(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】落下物防止装置及び方法
(51)【国際特許分類】
E04G 21/32 20060101AFI20221018BHJP
E04G 23/02 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
E04G21/32 A
E04G23/02 A
(21)【出願番号】P 2018079261
(22)【出願日】2018-04-17
【審査請求日】2020-09-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000004123
【氏名又は名称】JFEエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112140
【氏名又は名称】塩島 利之
(74)【代理人】
【識別番号】100119297
【氏名又は名称】田中 正男
(72)【発明者】
【氏名】橋本 長人
(72)【発明者】
【氏名】平松 義久
(72)【発明者】
【氏名】川村 太郎
(72)【発明者】
【氏名】前田 多郎
(72)【発明者】
【氏名】村上 弘
【審査官】前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-143924(JP,A)
【文献】特開平05-322151(JP,A)
【文献】特開平05-113293(JP,A)
【文献】特開平10-196160(JP,A)
【文献】特開2014-136892(JP,A)
【文献】特開2006-016858(JP,A)
【文献】実開平03-093561(JP,U)
【文献】実開昭58-136543(JP,U)
【文献】米国特許第05167299(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/32
E04G 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の内部に降ろされるロープに接続される接続部と、
送風機によって空気を送り込み続けると膨らんだ状態を保ち、前記送風機による空気の送り込みを停止すると萎むバルーン本体と、を備える落下物防止装置であって、
前記落下物防止装置は、前記ロープに吊り下げられて膨らんだ状態で前記構造物の内壁に接触するように構成され、
前記接続部を前記バルーン本体に設け、
前記バルーン本体の周囲には、前記構造物の前記内壁に接触する保護シートが接着される落下物防止装置。
【請求項2】
布製の前記バルーン本体の周囲には、前記構造物の前記内壁に接触するゴム製の保護シートが接着されることを特徴とする請求項1に記載の落下物防止装置。
【請求項3】
構造物の内部に降ろされるロープに接続される接続部と、
送風機によって空気を送り込み続けると膨らんだ状態を保ち、前記送風機による空気の送り込みを停止すると萎むバルーン本体と、を備える落下物防止装置であって、
前記落下物防止装置は、前記ロープに吊り下げられて膨らんだ状態で前記構造物の内壁に接触するように構成され、
前記バルーン本体の中央部は、通風可能なように網目状又は多孔状に形成され
、
前記バルーン本体の上面及び下面には、前記送風機から空気が送り込まれる送風口が設けられる落下物防止装置。
【請求項4】
構造物の内部に降ろされるロープに接続される接続部と、
送風機によって空気を送り込み続けると膨らんだ状態を保ち、前記送風機による空気の送り込みを停止すると萎むバルーン本体と、を備える落下物防止装置であって、
前記落下物防止装置は、前記ロープに吊り下げられて膨らんだ状態で前記構造物の内壁に接触するように構成され、
前記バルーン本体の中央部は、通風可能なように網目状又は多孔状に形成され
、
布製の前記バルーン本体の周囲には、前記構造物の前記内壁に接触するゴム製の保護シートが設けられる落下物防止装置。
【請求項5】
構造物の内部に降ろされるロープに接続される接続部と、
送風機によって空気を送り込み続けると膨らんだ状態を保ち、前記送風機による空気の送り込みを停止すると萎むバルーン本体と、を備える落下物防止装置であって、
前記落下物防止装置は、前記ロープに吊り下げられて膨らんだ状態で前記構造物の内壁に接触するように構成され、
前記バルーン本体は、膨らんだ状態が上面視で略円状及び略矩形状のいずれかを選択可能なように、内部が隔壁によって区画される落下物防止装置。
【請求項6】
