30a,30b,31a,31b,32、入力部33a,33b,34、記憶部35及び制御部36は内部バス37に接続されている。出力部32は、更に、ECU15に接続されている。
【0055】
第1スイッチ20a,20a及び第2スイッチ20b夫々では、ソースの電位を基準としたゲートの電圧がオン電圧以上である場合、ドレイン及びソース間の抵抗値は十分に小さく、電流がドレイン及びソースを介して流れることが可能である。このとき、第1スイッチ20a,20a及び第2スイッチ20b夫々はオンである。
【0056】
また、第1スイッチ20a,20a及び第2スイッチ20b夫々では、ソースの電位を基準としたゲートの電圧がオフ電圧未満である場合、ドレイン及びソース間の抵抗値は十分に大きく、電流がドレイン及びソースを介して流れることはない。このとき、第1スイッチ20a,20a及び第2スイッチ20b夫々はオフである。
第1スイッチ20a,20a及び第2スイッチ20bに係るオン電圧及びオフ電圧は一定であり、オン電圧はオフ電圧よりも高い。第1スイッチ20a,20aに係るオン電圧は略一致しており、第1スイッチ20a,20aに係るオフ電圧も略一致している。
【0057】
出力部30aは、ハイレベル電圧又はローレベル電圧を駆動回路21aに出力している。出力部30aは、制御部36の指示に従って、駆動回路21aに出力している電圧をハイレベル電圧又はローレベル電圧に切替える。駆動回路21aは、出力部30aが出力している電圧がローレベル電圧からハイレベル電圧に切替わった場合、接地電位を基準とした第1スイッチ20a,20aのゲートの電圧を上昇させる。これにより、第1スイッチ20a,20a夫々において、ソースの電位を基準としたゲートの電圧がオン電圧以上となり、第1スイッチ20a,20aは、略同時にオンに切替わる。これにより、第1蓄電器10及び接続スイッチ16間の接続ノードと第1負荷13aとが電気的に接続される。
以下では、接地電位を基準とした第1スイッチ20a,20aのゲートの電圧を第1ゲート電圧と記載し、接地電位を基準とした第1スイッチ20a,20aのソースの電圧を第1ソース電圧と記載する。
【0058】
第1スイッチ20a,20aがオンである場合、電流は、第1蓄電器10、第2蓄電器11又は発電機18から、第1スイッチ20a,20aを介して第1負荷13aに流れる。このとき、第1スイッチ20a,20a夫々では、電流は、ドレイン及びソースの順に流れる。従って、第1スイッチ20aのソースは下流側の一端である。
ここで、2つの第1スイッチ20a,20aは並列に接続されているので、第1スイッチ20a,20a夫々に流れる電流の電流量は小さい。このため、第1スイッチ20a,20a夫々の発熱量は小さい。
【0059】
第1スイッチ20a,20a夫々は、第1蓄電器10から流れる電流の電流経路に設けられている。第1蓄電器10は、この電流経路を介して第1負荷13aに電力を供給する。発電機18が発電している場合において、接続スイッチ16及び第1スイッチ20a,20aがオンであるとき、発電機18は、接続スイッチ16及び第1スイッチ20a,20aを介して第1負荷13aに電力を供給する。
【0060】
駆動回路21aは、出力部30aが出力している電圧がハイレベル電圧からローレベル電圧に切替わった場合、第1ゲート電圧を低下させる。これにより、第1スイッチ20a,20a夫々において、ソースの電位を基準としたゲートの電圧がオフ電圧未満となり、第1スイッチ20a,20aはオフに切替わる。これにより、第1蓄電器10及び接続スイッチ16間の接続ノードと第1負荷13aとの間の電気的な接続が遮断される。
【0061】
コンパレータ22aは、第1ソース電圧が、直流電源23aの両端間の電圧である第1閾値電圧以上である場合、ハイレベル電圧をマイコン24の入力部33aに出力する。コンパレータ22aは、第1ソース電圧が第1閾値電圧未満である場合、ローレベル電圧をマイコン24の入力部33aに出力する。入力部33aは、コンパレータ22aが出力している電圧を制御部36に通知する。第1閾値電圧は一定の電圧である。
【0062】
第1負荷13aに印加されている電圧が、一定の第1動作電圧以上の電圧である場合、第1負荷13aは、作動する。第1負荷13aに印加されている電圧が第1動作電圧未満である場合、第1負荷13aは動作を停止する。第1閾値電圧は、第1動作電圧以下の電圧である。
【0063】
第2スイッチ20b、駆動回路21b、コンパレータ22b、直流電源23b、出力部30b及び入力部33b夫々は、第1スイッチ20a、駆動回路21a、コンパレータ22a、直流電源23a、出力部30a及び入力部33aと同様に作用する。
【0064】
従って、出力部30bは、制御部36の指示に従って、駆動回路21bに出力している電圧を、ハイレベル電圧又はローレベル電圧に切替える。駆動回路21bは、出力部30bが出力している電圧がハイレベル電圧又はローレベル電圧に切替わった場合、接地電位を基準とした第2スイッチ20bのゲートの電圧を調整し、第2スイッチ20bをオン又はオフに切替える。第2スイッチ20bがオンに切替わった場合、第1蓄電器10及び接続スイッチ16間の接続ノードと第2負荷13bとが電気的に接続される。第2スイッチ20bがオフに切替わった場合、第1蓄電器10及び接続スイッチ16間の接続ノードと第2負荷13bとの間の電気的な接続が遮断される。
【0065】
第2スイッチ20bがオンである場合、電流は、第1蓄電器10、第2蓄電器11又は発電機18から、第2スイッチ20bを介して第2負荷13bに流れる。このとき、第2スイッチ20bでは、電流は、ドレイン及びソースの順に流れる。第2スイッチ20bのソースも下流側の一端である。第2スイッチ20bは第1蓄電器10から流れる電流の電流経路に設けられている。第1蓄電器10は、この電流経路を介して第2負荷13bに電力を供給する。発電機18が発電している場合において、接続スイッチ16及び第2スイッチ20bがオンであるとき、発電機18は、接続スイッチ16及び第2スイッチ20bを介して第2負荷13bに電力を供給する。
