(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】中間転写フィルム
(51)【国際特許分類】
B41M 5/382 20060101AFI20221018BHJP
B41M 5/52 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
B41M5/382 800
B41M5/52 400
B41M5/52 300
(21)【出願番号】P 2018079063
(22)【出願日】2018-04-17
【審査請求日】2021-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】河野 幹
【審査官】福田 由紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-293043(JP,A)
【文献】特表2017-527457(JP,A)
【文献】特開2009-276483(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 5/382
B41M 5/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料を色素として有するインク層を設けた熱転写媒体と組み合わせて用いられる中間転写フィルムであって、
前記中間転写フィルムが、支持体上に、少なくとも剥離層、中間層、受像層を、この順に積層してなり、
前記受像層上に前記熱転写媒体によって形成される1画面分の画像を形成する印画領域を有し、
前記支持体と、前記剥離層との間にセンサーマークが設けられてなり、
前記センサーマークが、
前記中間転写フィルムの搬送方向に対して、幅方向に前記印画領域を避けた外側であって、中間転写フィルムの幅方向の末端部に設けられており、
前記中間転写フィルムから被転写体に前記剥離層、前記中間層、前記受像層を含む層が2次転写され、最終印画物を形成する、ことを特徴とする中間転写フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を一旦受像層に記録し、その後に、その受像層を被転写体に転写することによって、印画物を形成する中間転写フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
インク層を有する熱転写媒体を用いて、サーマルヘッド印字による画像形成を行なう手法は既に公知の技術であり、カードへの印字や写真画像の出力、シール類への印字など多様な用途に用いられている。しかし、これらの印字手法の多くは、特定の受像層を媒体表面に設ける必要があり、その組合せが限定されるという問題があった。
【0003】
そこで、熱転写媒体を用いて、特定の受像層を有する中間転写フィルム上に画像を形成し、その後、被転写体に再転写することにより、最終印画媒体のベース基材を選ばずに多色画像を形成することが可能な手法として、中間転写方式が提案されてきた(例えば、特許文献1)。
【0004】
中間転写方式は、主にパスポートやID(Identity)カードなどの個人認証媒体に対して、多色画像を形成する手段として用いられてきた経緯がある。
【0005】
パスポートやIDカードのような身分証明証としての機能を有する媒体では、そこに設けられている画像情報に対して、高い耐久性が求められることから、熱転写媒体に設けられるインク層として、顔料を色素として有する熱転写媒体が有効に用いられる。
【0006】
熱転写媒体として顔料を色素として有するインク層を用いる場合には、一般に、バインダー中に色素を分散したインク層となり、受像層に対して画像を形成する場合には、サーマルヘッドによって加えられた熱エネルギーにより、バインダーが溶融し、色素を含むバインダーが、受像層に転移することにより、画像が形成される。
【0007】
この時、中間転写フィルムは、通常巻取りロールの形状で、画像形成装置内に供給され、画像が形成された受像層ごと、被転写体に再転写されるため、次画面の印字を行う際に、印画開始位置を検知するためのセンサーマークが必要となる。
【0008】
従来の中間転写フィルムでは、
図3に見られるように、中間転写フィルムの受像層側とは反対側の支持体上に形成されており、センサーマークの印刷インキが、受像層に裏移りするという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述のような問題を解決しようとするもので、巻取りロール状で供給される中間転写フィルムにおいて、受像層上にセンサーマークによる地汚れが発生しないようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するための第1の発明は、顔料を色素として有するインク層を設けた熱転写媒体と組み合わせて用いられる中間転写フィルムであって、
前記中間転写フィルムが、支持体上に、少なくとも剥離層、中間層、受像層を、この順に積層してなり、
前記受像層上に前記熱転写媒体によって形成される1画面分の画像を形成する印画領域を有し、
前記支持体と、前記剥離層との間にセンサーマークが設けられてなり、
前記センサーマークが、前記中間転写フィルムの搬送方向に対して、幅方向に前記印画領域を避けた外側であって、中間転写フィルムの幅方向の末端部に設けられており、
前記中間転写フィルムから被転写体に前記剥離層、前記中間層、前記受像層を含む層が2次転写され、最終印画物を形成する、ことを特徴とする中間転写フィルムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、中間転写フィルムを巻取りロール形状で供給した場合であっても、受像層上にセンサーマークの裏移りによる地汚れが発生することなく、良好な印画画像の形成が可能な中間転写フィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係る中間転写フィルムの例を示す断面図である。