送風機によって空気を送り込み続けると膨らんだ状態を保ち、前記送風機による空気の送り込みを停止すると萎むバルーンを準備するバルーン準備工程と、
構造物の内部に降ろしたロープに前記バルーンを吊り下げるバルーン吊り下げ工程と、
前記送風機によって前記バルーンに空気を送り込み続けて、膨らんだ状態の前記バルーンを前記構造物の内壁に接触させるバルーン接触工程と、を備え、
前記バルーンは、前記ロープに接続される接続部と、
前記送風機によって空気を送り込み続けると膨らんだ状態を保ち、前記送風機による空気の送り込みを停止すると萎むバルーン本体と、を備え、
前記バルーン本体は、前記ロープに吊り下げられて膨らんだ状態で前記構造物の内壁に接触するように構成され、
前記接続部を前記バルーン本体に設け、
前記バルーン本体の周囲には、前記構造物の前記内壁に接触する保護シートが接着される落下物防止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイラー等の構造物の内壁に付着した付着物の落下、及び/又は内壁の耐火物の落下を防止するとともに、安全性を保つことが可能な落下物防止装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄物焼却プラントのボイラーの内壁には、廃棄物を燃焼させたときに発生する灰が溶融・固化したクリンカ等が付着する。この付着物をそのままにしておくと、ボイラーの内壁に埋め込まれる伝熱管の熱回収効率が低下したり、排ガスの通路が狭まったりする。したがって、付着物は定期的に除去する必要がある。
【0003】
また、ボイラーの高さは5m以上になることもあるので、付着物を除去するために、ボイラーの内部に足場を組むことが行われている(特許文献1参照)。ボイラーの内壁を補修する場合も同様である。
【0004】
このような状況下で、作業員が足場を組んでいる最中にクリンカ等の付着物や内壁の耐火物(以下、付着物等という)が落下すると、危険である。そこで、付着物等が落下するのを防止するために、最初にボイラー内に足場板等で天井を設置し、その後、天井の下に足場を組むことが行われている。加えて、建設現場では、作業者の上方に防護ネットを張り、防護ネットによって付着物等が落下するのを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ボイラー内に足場板等で天井を設置する落下物防止方法にあっては、安全性を高めることができるものの、天井の設置や天井の高さ変更に手間がかかるという課題があった。しかも、天井の設置が終わるまでは付着物等が落下するという危険性があった。
【0007】
さらに、防護ネットを張る落下物防止方法においては、防護ネットと構造物の内壁との隙間から付着物等が落下する危険性があるし、防護ネットを張る際に構造物の改造が必要であり、防護ネットの上下方向の位置を任意に決められないという課題があった。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、構造物の内部に付着した付着物等が落下するのを防止するとともに、安全性を保つことが可能な落下物防止装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、構造物の内部に降ろされるロープに接続される接続部と、送風機によって空気を送り込み続けると膨らんだ状態を保ち、前記送風機による空気の送り込みを停止すると萎むバルーン本体と、を備える落下物防止装置であって、前記落下物防止装置は、前記ロープに吊り下げられて膨らんだ状態で前記構造物の内壁に接触するように構成され、前記接続部を前記バルーン本体に設け、前記バルーン本体の周囲には、前記構造物の前記内壁に接触する保護シートが接着される落下物防止装置である。
本発明の他の態様は、構造物の内部に降ろされるロープに接続される接続部と、送風機によって空気を送り込み続けると膨らんだ状態を保ち、前記送風機による空気の送り込みを停止すると萎むバルーン本体と、を備える落下物防止装置であって、前記落下物防止装置は、前記ロープに吊り下げられて膨らんだ状態で前記構造物の内壁に接触するように構成され、前記バルーン本体の中央部は、通風可能なように網目状又は多孔状に形成され、前記バルーン本体の上面及び下面には、前記送風機から空気が送り込まれる送風口が設けられる落下物防止装置である。