【0066】
コンパレータ22bは、第2スイッチ20bのソースの電圧が、直流電源23bの両端間の電圧である第2閾値電圧以上である場合、ハイレベル電圧をマイコン24の入力部33bに出力する。コンパレータ22bは、接地電位を基準とした第2スイッチ20bのソースの電圧が第2閾値電圧未満である場合、ローレベル電圧をマイコン24の入力部33bに出力する。入力部33bは、コンパレータ22bが出力している電圧を制御部36に通知する。第2閾値電圧も一定の電圧である。
【0067】
第2負荷13bに印加されている電圧が、一定の第2動作電圧以上である場合、第2負荷13bは、作動する。第2負荷13bに印加されている電圧が第2動作電圧未満である場合、第2負荷13bは動作を停止する。第2閾値電圧は、第2動作電圧以下である。
【0068】
出力部31aは、制御部36の指示に従って、第1動作信号を第1負荷13aに出力する。第1負荷13aは、出力部31aから第1動作信号が入力された場合、第1動作を行う。
出力部31bは、制御部36の指示に従って、第2動作信号を第2負荷13bに出力する。第2負荷13bは、出力部31bから第2動作信号が入力された場合、第2動作を行う。
【0069】
出力部32は、制御部36の指示に従って、オフ信号をECU15に出力する。ECU15は、出力部32からオフ信号が入力された場合、接続スイッチ16をオフに切替える。
入力部34には、作動信号及び停止信号が入力される。入力部34は、作動信号が入力された場合、作動信号の入力と、入力された作動信号が示す負荷とを制御部36に通知する。同様に、入力部34は、停止信号が入力された場合、停止信号の入力と、入力された停止信号が示す負荷とを制御部36に通知する。
【0070】
記憶部35は不揮発性メモリである。記憶部35には、フラグの値が記憶されている。フラグの値はゼロ又は1であり、制御部36によって変更される。フラグの値がゼロであることは、第1スイッチ20a,20a及び第2スイッチ20bが正常にオフに切替わっていることを示す。フラグの値が1であることは、第1スイッチ20a,20a及び第2スイッチ20bの少なくとも1つが正常にオフに切替わっていないことを示す。
【0071】
記憶部35には、更に、コンピュータプログラムP1が記憶されている。制御部36は、一又は複数のCPU(Central Processing Unit)を有する。制御部36が有する一又は複数のCPUは、コンピュータプログラムP1を実行することによって、給電制御処理、第1抑制処理及び第2抑制処理を実行する。
【0072】
給電制御処理は、第1負荷13a及び第2負荷13bへの給電を各別に制御する処理である。第1抑制処理は、第1スイッチ20a,20aの少なくとも一方が正常にオフに切替わっていない場合に、第1スイッチ20a,20aの温度上昇を抑制する処理である。第2抑制処理は、第2スイッチ20bが正常にオフに切替わっていない場合に、第2スイッチ20bの温度上昇を抑制する処理である。コンピュータプログラムP1は、制御部36が有する一又は複数のCPUに、給電制御処理、第1抑制処理及び第2抑制処理を実行させるために用いられる。
【0073】
なお、コンピュータプログラムP1は、制御部36が有する一又は複数のCPUが読み取り可能に、記憶媒体A1に記憶されていてもよい。この場合、図示しない読み出し装置によって記憶媒体A1から読み出されたコンピュータプログラムP1が記憶部35に書き込まれる。記憶媒体A1は、光ディスク、フレキシブルディスク、磁気ディスク、磁気光ディスク又は半導体メモリ等である。光ディスクは、CD(Compact Disc)-ROM(Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM、又は、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)等である。磁気ディスクは、例えばハードディスクである。また、図示しない通信網に接続されている図示しない外部装置からコンピュータプログラムP1をダウンロードし、ダウンロードしたコンピュータプログラムP1を記憶部35に書き込んでもよい。
【0074】
図3は、給電制御処理の手順を示すフローチャートである。制御部36は周期的に給電制御処理を実行する。制御部36は、まず、フラグの値がゼロであるか否かを判定する(ステップS1)。制御部36は、フラグの値がゼロであると判定した場合(S1:YES)、入力部34に作動信号が入力されたか否かを判定する(ステップS2)。
【0075】
制御部36は、入力部34に作動信号が入力されたと判定した場合(S2:YES)、入力部34に入力された作動信号が示す負荷に基づいて、出力部30a,30bの中から少なくとも1つの出力部を選択する(ステップS3)。出力部30aは第1負荷13aに対応し、出力部30bは第2負荷13bに対応する。ステップS3では、入力部34に入力された作動信号が示す負荷に対応する出力部を選択する。例えば、作動信号が第1負荷13aを示す場合、出力部30aを選択する。
【0076】
次に、制御部36は、ステップS3で選択した出力部にハイレベル電圧への切替えを指示する(ステップS4)。これにより、ステップS3で選択した出力部は、出力している電圧をハイレベル電圧に切替える。例えば、ステップS3で制御部36は出力部30aを選択した場合、ステップS4で制御部36は、出力部30aにハイレベル電圧への切替えを指示する。出力部30aは、駆動回路21aに出力している電圧をハイレベル電圧に切替え、駆動回路21aは、第1ゲート電圧を上昇させる。これにより、第1スイッチ20a,20aはオンに切替わる。