【
図2】中間転写フィルムを用いた画像形成装置の例を示す概念図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る中間転写フィルムの例を示す平面図である。
【
図4】従来の中間転写フィルムの例を示す断面図である。
【
図5】従来の中間転写フィルムで発生する裏移りの例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の実施の形態について詳細に説明する。以下の説明において適宜図面を参照するが、図面に記載された態様は本発明の例示であり、本発明はこれらの図面に記載された態様に制限されない。
【0017】
なお、全ての図面を通じて、同様又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る中間転写フィルムの例を示す断面図である。
図1では、
支持体(11)の片面に、センサーマーク(12)、剥離層(13)、中間層(14)、受像層(15)が、この順に積層された構成となっており、センサーマーク(12)が、支持体(11)と剥離層(13)との間に設けられていることが重要である。
【0019】
これにより、中間転写フィルム(10)を巻取りロールとした場合にも、センサーマーク(12)と受像層(15)とが直接接触することがなく、地汚れ等のリスクを排除することが可能となる。
【0020】
支持体(11)は、中間転写フィルム(10)の製造時、および被転写体に熱転写する際に加わる熱圧に対し、変形等の少ない耐熱性が要求され、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール等の合成樹脂、紙、合成紙などから単独で選択されたもの、あるいはこれらから選択された複合体などを挙げることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではないが、取扱いの容易性やコスト面などを考慮するとPETを好適に用いることができる。
【0021】
また、支持体(11)は、帯電防止処理などの各種処理が施されてあっても良く、その厚みは、操作性、加工性を考慮し、2~100μmのものが使用できるが、被転写体への転写適性等のハンドリング性の点から6~50μm程度のものを好適に用いることができる。
【0022】
センサーマーク(12)は、従来公知の印刷法を用いて形成することができ、具体的には、グラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法などの有版印刷法やインクジェット印刷法などの無版印刷法などの任意の印刷法を、適宜選択して用いることができる。
【0023】
センサーマーク(12)に用いられる材料は、選定された印刷法に適合する印刷インキであれば、いずれも用いることができるが、センサーマーク(12)を読取るための光学センサーに用いられる波長領域の光に対し、吸収、反射または散乱特性を有することが望ましく、十分なコントラストを得るためには吸収または反射特性を有する色材、並びにバインダー樹脂とからなることが望ましい。
【0024】
上述のような色材としては、染料ならびに顔料のいずれも用いることができ、耐久性などを考慮するとカーボンブラックなどの各種顔料や、金属粉などを好適に用いることができ、コスト面などを考慮すると、カーボンブラックを好適に用いることができる。
【0025】
バインダー樹脂としては、各種印刷インキに用いられる従来公知の樹脂材料をいずれも用いることができ、例えば、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ビニル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、セルロース系樹脂、ロジン系樹脂などの各種樹脂を単独あるいは、混合物や共重合物のような複合物として、用いることができる。
【0026】
また、これらの材料からなる印刷インキには、分散剤、消泡剤、レベリング剤、硬化剤、フィラー類などの各種添加剤が添加されてあっても良い。
【0027】
剥離層(13)は、中間層(14)や受像層(15)等をより効果的に被転写体に転写するために設けられるもので、さらに最終製品となるIDカードなどの保護層として機能するものである。
【0028】
従って、支持体(11)から容易に剥離される材料であれば如何なる樹脂でも用いることができるが、柔軟性、箔切れ性を考慮し、熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。
【0029】
具体的には、例えば、熱可塑性ポリ(メタ)アクリル酸エステル、塩化ゴム系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ニトロセルロースやトリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ノルボルネン樹脂等を単独あるいは2種以上の複合として用いることができ、さらに箔切れや耐磨耗性を考慮して、石油系ワックス、植物系ワックス、鉱物系ワックス等の各種ワックス類や、ステアリン酸等高級脂肪酸の金属塩、シリコーンオイル等の滑剤や、フッ素樹脂系パウダー、ポリエチレンパウダー、シリコーン系微粒子などの各種添加剤が添加されてあっても良い。
【0030】