本発明のさらに他の態様は、構造物の内部に降ろされるロープに接続される接続部と、送風機によって空気を送り込み続けると膨らんだ状態を保ち、前記送風機による空気の送り込みを停止すると萎むバルーン本体と、を備える落下物防止装置であって、前記落下物防止装置は、前記ロープに吊り下げられて膨らんだ状態で前記構造物の内壁に接触するように構成され、前記バルーン本体の中央部は、通風可能なように網目状又は多孔状に形成され、布製の前記バルーン本体の周囲には、前記構造物の前記内壁に接触するゴム製の保護シートが設けられる落下物防止装置である。
本発明のさらに他の態様は、構造物の内部に降ろされるロープに接続される接続部と、送風機によって空気を送り込み続けると膨らんだ状態を保ち、前記送風機による空気の送り込みを停止すると萎むバルーン本体と、を備える落下物防止装置であって、前記落下物防止装置は、前記ロープに吊り下げられて膨らんだ状態で前記構造物の内壁に接触するように構成され、前記バルーン本体は、膨らんだ状態が上面視で略円状及び略矩形状のいずれかを選択可能なように、内部が隔壁によって区画される落下物防止装置である。
【0010】
本発明のさらに他の態様は、送風機によって空気を送り込み続けると膨らんだ状態を保ち、前記送風機による空気の送り込みを停止すると萎むバルーンを準備するバルーン準備工程と、構造物の内部に降ろしたロープに前記バルーンを吊り下げるバルーン吊り下げ工程と、前記送風機によって前記バルーンに空気を送り込み続けて、膨らんだ状態の前記バルーンを前記構造物の内壁に接触させるバルーン接触工程と、を備え、前記バルーンは、前記ロープに接続される接続部と、前記送風機によって空気を送り込み続けると膨らんだ状態を保ち、前記送風機による空気の送り込みを停止すると萎むバルーン本体と、を備え、前記バルーン本体は、前記ロープに吊り下げられて膨らんだ状態で前記構造物の内壁に接触するように構成され、前記接続部を前記バルーン本体に設け、前記バルーン本体の周囲には、前記構造物の前記内壁に接触する保護シートが接着される落下物防止方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、構造物の内部に付着した付着物等が落下するのを防止するとともに、安全性を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1の実施形態の落下物防止装置の詳細図(
図1(a)は側面図、
図1(b)は上面図)である。
【
図2】本発明の第2の実施形態の落下物防止装置の詳細図(
図2(a)は側面図、
図2(b)は上面図)である。
【
図3】本発明の一実施形態の落下物防止方法の工程図(ボイラー内部に吊り下げたロープを落下物防止装置としてのバルーンに接続した状態)である。
【
図4】本実施形態の落下物防止方法の工程図(ボイラー内部にバルーンを吊り下げた状態)である。
【
図5】本実施形態の落下物防止方法の工程図(バルーンを膨らませた状態)である。
【
図6】本実施形態の落下物防止方法の工程図(膨らませた状態のバルーンの下面側斜視図)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態の落下物防止装置及び方法を詳細に説明する。ただし、本発明の落下物防止装置及び方法は種々の形態で具体化することができ、明細書に記載される実施形態に限定されるものではない。本実施形態は、明細書の開示を十分にすることによって、当業者が発明を十分に理解できるようにする意図をもって提供されるものである。
(第1の実施形態の落下物防止装置)
【0014】
図1は、本発明の第1の実施形態の落下物防止装置としてのバルーン5の詳細図(バルーン5が膨らんだ状態)である。
図1(a)は側面図、
図1(b)は上面図である。
【0015】
バルーン5は、ロープに接続される接続部7と、バルーン本体11と、バルーン本体11の周囲に設けられる保護シート12と、を備える。バルーン5は、ボイラー等の構造物の内部で膨らみ、付着物等が落下するのを防止する。
【0016】
バルーン本体11は、ターポリン、化学繊維の織物等の布製である。バルーン本体11は、送風機によって空気を送り込み続けると膨らんだ状態を保ち、送風機による空気の送り込みを停止すると萎む。バルーン本体11の気密性は、ゴム製のものより低く、バルーン本体11が膨らんだ状態では、送風機が送り込む空気量とバルーン本体11から漏れる空気量とが等しくなる。
【0017】
保護シート12は、矩形の枠状であり、バルーン本体11の周囲に接着等により貼り付けられる。保護シート12は、布製のバルーン本体11の強度を向上させる役割を持つ。保護シート12は、ゴム製である。
【0018】