【0077】
出力部30aにハイレベル電圧への切替えを指示することは、第1スイッチ20a,20aのオンへの切替えを指示することに相当する。出力部30bにハイレベル電圧への切替えを指示することは、第2スイッチ20bのオンへの切替えを指示することに相当する。
【0078】
制御部36は、入力部34に作動信号が入力されていないと判定した場合(S2:NO)、入力部34に停止信号が入力されたか否かを判定する(ステップS5)。制御部36は、入力部34に停止信号が入力されたと判定した場合(S5:YES)、入力部34に入力された停止信号が示す負荷に基づいて、出力部30a,30bの中から少なくとも1つの出力部を選択する(ステップS6)。ステップS6では、入力部34に入力された停止信号が示す負荷に対応する出力部を選択する。
【0079】
次に、制御部36は、ステップS6で選択した出力部にローレベル電圧への切替えを指示する(ステップS7)。これにより、ステップS6で選択した出力部は、出力している電圧をローレベル電圧に切替える。例えば、ステップS6で制御部36は出力部30aを選択した場合、ステップS7で制御部36は、出力部30aにローレベル電圧への切替えを指示する。出力部30aは、駆動回路21aに出力している電圧をローレベル電圧に切替え、駆動回路21aは、第1ゲート電圧を低下させる。これにより、第1スイッチ20a,20aはオフに切替わる。
【0080】
出力部30aにローレベル電圧への切替えを指示することは、第1スイッチ20a,20aのオフへの切替えを指示することに相当する。出力部30bにローレベル電圧への切替えを指示することは、第2スイッチ20bのオフへの切替えを指示することに相当する。制御部36は指示部として機能する。
【0081】
制御部36は、フラグの値がゼロではない、即ち、フラグの値が1であると判定した場合(S1:NO)、入力部34に停止信号が入力されていないと判定した場合(S5:NO)、又は、ステップS4,S7の一方を実行した後、給電制御処理を終了する。
【0082】
以上のように、給電制御処理では、フラグの値がゼロである場合、入力部34に入力された作動信号に応じて、第1スイッチ20a,20a及び第2スイッチ20bの少なくとも1つをオンに切替える。また、入力部34に入力された停止信号に応じて、第1スイッチ20a,20a及び第2スイッチ20bの少なくとも1つをオフに切替える。給電制御処理では、フラグの値が1である場合、第1スイッチ20a,20a及び第2スイッチ20bをオン又はオフに切替えることはない。
【0083】
図4は第1抑制処理の手順を示すフローチャートである。制御部36は、出力部30aにローレベル電圧への切替えを指示している場合、即ち、第1スイッチ20a,20aのオフへの切替えを指示している場合において、第1抑制処理を周期的に実行する。
【0084】
制御部36は、コンパレータ22aから入力部33aに入力されている入力電圧がハイレベル電圧であるか否かを判定する(ステップS11)。
第1スイッチ20a,20aの少なくとも一方でハーフオン故障が発生している場合、第1スイッチ20a,20aの少なくとも一方のドレイン及びソース間の抵抗値は、十分に大きくない。このため、第1スイッチ20a,20aのオフへの切替えを指示している場合であっても、第1スイッチ20a,20aの少なくとも一方を介して電流が流れる。このとき、第1ソース電圧は、第1閾値電圧以上であり、コンパレータ22aはハイレベル電圧を入力部34に出力する。入力電圧がハイレベル電圧であるか否かを判定することは、第1スイッチ20a,20aの少なくとも一方を介して電流が流れているか否かを判定することに相当する。制御部36は判定部としても機能する。
【0085】
制御部36は、入力電圧がハイレベル電圧であると判定した場合(S11:YES)、第1スイッチ20a,20aの少なくとも一方が正常にオフに切替わっていないとして、フラグの値を1に変更する(ステップS12)。次に、制御部36は、出力部32にオフ信号の出力を指示する(ステップS13)。これにより、出力部32はECU15にオフ信号を出力し、ECU15は接続スイッチ16をオフに切替える。接続スイッチ16がオフである場合、第2蓄電器11及び発電機18夫々から第1蓄電器10への充電と、第1スイッチ20a,20aを介した第2蓄電器11及び発電機18の給電と、第2スイッチ20bを介した第2蓄電器11及び発電機18の給電とが禁止される。出力部32はオフ信号出力部として機能する。
【0086】
次に、制御部36は、出力部30bにハイレベル電圧への切替えを指示する(ステップS14)。これにより、出力部30bは、駆動回路21bに出力している電圧をハイレベル電圧に切替え、駆動回路21bは第2スイッチ20bをオンに切替える。第2スイッチ20bがオンに切替わった場合、第2スイッチ20bを流れる電流の電流経路を介して第1蓄電器10は放電する。これにより、第1蓄電器10に蓄えられている電力が低下し、第1蓄電器10の出力電圧が低下する。制御部36は放電制御部としても機能する。
【0087】
次に、制御部36は、出力部31bに第2動作信号の出力を指示する(ステップS15)。これにより、出力部31bは第2動作信号を出力し、第2負荷13bは第2動作を実行する。結果、故障の発生が報知される。出力部31bは動作信号出力部として機能する。