上記剥離層(13)は、上述の樹脂類に各種添加剤を添加し、各種溶媒に溶解または分散した塗布液とすることにより、グラビアコート法、リバースグラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ナイフコート法、ダイコート法など従来公知の任意のコーティング法により、乾燥後の厚み、0.1μm~50μmの範囲で設けることができる。
【0031】
中間層(14)は、必ずしも設けられている必要はないが、中間転写フィルムに形成された画像を最終印画物である被転写体に転写した後の耐久性向上、セキュリティ性向上を目的として、設けられていることが望ましい。
【0032】
中間層(14)は、剥離層(13)において例示したような熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂、放射線硬化性樹脂などを用いることができる。
【0033】
熱硬化性樹脂を用いる場合には、例えば、アクリル系ポリオール樹脂やポリエステル系ポリオール樹脂、ビニルアルコール系ポリオール樹脂などのポリオール系樹脂とイソシアネート化合物との架橋反応によって形成されるウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂などや、これらの混合物、またはこれらの共重合物などを使用することができる。
【0034】
また、放射線硬化性樹脂の例としては、典型的には、重合性化合物と開始剤とを含んでいるものとして例示することができる。
【0035】
重合性化合物としては、光ラジカル重合が可能な化合物や光カチオン重合が可能な化合物などを例示することができ、それぞれラジカル発生剤やカチオン発生剤を開始剤として含んでいる。
【0036】
この様な中間層(14)には、紫外線吸収剤、界面活性剤、フィラー類、分散剤などの各種添加剤が加えられてあっても良い。
【0037】
また、各種着色顔料、各種蛍光材料、アップコンバージョン材料、赤外線吸収剤、赤外線反射剤、パール顔料、金属粉などの特殊材料が添加されてあっても良いし、これら特殊材料を含む印刷層が別途設けられてあっても何ら問題ない。
【0038】
更には、中間層(14)として、OVD(Optical Variable Device)層が設けられてあっても良い。
【0039】
OVD層としては、例えば、表面に凹凸構造を有するレリーフ構造形成層と、この凹凸構造に沿って設けられた反射層などからなる構成を例示することができる。
【0040】
この様な中間層(15)は、目的に応じて、各種加工方法を用いて形成することができる。具体的には、グラビアコート法、ロールコート法、ナイフコート法、カーテンコート法、ダイコート法など従来公知のコーティング法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法などの従来公知の印刷法などをはじめ、OVD層を形成する場合には、凹凸形状を有する金属版を用いたエンボス加工や、反射層を形成するための真空蒸着法、スパッタリング法、化学気相堆積法、更にはエッチング法など、任意の加工技術を適宜用いて、形成することができる。この様な中間層(14)の厚みは、目的に応じて、任意に設定することができる。
【0041】
受像層(15)は、例えば、線状飽和ポリエステル等のポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニルや塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステルなどのアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体等のビニル系樹脂、ウレタン系樹脂などを例示することができるが、必ずしもこれらに限定されるものではなく、各樹脂を単独あるいは複合物として用いることができる。
【0042】
受像層(15)は、上述のような樹脂類を各種溶媒に溶解または分散して塗布液とし、グラビアコート法、リバースグラビアコート法、ロールコート法、ナイフコート法、カーテンコート法、ダイコート法など従来公知の任意のコーティング法により、乾燥後の厚み、0.5μm~50μmの範囲で設けることができる。
【0043】
図2は、上述のような中間転写フィルム(10)を用いた画像形成装置の例を示す概念図である。
【0044】
中間転写フィルム(10)は、巻取りロール形状で画像形成装置に供給され、中間転写フィルム巻出部(16)より巻き出され、光学センサー(30)において、センサーマーク(12)の読取が実施される。
【0045】
この時、
図4に示すような従来型の中間転写フィルム(40)を用いた場合には、センサーマーク(12)は、基材(11)の受像層(15)が設けられている面とは反対側の面、すなわち裏面側に設けられている。
【0046】
このため、従来型の中間転写フィルム(40)を巻取りロール形状で保管すると、
図5に見られるように、裏面側に設けられたセンサーマーク(12)と受像層(15)とが、圧着される(A)こととなる。
【0047】
このため、センサーマーク(12)と受像層(15)との間で、一部接着が生じ、中間転写フィルム(10)を巻き出し、圧着した状態(A)から剥離した状態(B)へと変化した際に、受像層(15)表面にセンサーマーク(12)の裏移り(41)が発生していた。
【0048】
これに対し、本発明では、センサーマーク(12)を基材(11)と剥離層(13)との間に設けることから、中間転写フィルム(10)を巻取りロール形状で保管した場合であっても、受像層(15)とセンサーマーク(12)とが接触することがなく、裏移り(41)を防ぐことが可能となる。
【0049】
このため、本発明の中間転写フィルム(10)を用いることにより、光学センサー(30)によるセンサーマーク(12)読取時の誤動作を防ぐことも可能となる。
【0050】