バルーン本体11の内部には、リング状の隔壁14が設けられる。バルーン本体11は、隔壁14によって内側区画5-1と外側区画5-2とに区画される。内側区画5-1の上面及び下面それぞれには、送風口15a,15bが設けられる。外側区画5-2の上面及び下面それぞれにも、送風口16a,16bが設けられる。送風機から空気を送り込むときは、上面及び下面のいずれか一方の送風口15a又は15b,16a又は16bを利用する。
【0019】
バルーン本体11は、膨らんだ状態が上面視で略円状及び略矩形状のいずれかを選択可能である。バルーン本体11の内側区画5-1に空気を吹き込むと、バルーン本体11が略円状に膨らむ。バルーン本体11の外側区画5-2に空気を吹き込むと、バルーン本体11が略矩形状に膨らむ。
【0020】
接続部7は、バルーン本体11の上面に設けられる。接続部7は、ロープによってバルーン本体11を吊り上げる役割を持つ。複数の接続部7は、円周方向に一定間隔を空けて設けられる。接続部7は、布地を例えばリング状に形成してなる。接続部7には、ロープ2が接続される(
図4参照)。
【0021】
符号18a,18bは、空気穴である。送風機による空気の送り込みを停止すると、バルーン本体11は萎む。ただし、バルーン本体11から完全に空気が排出される訳ではない。このため、バルーン5を畳むときは、空気穴18a,18bから空気を排出させる。
【0022】
符号21a,21bは、マジックテープ(登録商標)等の結合手段(図中塗りつぶしの長方形で示す)である。バルーン5を上面視で略円状にする場合、バルーン5の外側区画5-2には空気が入らないので、バルーン5の外側区画5-2がたるむ。たるみを無くすために、バルーン5の外側区画5-2を内側に折り畳み、外側区画5-2のマジックテープ(登録商標)21bと内側区画5-1のマジックテープ(登録商標)21aとを結合させる。
【0023】
第1の実施形態のバルーン5によれば、以下の効果を奏する。バルーン本体11が送風機によって空気を送り込み続けると膨らんだ状態を保ち、送風機による空気の送り込みを停止すると萎むので、ボイラー等の構造物の内壁に凹凸があっても、バルーン本体11が凹凸に合わせて柔軟に膨らみ、凹凸に密着する。このため、バルーン本体11とボイラー等の内壁との間に隙間が発生しても、わずかな隙間であるため、付着物等が落下するのを防止できる。
【0024】
また、布製のバルーン本体11の周囲に、ボイラーの内壁に接触するゴム製の保護シート12を設けるので、布製のバルーン本体11がボイラーの内壁に接触して破けるのを防止することができる。
【0025】
さらに、膨らんだ状態のバルーン本体11の形状を略円状及び略矩形状のいずれかに選択可能なので、構造物の円状の内壁にも矩形状の内壁にも同一のバルーン5を使用することができる。
(第2の実施形態の落下物防止装置)
【0026】
図2は、本発明の第2の実施形態の落下物防止装置としてのバルーン22の詳細図である。第2の実施形態では、バルーン本体23の中央部23aには、例えばネットが設けられる。すなわち、中央部23aは、網目状に形成される。網目状に形成する替わりに多孔状に形成することもできる。保護シート12、隔壁14、送風口16a,16b、マジックテープ(登録商標)21bの構成は、第1の実施形態と同一であるので、同一の符号を附してその説明を省略する。
【0027】
第2の実施形態のバルーン22によれば、バルーン本体23の中央部23aが網目状又は多孔状なので、バルーン22の上方と下方とで通風が可能になり、バルーン22の下方の作業環境を向上させることができる。通風不可能であると、例えばバルーン22の下方の作業環境の温度が上昇したり、粉塵が飛散したり、暗くなったりするおそれがある。
(落下物防止方法)
【0028】
図3は、本発明の一実施形態の落下物防止方法が適用されるボイラーの垂直断面図である。本実施形態の落下物防止方法は、ボイラー1の内部に足場を組む前に実施され、足場を組んでいる作業者に付着物等が落下するのを防止する。
【0029】
図3に示すように、まずバルーン5を準備する(バルーン準備工程)。バルーン5は、送風機によって空気を送り込み続けると膨らんだ状態を保ち、送風機による空気の送り込みを停止すると萎むバルーン5である。この段階では、バルーン5は萎んでいて畳まれた状態にある。
【0030】
次に、ボイラー1の上部の開口1a,1bから親綱、フック付きスリング等のロープ2をボイラー1の内部に挿入する。ボイラー1の上部には、点検用、センサ挿入用等の開口1a,1bが設けられる。これらの開口1a,1bを利用して、ロープ2を挿入する。ロープ2の、開口1a,1b側の上端部は、梁、手摺等の固定部材3a,3bに接続されている。