次に、制御部36は、コンパレータ22aから入力部33aに入力されている入力電圧がローレベル電圧であるか否かを判定する(ステップS16)。制御部36は、入力電圧がローレベル電圧ではないと判定した場合(S16:NO)、ステップS16を再び実行し、入力電圧がローレベル電圧に切替わるまで待機する。第1蓄電器10の出力電圧が低下した場合、第1ソース電圧も低下する。第1ソース電圧が第1閾値電圧未満となった場合、コンパレータ22aが入力部33aに入力されている入力電圧がローレベル電圧に切替わる。
【0088】
制御部36は、入力電圧がローレベル電圧であると判定した場合(S16:YES)、出力部30bにローレベル電圧への切替えを指示する(ステップS17)。これにより、出力部30bは、駆動回路21bに出力している電圧をローレベル電圧に切替え、駆動回路21bは第2スイッチ20bをオフに切替える。これにより、第1蓄電器10に蓄えられている電力が極端に少なくなることを防止し、第1蓄電器10の劣化、即ち、第1蓄電器10の内部抵抗値の上昇を抑制する。
【0089】
制御部36は、入力電圧がハイレベル電圧ではない、即ち、入力電圧がローレベル電圧であると判定した場合(S11:NO)、又は、ステップS17を実行した後、第1抑制処理を終了する。
【0090】
以上のように、第1抑制処理では、制御部36が第1スイッチ20a,20aのオフへの切替えを指示している場合において、第1スイッチ20a,20aを介して電流が流れているとき、接続スイッチ16及び第2スイッチ20b夫々をオフ及びオンに切替え、第1蓄電器10の出力電圧を低下させる。更に、第2負荷13bに第2動作を実行し、故障の発生が報知される。
【0091】
制御部36は、第1抑制処理と同様に第2抑制処理を実行する。制御部36は、出力部30bにローレベル電圧への切替えを指示している場合、即ち、第2スイッチ20bのオフへの切替えを指示している場合において、第2抑制処理を周期的に実行する。制御部36は、コンパレータ22bから入力部33bに入力されている入力電圧がハイレベル電圧であると判定した場合、フラグの値を1に変更し、出力部32にオフ信号の出力を指示する。
【0092】
更に、制御部36は、出力部30aにハイレベル電圧への切替えを指示し、駆動回路21aは第1スイッチ20a,20aをオンに切替える。制御部36は、出力部31aに第1動作信号の出力を指示し、出力部31aは第1動作信号を第1負荷13aに出力する。出力部31aも動作信号出力部として機能する。
制御部36は、入力電圧がローレベル電圧に切替わった場合、出力部30bにローレベル電圧への切替えを指示し、駆動回路21aは第1スイッチ20a,20aをオフに切替える。制御部36は、第2抑制処理の最初のステップで入力電圧がローレベル電圧であると判定した場合、又は、出力部30bにローレベル電圧への切替えを指示した後、第2抑制処理を終了する。
【0093】
第1スイッチ20a,20a及び第2スイッチ20b夫々は、半導体スイッチとして機能するとともに、電流スイッチとしても機能する。第1蓄電器10から第1スイッチ20a,20aを流れる電流の電流経路は、第1電流経路として機能するとともに、第2電流経路としても機能する。同様に、第1蓄電器10から第2スイッチ20bを流れる電流の電流経路は、第1電流経路として機能するとともに、第2電流経路としても機能する。
【0094】
図5は、給電制御装置12の動作の一例を示すタイミングチャートである。
図5には、第1ソース電圧の推移、出力部30a,30bの出力電圧の推移、及び、コンパレータ22aから入力部33aに入力されている入力電圧の推移が示されている。
図5では、第1閾値電圧を「V1」で示し、ハイレベル電圧を「H」で示し、ローレベル電圧を「L」で示している。
【0095】
出力部30aが駆動回路21aに出力している出力電圧がローレベル電圧である場合、第1ソース電圧はゼロVであり、第1閾値電圧V1未満である。このため、コンパレータ22aから入力部33aに入力されている入力電圧はローレベル電圧である。出力部30bが駆動回路21bに出力している出力電圧はローレベル電圧であり、第2スイッチ20bはオフであると仮定する。
【0096】
給電制御処理において、制御部36が出力部30aにハイレベル電圧への切替えを指示した場合、出力部30aは出力電圧をハイレベル電圧に切替え、駆動回路21aは第1ゲート電圧を上昇させ、第1スイッチ20a,20aがオンに切替わる。このとき、第1スイッチ20a,20aを介して電流が流れ、第1ソース電圧は第1閾値電圧V1以上となり、入力電圧はハイレベル電圧に切替わる。第1スイッチ20a,20aの一方において、ハーフオン故障が発生した場合、第1スイッチ20a,20aの合成抵抗値が上昇し、第1ソース電圧が低下する。
【0097】
給電制御処理において、制御部36が出力部30aにローレベル電圧への切替えを指示した場合、出力部30aは出力電圧をローレベル電圧に切替え、駆動回路21aは第1ゲート電圧を低下させる。このとき、第1スイッチ20a,20aの一方においてハーフオン故障が発生しているため、ハーフオン故障が発生している第1スイッチ20aを介して電流が流れ続け、第1ソース電圧は第1閾値電圧V1以上のままであり、入力電圧はハイレベル電圧を維持する。このとき、制御部36は、第1スイッチ20a,20aのオフへの切替えを指示している場合において、第1スイッチ20a,20aの少なくとも一方を介して電流が流れているとして、ハーフオン故障を検知し、フラグの値を1に変更する。
【0098】
制御部36は、ハーフオン故障を検知した場合、出力部32にオフ信号の出力を指示し、出力部32はECU15にオフ信号を出力し、ECU15は接続スイッチ16をオフに切替える。これにより、第2蓄電器11及び発電機18夫々から第1蓄電器10への充電と、第1スイッチ20a,20aを介した第2蓄電器11及び発電機18の給電と、第2スイッチ20bを介した第2蓄電器11及び発電機18の給電とが禁止される。次に、制御部36は、出力部30bにハイレベル電圧への切替えを指示し、出力部30bは出力電圧をハイレベル電圧に切替え、駆動回路21bは第2スイッチ20bをオンに切替える。