すなわち、本来の位置ではないところに形成された裏移り(41)した汚れ部をセンサーマークであると誤認することや、あるいは本来のセンサーマーク(12)が、裏移り(41)により、カスレや形状の欠けなどが発生し、センサーマーク(12)として認識できないなどの問題を低減することが可能となる。
【0051】
これにより、熱転写媒体(20)に形成されているインク層を、サーマルヘッド(31)の加熱によって、中間転写フィルム(10)の受像層(15)上に画像形成するための位置出しを正確に実施することができ、画像形成が実施される。
【0052】
この際、熱転写媒体(20)には、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(Bk)などの複数のインク層が面順次に設けられており、各インキ層の印字を行う度毎に、その色のインキ層の印画開始位置まで、中間転写フィルム(10)の巻き戻しが実施され、各色のインキ層による印字が終了するまで、繰り返し実施される。
【0053】
これにより、中間転写フィルム(10)の受像層(15)上に1画面分の画像形成が実施され、熱ロール(32)によって、被転写体(34)に対して、剥離層(13)、中間層(14)、受像層(15)を含む層が2次転写され、最終印画物が形成される。
【0054】
ここで、センサーマーク(12)は、
図3に示すように、中間転写フィルム(10)における印画領域(18)の外側に設けられていることが望ましい。
【0055】
これにより、熱ロール(32)による被転写体(34)への2次転写の際に、センサーマーク(12)の一部が、誤って被転写体(34)に転写されることを防ぐことができる。
【0056】
また、センサーマーク(12)の設置位置は、中間転写フィルム(10)の搬送方向に対して、幅方向に印画領域(18)を避けて設けられていることが、更に好ましいと言える。
【0057】
これは、中間転写フィルム(10)において、センサーマーク(12)を設けた部分だけが、他の領域に比べて、厚さが異なる状態となる可能性が高く、中間転写フィルム(10)を巻取りロール形状で保管した際に、受像層(15)の印画領域(18)にセンサーマーク(12)形状の圧痕のような凹凸が形成されるのを防ぐためである。
【0058】
このような凹凸が、印字領域(18)に形成されると、熱転写媒体(20)で印字した際にその凹凸の起因する印字不良が発生する可能性がある。
【0059】
以上のように、本発明の中間転写フィルム(10)を用いることにより、受像層(15)への裏移り(41)を発生させることなく、光学センサー(30)による誤認識を防ぐとともに、印画不良の発生を抑制することが可能な中間転写方式の媒体を提供することが可能となる。
【実施例】
【0060】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、文中で「部」とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。
【0061】
(実施例)
基材(11)として、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用意し、下記に示す墨インキを用いて、グラビア印刷によりセンサーマーク(12)を形成した後、センサーマーク(12)を設けた面上に、下記の剥離層用塗布液、中間層用塗布液、受像層用塗布液の各塗布液を用いて、グラビアコート法により、乾燥後の厚さが約0.45μmの剥離層と、乾燥後の厚さが約1.1μmの中間層と、乾燥後の厚さが約3.1μmの受像層とを塗工した巻取りロール形状のサンプルを3点作製した。
【0062】
<墨インキ>
コンク94墨インキ(東洋インキ株式会社製)
【0063】
<剥離層用塗布液>
TP001 カード用剥離ワニス(東洋インキ株式会社製)
TP001 剥離用添加剤(東洋インキ株式会社製)
【0064】
<中間層用塗布液>
K284HLG 接着アンカーS2ワニス(東洋インキ株式会社製)
【0065】
<受像層用塗布液>
JER1004(三菱ケミカル株式会社製)
JER1007(三菱ケミカル株式会社製)
【0066】
(比較例)
センサーマーク(12)の印刷面を、剥離層(13)、中間層(14)、受像層(15
)を塗布する面の反対側の面とした以外は、実施例と同様にして、巻取りロール形状の比較サンプルを3点作製した。
【0067】
(評価)
以上のようにして作製した各サンプルを、50℃の環境下で、一定時間(12h、24h、48h)放置し、取り出した巻取りロール状のサンプルを巻き出して、ブロッキング(裏移り)の状況を目視により観察した。
○ … 裏移り無し
× … 裏移り有り
【0068】
評価結果は、表1に示した
【0069】
【0070】
表1に示して結果より、実施例のサンプルでは、3点のサンプルいずれも48時間放置したものでもブロッキングは確認できなかったが、比較例のサンプルでは、24時間放置したものからブロッキングが確認され、48時間後では、3点のサンプルともブロッキングが確認された。
【0071】
以上の結果より、本発明の中間転写フィルムを用いることにより、長時間、巻取りロール形状での保管を実施した場合であっても、センサーマークの裏移りが起こることがなく、良好な中間転写フィルムを提供することができる。
【符号の説明】
【0072】
10 … 中間転写フィルム
11 … 支持体
12 … センサーマーク
13 … 剥離層
14 … 中間層
15 … 受像層
16 … 中間転写フィルム巻出部
17 … 中間転写フィルム巻取部
18 … 画像形成領域
20 … 熱転写媒体
21 … 熱転写媒体巻出部
22 … 熱転写媒体巻取部
30 … 光学センサー
31 … サーマルヘッド
32 … 熱ロール
33 … 圧胴
34 … 被転写体
40 … 従来の中間転写フィルム
41 … 裏移り
A … 圧着した状態
B … 剥がした状態