【0031】
次に、ボイラー1の側壁のマンホール1cからロープ2の下端部をボイラー1の外部に引き出す。ボイラー1の側壁には、点検及び掃除用のマンホール1cが設けられる。このマンホール1cを利用して、ロープ2をボイラー1の外部に引き出す。ボイラー1の外部には、作業員がマンホール1cに出入りするための足場4が設置されている。ロープ2を引き出すときは、この足場4を利用する。
【0032】
次に、畳んだ状態のバルーン5にロープ2を接続し、バルーン5にダクト6を接続する。そして、畳んだ状態のバルーン5をマンホール1cからボイラー1の内部に入れ、ロープ2にバルーン5を吊り下げる(バルーン吊り下げ工程)。なお、畳んだ状態のバルーン5は容積が小さいので、マンホール1cを通すことができる。
【0033】
図4は、ボイラー1の内部に吊り下げたバルーン5の上面側斜視図である。
図4に示すように、バルーン5をボイラー1内に入れると、バルーン5はボイラー1内に満遍なく広がる。2はロープ、5はバルーンである。ただし、バルーン5は、ボイラー1内でまだ萎んだ状態にある。
【0034】
バルーン5の接続部7には、リングキャッチ、リングフック等のリング部材8が接続される。ロープ2の下端のフック2aが、リング部材8に着脱可能に接続されている。
【0035】
次に、
図5に示すように、送風機9に電源を入れ、ダクト6を介してバルーン5に空気を送り込む。すると、バルーン5が膨らみ、ボイラー1の内壁1dに接触するようになる(バルーン接触工程)。ここで、送風機9が空気の送り込みを停止すると、バルーン5は萎む。送風機9は、バルーン5が膨らんだ状態を保つようにバルーン5に空気を送り込み続ける。
【0036】
図6は、ボイラー1内のバルーン5の下面側斜視図である。6はダクト、5はバルーンである。膨らんだ状態のバルーン5は、ボイラー1の内壁1dに密着する。前述したように、バルーン5の形状は、略円状及び略矩形状のいずれかに選択することができる。
図6は、バルーン5が略円状である例を示す。バルーン5を略円状にすることに伴って、バルーン5の周囲にはゆとり部分10が発生する。
【0037】
上記のように、送風機9によって空気を送り込み続けると膨らんだ状態を保ち、送風機9による空気の送り込みを停止すると萎むバルーン5を使用するので、ボイラー1の内壁1dに凹凸があっても、バルーン5が凹凸に合わせて柔軟に膨らみ、凹凸に密着する。このため、密着性が高い状態でバルーン5とボイラー1の内壁1dとの間に適度な隙間が生まれ、隙間から付着物等が落下するのを防止できる。さらに、バルーン5は萎むと容積が小さく、重量も軽いので、その設置作業も容易である。
【0038】
バルーン5の設置高さを変更するときは、送風機9の電源を止め、バルーン5への空気の送り込みを停止する。すると、バルーン5は自然に萎む。バルーン5が萎んだ状態でロープ2を上げ下げすれば、バルーン5の高さを変更することができる。バルーンの高さ調整が終わったら、再度送風機9の電源を入れればよい。
【0039】
バルーン5をボイラー1から取り出す際は、上記とは逆の手順が行われる。すなわち、まず送風機9の電源を止め、バルーン5への空気の送り込みを停止する。次に、萎んだ状態のバルーン5をマンホール1cから足場4上に取り出す。そして、バルーン5からロープ2及びダクト6を外し、足場4上でバルーン5を畳み、折り畳んだバルーン5は収容袋に収容する。最後に、ボイラー1内に残っているロープ2をボイラー1から取り出す。
【0040】
なお、本発明は上記実施形態に具現化されるのに限られることはなく、本発明の要旨を変更しない範囲で他の実施形態に変更可能である。
【0041】
例えば上記実施形態では、バルーン本体に隔壁を設け、バルーン本体の形状を略円状及び略矩形状のいずれかに選択可能にしているが、バルーン本体に隔壁を設けずに、バルーン本体の形状を略円状及び略矩形状のいずれか一方のみにすることもできる。
【0042】
上記実施形態では、バルーンをボイラーに設置した例を説明したが、バルーンをボイラー以外にも減温塔や、さらには筒状の構造物全般に設置することができる。
【符号の説明】
【0043】
1…ボイラー(構造物)
1d…ボイラー(構造物)の内壁
2…ロープ
5…バルーン
6…ダクト
7…接続部
9…送風機
11…バルーン本体
12…保護シート
14…隔壁
22…バルーン
23…バルーン本体
23a…バルーンの中央部