【0099】
第2スイッチ20bがオンに切替わった場合、接続スイッチ16がオフである状態で第1蓄電器10は第2スイッチ20bを流れる電流の電流経路を介して放電し、第1蓄電器10の出力電圧が時間の経過とともに低下する。これにより、第1ソース電圧も低下する。第1ソース電圧が第1閾値電圧V1未満となった場合、入力電圧はローレベル電圧に切替わるので、制御部36は出力部30bにローレベル電圧への切替えを指示する。これにより、出力部30bは出力電圧をローレベル電圧に切替え、駆動回路21bは第2スイッチ20bをオフに切替える。その後、フラグの値が1であるので、出力部30a,30bは出力電圧をローレベル電圧に維持し、第1スイッチ20a,20a及び第2スイッチ20bはオフに維持される。
【0100】
前述したように、第1閾値電圧V1は第1動作電圧以下である。このため、第1ソース電圧が第1閾値電圧V1未満である場合、第1ソース電圧は第1動作電圧未満であり、第1負荷13aは動作を停止している。このため、第1ソース電圧が第1閾値電圧V1未満である場合、第1スイッチ20a,20aを介して殆ど電流は流れず、第1スイッチ20a,20aの温度は殆ど上昇することはない。第1蓄電器10が蓄えている電力が極端に少なくなることがなく、第1蓄電器10の劣化が抑制される。
【0101】
制御部36がハーフオン故障を検知した場合、出力部31bは第2動作信号を第2負荷13bに出力し、第2負荷13bは第2動作を行い、故障の発生を報知する。第2負荷13bは、第2スイッチ20bがオフに切替わった場合、動作を停止する。
なお、第1蓄電器10の出力電圧が低下した場合であっても、車両の運転に不可欠な電気機器である第3負荷14には、発電機18又は第2蓄電器11から電力が供給される。このため、運転者は、車両を安全に運転することができる。
【0102】
第1スイッチ20aの発熱量は、第1スイッチ20aを流れる電流の電流値の2乗値と、第1スイッチ20aのドレイン及びソース間の抵抗値との積が大きい程、大きい。第1蓄電器10の出力電圧が低下した場合、ハーフオン故障が発生している第1スイッチ20aを介して流れる電流の電流値が低下し、この第1スイッチ20aの温度上昇が抑制される。
【0103】
(実施形態2)
実施形態1では、第1スイッチ20a,20aの少なくとも一方でハーフオン故障が発生した場合、第1蓄電器10は、第2負荷13bに流れる電流の電流経路を介して放電する。しかしながら、第1蓄電器10に放電を行わせるための電流経路は、第2負荷13bに流れる電流の電流経路に限定されない。
以下では、実施形態2について、実施形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については、実施形態1と共通している。このため、実施形態1と共通する構成部には実施形態1と同一の参照符号を付し、その説明を省略する。
【0104】
図6は、実施形態2における電源システム1の要部構成を示すブロック図である。実施形態2における電源システム1を、実施形態1における電源システム1と比較した場合、給電制御装置12に第2負荷13bが接続されているか否かが異なる。実施形態2における電源システム1では、給電制御装置12に第2負荷13bが接続されておらず、給電制御装置12は接地されている。
【0105】
給電制御装置12は、第1負荷13aへの給電を制御する。給電制御装置12には、第1負荷13aの作動を指示する作動信号と、第1負荷13aの動作の停止を指示する停止信号とが入力される。給電制御装置12は、作動信号が入力された場合、第1蓄電器10及び接続スイッチ16間の接続ノードと、第1負荷13aとを電気的に接続する。これにより、第1負荷13aに電力が供給され、第1負荷13aが作動する。給電制御装置12は、停止信号が入力された場合、第1蓄電器10及び接続スイッチ16間の接続ノードと、第1負荷13aとの間の電気的な接続を遮断する。これにより、第1負荷13aへの給電が停止し、停止信号が示す負荷が動作を停止する。また、給電制御装置12は、第1動作信号及び第2動作信号を出力することはない。
【0106】
図7は、給電制御装置12の要部構成を示すブロック図である。実施形態2における給電制御装置12は、実施形態1と同様に、第1スイッチ20a,20a、第2スイッチ20b、駆動回路21a,21b、コンパレータ22a、直流電源23a及びマイコン24を有する。実施形態2における給電制御装置12は、コンパレータ22b及び直流電源23bの代わりに抵抗R1を有する。実施形態2におけるマイコン24は、実施形態1と同様に、出力部30a,30b,32、入力部33a,34、記憶部35及び制御部36を有する。
【0107】
抵抗R1の一端は、第2スイッチ20bのソースに接続されている。抵抗R1の他端は、接地されている。駆動回路21bは、接続スイッチ16がオフである状態で第2スイッチ20bをオンに切替える。第2スイッチ20bがオンである場合、電流が、第1蓄電器10から第2スイッチ20b及び抵抗R1の順に流れ、第1蓄電器10は放電する。
【0108】
マイコン24の制御部36が有する一又は複数のCPUは、コンピュータプログラムP1を実行することによって、給電制御処理及び第1抑制処理を実行する。フラグの値がゼロである間、第2スイッチ20bはオフに維持されている。実施形態2では、フラグの値がゼロであることは、第1スイッチ20a,20aが正常にオフに切替わっていることを意味する。フラグの値が1であることは、第1スイッチ20a,20aの少なくとも一方が正常にオフに切替わっていないことを意味する。
【0109】
図8は、給電制御処理の手順を示すフローチャートである。制御部36は、実施形態1と同様に、周期的に給電制御処理を実行する。制御部36は、まず、フラグの値がゼロであるか否かを判定する(ステップS21)。制御部36は、フラグの値がゼロであると判定した場合(S21:YES)、入力部34に作動信号が入力されたか否かを判定する(ステップS22)。
【0110】
制御部36は、入力部34に作動信号が入力されたと判定した場合(S22:YES)、出力部30aにハイレベル電圧への切替えを指示する(ステップS23)。これにより、出力部30aは、駆動回路21aに出力している電圧をハイレベル電圧に切替え、駆動回路21aは、第1ゲート電圧を上昇させ、第1スイッチ20a,20aをオンに切替える。これにより、第1負荷13aに電力が供給され、第1負荷13aが作動する。
【0111】
制御部36は、入力部34に作動信号が入力されていないと判定した場合(S22:NO)、入力部34に停止信号が入力されたか否かを判定する(ステップS24)。制御部36は、入力部34に停止信号が入力されたと判定した場合(S24:YES)、出力部30aにローレベル電圧への切替えを指示する(ステップS25)。これにより、出力部30aは、駆動回路21aに出力している電圧をローレベル電圧に切替え、駆動回路21aは、第1ゲート電圧を低下させ、第1スイッチ20a,20aをオフに切替える。これにより、第1負荷13aへの給電が停止し、第1負荷13aが動作を停止する。
【0112】
制御部36は、フラグの値がゼロではないと判定した場合(S21:NO)、入力部34に停止信号が入力されていないと判定した場合(S24:NO)、又は、ステップS23,S25の一方を実行した後、給電制御処理を終了する。
【0113】
以上のように、給電制御処理では、フラグの値がゼロである場合、入力部34に入力された信号に応じて、第1スイッチ20a,20aをオン又はオフに切替える。給電制御処理では、フラグの値が1である場合、第1スイッチ20a,20aをオン又はオフに切替えることはない。
【0114】
制御部36は、実施形態1と同様に、第1抑制処理を実行する。制御部36が出力部30bにハイレベル電圧への切替えを指示し、出力部30bが出力電圧をハイレベル電圧に切替え、駆動回路21bが第2スイッチ20bをオンに切替える。第2スイッチ20bがオンである場合、第1蓄電器10は、第2スイッチ20b及び抵抗R1を介して放電し、第1蓄電器10の出力電圧は時間の経過とともに低下する。第1蓄電器10の出力電圧が低下した場合、第1ソース電圧が低下する。第1ソース電圧が第1閾値電圧未満となった場合、制御部36が出力部30bにローレベル電圧への切替えを指示し、出力部30bが出力電圧をローレベル電圧に切替え、駆動回路21bが第2スイッチ20bをオフに切替える。
【0115】
以上のように、実施形態2における給電制御装置12では、制御部36が第1スイッチ20a,20aのオンへの切替えを指示している場合において、第1ソース電圧が第1閾値電圧以上であるときに、第1蓄電器10を放電させるための専用の電流経路が設けられている。
実施形態2における給電制御装置12は、実施形態1における給電制御装置12が奏する効果の中で、第2動作信号を出力することによって得られる効果を除く他の効果を同様に奏する。
【0116】
なお、実施形態1,2における第1抑制処理において、制御部36は、コンパレータ22aから入力部33aに入力されている入力電圧がハイレベル電圧であると判定した場合、出力部30aにハイレベル電圧への切替え、即ち、第1スイッチ20a,20aのオンへの切替えを指示してもよい。制御部36が出力部30aにハイレベル電圧への切替えを指示した場合、出力部30aは駆動回路21aに出力している電圧をハイレベル電圧に切替える。この場合において、第1スイッチ20a,20aの中で正常な第1スイッチ20aが存在するとき、駆動回路21aは、正常な第1スイッチ20aをオンに切替える。これにより、第1蓄電器10は、第2スイッチ20bを流れる電流の電流経路ではなく、正常な第1スイッチ20aを流れる電流の電流経路を介して放電する。結果、第1蓄電器10の出力電圧を急速に低下させることができる。
【0117】
また、実施形態1,2における第1抑制処理において、制御部36は、ステップS13を実行せず、接続スイッチ16をオンに維持しておいてもよい。この構成では、制御部36は、発電機18が確実に発電していない状態、即ち、エンジンが動作を停止している状態で、第1スイッチ20a,20aのオフへの切替えを指示している場合に、第1抑制処理を周期的に実行する。この場合においては、駆動回路21bが第2スイッチ20bをオンに切替えたとき、第1蓄電器10及び第2蓄電器11が放電する。これにより、第1蓄電器10及び第2蓄電器11の出力電圧が低下する。
【0118】
同様に、実施形態1における第2抑制処理において、制御部36は、接続スイッチ16をオンに維持しておいてもよい。この構成でも、制御部36は、発電機18が確実に発電していない状態で、第2スイッチ20bのオフへの切替えを指示している場合に、第2抑制処理を周期的に実行する。この場合においては、駆動回路21aが第1スイッチ20a,20aをオンに切替えたとき、第1蓄電器10及び第2蓄電器11が放電する。これにより、第1蓄電器10及び第2蓄電器11の出力電圧が低下する。
【0119】
実施形態1,2において、第1閾値電圧は、第1動作電圧以下である電圧に限定されない。この場合においては、第1抑制処理では、入力電圧がローレベル電圧に切替わったとき、即ち、第1ソース電圧が第1閾値電圧未満となったときではなく、第1ソース電圧が、第1動作電圧以下である一定電圧未満となったときに出力部30aにローレベル電圧への切替えを指示する。
【0120】
同様に、第2閾値電圧は、第2動作電圧以下である電圧に限定されない。この場合においては、第2抑制処理では、入力電圧がローレベル電圧に切替わったとき、即ち、接地電位を基準とした第2スイッチ20bのソースの電圧が第2閾値電圧未満となったときではなく、このソースの電圧が、第2動作電圧以下である一定電圧未満となったときに出力部30bにローレベル電圧への切替えを指示する。
【0121】
(実施形態3)
実施形態1,2では、第1スイッチ20a,20aの少なくとも一方が正常にオンに切替わっていない場合、制御部36は、第1蓄電器10に放電させる。しかしながら、制御部36は、第1蓄電器10に放電させる代わりに、第1蓄電器10の放電を停止させてもよい。
以下では、実施形態3について、実施形態2と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については、実施形態2と共通している。このため、実施形態2と共通する構成部には実施形態2と同一の参照符号を付し、その説明を省略する。
【0122】
図9は、実施形態3における電源システム1の要部構成を示すブロック図である。実施形態3における電源システム1は、実施形態2における電源システム1が備える構成部に加えて、入出力スイッチ40及び駆動回路41を備える。入出力スイッチ40の一端は、給電制御装置12と、接続スイッチ16の一端とに接続されている。入出力スイッチ40の他端は第1蓄電器10の正極に接続されている。駆動回路41は給電制御装置12に接続されている。
【0123】
給電制御装置12は、第1スイッチ20a,20aが正常にオフに切替わっている場合、即ち、フラグの値がゼロである場合、駆動回路41にハイレベル電圧を出力している。この場合、駆動回路41は、入出力スイッチ40をオンに維持している。入出力スイッチ40がオンである場合、実施形態2、即ち、実施形態1と同様に、第1蓄電器10に係る充電及び放電が行われる。
【0124】
給電制御装置12は、第1スイッチ20a,20aの少なくとも一方が正常にオンに切替わらなかった場合、フラグの値を1に変更し、駆動回路41に出力している電圧をハイレベル電圧からローレベル電圧に切替える。給電制御装置12が駆動回路41に出力している電圧をハイレベル電圧からローレベル電圧に切替えた場合、駆動回路41は、入出力スイッチをオフに切替える。入出力スイッチ40がオフである場合、第1蓄電器10の充電が禁止され、第1蓄電器10の放電が停止する。
【0125】
図10は、給電制御装置12の要部構成を示すブロック図である。実施形態3における給電制御装置12は、実施形態2と同様に、第1スイッチ20a,20a、駆動回路21a、コンパレータ22a、直流電源23a及びマイコン24を有する。実施形態3におけるマイコン24は、実施形態2と同様に、出力部30a,32、入力部33a,34、記憶部35及び制御部36を有する。これらは、内部バス37に接続されている。マイコン24は、更に、出力部50を有する。出力部50は、内部バス37と、駆動回路41とに接続されている。
【0126】
出力部50は、フラグの値がゼロである場合、駆動回路41にハイレベル電圧を出力している。制御部36は、出力部50にローレベル電圧への切替えを指示する。この場合、出力部50は、駆動回路41に出力している電圧をローレベル電圧に切替え、駆動回路41は入出力スイッチ40をオフに切替える。出力部50にローレベル電圧への切替えを指示することは、入出力スイッチ40のオフへの切替えを指示することに相当する。
【0127】
制御部36は、コンピュータプログラムP1を実行することによって、給電制御処理及び第1抑制処理を実行する。実施形態3における給電制御処理は実施形態1と同様である。
【0128】
図11は、第1抑制処理の手順を示すフローチャートである。制御部36は、実施形態2、即ち、実施形態1と同様に、出力部30aにローレベル電圧への切替えを指示している場合において、第1抑制処理を周期的に実行する。実施形態3における第1抑制処理のステップS31~S33夫々は、実施形態2、即ち、実施形態1における第1抑制処理のステップS11~S13と同様である。このため、ステップS31~S33の詳細な説明を省略する。
【0129】
フラグがゼロである場合、即ち、第1抑制処理でフラグの値が1に変更されるまで、出力部50は駆動回路41にハイレベル電圧を出力しており、駆動回路41は、入出力スイッチ40をオンに維持している。
【0130】
第1抑制処理において、制御部36は、ステップS33を実行した後、出力部50にローレベル電圧への切替えを指示する(ステップS34)。これにより、出力部50は、駆動回路41に出力している電圧をハイレベル電圧からローレベル電圧に切替え、駆動回路41は入出力スイッチ40をオンからオフに切替える。入出力スイッチ40がオフに切替わった場合、前述したように、第1蓄電器10は放電を停止する。制御部36は、コンパレータ22aから入力部33aに入力されている入力電圧がハイレベル電圧ではない、即ち、ローレベル電圧であると判定した場合(S31:NO)、又は、ステップS34を実行した後、第1抑制処理を終了する。
【0131】
以上のように、第1抑制処理では、制御部36は、第1スイッチ20a,20aのオフへの切替えを指示している場合において、第1ソース電圧が第1閾値電圧以上となったとき、第1スイッチ20a,20aの少なくとも一方を介して電流が流れていると判定する。この場合、制御部36は、出力部50にローレベル電圧への切替えを指示する。これにより、駆動回路41は入出力スイッチ40をオフに切替え、第1蓄電器10は放電を停止する。
なお、第1閾値電圧は、第1動作電圧以下でなくてもよい。
【0132】
第1スイッチ20a,20aの一方においてハーフオン故障が発生した場合においては、制御部36が第1スイッチ20a,20aのオフへの切替えを指示しているときであっても、ハーフオン故障が発生している第1スイッチ20aを介して電流が流れる。これにより、第1ソース電圧が第1閾値電圧以上となり、制御部36は第1スイッチ20a,20aの少なくとも一方を介して電流が流れていると判定する。
【0133】
制御部36は、第1スイッチ20a,20aの少なくとも一方を介して電流が流れていると判定した場合、出力部32にオフ信号の出力を指示し、ECU15は、接続スイッチ16をオフに切替える。これにより、第2蓄電器11及び発電機18から第1負荷13aへの給電が禁止される。制御部36は、第1スイッチ20a,20aの少なくとも一方を介して電流が流れていると判定した場合、更に、制御部36は、出力部50に入出力スイッチ40のオフへの切替えを指示し、駆動回路41は入出力スイッチ40をオフにする。結果、接続スイッチ16がオフである状態で、第1蓄電器10は放電を停止し、ハーフオン故障している第1スイッチ20aを介して流れる電流の電流値が低下し、第1スイッチ20aの温度上昇が抑制される。
実施形態3における給電制御装置12は、実施形態2における給電制御装置12が奏する効果を同様に奏する。
【0134】
また、実施形態3における第1抑制処理において、制御部36は、ステップS33を実行せず、接続スイッチ16をオンに維持しておいてもよい。この構成では、第2蓄電器11の正極に第2の入出力スイッチが設けられている。第2の入出力スイッチは、入出力スイッチ40と同様に、フラグの値がゼロである場合、オンに維持されている。制御部36は、発電機18が発電しない状態で、第1スイッチ20a,20aのオフへの切替えを指示している場合に、第1抑制処理を周期的に実行する。この第1抑制処理では、制御部36は入出力スイッチ40のオフへの切替えを指示するとともに、第2の入出力スイッチのオフへの切替えを指示する。第2の入出力スイッチがオフに切替わった場合、第2蓄電器11の放電が停止する。
【0135】
実施形態1~3において、電源システム1は、第2蓄電器11、第3負荷14、ECU15、接続スイッチ16、給電スイッチ17、発電機18及びスタータ19が除かれた構成であってもよい。この場合であっても、実施形態1~3における給電制御装置12は、実施形態1~3の説明で述べた効果を同様に奏する。これらの給電制御装置12夫々では、制御部36が実行する処理の中で、オフ信号の出力を指示する処理は省略される。
【0136】
実施形態1~3において、制御部36は、第1スイッチ20a,20aを介して電流が流れているか否かの判定を、コンパレータ22aがハイレベル電圧を出力しているか否か、即ち、第1ソース電圧が第1閾値電圧以上であるか否かに基づいて行っている。しかしながら、制御部36は、第1スイッチ20a,20aを介して電流が流れているか否かの判定を、第1スイッチ20a,20aを介して流れる電流の電流値に基づいて行ってもよい。例えば、この電流値がゼロAを超えている場合に、制御部36は、第1スイッチ20a,20aを介して電流が流れていると判定してもよい。この場合、電流センサ又はシャント抵抗等を用いて電流値を検出する。
【0137】
同様に、実施形態1において、制御部36は、第2スイッチ20bを介して電流が流れているか否かの判定を、第2スイッチ20bを介して流れる電流の電流値に基づいて行ってもよい。この場合も、電流センサ又はシャント抵抗等を用いて電流値を検出する。
【0138】
また、実施形態1~3において、第1スイッチ20aは、Nチャネル型のFETとは異なる半導体スイッチであってもよい。実施形態1において、第2スイッチ20bも、Nチャネル型のFETと異なる半導体スイッチであってもよい。Nチャネル型のFETとは異なる半導体スイッチとして、Pチャネル型のFET又はバイポーラトランジスタ等が挙げられる。また、実施形態2における第2スイッチ20bは、スイッチとして機能すればよいので、Nチャネル型のFETに限定されず、Pチャネル型のFET、バイポーラトランジスタ又はリレー接点等であってもよい。
【0139】
更に、実施形態1~3において、第1スイッチ20aの数は、2に限定されず、1又は3以上であってもよい。第1スイッチ20aの数が3以上である場合、これらの第1スイッチ20a,20a,・・・は、並列に接続され、駆動回路21aによって、略同時にオン又はオフに切替えられる。また、実施形態1において、第2スイッチ20bの数は、1に限定されず、2以上であってもよい。この場合、複数の第2スイッチ20b,20b,・・・は、第1スイッチ20a,20aと同様に並列に接続され、駆動回路21bによって、略同時にオン又はオフに切替えられる。
【0140】
開示された実施形態1~3はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0141】
1 電源システム
10 第1蓄電器
11 第2蓄電器
12 給電制御装置
13a 第1負荷
13b 第2負荷
14 第3負荷
15 ECU
16 接続スイッチ
17 給電スイッチ
18 発電機
19 スタータ
20a 第1スイッチ(半導体スイッチ、電流スイッチ)
20b 第2スイッチ(半導体スイッチ、電流スイッチ)
21a,21b,41 駆動回路
22a,22b コンパレータ
23a,23b 直流電源
24 マイコン
30a,30b 出力部
31a,31b 出力部(動作信号出力部)
32 出力部(オフ信号出力部)
33a,33b,34 入力部
35 記憶部
36 制御部(指示部、判定部、放電制御部)
37 内部バス
40 入出力スイッチ
A1 記憶媒体
P1 コンピュータプログラム
R1 抵抗